主要政党のネット
CM 特徴:
2012 年衆議院選挙の事例研究
山
本 竜 大
(金沢大学人間社会研究域法学系准教授)【要約】
本稿は2012 年参院選中に主要政党がインターネット上に提供した CM コンテンツの特徴を理解しようとするものである。検討の結果、 以下の知見が得られた。民主党は政治の決断と2009 年に提議した政 策 の進捗の成 果を強調し ていた。自 民党の「日 本を取り戻 す」と い う キ ャ ッ チ ・ フ レ ー ズ は 自 民 党 や 政 権 を い う 言 葉 に 置 き 換 え ら れ る。公明党は注目政策課題や 3 党合意の過程における同党の役割を 強 調したが、 選択・推進 すべき政策 を明確に明 示せず、コ ンテン ツ の 時間の長さ には改良の 余地がある 。共産党は 近年の路線 を踏襲 し てコミカルな表現で計 8 本 4 テーマを取り上げた。その他の党もメ ッセージの理解のしやすさに配慮していた。しかし、「世論」動向か ら 、政権の移 動が確実視 される状況 下で、政党 が情報通信 技術を 利 用 する場合、 その政権担 当能力にみ あう広報や 政治マーケ ティン グ の視点にたった具体的なコンテンツの開発、e ガバナンスの向上に課 題があると考えられる。 キーワード:衆院選、情報通信技術(ICT)、CM/CF、政策/政治情報一 はじめに
2012 年 12 月に行われた総選挙の投票結果は、民主党から自民党中 心の連立政権への「政権奪還」をもたらした。この「政権奪還」は、 民主党内で繰り広げられる「党内権力闘争」、2009 年の総選挙で掲げ ら れたマニフ ェストの変 更、東日本 大地震以降 明らかにな った政 治 ・ 行政の対処 や情報管理 問題にまつ わる諸問題 などに由来 する民 主 党政権への不信という「世論」の結果ともいえる。 し かし、 こう した状 況に おいて 一つ の興味 -「 そうし た雰 囲気・ 世 論の形成に 何が影響し たのか、あ るいは影響 しなかった のか」 - が 浮かぶ。確 かに各主要 新聞などの 世論調査に 基づけば、 今回の 総 選挙における自民党の「政権奪還」の現実味は確かに高まっていた1。 2009 年の政権交代直後、自民党内執行部ではそのショックから「反 省 」や「変わ らなくては 」という言 葉は口から 出るものの 、具体 的 に何が変わったかのだろうか。同年 9 月に実施された自民党総裁選 の 過程では、 党内批判や 世代交代論 を激しく展 開してきた 河野太 郎 候 補へ党員・ 党内の支持 が流れるこ とを危惧し た「ベテラ ン・長 老 政治家」たちの存在が見え隠れした2。2012 年 9 月 26 日の総裁選の1 たとえば日本テレビ系列の世論調査をみると、すでに 2007 年参議院選挙後の 9 月時 点で一時自民党と民主党の支持率は逆転していた。2009 年 2 月調査時点でも、2 党 の数値は拮抗していた。この時の政治的な出来事として当時のG7 財相会議後外見上 な不可解な会見態度の責任をとった中川財相辞任(17 日)や日米首脳会談(24 日) があげられる。1 ヶ月後には民主党小沢代表の(元)秘書による政治資金規制法違反 容疑が浮かんだ。当時小沢代表は続投を表明したが、その行動や容疑への不信が民 主党の支持率を下げたようである。自民党と民主党の支持率は以下のサイトを参 照。「政党支持率推移(2001 年 5 月~2012 年 12 月)」、日本テレビ世論調査、2012 年 12 月http://www.ntv.co.jp/yoron/201212/graph/line/。 2 「争点は『森元首相』自民総裁選、三つどもえ」『朝日新聞』2009 年 9 月 19 日、朝刊。
過程でも、地方票の55%(165/300 票)を獲得した石破茂に対して、 地方票2 位、国会議員票 3 位であった安倍晋三が(40 年ぶりに行わ れた)、国会議員のみが投票できる決戦投票で 109 票(石破は 89 票) を得て、総裁に返り咲いた。これでは、総裁選挙において党員の「世 論 」は必ずし も加味され ていないこ とになる。 総選挙後に 展開さ れ て いる「アベ ノミクス」 という経済 政策がマス コミに大き く取り 上 げ られがちだ が、原発輸 出、対外政 策、教育政 策、受益者 に自己 負 担 拡大を前提 とする福祉 政策、さま ざまな情報 管理政策な どを見 る と 、政権交代 前から自民 党が推進し てきた政策 との違いは 明白で は ない。むしろ、第 1 次安倍内閣で達成できなかった政策を推進して いるようにさえみえる。 さ らに、 今回 の「政 権奪 還」は 、か つて民 主党 が自民 党の 敵失で そ の支持率を 上げたよう に、今回の 政権スイン グもはやり 敵失に よ っ て生じたと いう感じも 否めない。 「政権交代 」ではマニ フェス ト 上の政策の内容が注目され、マス・メディアの記者、アナウンサー、 時 に研究者に よってそれ らは説明さ れた。けれ ども、政権 奪還の 過 程 では、自民 党の変化や 政策修正が 十分に報じ られただろ うか、 あ る いは自民党 はどのよう な政策メッ セージを有 権者・国民 に訴え た の だろうか。 マス・メデ ィアによる 報道には時 間やスペー スに限 り が あるため、 十分に各党 のメッセー ジが伝えら れにくいと いう視 点 に 立つと、主 要政党の情 報発信のコ ンテンツが 検討される 必要が あ る だろう。そ のなかでも 、政党自ら が情報発信 でできる新 しいメ デ ィアである情報通信技術(Information & Communication Technology: ICT)を利用して選挙期間前後に提供されたコンテンツを捉えた日本 政治研究は、現状において乏しい3。
日本では、当時、選挙運動で ICT の利用は正式に認められていな か った。総務 省に当時存 在した「さ きがけ」か らこの件に 関する 質 問状が出されてから、約15 年間に ICT の選挙利用を認めようとする い くつかの動 きはあった が、最終的 には見送ら れてきた。 その年 月 のなかでは、E メールや Twitter のなりすまし事件、民主党における 偽 装メール事 件、新たな 総裁が誕生 すると必ず 出現してい た偽サ イ トなど、その技術的恩恵よりも ICT の政治的利用の難しさやネガテ ィ ブなインパ クトが強調 されてきた 。こうした 状況にも関 わらず 、 IT の日進月歩により、誰もが情報発信可能なツールを入手でき、さ ま ざまなコミ ュニケーシ ョン・ネッ トワークを 構築できる 環境に 身 を置けるようになった。国会議員やその候補者も、ホームページ(HP) や E メ ー ル ・ マ ガ ジ ン を は じ め と し て 、 blog 、 Twitter な ど の microblog、動画共有サービス(例 YouTube)、Facebook などの SNS (Social Networking Service)を次々に導入、活用しようとしている。 し かしながら 、多彩にな った情報発 信ルートと 政治・選挙 との関 係 で はわからな い部分も多 い。そうし て考えてみ ると、今回 の総選 挙 に は選挙、情 報メディア の利用、政 治コミュニ ケーション の関係 に 着目した「もうひとつの選挙」があると考えられる4。 そ こで本 研究 は選挙 用に 制作さ れた と思わ れる 主要政 党の ネット CM に焦点をあてる。もし、バーチャル空間で主張された各党のアピ
る。Duncan McCargo, and Lee Hyon-Suk, “Japan’s political tsunami: What’s media got to do with it?” The International Journal of Press/Politics, Vol. 12, No. 2 (2010), pp. 236~245.
4 ここで参考可能な先行研究として、少なくとも以下の論文をあげられるだろう。Rune
Karlsen, “Does new media technology drive election campaign change?” Information Polity, 15 (2010), pp. 215-225. Wojciech Cwalina, Andrzej Falkowski1 and Bruce I. Newman, “The macro and micro views of political marketing: the underpinnings of a theory of political marketing,” Journal of Public Affairs, Vol. 12, No. 4. (2012), pp. 254~269.
ール内容を把握できるなら、「政権奪還」を引き起こす主要政党の情 報 発信の特徴 とともに課 題を指摘で きる可能性 が、この研 究には あ ると考えられる。 以 下では 、ま ず、こ れま での選 挙に おける 日本 の政党 のメ ディア 利 用を概観す る。次に、 複数のコン テンツを提 供していた 主要政 党 のネットCM のコンテンツの特徴から、政党ネット CM 利用に関す る課題について考察を加えていきたい。
二 政治、メディア、
ICT の関係の深化
1 政治とICT との関係の深化 D. M. West によれば、有権者に影響するテレビの選挙広告の原則 は 4 つある5。1 つ目の原則は一般的特徴や過度に単純化された人々 の判断に影響する「固定概念(stereotype)」、2 つ目は選挙において 候 補 者 と 有 権 者 や 支 援 者 と の 結 び つ き や 人 を 連 想 さ せ る 「 連 携 (association)」である。3 つ目は対抗馬を邪悪な存在や悪魔に仕立 て、(自らが主張する)政策と結びつける「悪魔化(demonization)」、 そ し て 最 後 の 原 則 は 特 定 の 言 葉 と 結 び つ く 固 定 概 念 や 含 意 (connotation)を機能させる装置としての「きまり文句(code words)」 であるという。これらに則れば、2009 年総選挙では「政権交代」が 上 記 の 一 連 の 原 則 を 統 一 的 に 表 現 し て い た よ う に み え る 。 な ぜ な ら、それまで 1 年ごとに 3 代の総理大臣を輩出した以外に、長らく 続 いた自民党 (を中心と する連立) 政権への当 時の限界感 、実感 出 来ない景気回復(政策)、閣内や党内のスキャンダル、政治リーダー へ の不信など 、もろもろ の意味にお いて同党に 「お灸」を すえる と5 Darrell M. West, Air wars: television advertising in election campaign, 1952-2008s, (CQ
いう雰囲気が漂っていた印象も否めないためである6。さらに、民主 党中心の政権が樹立されても、約 1 年という首相交代サイクルが結 果 的に続いた ことに加え 、しかも民 主党政権下 で首相交代 を導く 激 し い(党内) 政治過程の 様子は、テ レビや新聞 によっても たらさ れ た 。こうした 現状は自民 党政権下か ら継続する 光景と相違 ないと い う印象を視聴者に与えただろう。 さらに、2000 年代以降メディアによる「世論」の形成上、無視で きない情報ツールとしてICT が「市民権」を得つつある7。この政治 情報の流通の変化に対応して、政党も候補者も ICT を利用した政治 情報発信の環境を整えてきた。既存研究を参照すると、日本の2009 年 の政権交代 に関する分 析は、大規 模な調査デ ータを利用 して蓄 積 されてきてはいるが、政治情報との関係は、必ずしも十分ではない。 確かに、政権交代ではテレビ CM の放送量に注目した分析は存在す るけれども、ICT を利用した政治情報の関係から整理された研究は、 日本政治研究において見出されにくい8。2009 年の総選挙では、さら に、公明党がテレビ CM 利用を止めると発表したこともあり、マス ・ メディアが 創出する「 雰囲気」と ネット上の サイバー・ スペー ス には異なる情報が流れた可能性もあった。ICT が既存メディアの機
6 類似する文意は、以下においても指摘されるだろう。Kensuke Takayasu, “New
Conventiond Required: Ideas to Re-invigorate Japanese Party Politics,” Asia-Pacific Review, Vol. 18, No. 2 (2011), pp. 86~104.
7 そこでは、例えば、メディアの出稿費を参照すると、雑誌の広告費はインターネッ
トのそれに凌駕されている。以下の論文は関連すると思われる文献例である。Mijeong
Baek, “A Comparative Analysis of Political Communication Systems and Voter Turnout,”
American Journal of Political Science, Vol. 53, No. 2, (2009), pp. 376~393.
8 2009 年の「政権交代」を含め、政治とインターネットとの関係、メディアの関係を
整理した研究は少ない。逢坂巌「2009 年総選挙のテレポリティクス――民主党の「パ ブリシティ」と宣伝」『選挙研究』Vol. 26, No. 2 (2010), pp. 44~59.
能を統合できること、費用やテレビ CM にみられるような放送時間 を 確保する「 枠どり」に 比較的左右 されないこ とを考慮す ると、 政 党 は政治およ び政策情報 を豊富に整 備できるだ ろう。この 点は、 今 日 の日本政治 におけるポ ピュリズム 、ワンフレ ーズ・ポリ ティク ス と いう視点だ けでなく、 マス・メデ ィアに加え て、イメー ジ戦略 か ら言葉の意味や運用・解釈、ICT を利用した政治情報の信頼性と効 果 の把握、有 権者たちが 即座に反応 できる情報 環境を政党 ・候補 者 が手にいれたことを意味する。 世界に目を向けると、ウィキリークス(WikiLeaks)やアノニマス (Anonymous)などの情報コンテンツやハッキング技術そのもの を 武器とする諸団体、2011 年の「アラブの春」のような民主化(運動) と政府関係にみられるように、現代政治と ICT の関係は世界中で深 まっている。さらには、2013 年 6 月下旬 ICT を用いた(個人から国 家 までその関 与が疑われ る)サイバ ー攻撃への 対処を扱お うとし て いた米中首脳会談の直前に、アメリカ CIA 元職員が同国やイギリス のインテリジェンス活動を暴露した9。その影響は、今後の国際政治 における懸念材料の一つとなっている。わずか10 年前にはこうした 新 しい権力と メディア関 係は想像で きなかった 。けれども 、現下 の 情 報社会では ネット上の サービスや 素材、デー タに依存し ながら 、 現実の政治も関連研究も進化し続けている10。日本でもIT、ICT と政
9 その報道の様子は、以下のサイトを参照。“Edward Snowden: the whistleblower behind
the NSA surveillance revelations” The Guardian, June 10, 2013, http://www.guardian.co.uk/ world/2013/jun/09/edward-snowden-nsa-whistleblower-surveillance
10 例えば、以下を参照。Albert L. May, “Who Tube? How YouTube’s news and political space
is going mainstream,” The International Journal of Press/Politics, Vol. 15, No. 4 (2010), pp. 499~511. Mary Francoli and Stephen Ward, “21st century soapboxes? MPs and their blogs,”
治の関係は深まっている。現在の安倍内閣も同年 1 月に起きたナイ ジ ェリア人質 事件を契機 として、第 一次安倍内 閣でも提議 してい た 日本版国家安全保障会議(National Security Council)の設置、情報統 制 の関連法案 の成立を推 進しようと している。 このように 昨今の 世 界 各国の政治 、国際関係 では「情報 革命」によ って、一方 では政 治 エ リートが新 技術によっ て得られた 情報を利用 し、他方で は既存 の ガ バメントと ガバナンス に関する枠 組の変更を 強いられる コスト も 被っている。 では、政治・選挙キャンペーンと ICT を利用した情報発信のメリ ッ ト、デメリ ットはどの ようなもの が考えられ るか。まず 、メリ ッ ト は、政党・ 候補者、有 権者双方が 時間、経済 的コストを 考えず に 情報を発信でき、双方向のコミュニケーションが1 対 1 からマス対 マ スで成立す る可能性が あるという ことだろう 。そして、 コミュ ニ ケ ーション・ グループが 徐々に形成 され、重層 的にネット ワーク 化 さ れ、有意義 な議論が積 み重ねられ る可能性が ある。しか し、同 時 に 、これらの メリットは 、デメリッ トにもなり 得る。いつ でも情 報 を発信できるということは、受け手は24 時間態勢を絶えずとらねば な らなくなる 。いわば、 政治活動の コンビニエ ンス・スト ア化を も たらす。ICT の進歩やパターンの多ルート化が進むほど、それに専 従 する(専門 的)スタッ フの必要性 も増すだろ う。そうな ると、 政 治・選挙活動にかかる費用を抑えるために導入したICT が、(アメリ カ のように) かえって高 額な専門職 の雇用につ ながり、技 術的フ ィ ル ターのみを 通過した意 見が表面化 しやすい環 境を創出し てしま う 可能性を高める。 さらに、ICT による最大の効果、影響を考えた時、私たちが期待 す ることは、 国民の多く が思う風潮 、すなわち 「世論」を 形成で き るか、否かである。この点について、2012 年時点では、法律改正に
至らない今回の選挙では政党、候補者は ICT を利用した選挙運動は 更 新できない 。そうした 環境下にあ って、野田 首相をはじ め、安 倍 総裁も告示日に「最後」のメッセージを発信した11。この時ICT を最 も 効果的に演 出装置とし て利用した 人物は、橋 下徹大阪市 長であ ろ う。石原慎太郎とともに、橋下は日本維新の会共同代表代行に就き、 90 万人を超えるフォロワーを Twitter 上で記録した。さらに、彼は公 示 日に公職選 挙法につい て「ネット での政策の 主張を認め ず、バ カ みたいなルールで前近代的な作業ばかりやらせる」と記した12。 (もちろん、現在のICT が普及する前は、「世論」を知るために、 政 治家が番記 者や懇意に している新 聞記者など を通じて「 アドバ ル ー ン」は打ち 上げられて いたが、) 今日注目を 集めやすい 政治家 の 過激な発言は、SNS を通じて発信され、時にそのニュース・バリュ ー 以上のイン パクトをも つプロダク トとしてテ レビ番組や 新聞紙 面 上 に掲載され 、さらなる 注目を集め る。こうし た「世論」 形成の 仕 組 みを巧みに 利用して、 政党、政治 家が意図的 に発するこ とがで き る環境は日本でも整っている。ゆえに、ICT が発達するほどに、政 治 ・選挙(活 動)のアメ リカ化が進 み、政治マ ーケティン グに依 拠 し た政党・政 治家の情報 発信、「世 論」形成が より複雑に なる可 能 性が、現代日本政治にも大いにある。 2 日本政治におけるテレビCM こ れに対 して 、マス ・メ ディア を利 用した 日本 の政党 によ るテレ ビ CM の特徴を整理しておこう。ICT の活用が政治領域で活発にな
11 「ネットでは『最後の訴え』」『日本経済新聞』2012 年 12 月 4 日、朝刊。 12 「橋下氏、公示日にもツイッター。」『日本経済新聞』2012 年 12 月 5 日、朝刊。な お、本稿執筆の6 月下旬では、112 万以上のフォロワーがいることになっている。
る につれ、独 自のコンテ ンツを候補 者が積極的 に発信でき る情報 空 間 がある。た だし、現実 的には、有 権者の多く が当該選挙 区にお け る 全候補者の 全てのコン テンツを閲 覧するとい う確証がな いため 、 党が提供するコンテンツは一定の意味をもち続けている13。 これを踏まえ、山本(2008)によれば 1995 年解禁された政党広告 のいくつかの特徴があげられる14。テレビ CM における政策メッセー ジは抽象的であり、テレビ CM のコンテンツから視聴者を自党 HP に 誘導するこ とはほとん どないため 、具体的な 政策情報の 提供に 結 び ついていな い。画面上 では「コミ カルな演出 」が強調さ れるこ と が ある。ただ し、そうし た演出が、 支持や実際 の投票に有 意な影 響 を もたらした という研究 は、これま で見出され ていない。 長年、 選 挙 の啓蒙、報 知活動を担 っている明 るい選挙推 進協会によ る調査 項 目に含まれる政党のスポット CM は、閲覧する機会はあるが有用さ に 欠けるとい うイメージ を超えられ ない。ビジ ネスという 点に注 目 す ると、政党 は永続的な 宣伝活動を しないが、 選挙が近付 くと規 模 に 違いはある ものの、各 党ともに広 告をテレビ 画面に登場 させて い る 。そのため 、広告業界 にとっては 、政党のテ レビ広告は 「一時 ボ ー ナス」の意 味合いが強 い。政党に は宣伝広告 に専従する スタッ フ は 限られてい る(もしく はいない) ため、政党 は実際の運 営を仕 切 る 広告代理店 やその業界 のルールに 従わざるを えない。新 聞広告 に ついても、1990 年代以降、各党で選挙対策を意識した出稿がなされ て いる。たと えば、自民 党は全国紙 、地方紙の 区分なく同 じ規模 の
13 参 考 に な る 先 行 研 究 と し て 以 下 の も の が あ げ ら れ る 。 Julia Metag and Frank
Marcinkowski “Strategic, Structural, and Individual Determinants of Online Campaign in German Election,” Policy and Internet, Vol. 4, No. 3~4 (2012), pp. 136~158.
14 山本竜大「インターネット登場後の現代日本政治における政治情報の研究」東京工
政党広告を打っていた。民主党は、1 人区対策としてスポーツ紙や夕 刊 紙から地方 紙への出稿 を増やした こともある 。共産党は 、衆議 院 ・ 参 議 院 選 ご と に 全 国 紙 の 利 用 度 合 い を 変 化 さ せ て い た 。 と こ ろ が、広告出稿量と獲得票の明確な関係は精緻に把握されていない。 さらに、テレビとネット CM の境界を明示する先行研究は見出さ れにくい15。むしろ、かつてのような地方やメディア間に生じていた コンテンツの限定性がなくなり、テレビやネットCM も多様な SNS と ともにメデ ィアや政治 情報、広告 研究の一素 材とみなさ れつつ あ る16。近年の日本では若者を中心として新聞購読の割合が低下し、テ レビ離れや「カスタマイズ視聴」も進む17。しかし、その現状を踏ま え ると、もし 魅力的なコ ンテンツを 政党が提供 したなら、 「世論 」 形 成 や 政 党 支 持 を 変 化 さ せ る 可 能 性 が 見 込 ま れ る18。 そ こ で は 、 党 是 、スローガ ンに加えて 、独自の演 出が、各党 の現状、永 田町の 政 治 状況の説明 、世論調査 と合致する 、しない可 能性も検討 できる か も しれ ない。 この 点を踏 まえ て、次 章では 2012 年衆院選のネット CM のコンテンツの特徴を、音声データに注目しながら明らかにす る。
15 参照した文献として、少なくとも、以下のものを挙げられる。Rachel E. Dubrofsy
“Surveillance on Reality Television and Facebook: From Authenticity to Flowing Data,”
Communication Theory, Vol. 21 (2011), pp. 111~129. 李津娥『政治広告の研究』(新曜
社、2011 年)。
16 Tom Broxton, Yannet Interian, Jon Vaver, and Mirjam Wattenhofer “Catching a viral video,”
Journal of Intelligent Information Systems, Vol. 40, Issue 2 (2013), pp. 241~259 を参照。
17 カスタマイズ視聴については、以下を参照のこと。NHK 放送文化研究所「広がる “カ スタマイズ視聴” と “つながり視聴” ~『テレビ 60 年調査』から(1)~」『放送に 関する世論調査』(2013 年)http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2013_ 06/20130602.pdf。 18 約 10 年で確実に人口当たりの部数は減少している。「新聞の発行部数と普及度」一 般社団法人日本新聞協会、http://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation05.php。
三 分析
本研究で利用する動画データは選挙中に YouTube 上にアップされ た(政策説明を含む)ネット CM である。それらの中に含まれる音 声 コ ン テ ン ツ が 必 要 最 低 限 の シ ソ ー ラ ス に 基 づ い て 編 集 さ れ た 上 で、データ化された19。次に、それらは形態素解析にかけられた後、 社 会ネットワ ーク分析の 手法を用い て、共起す る語から構 成され る グラフとして表示させられている。その結果が、8 つのパートからな る図 1 である。 1 自由民主党 図 1-①は自民党のCM で語られたテキストのグラフである。時期 からみて、ここでは 3 本を同党のネット CM とみなす。そのうち 2 本は「日本を取り戻す。」の15 秒と 30 秒版であり、残りは谷垣前 総 裁時にも利 用されてい たキャッチ ・フレーズ 「一人ひと りを強 く 豊かに。」で始まり11 月 23 日に公開されたという 32 秒の「安倍晋 三総裁演説 30 秒バージョン 熊本県・健軍商店街(2012 11 17)」 版である(図 2-①参照)20。2 本は経済、教育、安心、日本を取り 戻すとスーパーインポーズしながら、図 1-①のグラフ(D)にみら れるように「皆様と総力で!」で締めくくられている。2009 年の事 例では、当時の麻生総裁が登場するテレビやネット CM では「日本 を守る」という言葉が印象的であったことを思い出すと、やはり「日 本=自民党、政権」と置き換えられる。19 それゆえ、形態素解析で語同士のつながりで強調されない語がありうることは留意 する必要がある。 20 以下で登場するキャッチ・フレーズは、以下参照「(乱流 総選挙)政党コピー、似 てる。【名古屋】」『朝日新聞』2012 年 12 月 11 日、夕刊。
(「日本-取り戻す」の 1 本分を含む)グラフ(A)と(D)を除 いた描画は、32 秒版から構成されている。そこでは、東北復興、社 会 保障基盤づ くり、円高 とデフレ是 正という経 済課題と「 政治は 結 果」であるという言葉が表現されている。この選挙では首相経験者2 名 を含む党内 実力者が引 退・不出馬 を表明した ことに加え 、自身 が 病気(潰瘍性大腸炎)により第 1 次内閣で突然降板しながらも、新 薬 で完調した ことを強調 して安倍晋 三が再登板 を果たした 経緯が あ る 。それを踏 まえるなら ば、ここで 「力強い」 言葉で述べ る様子 を 編集、利用し、(党と総裁の)変化を表そうとする発信、演出の意図 も私たちは理解できる21。 しかし、3 本のネット CM の音声テキストから構成されたグラフを 見る限り、「日本を取り戻す」ための根拠や手法は不明である。さら に は、今回の 選挙で「守 る」という 言葉の共起 語は、国民 、安全 、 子供たちである。主に「日本を、取り戻す。」の30 秒版で構成され たグラフ(A)には教育、技術を持つ日本(人)は豊かで、安心でき る 生活を自民 党政権なら 得られると いうメッセ ージがある 。しか し な がら、その 他の政策課 題としては 、私たちは この抽象的 な語か ら イメージされる現実と「守る」との関係を結びつけられるだろうか。 政権復帰後に起きた国内外における事件への対処、「美しい国」とい うフレーズを掲げた第1 次政権で実施に至らなかった政策内容の「焼 き 直し」につ いて、選挙 当時から十 分な関連情 報の提示な ど明示 さ れていない。次数(degree)に注目すると、(A)の「日本」が最も
21 「(乱流 総選挙)政治の道、続く諸君へ 引退議員、国会最後の日 衆院解散」『朝 日新聞』2012 年 11 月 16 日、夕刊。安倍総裁の病気克服に関する情報については以 下 を 参 照 。 財 団 法 人 日 本 消 化 器 病 学 会 『 消 化 器 の ひ ろ ば 』(2012 年 ) http://www.jsge.or.jp/citizen/hiroba/pdf/now01.pdf。
図1 政党ネット CM の音声テキスト・データを利用したグラフ
①自民党
高い13 を記録した。媒介中心性(Betweenness centrality)、ページラ ンク(Page Rank)では(A)「日本」、(G)「守る」のみが目立つ22。 これらのテキスト情報から、7 つのグラフが構成されたが、それらは 相 互に連携し あう完全グ ラフではな いことから 、自民党、 その党 首 のメッセージが分断的な内容であったと私たちは確認できる23。 2 社民党 社民党はキャッチ・コピー「生活再建 いのちを大切にする政治」 を「脱原発」と「守る」編など3 本で表現しようとした。図 1-②に あ るように終 わりの言葉 として利用 された「命 -大切-政 治」で 構 成される3 角形がキャッチ・コピーと一致する(図 2-②)。また、 上 部に右側の 歪なグラフ では、政策 イシューと しての平和 ・沖縄 問 題 、原発、日 常生活が読 み取れる。 同党のスタ ンスをイメ ージす る と、 テキスト自 体には目新 しさはかけ るものの、(「脱 原発宣 言」 と い う音声が演 出上特徴的 なように) 子供の画像 や音声、映 像が豊 富 に 組み込まれ ていた。そ うしてみる と「社民党 が守るのは 子供た ち の未来、笑顔、暮らし」であるというメッセージは、3 編ともに共通 す ると理解で きるだろう 。いくつか の次数、媒 介中心性指 標でも そ れ らの重要性 が確認され る。もっと も、同党も 脱原発など エネル ギ ー確保策や具体的な代替案などには言及していない。
22 次数中心性は、単純にグラフを構成するノードに接続されているリンク数を評価基 準としている。そのため、その数値が高いほど中心性が高いとみなされる。媒介中 心性は、複数のノード間に最短距離上に存在するノードを重視する見方である。ペ ージランクは、主にインターネット上に存在するサイト・ページの重要度を測定す るために開発された指標である。 23 自民党の場合、そのグラフ密度(Graph Density)は 0.182 に過ぎない。
3 日本維新の会 30 秒 1 本のみを制作したと思われる日本維新の会の CM は、2 本 の15 秒版が合成されたものである(図 1-③、図 2-③)。いずれも 最後に検索ボックスをイメージさせながら「維新 Live」でネット上 の 他コンテン ツに誘導を 図っている が、メイン となる情報 は編集 さ れ た橋下共同 代表の演説 である。そ の口調には 勢いがあり 、人々 の 心を駆り立てる印象さえ聞き手に与える。上下 2 つのグラフがその 内 容を表して いる。媒介 中心性では 「日本」と 「なきゃい けない 」 の みが目立つ 数値を記録 したところ から、橋下 共同代表の キャラ ク ターに依存しながら日本のあるべき姿の強調が同党のネット CM の 特徴であるといえる。 4 みんなの党 動 画では 渡辺 代表が 若干 劇画タ ッチ のアニ メー ション とな って登 場する。「政治は行動だ」という掛け声で始まるストーリーは代表が スケート・ボードで滑りながら図2-④にあるように画面上「消費税 増税」を砕いた後に、「増税の前にやるべき事がある」という声を発 し、「しがらみ」「既得権益」「中央集権」という障害を打ち壊し、「増 税凍結」「原発ゼロ」「経済復活」(パート 2 では「経済復活」「行政 改革」「電力自由化」)を飛び越え、同代表のポスターと「闘う改革」 という静止画で締めくくっている。図 1-④で経済復活をハブにする 上から2 番目のグラフは左側がパート 1、右側がパート 2 のデータか らできている。同党は、2009 年アジェンダを前面に出して衆院選を 戦 い、それ以 降もたびた びその語を 用いている 。この選挙 でも、 同 代 表自身、自 民党を離れ る要因にな った天下り 廃止に端を 発する 公 務 員改革と既 出の言葉で 連動させて イメージ付 けを試みて いる。 確 か に、これら の文言は同 党が都市部 に候補者を 擁立しやす いこと を
踏まえると一定の支持を得られそうである。ただ、すでに、過去12 年 で国家公務 員の数は相 当数削られ ている現状 を踏まえる と、小 さ な 政府によっ て生じる悪 影響、基幹 となる国家 システムの 維持に 対 す る不安を解 消するメッ セージや具 体的な政策 方針は、そ れらに 含 まれていない24。 ③日本維新の会 ④みんなの党
24 データを参照する時、国会議員の定数問題、隣国との関係、国家公務員のモチベー ション維持、(今後の)優秀な人材確保、組織維持などを考慮すると、自ずと削減や 給与削減にも限界があることを政党は理解する必要性があるだろう。この点は高級 官僚の天下り問題を連想させやすいけれども、特殊行政法人を含む現場を支える人 々の待遇劣化など課題が多いことは、あまり政党もマス・メディアも触れていない ように思われる。そして、人員削減が実施されていない特別職がどういう人々かを 思 い 出 す 必 要 が あ る 。「 国 家 公 務 員 の 数 と 種 類 」 人 事 院 、http://www.jinji.go.jp/ booklet/booklet_Part5.pdf。
5 日本共産党 近年の共産党のネット CM は、コストをかけずに、多少コミカル さ を強調しな がら関心を 得ようとす るコンテン ツをライン アップ し てきた。今回も、4 つのテーマ-TPP、米軍基地、原発、消費税-に ついて計 8 本がアップされた。TPP は市場開放による不安、軋轢を お にぎりと牛 肉の食品パ ックで表現 し、原発問 題について は福島 原 発 事故による 環境・エネ ルギー政策 、原発ゼロ 、電力(源 )の選 択 を 、ヤドカリ やキャラク ター化した 裸電球がつ ぶやくナレ ーショ ン を かぶせた。 消費税版で は(選挙が 冬に実施さ れたためか )サラ リ ー マンと思わ れる複数の 男性がおで んを居酒屋 で食する会 話によ っ て(図 2-⑤)、そして3 羽の文鳥の水浴びによって消費税 10%化に よ る負担増大 への不満、 大企業や富 裕層への税 負担が主張 されて い る。そのエンディングでは、「消費税に頼らない別の道があります」 と 志位和夫書 記長による 「提案し、 行動する」 というナレ ーショ ン を 重ねていた 。米軍基地 については 、クマノミ が「沖縄は なかな か 安 心して住め るようにな らないね」 という言葉 から始まり 、オス プ レイ配備への不安を指摘しながら、「日本がアメリカにガツン」と言 って欲しいというナレーションをつけた。もう一本は、「平和を守る」 こ とを仕事に するシーサ ーの置物と オスプレイ の模型が会 話する も の である。両 方とも沖縄 の人々の幸 せとアメリ カの(軍事 的)利 益 の 関係から「 アメリカい いなり、も うやめよう 」と提議し ている 。 全てのテキストを利用した図 1-⑤-(Ⅰ)から2 回以上の共起語で 構 成した結果 、同図(Ⅱ)をみると、志位書記長が述べる「提案し 行 動する日本 共産党」と いう言葉は 残るものの 、語られた 政策テ ー マ と同党の主 張は大幅に 減っている 。ここから 、コンテン ツの面 白 さ と 強 調 す る 政 治 情 報 の バ ラ ン ス の 難 し さ が 指 摘 さ れ る の と 同 時 に、前章の冒頭に示したWest の 3 番目の原則であるの対抗勢力(こ
⑤日本共産党
(Ⅰ)
こ では与党や 自民党)が 打ち出す政 策の悪魔化 や共産党独 自の代 替 策の提示という点において、同党のネットCM の課題が浮かぶ。 6 民主党 初めて民主党が政権を執った 3 年余りの間、東日本大震災、当初 見 込みより低 かった税収 や財政難に よる政策変 更、党首や 大臣の 不 適切な発言、政官関係、(自民党より結束が緩いとみられる)グルー プ により繰り 返される党 内の争い、 選挙時に掲 げた政策の 未達成 な ど により民主 党の支持率 は、世論調 査で確実に 下がった。 しかも 、 2012 年 11 月に安倍総裁との党首討論で野田総理の口から出た解散 総 選挙の言葉 は、攻勢側 にあった安 倍総裁のみ ならず、解 散・総 選 挙 の時期を見 定めるため に躍起にな り、落ち着 きのない民 主党議 員 でさえ、意表を突かれた表情を見せるものであった。この環境下で、 民主党からは 6 つのコンテンツ提供が確認できる。まずネット上に アップされた「今と未来に誠実でありたい」の内容(表 1)をチェッ クしよう25。 そ こでは 、戦 後から 高度 成長時 と思 われる 映像 を重ね 、現 代にお ける諸 政策課題の なかでも「 震災復興 」、「高齢社会 福祉」、「 エネル ギ ー問題」を 強調しつつ 、党内や政 党間の「足 の引っ張り 合い」 を 超えて、説明責任と議論を尽くす姿勢、野田代表が度々口にした「決 められる政治」と人柄をイメージさせようとしている。 続いて、診療報酬 2 回連続プラス改定を含む「地域医療の立て直 し」、「公立高校無償化」と私立高校の授業料一定助成制度の導入(図
25 テレビ CM 用の「動かすのは決断」篇(2 本)は、同党の YouTube サイトに掲載、記 録されていなかった。そのため、筆者の調査記録では全ての再生回数を時系列で把 握できない。
表1 新テレビ CM「今と未来に、誠実でありたい。」 音声 スーパーインポーズ 私たちは、今、改めて思います。 政治が足の引っ張り合いをしている場合 ではない。 一つ一つの問題を乗り越え、前に進めなく てはならない。 私たちの父や母やお爺さんたちは、何もな いところから立ち上がりました。 奇跡の国という人もいたけれど、私たちは 知っています。 本当は、努力の国、一生懸命の国だという ことを。 これからこの国は、大きな決断をいくつも していかなければなりません。 どちらが正しい、どちらが間違っていると 決めつけにくいものばかりです。 魔法なんてありません。 地道に粘り強く、一生懸命に、できるだけ 多くの人が頷きあえる一点を見つけ出す。 私たちは思います。 今と未来に、誠実でありたい。 お年寄りの病院代と子供の将来に、町工場 の経営とお母さんの気持ちとエネルギー の安全。 企業の業績と若者の夢に、貿易の発展と農 業の明日に、街の便利と村の豊かさに。 今日の暮らしと明日の安心に、説明を尽く し、議論を尽くし、最良の決断をする。 今と未来に、誠実でありたい。 私たちは民主党です。 大震災からの復興。 高齢社会の支え方。 エネルギーの問題。 今と未来に、誠実でありたい。 今と未来に、誠実でありたい。 民主党。 出典:http://www.youtube.com/watch?v=qTmBt_tgO_Iからテキスト化 2-⑥)、1300 万人 1.7 兆円分の「消えた年金の回復」がアップされ た 。これらは 、不評であ ったが政権 下で実施、 進行中の政 策、実 績 を「世論」にアピールするものであった。そして、テレビ CM とし て も流れたコ ンテンツで あり、野田 代表が語り かけるスタ イルを と
った「動かすのは決断・総理の経験」編(30 秒)がネット閲覧者に アクセスできるようになった(表 2、図 2-⑦参照)。 表2 「動かすのは決断・総理の経験」編(30 秒) 音声 スーパーインポーズ 野田佳彦です。 この国の総理に就任して1 年あまり。 分かったことが一つあります。 結局大事なことは、決めることでした。 自分で責任を負って決断する。 そのことだけで物事は大きく動き出します。 日本のことも、人生のことも、動かすのは、 決断です。 今と未来への責任。民主党。 動かすのは、決断です。 今と未来への責任。民主党。 出典:http://www.youtube.com/watch?v=lbhwhG3XGXI からテキスト化された。 し かしな がら 、これ らの コンテ ンツ にはそ れま での同 党の 劣勢を 挽 回できるほ どのインパ クトを与え るメッセー ジは見当た らない 。 より正確に言えば、2009 年時に発せられた(ネット)CM の内容を 上 塗 り す る 印 象 を 脱 し て い な い 。「 消 え た 年 金 の 回 復 」 に 注 目 す る と 、年金納付 率が低下す る近年の状 況に(結果 的には)歯 止めが か かったようにも見えるが、未納率が50%に迫る若者へのメッセージ と しても、雇 用や経済政 策としても 同党の実績 に対する理 解向上 に つながったかは、未知数と言わざるを得ない26。 これら6 本のコンテンツから得られた 134 のノード、474 本のエッ
26 2012 年度の保険料納付率は 59.0%で、前年から若干改善したものの、「25~29 歳は 47 %、30~34 歳で 49%」であり、非正規雇用が増加する労働市場においては、国民年 金未納問題は依然深刻な問題である。「【国民年金の保険料納付率】目立つ若者の未 納 老後に低所得の恐れ」『47NEWS』2013 年 7 月 16 日、http://www.47news.jp/feature/ kurashi/description/243493.html。
ジから構成されたグラフの図 1-⑥-(Ⅰ)では、どんなメッセージ を民主党が強調したかを理解できない。そのため、2 回以上共起する 語を抽出した同図(Ⅱ)を参照しよう。確かに、密度は0.0585 から 0.124 に上昇し、エンディング・メッセージで表れた「今と未来に(誠 実に)責任をもつ」同党が取り組んだ政策成果は、「私たちが思う」 と ころでは「 着実に進ん でいる」か ら、野田代 表が述べる ところ の 課 題に今後も 民主党とと もに「真正 面から立ち 向かいまし ょう」 と い う主張を伝 えようとし たかもしれ ない。しか し、キャッ チ・フ レ ーズ「動かすのは、決断」に連動した CM はテレビ放映よりも遅れ て ネットに登 場したため 、そのメッ セージの流 布、浸透に も十分 な 時 間はなかっ たとみられ る。結果的 には、マス ・メディア を中心 に して形成された「世論」の風向きを変えるほどの映像インパクトを、 それらは発揮しなかった。 7 公明党 公明党は、既存のテレビ・ネット CM ではなく、政策紹介に力点 を置いた動画を発信した。それらのタイトルは「エネルギー政策 着 実に原発ゼロに向けて進む」、「道州制 国のカタチってなに?」、「防 災・減災ニューディール~安全・安心な日本、元気な経済」、「消費税 (社会保障と税の一体改革)公明党は消費税にYES! but NO!」であ る。これらの共通点は、歴史、(現行)制度と現状、数値データを数 多く取り入れ、閲覧者への説得を試みていることである。そこには、 取 り 上 げ る 政 策 テ ー マ の 重 要 性 を 示 す に は 十 分 な ボ リ ュ ー ム が あ る 。表現方法 についても 、万人が受 容しやすい ようなポッ プであ り ながらシンプルな色使いという配慮がされた(例えば、図 2-⑧)。 し かし、難点 もある。ま ず、エネル ギー政策で は原子力に 代わる い くつもの政策オプションが提示されているけれども、その中で同党
⑥民主党
(Ⅰ)
と して最も推 進すべき政 策選択はな されていな い。それを 有権者 や 国民との対話のなかで進めたいとするならば、(代替、再生、シェー ル ・ガスなど どんなタイ プであろう とも)現状 において普 及して い な いエネルギ ー開発にお ける政党と しての同党 の役割は明 らかに さ れ ていない。 道州制につ いても、そ のメリット は伝わるが 、首長 、 地 方自治体行 政の責任増 大、地域間 格差の拡大 、さらなる 社会資 本 の 都市圏集中 の可能性な どのデメリ ットは十分 説明されて いるだ ろ うか。防災・減災の財源に関しても民間投資や PFI などを生かしな がら(返済期間60 年の)建設国債、(同 25 年の)ニューディール債 も発行して、「赤字国債、消費税に手を付けません」と述べ、10 年間 で 100 兆円の経済効果を生み出すという。これについても、同党は 既 存の公共投 資、借金体 質からの脱 却、先進国 中でも極め て悪い 財 政状況27に伴う国際的不安、消費税率アップの必要性と健全財政への
道筋に言及していない。「Yes but No」という表現に象徴されるよう に 、消費税増 税について は、時機を みて行政の 無駄を省き ながら 、 社 会保障に対 し利用しな い場合は増 税を許さな いという。 さらに 、 軽減税率の検討を(公明・自民・民主の)3 党協議で認めさせたとい う 政治的成果 も当該コン テンツでは 強調されて いる。この ように 、 多岐にわたる内容を4 本計 20 分程度でまとめている。 (2 回以上共起し、ある程度テーマ後ごとにまとめられた)図 1- ⑦ を参照する と、情報量 の多さに対 して完全グ ラフは形成 されて い ないため、76 のノード、92 本のエッジで構成されたこれらのグラフ の密度は0.032 と低い。4 つの動画の終わりに記された「日本再建 公 明党」(図の左下)以外に、次数では公明党(17)が突出していたの
27 財 務 省 「 財 政 事 情 を 諸 外 国 と 比 較 し て み る と ? 」『 日 本 の 財 政 を 考 え る 』、 http://www.zaisei.mof.go.jp/theme/theme4/。
⑦公明党
(Ⅰ)
に対して、媒介中心性を計算した結果では「生活(733)」「ムダ(702)」 「国 民(702)」「地方(696)」「公明党(615)」となる。ページラン クでは「公明党(5.170、小数点第 4 位四捨五入)」を筆頭にして「日 本(2.067)」「国(1.653)」「地域(1.628)」が続く。これらから、具 体 的に推進す べき政策オ プションが メッセージ の中心には なって い ないことがわかる。 8 日本未来の党 民 主党在 籍時 から消 費税 「増税 の前 にやる べき ことが ある 」とい い ながら「や るべきこと 」を明言し なかった小 沢一郎とそ のグル ー プは、2012 年 7 月上旬に離党届を提出した28。同じころ、原発再稼 働 基準を巡り 、近畿府県 の首長たち が原発の停 止・再開に 議論を 重 ね ていた。そ の一連の政 治過程で段 階的に原発 への依存度 を低め る 「 卒原発」を 提唱した滋 賀県知事・ 嘉田由紀子 と小沢グル ープ、 そ れに近い考えをもつ人々が合流した。11 月 28 日の結党とほぼ同意時 期 に基本政策 「びわこ宣 言」が提出 された。た だし、選挙 が直近 に 迫 る な か で 起 き た 政 治 グ ル ー プ の 離 合 集 散 が よ り 注 目 さ れ る な か で、有権者へ諸政策に関するアピールが届いたかはわかりにくい29。 同党からネット上にアップされた 3 本の CM を、私たちは確認で き る。それら の演出は、 若者を中心 に利用され るスマート ・フォ ン や タブレット 型端末の画 面に、同党 の主張-脱 原発と消費 税増税 の 反対-をコンパクトに表現する(例、図 2-⑨)。しかし、それらは
28 「首相、自公と連携加速、消費増税『成立に責任』、離党届50 人、小沢新党へ。」『日 本経済新聞』2012 年 7 月 3 日、朝刊。 29 「びわこ宣言」には「卒原発」、「活女性、子ども」、「守暮らし」、「脱増税」、「制官 僚」、「誇外交」が含まれる。他党との選挙協力も模索されたが、効果的と断言でき ない。結局同党は1 か月で分党した。
一 見したくら いでは見逃 してしまう ほど類似し ている。そ れ以上 に 問 題点は、小 沢グループ に党内主導 権を握られ た同知事の 党内ポ ジ シ ョンは選挙 後も不透明 なままであ ったことで ある。しか も、同 じ こ ろに、地元 議会からも 国政と県政 の優先順位 の決定を迫 られた た め 、さらに、 党首として 、同知事の 政治的フリ ーハンドの 範囲は 狭 まるのみであった30。 そこで CM で「実行する力」と最後に強調されても、現実の政治 過 程に関する 情報を有す る有権者ほ ど、画面に 一瞬たりと も登場 し ない党内の真の実力者の存在を気にかけるだろう。そのため、それ ⑧日本未来の党
30 例えば、選挙前なら、「『嘉田知事の党首兼務疑問』、滋賀県議会で追及、知事『県政 停滞招かぬ』」『日本経済新聞』2012 年 12 月 4 日、朝刊(大阪・社会面)。選挙後な ら、「滋賀県議会、兼務解消求める決議 知事、党務続ける構え」『朝日新聞』2012 年12 月 26 日、朝刊。
ら コンテンツ が同党への 信頼、支持 を高め、投 票行動につ ながる か については、懐疑的にならざるを得ない。
四 おわりに
本稿は2012 年衆議院選挙において主要政党がインターネット上に 発信された政策主張を含むネット CM の特徴をコンテンツについて 検討を加えた。その結果、次の知見が得られると考えられる。まず、 全 体的特徴と して、急き ょ実施され た国政選挙 であったに せよ、 そ れ らの政策的 メッセージ は具体性を 欠いていた 。ネット空 間には 時 間 制限のない 点と今後到 達すべき政 策目標に対 する説明、 そして 視 聴 者にストレ スをかけず にメッセー ジを理解さ せることな どを考 慮 し た 時 、 各 党 の コ ン テ ン ツ は 旧 来 の よ う に イ メ ー ジ の み が 強 調 さ れ 、政策論争 の幅は非常 に狭く、浅 かった。そ して、自民 党が事 前 の 世論調査の とおり「政 権奪還」を 果たしたこ とから、実 際のそ れ らの政治的影響も限定的だったとみなせる。 も ちろん 、従 来のス タイ ルに回 帰し た印象 を与 える理 由の 一つに 具体的な政策、「マニフェスト」を掲げながらも達成できなかった民 主 党の経験を 対岸の火事 とみなさな かった他政 党の警戒心 がある だ ろ う。さらな る特徴とし て、影響が 限られた要 因の一つと して利 用 された言葉の曖昧さがある。例えば、「命」や「守る」、「やるべきこ と 」などの抽 象的な言葉 は、社会保 障、医療、 教育、外交 ・防衛 な ど 多様な政策 イシューを 想起させ、 過剰な期待 さえいだか せる。 今 回主たる政策争点であったであろう消費税増税、(広義の)エネルギ ー ・環境政策 を多くの政 党が視聴者 に意識させ ていたが、 その具 体 策 や対応策の 明示、投票 率と高める 効果、「世 論」形成と いう点 に おいて、今回の CM コンテンツは説得力にかけるという評価になら ざるを得ない。ICT を利用して政治・選挙キャンペーン、政治広報や政治マーケ テ ィングが可 能な環境を 政党・候補 者、有権者 も手に入れ ている た め 、その空間 内では耳障 りの良い一 時的な政策 アピールか ら具体 的 な 情報発信へ 脱皮し、政 党・候補者 と有権者・ 国民の間で どの程 度 相 互作用が活 発になるか が今後解禁 されるネッ ト選挙キャ ンペー ン では大きく問われる。現実には2013 年 4 月に ICT を活用した選挙キ ャンペーンが利用可能になった。(先進国を中心に)ICT を政治・選 挙 キャンペー ンに導入、 活用する国 、政党ほど パーマネン ト・キ ャ ン ペーンへの 移行が進む と思わる現 状では、一 貫性のある 政治・ 政 策 メッセージ 発信が従来 以上に問わ れる。同時 に、このこ とは、 政 治情報に関する e ガバナンスの重要性が増すことを意味する。そう して考えてみると、今回のネット CM のコンテンツの評価は、日本 政 治における ネット選挙 キャンペー ン解禁前の コンテンツ の特徴 を 明らかにする点において、一定の学術的貢献を果たしている。 最 後に、 今回 の事例 や素 材につ いて さらに 取り 組むべ き課 題に触 れる。一つは、時系列推移を踏まえた再生回数の計量的分析である。 もう一つは、(党内外やその他の)コンテンツ間のネットワーキング で ある。これ らが明らか になれば、 現代日本政 治と情報の 現状と 課 題 について本 稿と合わせ て質量の両 面からさら なる知見を 得るこ と になるだろう。 ( 寄 稿 :2013 年 8 月 7 日、採用:2013 年 9 月 20 日)
主要政黨網路廣告之特徵:
2012 年眾議院選舉之個案研究
山
本 龍 大
(金澤大學人間社會研究學域法學系副教授)【摘要】
本文旨在理解主要政黨於2012 年參議院選舉期間,網站上提供的 廣 告內容之特 徵。檢視後 得到如下觀 點。民主黨 強調政治決 定與其 在 2009 年提議之政策。自民黨的「奪回日本」之標語,則是換置自民黨 或 政權之詞。 公明黨強調 關注政策問 題與該黨在 三黨形塑共 識過程 中 的 角色;然並 未明確地表 示應該選擇 ・推進之政 策;對於應 該推進 何 種 內容,也因 為距離決策 時現仍久緣 故,而保有 修正的空間 。共產 黨 沿襲近年之路線,以詼諧方式表現 4 個主題,共計 8 隻廣告。其他黨 派 也採取容易 傳達之語言 。然而,從 「輿論」動 向來看,在 政權可 能 輪 替的情況下 ,就會存在 政黨利用資 訊通信技術 ,提出與這 個政權 具 有 擔 當 能 力 之 廣 告 與 政 治 市 場 觀 點 的 具 體 內 容 、 及 提 高 電 子 治 理 (e-governance)效能等問題。 關鍵字:眾議院選舉、資訊通信技術(ICT)、商業廣告(CM)/影片 (CF)、政策/政治資訊Characteristics of Internet Commercial
Messages by Major Parties:
Case Studies of 2012 House of
Representatives Election in Japan
Tatsuhiro Yamamoto
Associate Professor, School of Law, College of Human and Social Sciences, Kanazawa University
【
Abstract】
The purpose of this paper is to understand the characteristics of internet Commercial Message (CM) content provided by major parties during the 2012 House of Representatives election. The examination’s findings are as follows: The Democratic Party of Japan emphasized its political decisions and the results of policies proposed in 2009. The catch phrase of the Liberal Democratic Party “Recover Japan” can describe the LDP itself or its political power. New Komeito emphasized the focus on policy issues and its role in achieving agreement among political parties. The policies which will be promoted are not indicated, which leaves room for improvement. The Japanese Communist Party had 8 CMs under 4 comical themes based on its recent political path. Other parties also paid attention to the ease with which the language was communicated. Under the circumstances that a change of political power is likely to happen based on the trend of “public opinion”, there are issues of developing specific content from the viewpoint of PR and political marketing. This corresponds with the capability to assume political power as well as improve e-governance when information and communication technologies are utilized by political parties.
Keywords: the House of Representatives election, Information and
Communication Technologies (ICTs), commercial messages/films, policy/political information
〈参考文献〉 「(乱流 総選挙)政治の道、続く諸君へ 引退議員、国会最後の日 衆院解散」『朝日 新聞』2012 年 11 月 16 日、夕刊。 「(乱流 総選挙)政党コピー、似てる。【名古屋】」『朝日新聞』2012 年 12 月 11 日、夕 刊。 「『嘉田知事の党首兼務疑問』、滋賀県議会で追及、知事『県政停滞招かぬ』」『日本経済 新聞』2012 年 12 月 4 日、朝刊(大阪・社会面)。 「国家公務員の数と種類」人事院、http://www.jinji.go.jp/booklet/booklet_Part5.pdf。 「滋賀県議会、兼務解消求める決議 知事、党務続ける構え」『朝日新聞』2012 年 12 月 26 日、朝刊。 「首相、自公と連携加速、消費増税『成立に責任』、離党届50 人、小沢新党へ。」『日 本経済新聞』2012 年 7 月 3 日、朝刊。 「 新 聞 の 発 行部 数 と 普 及 度」 一 般 社 団 法人 日 本 新 聞 協会 、http://www.pressnet.or.jp/ data/circulation/circulation05.php。 「政党支持率推移(2001 年 5 月~2012 年 12 月)」、日本テレビ世論調査、2012 年 12 月 http://www.ntv.co.jp/yoron/201212/graph/line/。 「争点は『森元首相』自民総裁選、三つどもえ」『朝日新聞』2009 年 9 月 19 日、朝刊。 「ネットでは『最後の訴え』」『日本経済新聞』2012 年 12 月 4 日、朝刊。 「橋下氏、公示日にもツイッター。」『日本経済新聞』2012 年 12 月 5 日、朝刊。 「【国民年金の保険料納付率】目立つ若者の未納 老後に低所得の恐れ」『47NEWS』2013 年7 月 16 日、http://www.47news.jp/feature/kurashi/description/243493.html。 NHK 放送文化研究所「広がる “カスタマイズ視聴” と “つながり視聴” ~『テレビ 60 年調査』から(1)~」『放送に関する世論調査』(2013)、http://www.nhk.or.jp/bunken/ summary/research/report/2013_06/20130602.pdf。 逢坂巌「2009 年総選挙のテレポリティクス――民主党の「パブリシティ」と宣伝」『選 挙研究』Vol. 26, No. 2(2010)、44~59 ページ。 財団法人日本消化器病学会『消化器のひろば』(2012 年)、http://www.jsge.or.jp/citizen/ hiroba/pdf/now01.pdf。 財務省「財政事情を諸外国と比較してみると?」『日本の財政を考える』、http://www. zaisei.mof.go.jp/theme/theme4/。 山本竜大「インターネット登場後の現代日本政治における政治情報の研究」東京工業大 学社会理工学研究科博士論文(2008 年)。 李津娥『政治広告の研究』(新曜社、2011 年)。
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