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河川堤防の土質地質調査

<考え方>

河川堤防の土質・地質調査は、堤防に求められる安全性を確保するための、堤防を新設する ための計画・設計・施工、又は維持管理や被災分析・復旧を適切に実施するための地盤情報を 把握することを目的として実施するものであり、新設時(計画・設計・施工時)、安全性照査時、

被災時及び堤防開削時の土質・地質調査がある。

1) 新設時

河川堤防を新設するための計画・設計・施工時の土質・地質調査は、安全性の高い堤防の構 築を目的として実施する。

2) 既設の河川堤防の安全性照査時

既設の河川堤防の安全性照査時の土質・地質調査は、洪水時における浸透や地震などの外力 に対する堤防の弱点個所の抽出及び補強手法の検討を目的として実施する。

3) 被災時

被災時の土質・地質調査は、豪雨や出水、地震等による被災の原因の把握と復旧策の検討を 目的として実施する。

4) 河川堤防開削時

樋管、橋台等の新設、更新、撤去時、及びドレーン工等の質的整備時、被災した堤防撤去時 に、堤防の質的向上に資することを目的として実施する。

<標 準>

各調査は、堤体や基礎地盤の土質・地質の状況を明らかにするために、以下のとおり行うこ とを標準とする。

1) 新設時

河川堤防を新設するための計画・設計・施工に当たり、その安全性等に影響する地盤の分布 及びそれらの状況を適切に把握するために、軟弱地盤調査、液状化地盤調査及び透水性地盤調 査等を実施する。また、堤防に使用する土質材料に対しては、材料選定のための調査を実施す る。

2) 既設の河川堤防の安全性照査時

既設の河川堤防の安全性評価、補強手法の検討に当たり、その安全性等に影響する地盤の分 布及びそれらの状況を適切に把握するために、軟弱地盤調査、液状化地盤調査及び透水性地盤 調査等を実施する。

3) 被災時

軟弱地盤調査、液状化地盤調査及び透水性地盤調査等を実施する。

4) 河川堤防開削時

堤防を開削するときには、開削調査を行い、築堤の履歴や堤体を構成する土質、水みち等を 把握、確認する。

2.1 河川堤防の新設時の調査 2.1.1 調査方針

<考え方>

河川堤防を新設するための計画・設計・施工時の調査は、河川堤防を築堤する際に特に問題 となる軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤を把握するとともに、堤防に使用する土質材料を 把握するために実施する。軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤以外の地盤では、堤防の築堤 に当たって問題になることが少ない。

軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤における留意事項は以下のとおりである。

1) 軟弱地盤の場合

軟弱地盤上に河川堤防を築堤する場合、基礎地盤の強度が小さいときにはすべり破壊を生ず るおそれがある。また、堤防を築堤することができても、堤防の自重による軟弱層の圧密によ って堤防に残留沈下が生じ、沈下が著しい場合には天端高不足によって堤防の機能が保持でき なくなる場合もある。更に、周辺の地盤や構造物に対しても大きな変状を与える場合もある。

加えて、軟弱地盤上に砂質土によって築堤した場合、地震時に堤体の液状化により堤防に大 きな変状が生じるおそれがある。圧密沈下により軟弱地盤が凹状になり、堤体下部の密度や拘 束力の低下(ゆるみ)が生じるとともに、雨水等の浸透水が滞留しやすくなり堤体内に飽和し た領域が形成されるためである。

(a) 地震前 (b) 地震発生~液状発生 (c) 液状化発生~変状の進展 図15-2-1 堤体の液状化による被災メカニズム

2) 液状化地盤の場合

ゆるい砂地盤のように液状化地盤上に河川堤防を築堤する場合、地震が発生した際に堤防の 基礎地盤が液状化し、堤防が沈下・流動化するなど大規模な変状を生じるおそれがある。地震 により堤防が沈下や変形等損傷した場合において河川の流水が河川外へ越流する場合もある。

3) 透水性地盤の場合

透水性地盤上に河川堤防を築堤する場合には、洪水時のような異常な河川水位の上昇によっ て透水性地盤を通じて堤体の飽和度を増加させ浸潤面の発達を増加させる原因となり、のり滑 りやパイピング等堤防及び堤内地に悪影響を及ぼすおそれがある。

<標 準>

河川堤防を新設するための計画・設計・施工時の調査は、次の調査を行うことを標準とする。

堤体下部の飽和域の 液状化

⇒剛性・強度の低下

地震動

1) 予備調査及び現地踏査 2) 本調査(第 1 次)

3) 軟弱地盤調査、液状化地盤調査、又は透水性地盤調査を主とした本調査(第 2 次)

4) 盛土材の調査

本調査(第 1 次)において軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤の存在が判明した場合には、

その影響を検討し、必要に応じて引き続き本調査(第 2 次)を実施するものとする。堤防付近 の地盤が軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤でないことが予備調査及び現地踏査の結果判明 した場合には、本調査を省略する。

なお、重複する部分が多い液状化地盤と透水性地盤の調査においては、効率的に調査を進め るため、同時に実施することが望ましい。

2.1.2 予備調査及び現地踏査

<考え方>

予備調査及び現地踏査は、河川堤防を築堤する地域の概括的な把握と地形、土質・地質等の 状況を把握することを目的に実施する。

<標 準>

予備調査においては、堤防付近の既往の土質・地質調査資料を重点的に収集することを基本 とする。

現地踏査においては、予備調査の結果に基づき、堤防天端中央付近の位置並びに付近一帯の 地盤の表層の状況、特に地形、地質、土質、地下水、湧水、土地利用、植物の生長の状況等を 調査することを基本とする。

<推 奨>

予備調査において既往の土質・地質調査資料を収集する際には、現在の地形図や空中写真、

治水地形分類図あるいは旧版地形図、古い空中写真、災害記録や河川改修等工事記録も併せて 収集することが望ましい。

予備調査によって収集した資料に基づき、概略の地質縦断図が描けることが望ましい。また、

次に示すような個所に軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤が存在することが多いため注意し て調査を実施することが望ましい。なお、特に、軟弱地盤上に砂質土を用いて築堤する場合に は、堤体が液状化するおそれがあることにも留意する。

1) 軟弱地盤の場合

a) 平坦な湿地帯、湿田地帯

b) 台地や山地に平坦な水田が入り込んでいる個所 c) 自然堤防や海岸、砂丘の後背個所

d) 既往の土質調査資料等から軟弱地盤の存在が知られている個所 e) 広域地盤沈下や既設構造物の沈下等の変状が発生している個所

2) 液状化地盤の場合

a) 旧河道、旧水域の盛土地、埋立地、地下水位の浅い沖積低地及び台地

b) 既往の土質調査資料等から、均質な粒径でゆるい砂質地盤であり地下水位が浅く飽和し ている個所

c) 既往の災害調査資料から地震時に地盤の液状化が起こったことが報告されている個所

3) 透水性地盤の場合

a) 河川の付近で、扇状地域、自然堤防地域、三角州地域等の名称でよばれている個所 b) 旧河道の締切り個所・旧落掘個所

c) 洪水時の河川の水位の上昇により、堤内地に湧水又は地下水位の上昇が認められる個所 d) 既往の土質調査資料から透水性地盤(砂礫層、砂質土層等)の存在が認められている個

2.1.3 本調査(第 1 次)

<考え方>

本調査(第 1 次)は、築堤する河川堤防付近に主に縦断方向の地盤調査を実施し、軟弱地盤、

液状化地盤又は透水性地盤の存在を把握することを目的とする。

<標 準>

軟弱地盤、液状化地盤又は透水性地盤の判定を行うために、予備調査及び現地踏査の結果を 活用するとともに、ボーリング調査及びサウンディング試験を現地状況に応じて実施すること を基本とする。更に、採取した試料により土の判別分類のための試験を実施し、これらの結果 をまとめることを基本とする。また、各種調査・試験を実施する際には、「地盤調査の方法と解 説(地盤工学会、2004)」と「地盤材料試験の方法と解説(地盤工学会、2009)」に準拠して実 施するとともに、日本工業規格や地盤工学会基準に定められている試験方法による。

<推 奨>

本調査(第 1 次)におけるボーリング調査、サウンディング試験、土質試験、結果のまとめ と判定については、以下のとおり実施することが望ましい。

本調査における各種調査・試験等の調査位置や調査密度、範囲の目安を表 15-2-1 に示す。た だし、地盤構成が複雑な場合には、調査密度を増やす。

1) ボーリング調査及び標準貫入試験

1) ボーリング調査及び標準貫入試験

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