四 「積極的平和主義」における日台協力の契機
五 おわりに―「台湾問題」から「台湾カ-ド」へ
「積極的平和主義」は第 2 次安倍内閣の外交政策における基本理 念 である。重 要な公式の 場面や政府 文書ではた びたび「積 極的平 和 主 義」を主軸 とした外交 政策、安全 保障政策、 対テロ政策 および 歴 史 認識に関す る発言がな され、日本 の対外発展 戦略を積極 的に展 開 している。「新安保法制」の策定と「日米同盟」の強化を通してこの 政 策理念は一 歩一歩具体 的に実現さ れ、それに 関連する戦 略展開 は
72 毛里和子「日中関係 対抗から対話へ」、111~113 ページ。
周 辺諸国やア ジア太平洋 地域情勢に 影響を与え 続けるだろ う。そ の
「日台関係」に対する重要性は言うまでもない。第 2 次安倍内閣の 下 で「日台関 係」は明ら かに発展し た。中央政 府から地方 自治体 ま で 包括的な交 流が見られ る。安倍首 相が何度か 台湾を大切 な友人 だ と 発言したこ とで、それ まで台湾と の外交でネ ックだった いわゆ る
「台湾問題」は鳴りを潜め、「日台関係」は新段階へと突入した。
本稿の分析を総合的に観察してみると、第 2 次安倍内閣の「積極 的平和主義」における「日台関係」の現状と展望は 4 つにまとめる ことができる。1 つ目は「集団的自衛権」の行使容認により、今後自 衛隊は「台湾海峡問題」に介入する主体的な要因となる73。無論自衛 隊 が台湾の防 衛に協力す るか否かは アメリカの 態度次第で あるが 、 自 衛隊の活動 範囲が広が ったことで 日本が「台 湾海峡問題 」にも 影 響 を及ぼす参 加者となる 可能性もあ り、中国は 東シナ海戦 略にお い て考慮しなければならない要素がさらに複雑になった。2 つ目は「防 衛 装備移転三 原則」が策 定されたこ とで、台湾 の武器調達 および 軍 事 産業協力の 選択肢が広 がったこと である。こ れにより今 後安全 保 障‧防衛政策や国防産業において日台が協力する可能性も出てきた。
実 現の可能性 はアメリカ と中国の態 度によるが 、話題性の 面から 見 て も実務性の 面から見て も、将来軍 事協力戦略 が上手く行 けば、 日 米 台にとって は外交の切 り札となり 、日台間の 外交と戦略 展開の 幅 は拡大する。3 つ目は、安倍首相が 2 度目の首相に就任した後、「日 台 民間漁業取 決め」をは じめ多くの 協力協定が 結ばれ、日 台関係 が 大 いに発展し たことであ る。日本の メディアは 安倍首相が 台湾は 日 本 の友人だと 発言してか らは、各地 方自治体も 中国の妨害 に気兼 ね す ることなく 台湾との交 流、協力の 強化を始め 、その交流 と協力 は
73 郭育仁「日本的戰略憂慮:新安保法與安倍主義」、頁 7。
継 続している と報じた。 このような 動きは中国 を牽制する 「台湾 カ ー ド」となっ ているよう で、中国の 外交に一定 の牽制作用 を生み 出 している。4 つ目は「新安保法制」が憲法第 9 条に反するとして議論 を巻き起こしていた最中、李登輝と蔡英文が相次いで訪日し、「積極 的 平和主義」 に関連する 政策に対し て肯定的な 評価を与え エール を 送 ったことで ある。この 「新安保法 制」に対す る日本国外 からの 支 持の声は、反対の声とは一線を画する台湾政治指導者の発言として、
国 際政治やメ ディアの間 で注目を浴 び、台湾お よび台湾の 政界リ ー ダーの影響力と存在感を示す形となった。前述した 4 点は中国の外 交 政策にプレ ッシャーを 与え、ひい ては安全保 障戦略にも 変動を 引 き 起こす可能 性があり、 中国の外交 政策或いは 安全保障政 策に影 響 を与える「台湾カ-ド」効果を備えている。
本 稿が分 析し た日本 の学 者、官 僚お よびメ ディ アの「 日台 関係」
に 関する発言 から、日本 は勢いを増 す中国を前 に、周辺国 と利害 一 致を見る分野において協力を強化し、「日台関係」の強化を「台湾カ ード」の主張としていることが分かる。第2 次安倍内閣が発足し「新 安 保法制」が 策定された 後、自衛隊 の役割は「 日米同盟」 のサポ ー ト から世界の 平和の確保 へと広がっ た。台湾海 峡情勢に影 響を及 ぼ す 議題は「日 台関係」の 発展にさら なる可能性 をもたらす だろう 。 ア ジア太平洋 地域情勢の 未来は「積 極的平和主 義」の下、 引き続 き 変 動が予想さ れ、日本は アジア太平 洋地域およ び世界の平 和の確 保 に おいてさら に重要な役 割を果たし ていくこと になるだろ う。台 湾 は 「積極的平 和主義」の 下、いかに より多くの 日台協力機 会を模 索 し てくのか。 日本、台湾 、中国はい かにより広 い視野で未 来を見 据 え 、東アジア における競 争局面にお いて自身の ポジション を獲得 し 利益のバランスを図り、「非対抗の新しい秩序」を見出していくのか。
今、各リーダーの知恵が試されている。