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あいづちの意識調査について

3-1 アンケート調査の概要

本章は日本語学習者のあいづちの表現形式、機能の理解度を調べるた め、アンケート調査を実施したものである。アンケートは七つの質問項 目を設定した。あいづちの表現形式に関し、小宮(1986:48)の分類を 参考にして、「感声的表現」・「概念的表現」・「感声+概念的表現」の三つ に分けた。あいづちの機能に関する項目は堀口の五分類「聞いていると いう信号」、「理解しているという信号」、「同意の信号」、「否定の信号」、

「感情の表出」と畠(1982:66)の「話し続けてください」と「私に発 話させてください」も加え、七分類とした。日本語学習者があいづちの 表現形式、機能をどのぐらい知っているかを調べる。更に、学習者の意 見を自由に記述させるため、「その他」という欄も設けた。

3-2 調査対象

義守大学応用日本語学科 2~4 年生と大学院生を対象として、アンケ ート調査を実施した。また、学習年数は 1~2 年・2~3 年・3~5 年・5 年以上の四段階に分け、それぞれの人数は表 1 の通りである。

表 1 学習年数別の人数表

学習年数 1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上 合計 人数 38 人 51 人 48 人 15 人 152 人

学習年数は 1~2 年・2~3 年・3~5 年・5 年以上の人数は、それぞれ 38 人、51 人、48 人、15 人で、全部 152 人である。

3-3 結果分析

本調査の結果について、七つの設問を順に追って分析及び考察してい く。全体の割合を図 1 に示して、学習年数別による選択の割合を次の表

2 にまとめた。

の日本語学習者は、語彙量不足が会話がうまくいかない主な原因だと思

表 4 「感声的」「概念的」「感声+概念的」各項目の選択率の平均 学習年数

表現形式

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

感声的 61% 58% 54% 53%

概念的 46% 45% 44% 50%

感声+概念的 36% 46% 53% 42%

表 3 と表 4 からの大きな特徴として、学習年数とは関係なく、すべて の学習段階は「感声的な表現形式」での「はい」という項目がもっとも 多く使われた。学習年数が3年以内の人は9割強占めているほどである。

一方、「概念的な表現形式」と「感声+概念的な表現形式」はどの学習年 数でも「そうですか」・「そうですね」・「はい、そうです」などの「ソウ」

系の項目が多用されたという結果である。これはおそらく学習者にとっ て、「ソウ」系の表現形式が一番なじむのではないかと思われる。そのた め、学習年数の短い学習者でも感声的及び概念的な「ソウ」系を比較的 容易に理解できた。

次、学習年数別による「あいづちの機能」についての選択率は以下の 表 5 を示した。

表 55 学習年数別の「あいづちの機能」の選択率 学習年数

選択項目

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

1)聞いている 78% 94% 77% 60%

2)理解している 63% 47% 33% 33%

3)私に発話させ

てください 8% 0 4% 7%

4)話し続けてく

ださい 63% 65% 67% 67%

5)感情の表出 42% 45% 52% 60%

6)同意の信号 66% 67% 52% 47%

あいづちの機能についてほとんどの先行研究では、「聞いているとい う信号」と「理解しているという信号」がもっとも多いことが指摘され ている。今回の調査では「聞いている」という項目は多かったことは先 行研究と一致している。「私に発話させてくださいという信号」の項目 はどの学習年数でも少なかった。特に学習年数が 2~3 年の人はまったく 選択しなかったのである。これは学習者にとって、あいづちと話者交替 との関係が十分理解されていないのではないかと考えられる。会話進行 中における話し手と聞き手の役割交替のために、あいづちをタイミング 的に打てば、さらに会話がうまく進んでいくことを教える必要があると 示唆された。

次、「あいづちを聞いたことがあるか」という設問について、学習者 全員の比率(図 2)と学習年数別による選択率(表 6)は以下の通りであ る。

5 表 5 の統計方法は表 3 と同様である。

図 2「あいづちを聞いたことがあるか」

(学習者全員における比率)

53% 47%

はい いいえ

表 6 学習年数別の「あいづちを聞いたことがあるか」の選択率 学習年数

選択項目

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

はい 47% 22% 62% 87%

いいえ 53% 78% 38% 13%

図 2 から、全体的に見ると、「あいづちを聞いたことがあるか」とい う項目に対し、聞いたことがない人は 53%である。表 6 から見ると、学 習年数が 3 年以下の場合、あいづちを聞いたことがない人はそれぞれ 53%と 78%である。一方、学習年数が 3 年以上の場合、あいづちを聞い たことがある人はそれぞれ 62%と 87%である。よって、学習年数が増え るとともに、あいづちのことが分かるようになるという結果を得た。

次、「学校の授業であいづちを勉強したことがあるか」という設問に 関し、全員の比率と学習年数別の選択率は以下の図 3 と表 7 を示した。

図 3 「学校の授業であいづちを勉強したことがあるか」

(学習者全員における比率)

33%

67%

はい いいえ

表 7 学習年数別の「学校の授業であいづちを勉強したことがあるか」

の選択率 学習年数

選択項目

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

はい 37% 6% 50% 60%

いいえ 63% 94% 50% 40%

図 3 から、「学校の授業であいづちを勉強したことがあるか」という 項目に対し、全体から見ると、勉強したことがない人は 67%を占めてい る。表 7 から見ると、学習年数 3 年以下の人は勉強したことがないこと は 63%と 94%で、学習年数 3~5 年の比率は半分である。一方、学習年 数 5 年以上の人は勉強したことがあることは 60%を占めている。つまり、

大学ではあいづちについての勉強はほとんどないという結果だと言える。

次、図 4 と表 8 は、「学校以外の場所からあいづちを勉強したことが あるか」という設問の全員の比率と学習年数別による選択率を示したも のである。

図 4 「学校以外の場所からあいづちを勉強したことがあるか」

(学習者全員における比率)

24%

76%

はい いいえ

表 8 学習年数別の「学校以外の場所からあいづちを勉強したことがあ るか」の選択率

学習年数

選択項目

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

はい 11% 10% 38% 60%

いいえ 89% 90% 62% 40%

図 4 から、「学校以外の場所からあいづちを勉強したことがあるか」

という項目に対し、全体から見ると、勉強したことがない人は 76%で、

勉強したことがある人はただ 24%で、例えば:番組、塾、実際の会話で 気がついたなどがあげられる。表 8 から見ると、学習年数 5 年以下の人 は勉強したことがないことは多数を占めて、特に学習年数が 3 年以下の 人はほとんど勉強したことがなくて、90%を占めている。一方、学習年 数が 5 年以上の人も 60%しかないのである。日本語学習者が学校以外の 場所からもあいづちを知る機会はあまりないのではないかと思われる。

次、「これからあいづちをもっと理解して、日常の会話で実際に運用す ることを望むか」の設問について、全員の比率と学習年数別の選択率は 以下図 5 と表 9 の通りである。

図 5「これからあいづちをもっと理解して、日常の会話で実際に運用す ることを望むか」 (学習者全員における比率)

89%

11%

はい いいえ

表 9 学習年数別の「これからあいづちをもっと理解して、日常の会話 で実際に運用することを望むか」の選択率

学習年数

選択項目

1~2 年 2~3 年 3~5 年 5 年以上

はい 89% 90% 90% 80%

いいえ 11% 10% 10% 20%

図 5 から、「これからあいづちをもっと理解して、日常の会話で実際 に運用することを望むか」という項目に対し、全体から見ると、もっと 理解したい人は 89%で、したくない学習者はわずか 11%を占めている。

表 9 から見ると、もっと理解したい人は、学習年数にもかかわらず約 90%

を占めている。つまり、学習期間の長短に関係なく、あいづちをもっと 理解し、実際の会話で運用したいと望む人は多いということが分かった。

しかし、問題 4~6 で分かるように、学習者があいづちをもっと理解 したくても、あいづちに関する授業がほとんどないため、学校の授業や 教科書などからは求められないのが現状である。

3-4 結論

本調査から「あいづちを聞いたことがない」、「学校の授業であいづち を勉強したことがない」の設問とも 50%以上を占めていることが分かっ た。にもかかわらず、あいづちの表現形式をそれなり認識しているよう である。つまり、受験者 152 人は多かれ少なかれあいづちの表現形式を 使ったことがある。しかもどの学習年数でも「ソウ」系の表現形式を多 用する傾向がある。その原因の一つは、教科書の影響からではないかと 考えられる。義守大学応用日本語学科で、主に使われている教科書『み んなの日本語初級Ⅰ、Ⅱ』を調べたところで、第 7、8、9、12、15、19、

21 課の会話文に、あいづちの言語形式が現れたことが分かった。例えば

「ええ」「そうですか」「そうですね」などである。そのため、学習者に とって、「ソウ」系を比較的容易に理解できたと思われる。

また、日本語学習者はあいづちの言語形式は選んだが、あいづちの機 能に対する理解はまだ足りないと言える。円滑なコミュニケーションを 行うためにあいづちは重要な役割を果たしている。畠(1988:111)は「伝 統的な教授法におけるぎこちない会話を取り上げて、それに対する改善

また、日本語学習者はあいづちの言語形式は選んだが、あいづちの機 能に対する理解はまだ足りないと言える。円滑なコミュニケーションを 行うためにあいづちは重要な役割を果たしている。畠(1988:111)は「伝 統的な教授法におけるぎこちない会話を取り上げて、それに対する改善

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