中国環境ガバナンスにおけるメカニズム
の変遷と継続
―外交・内政・党建設からの分析―
林 義 鈞
(台湾・国立政治大学国際関係研究センター助理研究員/ 政治大学国家発展研究所助理教授)【要約】
現 在の中 国に おける 環境 問題に 関す る議論 は、 環境汚 染物 質への 対 処に偏って おり、環境 ガバナンス のメカニズ ムに関する 研究が 、 現 在の政府機 関である環 境保護部成 立までの過 程を回顧す ること に 帰 着してしま っている。 このような 角度からの 分析では、 都市住 民 の 重視する環 境汚染への 対応が過度 に強調され 、農村部住 民の重 視 す る生態系保 全が軽視さ れるきらい がある。本 論文では、 従来の 分 析 がこのよう な偏りを生 み出した原 因が、時間 的深度の不 足にあ る と 考え、環境 外交・内政 ・党建設の 面から振り 返ることに より、 中 国 の環境ガバ ナンスのメ カニズムが 環境汚染だ けでなく、 伝統的 な 生 態系保全も 組み入れて いることを 述べる。ま たこのこと から、 環 境 ガバナンス の重点が、 都市住民の 関心の赴く 先である大 気汚染 物 質 排出量に対 処するため の「省エネ ルギー・排 出削減」運 動にと ど まらず、「生態文明建設」という概念を深化することで、農村部住民 の重視する生態系保全事業も強調されていることを示す。 キ ーワ ード: 環境ガバナン ス、中国、 省エネルギ ー・排出削 減、 以 糧為綱(食料生産が第一)、生態文明建設一 はじめに:中国の環境状況
当面の中国 における主 要な環境問 題は、大気 ・水・土壌 の三方 面 にわたっている。 大気については、アジア開発銀行と清華大学(北京)の2012 年の 報告1によると、全世界において大気汚染が最悪となっている上位十 カ 所の都市の うち、七つ が中国国内 のものであ った(太原 、北京 、 ウルムチ、蘭州、重慶、済南、石家荘)。同報告ではこのほか、中国 の都市のうち九割が WTO の定める大気品質の基準を満たしておら ず 、慢性呼吸 疾患の罹患 率は他国の 五倍にのぼ り、女性の 肺癌罹 患 率は世界一である。中国の深刻な大気汚染は総量の 64%を占める火 力発電に帰することができるが、2015 年の石炭消費量は 43 億トンに の ぼり、世界 最大の石炭 生産・消費 国として深 刻な大気汚 染と酸 性 雨をもたらしている2。中国は 1999 年以来世界最大の二酸化硫黄排 出国でもあり、それが原因となる酸性雨は国土の 40%以上に重大な 影 響を与え、 世界三大酸 性雨地域の 一つとなっ ている。影 響の及 ん で いる主な場 所は華中・ 華南・西南 ・華東で、 当地の水質 ・土壌 の 品質を悪化させている。 水資源につ いては、水 不足と水質 汚染が中国 の経済発展 と社会 安 定にとっての最大の脅威である。World Resources Institute の統計3に1 張慶豐、羅伯特.克魯克斯『邁向環境可持續的未來:中華人民共和國國家環境分析』
(北京:中國財經出版社、2012 年 11 月)。
2 National Bureau of Statistics of China, “Statistical Communiqué of the People’s Republic of
China on the 2015 National Economic and Social Development,” Press Release of National
Bureau of Statistics of China, February 29, 2016, http://www.stats.gov.cn/english/Press
Release/201602/t20160229_1324019.html, Accessed on May 30, 2017.
3 Jiao Wang, Lijin Zhong, and Charles Iceland, “China’s Water Stress Is on the Rise,” World
よ れば、中国 は水資源の 量でこそ世 界第四位を 占めている ものの 、 国民が享受できる水資源の量では下から二番目であり、2001 年から 2010 年の間に水不足になった地表の面積は 28~30%増加、人口の半 数 が深刻な水 不足の危機 に瀕してい る。主要な 原因は急激 な都市 化 と工業化である。一方、地表の水資源の 80%は農業・灌漑に使われ ており、60%以上の都市部と 80%以上の農村部は地下水の汲み上げ によって水源を補わなければならなくなっている4。このことで地表 の 水資源不足 に加え、地 下水消費の 問題にも直 面している 。また 、 国 内の七大主 要河川(海 河、遼河、 淮河、松花 江、黄河、 長江、 珠 江 )はすでに 政府規定の 第五級(最 悪)汚染状 態に達して いるの だ が5、従来の生活廃棄物(上海黄浦江における豚の死骸の大量投棄事 件など)によるものにとどまらず、工業化拡大による化学的汚染(河 川 や湖が汚染 されること によって生 まれる「癌 の村」など )も汚 染 源 となってい る。地下水 汚染は地表 水汚染と工 業化の過程 と共に 悪 化し6、90%の中国都市部の地下水がすでに汚染され、大部分は処理 を施さなければ飲めなくなっている。華北の表層地下水の 70%が飲 用 に適さない とされてお り、深層地 下水に水源 を求めなけ ればな ら な くなってい るのだが、 過度の汲み 上げは当該 地区の地盤 沈下や 砂
rise, Accessed on February 22, 2017.
4 「環境保護部關于印發『全國地下水污染防治規劃(2011-2020 年)』的通知」『中華人
民共和國中央人民政府』2011 年 10 月 28 日、http://big5.gov.cn/gate/big5/www.gov.cn/ gongbao/content/2012/content_2121713.htm、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。
5 Cynthia W. Cann, Michael C. Cann, and Gao Shangquan, “China’s Road to Sustainable
Development: An Overview,” in China’s Environment and the Challenge of Sustainable
Development, ed., Kristen A. Day (Armonk, NY: M.E. Sharpe, 2005), p. 6.
6 「環境保護部關于印發『全國地下水污染防治規劃(2011-2020 年)』的通知」『中華人
民共和國中央人民政府』2011 年 10 月 28 日、http://big5.gov.cn/gate/big5/www.gov.cn/ gongbao/content/2012/content_2121713.htm、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。
漠化の問題を引き起こすことになる。 土壌については、アメリカ CIA の統計によると、中国では 1949 年時点の耕作適地の五分の一が流失したとしている7。また、中国政 府の公式見解では、現在約18 億畝(約 1.2 億ヘクタール)の耕作適 地 があるとい うことであ るが、急激 な都市化と 工業化の過 程で、 こ の数字は質・量ともに外部からは疑いの目を向けられている8。特に 地 方政府は、 農業適地を 開発に投じ 、政府の公 式見解に矛 盾を生 じ さ せないよう 山腹の森林 や湖・河川 の流域を農 業適地に設 定して お り 、食糧生産 高が危機に さらされる だけでなく 、水と土壌 の保持 に も疑問符がついている。このため、中国は2003 年以来食糧生産・輸 出 国から生産 ・輸入国に 転じつつあ る。また、 中国では毎 年二月 か ら五月に砂嵐が発生するが、1990 年代からの政府による西北部の牧 羊 業の奨励に よって草原 の植物が急 激に減少し 、当該地区 の農業 ・ 牧 畜業のため の土地が急 速に砂漠化 した。さら に華北平原 の砂嵐 と 濃 霧はさらに 深刻になり 、日本や韓 国といった 隣国にも影 響を与 え て いる。この ことから、 中国の土壌 流失や汚染 の問題は一 国を超 え た 問題であり 、速やかに 国際的な環 境ガバナン スのメカニ ズムを 形 成することが求められている。 中国におけ るこれらの 環境問題は 、汚染の予 防と生態系 保全と い う 二つの重要 な環境ガバ ナンスをい かに行うか に帰着させ ること が
7 Central Intelligence Agency (CIA), “China-Geography-Environment-current issues,” The
World Factbook, 2017, https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/ch.
html, Accessed on February 22.
8 Scott Y. Lin, “From Self-Sufficiency to Self-Supporting: China’s Food Security under
Overseas Farmland Investment and International Norms,” Issues and Studies, Vol. 51, No. 3 (September 2015), pp. 89~129.
でき9、そのための当面のメカニズム(特に政府機構、法律、制度) と その形成は 、上記二つ の環境ガバ ナンスの内 容を妥当に 処理で き るものでなければならない。よって、本論文では次のことを問う。「汚 染 予防と生態 系保全は、 中国の環境 ガバナンス におけるメ カニズ ム の 内容にどの ように組み 入れられる のか?」現 在のところ 、この メ カ ニズムを論 ずる文献は 環境汚染の 処理に関す るものに偏 ってお り 10、環境ガバナンスに関する議論が、中国の政府機関である環境保護 部 の 成 立 の 歴 史 や 政 策 の 回 顧 を 行 う だ け の も の に な っ て い る 。 だ が 、このよう な角度から の分析は、 都市部住民 の重視する 汚染物 発 生 の減少だけ を強調し、 農村部住民 の重視する 自然の生態 系資源 保 護 を軽視する ものとなり 、時間的深 度を伴った 分析が不足 するき ら い がある。そ のため、本 論文では中 国ガバナン スのメカニ ズムが 環 境 汚 染 の 処 理 だ け で な く 、 伝 統 的 な 生 態 系 保 全 も 含 む も の と 考 え
9 国際社会が環境ガバナンスのメカニズム設立を提唱し始めたのは、資源の有限性 (resource scarcity)がいわれるようになってからであり、生態系保全の重要性が強調 され、1972 年の UNCHE 設立に至る。しかし当初主に討論の議題に上がっていたの は、温室効果ガス排出の問題であり、汚染防止がメカニズムの主要な内容となった のは最近のことである。関連する議論は以下を参照:John Vogler, “The International Politics of Sustainable Development,” in Handbook of Sustainable Development, eds., Giles Atkinson, Simon Dietz, and Eric Neumayer Cheltenham (Northampton, MA: Edward Elgar, 2007), pp. 430~446; and Aidan While, Andrew E. G. Jonas, and David Gibbs, “From Sustainable Development to Carbon Control: Eco-state Restructuring and the Politics of Urban and Regional Development,” Transactions of the Institute of British Geographers, Vol. 35, No. 1 (January 2010), pp. 76~93.
10 Elizabeth Economy, “Environment Enforcement in China,” in China’s Environment and the
Challenge of Sustainable Development, ed., Kristen A. Day (Armonk, NY: M.E. Sharpe,
2005), pp. 102-120; Gang Chen, Politics of China’s Environmental Protection (Hackensack, NJ: World Scientific Publishing Co., 2009); 湯京平「環境變遷與治理」王振寰、湯京平、 宋國誠(主編)『中國大陸暨兩岸關係研究』(台北:巨流出版社、2011 年 9 月)、頁 333~358。
る 。現在のと ころ、この メカニズム を論ずるに あたっての 分析の 方 向には主に外交11、内政12、党建設13があり、以下ではこれら三者がど の ような推移 をたどって きたかによ り、中国の 環境ガバナ ンスに お けるメカニズムの内容を説明する。
二 外交と環境ガバナンスのメカニズム
中国の外交 政策と国内 の環境ガバ ナンスにお けるメカニ ズムの 二 者 が相互に影 響し合うよ うになった のは、中国 が初参加を 果たし た 1972 年の第一回国連人間環境会議(United Nations Conference on the Human Environment, UNCHE;ストックホルム会議)からであろう。11 外交という方向から見た研究で、中国は国際的な環境制度設計に参与することで新
しい環境ガバナンス組織と規範が生まれたことがわかっている。以下を参照:Lester Ross, “China: Environmental Protection, Domestic Policy Trends, Patterns of Participation in Regimes and Compliance with International Norms,” in Managing the Chinese Environment, ed., Richard Louis Edmonds (NY: Oxford University Press, 2000), pp. 85-111; Hongyuan Yu,
Global Warming and China’s Environmental Diplomacy (New York: Nova Science
Publishing, 2008); Eric Zusman and Jennifer L. Turner, “Beyond the Bureaucracy: Changing China’s Policymaking Environment,” in China’s Environment and the Challenge of
Sustainable Development, ed., Kristen A. Day (Armonk, NY: M.E. Sharpe, 2005), pp.
121-149; and Katherine Morton, International Aid and China’s Environment: Taming the
Yellow Dragon (New York: Routledge, 2005).
12 内政方面からの研究によれば、中国には古くから伝統的な環境ガバナンスのメカニ
ズムを有していることがわかる。参考:Mark Elvin, “The Environmental Legacy of Imperial China,” in Managing the Chinese Environment, ed., Richard Louis Edmonds (NY: Oxford University Press, 2000), pp. 9-32; and Morita Akira, “Water Control in Zherdong during the Late Mirng,” East Asian History, No. 2 (December 1991), pp. 31~66.
13 党建設という角度からの研究では、指導層の党の発展路線への認識が、環境ガバナ
ンスのメカニズムの内容に影響を与えたことがわかっている。参考:Judith Shapiro,
Mao’s War against Nature: Politics and the Environment in Revolutionary China (NY:
Cambridge University Press, 2001); and Judith Shapiro, China’s Environmental Challenges (Malden, MA: Polity, 2012).
こ こでは外交 の環境ガバ ナンスのメ カニズムに 対する雛形 を見る こ とができる。また、1992 年の環境と開発に関する国連会議(United Nations Conference on Environment and Development, UNCED;リオ・ サミット)で制定された、砂漠化防止(combat desertification)、生物 多様性(biological diversity)、気候変動(climate change)等の全世界 的 制度建設に 向き合った ことで、中 国の外交政 策が汚染防 止・生 態 系 保全等の環 境ガバナン スのメカニ ズムに与え た影響をさ らに踏 み 込んで説明することができる。 1 中国環境外交の嚆矢 人類が初めて招集した環境会議 UNCHE は、中国が初めて参加し た 西側の国際 会議でもあ った。この 会議をきっ かけに、中 国外交 に おける三つの大きな変化が見られた。第一に、1960 年代に中国が高 く掲げていた世界革命、「打倒帝修反(打倒帝国主義・修正主義・各 国の反動派)」の外交モデルから、徐々に国際的規範による討論に参 与するようになった。第二に、1971 年まで中国の代表権を有してい た中華民国(Republic of China)が、UNCHE 開催に何ら関心を示さ なかった14のに対し、1971 年以後代表権を有することになった中華 人民共和国(People’s Republic of China)は、国際的な環境会議の議 論に積極的に参加した。第三に、他国が UNCHE で関心を寄せた視 点が主に環境と開発(environment and development)の問題だったの に 対し、中国 はイデオロ ギーという 政治的問題 について発 言と提 案 を 行った。そ れは特にア メリカのベ トナムでの 化学兵器使 用と西 側 諸 国の核実験 による環境 汚染につい てのものだ ったが、会 議では 主 要議題に入らなかったため、宣言に盛り込むことを拒否された。
14 UNCHE は 1968 年に準備会議が始まったが、中華民国政府は全て欠席した。
しかし内政面で中国政府は、UNCHE 参加を通して環境問題の本質 が 発展にある ことを理解 した。環境 問題は資本 主義陣営特 有のも の で あるという 従来の認識 を改め、資 本主義・共 産主義に関 わらず 発 展 は必要であ り、したが って環境汚 染や生態系 保全といっ た環境 問 題 にも対処す る必要があ るという認 識を持つに 至った。こ のよう な 変化は、文化大革命(1966〜1976 年)の時期にあった中国としては 非 常に意外な 現象であり 、国際会議 ・組織参加 という外交 行為が 、 環 境ガバナン スなどの内 政的制度設 計に影響を もたらすこ と、ま た す でにこの時 期に中国の 指導者層( 特に周恩来 )が自国の 環境問 題 が焦眉の急にあるのを意識していたこと15を表している。翌(1973) 年 、中国は初 の全国環境 保護会議を 招集、政府 各レベルに 同様の 会 議を開くよう促したほか、1974 年には「国務院環境保護指導委員会 (國務院環境保護領導小組)」を設置、以後の政策の組織化と推進を 行い、1992 年の UNCED に参加した。 1992 年の UNCED は、世界で行われた三回目の環境会議である(二 回目は 1982 年にケニア・ナイロビで行われた)。この会議での成果 は「砂漠化対処条約(United Nations Convention to Combat Desertification, UNCCD)」「生物多様性条約(United Nations Convention on Biological Diversity, UNCBD)」「気候変動枠組条約(または地球温暖化防止条 約、United Nations Framework Convention on Climate Change, UNFCCC)」 と いう、国連 における三 つの環境条 約である。 この三条約 は、以 後 の 全世界にお ける対環境 認識と制度 設計の推移 に影響を及 ぼし続 け て いるだけで なく、中国 の環境外交 と国内の環 境ガバナン スのメ カ ニズムの形成に与った。このうちUNCCD と UNCBD は生態系保全、 UNFCCC は大気汚染防止に対処するものである。
15 曲格平、彭近新(主編)『環境覺醒—人類環境會議和中國第一次環境保護會議』(北 京:中國環境科學出版社、2010 年 3 月)、頁 3。
2 中国の環境外交と生態系保全整備メカニズム 国際環境条 約は調印国 に対し、国 内での活動 において他 国、そ し て 世 界 の 公 共 の 利 益 に 影 響 を 与 え て は な ら な い と 要 求 し て い る た め 、調印国の 発展を制限 するもので あり、国家 主権を侵犯 してい る と いう事実が ある。一方 中国政府は 国家主権の 独立性と経 済発展 の 優 先性を特に 重視してい るため、国 際環境条約 に調印した という こ と は、環境ガ バナンスの メカニズム を打ち立て ることを優 先順位 の 上位においていることの表れとみることができる。 UNCCD は UNCED で合意された「アジェンダ 21」に基づいて形 成された環境条約であり、1994 年 6 月 17 日にパリで草案通過後、10 月14 日に各国への調印受付が始まった。中国は当日に調印し、大国 の中での一番乗りを果たした。UNCCD は 1997 年から 2001 年には毎 年 、2002 年 以 後 も 二 年 ご と に 締 約 国 会 合 ( Conferences of Parties, COP)を開催した。国連事務総長がドイツのボンに UNCCD 事務局 を設置したほか、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations, FAO)、国際農業開発基金(International Fund for Agricultural Development, IFAD )、 国 連 環 境 計 画 ( United Nations Environment Programme, UNEP)が UNCED 締約国会合に参加してい ることから、UNCCD が食料安全保障と環境安全という問題が、密接 に 相関してい ることが見 て取れる。 一方中国も 主に国家林 業局と 外 交部が UNCCD の締約国会合に参加している。国内の砂漠化防止の ための所管機構としては、早くも1991 年に国務院が中央レベルの「全 国 砂 漠 化 対 処 政 策 協 調 委 員 会 ( 全 國 治 沙 工 作 協 調 小 組 )」 を 設 置 、 UNCCD で定められた国際規範に対応するため、同委員会を 1994 年 8 月に「中国砂漠化防止協調委員会(中國防治荒漠化協調小組)」と 改 名した。事 務機構は国 家林業局に 置かれ、対 外的には「 国連砂 漠 化 防 止 条 約 中 国 執 行 委 員 会 ( 聯 合 國 防 治 荒 漠 化 公 約 中 國 執 行 委 員
會、China National Committee for the Implementation of the UNCCD, CNCI-for-UNCCD)」と称し、連携した二枚看板の環境整備機構が生 まれた。その後一年以内に、砂漠化防止に関係する計14 の省・地区 ・ 直轄市にお いて、相次 いで砂漠化 防止に関す る協調ある いは指 導 委員会が設置された。2001 年制定の「砂漠化防止・対処法(防沙治 沙法)」16では、国務院国家林業局が砂漠化防止・対処の主要な行政 主 管部門であ り、外交・ 農業・水利 ・土地・環 境保護など の部門 を 協力機関として含むと明確に規定している。中国が UNCCD に参与 し て間もない 頃は主に「 引き込む」 形の参加が 主であり、 人民元 に して 40 億元近くで 90 以上の項目を立てて砂漠化防止・対処を進め た。その結果国外の資金と技術が陸続きで中国に流入し、2004 年か ら2009 年にかけて中国の砂漠化した土地の面積は 85.87 万ヘクター ル 減少した。 それに対し て近年は「 打って出る 」形の参加 方式に 転 じている。例えば2004 年の中国・アラブ諸国協力フォーラムと 2006 年 の中国・ア フリカ諸国 協力フォー ラムにおい て、砂漠化 防止・ 対 処を行動計画に盛り込んでいる。2012 年の「リオ+20」(第五回国連 人 間環境会議 )の会期中 も、中国は 砂漠化防止 ・対処をア フリカ ・ 南半球諸国が協力すべき重要項目であるとした。2014 年には中国首 脳 がモンゴル とアフリカ 諸国歴訪の 際、この問 題で国際的 な協力 を さ ら に 進 め る べ き と し た 。 ま た こ れ ら 一 連 の 成 果 か ら 、2017 年 の UNCCD 第 13 回締約国会合(COP13)が初めて中国(内モンゴル自 治区オルドス市)で開催されることになった。 UNCBD は、1992 年 6 月 5 日に調印受付が開始され、中国は同 11 日に調印、大国では初、全体でも五番目であった。UNCBD は 1994 から 1998 年までは毎年、2000 年以降は二年ごとに締約国会合を開
16 これは、砂漠化防止に関する世界初の国内法である。
催。国連事務総長がカナダのモントリオールに UNCBD 事務局を設 置 し 、FAO と UNEP からも締約国会合に参加していることから、 UNCBD の環境ガバナンスのメカニズムも食料安全保障に関連して いることがわかる。一方中国は主に国家環境保護局(國家環保局)17 と 外交部が締 約国会合に 参加してい る。調印前 、中国には 生物多 様 性保護に関するプロパーな政策はなく、UNCBD の規範に対応するべ く、国務院は1993 年に「《生物多様性条約》履行協調委員会(《生物 多 樣 性 公 約 》 履 約 協 調 小 組 、National Coordinating Group for CBD Implementation)」を設立、主要な管轄機関は国家環境保護局とされ、 その他外交・国家発展計画委員会(2003 年に国家発展改革委員会《國 家 發展和改革 委員會》へ 改組)・教 育・科学技 術・農業・ 林業・ 財 政などの諸部門が協力機構となった。しかし UNCCD の場合とは異 な り、省レベ ルの政府機 関が協調あ るいは指導 委員会を設 置する こ と はなく、地 方レベルの 環境保護部 門のうち、 生態系所管 各局の 職 責を強化するに留まった。 中国のUNCBD 参与は「引き込み」の段階である。UNCCD がその 後の締約国会合で新しい国際規範を立てなかったのに対し、UNCBD の そ の 後 に 続 く 締 約 国 会 合 で は 、2000 年 に 「 カ ル タ ヘ ナ 議 定 書 (Cartagena Protocol)」18(1999 年の第一回締約国特別会合《EXCOP1》
から)、2010 年に「名古屋議定書(Nagoya Protocol)」19(同年の第 10 回締約国会合《COP10》から)、同じく 2010 年の「バイオセーフ テ ィに関する カルタヘナ 議定書の責 任と救済に 関する名古 屋・ク ア
17 1998 年に国家環境保護総局(國家環保總局)、2008 年に環境保護部(環保部)へ改 組された。 18 2000 年 5 月 15 日に調印受付開始、中国は同年 8 月 8 日に調印した。 19 2011 年 2 月 2 日に調印受付開始、中国は受付期間中に調印せず、その後 2016 年に加 入した。
ラ ル ン プ ー ル 補 足 議 定 書 (Nagoya–Kuala Lumpur Supplementary Protocol on Liability and Redress to the Cartagena Protocol on Biosafety;名古屋・クアラルンプール議定書)」20(2004 年 COP7 お よび 2010 年 COP10 から)が生まれ、中国は前二者には調印したも の の、最後の 一つには欠 席している 。上記の新 しい規範に 対応す る ため、中国政府は2003 年に「生物種資源保護のための部局横断会議 ( 生 物 物 種 資 源 保 護 部 際 聯 席 會 議 )」( 事 務 機 構 は 環 境 保 護 総 局 ) を、2010 年には「中国生物多様性保護国家委員会」(主席は国務院副 総理)を設置した。この両会と上述の「《生物多様性条約》履行協調 委 員会」が、 中国におけ る生物多様 性保護のた めの三大執 行機関 で ある。国務院は2010 年、さらに「中国生物多様性保護戦略および行 動 計 画 (2011-2030)」を出し、生態省・生態市・生態県・生態郷 / 鎮 ・生態村と いう各レベ ルの生物多 様性建設政 策を展開す るよう 求 め 、生物多様 性を中央レ ベルでの討 論議題にと どめず、地 方の開 発 計 画にも組み 込むように した。しか し、上記の 三大執行機 関は横 の 連 携が欠けて おり、地方 レベルの協 調あるいは 指導委員会 が設置 さ れていないことと併せて、中国の UNCBD 履行の成否に影響を与え ている。 3 中国の環境外交と大気汚染予防・対処メカニズム UNFCCC は、気候変動に関する国際環境規範である。1992 年 6 月 4 日に調印受付を開始、中国は同月 11 日、大国として初めての調印 国となった。UNFCCC は 1995 年の第一回締約国会合以来、毎年会合 を開いているが、その中でも影響力のある議定書はCOP 3 の京都議 定書(Kyoto Protocol, 1997)、COP 13 のバリ行動計画(Bali Action Plan,
2007 )、 COP 15 の コ ペ ン ハ ー ゲ ン 合 意 ( Copenhagen Agreement, 2009)、 COP 17 の ダ ー バ ン ・ プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ( Durban Platform, 2011)、COP 21 のパリ協定(Paris Agreement, 2015)である。UNFCCC 事 務 局 は ド イ ツ ・ ボ ン に 置 か れ 、 国 連 か ら は 毎 年 UNEP 、 IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change;気候変動に関する政府 間パネル)、WMO(World Meteorological Organization;世界気象機関) が主に参加しており、UNFCCC が大気変動とエネルギーの安全保障 に 関係する環 境ガバナン スのメカニ ズムである ことが知れ る。中 国 からも主に中国気象局・国家環境保護局(2008 年に環境保護部へ改 組)・国家科学技術委員会(1998 年に科学技術部へ改称)・エネル ギ ー資源局( 能源局)・ 中国科学院 、外交部な どが締約国 会合に 参 加している。 一方中国政府は早くも1990 年、国務院環境保護委員会(1998 年に 環 境保護総局 傘下に入る )の下に「 国家気候変 動協調委員 会(國 家 氣候變化協調小組、National Coordinating Group on Climate Change, NCGCC)」を設置した。同委員会は中国政府が全世界的な気候に関 す る交渉から 受ける衝撃 を分析し、 交渉に参加 する際の戦 略を定 め る役割を負った。はたして1990 年代初期に「共通だが差異ある責任 (common but differentiated responsibilities)」という戦略が打ち出さ れ、1992 年の UNFCCC 調印、その後の締約国会合で堅持すべき原則 とされた。1997 年の京都議定書に対応するため、「国家気候変動協調 委 員会」は翌 年「国家気 候変動対策 協調委員会 (國家氣候 變化對 策 協調小組、National Coordinating Group on Climate Change Strategy, NCGCCS)」に改められ、主要担当部門も国家発展計画委員会(2003 年 、国家発展 改革委員会 《國家發展 和改革委員 會》へ改組 )に変 わ った。2007 年、この協調委員会はさらに「国家気候変動対応指導委 員会(國家應對氣候變化領導小組、National Leading Group on Climate
Change, NLGCC)」に格上げされた。具体的な担当部署こそ国家発展 改 革委員会で あるものの 、委員長は 国務院総理 の兼任とな り、外 交 ・ 環境保護・ 気象・科学 技術・エネ ルギー資源 ・農業・財 政・経 済 通 商・交通・ 建設・森林 などの部署 が協力機関 となる。ま たこれ と は別に、UNFCCC の規範を確実に履行するため、同じく 2007 年に「国 家 省エネルギ ー・排出削 減政策指導 委員会(國 家節能減排 工作領 導 小組、National Leading Group on Energy Saving and Pollution Reduction, NLGESPR)」を立ち上げた。この委員会のメンバーは「国家気候変 動対応指導委員会」と同一であるため、UNCCD 履行の場合と同様、 こ れら二つの 委員会が環 境ガバナン スのメカニ ズムの二枚 看板と な っ ている。そ の後一年以 内に、省以 下の各地方 政府におい て、省 エ ネ ルギー・排 出削減政策 の協調ある いは指導委 員会が設置 され、 気 候 変動の議題 を地方レベ ルでの開発 計画に組み 入れること をねら っ ている。 生態系保全に関しては、中国は大気汚染とUNFCCC への態度より も さらに慎重 で消極的な 立場を取っ ている。強 制力を持ち 、トッ プ ダウン式に排出削減を要求する京都議定書への調印は固辞し、37 番 目の調印国となったのは1998 年 5 月 30 日になってからであった。 し かし調印し たのは国際 的な圧力に よるもので はなく、内 部から の 要因によるものあった21。UNFCCC では中国と、その他の発展途上国 に よる京都議 定書への非 協力的態度 が意識され 、その後の バリ行 動
21 内部要因としては、1998 年に格上げされた環境保護総局が自身の影響力をさらに強 めようとしたこと、酸性雨と大気汚染の問題が中国の環境に深刻な影響をもたらし ていること、国内の NGO 組織が急速に発展していることなどである。Lester Ross, “China: Environmental Protection, Domestic Policy Trends, Patterns of Participation in Regimes and Compliance with International Norms,” in Managing the Chinese Environment, ed., Richard Louis Edmonds (NY: Oxford University Press, 2000), pp. 85~111.
計 画、コペン ハーゲン合 意、ダーバ ン・プラッ トフォーム では、 発 展 途 上 国 は 自 国 の 状 況 に 鑑 み 、 国 内 向 け の 自 主 削 減 目 標 (voluntary target)を提出するという計画が打ち出された。中国でも 2014 年、 初 めて自国の 事情に基づ いた「国家 気候変動対 処計画(國 家應對 氣 候變化規劃、2014-2020 年)」が出され、2020 年以後の自主行動削減 目標と炭素排出量取引市場の建設が具体的に描かれた。2015 年のパ リ 協定でも、 各国がそれ ぞれ自主的 な削減目標 によって貢 献し、 ボ ト ムアップ式 に削減量を 決定すると いう基礎の 上に気候変 動に対 処 す る と い う 国 際 的 な 共 通 認 識 を 得 た た め 、 中 国 は 受 付 開 始 当 日 の 2015 年 4 月 22 日に調印を行った。2017 年に入ってからの新しい展 開は、「国家気候変動対応指導委員会」が中国の省エネルギー・排出 削減案と炭素排出量取引市場の規範に関してしだいに「打って出始め た 」 こ と で あ り 、 気 候 変 動 問 題 に 関 す る 南 南 協 力 (South-South Cooperation)から EU との協力の趨勢に至るまで、アメリカによるパ リ協定離脱後のUNFCCC 締約国会合の主導権を握ろうとしている。
三 内政と環境ガバナンスにおけるメカニズム
伝統的に中 国政府の環 境整備の目 標は食料の 増産、そし て山林 の 水 利環境など の稀少資源 である生態 系の保全に あり、水利 社会と い うものが近代までの中国政府による環境整備モデルであった22。この 中 で、対内的 には生態系 保全と人口 のコントロ ールを行い 、対外 的 に は戦争を発 動してより 多くの生産 資源を得る という過程 が、近 代 までの中国の環境整備を研究する重点であった23。22 古く中国の水利社会の発展については以下を参照:Morita Akira, “Water Control in
Zherdong during the Late Mirng,” East Asian History, No. 2 (December 1991), pp. 31~66.
23 Mark Elvin, “The Environmental Legacy of Imperial China,” in Managing the Chinese
現代の中国 における環 境ガバナン スのメカニ ズムは、毛 沢東に よ る 1950 年代末期の「人定勝天(人間は必ず自然を克服する)」とい う環境観にまでさかのぼることができる24。「人民」は伝統的な「天 人 合一」とい う環境観の 中の存在か ら大自然を 抜け出し、 それを コ ン トロールす る行為主体 となり、人 民の労働力 と情熱は自 然資源 の 稀 少性という 環境の制約 を克服でき るとされた 。農業部・ 農墾部 ・ 水 利部・食料 部・衛生部 ・国土資源 部といった 部会は、全 て当時 の 主 要な環境整 備機構であ った。これ らが担うの は、中国の 有り余 る 労 働力と群衆 の爆発的な 情熱をうま く使いこな して、食料 ・耕作 適 地 の不足を克 服すること であり、環 境整備の重 点は人民が 生態環 境 を削り「以糧為綱(食料生産が第一)」の任務を果たすことであった。 毛 沢東が信仰 していた「 與天鬥其樂 無窮、與地 鬥其樂無窮 、與人 鬥 其 樂無窮(人 は闘争し天 、地、敵に 打ち勝つこ とができ、 その過 程 で喜びを得ることができる)」という文句は、当時の環境整備任務を 最 も良く言い 表したもの であり、生 態系保全や 資源の稀少 性とい っ た 環境の制約 などの問題 は、人民に よる闘争の 対象であっ た。こ の ような極端な「人定勝天」の環境観は、1960 年代前半の「大躍進」 から1960 年代後半の文化大革命初期まで一貫して維持された。 しかし、こ のような極 端な環境観 が大自然の 逆襲を招き 、食料 も 不作になった。中国政府は1960 年代末に林の造成と保護を重視する などの耕地の水利事業を開始し、1960 年代末から 1970 年代初めに は 、その基礎 建設と生態 系保全のた めの環境整 備の構築が 国家発 展 の主軸となった25。「以糧為綱」という任務はまだ続いていたが、「天
24 Judith Shapiro, Mao’s War against Nature: Politics and the Environment in Revolutionary
China (NY: Cambridge University Press, 2001).
25 Alexander Eckstein, China’s Economic Revolution (New York, NY: Cambridge University
人 合一」の環 境観と「生 態系保全」 の管理機制 が、この時 期中国 政 府の環境整備の根幹となったのである。1972 年の第一回国連人間環 境会議(UNCHE)に参加した中国の代表団 20 余名のうち、三分の 一 強のメンバ ーは農業部 ・水利部・ 国家計画部 ・衛生部な どの所 属 で あることか ら、すでに 生態環境の 保護により 食料生産を 促進す る こ とが、環境 整備の焦点 となってい たことが見 て取れる。 また同 会 議 は、生態系 保全が環境 整備の内容 であるほか 、汚染が自 然環境 と 国 民の衛生・ 健康に影響 を及ぼして いることを 中国政府に 認知さ せ ることとなった。 国家都市建 設総局と国 務院環境保 護指導委員 会事務局( 國務院 環 境保護領導小組辦公室、1974 年設置)は、改革開放後の 1982 年に合 併し、都市・農村建設環境保護部(城鄉建設環境保護部)となった。 こ れにより環 境保護のた めの整備の 重点が、農 村の生態系 保全事 業 か ら都市住民 らの関心が 集まる大気 汚染・騒音 公害・ゴミ 問題と い っ た汚染を防 止する事業 に移り、環 境整備とは 都市建設で あると い う 錯 綜 し た 認 知 状 態 が 生 み 出 さ れ る こ と に な っ た26。 こ の こ と は 地 方 、特に農村 での環境保 護政策を軽 視、あるい は周縁化さ せるこ と につながったので、1988 年の機構改革により、都市・農村建設環境 保 護部は建設 部と国家環 境保護局( 国務院の副 部級直属機 構)に 分 け られた。そ れに合わせ て地方レベ ルでも環境 保護部門を 一級部 局 に 格上げし、 こうして独 立した環境 保護局は重 視され、発 展する こ とになった。 この後1998 年には国家環境保護局がさらに国務院正部級直属機構 ・ 国家環境保 護総局に格 上げされて おり、中国 環境ガバナ ンスの メ カ ニズムが環 境汚染と生 態系保全の 二本軸にな ったことを 表して い
26 曲格平、彭近新(主編)『環境覺醒』、頁 9。
る 。国家環境 保護総局は 主に、環境 汚染物質の 発生予防と コント ロ ー ルを、農業 部・国土資 源部・林業 局・食料局 などが生態 系保全 事 業を担うことになった。そのうち、1995 年に実施された食料安全省 長責 任制政策(「米袋省長責 任制(米袋 子省長責任 制)」とも呼 ば れ た )は、生態 系保全事業 実施の重点 項目となっ た。この政 策は、18 億畝の耕作適地と15.6 億畝の食料生産地などの生態資源を、省レベ ル で厳格に保 つことが要 求され、中 国の食料安 定を図ると いうも の であった27。そのほか上述の通り、1992 年には UNCED に積極的に参 加し、それに続く UNCCD と UNCBD で定められた生態系保全条約 に速やかに調印した(ただし、同時期UNFCCC での速やかな調印は 拒 否 し た )。 こ れ に も 、 地 球 環 境 フ ァ シ リ テ ィ と 技 術 的 援 助 を 獲 得 し 、中国の生 態系保全と 食料生産に 協力しても らおうとの 希望が あ った。 21 世紀に入ると、温室効果ガスが引き起こす大気汚染が、中国に おける環境ガバナンスの主要な焦点となり、「省エネルギー・排出削 減政策指導委員会」「国家気候変動対応指導委員会」の二枚看板が連 携してあたる構造のもと、「省エネルギー・排出削減」へと大きく舵 を 切った。食 料安全省長 責任制の生 態系保全ガ バナンスの 原則は 、 両 指導委員会 も学ぶとこ ろとなり、 省レベルの 政府が監督 責任を 負 う 各レベル政 府の省エネ ・排出削減 目標責任制 に結実し、 これに よ っ て国家の大 気汚染防止 対策の目標 と、温室効 果ガス排出 量削減 の 計画が固まった。2008 年に行われた国務院の機構改革の際、 国家 気 候変動対応 指導委員会 事務局と国 家環境保護 総局は合併 し、環 境
27 同 様 の 内 容 は 以 下 を 参 照 : Huey-lin Lee and Scott Y. Lin, “Weighing up Market
Mechanism and Regulated Distribution: China’s Dream to Feed Itself under Spatially- imbalanced Development,” in China Dreams: China’s New Leadership and Future Impacts, eds., Chih-shian Liou and Arthur S. Ding (Singapore: World Scientific, 2015), pp. 243~284.
保 護部(環保 部)となっ た。これに より大気汚 染防止対策 事業は 環 境 保護部の重 要な責任と され、簡素 化された省 エネ・排出 削減環 境 責任制となった。国務院総理をトップとして2010 年に設立された「国 家エネルギー委員会(國家能源委員會)」は、さらに環境保護部を主 要 部会の一員 として編成 し、環境ガ バナンスと エネルギー 問題を 直 接 結びつけ「 省エネ・排 出削減」に 関する環境 ガバナンス を強化 し た 。このため 環境保護部 は、水質・ 土壌汚染の 問題をいっ たん脇 に 置いて温室効果ガス排出などの大気汚染問題を優先的に処理し2013 年 9 月、真っ先に「大気汚染防止対策行動計画」(略称「気十条」) を通過させた。 ただ、政府は気候変動が中国の生態的安全に影響していること28と 同 じく、水・ 土壌資源の 欠乏がすで に生態系保 全事業の要 請する 食 料 安全保障と 食品の安全 に大きな影 響を与えて いることも 認識し て い る。そのた め、生態系 保全を強調 した「生態 文明建設」 といっ た 環 境ガバナン ス事業が、 近い将来再 び重視・構 成されるよ うにな る だ ろう。次節 では中国共 産党の党建 設過程の中 で行われた 生態系 保 全事業について述べる。
四 党建設と環境整備メカニズム
歴代の中国 共産党(以 下中共)全 国代表大会 の報告の内 容から 見 え て く る の は 、 党 建 設 の 中 で の 環 境 ガ バ ナ ン ス の メ カ ニ ズ ム 構 築 が 、常に国家 の発展路線 ・生態系保 全・汚染の 防止と対処 という 、 三 者間の関係 への認識を 新たにする ことで行わ れていると いうこ と28 2014 年に中国政府が公布した「国家気候変動対応計画(國家應對氣候變化規劃、 2014-2020 年)」では初めて、生態的安全と食料安全保障、経済・エネルギー・人民 の生命財産の安全等が、国家の気候変動対応対策において保障される目標であると された。
である。 改革開放以 前の全国代 表大会報告 で主に論じ られたのは 、国家 の 発 展路線であ り、環境ガ バナンスに 関する内容 はごくわず かであ っ た。しかし 1957 年から 1960 年代初期にかけての「大躍進」におい て 、農村が都 市部の大規 模な製鉄事 業を後押し する方向に 大転換 し た ことで、農 業生産に関 与する生態 系が大きく 損なわれ、 食料生 産 の安全にも危機が生じた。このため、1961 年の第 8 期九中全会29と 翌年の第8 期十中全会30からは、農業生産資源の重要性が強調され始 め 、中国の食 料安全を保 障する方策 として生態 系保全の概 念が農 村 建 設と結びつ けられた。 改革開放後 の大会報告 では依然と して「 経 済建設中心」の国家発展観が主要な内容であったが、第12〜14 回大 会 における報 告では再び 生態系保全 と農村建設 の結びつき が言及 さ れ 、それに加 えて「人口 増加のコン トロール」 の重要性を 説いて い る 。このこと から、人口 増加のコン トロールが 自然生態資 源を保 護 す る重要な手 段とされ、 経済建設に よる環境汚 染といった 課題は 報 告の中では小さな扱いしか受けていない。 1996 年、第 14 期五中全会で通過した「第九次五カ年計画(九五計 劃)」において、中共の環境ガバナンスに関する討論の中で環境汚染 問題が正式に取り上げられた31。九五計画では、汚染物排出総量のコ
29 「中國共產黨第八屆中央委員會第九次全體會議公報」『人民網—中國共產黨歷次全 國 代 表 大 會 數 據 庫 』、http://cpc.people.com.cn/GB/64162/64168/64560/65352/4442072. html、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。 30 「中國共產黨第八屆中央委員會第十次全體會議公報」『人民網—中國共產黨歷次全 國 代 表 大 會 數 據 庫 』、http://cpc.people.com.cn/GB/64162/64168/64560/65353/4442078. html、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。 31 「中華人民共和國國民經濟和社會發展“九五”計劃和二○一○年遠景目標綱要」『人民 網—中國共產黨新聞.文獻』、http://cpc.people.com.cn/GB/64184/64186/66686/4494253. html、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。
ン トロール強 化について 初めて提示 され、その ためには経 済成長 の 方 式を転換し 「持続可能 な発展」を 実現させる 国家戦略観 が示さ れ た 。同計画で は依然とし て経済建設 に重点が置 かれている ものの 、 人 口増加のコ ントロール による生態 環境保護と 汚染物排出 総量規 制 というガバナンスも内容に含まれており、「持続可能な発展」という 文句も、中共の党建設に初めて盛り込まれた。 1997 年の第 15 回大会における報告32では、党内の内部文書では初 めて「経済建設中心」路線を反省する議論が出ている。「人口増加と 経 済発展が資 源と環境に 大きなプレ ッシャーを もたらして 」おり 、 それが国家発展路線上の矛盾と困難になっていることを認め、「持続 可 能な発展」 が経済建設 ・生態系保 全・汚染の 防止と対処 の全て を カバーする新しい国家発展戦略であると述べている。2002 年の第 16 回大会では「持続可能な発展能力を絶えず増強する」ことが、「小康 社会」の全面的建設に向けた目標の一つであるととらえ、「循環経済 33」が環 境ガバナン スの重要な 中身となっ ている。2003 年の SARS 危機をうけて、同年 10 月の第 16 期三中全会では「科学発展観」を 提出、「人民第一を堅持し、全面的で協調性があり持続可能な発展と い う観点を樹 立し、経済 ・社会と人 民の全面的 な進歩を促 進する 」 と強調した。「グリーン GDP」という概念も生まれたが、政府がそれ 以 後出した環 境ガバナン スのメカニ ズムや宣伝 の中には入 ってい な い。2005 年の第 16 期五中全会では、地方政府での資源節約型かつ環 境 に優しい社 会建設を提 唱する「両 型社会」を 提出。これ は改革 試 験区建設と併せて、この時期の環境ガバナンスの重点となった。2007
32 「江澤民在中國共產黨第十五次全國代表大會上的報告(3)」『人民網—中國共產黨歷 次全國代表大會數據庫』、http://cpc.people.com.cn/GB/64162/64168/64568/65445/4526 288.html、閲覧日:2017 年 2 月 22 日。 33 経済システムと自然生態システムの物質が、調和を保ちながら循環すること。
年の第 17 回大会では、「中国の特色ある社会主義」に向けた経済・ 政治・文化・社会の建設についての説明を補充する形で、「生態文明 建設」が打ち出された。このとき「生態文明」は“conservation culture” ( 保全の文化 )と訳され 、生態系保 全を前面に 押し出した 環境哲 学 を 意味するも のであるが 、この概念 は生産方式 ・社会形態 ・発展 の 観念の中身を変えるものではなく、「省エネ・排出削減」を通して生 態系保全を行うことが環境ガバナンスの柱となった。 ところが、2012 年の第 18 回大会では「生態文明建設」がかつてな い レベルに引 き上げられ た。従来の 経済・政治 ・文化・社 会の四 つ が 一体となっ た「小康社 会」の建設 から、経済 ・政治・文 化・社 会 ・生態文明の五つが一体となった「美麗中国」の建設が謳われ、「生 態文明」の訳語も“ecological civilization”(エコ文明)と、現段階で の 環境ガバナ ンス運動を 文明の進歩 と歴史的意 義の中に置 く表現 が 与えられている34。その目標は省資源・生態系保全・汚染物質減少を 中 国の社会主 義的発展史 観に組み込 み、グリー ン経済・循 環経済 ・ 低 炭素経済と いった国家 の発展路線 を「生態文 明建設」と するこ と に ある。関連 する試験地 での政策と 業績チェッ ク制度も、 党内で の 環境ガバナンス運動を徐々に形成しており、2010 年の「中国生物多 様 性 保 護 戦 略 お よ び 行 動 計 画 ( 中 國 生 物 多 樣 性 保 護 戰 略 與 行 動 計 劃、2011-2030)」と合わせ、「生態文明建設」は今日建設が進められ て いる数多く の生態省・ 生態市・生 態県・生態 郷/鎮・生 態村に つ なげられている。この他に第18 回大会で出色なのは、自然生態資源 の 急 激 な 消 失 に よ り 都 市 部 の 三 分 の 二 の 地 区 で 水 不 足 が も た ら さ れ、農村部耕作適地の最低ラインである18 億畝も失われつつあると
34 具体的には、人類文明の歴史は原始文明・農業文明・工業文明と展開し、最後に今 日の生態文明に至ったという。
い うことなど 、環境的要 因がすでに 中国の経済 発展の足枷 となっ て い ることを中 共が意識し 始めたとい うことであ る。また、 急激な 増 加 を見せる汚 染物質が自 然災害をさ らに激烈に 、また頻繁 にして い る ことから、 国土開発の 強度と範囲 をコントロ ールし、エ ネルギ ー 源 ・水源・土 地の消耗を 大幅に抑え ることによ って大気汚 染・水 の 欠 乏と汚染・ 食料と食品 の安全とい った生活上 の環境問題 に対応 し なければならないと述べている。上述の認識の変化は、2013 年の第 18 期 三 中 全 会 に お い て 生 態 文 明 建 設 に 関 す る 法 制 度 整 備 を 加 速 さ せ 、自然資源 ・資産への 財産権制度 と用途管制 制度を成立 させた 上 で監督することが強く要請され、国務院は同年 9 月に「大気汚染防 止 対策行動計 画(略称「 大気計画」 または「気 十条」)」、2015 年 4 月 には「水質 汚染防止対 策行動計画 (略称「水 計画」また は「水 十 条」)」、2016 年 5 月には「土壌汚染防止対策行動計画(略称「土計画」 また は「土十条 」)」 という 三つの大規 模な環境ガ バナンス事 業を 公 布し、中国の生態文明建設を現実のものとし、「美麗中国」を創造す るよう求めている。
五 環境ガバナンスにおけるメカニズムの変遷と継続
これまで述 べてきた中 国の外交・ 内政・党建 設からの分 析によ っ て 、汚染防止 と対応、そ して生態系 保全という 二項目が環 境ガバ ナ ン スのメカニ ズムの内容 に組み入れ られてきた 過程を説明 した。 こ のことから次の四つの特色を指摘できる。 第一に、総 合的に中国 の環境ガバ ナンスにお けるメカニ ズムは 環 境 汚染の予防 と対処だけ でなく、生 態系保全の 内容も含ん でいる 。 前 者の主要担 当部署は現 代化を果た した現在の 国家で形成 された 環 境 保護部、後 者は伝統的 な中国の水 利社会の中 で重視され てきた 農 業部・国土資源部・食料局・林業局・水利局などである。第二に、外交面では、「共通だが差異ある責任」が中国の参与した 三大国際環境条約UNCCD, UNCBD, UNFCCC では一貫して続いてい るが、UNCHE と UNCED に参与する過程で環境保護部門の格上げと 資 源強化が続 き、生態系 保全に関す るその他の 部会を超え てしま っ た 。しかし、 中国の食料 の安全への 懸念が、こ れから徐々 にエネ ル ギーの安全への懸念を凌駕している35ことから、将来はUNCBD が国 際 環境条約に おいて他国 と衝突する 場となるだ ろう。例え ば名古 屋 ・ クアラルン プール議定 書では、あ る国家が他 国に遺伝子 組み換 え 作 物を輸出し 、相手国の 生物多様性 や人体の健 康に被害を もたら し た 場合、必ず 原状回復の 費用を負担 することを 求めている 。この 規 範 は多数の南 方発展途上 諸国によっ て推進され たものであ った。 し か し中国の食 料の安全が 遺伝子組み 換え作物に 傾きつつあ る状況 で は、UNCBD への調印を拒否することは、間違いなく将来の中国の国 際環境条約参加と南南協力への最大の障害となるだろう。 第三に、内 政面では、 現在の中国 における環 境ガバナン スの重 点 は 伝統的な農 村部での生 態系保全か ら現代的都 市での汚染 物質管 理 に 移っており 、そのこと から環境保 護部が環境 ガバナンス の主要 担 当部局になっている。2008 年に行われた国務院の機構改革の際、国 家 気候変動対 応指導委員 会事務局は 環境保護部 に併合され 、この こ とで21 世紀初頭の環境ガバナンスのメカニズムとエネルギーガバナ ンスのメカニズムはしっかりと結びつくこととなった。環境ガバナン スの最優先事項は「省エネ・排出削減」の機能を強めることであり、 都市住 民の 重視す る大 気汚染 物質 の排出 量を 減少さ せる ことを 企図
35 同様の内容は以下を参照:Scott Y. Lin, “State Capitalism and Chinese Food Security
Governance,” Japanese Journal of Political Science, Vol. 18, No. 1 (March 2017), pp. 106~138.
している。このような認識は、農村部住民の重視する水・土壌資源の 欠乏と汚染の問題を環境整備行程の「次点」と位置づけている。 第四に、党 建設の方面 において、 生態系保全 に向けた環 境ガバ ナ ン スは中共の 党内文書に 一貫して存 在し、人口 のコントロ ールが 生 態 資源保護の ための重要 な手段であ るとしてい る。近年は 汚染物 質 排出を減少させるとの内容も盛り込まれたが、「生態文明建設」の提 唱 と深化の過 程で、中共 が国土開発 の強度と範 囲を緩める ことの 重 要 性を初めて 認識したこ とが明るみ に出た。人 と自然の相 互作用 の 関 係について 新しい認識 を行い、伝 統的な「天 人合一」の 環境観 に 回帰する動きを見せている。 習近平指導 部は、過去 五年間の執 政中すでに 環境ガバナ ンスの メ カ ニ ズ ム に 関 す る 法 改 正36と 「 生 態 文 明 建 設 」 の ス テ ー ジ を 引 き 上 げ 、環境ガバ ナンスの内 容を大気・ 水・土壌の 三分野に分 けて大 幅 に整理しつつある。今後五年間(第19 回党大会の後)は、中国の環 境 ガバナンス にとって最 も困難な時 期になると 同時に、国 内の経 済 発展のステップと対外的な環境外交も影響を被るだろう。 ( 寄 稿 :2017 年 4 月 25 日、再審:2017 年 6 月 16 日、採用:2017 年 7 月 7 日) 翻 訳 : 田中 研也 ( 台 湾・ 東呉 大 学 日本 語文 学 科 非常 勤講 師 )
36 法改正後の環境ガバナンスのメカニズムは、生態文明建設の正当性、民衆と社会団 体の参与と監督、地方レベルでの責任追及制度、汚染を引き起こした企業への賠償 責任などをさらに強く訴えるものとなるだろう。Bo Zhang, Cong Cao, Junzhan Gu, and Ting Liu, “A New Environmental Protection Law, Many Old Problems? Challenges to Environmental Governance in China,” Journal of Environmental Law, Vol. 26, No. 2 (June 2016), pp. 325~335; and Hideki Kitagawa, “Environmental Policy Under President Xi Jinping Leadership: The Changing Environmental Norms,” in Environmental Policy and
中國環境治理機制的變遷與延續
―從外交、內政與黨建設分析―
林 義 鈞
(國立政治大學國際關係研究中心助理研究員/ 政治大學國家發展研究所助理教授)【摘要】
當 代 中 國 環 境 治 理 的 討 論 偏 重 於 說 明 管 控 環 境 污 染 物 的 治 理 內 容 ,造成分析 中國環境治 理機制的研 究成為回顧 當代中國環 境保護 部 的 成立過程, 這樣的分析 角度過於強 調城市居民 所重視的環 境汙染 治 理 ,卻也因此 而忽略農村 居民所重視 的生態保育 治理。本文 認為造 成 上 述分析偏頗 的原因在於 分析中國環 境治理的時 間深度不足 ,因此 透 過 回顧中國環 境外交、內 政與黨建設 的分析過程 ,認為中國 環境治 理 機 制的內容不 只包含治理 環境汙染的 項目,還具 有傳統生態 保育的 內 容 ,使得環境 治理的重點 已經從「節 能減排」運 動以回應城 市居民 所 關 心的減少大 氣汙染物排 放量,延伸 到深化「生 態文明建設 」以強 調 鄉村居民所重視的生態保育工程。 關鍵字:環境治理、中國、節能減排、以糧為綱、生態文明建設Change and Continuity in Chinese
Environmental Governance Mechanisms:
Diplomacy, Government, and the Chinese
Communist Party
Scott Y. Lin
Assistant Research Fellow, Institute of International Relations, National Chengchi University/Assistant Professor, Graduate Institute of Development
Studies, National Chengchi University
【
Abstract】
Contemporary discussion of China’s environmental governance mechanisms tends to revolve around pollution mitigation programs. This has led academic discussion to focus heavily on the establishment of China’s Ministry of Environmental Protection (MEP) and overemphasize the urban environmental protection agenda, while under-emphasizing the importance of ecological conservation, which is a core concern for the rural environmental policy agenda. By re-focusing the discussion on the under-explored rural agenda, and through analysis of China’s environmental diplomacy, the views of Chinese government and official statements from the Chinese Communist party, this paper finds contemporary environmental governance mechanisms in China incorporate both pollution mitigation strategies, as well as more traditional ecological conservation mechanisms. As a result, the attention of Chinese environmental governance has expanded from a thoroughly urban approach focusing on emissions reductions, to a broader project of ‘Constructing an Ecological Civilization’ emphasizing traditionally more rural concerns ecological conservation and food security.
Keywords: Environmental Governance, China, Energy Conservation and Emission Reduction, Food Security, Ecological Civilization
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