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第二章 台湾について

2.5 音楽能力試験

(1) 全体目標:郷土·国家·世界を意識し、伝統·現代·

未来への可能性を踏まえつつ、人文·社会·科学技 術における均衡の取れた発展。

(2) 段階目標:人と自己、人と社会環境、人と自然環 境など。(合計 10 項目の課程目標)

2. 時間割り:

(1) 小学校(1~6 年生)週に授業 2.0~3 . 9 回分を上 限とする。

(2) 中学校(7~9 年生)週に授業 3.2 ~ 5 . 2 回分を 上限とする。

3. 教材編集:段階能力、素質指標やポイントに基づいて編集さ れたものを「審定制」により採用した52

2.5 音楽能力試験

台湾の音楽能力試験は政府の下でではなく各企業によりそれぞれ 独自の能力試験が行われている。例えば、ヤマハやカワイの音楽能 力試験である。試験は各企業が行うため内容も違っている。以下で は台湾で最も長い 40 年あまりの歴史を持ち尚且つ一番知られている ヤマハの音楽能力試験を例として挙げることにする。

1897 年、山葉寅楠が「日本楽器製造株式会社」(日本楽器会社)を 創立した。彼は最初オルガンの研究製造に熱中したことがきっかけ で 1900 年初めて日本制のピアノ作りに成功した。日本植民時代の初 期には台湾に持ち込まれ、転売された。1898 年前後に、学校用品に 加えて楽器も販売する並木商店などの店を通じてヤマハ製のピアノ が販売され始めた。台湾の西洋楽器の需要が高まるにつれて 1926 年 正式に台北で日本楽器製造株式会社台湾出張所が設立された。1945 年終戦とともに日本楽器製造株式会社は台湾での営業を打ち切った

       

52 姚世澤(2012:57)

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圖 3 並木商店によるヤマハ制ピアノの販売広告 出典: 蔡昀修(2009:35)

日本植民時代から経営してきた万屋教育用品社は戦後後継者によ って 1945 年に「功学社」と商号を変えた。1950 年代半ば、政府の輸 入管制により「功学社貿易」(前身は功学社)を設立した。日本楽器 製造株式会社社長川上源一は功学社貿易をヤマハ台湾総代理店に指 定した。なぜならそれまで功学社貿易はヤマハブランドのピアノだ けをひいきにし、販売していたからである。功学社貿易は元々学校 用品を中心に販売していたが、戦後楽器の需要がどんどん増えるに つれて楽器販売が中心となっていった54

50 年代末台湾の経済が良くなるにしたがって政府は教育をますま す重視するようになり、学校に設置するため功学社貿易から 100 台 以上のヤマハ製のピアノを購入した。こうしたこともあって、ヤマ ハブランドのピアノに対してひときわ良いイメージが一般の人々の 間にあると言えよう55

1969 年「日本楽器製造株式会社」は「功学社」と共同して、台湾 桃園県に主にピアノ、オルガン、エレクトーンを生産する、「台湾山 葉楽器製造」(股)を設立した(日本楽器製造株式会社の出資 40%、

       

53 蔡(2009:35)

54 蔡(2009:56-57)

55 蔡(2009:66)

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功学社の出資 60%)56。1997 年、ヤマハブランド製品の台湾におけ る販売を過去 40 年来担当してきた功学社貿易(股)は、更に台湾の 客層のニーズにきめ細かく対応したいという考えから、日本のヤマ ハ(株)との合弁会社として「功学社山葉楽器」(股)を設立した57

1968 年に台湾功学社貿易は日本ヤマハ音楽教育システムに基づ いて幼児のための音楽教室を展開し、現在に至る。ヤマハグレード は、日本国内はもとより海外でも実施されており、アジアをはじめ、

北米、中南米、ヨーロッパ、オセアニアの 30 を超える国と地域にわ たっている。台湾のヤマハグレード(「山葉音樂能力檢定制度」)は ピアノ、エレクトーン、管楽器(フルート)の三種類の演奏グレー ドだけである。日本の場合は、それらに加えてクラシック・ギター やドラムの演奏グレード、幼児科音楽基礎グレード(ヤマハ音楽教 室幼児科修了生を対象)もある。受験者の音楽力や目標に合わせて 様々なレベルがあり、大別すると鍵盤初心者を対象とした 13〜11 級、

学習者のための 10〜6 級、より高い演奏力を目指す者や指導者を目 指す者のための 5 級以上のグレードがあり、台湾の場合は最高 3 級 まで受験でき、2 級(2 級が最高レベル)を受験したい場合は日本で 受験する必要がある。このように、初心者から上級者まで段階を追 って目標感を持ちながら学習することができる。以下に台湾ヤマハ のピアノ演奏グレードを例として挙げる58

表 3 ヤマハグレード内容

ピアノ演奏グレード 項目① 項目② 項目③ 項目④

13〜11 級 自由曲 1 曲 課題曲 1 曲 初見演奏 聴奏

10~8 級 自由曲 2 曲 伴奏づけ 初見演奏 聴奏

       

56 蔡(2009:90)

57 家城(2003:6)

58 ヤマハ公式サイト

HP:http://www.yamahamusic.com.tw/grade/yamaha-grade/yamaha-grade-p106-content.ht m

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7~6 級 自由曲 2 曲 即興演奏 初見演奏 聴奏

5 級 課題曲 1 曲

自由曲 3 曲

即興演奏 初見演奏

4 級 課題曲 1 曲

自由曲 3 曲

即興演奏 初見演奏

3 級 課題曲 1 曲

自由曲 4 曲

自作曲 1 曲

即興演奏 初見演奏

出典: HP:ヤマハ公式サイト

13〜11 級のピアノ演奏グレード試験内容は、自由曲(予め準備し ておいたレパートリー2 曲の中から試験官がその場で選ぶ 1 曲を演奏 する)、課題曲(ヤマハ出版の『ピアノスタディ』の中で規定されて いる 2 曲の中から 1 曲を予め準備しておく)、初見演奏、聴奏の四種 類である。

10~9 級ピアノ演奏グレード試験内容は自由曲(一般のピアノ曲の 中から 3 曲を用意して、その場で試験官から指示された 2 曲を演奏 する)、初見演奏、聴奏、伴奏づけの四種類である。

8~6 級ピアノ演奏グレード試験内容は自由曲(一般のピアノ曲の 中から 4 曲を用意して、その場で試験官から指示された 2 曲を演奏 する)、初見演奏、聴奏、即興演奏の四種類である。

5~3 級ピアノ演奏グレード試験内容は即興演奏課題(変奏とモチ ーフ合わせて 10 分間の予見がある)、初見演奏(20 秒程度の予見が ある)、楽曲演奏の三種類である。楽曲演奏規定曲数は次の通りであ る。

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表 4 5 級~3 級ピアノ演奏グレードの曲数

課題曲 自由曲 自作曲

5 級 1 3 - 4

4 級 1 3 - 4

3 級 1 4 1 6

出典: HP:ヤマハ公式サイト

*課題曲・自由曲を問わず、複数曲から成る楽曲 (例:ソナタ、

組曲、変奏曲、前奏曲とフーガなど)から選択する場合はその複数 曲から成る楽曲の中から一部分を、抜粋して採用することができる。

つまりその楽曲全体の中から各級で指定されている数の曲だけを選 択すれば良いのである。自由曲はすべて異なる作曲家の作品から選 択しなければならない。

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