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オバマ政権の台湾海峡両岸に対する見方

1 対中政策

オバマはイラク問題解決後、中国の台頭と中国によりもたらされ

29 Karen DeYoung, “Obama’s NSC Will Get New Power,” Washington Post, February 8, 2009, p. A1.

る問題処理により多くの時間を費やすであろう。オバマは変革で米 国を取り戻すと表明しており、対中国・台湾政策に関しても、意向 的 に も 立 場 的 に も 共 和 党 の マ ケ イ ン 程 強 硬 で は な い 。 オ バ マ 就 任 後、中国と台湾に一連の政策的影響が出ることが予測されることか ら、選挙期間中のオバマによる中国・台湾関連の談話を検証する必 要がある。

2008 年の米国大統領選期間中、マケインに比べ、オバマ上院議員 は中国の軍事的現代化やそれがもたらしうる安全保障上の脅威につ いて批判することは少なかった。オバマは「最終的に武力で米国の 国 民 を 保 護 す る 必 要 が 生 じ た 場 合 、 迷 い は 感 じ な い 」30と 保 証 し た が、軍事的なハード・パワーで中国を抑止することは強調していな い。むしろ反対に、政治的・経済的手段を運用することを主張し、

中国とは競争する分野と協力する分野があると語った。中国の台頭 については、米国がこれまでよりも多くの分野で中国と競争する必 要が発生することから、中国は米国の競争相手であり、敵でも友人 でもないと語った。中国が「国際的ルールを順守」し、中国が地域 安全保障において責任を果たすことを確認し続けると保証し、米国 と中国が「十分な軍事的コンタクトで米中関係をさらに安定化させ る」ことを保証した31

中国における人権保護の実践内容については、オバマとヒラリー

・クリントンで立場が共通している。両者ともブッシュ大統領が北 京オリンピック開幕式に参加しないよう呼び掛けた。オバマは中国 が言論・出版・集会・宗教などの自由や、インターネットへの制限

30 Obama, “Renewing American Leadership,” p. 7.

31 “The Democrats’ First 2008 Presidential Debate,” New York Times, April 27, 2007, cited in (http://www.nytimes.com/2007/04/27/us/politics/27debate_transcript.html?_r=1&oref=slogin).

撤廃、労働者が労働組合を組織する権利、チベット人民の権利への 保障獲得などを含む人権をさらに尊重するよう求めた。但し、オバ マの最大の関心は、中国の軍事的脅威でも人権問題ではなく、中国 の潜在的経済力であった。米国民により多くの就業機会を提供する ことと中国との貿易不均衡を低減させることを公約している。中国 からの玩具輸入を停止する考えを示したが、その直後に過分な鉛を 使用して製造された玩具の輸入を禁止すると立場釈明を迫られたこ ともある。2008 年 5 月には、上院の法案(公正為替法案 S796)を共 同提出したが、この法案は、米国の 1974 年の貿易法修正により、中 国に対して人民元の再評価を行うよう圧力をかけるものであり、中 国が為替相場を操作している結果、中国の対米輸出品が競争力を増 し、米国市場に干渉していると認定したのであった32

オバマの米中貿易不均衡に対する重視は、米中間に台湾問題がな かったとしても、両者に衝突の可能性があることを示唆するもので ある33。しかし、オバマの中国による通貨操作への態度は、就任後も 選挙期間中と全く変化していないというわけではない。ガイトナー 財務長官がオバマの見方を引用し、中国が人民元の為替相場を操作 し て い る と 指 摘 し た が 、 こ れ に 対 し て 中 国 で は 抗 議 の 声 が 上 が っ た。そこでオバマ大統領は 2009 年 1 月 30 日に中国胡錦濤国家主席 と電話会談し、ガイトナー財務長官の発言が引き起こした米中間の 緊張を緩和する意を示した34。オバマは中国を競争相手とみなし、知

32 “Text of S796: Fair Currency Act of 2007,” cited in (http://www.govtrack.us/congress/

billtext.xpd?bill=s110-796).

33 Ian Johnson, “U.S.-China Relations May Test Obama,” Wall Street Journal, Asia Edition, January 22, 2009, p. 9; Mark Landler, “China Jittery About Obama Amid Signs of Harder Line,” New York Times, January 25, 2009.

34 “Obama to Hu: Correct Trade Imbalance,” CBS News, January 30, 2009, cited in

的財産権・人権問題・環境保護・スーダン政策・イラン政策などで 中国に同意できない旨を表明するべきだとしている。中国は責任あ る大国としての役割を果たすべきで、米国も中国の戦略能力向上に は警戒し、密接に観察していく必要があり、また、米国と中国が協 力 し て 大 量 破 壊 兵 器 の 拡 散 と 世 界 温 暖 化 の 難 問 に 対 応 し た い と し た。

ヒラリー・クリントンとオバマは大統領選挙期間中、中国経済が 米国に与える影響を重視し、中国経済が「ゆっくりと米国の経済的 主権を侵食している」と認識した。2007 年 2 月、中国の株式市場に おける暴落の影響を受け、ヒラリー・クリントンはバーナンキ(Ben Bernanke) 米 連 邦 準 備 理 事 会 議 長 と ポ ー ル ソ ン 財 務 長 官 に 書 状 を 送 り、中国保有の債権を低減するための行動を取るよう促した。ヒラ リー・クリントンはまた中国の経済措置にも関心を表明し、中国政 府が人民元為替相場を操作するのをやめ、知的財産権の法的保護を 厳格化するよう呼び掛けた35。中国が保有する米国国債は、2008 年 9 月(5870 億米ドル)に初めて日本(5698 億米ドル)を上回り、11 月には 6819 億米ドルに達した36。この点についていえば、オバマ政 権が直面するのは金融危機下で経済回復が待たれるという構造であ るため、中国に圧力をかけるためのカードが少なくなる。例えば、

2009 年 2 月中旬、ヒラリー国務長官は東アジアを最初の外遊先に選 び、相次いで日本、インドネシア、韓国、中国を訪問した。ヒラリ ーは中国の人権問題についてはあまり触れず、中国が引き続き米国

(http://www.cbsnews.com/stories/2009/01/30/world/main4765108.shtml?source=RSSattr=W orld_4765108).

35 Council on Foreign Relations, “Hillary Clinton, U.S. Secretary of State,” cited in (http://www.cfr.org/publication/17864/hillary_clinton_us_secretary_of_state.html).

36 “Major Foreign Holders of Treasury Securities,” cited in (http://www.treas.gov/tic/mfh.txt).

国債を購入することを希望すると述べた。中国の温家宝副総理は米 国国債の安全性についての憂慮を示し、米国が保証するよう要求し た37

ヒラリー・クリントンは 1995 年に北京を訪問し、女性の権利と人 権を改善するようよびかけたが、その際、中国政府が講演の原音声 を放送しなかったという経緯がある。また、2003 年のヒラリー・ク リントンの著書「リビング・ヒストリー」(Living History)内の中国 に関する部分は、中国語版では大幅に削除されており、中国の人権 問題には早くから不満を持っていたと見られる38。その証拠に、2008 年 2 月にヒラリー・クリントンがジョージ・ワシントン大学(George Washington University)で外交政策に関する講演で、中国の人権問題 を批判し、大統領に当選した暁には強い態度で中国に臨まなければ ならないとし、特に女性の権利を抑圧する国は、米国の利益と価値 観に衝突するのが常だとも語っている39

ヒラリー・クリントンは、米中関係は米国の対外関係でも最重要 の二国間関係だが、両国は価値体系と政治体制が根本的に異なって いるととらえている。ヒラリー・クリントンは、米国は北朝鮮問題 に関して中国の支持を必要としており、米国が北東アジア安全保障 レジーム(Northeast Asian security regime)を構築するためにも中国 の協力が必要であると指摘したが、同時にインドの国連における影 響力と地位の強化も必要だと強調している。加えて、ブッシュ政権

37 Anthony Faiola, “China Worried About U.S. Debt,” Washington Post, March 14, 2009, p. A1.

38 Council on Foreign Relations, “Hillary Clinton, U.S. Secretary of State,” cited in (http://www.cfr.org/publication/17864/hillary_clinton_us_secretary_of_state.html).

39 “Senator Hillary Rodham Clinton’s Remarks on Foreign Policy at George Washington University,” February 25, 2008, cited in (http://sweetness-light.com/archive/about-hillarys -long-fabled- speech- in-china).

の「4 者提唱」(米・日・豪・印)の推進を継続する可能性があり、

中でもテロ撲滅活動、気候変動への対応、エネルギー供給保護、経 済成長の促進などで協力を深めると見られている40

そのほか、ヒラリー・クリントンは中国の経済成長では環境保護 が軽視されていると認識しており、米国・中国・日本がクリーンエ ネルギー獲得・エネルギー効率促進・気候変動対応などで協力する ことを提案した。二酸化炭素排出削減に対する中国の努力が足りな いと批判し、米国・中国・インドが排出量で協力すべきであるとし た。また、生態・エネルギー問題で、G-8 に類似した E-8 サミットを 設立することができるのではないかとも語った。米国は、中国が国 際機関に組み込まれ、中国が国際規範を順守することが米中の利益 を統合させることになると説得しようとしている41。中国と米国の間 で重要な死活的利益に相違が生じれば、米国は中国といつ何時対決 せざるを得なくなる。ヒラリー・クリントンは中国がアフリカの天 然資源獲得を競っていることがアフリカにおける米国の利益に影響 を与えているという認識も表明している。

米国の大統領選挙期間中、中国の専門家が注目したのはオバマと オバマの今後の中国政策のレベルがマケインを超えるかどうかであ った。この中で、オバマが人権・環境保護・気候変動・世界貿易機 関の規則・貿易赤字・知的財産権・為替相場などの問題で中国に対 し、より強い圧力をかけ、中国がより大きな責任のある役割を果た すよう強く求めてくると認識し、共和党のブッシュやマケインより

米国の大統領選挙期間中、中国の専門家が注目したのはオバマと オバマの今後の中国政策のレベルがマケインを超えるかどうかであ った。この中で、オバマが人権・環境保護・気候変動・世界貿易機 関の規則・貿易赤字・知的財産権・為替相場などの問題で中国に対 し、より強い圧力をかけ、中国がより大きな責任のある役割を果た すよう強く求めてくると認識し、共和党のブッシュやマケインより

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