• 沒有找到結果。

河川構造物の土質・地質調査

<考え方>

本節では河川構造物として、堰、水門、樋門(樋管も含めてここでは樋門と称する)等を対象 としている。

河川構造物の土質・地質調査は、新設するための計画・設計・施工、又は維持管理に必要な 構造物の安全性等に影響する地盤の分布及びそれらの状況を適切に把握することを目的に実施 する。

3.2 河川構造物の新設時の調査 3.2.1 調査方針

<考え方>

一般に河川構造物を新設する場合、建設地点の選定あるいは概略設計等のように計画のため に行われる調査と、実施のための詳細な調査が行われる。前者が予備調査及び現地踏査で、後 者が本調査である。調査をこのように分けて行うのは、計画、調査、設計を効果的かつ能率的 に行うためである。

土質・地質調査に当たっては、河川構造物の計画、基礎の形式選定、設計条件の決定のため のみならず、近接構造物への影響、施工中の仮設構造物等の設計、施工管理のため、あるいは 将来の河川構造物の維持管理まで考慮することが望ましい。

土質・地質調査の範囲、精度は対象とする河川構造物、その構造物の規模、機能、重要度等 によって異なるので、当該地盤と河川構造物の組合せを考えて最も適切なものを選ぶ必要があ る。たとえば構造物の平面寸法が大きい場合にはボーリングの調査本数を増す必要がある。ま た、堰などで上部構造の変位が制限されている場合、基礎の水平変位を詳しく求める必要があ るので、詳細な土質・地質調査のほか載荷試験を行う必要が増す。また、杭基礎などで、杭本 数が極めて多い場合、経済性を追求するためにも載荷試験が行われることが多い。

<標 準>

河川構造物の新設時の土質・地質調査は、河川構造物の計画、設計、施工等の目的に応じ、

適切かつ十分な情報が得られるように行うものとし、次の調査を行うことを標準とする。

1) 予備調査及び現地踏査 2) 本調査

なお、各種調査・試験を実施する際には、「地盤調査の方法と解説(地盤工学会、2004)」と

「地盤材料試験の方法と解説(地盤工学会、2009)」に準拠して実施するとともに、日本工業規 格や地盤工学会基準に定められている試験方法による。

3.2.2 予備調査及び現地踏査

<考え方>

予備調査及び現地踏査は、河川構造物を新設する地点の地形特性及び地盤を構成する地層の 性状の概要を把握し、基礎形式の選定、予備設計、本調査の計画等に必要な資料を得ることを 目的に実施する。

<標 準>

資料あるいは地形図、航空写真等を通して把握することを基本とする。

現地踏査は、地表で見られる岩石や土層の状態から地下の地質を判断する一連の野外作業で あり、河川構造物を新設する地点周辺を踏査して露頭等を観察しながら踏査図をつくり、その 間を埋めて平面的な調査区域について地質図を作成するとともに、地形を観察して地形分類を 行い、地すべり等の発生の有無、施工上の障害又は問題となる地形・地質の有無を調べること を基本とする。

<推 奨>

予備調査は、以下のとおり実施することが望ましい。

1) 既存の地盤に関する資料の調査

大略の地層構成を把握するため、調査区域近傍の既往地盤調査や井戸等の資料を収集する。

2) 既存構造物の調査

河川構造物を新設する地点の大略の地層の構成を把握するために、調査区域の近傍に構造物 がある場合には、その基礎形式、規模、構造物の沈下や傾斜等の有無とその度合い、工事記録 等の調査資料を収集する。

3) その他の資料の調査

設計のために必要なその他の資料としては次のようなものが挙げられ、これらについても必 要に応じて調査を行う。

a) 地質状況が分かる各種地図(土地条件図、土地利用図、土地分類図、古地図等)

b) 航空写真、リモートセンシング、GIS 等による広域的調査資料 c) 地すべり、崩壊、土石流、河川の氾濫等の災害に関する資料 d) 騒音、振動等の環境保全に関する法規等

e) 活断層に関する資料

3.2.3 本調査

<考え方>

本調査は、河川構造物を新設する地点の基礎地盤の構成、性質、地下水の状況等を把握する ことを目的に実施する。

<標 準>

本調査においては、河川構造物の予備設計・詳細設計を行うために必要な地盤条件や施工条 件、設計に用いる地盤定数等を明らかにするために、ボーリング調査及びサウンディング試験 等を行うとともに、採取した試料により土質試験等を実施し、結果をまとめることを基本とす る。

なお、各種調査・試験を実施する際には、地盤調査の方法と解説と地盤材料試験の方法と解 説に準拠して実施するとともに、日本工業規格や地盤工学会基準に定められている試験方法に よる。

<推 奨>

本調査を実施する際には、以下のとおり実施することが望ましい。

1) ボーリング調査

ボーリング調査は、地層構成の把握と地下水位の判定のために行う。

岩盤を対象とする場合は、ボーリングによる土層区分とボーリングで得られるコア試料で工 学的な判定をする場合が多い。ボーリング位置の選定は、調査において重要な位置付けとなる ので、必要な個所で、必要な数量、必要な深さまで行うように十分に検討する必要がある。

岩盤を支持層とする場合でも、河川構造物の規模や重要度によっては、表層付近の軟岩層が 風化、亀裂、断層等の状態により支持層とすることができない場合がある。このため、新鮮な 基盤まで調査を行い、地層の状態を確認し、支持層として適切な層を選定できるような情報が 得られるようにすることが必要である。

ボーリング調査は、次のとおり行う。

a) 調査地点

調査地点は、河川構造物を新設する位置とし、構造的に独立した基礎1基ごとに調査を行 う。ただし、幅 5m以下程度の 1 連からなる樋門においては、管軸に沿って 3 か所調査するこ ととし、函渠長が短い場合には 1~2 地点の調査を行う。

また、既設構造物による障害等で実施が困難な場合には、最寄りの位置で行う。

b) 調査する深さ

調査する深さは、一般に支持力、すべり、圧密沈下、液状化、透水、施工等に影響する範 囲とし、河川構造物に応じた良質な支持層又は基盤面が確認される深さまで行う。支持層は 河川構造物の規模や重要度、基礎に作用する荷重条件等によって異なるが、一般的な目安と しては、砂層・砂礫層では

N

値が大略 30 以上、粘性土層では

N

値が大略 20 以上として、こ れらの層厚が 3~5m以上連続している必要がある。また、支持層が沖積層である場合には、

沖積層全層の調査を行う。

また、液状化が想定される地盤では、本章 第 2 節 2.1.4(3)液状化地盤調査 に準じて 調査する。

必要に応じて、河川構造物の設計を行うために試料の観察と各種試験に供するために試料 採取を行う。採取された土は、「乱れた試料」と「乱れの少ない試料」とに区分され、土質試 験等に用いられる。

試料採取の方法は、適用土質及びその硬軟によって適切なものを選定する必要がある。崩 壊しやすく、自立しないような土や砂質地盤の液状化の判定に用いる三軸強度比に関して室 内試験により詳細な検討を行う場合には、試料の採取による乱れが試験結果に及ぼす影響が 大きいため、凍結サンプリング等により試料を採取することが望ましい。

なお、試料採取の位置に関しては、4)土質試験等による。

2) サウンディング試験

標準貫入試験は、ボーリング調査に併用して最もよく用いられており、地層構成の推定のた めの役割を持つとともに、実測した

N

値から各種地盤定数を相関関係により求めることもでき る。原位置ベーンせん断試験は、原位置において土のせん断強度(主として粘着力)を直接求 める方法である。ポータブルコーン貫入試験、オランダ式二重管コーン貫入試験、電気式静的 コーン貫入試験及びスウェーデン式サウンディングは、地盤の硬軟、締り具合を調べることが できる。これらの調査は、ほかの調査・試験方法と併用されることが多く、調査の目的に合わ せて位置、深さ及び試験回数を決める。

3) その他の原位置試験

地下水調査は地下水そのものの調査と帯水層の分析並びにその性質の調査とに分かれる。

詳しくは、第 2 章 水文・水理観測 第 6 節 地下水観測 を参照のこと。

b) 載荷試験

載荷試験は、地盤や杭に直接載荷して支持力や地盤反力係数、ばね定数等を求める試験で あり、地盤の平板載荷試験、孔内水平載荷試験、杭の鉛直又は水平載荷試験等がある。また、

岩盤ではブロックせん断試験等が挙げられる。

岩盤ではブロックせん断試験等が挙げられる。

相關文件