30 Lydia Saad, “Republicans, Democrats Agree on Top Foreign Policy Goals,” The Gallup, February 20, 2013, http://www.gallup.com/poll/160649/republicans-democrats-agree-top- foreign-policy-goals.aspx?utm_source=alert&utm_medium=email&utm_campaign=syndicat ion&utm_content=morelink&utm_term=Politics.
二大政党の 支持者間の 違いが最も 大きいのは 、「国連な どの組 織 と連携した国際協力の模索」であり、民主党支持者は 75%が賛成す る のに対し、 共和党では こういった 組織が米国 の外交政策 の目標 の 達成に重要であるとみるのは42%のみであった。また、比較的はっ きりした違いは、人権の促進(民主党64%、共和党 44%)、同盟国 の安全保障(共和党70%、民主党 57%)でみられる。注目すべきは、
国 際市場で米 国に有利な 貿易政策を 推進するこ とが両党支 持者が 共 通して支持する外交政策目標で、ともに70%近くの支持を受けてい る ことである 。また、他 国での民主 主義の確立 の支援は両 党とも に 重要性が極めて低い外交政策目標である。
世論の米国 外交政策へ の影響は、 国際関係、 特に米国の 外交政 策 研究における論争の重点の一つである。オレ・ホルスティ(Ole Holsti)
は 安全保障問 題では、政 治エリート はより容易 に民意を操 ること が できるであろうとみている31。一方で、世論は安定的で組織的である だ けでなく、 政治エリー トと国家政 策にとって 制約となる 要素で あ るとみる学者もいる32。本研究では新古典的現実主義に基づくため、
後 者の見方を 採る。つま り、米国の ような民主 国家にとっ て、国 内 の 人々の見方 は政治エリ ートが政策 についての 弁論とその 後の決 定 を 制約する要 素となるた め、政策決 定者は考慮 する要素と する必 要 が あり、最終 的に米国の 外交政策を 形作るもの である。こ のこと か
31 Ole R. Holsti, Public Opinion and American Foreign Policy (Ann Arbor: The University of Michigan Press, 1996).
32 Kerry G. Herron and Hank C. Jenkins-Smith. “U.S. Perceptions of Nuclear Security in the Wake of the Cold War: Comparing Public and Elite Belief Systems,” International Studies Quarterly, Vol. 46(2002), pp. 451~470. この問題に関する検討は、以下資料を参照のこ と:王怡婷「美國對中國崛起之認之分析:1992-2009」(台北:國立政治大學外交研 究所碩士論文、2010)。
ら 、現時点の 米国の人々 が考える外 交政策の優 先順位が、 第二期 オ バマ政権の外交行為を形作るであろう。
2 「再均衡」をめぐる議論
米国は、財政上の資源がますます制約を受ける中、国防支出を徐々 に 減らしてい くことは予 想がつくが 、政治的お よび経済的 な影響 力 を 使ってアジ ア事務に関 わるであろ う。一方で 、アジアの 同盟国 も 米 国の影響力 がアジア地 域に存在し 、日増しに 増大する中 国の影 響 力 に対応して 欲しいと願 っている。 しかし、オ バマ政権が アジア に 対する「再均衡」政策を宣言すると、関連諸国の議論を呼んだ。
関連諸国は 米国の「再 均衡」政策 に対し、基 本的には歓 迎を表 明 し たが、いく つかの懸念 も生じた。 まず、米国 は軍駐留の 重点を 今 後 、欧州や中 東からアジ ア太平洋地 域に移すと したが、欧 州の同 盟 国には米国に放棄されるのではとの懸念が生まれた。
第二に、強 い国内の支 持を得られ るかが、米 国のどの政 権の行 政 部 門 を と っ て も 、 政 策 調 整 が 成 功 す る か の カ ギ と な る わ け で あ り 、
「 再均衡」政 策も例外で はない。し かし、将来 的に他地域 で衝突 が 発 生、あるい はテロリス トによる攻 撃で緊急態 勢をとらな ければ な ら ない場合、 この政策に ダメージま たは試練と なる可能性 がある 。 つ まり、欧州 や中近東で 衝突が発生 した場合、 米国のアジ ア同盟 国 か らみると、 これによっ て米国のア ジア地域で の資源配置 に変化 が 生じる恐れがあるのである33。
第三に、学 者や分析家 の多くが、 米国の「再 均衡」政策 には、 ど う やら中国に 対峙する傾 向があるこ とが、中国 の不安と疑 念を呼 ぶ
33 Kang Choi “Advice from a Good Friend: A South Korean View on the U.S. Rebalancing,”
Global Asia, Vol. 7, No. 4 (Winter 2012), pp. 38~41.
可能性があるとみている34。もしこれが現実のものとなれば、中国の 政 権内部では 強硬派が台 頭し、米国 と他の事項 で協力した くない と 言 い出す可能 性もある。 大多数のア ジア同盟国 にとって、 米国か 中 国のどちら側に立つかを迫られる日は来て欲しくはない35。
このうち、中国の反応は注目に値する。中国は2010 年からその外 交政策を比較的、高圧的(assertive)な方向に向け、各国の注目を集 め ている。こ れは、中国 自身が地域 の大国から 世界の大国 へ、国 際 事 務の脇役か ら主役へ、 モノカルチ ャー経済か ら総合的な 経済大 国 へ と向かって いると自覚 しているこ とによる。 関連する国 際情勢 の 発 展がさらに 裏付けを与 えている。 復旦大学米 国研究セン ターの 呉 心伯教授によると、中国の外国政策は、すでに2008 年以来の「大国 外交」から、2012 年の東シナ海と南シナ海の問題の発展を経て、「強 国 外交」へと 向かってい る。それに は、主に周 辺の争議を 仕掛け る 国 家に以下の いくつかの 点を知らせ る意味を含 んでいる。 第一に 、 中 国の和平追 及の方法は 、対外的に 戦争を発動 して侵略、 拡張を す る ものではな いが、自ら が折れる形 では決して ない。第二 に、周 辺 国 家のいくつ かは、経済 的に中国か ら利得を得 ようとは試 みてい る が 、安全保障 を米国に託 しており、 これが通じ なくなって いる。 第 三 に、中国を 挑発するの はやはり大 きな政治的 リスクを犯 さねば な らない。フィリピンに至っては、東南アジア諸国連合(ASEAN)の
34 Andrew Nathan and Andrew Scobell, “How China Sees America,” Foreign Affairs, Vol. 91, No. 5 (September/October 2012), pp. 32~47; Robert Ross, “The Problem With the Pivot:
Obama’s New Asia Policy is Unnecessary and Counterproductive,” Foreign Affairs, Vol. 91, No. 6 (November/December 2012), pp. 70~82.
35 Malcolm Fraser, “Overbalancing: The Folly of Trying to Contain China,” Global Asia, Vol. 7, No. 4 (Winter 2012), pp. 28~33; Kang Choi, “Advice from a Good Friend,” pp. 38~41;
Donald Emmerson, “Challenging ASEAN: The U.S. Pivot Through Southeast Asia’s Eyes,”
Global Asia, Vol. 7, No. 4 (Winter 2012), pp. 22~27.
中 で、いくつ かの議題に おいては、 孤立さえす る可能性が ある。 第 四 に、米国の 支持には限 りがある。 米国は確か にこれらの 国々が 中 国に迷惑をこうむってもらいたいとは期待しているものの、米「中」
関係と地域の安定は考慮しなければならない36。こういった論調は、
中 国の米国「 再均衡」政 策に対する 見方をはっ きりと代表 してい る と言える。
第四に、米 国の政策は 、アジアの 同盟国が責 任を負わず に挑発 行 為 を採ること を不当に奨 励する可能 性があるが 、これは米 国を陥 れ る ことになり 、米国の利 益を損なう ものである 。フィリピ ンがス カ ボ ロー礁にま つわる中国 との争議を 深刻化させ たように、 その原 因 はフィリピンが米国の介入と支援を提供すると見込んだからである37。 このほか、オバマ大統領は再選後、1 月 17 日からミャンマー、カン ボ ジア、タイ を歴訪した が、これは 米大統領が 当選後の最 初の訪 問 先 に東南アジ アを選んだ 初めてのケ ースで、オ バマ大統領 が今後 も ア ジア太平洋 政策を推進 し、同盟国 との関係を 深めること を示す 、 極 めて強い象 徴的な意味 をもってい る。しかし 、これら国 々の人 権 状 況には改善 の余地があ り、米国が これによっ て、中国の アジア 太 平 洋地域に対 して与えて いる圧力に 対応するな らば、道徳 上の疑 念 が生まれる可能性がある38。
3 米国の大戦略をめぐる議論
上述したよ うな関連国 家の反応の ほか、この 政策に対す る米国 内 部の議論はさらに注目に値する。ジョン・ケリー(John Kerry)国務
36 吳心伯「中國展現強國外交新氣象」『環球時報』2012 年 11 月 10 日、第 7 版。
37 Ian Storey, “Manila Ups the Ante in the South China Sea,” China Brief, Vol. 13, No. 3 (February 1, 2013).
38 “Obama Pivots to East Asia,” The Australian, November 20, 2012, Editorial.
長 官が国会で の指名承認 公聴会にお いて、米国 がいかなる 国家に 対 し ても囲い込 み政策を行 うものでは なく、自身 は忠実に米 大統領 の 指示と、前任の国務長官を引き継いだ政策を執行すると強調した39。 現 在、米ワシ ントン政府 のアジア太 平洋政策に 関連するシ ンクタ ン クの職員もこの観点と一致し、「再均衡」政策は今後も引き継がれる とみている40。
しかしなが ら、米国学 界は、米国 が今後財政 資源の頭打 ちとい う 状 況に直面し 、国家の大 戦略を如何 に調整する かについて 議論し て いる。バリー・ポーゼン(Barry Posen)は、覇権のロジックが生ん だ積極関与(active engagement)戦略から、保身(entrenchment)へ、
世 界の改造か ら、米国の 国家安全利 益を保護す る思想の政 策へと 調 整 すべきであ ると主張す る。原因と して以下の 数点を挙げ ている 。 ま ず、国防支 出が現時点 で多過ぎる ため、海外 での軍駐留 と安全 保 障への関与を減らすことができれば、国内競争力の回復に寄与する。
第 二に、覇権 思想の積極 関与と国際 事務戦略は 、他国の不 要な懸 念 を呼び、相互の安全保障を悪化させる。第三に、このような関与は、
米 国の同盟国 の多くがた だ乗り戦略 を採り、あ るいは米国 の保護 傘 を 利用し、実 力で大きな 差を付けら れている周 辺の大国に 対する 挑 発 的な政策を 採り、米国 の武力介入 で執政者の 個人的な政 治目標 を 達 成すること を願うとい う事態を招 く。例えば 陳水扁政権 時代の 台
米 国の同盟国 の多くがた だ乗り戦略 を採り、あ るいは米国 の保護 傘 を 利用し、実 力で大きな 差を付けら れている周 辺の大国に 対する 挑 発 的な政策を 採り、米国 の武力介入 で執政者の 個人的な政 治目標 を 達 成すること を願うとい う事態を招 く。例えば 陳水扁政権 時代の 台