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ダムの地質調査

<考え方>

ダムの地質調査は、安全性を確保した上で経済的で環境に配慮したダムの建設・管理を目的 として、ダム基礎、堤体材料及び貯水池周辺を含めた地質状況を明らかにするとともに、必要 な地質工学的性質を把握するために行うものである。

ダムの地質調査は以下の項目からなる。調査は、ダム事業の段階(4.2.1)に応じて適切に行 う。

1) ダム基礎等の調査及びアースダムの基礎地盤の土質調査 2) 第四紀断層の調査

3) 貯水池周辺地すべり等の調査 4) 堤体材料の調査

5) 仮設備・付替道路等の調査

ダム基礎等の調査(4.3)は、ダム基礎並びに止水上重要なリム部等の地盤(以降、ダム基礎 等)に対し、ダムサイトの選定から設計・施工及び維持管理に必要な地質情報を得るために行 う。なお、ダム基礎が全面ないし一部が土質地盤・砂礫地盤の場合は、アースダムの基礎地盤 の土質調査(4.2.7)により行う。

層)のうち、ダム建設を行う上で考慮する必要がある第四紀断層の存否、並びに必要に応じて 詳細位置、規模及び活動性を把握するために行う。

貯水池周辺地すべり等の調査(4.5)は、ダムの湛水に伴う、地すべりや崖錐等の未固結堆積 物の大規模な斜面変動(以降、地すべり等)に対し、地すべり等の存否、規模、性状、湛水に 伴う安定度を把握し、湛水地すべりの発生を防止するために行う。

堤体材料の調査(4.6)は、想定されるダム型式、規模に応じ、堤体材料として所要の品質を 満足し、かつ十分な量を確保できるか否か、より経済的に、かつ周辺環境に対して極力影響を 少なくして取得できるか否かなどの検討に必要な地質情報を得るために行う。

仮設備・付替道路等の調査(4.7)は、仮締切、仮排水路トンネル、ケーブルクレーン、走行 路、各種プラント、工事用道路等の仮設備や付替道路等の設計・施工を行うために必要な地質 情報を得るために行う。

資料の保存(4.8)は、ダム事業の各段階において得た地質調査資料を以降の段階で有効に活 用するために行う。

<推 奨>

ダム建設に関わる地質条件を効率よく正確に把握するため、地質調査はダム事業の段階に応 じて以下の方針で系統的に進めることに努める。

1) 広い範囲の調査から狭い範囲の調査へ

2) 小縮尺の地形図を用いた調査から大縮尺の地形図を用いた調査へ 3) 全体の傾向を把握する調査から特定の目的を持つ調査へ

また、上記の諸調査は密接に関連しており、それぞれの調査結果や施工時の情報は相互に活 用できる場合が多い。このため、たとえば付替道路の調査と貯水池地すべり等の調査を併せて 実施する、仮排水路トンネルの切羽観察結果をダムの地質断面図作成の参考にするなど、計画 的・効率的な調査並びに情報活用に努める。

<参考となる資料>

ダムの地質並びにダムの地質調査の方針については、下記の資料が参考となる。

1) 脇坂安彦,双木英人:多目的ダムの建設,pp.1-123 第 3 巻 調査Ⅱ編 第 15 章 ダムの地 質調査 ,(財)ダム技術センター,2005.

2) 中村康夫:地質現象とダム,p.454,(財)ダム技術センター,2008.

3) 土木学会:ダムの地質調査,1986.

4.2 ダム事業の段階と調査内容 4.2.1 ダム事業の段階

<考え方>

ダムの地質調査は、ダムサイト候補地点の選定から設計・施工及び完成後の維持管理に必要 な地質情報を得るために、次の段階において調査を行うものである。

1) ダムサイト選定段階 2) ダム軸選定段階 3) 設計段階 4) 施工時等の段階

4.2.2 ダムサイト選定段階

(1) 調査目的

<考え方>

ダムサイト選定段階は、複数のダムサイト候補地点が選定された後、ダム建設の可能性も含 め、ダムサイト候補地点の優劣を判断するに当たり必要な地質情報を得ることを目的に、ダム 基礎等、第四紀断層、貯水池周辺地すべり等及び堤体材料の各調査を行う段階である。

(2) 調査範囲

<必 須>

ダムサイト選定段階の調査範囲は、複数のダムサイト候補地点において、ダム建設の可能性 も含め、ダムサイト候補地点の優劣を判断するに当たり必要な地質情報を得るために適切な範 囲とするものとする。なお、第四紀断層、貯水池周辺地すべり等、堤体材料の各調査範囲は、

本章の 4.4、4.5、及び 4.6 を踏まえ、適切な範囲とする。

<標 準>

ダム基礎及び貯水池で地表地質踏査を実施する範囲は、想定される貯水池全域を含み、ダム 中心線より上流側は想定される満水面を基準に両岸の山側へ 300~500m、下流側は貯水池上流端 までの距離の約1/2に相当する距離の河道を基準に両岸の山側へ 300~500m にわたる範囲を 標準とする(図 15-4-1)。ただし、堤体材料調査を兼ねる場合、他流域への漏水の懸念がある 場合等の特異な条件下では、必要に応じて踏査範囲を拡大する。

ダムサイト周辺における実測横断図の範囲は、想定されるダム基礎並びに止水範囲を含むも のとし、満水面標高より比高 100m以上まで、あるいは、想定ダム袖部より山側へ 200m以上延 長した範囲を標準とする。ただし、その範囲内の測線上に鞍部地形がある場合には、該当地点 より更に山側へ 100m以上延長する。

ダム基礎等で物理探査(弾性波探査等)を実施する場合の測線長は、想定されるダムの両袖 部から、天端以高の掘削のり面長を考慮した範囲を標準とする。

ダム基礎等でのボーリング調査孔は、初期段階では、想定ダム軸の河床、両袖部及び堤趾部 に、その後、調査の進展に従い、ダム敷を中心にダムの設計に必要な地質情報を得るために必 要な範囲に配置することを標準とする。

ダム基礎等での調査坑による調査は、ダムサイト選定段階においてはダム建設に当たって特 に重要な地質的課題が存在する場合に行い、その範囲は課題個所が含まれる範囲を標準とする。

図15-4-1 ダムサイト選定段階における標準的な調査範囲

(3) 調査精度

<必 須>

ダムサイト選定段階の調査は、複数のダムサイト候補地点において、ダム建設の可能性も含 め、各ダムサイト候補地点の優劣を判断するに当たり、必要な地質情報を得るために適切な精 度で実施するものとする。第四紀断層、貯水池周辺地すべり等、堤体材料の各調査は、本節の 4.4、4.5 及び 4.6 を踏まえて適切な精度で実施するものとする。

ダムサイト選定段階において使用する地形図の精度は、地質調査の正確さを左右するので、

事前に必要な縮尺の地形図・実測縦横断面図を準備するものとする。

<推 奨>

ダムサイト選定段階において使用する地形図は、1/5,000 程度の地形図を基本とし、ダムサイ ト周辺については、必要に応じて 1/500~1/1,000 実測平面図、航測図化平面図若しくは航空レ ーザー測量による地形図を使用することが望ましい。

実測横断図の縮尺は、1/500~1/1,000 を基本とし、必要に応じて同縮尺の河床実測縦断図を 作成することが望ましい。

ダムサイト選定段階の初期段階に限っては、弾性波探査測線やボーリング位置認定のための レベル測量に基づく縦横断図、航測地形図若しくは航空レーザー測量による地形図から作成し た縦横断図を実測横断図に代えることもあるが、ダムサイト選定調査の最終段階では実測横断 図を使用することが望ましい。

<例 示>

ダムサイトや貯水池斜面などが複雑な地形・地質の場合には、航空レーザー測量による地形 図、陰影図、傾斜量図等の精度の高い図を作成・活用すると以後の地形地質調査精度が向上す るため、必要に応じて取得するのもよい。また、航測図化等の際に標高データをデジタル化し ておくと、GIS 等にも活用できる。

(4) 調査内容

<標 準>

ダム基礎等の調査は、資料調査、地形調査、地表地質踏査、物理探査、ボーリング調査等に よる調査、地下水調査等を行うことを標準とする。また、必要に応じて調査坑等による調査を 行う。

第四紀断層、貯水池周辺地すべり等、堤体材料の各調査は、本節の 4.4、4.5、及び 4.6 を踏 まえ適切に行う。少なくとも、第四紀断層の調査は一次調査(4.4.2)を、また貯水池周辺地すべ り等の調査は概査(4.5)を行うことを標準とする。

<推 奨>

各調査の内容は以下のとおりであり、適切に組み合わせて実施することが望ましい。

資料調査は、以降の調査の参考としてダムサイト候補地点及び貯水池周辺の地形や地質に関 する資料、文献を収集し、整理するものである。実施は、本節の 4.3.2 による。

地形調査は、ダムサイト候補地点及び貯水池周辺について、空中写真判読並びに地形図判読 を行いダムサイト候補地点及び貯水池周辺の特にダム建設を行う上で考慮する必要のある地形

地形調査は、ダムサイト候補地点及び貯水池周辺について、空中写真判読並びに地形図判読 を行いダムサイト候補地点及び貯水池周辺の特にダム建設を行う上で考慮する必要のある地形

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