4.1.1 定義
<考え方>
一次元不等流計算[1DF 不等流]は、流量Qを一定とし、基礎式として運動方程式に基づく漸変 開水路流れを対象とした式(5-4-1)を用いる。
2
0
x
u dA gA Hx Tr (5-4-1)ここで、Aは流れの断面積、xは流下方向に沿った座標、Hは水位、Trは単位長さの河道の河 床に作用する力、uはある点での流速、ρは水の密度、gは重力加速度である。ここで、左辺第 1 項の括弧内は運動量補正係数βを用いて式(5-4-2)のように置き換えられる。
縦断距離
最大流量
最大流量の縦断分布(真値)
一連区間での設定流量(定常流解析に用いる流量)
最大流量の設定地点
(例えば流量観測所、流出解析による流量算定地点)
定常流解析で同一流量 を与える一連区間 流量差(ズレ)大
流量差(ズレ)小
下流 上流
(5-4-2)
ここで、Uは断面平均流速である。
一次元不等流計算は、断面内の粗度状況が一様及び変化する単断面河道に適用するのを標準 とする。この場合、βは一定値(1.0~1.1 程度)とする近似的な取扱いを行う。
Trの算定に当たっては、式(5-4-3)に示す Manning の平均流速公式を適用するのを標準とする。
2 / 1 3
1 2
Ib
nR
U (5-4-3)
ここで、Ibは河床勾配、R (=A/S)は径深である。平均流速公式とは、縦断方向に一様な河道 断面における等流を想定し、河道断面形と河床勾配が与えられたときに、平均流速を粗度係数 及び径深と関係づける式である。
断面内の粗度状況が一様又は図 5-4-1 に示すように変化する場合、Trは式(5-4-4)、(5-4-5) により算定する。
3 / 4
2 2
R U Tr gAn
(5-4-4)
3/2
4/33 / 1
2
i i
r S n
A gU T
(5-4-5)
ここで、Siは同一の粗度を有する i 番目の潤辺部の長さ、niはその潤辺部での粗度係数であ る。
図5-4-1 複数の粗度係数を有する河道横断面
<関連通知等>
1) 土木学会水理委員会:水理公式集[平成 11 年版],pp.111-114,丸善,1999.
4.1.2 計算方法
<標 準>
式(5-4-1)を差分化し、河道形状、粗度係数、境界条件を適切に与え、標準逐次計算法により 数値計算を行うのを標準とする。
計算断面については、距離標ごとに設定するのを標準とする。
支配断面が現れる断面の近傍あるいは大きなエネルギー勾配が現れる断面の近傍では、必要 に応じて内挿断面を挿入するのを標準とする。
河道形状、河川構造物や樹木群繁茂領域等については、河川定期横断測量、河道平面図、航 A
U dA
u2 2
空写真、植生図、樹木群調査の結果(第 4 章 河道特性調査 第 3 節 各時点の河道状況 参照)
を用いて設定するのを標準とする。
樹木群、河道の急拡・急縮等により死水域が形成される場合には、該当する計算断面におい て死水域に相当する部分を河積から除く。以上の設定手法については、河道計画の検討の手引 き、及び河川における樹木管理の手引きによる。
粗度係数については、本章 第 5 節 に基づいて適切に設定する。
分合流点、跳水発生地点、段落ち部及び橋脚設置地点を含む河道区間においては、式(5-4-1) に代えて、これら地点を間に挟む上下流の計算断面間をコントロールボリュームとしてこれら 事象に即した運動量式(又はエネルギー方程式)に基づいて水位を算定する。
また、河道湾曲区間や砂州の発達する区間における左右岸水際部の水位は、河道形状や水理 量等に基づいて横断方向偏差ΔH の算定式を別途用意し、これにより算定したΔH を式(5-4-1) により算定した平均水位に付加することにより得る。
以上の算定手法については、水理公式集[平成 11 年版]および河道計画検討の手引きによる。
河口部において下流端境界条件を与える場合には、潮位、河川水と塩水との密度差、河口砂 州などを考慮し、下流端水位を設定する。
<推 奨>
解析の精度・解像度の向上の観点から、航空レーザ測量やサイドスキャンソナーを用いた音 響測深等による高解像度の連続的な河道地形測量成果を用いて河道形状を設定するのを推奨す る。
常流と射流が混在した流れ場を対象とする場合には、本節 4.2.2<推奨>に記載する一次元不 定流計算を流量及び水位一定の境界条件の下で実施し、水位や流速等の水理量が時間的に安定 した定常状態の解を得るのが望ましい。
<例 示>
標準逐次計算法により常流と射流が混在した流れ場の計算を行う場合には、支配断面の位置 を予測して常流と射流の発生区間を判別する方法が適用できる。
また、河川水と海水の密度差を考慮した下流端水位の簡易的な設定法として、潮位から求め た河口部水深 h0と(ρ2 /ρ1 ―1)(ここでρ2、ρ1は海水と河川水の密度)の積として求めた 値を河口部の潮位に加える方法を用いることができる。
<関連通知等>
1) 土木学会水理委員会:水理公式集[平成 11 年版],pp.93-98,丸善,1999.
2) (財)国土技術研究センター:河道計画検討の手引き,pp.84-97,pp.109-114,pp.119-124,
pp.142-144,山海堂,2002.
3) (財)リバーフロント整備センター:河川における樹木管理の手引き,pp.93-96,山海堂,
1999.
<参考となる資料>
支配断面の位置を予測する手法については下記の資料が参考となる。
1) 石川忠晴,林正男:常流・射流が混在する区間の不等流計算法,土木技術資料,Vol.25 No.3,
pp.39-44,1983.
4.2 一次元不定流計算 4.2.1 定義
<考え方>
一次元不定流計算[1DF 不定流]は、基礎方程式として連続方程式及び運動方程式に基づく漸変 開水路流れを対象とした式(5-4-6)、式(5-4-7)を用いる。
0
x Q t
A (5-4-6)
2
0
Qt x
u dA gA Hx Tr (5-4-7)ここで、tは時間である。一次元不定流計算は、断面内の粗度状況が一様及び変化する単断面 河道に適用することを標準とする。式(5-4-7)の左辺第 2 項及び第 4 項は、本節 4.1.1 に示した 一次元不等流計算と同様に式(5-4-2)、(5-4-4)、(5-4-5)により算定する。
<関連通知等>
1) 土木学会水理委員会:水理公式集[平成 11 年版],p.120,丸善,1999.
4.2.2 計算方法
<標 準>
式(5-4-6)、式(5-4-7)を差分化し、河道形状、粗度係数、境界条件を適切に与え、数値計算 を行うのを標準とする。
計算時間間隔については、計算が安定的に進められ、かつ所定の精度及び解像度が得られる ように設定するのを標準とする。
計算断面、河道形状、粗度係数、樹木群や死水域、河口部における下流端境界条件等につい ては、本節 4.1.2 と同様に設定する。
河道湾曲部、砂州の発達する区間における左右岸水際部の水位は、本節 4.1.2 と同様に算定 する。
<推 奨>
常流と射流が混在する流れ場を対象とする場合には、跳水や段波などの不連続的な流れや常 流から射流への遷移流れといった急変流に適応した計算手法を用いることが望ましい。
<参考となる資料>
常流と射流が混在した流れ場に適応した計算手法の一例として流束差分離法(FDS 法)が挙 げられ、下記の資料が参考となる。
1) 西本直史,森明巨,板倉忠興,金澤克己:FDS 法による 1 次元開水路流れの数値解析,
土木学会論文集,No.670 Ⅱ-54,pp.25-36,2001.
2) 秋山壽一郎,浦勝,重枝未玲,アキレス K. ジャ:1 次元浅水流方程式の FDS に基づく 数値解析法,水工学論文集,第 44 巻,pp.473-478,2000.
4.2.3 一次元不定流計算の近似解法
<考え方>
一次元不定流計算の近似解法とは、運動方程式の運動量の時間変化に関する項、運動量や水 深の縦断方向変化に関する項の全て又は一部を省略した近似式を用いて解析を行うものであ る。このような近似解法として、Kinematic wave モデル、Diffusion wave モデル等があり、本 節 4.2.1 に示した計算法と併せて水理学的追跡法と呼ばれる(第 3 章 水文解析 2.2.4 参照)。 の算定式である式(5-4-8)~(5-4-13)を用いる。
体混合・運動量輸送により流れ全体の抵抗が増大する効果のことである。
断面分割と境界混合係数の設定に当たっては、一般に急な流速変化をもたらす地形・粗度状 況の条件に基づいて行う。河道断面形状及び粗度状況(一般的には樹木群境界)の急変点にお いて分割断面境界を設定する。また、境界混合係数についても、断面急変部と樹木群境界に分 けて設定手法を使い分ける。
図5-4-2 準二次元不等流計算での断面分割の一例
<関連通知等>
1) 土木学会水理委員会:水理公式集[平成 11 年版],pp.111-116,丸善,1999.
2) (財)国土技術研究センター:河道計画検討の手引き,pp.79-81,山海堂,2002.
4.3.2 計算方法
<標 準>
本節 4.1.2 と同様に式(5-4-1)を差分化し、数値計算を行うのを標準とする。
境界混合係数については、水理公式集[平成 11 年版]、河道計画の検討の手引き及び河川にお ける樹木管理の手引きを参考にして適切に設定する。
計算断面、河道形状、粗度係数、樹木群や死水域、河口部における下流端境界条件等につい ては、本節 4.1.2 と同様に設定する。
分合流点、跳水発生地点、段落ち部、橋脚設置地点、河道湾曲部、砂州の発達する区間にお ける水位変化については、本節 4.1.2 と同様に算定する。
<関連通知等>
1) 土木学会水理委員会:水理公式集[平成 11 年版],pp.98-106,丸善,1999.
2) (財)国土技術研究センター:河道計画検討の手引き,pp.81-84,山海堂,2002.
3) (財)リバーフロント整備センター:河川における樹木管理の手引き,pp.104-108,山海 堂,1999.
4.4 準二次元不定流計算 集 B,Vol.65 No.2,pp. 95-105,2009.
4.5 平面二次元流解析 4.5.1 定義
<考え方>
平面二次元流解析[2DF]は、基礎式として連続方程式及び運動方程式に基づく漸変開水路流れ
平面二次元流解析[2DF]は、基礎式として連続方程式及び運動方程式に基づく漸変開水路流れ