Ⅱ―1 点検計画、種類、実施体制、実施時期及び点検の方法 1.点検計画
計画的かつ効率的な点検の実施が図られるよう、点検に関する次の基本的な事項をとりまとめ た点検計画を策定するものとする。
○対象区域(長寿命化ガイドラインに準ずる)
○対象区域内の点検対象施設(長寿命化ガイドラインに準ずる)
○点検の方法
○点検の実施体制
○点検の実施時期
【解説】
定期点検の計画的かつ効率的な実施によって、施設に発生した「機能及び性能の変化状況」を的確 に把握する必要があるため、点検計画を策定することを基本とする。また、臨時点検についても、定 期点検と同様に、点検計画をあらかじめ策定しておく。
点検計画の策定に先立ち、区域名、施設名、施設種別、所在地、施設諸元などをまとめた施設台帳、
被災履歴等、既存の施設に関する基本的な情報を収集整理しておく。このほか、設計の根拠とされた 基準類についても、可能な範囲で整理しておく。
長寿命化ガイドラインの「第Ⅰ編 2. 計画対象施設及び計画対象区域」として、「長寿命化計画 の策定は、「砂防設備」、「地すべり防止施設」、「急傾斜地崩壊防止施設」及び「雪崩防止施設」
を対象に、それぞれ、渓流・流域の面的な広がり、地域の行政範囲、砂防行政の所轄区域などの単位 ごとに計画の対象区域を適宜設定し、その対象区域ごとに設置された施設の全体を捉えて、長寿命化 計画を策定することとする。」と規定しており、この長寿命化計画の対象区域に準じて、点検計画の 対象区域の設定を行う必要がある。
7 2.点検の種類
点検は、「定期点検」、「臨時点検」及び「詳細点検」から構成するものとする。
【解説】
点検は、施設の機能の低下状況の把握や、構造上の損傷の程度やその原因の特定を行うため実施す るもので、具体的には、下記の 3 種類に区分する。
1)定期点検
定期点検は、点検計画に基づき実施するものとし、目視点検を基本とする。
なお、砂防設備についての定期点検の点検項目は、「砂防設備の定期巡視点検の実施につ いて(平成 16 年 3 月 25 日国河保第 88 号 土交通省河川局砂防部保全課長通達)」(以下、"
平成 16 年通達"と略す)に示された「本体、構造物取付部、堆砂地を含む設備周辺等の漏 水・湧水・ひび割れ・洗掘・亀裂・破損・地すべり等の有無、設備および施設に直接影響を 与える周辺地域の状況」に準拠する。
2)臨時点検
臨時点検は、原則として豪雨発生時や地震等が発生した流域等において事象の発生直後の 出来るだけ早い時期に実施するものとし、定期点検に準じて目視による点検を基本とする。
なお、臨時点検の点検項目は「施設の損傷の有無や程度、被害の程度、設備および施設に 直接影響を与える周辺地域の状況を、把握・確認すること」を基本とする。また、施設の重 要性や地域性等を勘案して、重点的に臨時点検施設を定めることが有用と判断される場合は、
別途臨時点検計画を定め運用することができる。
3)詳細点検
定期点検や臨時点検において、その変状の状況をより詳細に把握する必要があると判断さ れる場合や変状の原因把握が困難な場合に「詳細点検」を実施する。「詳細点検」は、機能 低下や性能の劣化の状況を定量的に把握するために実施するものであり、必要に応じて詳細 な計測を行うこととする。
(注)「巡視」について
維持管理のために実施される日常的な見回りは、本要領(案)では「巡視」として扱う。
平成 16 年通達では、定期(臨時)巡視点検として、「巡視」と「点検」を一体のものとし て取り扱っているが、本要領(案)では、日常的な「巡視」と、定期・臨時・詳細の各「点検」
とを区分して扱っている。
※参考:日常行われる維持管理については、長寿命化ガイドラインの、「第Ⅱ編 砂防関 係施設の長寿命化計画 3.日常的な維持の方針」において示しているので参照の こと。
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9 3.点検の実施体制
点検は、現場での安全を考慮して複数名で行う。また、点検に必要な知識・技術を有した技術 者が実施するものとする。
【解説】
施設の点検作業は、急峻な崖地や高所で実施するため、安全を考慮して、複数名により行うものと する。
点検を行う技術者は、砂防関係施設に関し、豊富な知識と経験を有していることが望ましい。なお、
平成 16 年通達に示されている通り、点検の実施においては砂防ボランティア等の制度の積極的な活用 を図ることが望まれる。
10 4.点検の実施時期
定期点検及び臨時点検は、点検計画に基づいて、実施するものとする。
詳細点検は、定期点検や臨時点検ではその異常の程度や原因の把握が困難と判断される時に、
実施することを基本とする。
【解説】
定期点検は、平成 16 年通達によると原則年1回としているが、本要領(案)での定期点検(経過観 察を含む)については、施設の健全度、流域の荒廃状況、保全対象との位置関係、施設の重要度等を 勘案し、適切に実施時期を設定することができる。
なお、点検の実施時期の設定にあたっては、以下に留意することとする。
・対象施設の定期点検実施時期の間隔は、最長 10 年以下とすることとし、健全度評価により「経 過観察」、「要対策」と判定された施設については、5 年以下を原則として設定すること。
・流水の影響が常に及ぶ施設等の点検については、実施頻度を高くするなど適切に対応すること。
臨時点検は、原則として豪雨発生時や地震発生時などの、災害をもたらしかねない事象の発生直 後の出来るだけ早い時期に実施する。
11 5.点検の方法
点検は、原則として徒歩で行うものとして、定期点検及び臨時点検については、施設の外観 及び施設周辺の状況を目視により把握し、点検個票に記録する。
施設に異常が認められた場合(軽微なものは除く)は、必要に応じ、その状況に適応した計 測、打音、観察などの方法で確認する。
【解説】
点検の際には、以下の点に注意して実施する。
1) 施設の異常の有無を目視確認し、記録することを原則とする。
2) 写真撮影の実施を原則とする。撮影に際しては、前回調査時の写真等と比較して状況変化が把 握できるよう、同じような撮影角度・範囲等で撮影する。状況の変化が、把握し易いよう、で きるだけ定位置からの撮影を行う。
3) 異常が認められた箇所における写真撮影では、変状の程度が分かるように、必要に応じてメジ ャー、ポール等を併用する。
4) 異常の状況に応じて、目視だけでなく、ハンマー等の簡易な器具を用いて状況を確認すること が望ましい。
5) 目視で発見した異常に関しては、その位置情報を含め、把握した状況を点検個票に記録する。
撮影した写真も同様に点検個票に添付する。その際、携帯 GPS や GPS 機能付きカメラの活用等 により、作業の効率化を図ることが望ましい。
6) 異常が確認された個所については、マーキングあるいは鋲を打つなど測定ポイントを明確にし て、経過観察が容易となるようにしておくことが望ましい。また、詳細点検においては、異常 個所の計測を行い、異常の程度に関して定量的な把握に努めるものとする。
7) 点検にあたっては、設計時の図面や前回の点検調査票等を携行し、劣化・損傷の形態と程度、
それらの進行経過を、施設機能維持の観点から確認することが望まれる。
8) 点検にあたってはアクセス道路の状況など施設の立地条件、補修・補強をする場合の施工性な ど、今後の維持管理の参考になる内容についても、記述しておくことが望ましい。
9) アクセスの困難や危険が伴う場所等における点検にあたっては、UAV等の活用により、作業 の効率化及び安全性の向上を図ることを推奨する。
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Ⅱ―2 点検対象の施設と点検部位等 1.砂防設備等
砂防設備等とは、砂防設備台帳(砂防指定地台帳等整備規則第二条)に記載されている砂防設備 と、砂防設備に影響を与える周辺状況を指す。
【解説】
本要領(案)では、点検の対象とする砂防設備として、砂防堰堤、床固工、帯工、護岸工、水制工、
渓流保全工、導流工、遊砂地工、山腹工等のほか、管理用道路も含むものとする。
また、砂防設備に直接影響を与える周辺状況についても点検の対象とする。砂防設備の部位につ いては、河川砂防技術基準(案)同解説 設計編[Ⅱ]を参考とすること。
河川砂防技術基準(案)同解説 設計編[Ⅱ]
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14 2.地すべり防止施設等
地すべり防止施設等とは、地すべり防止区域台帳(地すべり等防止法施工規則第十一条 3 項) に記載されている地すべり防止施設と、地すべり防止施設に影響を与える周辺状況を指す。
【解説】
地すべり防止施設とは、杭工、シャフト工、アンカー工、地表水排除工、集水井工、横ボーリ ング工、排水トンネル工、のり面保護工、河川構造物等のほか、管理用道路も含むものとする。
地すべり防止施設とは、杭工、シャフト工、アンカー工、地表水排除工、集水井工、横ボーリ ング工、排水トンネル工、のり面保護工、河川構造物等のほか、管理用道路も含むものとする。