3 大規模崩壊潜在斜面のモニタリング
3.2 計器観測
3.2.2 GPS 観測
GPS 観測とは、宇宙空間の GPS 観測衛星から発信する電波を地上に設置された GPS 受信 機で受信し、受信機と衛星との距離を計測することにより、受信 地点の三次元座標を計測 することをいう。
ここでは、GPS 観測の原理、方法などの概要を記載する( 斜面防災対策技術協会,2013 より抜粋)。個別の大規模崩壊潜在斜面での計測については、地形変状の箇所や程度が様々 なこと等から、設置位置の選定等について詳細な検討が必要である。
GPS 観測の精度は、基線長(測定距離)によって異なり、水平では±(5mm+1ppm×基線長)mm、
垂直は±(10mm+2ppm×基線長)mm(土佐, 200611))。例えば基線長が 1000m の場合、水平で は±6mm、垂直では±12mm となる。GPS 観測結果には基線長、気象状況、衛星数、上空視野 などから受ける誤差が含まれおり、mm オーダーの微小変動の検出は困難であるが、受信機 を定点に固定し長期間連続観測行う場合、統計処理等を行うことで微小変位を検出できる とされる(斜面防災対策技術協会, 2013)。
1) GPS 観測の原理
GPS 観測の基本概念図を図 3.2.4に示した。
地上の GPS 受信機(またはアンテナ)と衛星から送信された電波の到達時間から距離を 算出し、受信機の座標位置は、3 つ以上の衛星から電波を受信することで求まる。
図 3.2.4 GPS 観測の基本概念図(斜面防災対策技術協会 , 2013)
11) 土佐(2006):現場に役立つ地すべり工学, 第 7 回 、監視と予測 , 地すべり学会誌, Vol.43,No.2, pp.52-56.
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2) 設置方法
図 3.2.5にGPS 受信機の設置例を示す。
・GPS 受信機は上空視界の良い箇所に設置する
・観測地点の地盤に堅固に固定する。一般にコンクリート基礎を用いる。短期間の 場合は、三脚を用いる場合もある
・一般的に支柱を介して基礎に設置する。支柱の高さは 1-2m程度だが、設置位置 より上空が仰角 15 度以上確保される高さまで伸ばすことが望ましい。ただし、日 射による変位の影響があるため、伸ばしすぎないようにする
・GPS 受信機稼動のためのソーラーパネルやバッテリを設置する
・基準点は不動地盤に設置する
図 3.2.5 GPS 受信機の設置例(左、斜面防災対策技術協会 , 2013)
3) 測定方法 現地作業:
・GPS 受信機の計測開始ボタンを押す
・データ回収(PC やメモリーカードを用いる)
解析作業:
・基線解析処理ソフトを用いて観測データを座標に換える
・必要に応じて時系列統計処理を実施する
4) データ管理
・3 成分データ(南北、東西、高さ)を整理する
・初回観測で得られた座標または任意の時期の観測座標を初期値とする
・初期値との差分を算出する
・水平合成(図 3.2.6、図 3.2.7)、垂直変位(図 3.2.8)、合成変位を算出する
・変位量に基づき変位ベクトル図を作成する(図 3.2.9、図 3.2.10)
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図 3.2.9 GPS データ整理の例(水平ベクトル図)
図 3.2.10 GPS 観測点ベクトル図の例(小塩地すべり)
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
東 西
南 北
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5) 適用限界
樹木等で上空が遮蔽された地点での観測は、データ欠測が多発したり、極端に精度 が低下するため、樹木の伐採や観測位置の見直しが必要となる。支柱が転倒、回転し ないように注意する。GPS 観測は、急激な変位の検知としては適さない。
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