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政治利益と豪印の安全保障関係

21 世紀に入り、豪印の関係においてもう一つの重大な進展は二国 間 の協力が経 済貿易から 安全保障ま で進んだと いう点であ る。イ ン ド と豪州はす でにより広 域な防衛協 力を展開し 、戦略的パ ートナ ー シ ップ強化に 努めており 、アジア太 平洋地域に 新しい二国 間戦略 パ ートナーシップが形成されたことを表している。

このほか、 インドは、 現在東南ア ジアの隣国 との防衛関 係の改 善 も 進めており 、タイに防 衛生産プロ ジェクト協 力を提供し たほか 、 シンガポールと軍事訓練と演習施設使用についての協定を 5 年間延

47 「印度公司借莫迪訪澳之機加強與澳業務聯繫」『華爾街日報中文網』、2014 年 11 月 18 日。

48 “Towards a more mature relationship with India,” The Age, Editorial, November 20, 2014, http://www.theage.com.au/comment/the-age-editorial/towards-a-more-mature-relationship-w ith-india-20141119-3kq5m.html.

長 することで 合意してい る。インド ・豪州間の 新しい協力 関係は 、 2013 年のアントニー(A K Antony)インド国防相が豪州、タイ、シ ン ガポールを 訪問した際 に形成され た。これが インド国防 相の初 の 豪 州訪問であ った。イン ド・豪州両 国はこれま で貿易関係 を維持 し てきたが、近年になって強固な防衛協力を確立している。両国は2006 年と2009 年にそれぞれ防衛協力覚書および安全保障協力に関する共 同 声明に署名 したが、具 体的な行動 はとってこ なかった。 しかし 、 昨年 6 月にアントニー印国防相とスミス(Stephen Smith)豪国防相 が 会談し、連 携のための 共同戦略に ついて協議 が進められ た。会 談 後に署名された協定の内容は、両国が2015 年に初となる海上合同演 習を実施すること、その年の10 月にシドニーで開催される国際観艦 式 にインドが 海軍軍艦を 派遣し参加 することな どが盛り込 まれた 。 両 国は、海洋 安全保障と 国際法の原 則に基づく 航行の自由 がアジ ア 太 平洋および インド洋地 域の経済成 長と繁栄に 極めて重要 だと考 え ている。インド洋海軍シンポジウム(Indian Ocean Naval Symposium、

IONS)や東アジア首脳会議(EAS)のメンバー国として、インドと 豪 州両国は各 自関心のあ る地域や国 際安全保障 問題、防衛 協力な ど に ついて意見 を交換した 。海上協力 のほか、共 同声明では 両国の 国 防 相の定期的 な二国間国 防相会議開 催を継続す ることに同 意した ほ か 、国防当局 間や両軍間 の交流継続 を促進し、 軍事訓練へ の参加 を 通 じて双方の 専門知識や 経験の交流 を促進する ことを示し た。両 国 の国防協力は主にアジア太平洋地域に焦点を合わせており、それは、

中 国の台頭と 米中間の戦 略的な対立 に深く関係 している。 例えば 、 シーレーン(SLOC)の安全が両国の優先的な重点項目であるように、

ア ジア太平洋 地域はイン ド・豪州に とって極め て重要であ る。両 国 は いずれも南 シナ海を通 る海運貿易 に依存して おり、中国 、ベト ナ ム 、マレーシ ア、ブルネ イ、フィリ ピンが当該 海域におけ る各々 の

領 有権を主張 している。 共同声明は 問題の緊迫 性を反映し ている 。 こ うしたこと から、両国 がともにア ジア太平洋 地域の平和 、安定 、 繁栄に注力し、インド洋地域の連携を促進することを主張している。

両国の関係は 2012 年 10 月に改善が見られてから、ギラード首相 が インドを訪 問した際、 多くの分野 で連携を進 める意向を 示し、 そ の 中にはイン ドとの民生 用ウラン売 却について の協議開始 に合意 し たことも含まれている。これは1968 年の核不拡散条約に未加盟の国 が 豪州からウ ランを獲得 する第一例 である。ギ ラードはこ の訪印 の 間に、シン(Manmohan Singh)インド前首相とも会談を行った。彼 ら はインド洋 およびイン ド太平洋地 域の安定と 安全の共同 利益を 保 護すると発表した。豪州政府は2013 年 5 月に国防白書において豪印 関係の変化が浮き彫りになっている。「豪州はインド洋の安全、とり わ けその海上 航路に、き わめて重要 な戦略的利 益がある。 豪州は イ ン ドとの戦略 的パートナ ーシップお よび他国と の関係を発 展させ 、 海 賊等の脅威 に対抗し、 主要大国が 当該地域へ の海軍力配 置を絶 え ず増強していることでもたらされる潜在競争をコントロールする」49。 2014 年 11 月に、モディは豪州国会で演説し、安全保障連携の新たな 枠 組 の 重 要 性 を 強 調 し 、「 地 域 貿 易 協 定 の 提 議 が 政 治 的 な 競 争 の 道 具になっている」ことに注意するべきだと言明し、印豪両国は、G20 や東アジア首脳会議、環インド洋連合(Indian Ocean Rim Association、

IORA)などの地域的な組織における協力をより緊密にしていくこと を呼びかけた50。最後に両国のリーダーは、安全保障の連携強化に関

49 “India and Australia Strengthen Defense Relationship,” Asia Pacific Defense Forum, June 20, 2013, http://apdforum.com/zh/article/rmiap/articles/online/features/2013/06/20/india- australia-defense.

50 “Text of Prime Minister Narendra Modi’s Address to the Joint Session of the Australian Parliament,” Press Information Bureau, Government of India, November 18, 2014,

す る協定に合 意したこと を宣言した が、これは 彼らが中国 のナシ ョ ナ リズムの台 頭やイスラ ム過激派に よるテロリ ズムの脅威 が増大 し ていることへの関心を反映している51

五 おわりに

国際環境の 変化に伴い 、とりわけ 米中の戦略 的、政治的 ・経済 的 競合関係が(東アジアから豪州・インドを含むASEAN プラス 6 へ)

拡 大・活発化 してからは 、オースト ラリアとイ ンドの両国 も、過 去 の 疎遠な関係 から緊密な 関係へと転 換してきた 。豪州国内 の要素 、 特 にインドに 対するウラ ン輸出制限 が、両国の 関係改善を 制限す る マ イナス要素 であったが 、最終的に はアメリカ の影響を受 けてこ れ が 取り除かれ 、現在、両 国はアボッ トとモディ の両首相が 積極的 に 関 係を深めて いる。これ は過去数十 年で前例の ない現象で あり、 両 国は政治、経済、軍事面での連携をいっそう強化すると予測される。

し かしながら 、近年豪印 両国の物品 およびサー ビス貿易の 規模は 減 少傾向にある。ただし、長期的に見れば、二国間のFTA 締結、アジ ア 経済統合の 加速、イン ドの経済改 革の加速な どはいずれ も経済 ・ 貿 易関係の発 展をけん引 する力を具 えており、 そのため両 国の今 後 の 経済・貿易 関係の将来 性は大きい 。また、二 国間の安全 保障に お け る連携では 、強化の方 向に進んで いるものの 、中国の当 該地域 へ の 影響力が均 衡すれば協 力の効果は 限界を見せ るだろう。 それは 、

http://www.theage.com.au/comment/the-age-editorial/towards-a-more-mature-relationship-w ith-india-20141119-3kq5m.html.

51 “Editorial: Upgrade with India offers enormous potential, with delicacy,” Sydney Morning Herald, November 19, 2014, http://www.smh.com.au/comment/smh-editorial/upgrade-with- india-offers-enormous-potential-with-delicacy-20141118-11p1d4.html.

両 国の空海軍 力がいずれ も中国に対 抗できる能 力がなく、 さらに 経 済・貿易において中国に大きく依存しているためである。

実際、両国の対外関係は米中両大国の動向に焦点を合わせており、

米中G2 の時代が到来すれば、豪印両国は新たな課題に直面すること は必至であり、今後もさらなる観察の余地がある。

(寄 稿 :2014 年 11 月 28 日、採用:2014 年 12 月 22 日)

翻 訳 : 西方 亜希 子 ( フリ ーラ ン ス 翻訳 者)

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