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(1)いかに両岸の政治的位置付けを確立し、和平協議の交渉結果を 有効に実施するのか。

(2)国際慣例と台湾の安全保障に従い、国際社会または大国が介入 と保障をする必要はあるか。

(3)国連安全保障理事会や米国、北大西洋条約機構(NATO)の介 入、あるいは北朝鮮をめぐる6 カ国協議のモデルのうち、どれ がより妥当な方法なのか。あるいは中国の内政であるとして、

両岸が自分たちだけで協議を完了させ、第三者の調停や介入を 必要としないのか。

(4)台湾は国際社会または地域安全における保障を確保すべきか。

(5)双方が和平協議の交渉に入る前に、和平協議交渉に付随する各 議題とその手続き進行について、各々の優先順位を事前に確認 すべきか。

(6)両岸の国家の位置付けに関する交渉を行うとき、前もってどの ような政治による事前作業(国際社会とのコミュニケーション や国内の共通認識の構築など)を考慮し準備しなければならな いか。

(7)双方の政府が派遣する代表の構成、交渉人の肩書きと締結する 協議の名称の問題をどうするか。

研究者が見落としがちな重点とは、台湾の国家としての位置付け を討議する際、往々にして台湾そのものの主観的要素のために、台 湾の国際的地位が圧倒的に劣勢にあることへの評価と認識が欠落す

る事態を招いてしまうことである。1971 年の国連総会における 2758 号決議の後36、台湾の多国(多地域)間または2 国(2 地域)間関係 における総体的な実力は失われたが、これは台湾の現実的な国家の 位置付けと極めて密接な関連がある。国際法学界の主流が広く、台 湾の中華民国は完全な主権国家の身分を有しないとしており、ある いは国際法の実践上で、台湾は準国家の身分を有するに過ぎないと するのもこのためである。しかし台湾の国家としての位置付けは、

台湾の外交関係と国際生存空間における実力や、国交国との多国間 関係にも関連してくる。台湾政府は両岸の政治交渉に入る前に、ま ずは自身の国際社会における真の姿(交渉カード)を見つめなおし、

台湾の国際社会における「位置づけ座標」を確認すべきである。両 岸が政治的な位置付けに関する交渉に入れば、台湾はどういった国 際生存空間を考慮しなければならないか。また、台湾は交渉の中で いかにしてなるべく多くの外交カードを獲得するか。両岸の主権と 国際的な尊厳に関した合理的な内容の構築にどのように取り組むか。

この問題を深めることが、台湾の国家としての位置付けと国際生存 空間の交渉に取り組む上で、極めて重要なポイントとなるであろう。

四 両岸和平協議の交渉における内外の難題

将来的な両岸の和平協議の交渉は、「一つの中国」の原則に関わる 実質内容を議論することとなり、双方はこの議題につなげて、台湾 の国際法上の地位や国際生存空間、憲法における政治的配慮、その

36 1971 年 10 月 25 日、国連総会における 2758 号(XXVI)決議で、大陸の中華人民共 和国政府は唯一中国を代表する合法的な政府とし、台湾の国連安保理常任理事の席 に取って代わられた。“RESOLUTIONS ADOPTED BY THE GENERAL ASSEMBLY DURING ITS TWENTY-SIXTH SESSION”、United Nation、10 March 2011, http://daccess- dds-ny.un.org/doc/RESOLUTION/GEN/NR0/327/74/IMG/NR032774.pdf?OpenElement.

他両岸の政治経済の議題やそれに関わる重要な利益について、とも に議論することは避けられない。ただし、以上のいかなる政治項目 も、すべて中国における台湾と大陸の主権内容に重く関わることと なり、どのように実質的な配分を行い、法律問題を表現するかに関 わる問題である。双方が政治的な議題に関する交渉の蓄積をもって、

両岸関係における政治的な障害を乗り越えるのはよいことではある が、台湾自身の対外的・対内的な政治的タイミング、両岸双方の政 府が取り掛かる時機が熟しているかどうかは、「一つの中国」の原則 に関する実質的内容を議論できるかどうか、また政治の重点におい て具体的な結果が生まれるかどうかに大きく関わるっている。

台湾政府が和平協議交渉の中でさらに一歩踏み込み、敵対状態を 終結させた上、協議の中ほどで台湾の国際社会における生存空間な どをひも解くことを狙うなら、一つの中国の実質的な内容の交渉が、

大陸側から台湾に要求する政治的対価となるであろう。双方の交渉 時におけるゲームのルールと対価の関係は、台湾は引換書にある対 価だけを支払い、政治コストを負担しないでよいということでは絶 対にない。双方が正式に和平協議の交渉に取り掛かる場合、検討に 加えなければならない点が他にもいくつかある。以下に、7 項目挙げ る。

(1)両岸の和平協議の締結後に派生するであろう、台湾の国家安全 に関わる米台軍間の取引、徴兵制の廃止の是非、台湾の人々の 国家安全に関する考え方に与える影響など、政治的な配慮が必 要である。

(2)台湾国内の中華民国憲法第四条に関わる国家領土の規範、六十 三条の宣戦案、講和案の規範、国会における憲法改正の手続き、

政党間の論争、さらに予想される住民投票など、さまざまな内 部の政治的議論はすべて、極めて重要な政治課題となる37

(3)両 岸 の 和 平 協 議 の 複 雑 な 交 渉 議 題 と そ れ に 関 連 す る 内 容 の 構 築は、国際および国内の政治工学により綿密な設計をしなけれ ばならない。民主化した政治と政権交代という台湾政治の現実 は、大変な努力を経て統一性を持ち、またとない政治体制を確 立したのである。

(4)両岸の地位平等の実現は、客観的にみて両岸の政治的実力に大 きな落差があるため、対等な政治的地位を考慮するうえで、双 方がどちらも不利だと感じ易く、政治制度の構築が難しい。大 陸 側 は 台 湾 に 連 合 や 連 邦 の よ う な 国 家 主 権 を 構 築 す る 地 位 を 与える意図はなく、これは国内政治の要素でも中国の少数民族 地域における政治的な困難に直面する。

(5)双方の政府と人民は、政治的な共通認識の土台がほとんどない 上、政治体制が極めて異なっているために、民主政治体制に関 して同意の形成が難しい。双方が一定の政治的信頼の基礎が欠 けている中で、和平協議の核心についていきなり議論すること については、両岸の指導者は無闇に取り組むことはないであろ う。

(6)米国と日本の関心や、東アジア地域の安全など、国際的な要素 は非常に複雑で、これが隠れた政治的制約を加えることとなる ため、台湾も国際社会の背景要素を軽視することはできない38

37 「陳明通︰和平協議商談前 必須先公投」『自由時報』2010 年 5 月 10 日、http://www.

libertytimes.com.tw/2010/new/may/10/today-p6.htm。

38 米国が制定した台湾関係法(Taiwan Relations Act)は、過去 30 年の台湾海峡の安全 保障の中でも最も重要な国際的な誓約である。台湾関係法の英文全文は、Taiwan Relations Act: Public Law 96-8 96th Congress, Sec. 4 under APPLICATION OF LAWS;

この和平協議の締結は、現行の日米による東アジアの安全メカ ニズムへの波及が避けられないため、台湾は国際社会の安全と いう要素を見過ごすことはできない。

(7)交 渉 の プ ロ セ ス で 内 部 政 治 の 深 刻 な 矛 盾 を 抱 え る 可 能 性 も あ る。台湾は 90 年代の政治民主化の結果、さまざまな政党が主 権という議論で深刻な対立をみせており、分離・自決運動を引 き起こしかねない。地殻変動後の火口のように制御が難しく、

両 岸 関 係 の 深 刻 な 軍 事 的 ま た は 政 治 的 な 衝 突 に 発 展 し か ね な い。ケベック州がカナダ連邦政府からの離脱を住民投票で決め た論争は、世界の民主政治の上でも解決が困難な実例となって いる39。さらに 90 年代にチェチェン共和国が独立したことで、

ロシアとの間で 10 数年にわたる戦争という悲劇が起こったこ とは引き合いに出すまでもない40

五 結論と提案:代替案による解決モデル

慎重に言えば、両岸の政治交渉または和平協議の実質的な解決は、

国際政治と国際法、そして双方の憲法の枠組みの中で、慎重にかつ 具体的な内容の検討を行って初めて、双方の政府が政治的な難題を 乗り越えるという実質的な意義を持つ。しかし現在の双方の政治的 な認識と対価に関する考え方の落差が大き過ぎるため、両岸の和平 協議の本格的な開始が難しくなっている。厳密に言うと、両岸の和

INTERNATIONAL AGREEMENTS, American Resource Center, 10 March 2010, http://usinfo.org/docs/basic/tra_e.htm を参照のこと。

39 張顕超・辛翠玲『加拿大魁北克省 1995 年公投事件的背景研究』(台灣民主基金會、

2005 年)、頁 1~238。

40 John B. Dunlop, Russia confronts Chechnya: roots of a separatist conflict (Cambridge:

Cambridge University Press, 1998), pp.1~223.

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