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結論に代えて―日本の標準化戦略が台湾に与える 示唆

これまで検 討した内容 を通じ、わ れわれは日 本の標準化 戦略の 実 施 から、台湾 の参考およ び手本とす る価値のあ る部分を採 り入れ る こ とができる 。具体的に は、日本の 標準化戦略 が台湾に与 える示 唆 には以下の面がある。

第一に、標 準化活動に おいてもっ と積極的な 役割を担う よう民 間 企 業を奨励す ることであ る。市場経 済が健全に 発展するに つれ、 日

51 中華民國國家資訊基本建設產業發展協進會『國家標準發展策略白皮書』(經濟部標準 檢驗局、2006 年)、頁 A-3-63~A-3-79。

52 『經濟日報』2009 年 12 月 23 日、版 A3。

53 李仁芳・吳明機「臺灣電子資訊產業參與國際與大中華技術標準之策略」『遠景基金會 季刊』第8 卷第 2 期(2007 年 4 月)、頁 133。

本 の標準化政 策の発展の プロセスに おいて、日 本の標準制 定は初 期 の 政府による 法律での規 範から民間 企業と業界 団体の主体 的な標 準 案の提出へと移行している54。今後の標準制定において民間の作用を よ り発揮させ るため、日 本政府は今 後も企業や 業界団体に よる標 準 案 の策定をサ ポートし、 産業界の国 際標準化活 動への参与 を奨励 し て いく。しか し、日本は 国際標準と なる潜在力 を持った技 術を備 え る が、多くが ハイテク産 業や新興産 業が中心と なっている 。これ ら の 技術は投入 資金が多額 で、高リス ク、誕生サ イクルが長 いとい う 面 がある割に は、収益潜 在力を推し 量ることが 難しいため 、一般 の 民 間企業が軽 率に足を踏 み入れたが らない領域 であり、政 府はさ ま ざ まな政策ツ ールで科学 研究と技術 開発を支援 している。 一方で 、 台湾の標準化活動は政府が主導55 しているものの、産業界は自身だ け が利益の所 在を最も理 解している 。このため 標準制定へ の参与 に つ いては、民 間企業の自 主的な措置 が欠かせな い。ゆえに 、台湾 政 府 は民間の標 準化作業へ の参与を奨 励し、産業 界が標準化 活動に お い てより積極 的かつ能動 的に役割を 果たし、よ り大きな経 済効果 を 発揮できるようにすべきである56

第二に、国 際標準の制 定に関わる よう方策を 講じること である 。 日 本の標準化 戦略の目標 は、積極的 に国際標準 化活動を推 進する こ とにある。具体的な目標は国際標準機関での提案件数や、ISO と IEC

54 Shogo Sakakura, “National Strategies for International Standardization in Japan and the Roles of Japanese Standards Association,ˮ CICC, p. 3, http://www.cicc.or.jp/japanese/

hyoujyunka/j-af15/15-5.pdf.

55 林詩騰「日本標準體系運作現況與標準策略」公務出國報告資訊網、2006 年 9 月 27 日、

11、http://report.nat.gov.tw/ReportFront/report_detail.jspx?sysId=C09502476。

56 中華民國國家資訊基本建設產業發展協進會『國家標準發展策略研究計畫』(經濟部 標準檢驗局、2007 年)、頁 B-2-114~B-2-115。

で の幹事を担 う役職者数 を拡大する ことである 。台湾は国 連のメ ン バーではないため、ISO や IEC といった主要な国際標準制定機関に 加 盟すること はできず、 国内市場の 規模も小さ く、企業は 中小企 業 が 中心で、国 際標準の制 定に関わる ことは難し い。このた め、現 在 の 台湾の市場 規模と政治 ・経済的な 実力を考慮 し、海外企 業と戦 略 提 携すること で、一緒に 国際標準の 制定に参与 するならば 比較的 実 現の可能性は高いと思われる57。さらに、国内での専門家育成では、

台 湾が競争優 位性を持つ 領域で行い 、連絡担当 者の事務を 引き受 け る などしなが ら、発言権 と主導権の 獲得に努め ることがで きるで あ ろう58

第三に、産業界の標準化事務を重視する意識を高めることである。

日 本政府は産 業界の意識 改革の重要 性に着目し 、標準化戦 略に関 す る 文書の多く で、繰り返 し企業の経 営陣の国際 標準化の重 要性に 対 す る認識が不 足している と指摘して いる。日本 政府は関連 の閣僚 が 懇 談会を開き 、企業リー ダーや商工 団体と直接 対話し、企 業の国 際 標 準の重要性 に対する理 解を高めて いる。一方 、台湾産業 界のリ ー ダ ーは、国際 標準の制定 に関わるこ とが、産業 界に極めて 大きな 利 益 をもたらす と繰り返し ているもの の、個別の 企業におい て国際 標 準 化活動を企 業の研究開 発部門にお ける重要な 活動と見な してい る か と言うと、 実情には失 望せざるを 得ない。国 内で一流の 電子・ 情 報 企業であっ ても、従業 員を国際標 準制定の会 議に派遣す るケー ス は極めてまれである59。次に、わが国の産業界はまるで特許出願だけ を 重視してお り、特許関 連部門を設 置している のに対し、 標準に 関

57 李仁芳・吳明機、前掲論文、頁 132-133、頁 160。

58 林詩騰、前掲文、頁 11。

59 李仁芳・吳明機、前掲論文、頁 140。

し ては重視す る姿勢がみ られない。 わが国は今 後、企業に 対して 標 準 化に取り組 むよう推進 し人材を育 成し、標準 化の効用を アピー ル し 、徐々に産 業界が標準 化を意識す るような環 境づくりを 通じ、 標 準 化活動への 参加を企業 の意思決定 者の自覚的 な行為にす るよう 促 し 、持続的な 影響力を持 つ企業文化 へと推進す ることが考 慮でき る であろう60

第四に、業 界標準を制 定する審議 団体の育成 がある。日 本には 関 連 企業や業界 団体、大学 や学会、産 業技術総合 研究所とい った、 業 界内で統一が必要な標準の制定と JIS 標準の研究や原案作成といっ た作業を担う審議団体が数多く存在する。一方台湾の標準化活動は、

経 済部標準検 験局がつか さどり、審 議団体によ る標準案の 提出は ま だ 始まったば かりで、標 準を審議す る民間団体 はほとんど なく、 具 体的には電機電子環境発展協会61 のみであると言ってもよい。ゆえ に 、台湾政府 は法人団体 の育成や、 業界団体設 立といった 方向を 目 指 し、台湾の 標準化事業 を担う体制 を強化し、 政府の標準 化活動 の 助力とすることができるであろう。

翻 訳 : 津村 あお い ( フリ ーラ ン ス 翻訳 者)

( 寄 稿 :2012 年 10 月 8 日、採用:2013 年 1 月 11 日)

60 林詩騰、前掲文、頁 13~14。

61 林能中「推動國家標準國際化之涵義及效益」『國家政策季刊』第 3 卷第 2 期(2004 年 6 月)、頁 122。

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