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上村コーパスにおけるあいづちの使用状況

4-1 上村コーパスの概要

本章では、母語話者の会話特徴や話し方などを知りたいので、日本語 会話のデータを必要である。そのため、北九州市立大学国際環境工学部 情報メディア工学科上村研究室

(http://www.env.kitakyu-u.ac.jp/corpus/)が公開しているデータベ ース(以下上村コーパスと呼ぶ)を利用した。上村コーパスが 1995 年7 月から 1996 年7月にかけて、日本語母語話者および非母語話者(以下、

学習者と呼ぶことにする)が対面会話を採用し、面識のない双方の会話 において、テスターと被験者のインタビューの模様を立体的に同時収録 したデータベースである。本節には、母語話者は中心となって分析して、

学習者は参考として調査である。

本節の用いた資料は表 10 から表 13 の通りである。

表 10 母語話者である被験者の性別と年齢 性別 男性 女性 合計 人数 18 人 32 人 50 人 比率 36% 64% 100%

表 11 学習者である被験者の性別と年齢

表 10 から、母語話者の被験者は男性 18 人女性 32 人で、全部で 50 人 で、それぞれ 36%、64%を占めている。女性は半分以上を占めている。

性別 男性 女性 合計 人数 26 人 24 人 50 人 比率 52% 48% 100%

表 11 から、学習者の被験者は男性 26 人女性 24 人、計 50 人で、それぞ

しかし、上村コーパスはあいづちのために調査したものではないので、

上記の堀口がかかげたあいづちに関わる諸要因は明確に判断できない ということで扱わないことにする。

4-2 分析方法

本研究では上村コーパスの会話データに現れているあいづちの表現 形式・使用頻度・打つタイミングの三つの部分について分析する。また、

あいづちの使用頻度の算出方法については、本コーパスは音声のあるも のは一部しかないので、ほとんどの発話の時間が分からないため、文字 数を計る方法を採用することにする。つまり、インタビュアーの話し手 が一回分の総文字数を聞き手のあいづち回数で割る。また、50 人の使用 頻度をさらに平均し、被験者のあいづちの平均使用頻度とする。本章で は被験者の立場であいづち表現を考察するため、テスターについて取り 扱わなくて、母語話者と学習者である被験者が別々に分析し、それから 両者の特徴や共通点・相違点などを考察する。

4-3 母語話者のあいづちの表現形式 4-3-1 表現形式の分類と使用数

上村コーパスでの被験者が母語話者と学習者に分けている。本節では、

母語話者のあいづちの表現形式を分析する。表現形式の分け方は第三章 と同様、「感声的表現」・「概念的表現」・「感声+概念的表現」の三つに分 ける。また、第三章のアンケート調査では取り扱わなかった「繰り返し」・

「先取り」・「言い換え」の三つの表現形式も加えて、全部六種類に分け て分析する。母語話者が使用したあいづち表現は表 14 の通りである。

表 14 母語話者のあいづちの表現形式の使用数 分析方法

表現形式

出現総回数

感声

ハ系 1499 回 エ系 565 回 ン系 233 回 ソ系 146 回 ア系 99 回 概念 10 回 感声+概念 79 回 繰り返し 38 回

先取り 3 回

言い換え 1 回

母語話者は全部 50 回の会話で 30 種類のあいづちの表現形式が現れて いる。表 14 から見ると、六種類の表現形式の中に、母語話者は「感声的」

表現を頻繁に使われる傾向が見られた。その中で、一番多用しているの は「ハ系」で、50 回の会話で 1499 回現れた。「エ系」も頻繁に使われて、

565 回現れた。次「ン系」、「ソ系」、「ア系」は、それぞれ 233 回、146 回、99 回使用された。「概念」という表現形式の使用率があまり多くな くて、10 回しか現れていなかった。また、「感声+概念」というのは、

79 回現れた。一方、「繰り返し」は 38 回使って、「先取り」と「言い換 え」は、ほとんどなくて、それぞれ 3 回、1 回だけ使用した。

4-3-2 母語話者が多用する表現形式

「ハ系」の内訳の中では、母語話者の方は、「はい」という表現形式 が一番多用していて、総回数 1499 回の中で 1463 回現れた。また、「エ系」

には「ええ」という表現形式が頻繁に使われて、総回数 565 回で 563 回 現れた。それから、「うん」、「そうです」という表現形式も多用していて、

それぞれ 231 回、132 回現れた。この結果から、母語話者は「はい」が 頻繁に使われたということが分かった。母語話者の方があいづちの表現 形式に関しては、申屠(2005:29)の「日本語における他の相づち表現 形式と比較してみれば、敬意の高い「ハ系」より多用している傾向が見 られる」との報告と一致している。

ここに、上村コーパスから母語話者が会話で多用している表現形式の 具体例を挙げる。

<例 6> 1:テスター 2:被験者

1:うん、分かりました。で、ま、就職ー、とは、あれなんですが、(2:

はい)仕事で、(2:あ、はい)その学生さんていうのはよくアルバ イトをするんですけれども、(2:あ、はい)してらっしゃいますか。

2:あ、はい、しております。

1:ああそうですか。(2:はい)ちょっと、あのー、アルバイトの、(2:

はい)ロールプレイをしていただきたいんですけれどもね、(2:は い)////ーこんなことで、(2:はい)これがあの条件なんです ね。(2:はい)で、と、ここのところにありますように、(2:は い、出来るだけいい条件で、はい)よろしいですか、(2:はい)じ ゃあもう、面接ーに来ていらっしゃるという、設定で、(2:はい)

わたくしが、あの面接、あの官で、(2:はい)あの、させていただ きます。よろしいですか。(2:はい)はい。あの、うちーとしまし てはですね、あーの条件としては、(2:はい)このような条件なん ですけれども、いかがでしょうか。これで大丈夫でしょうか。(2:

あはい、出来ます)あ、出来ますか(2:出来ます、はい)そうで

すか、じゃあ、あの。

<引例は上村コーパス MA(F)の会話より>

<例 7> 1:テスター 2:被験者

2:やはり、趣味、(1:あー)好み、の違いなんでしょうかね。

1:うーん。(2:はい)そうですか。で、今、たしか相撲もしてるよう なんですが、(2:ええ、ええ)しってると、わたくし実はあまり見 ないんです(2:ええ、ええ)が、お好き(2:ええ)です <引例は上村コーパス CJ(F)の会話より>

<例 8> 1:テスター 2:被験者

2:(1:うん)ならないと、(1:うんー)こうー、やっぱりだから、ち ょっと話しているレベルと、次元が違うんじゃないかと思うんです ね。

1:あー、そうなんですか。まあ、これからね、大きな問題はらんでい ると思うんですけど、日本も変わると思いますけどねー。(2:そう ですね)はい。あのちょっとじゃ話変わりますけれども(2:ええ)、 えー、今、学生さんですから、(2:そうです)あのー土曜日、日曜 日なんか結構時間があるんでしょ。

<引例は上村コーパス TN(M)の会話より>

例 6 には、母語話者である被験者が「はい」の形式が多用している。

挙げた会話に「はい」は 17 回ほど現れた。また、例 7 と例 8 から、「え え」と「そうです(よ、ね)」の使用率は高かった。

4-3-3 「繰り返し」・「先取り」・「言い換え」の使用について 表 14 から、母語話者は「繰り返し」・「先取り」・「言い換え」の使用 数は、それぞれ 38 回、3 回、1 回である。「繰り返し」とは話し手の会話 内容に対する「聞いている」という信号を送るだけではなく、聞き取っ た内容を確認する気持ちもあるのである。一方、「先取り」とは聞き手が

話し手から発話権を取りたいという気持ちがあるため、話し手に無礼な イメージを与える恐れがあるのである。また、聞き手が話し手の会話内 容を理解すれば、別の類義語で再現する必要がないので、「言い換え」を 使う必要性が少ない。そのため、母語話者の方は、「先取り」と「言い換 え」の表現形式は慎重に使っていると見え、結果的に出現回数が少なか った。以下に示した例 9~例 12 は、母語話者は内容を確認するため、「繰 り返し」という表現を使用した例である。

<例 9> 1:テスター 2:被験者

1:...(省略する)....四月に日本に帰ってきて(2:はい)なんか、

(2:はは)なんか、びっくりしたことってありますか?

2:スー、留学中ですか?

1:うん、りゅ、いや、留学して、帰って来てから、(2:して帰って来 てからですか?)日本であ、し、いない間に随分、なんか変わっち ゃったとか。

<引例は上村コーパス TA(M)の会話より>

<例 10> 1:テスター 2:被験者

1:じゃここでちょっと(2:はいどうぞ)お願いしたい事が、ロール プレイをお願いしたいんですが(2:はい)。んー、お暇なお時間が なくていらっしゃるんですが(2:はい)そうですね、んー(1:

そうですねー)ちょっとね、治武さんの(2:旅行の方がいいかも しれないです)あ、旅行の方がよろしいですか(2:はい、ごめん なさいね)はい。で、しましたが、あーうん、でメッセージですの で(2:はい)私がこれからそのーメッセージの部分を(2:はい)

あのー、言いますので(2:はい)でそのあと、え、あのー、これ で(2:はい)こ、メッセージを残すおつもりで(2:はい)なさ って(2:電話を)え、ください、(2:残すんですね、はい分かり ました)よろしいですか。

2:はい、お願いします KJF

<引例は上村コーパス KJ(F)の会話より>

<例 11> 1:テスター 2:被験者 1:何年生ですか?

2:2年目です。

1:2年目。

2:はい。

1:2年目というのは2年生(2:2年生)あ、そうですか。もうそ ろそろ学校終わりですよね。

<引例は上村コーパス ES(F)の会話より>

<例 12> 1:テスター 2:被験者

1:ああ、そうですか。うん。あの最近ね、あの、大学生、ん、の中で

1:ああ、そうですか。うん。あの最近ね、あの、大学生、ん、の中で

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