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日 台 関 係 の 交 流 原 則 は 、1972 年 に 交 流 協 会 が 成 立 し た 際 の 定 款 に、「民間交流及びその他の諸関係が支障なく維持、遂行されるよう 必 要な調査を 行うととも に適切な措 置を講ずる ことにより 日台間 の 交 流に関する 事業を行い 」との文言 があるが、 総体的に事 後処理 対 応 に終始して きた感があ った。しか しながら、 馬政権後の 日台関 係 においては、日台実務交流のあり方を模索し、紆余曲折を経ながら、

実 務交流の枠 組みが形成 されていっ た。以下、 そのプロセ スにつ き 検討する。

1 台湾政府による台日特別パートナーシップの提出

「聯合号」事件の発生から 3 ヶ月、2008 年 9 月に馬総統は台湾駐 在 の日本メデ ィアとの会 見で日台関 係を「台日 特別パート ナーシ ッ プ 」として位 置付け、台 日間には歴 史・文化・ 経済・安全 保障な ど の 分野で特別 な関係が存 在し、台湾 側は同概念 を中心に据 えて、 対 日関係の強化と交流の拡大を推進する意向を表明した68。台湾側の同 文書の提出は、「聯合号」事件で冷却化した対日関係の改善と重視の 変わらぬ姿勢を示すものと理解された。

67 「 中 方 強 烈 不 滿 日 本 官 員 “ 臺 灣 地 位 未 定 論 ” 」『 新 華 網 』 2009 年 5 月 5 日 、 http://news.xinhuanet.com/world/2009-05/05/content_11316042.htm。

68 同文書の日本語は以下を参照。「台日特別パートナーシップ」『問題と研究』Vol.37 No.4(2008 年 10、11、12 月号)、171~176 ページ。

同文書によ ると、台湾 側が望む優 先課題とし て、①日本 との全 面 的 な交流の促 進、②日本 各界の憂慮 を排除する ために対中 国関係 を 含 む各政策に ついての説 明、③主権 問題を棚上 げし、漁業 問題の 解 決に取り組むの三項目を挙げた。2009 年初頭には、台湾側は同パー ト ナーシップ を積極的に 推進するた めに同年を 「台日特別 パート ナ ー シップ促進 年」と位置 づけ、①経 済貿易関係 、②文化交 流、③ 青 少年交流、④観光交流、⑤対話の 5 項目の促進を積極的に推進する 意向を示した69。これら台湾側が重視する交流の中身は、民進党時代 に議論された「1972 年体制の打破」を目指すような政治議題は含ま れず、「活路外交」でも強調される実務的な態度で対日関係の強化を はかる姿勢が伺えた。

2008 年 9 月の「台日特別パートナーシップ」、2009 年 1 月発表の

「 台日特別パ ートナーシ ップ促進年 」の文書は 、馬政権に おける 対 日 政策で重要 な役割を果 たした楊永 明・総統府 国家安全会 議諮詢 委 員 を中心とし たグループ が作成した 文書である が、同文書 の公表 、 提 出に対して 事前に交流 協会と協議 、意思疎通 をした形跡 は見当 た らない70。また、筆者の知りうる限りでは、同文書に対して交流協会 が特定の見解を表明したこともない71。しかし、同促進年に掲げられ た ワ ー キ ン グ ホ リ デ ー の 導 入 や 青 少 年 交 流 は 、 着 実 に 実 現 し て お り 、日本側も 実施できる ものは粛々 と実施して いくという 態度が 伺 える。2009 年末には、朝日新聞の台北支局長が「台湾地位未定論」

発言が引き起こした軋轢により、斉藤代表が辞任した問題に関し「冷

69 「我國政府訂 2009 年為『台日特別夥伴關係促進年』」中華民國外交部、2009 年 1 月 20 日、http://www.mofa.gov.tw/webapp/content.asp?cuItem=36735&mp=1。

70 嚴安林、前掲書、頁 18。

71 石原忠浩「馬英九政権の一年の回顧と展望―内政と日台関係を中心に」『東亜』、35 ページ。

え込む日台関係」という論評をしたが72、その直後に陳調和・亜東関 係協会秘書長は、台日関係においては、2009 年には 8 項目の重要な 進展があったとして列挙し、「冷え込む日台関係」との指摘に対して 反論した73。その8 項目は以下の内容である。

①3 年間停滞していた日台漁業交渉が再開した。②6 月から日台ワ ーキングホリデー制度が実施された。③東京に「台湾文化センター」

が 成立した。 ④日本の国 会が法改正 し、日本に 居留する台 湾人の 外 国 人登録証に 「台湾」と 明記できる ようになっ た。⑤交流 協会の 支 持 の下に、政 治大学にて 「現代日本 研究センタ ー」が開設 した。 ⑥ 日 台双方は多 くの二国間 経済貿易協 議を行い、 会議のレベ ルを格 上 げ した。⑦駐 日台北経済 文化代表処 の札幌分処 を開設した 。⑧民 間 航空業務に関する交換書簡に署名し、2010 年 10 月から東京羽田空港 と台北松山空港の航空路線が毎日4 便就航することになった。

上記 8 項目は、経済、文化、青少年、観光交流及び対話の促進が 含 まれており 、年初に掲 げた目標は 概ね達成さ れたという 自己評 価 であり、日台関係の着実な進展を強調することとなった。

2 日台関係の交流強化に関する覚え書きの締結

2009 年の「台日特別パートナーシップ」促進年に続き、新たな実 務交流のあり方が模索される中、2010 年 4 月 30 日に交流協会と亜東 関係協会の間で「交流協会と亜東関係協会との間の2010 年における 日台双方の交流と協力の強化に関する覚書」が公表された74

72 「冷え込む日台関係」『朝日新聞』2009 年 12 月 8 日、第 7 版。

73 「外交部否認台日関係急凍」『中国時報』2009 年 12 月 10 日、第 8 版。

74 「交流協会と亜東関係協会との間の 2010 年における日台双方の交流と協力の強化に 関する覚書」財団法人交流協会、2010 年 4 月 30 日、http://www.koryu.or.jp/ez3_

contents.nsf/Top/BADA10EAA71368ED4925771500073D52?OpenDocument。

同覚書きは、日台双方が、防災、犯罪捜査、経済、文化など15 項 目 につき交流 と協力の強 化を推進し ていく旨の 内容が盛り 込まれ て いる75。2008 年に台湾政府が「台日特別パートナーシップ」を提出 し て以来、同 覚書でも実 務関係を中 心とした日 台交流の強 化が双 方 で確認されることとなった。同年12 月 10 日には、第 35 回日台貿易 経 済会議の終 了後に双方 代表の団長 により「地 震、台風等 に際す る 土 砂災害の防 止及び砂防 に係る技術 交流に関す る亜東関係 協会と 財 団法人交流協会との間の取決め」が調印された76。同協議書は同年 4 月 に日台間で 交わされた 覚書に基づ く初の協議 文書であり 、日台 双 方 が防災、砂 防の議題に ついて協力 することに 合意する内 容であ る と 説明される など、日台 の実務関係 は着実に進 展している ことを 示 した。

また外交部は 2011 年初頭に日台双方は 2011 年以降も同覚書に沿 っ た各種交流 、協力を推 進していく ことで合意 したと発表 し、今 後 も右覚書に沿った実務関係の協力が促進することとなった77

3 東日本大震災後の実務交流枠組みの中での交流の展開

2011 年 3 月の東日本大震災の後、台湾官民の支援とその後の慰問 外交を経て、同年 7 月に日台双方は、日本の震災後の復興を後押し

75 台湾政府関係者によると、当初日本側は 12 項目の内容を挙げてきたが、台湾側の要 求により3 項目増やし、計 15 項目となった。

76 「亞東關係協會與日本交流協會簽署防災防砂技術交流協議書」中華民國外交部、2010 12 月 10 日、http://www.mofa.gov.tw/webapp/ct.asp?xItem=47874&ctNode=1547&mp1。

77 「台日雙方同意持續推動『亞東關係協會與財團法人交流協會於 2010 年之強化台日交 流合作備忘錄』」中華民國外交部、2011 年 1 月 31 日、http://www.mofa.gov.tw/webapp/

ct.asp?xItem=50235&ctNode=1547&mp=1;「台湾情報 日台関係」財団法人交流協会、

2011 年 6 月 29 日、http://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/12/F3CE8A140E14BA46492577 37002B2217?OpenDocument。

するために 交流協会と亜東関係協会の間で「日台『絆(厚重情誼)』

イ ニシアティ ブ」として 、今後数年 にわたり、 以下の交流 及び協 力 を強化するよう努めることにつき、共通認識に達したと発表した78。 右 イニシアテ ィブによる と、①台湾 観光客の訪 日促進、② 日本の 農 産 物の安全性 のアピール 及び日台間 の輸出入促 進、③台湾 メディ ア 関 係 者 の 訪 日 招 聘 と 日 本 の 安 全 性 を 知 る た め の 機 会 提 供 、 ④ 青 少 年 、教育、学 術、地方交 流の促進、 ⑤地震研究 分野の協力 強化、 ⑥ 原 子力エネル ギーの安全 に関する情 報の共有、 ⑦日台貿易 経済会 議 等 の 枠 組 み を 活 用 し 、 更 な る 協 力 の 可 能 性 を 検 討 す る と な っ て い る 。右内容は 、台湾側が 今後数年の 間、日本を 支援する具 体的な 内 容 をまとめた ものであり 、昨今の日 台関係が友 好的な状況 にある こ とを示すものとなった。

同イニシアティブの下に、同年 9 月には双方の経済貿易関係を強 化 することに なる取り決 め「投資の 自由化、促 進及び保護 に関す る 相 互 協 力 の た め の 財 団 法 人 交 流 協 会 と 亜 東 関 係 協 会 と の 間 の 取 決 め」(原文:亞東關係協會與財團法人交流協會有關投資自由化、促進 及保護合作協議、台湾での俗称では「台日投資保障協議」)を交わし79、 11 月には「民間航空業務の維持に関する交換書簡」が交換され、日 台 の オ ー プ ン ス カ イ が 実 現 す る 運 び と な っ た80。 こ れ ら の 取 り 決 め

78 「財団法人交流協会と亜東関係協会との間の東日本大震災からの復興支援・観光促 進に関する日台『絆(厚重情誼)』イニシアティブ」財団法人交流協会、2011 年 7 14 日、http://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/0/743a046cef14c564492578cd0006608a/

$FILE/kizuna.pdf。

79 「台日簽署『亞東關係協會與財團法人交流協會有關投資自由化、促進及保護合作協 議』」中華民國外交部、2011 年 9 月 22 日、http://www.mofa.gov.tw/webapp/content.

79 「台日簽署『亞東關係協會與財團法人交流協會有關投資自由化、促進及保護合作協 議』」中華民國外交部、2011 年 9 月 22 日、http://www.mofa.gov.tw/webapp/content.

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