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最終処分場に関する住民の意識調査 羅 明振

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Academic year: 2022

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最終処分場に関する住民の意識調査

羅 明振* 小野 雄策** 小野 芳朗* 栗原 考次*

Survey Study of Resident Awareness on Waste Final Disposal Site Myungjin NA*, Yusaku ONO**, Yoshiro ONO* and Koji KURIHARA*

As construction of final waste disposal site is essential recently, a problem where we should build it becomes important issue. However, public opposition occurs for the construction because the final waste disposal site has negative image such as pollution of various kinds, increase of traffic volume and noise by truck and bulldozer, and aggravation of living conditions. Public opposition is the most critical problem in constructing final waste disposal site. The source of public opposition has been characterized as NIMBY or not-in-my-yard. This paper presents a survey of the resident awareness on final waste disposal site, and attempts to find factors which affect the public opposition using logistic regression analysis and CART(classification and regression tree).

Key words: final waste disposal site, resident awareness, public opposition, logistic regression analysis, CART(classification and regression tree)

1 はじめに

環境省は毎年,全国の一般廃棄物の排出及び処理状況等に関 する状況について調査し,その結果を取りまとめて公表してい る.その調査によると,2005 年度におけるごみの総排出量は 5,273 万トンであり,総処理量は 4,578 万トン,再生業者等へ直 接搬入された量は 254 万トンで,この両者でごみの総処理量は 全体の 97.1%(減量処理率)を占める.中間処理量のうち,中間処 理後に再生利用された量(処理後再生利用量)は 449 万トンで,こ れに直接資源化量と集団回収量を合計した総資源化量は 1,003 万トンである.また,中間処理により減量化された量は 3,540 万トンであり,中間処理されずに直接最終処分された量は 144 万トンである.この直接最終処分量と中間処理後に最終処分さ れた量を合計した最終処分量は 733 万トンであり,減少傾向が 継続している.一方,最終処分場の残余容量は 1998 年度以降 7 年間続けて減少しており,最終処分場の数は 1996 年度以降 9 年 間続けて減少し,最終処分場の確保は引き続き厳しい状況であ る(環境省,2007).このような最終処分場が不足しているという 現状を背景に,新たな最終処分場の建設が今必要不可欠となっ ている.しかし,最終処分場は一般的に否定的なイメージを持 たれていた施設なので,技術的,経済的に対応可能な建設計画 があっても住民の反発によって建設ができない場合が多い.し たがって,最終処分場に対する住民の意識を考慮しなければな らない.

このような背景の下,本研究では最終処分場に対する住民の 意識調査を行い,最終処分場の建設について,住民の反対に影 響を与える主要要因を見つけ出すことを目的とする.

2 データ

埼玉県環境科学国際センターでは,文部科学省プロジェクト である「科学技術振興調整費「廃棄物処分場の有害物質の安全・

安心保障」」において,国立環境研究所や大学と連携し,様々試 験・研究に取り組んでいる.このなかで,住民の方々が廃棄物 処分場に対してどのようなイメージを持っているか,について の意識調査を行っている.この調査は,2005 年 2 月,環境問題 に関心が深いいきがい大学の学生や埼玉大学で環境問題に関す る講義を受講している学生を中心に「最終処分場に関するアン ケート」を題したアンケート調査を行ったものである(磯部友護 ら,2005).

調査票は直接配布し,郵送により回収した.配布総数は 1230,

回答数は 430 であり回答率は 35%であった.本研究では,この 内で調査票に無応答した 4 人,半分だけ応答した 12 人,印刷不 良で応答できなかった 3 人を除き,411 個のデータを標本として 分析に利用した.表-1 に分析に利用した変数を示す.

このアンケート調査の性別構成は男性が 45.7%,女性が 54.3%

であり,年齢構成は表-2 のように 60 歳以上からの回答が多く,

高年齢層が全体の 65.9%を占める結果となった.

* 岡山大学大学院環境学研究科

** 埼玉県環境科学国際センター

35

(2)

表-1 分析に利用した変数

変数名 変数内容

SEX AGE EXPER

NEED PLACE IMEGE WORRY KNOWUSE

LANDUSE DESIRE OPPOSE

性別 年齢

最終処分場に行ったことがある 最終処分場が必要である 最終処分場の位置を知っている 最終処分場のイメージ 最終処分場についての心配 終処分場の跡地利用を知っていた 最終処分場の跡地としての利用 最終処分場についての要望 最終処分場の建設についての可否

表-2 年齢構成 年齢 応答者の割合(%) 20 代以下

30 代 40 代 50 代 60 代 70 代以上

7.3 8.3 7.1 11.4 51.6 14.3

3 最終処分場に関する住民の意識調査結果

表-3 に最終処分場に関する住民の意識調査の結果を示す.最 終処分場に行ったことがあるかについては応答者の 30%が「行 ったことがある」と答え,「新聞やテレビで見た」という答えが 32.6%,「行ったことがない」という答えが 37.2%を占めた.最 終処分場が必要であるかという質問には,「必要である」という 答えが 79.3%であり,多くの人々が最終処分場の必要性を認識 している結果となった.図-1 は最終処分場が必要ではないと答 えた人に対してそう思う理由を聞いた結果である.この結果を 見ると,「極力,リサイクルしてごみを出さないようにすべきだ から」という答えが 34.9%,「最終処分場は環境を汚染する原因 であると思うから」という答えが 42.7%で,必要ではないと思 う理由全体の 77.6%を占めた.最終処分場がどこに位置してい るかを知っているかについては応答者の 81.3%が「知らない」

と答えた.しかし,最終処分場の跡地を土地として利用されて いることを知っていたかという質問には応答者の 67.9%が「知 っていた」と答えた.

一方,最終処分場の建設に反対するかという質問には応答者 の 65%が「反対する」という答えをした.すなわち,最終処分 場の必要性は認識しているが,自分に悪影響を与えるかもしれ ない建設については反対するという,態度と行動が違う様相を 見せていることがわかった.

表-3 住民の意識調査結果

変数 応答項目 割合(%)

EXPER

ある

新聞やテレビで見た ない

30.2%

32.6%

37.2%

NEED

必要であると思う 必要はないと思う

79.3%

20.7%

PLACE 知っている 知らない

18.7%

81.3%

KNOWUSE 知っていた 知らなかった

67.9%

32.1%

OPPOSE 反対しない 反対する

35.0%

65.0%

図-1 最終処分場が必要ではないと思う理由

図-2 は最終処分場についてのイメージを表す.IMAGE1 か ら IMAGE10 までは表-4 に内容を示す.その結果は「人里はな れた山の中にある」,「ごみ収集車がたくさんやって来る」,「ご みが散乱している」,「においがする」,「ハエ・カラス等がいる」

という上位5 位までのイメージが全体の約 70%を占めた.

図-3 は表-5 のような心配があるかどうかについての結果で ある.「最終処分場の隣接による地価の下落」という心配を除き,

すべてに関して心配している応答者が心配しない応答者より多 いことがわかる.特に,応答者の80%以上が「最終処分場周辺 の河川や地下水の汚染」,「土壌の汚染」に関する心配があるこ とがわかる.

図-2 最終処分場に持っているイメージ

(3)

表-4 イメージの内容 IMAGE1 人里はなれた山の中にある IMAGE2 海の近くにある

IMAGE3 管理が行き届いている IMAGE4 広い

IMAGE5 ほこりっぽい

IMAGE6 ごみ収集車がたくさんやって来る IMAGE7 ブルドーザがたくさん動いている IMAGE8 ごみが散乱している

IMAGE9 においがする IMAGE10 ハエ・カラス等がいる

図-3 最終処分場についての心配

表-5 心配の内容

WORRY1 最終処分場周辺の河川や地下水の汚染 WORRY2 土壌の汚染

WORRY3 大気の汚染

WORRY4 豪雨や地震などの災害時にどうなるか WORRY5 最終処分場の管理や水の処理 WORRY6 トラックやブルドーザによる騒音・

振動・交通量の増加

WORRY7 ハエ・ゴキブリ・烏・ねずみ等の害虫・害 獣による住環境の悪化

WORRY8 最終処分場の隣接による地価の下落

図-4は最終処分場の跡地を表-6 のように利用して欲しい かという質問の結果である.応答者の約 85%が最終処分場の跡 地を「公共施設などにして市民に開放する」,「自然景観をつく るための敷地にする」ということで利用して欲しいことがわか る.また,図-5 は最終処分場にどのような要望があるかという 質問に対する答えである.DESIRE1 から DESIRE3 は表-7 に示 す.結果を見ると「最終処分場からの有害物質の漏れ対策技術 や最終処分方法の向上」という要望が 37.2%,「最終処分場の構 造や最終処分ゴミなどに関する情報の公開制度の充実」という 要望が 25.3%,「最終処分終了後の最終処分場を公園にするなど 跡地利用の計画の公表」という要望が 31.7%を占めた.

図-4 最終処分場の跡地をどのように利用して欲しいか

表-6 跡地利用の内容

LANDUSE1 公共施設(公園,広場,運動場 など)などにして市民に開放する LANDUSE2 建物(住宅や公民館など)を建てる

ための敷地にする

LANDUSE3 大型の建物(工場や焼却炉などの 施設)を建てるための敷地にする LANDUSE4 自然景観(人工林・花畑など)を

つくるための敷地にする LANDUSE5 立ち入り制限する

図-5 最終処分場にどのような要望があるか

表-7 要望の内容

DESIRE1 最終処分場からの有害物質の漏れ 対策技術や最終処分方法の向上 DESIRE2 最終処分場の構造や最終処分ゴミ

などに関する情報の公開制度の充実 DESIRE3 最終処分終了後の最終処分場を公園に

するなど跡地利用の計画の公表

4 住民の反対に影響を与える要因

最終処分場に関する住民の意識調査の結果,最終処分場の必 要性は認識しているが,自分に悪影響を与えるかもしれない建 設については反対する,という態度と行動が違う様相を見せて い る こ と が 確 認 で き た . こ の 現 状 は NIMBY (Not

(4)

in-my-backyard)ということで特徴付けられる(Lober,1993).すな わち,最終処分場が必要不可欠であることを認識しているが,

それが実際に建設されると,自分にとって利益より損失がもっ と大きいと思い,反対する行動を取ることとなる.そのような 住民の反対は最終処分場の建設ができるかどうかを決定する主 要な原因となってくる.本研究では,住民が反対する行動にど の要因が影響を与えるかということに注目し,アンケートデー タを用いてその要因を探した.分析はロジスティック回帰分析 と CART という統計的手法を用いて行った.

4.1 ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析は目的変数が質的変数(離散変数,2 カテゴリー以上)であり,説明変数が連続変数,質的変数,ある いはそのコンビネーションであるようなデータに対する回帰分 析の一手法である(丹後俊郎ら,2004).

一般にある現象の発生する確率pを,その現象の生起を説明 するために観測された変数群x=(x1,x2,...,xr)で説明しよう と考える.次に通常の回帰分析と同じように切片β0と各説明変 数の効果を表すパラメータβ12,...,βrで合成される線形合 成変数g(x)を考える.

r rx x

x

g(x)=β01 12 2+"+β (1)

ここで,このg(x)を用いて,x=(x1,x2,...,xr)という状態の もとで現象が発生する(y=1となる)確率p(x)はyxに関 する条件付き確率であるから,これを,

)) ( exp(

1 1 ))

( exp(

1

)) ( exp(

}

| 1 Pr{

) (

x x

x x x

g g

g y p

= +

= +

=

=

(2)

と仮定する.ロジスティック回帰分析はこの仮定のうえに成り 立つものである.これを変形すると次式が得られる.

) ( 1

) log ( )

( x

x x

p

g e p

= − (3)

上式の右辺を logitp(x)と表現し(これをロジット変換という),

) (x

g p(x)のロジット(logit)あるいは対数オッズ(log odds)と 呼ぶ.したがって,p(x)のロジット変換 logitp(x)は次のとお りになる.

r rx x

x

p( )=β01 12 2+"+β

logit x (4)

これがロジスティック回帰分析のモデルである.このロジット 変換の特徴は定義域が[0,1]であった確率変数p(x)をこの変換 により(−∞,+∞)の定義域をもつg(x)に変換し,式(3)のような 通常の回帰分析の形式に表現できるようにしたことである.

パラメータβ012,...,βrは最尤法(maximum likelihood

method)により推定する.最尤法とは,データの生じる確率(尤度 (likelihood)という)を統計モデルにより表現し,尤度が最大にな るようにモデルに含まれるパラメータを推定する方法である.

このときの統計モデルを尤度関数という.ロジスティック回帰 分析では,目的変数であるyは,事象が生じれば 1,生じなけ れば 0 という 2 値をとる変数となる.したがって式(2)よりi番 目の個体の尤度は

i

i y

y p

p(x) (1− (x))1 (5)

となり,それぞれの個体が独立とみなせればデータ全体の尤度 は

( )

i i i i

y y n

i n

i

y y

g g

g p p

L

=

=

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

⎟⎟ +

⎜⎜ ⎞

= +

=

1

1 1

1

)) ( exp(

1 1 ))

( exp(

1

)) ( exp(

)) ( 1 ( ) (

x x

x x β x

(6)

のような尤度関数で表される.実際の計算はL

( )

β を最大にする パラメータの最尤推定値を,上式の対数をとって対数尤度を求 め加法形式にしたうえでNewton-Raphson法などのアルゴリズム によって反復計算により推定する(林ら,2002).

4.2 CART

CART(classification and regression tree)は質的または量的な目的 変数を説明変数の特定の水準とそれ以外の水準に 2 分割し,各 段階で質的目的変数の誤分類率または量的目的変数の群内平方 和を計算して,それが最小になるような説明変数を選択しなが ら逐次に 2 進木を成長させることにより,判別や回帰モデルを 構築する方法である.特に目的変数が質的変数の場合を分類木 (classification tree),量的変数の場合を回帰木(regression tree)と呼ぶ.

この手法は,従来の判別分析と回帰分析に対応するノンパラメ トリックな統計解析手法である(大滝厚,1998).分析過程が木構 造により表現されるため,判別分析,回帰分析,ニューラル・

ネットワーク等のような方法より分析過程を理解や説明しやす い長所を持っている.

一般的に分析は次のような順序で行う.

„ 樹木の形成:分析の目的と資料構造により適切な分岐基準 (split criterion)と停止規則(stopping rule)を指定して樹木を形 成する.

„ 剪定(pruning process):分類誤差(classification error)を大きく するリスクが高い,あるいは不適切な規則を持っている枝 葉(branch)を除去する.

„ 誤分類率や推定誤差の評価:代替推定法(resubstitution estimate),テストサンプル法(test sample estimate),交差検証 法(cross-validation)等の方法により樹木を評価

„ 解釈及び予測:樹木を解釈し,分類及び予測モデルを設定

(5)

する.

図-6 樹木の概念

以上のような過程で分岐基準,停止規則,平価基準等をどの指 定するのかにより様々な樹木が形成する.図-6 は樹木の概念を 表している.x1, x2, x3 は分岐変数であり,t2, t4, t6, t7 はターミ ナル・ノードである.また,t3 は t5 の親ノード(ancestor),t5 は t3 の子ノード(descendant)と呼ぶ.

CART は分岐基準として,不純度(impurity)を表す Gini インデ ックスという指標を用いる(山口和範,1996).ノードを分岐させ ることによって,この不純度が減少するような分岐点を探す.

すなわち,分岐させることによって分岐後のそれぞれのノード の純度が増すような分岐伝を探すということである.Gini イン デックスは,次のように計算される.

=

j

t j p t

i() 1 2( | ) (7)

ここで,tはノード,jはクラス,pは割合を表す.したがっ て,p(j|t)は「ノードt内のクラスjの割合」ということにな る.

いまsという分岐を行ったとすると,分岐前の GINI インデッ クス,i(t)と分岐後の複数のインテックス,i(ti)を計算し,分 岐前と分岐後の Gini インデックスの差,Δi(s,t)を以下のよう に計算する.

×

= Δ

i

i

i i t

t N

t t N

i t s

i ( )

) (

) ) (

( ) ,

( (8)

ここで,N(t)はtノードでデータの総数,N(ti)はtノードで iクラスの個数を表す.

このΔi( ts, )が最も大きくなるような分岐sを探し出し,それを 最良な分岐s*とする.すなわち,

) , ( max ) ,

(s* t i s t i

S s

Δ

=

Δ (9) となる.

4.3 分析の結果

4.3.1 ロジスティック回帰分析の結果

ロジスティック回帰分析を行うため,まず説明変数となる質 的変数に対してダミー変数を作成する必要がある.表-8 は最 初のモデルに含まれた説明変数を表す.

表-8 モデルに含まれた説明変数

変数名 値

SEXM AGE1 AGE2 AGE3 AGE4 AGE5 EXPER1 EXPER2 NEED PLACE

IMAGE1~IMAGE10 WORRY1~WORRY8 KNOWUSE

LANDUSE1~LANDUSE5 DESIRE1~DESIRE3

男性=1,女性=0 20 代以下=1,その他=0 30 代=1,その他=0 40 代=1,その他=0 50 代=1,その他=0 60 代=1,その他=0 ある=1,その他=0

新聞やテレビで見た=1,その他=0 必要である=1,必要ではない=0 知っている=1,知らない=0 持っている=1,持っていない=0 ある=1,ない=0

知っていた=1,知らなかった=0 欲しい=1,欲しくない=0 ある=1,ない=0

最初のモデルは目的変数として oppose(反対する=1,反対しな い=2)であり,37 個の説明変数を含んでいる.このモデルは説明 変数が多すぎるので,ステップワイズ法(entry criterion=0.2, stay criterion=0.1)を用いて変数選択を行った.その結果,説明変数と して SEXM, AGE4, AGE5, NEED, IMAGE3, IMAGE7, IMAGE9, WORRY8, LANDUSE3 の 9 個の変数が選ばれた.しかし,AGE4, と AGE5 は年齢に関する変数なので,最終モデルには年齢に関 する変数をすべて入れることとした.表-9 は最尤法により推 定したパラメータを示す.

結局,適合されたロジスティック回帰モデルは

LANDUSE3 7358

. 0 8 WORRY 7002

. 0

9 E 0.5329IMAG E7

0.8343IMAG

3 0.901IMAGE NEED

3036 . 1

AGE5 5973 . 0 AGE4 0123 . 1

AGE3 3043 . 0 AGE1 1793 . 0

0.2912AGE1 SEXM

4218 . 0 9192 . 1 ) ( logit

+ +

+

− +

− +

x =

p

(10)

となる.

すなわち,性別,年齢,最終処分場の必要性,「管理が行き届 いている」,「ブルドーザがたくさん動いている」,「においがす る」というイメージ,「最終処分場の隣接による地価の下落」と いう心配,「最終処分場を大型の建物(工場や焼却炉などの施設)

(6)

を建てるための敷地にする」という跡地利用の希望が最終処分 場の建設に反対する要因となる変数であることがわかる.さら に,表-9 の p 値を見ると,NEED が他の変数と比べ最も小さい ので,住民の反対に最も主要な変数となっていることもわかる.

式(10)の解釈はパラメータの符号を用いて説明できる.符号が正 であるほど建設に強く反対することを意味する.SEXM のパラ メータの符号は負であるため,男性より女性の方が反対する傾 向を見せる.年齢については 70 代以上を基準として 50 代が最 も反対することを示している.また,最終処分場が必要ではな いと思う人が必要であると思う人に比べて反対が多いことがわ かる.イメージにおいては「管理が行き届いている」,「ブルド ーザがたくさん動いている」というイメージを持っていない人 が持っている人に比べて反対が多いが,「においがする」という 悪いイメージでは持っている人が持っていない人より反対が多 いという結果となっている.さらに,「最終処分場の隣接による 地価の下落」という心配をしている人が心配しない人に比べて 反対が多いことがわかる.これは NIMBY 現状が原因となって いることが考えられる.最後に「最終処分場を大型の建物(工場 や焼却炉などの施設)を建てるための敷地にして」欲しい人が欲 しくない人に比べて反対が多い.

表-9 最尤法よるパラメータ推定結果

パラメータ 推定値 標準

誤差

ワルド

χ2値 p 値

切片 SEXM AGE1 AGE2 AGE3 AGE4 AGE5 NEED IMAGE3 IMAGE7 IMAGE9 WORRY8 LANDUSE3

1.9192 -0.4218 -0.2912 0.1793 -0.3043 1.0123 -0.5973 -1.3036 -0.9010 -0.8343 0.5329 0.7022 0.7358

0.4913 0.2572 0.5178 0.5964 0.5669 0.5987 0.3479 0.3642 0.3219 0.2951 0.2443 0.2433 0.4613

15.2564 2.6886 0.3164 0.0904 0.2881 2.8592 2.9469 12.8086

7.8358 7.9929 4.7588 8.3314 2.5443

0.0000***

0.1011 0.5738 0.7636 0.5915 0.0909*

0.0860*

0.0003***

0.0051***

0.0047***

0.0291**

0.0039***

0.1107

***:有意水準 0.001 で有意,**:有意水準 0.05 で有意,

*:有意水準 0.1 で有意

表-10 にモデルの適合度検定結果を示す.この結果を見ると,

モデルが正しいという帰無仮説が棄却されないので,適合され たモデルは正しいといえる.

表-11 にモデルの有意性検定結果を示す.この結果を見ると,

定数項だけのモデルが正しいという帰無仮説が棄却されるので,

モデルに含めたすべてのパラメータがゼロではないといえる.

表-10 適合度検定の結果

基準 値 自由度 値/自由度 p 値

デビアンス ピアソン

157.8688 135.9800

142 142

1.1118 0.9576

0.1716 0.6265

表-11 有意性検定の結果 検定 2

χ 値 自由度 p 値 -2logL

スコア ワルド

86.8800 76.2593 62.0644

12 12 12

0.0000 0.0000 0.0000

4.3.2 CART による分析結果

ロジスティック回帰分析で用いた説明変数を CART にもすべ て利用した.そこで目的変数となる oppose は質的変数なので,

分類木(classification tree)を用いて分析を行った.図-7 は分岐基 準として Gini インデックスを用いてできるだけ成長した樹木の 結果である.しかし,図-7 は木の成長が大きくなると同時に,

ルールが煩雑になり,解釈が難しくなっている.そこで,複雑 度パラメータを用いて木を剪定する必要がある.剪定作業は図

-8 のグラフを用いて行う.図-8 の下部の横軸は複雑度パラメ ータで,上部の横軸は樹木の葉の数で示すサイズである.図の 中の水平直線は交差検証時の相対平均誤分類率+1SE(standard error)を表す.また,縦軸は交差検証された相対誤差(cross- validated relative error)である.

図-8 複雑度パラメータ vs. 交差検証された相対誤差と樹木

のサイズのグラフ

通常,樹木サイズは相対誤差の最小値からその標準誤差 1 倍 の範囲内の最大の相対誤差値を選ぶ.これを MIN+1SE 方法と 呼ぶことにする.図-8 では cp=0.018 で標準誤差 1 倍の範囲内 の最大の相対誤差値を持っている.さらに,その時の最適な樹 木のサイズは 13 となる.この結果により複雑度パラメータ値の

(7)

0.016 を基準として剪定作業を行った.その結果は図-9 に示す.

CART による分析結果,NEED, AGE, IMAGE9, WORRY2, PLACE, IMAGE7, LANDUSE1, SEX, WORRY6, IMAGE8, WORRY4 の 11 個の変数が最終処分場建設の反対に影響を与え る変数として選ばれた.また,ロジスティック回帰分析と同様 に最終処分場の必要性が住民の反対に最も主要な変数となって いることがわかる.

ターミナル・ノードの総数は 13 個,その中で「反対する」と 分類されたターミナル・ノード数は 8 個である.反対するパタ ーンを見ると,最終処分場が必要ではないと思う場合に反対す ることと分類されている.また,最終処分場が必要であると思 うが,年齢が 50 代以下で,「においがする」というイメージを 持っている場合は対することと分類される.このように図-9 により他の反対するパターンも解釈ができる.

4.3.3 ロジスティック回帰分析と CART の結果比較

最終処分場の建設に反対する要因を探すため,ロジスティッ ク回帰分析と CART による分析を用いた.しかし,2 つの分析

方法で選ばれた変数は少し違う結果となっている.表-12 は 2 つの分析方法で選ばれた変数を表す.両方とも SEX, AGE, NEED, IMAGE7, IMAGE9 が説明変数として使われていることがわかる.

ロジスティック回帰分析には,その他に IMAGE3, WORRY8, LANDUSE3 が説明変数として使われており,CART による分析 には PLACE, IMAGE8, WORRY2, WORRY4, WORRY6, LANDUSE1 が説明変数として使われている.

表-12 各分析で選択された変数

方法 選択された変数

ロジスティック 回帰分析

SEX, AGE, NEED, IMAGE3, IMAGE7, IMAGE9, WORRY8, LANDUSE3

CART

SEX, AGE, NEED, PLACE, IMAGE7, IMAGE8, IMAGE9, WORRY2, WORRY4, WORRY6, LANDUSE1

図-7 すべての説明変数で成長させた樹木

図-9 剪定を行った樹木

(8)

この 2 つの分析方法は最終処分場の建設に反対するかどうか を予測することにも利用できる.その時,2 つのモデルがどのく らい予測できるかということを評価するため,誤分類率を考え る.表-13 と表-14 は各モデルを用いて予測した結果を示す.

この表によると,ロジスティック回帰モデルを用いた場合の誤 分類率は 30.9%(=(230+54)/411),CART を用いた場合の誤分類率 は 25.1%(=(230+78)/411)である.すなわち,CART を用いた場合 の方がよく予測されることがわかる.

表-13 ロジスティック回帰分析による予測結果 予測されたクラス 反対する 反対しない

反対する 230 37

実際の

クラス 反対しない 90 54

表-14 CART による予測結果 予測されたクラス 反対する 反対しない

反対する 230 37

実際の

クラス 反対しない 66 78

5 おわりに

最終処分場に関する住民の意識調査から最終処分場に対して 住民が持っているイメージや心配等がわかった.また,多くの 人々が最終処分場の必要性を認識しているが,建設については 反対するという,態度と行動が違う様相が見られた.その NIMBY という現状が原因になる住民の反対は最終処分場の建 設ができるかどうかという問題に主要な原因になる(Lober ら,

1994).本研究ではロジスティック回帰分析と CART を用いて住民 の反対に影響を与える要因を探した.その結果,2つの方法と も性別,年齢,「ブルドーザがたくさん動いている」というイメ ージ,「においがする」というイメージが住民の反対に影響を与 える要因となった.

CART による分析では,環境汚染に関する心配が住民の反対 を起こす要因となっていることがわかった.それは最終処分場 の建設を担当する企業が有害物質の漏れに関する対策技術や最 終処分方法の向上など,技術上の問題を考えなければならない ことを意味する.住居地からできるだけ離れて建設することも 住民の反対を減らす一つの案になる.

謝辞:本研究は科学技術振興調整費・重要課題解決型研究「廃 棄物処分場の有害物質の安全・安心保障」の支援を受けて行わ れた.ここに記して謝意を表する.

参考文献

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