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平成30年7月豪雨による被害と対応

(1)降雨の状況

平成 30 年 7 月豪雨では,わずか数日間で 7 月の過去の最大月間降水量を超える雨量 を記録し,県内各地で観測史上初となる記録的な豪雨となった。特に,呉市では約 600mm 超となるなど県中南部における降雨量が顕著であった。

図Ⅰ-7 7 月 5 日(木)から 7 日(土)(3 日間)の累積雨量

図Ⅰ-8 7 月 6 日(金)19:00 から 20:00 の時間雨量と特別警報の発令状況 19:00 土砂災害警戒情報発表(福山市,大崎上島町)

19:40 大雨特別警報発表(広島市,呉市,三原市,三次市,庄原市,大竹市,東広島市,廿日市市, 安芸高田市,江田島市,安芸郡 4 町,北広島町,世羅町)

20:25 大雨特別警報発表(竹原市,神石高原町)

20:46 大雨特別警報発表(府中市)

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(2)被害状況の把握と緊急点検等

この豪雨により,ため池の被害が多数報告されたことから,市町による被害把握に加 え,県は 7 月 10 日(火)から 13 日(金)にかけ,防災重点ため池 503 箇所の緊急点検を実 施した。また,7 月 12 日(木)から 17 日(火)にかけ,自衛隊の協力の下,ヘリによる上 空からの点検を実施した。

さらには,7 月 21 日(土)から 8 月 31 日(金)にかけ農林水産省や他県からの応援によ り,下流域の人家や公共施設等に被害を与える可能性があるため池のうち,陸路による 確認ができていない箇所について点検を実施した。

これらにより,約 13,000 箇所のため池の点検を行い,個々のため池の状況を把握す るとともに,被害拡大防止のための措置が必要とされた箇所については,市町やため池 管理者と情報共有し,水位低下やシート敷設などの応急措置を行った。

写真Ⅰ-3 ため池の緊急点検及び応急措置の状況

(3) 被害の実態及び要因

今回の豪雨によるため池の決壊は 48 箇所となっている。これらについて,その主 な要因を,次の 4 つ(浸透による破壊(パイピング),すべり破壊,越流・浸食による 破壊,土砂等の流入による破壊)により分類した。

① 浸透による破壊(パイピング) ため池の貯水位が急上昇し,堤体内 部(盛土)への水圧が高まることで,

水の通り道(パイピング)が拡大し漏 水量が増加する。この状態が継続する と,水の通り道が徐々に拡大し,不安

定な状態になる。この影響が大きくなると,最終的に決壊に至る。

写真Ⅰ-4 浸透による破壊が発生し決壊したため池

図Ⅰ-9 浸透による破壊の模式図

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② すべり破壊

ため池の貯水位が急上昇する ことにより,堤体内部(盛土)の 微小な間隙への水の浸透が増加 していく。この状態が続くことで,

土の粒子間の摩擦力が低下し,締

め固めた土の自重とのバランスが崩れることで堤体の一部がすべるように崩落する。

写真Ⅰ-5 すべり破壊が発生し損壊したため池

③ 越流・浸食による破壊

降雨時に貯水できなくなった水は,

洪水吐から放流されるが,その放流 能力を超える量が継続して流入する と,堤体の天端を越水(あふれる)

する。これにより,土で築堤された

堤体自体が浸食され,これが続くと決壊に至る。また,洪水吐に流木が詰まることで も同様の被害に至ることがある。

写真Ⅰ-6 越流・浸食により損壊したため池 図Ⅰ-10 すべり破壊の模式図

図Ⅰ-11 越流・浸食による破壊の模式図

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④ 土砂等の流入による破壊

上流で土砂崩壊等が発生し,水分を多く含む土砂や石などがため池に大量かつ瞬間 的に流入し,その際の衝撃等によって堤体が破壊され決壊に至る。

写真Ⅰ-7 土砂等の流入により決壊したため池

⑤ まとめ

決壊したため池を要因別に集計すると次のとおりである。

また,被害の実態から,今後の対策を考える視点として次のことが考えられる。

○ 改修済のため池の被害が少ないことから,ハード対策の効果は認められる。

○ 決壊したため池は,降雨量の大きさだけが影響しておらず,築堤した土質や管理 状況も影響があるものと想定される。

○ ため池自体が雨水の貯留や土石流をせき止める効果を発揮したケースもあった。

しかし,改修したため池であっても土石流の衝撃圧を考慮した設計は行っていない ことから,改修の有無によらず決壊の可能性を考慮しておく必要がある。

○ 多くのため池は,直ちに危険な状況にあるわけではないが,防災減災の視点から,

定期的に点検を行うことで危険な兆候を早期に発見していくことも必要である。

○ また,浸透破壊やすべり破壊が原因で決壊したため池の中には,利用されなくな ったため水位を下げた状態にしていたものもあったが,急激な水位上昇により破壊 したケースもあった。その要因として,堤体に木が繁茂し,その根が伸びることで 堤体内に空隙ができ脆弱化したことが考えられる。

要 因 箇 所 数 備 考

① 浸透による破壊 25

② すべり破壊 2

③ 越流・浸食による破壊 4

④ 土砂等の流入による破壊 17 うち土石流による被害13

計 48

土石流が発生

衝撃等による決壊

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(4)国による対策の検討

国では,この度の豪雨災害を踏まえ,効果的な対策を検討するため,ため池対策検 討チーム(農林水産省,農研機構※3,茨城大学,岡山県,広島県)を 7 月に設置し,

被災したため池の調査を行うとともに,効果的な対策の検討を行ってきた。11 月には

「平成 30 年 7 月豪雨等を踏まえた今後のため池対策の進め方について」(以下,「た め池対策の進め方」という。)としてとりまとめるとともに,国土強靭化対策の一環 として必要となる予算を確保してきた。さらには,「農業用ため池の管理及び保全に関 する法律案」を第 198 回通常国会に提出し,現在(平成 31 年 3 月末時点)審議されて いる。

写真Ⅰ-8 ため池の検討チームによる現地調査(平成30年8月14日)

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