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これまで述 べてきた中 国の外交・ 内政・党建 設からの分 析によ っ て 、汚染防止 と対応、そ して生態系 保全という 二項目が環 境ガバ ナ ン スのメカニ ズムの内容 に組み入れ られてきた 過程を説明 した。 こ のことから次の四つの特色を指摘できる。

第一に、総 合的に中国 の環境ガバ ナンスにお けるメカニ ズムは 環 境 汚染の予防 と対処だけ でなく、生 態系保全の 内容も含ん でいる 。 前 者の主要担 当部署は現 代化を果た した現在の 国家で形成 された 環 境 保護部、後 者は伝統的 な中国の水 利社会の中 で重視され てきた 農 業部・国土資源部・食料局・林業局・水利局などである。

第二に、外交面では、「共通だが差異ある責任」が中国の参与した 三大国際環境条約UNCCD, UNCBD, UNFCCC では一貫して続いてい るが、UNCHE と UNCED に参与する過程で環境保護部門の格上げと 資 源強化が続 き、生態系 保全に関す るその他の 部会を超え てしま っ た 。しかし、 中国の食料 の安全への 懸念が、こ れから徐々 にエネ ル ギーの安全への懸念を凌駕している35ことから、将来はUNCBD が国 際 環境条約に おいて他国 と衝突する 場となるだ ろう。例え ば名古 屋

・ クアラルン プール議定 書では、あ る国家が他 国に遺伝子 組み換 え 作 物を輸出し 、相手国の 生物多様性 や人体の健 康に被害を もたら し た 場合、必ず 原状回復の 費用を負担 することを 求めている 。この 規 範 は多数の南 方発展途上 諸国によっ て推進され たものであ った。 し か し中国の食 料の安全が 遺伝子組み 換え作物に 傾きつつあ る状況 で は、UNCBD への調印を拒否することは、間違いなく将来の中国の国 際環境条約参加と南南協力への最大の障害となるだろう。

第三に、内 政面では、 現在の中国 における環 境ガバナン スの重 点 は 伝統的な農 村部での生 態系保全か ら現代的都 市での汚染 物質管 理 に 移っており 、そのこと から環境保 護部が環境 ガバナンス の主要 担 当部局になっている。2008 年に行われた国務院の機構改革の際、国 家 気候変動対 応指導委員 会事務局は 環境保護部 に併合され 、この こ とで21 世紀初頭の環境ガバナンスのメカニズムとエネルギーガバナ ンスのメカニズムはしっかりと結びつくこととなった。環境ガバナン スの最優先事項は「省エネ・排出削減」の機能を強めることであり、

都市住 民の 重視す る大 気汚染 物質 の排出 量を 減少さ せる ことを 企図

35 同様の内容は以下を参照:Scott Y. Lin, “State Capitalism and Chinese Food Security Governance,” Japanese Journal of Political Science, Vol. 18, No. 1 (March 2017), pp.

106~138.

している。このような認識は、農村部住民の重視する水・土壌資源の 欠乏と汚染の問題を環境整備行程の「次点」と位置づけている。

第四に、党 建設の方面 において、 生態系保全 に向けた環 境ガバ ナ ン スは中共の 党内文書に 一貫して存 在し、人口 のコントロ ールが 生 態 資源保護の ための重要 な手段であ るとしてい る。近年は 汚染物 質 排出を減少させるとの内容も盛り込まれたが、「生態文明建設」の提 唱 と深化の過 程で、中共 が国土開発 の強度と範 囲を緩める ことの 重 要 性を初めて 認識したこ とが明るみ に出た。人 と自然の相 互作用 の 関 係について 新しい認識 を行い、伝 統的な「天 人合一」の 環境観 に 回帰する動きを見せている。

習近平指導 部は、過去 五年間の執 政中すでに 環境ガバナ ンスの メ カ ニ ズ ム に 関 す る 法 改 正36と 「 生 態 文 明 建 設 」 の ス テ ー ジ を 引 き 上 げ 、環境ガバ ナンスの内 容を大気・ 水・土壌の 三分野に分 けて大 幅 に整理しつつある。今後五年間(第19 回党大会の後)は、中国の環 境 ガバナンス にとって最 も困難な時 期になると 同時に、国 内の経 済 発展のステップと対外的な環境外交も影響を被るだろう。

( 寄 稿 :2017 年 4 月 25 日、再審:2017 年 6 月 16 日、採用:2017 年 7 月 7 日)

翻 訳 : 田中 研也 ( 台 湾・ 東呉 大 学 日本 語文 学 科 非常 勤講 師 )

36 法改正後の環境ガバナンスのメカニズムは、生態文明建設の正当性、民衆と社会団

体の参与と監督、地方レベルでの責任追及制度、汚染を引き起こした企業への賠償 責任などをさらに強く訴えるものとなるだろう。Bo Zhang, Cong Cao, Junzhan Gu, and Ting Liu, “A New Environmental Protection Law, Many Old Problems? Challenges to Environmental Governance in China,” Journal of Environmental Law, Vol. 26, No. 2 (June 2016), pp. 325~335; and Hideki Kitagawa, “Environmental Policy Under President Xi Jinping Leadership: The Changing Environmental Norms,” in Environmental Policy and Governance in China, ed., Hideki Kitagawa (Tokyo, Japan: Springer, 2017), pp. 1~15.

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