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石積み構造物の整備にあたっての考え方

(2) 参考にすべき基準類

根石

(3) 積算方法

石積み工の積算については、以前は、積み方や石質によって様々な歩掛が存在したが、

現在は、雑割石積みと玉石積みの歩掛のみとなっている。

現在の歩掛は標準的な積み方を想定しているものであり、隅角部・天端・曲線部分な どの処理において、現場で石を加工しながら積み上げていく歩掛としては充分ではない との意見もある。また、現場での加工は、石材の種類によって手間に差が生じるが、歩 掛には石材の種類の違いは反映されない。そのため、景観に配慮し、丁寧な積み方が求 められる石積みを施工する場合であれば、通常の歩掛による積算では必要とされる施工 の実態に見合わないこともある。

このような場合には、石の積み方や端部の処理(天端・隅角部)の設計条件を踏まえ、

必要に応じて施工会社からの見積を取り、施工内容に合致した積算を行うことも検討す べきである。

参考として以下に見積を採用した事例を示す。

【通常の歩掛+見積による事例 (熊本県・緑川)】

事業の概要

・国土交通省 熊本河川国道事務所 ・緑川岩下地区護岸

・積み方 六方積み等、練積 ・使用石材 阿蘇4(凝灰岩)

・河川内に加藤清正が築造したと推定される「石刎ね」が発見された。そこで、

この遺構に似せた石積み構造物を造るために古来の石積みの工法を再現した整 備を行った。

見積のポイント

・歴史的な石積み構造物の再現にあたり、以下の加工を実施するため、通常の雑 割石積みの歩掛に加え加工の手間について見積を採用し、積算している。

→空積のように見せるための深目地の施工 →隅角部の算木積み等の処理

→石材に味わいや伝統的な目地具合を表現するためのビシャン仕上げ加工 等

※ビシャン仕上げとは、石の表面をたたいて細かい刻み目を入れること 表-3-2 昭和 28 年 栃木県工事設計標準歩掛・単価表より

・昭和30 年頃には、石積の石の形や石の種類によって様々な積算基準があった

・石の素材が柔らかく加工が簡単な砂岩や大谷石は、花崗岩よりも歩掛が小さい

(表:栃木県工事設計標準歩掛・単価表 栃木県 より)

【見積のみによる事例 (秋田県・横手川) 】

事業の概要

・秋田県 平鹿地域振興局建設部 ・横手川護岸

・積み方 乱積と谷積(雑割間知石)、練積 ・使用石材 男鹿石(安山岩)

・ふるさとの川モデル事業として横手城地先の護岸工事を実施した際に歴史性を 感じさせる風景を造り出すために石積み整備を行った。

見積のポイント

・乱積には歩掛がないため見積を採用した。

・雑割間知石の谷積は、雑割石積みよりも現場での加工が多いため通常の歩掛では なく見積とした。これは、以前の河川護岸が丁寧な谷積みであり、この積み方と 合わせるためには加工手間を上乗せする必要があるとの考えによる。

乱積部分 ・水抜き孔も分かりづらいように加工してある

雑割間知石の谷積部分 ・深目地で丁寧に積み上げている ※雑割間知石とは、雑割石を現場まで輸送し現場で間知石に加工するもの

写真-3-1 人力よる施工 写真-3-2 隅角部の算木積処理

写真-3-3 写真-3-4

写真-3-5 写真-3-6

(4) 美しい石積み構造物をつくる上での留意点

石積みの基本を表すとされる「1ぐり、2石、3積み」という言葉からも分かるように、

堅固な石積み構造物を整備するためには、積み手(石工職人)の技術水準(「積み」)に加 えて、裏込め材や同込め材(「ぐり」)を十分に充填することや、石の積み方に適した形状 の石材(「石」)を用いることが、より大切とされている。

さらに、美しい石積み構造物をつくるためには、以下に示すようなポイントに留意して 設計・施工することとともに、特に石のかみ合わせや目地の不具合の有無等については、

施工管理・出来形管理に際しての検査項目とすることで、美しくかつ堅固な石積み構造物 をつくり出していくように努めることが大切である。

【美しい石積み構造物をつくるポイント】

1.適切な大きさ、種類の石材を選定する(図-3.4 参照)

2.天端処理を美しく仕上げる(図-3.5 参照)

3.横帯や伸縮目地部分を美しく仕上げる(図-3.6 参照)

4.隅角部を適切に処理する(図-3.7 参照)

5.適切な積み方(石材同士の充分な“かみ合わせ”“締まりのある目地”)に より施工する(図-3.8~10 参照)

・施工場所付近の河道にはない大きさの石を大量に積 み上げることは、川そのものの景観を崩すことにつ ながる(河道内の転石形状15 ㎝程度に対して護岸利 用の石材形状35~70 ㎝)

・また、造園等に利用する庭石を大量に利用すること は川としての景観を乱す恐れがある

・護岸部と天端部との石材の種類が異なり、違和感が ある

・利用する石材を統一するか、石材が変わる部分のエ ッジ部に植物が生える空間を設けるなど工夫する ことが望ましい

・同じ護岸部に種類の異なる石材を利用すると違和感 が生じる

・石材、積み方をできるだけ統一することが望ましい

写真:川の風景を考える景観設計ガイドライン 護岸*17より

図-3-4 石材選定が適切でない事例

・天端工のコンクリートが目立 ち周囲の景観に馴染まない

・天端工のコンクリートを 若干低く施工し、その上 部に土を入れ植栽するこ とによって天端のコンク リートを隠している

・天端を巻天端としてコン クリートが見えないよう にしている

・その上に植物が繁茂し景 観的に馴染んでいる

図-3-5 石積み天端を美しく見せるための工夫

・笠天端の場合、石材が薄すぎる と石積みとしての風格に欠ける

・ある程度厚みのある石材 を笠天端に利用すると 端部に明快な締まりが 生まれ、石積みとしての 風格が感じられる

・通常の処理では、横帯のコンクリ ートが目立つ

・赤枠部分が横帯で、

コンクリートが剥 き出しにならない よう張石を設置し て、素材の統一感 を 演 出 し て い る

(巾が 30 ㎝程度 であるため、谷積 ではなく布積で処 理している)

・伸縮目地の部分を 適 切 な 隅 角 処 理 し、石積みとして の風格を保ってい

-3-6 横帯・伸縮目地部の美しい処理

・横から見ると、石が貼り付けてあるよ うに見え、石積みらしくない

・隅角部の処理が不適切で裏込めコン クリートが見えてしまっている 図-3-7 美しくない隅角部の処理の例

・目地巾が広く、石材同士の“かみ合わせ”

が不十分な石積み

・伸縮目地部分では裏込めコンクリート が見えており、石のかみ合わせがほとんど ない状態

・石材同士の“かみ合わせ”がないため、石 材が抜け落ちてしまっている

図-3-8 石材同士の“かみ合わせ”が不十分な事例

・石材同士のかみ合わせが無い設計(例)

・この設計では、合端のかみ合わせがなく、

石積みとして自立しないため、堅固な石積 み構造物にならない

・また、目地も広くなり、目地コンクリート が目立ち景観的に美しくないものとなる

天端コンクリート

胴込コンクリート

裏込コンクリート

設 計 図 の 表 現 に 石 と 石 と の か み 合わせが無い

【望ましくない積み方の代表例】

①毛抜き合端あ い ば

かみそり合端ともいい、石の面角部分が少しだけしか 接触していない。

石積みが不安定となる。

②笑い合端

目地がかち合う部分が凹んでおり、接触面が少な いもの。石積みが不安定となる。

③あぶり

石の控えの寸法よりも面の寸法を大きくした積み方。

表面的には石が積まれているように見えるが、控えがな く不安定な石積みとなる。

④目地の不具合

・四つ目地 ・いも串

目地が十字形となったもの。 等大の石を縦に積み重ねたもの。

目地部分が強度的に劣るようになる。 石材のかみ合わせが不十分で石積みが不安 定になる。

控えが短いもの 少ししか接触し ていない

かち合う部分が 少なく不安定

図:「石垣と石積壁 窪田祐 昭和 58 年」*4から引用

図-3-9 望ましくない積み方

・谷積で適切に積ま れている

・また、石を現場で 加工(石を叩いて 大きさを調整)し ているため、目地 巾が無い

・そのため、目地コ ンクリートが見え ず、締まった美し い石積みとなって いる

・同じ河川の同じ石材を利用している石積み構造物であっても、石工の違いによ って出来映えが異なる

・谷積であるが目地 が一直線となり、

石のかみ合わせが 充分でない

・積み上げる時に現 場での調整が十分 に な さ れ て お ら ず、目地からコン クリートが見え、

締まりがない石積 みとなってしまっ ている

図-3-10 積み方による美しさの違い 適切かつ丁寧に積まれた石積みの例

締まりがなく望ましくない石積みの例

目地が一直線 ではない

目地が一直線 になっている 目 地 巾 が な く 締 ま

った石積み

コンクリートが目地 からはみ出している

その他, 9, 5.1%

なし, 127, 71.3%

あり, 42, 23.6%

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