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情報教育用システムにおける管理作業とその振り分け

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Academic year: 2022

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(1)

情報教育用システムにおける管理作業とその振り分け

江藤博文



、渡辺健次

y

、只木進一

y

、渡辺義明

y



佐賀大学情報処理センター、 〒

840-8502

佐賀市本庄町一番地

y

佐賀大学理工学部知能情報システム学科、〒

840-8502

佐賀市本庄町一番地

概要

情報教育用システムの管理作業の中には、必ずしもroot権限を必要としないものが多数含まれている。

こうした作業を、root権限の必要性や作業内容の責任などによって適切に分類し 、root権限を持つシステ ム管理者以外の作業者の協力を得てシステム管理を行う手法を提案する。このような手法によって、root 権限を持つシステム管理者への過度の負担集中を軽減することができる。

キーワード

情報教育用システム、システム管理、作業分担、root権限、作業責任

1

はじめに

情報教育の必要性が高まるとともに、情報教育の内容も大きく変化している。情報教育は、一部の理工 系学生に対するプログラミング教育から、全ての分野の学生に対するリテラシー教育へと対象が拡大され た。それに対応して、情報教育用システムは、汎用機を中心とするシステムから、エンジニアリングワー クステーションとパーソナルコンピュータで構成される分散システムへと変化した。このような、システ ムの変化、ユーザの増大による管理コストの増加に対して、root権限で作業を行う管理者(以下、「シス テム管理者」という)の増員は十分ではない。管理コストの増加がシステム管理者への過剰な負担集中と なっている。そのため、システム管理者はシステムの維持に追われ 、システムの改善、および開発や調査 研究などの研究開発的業務に十分な労力を払えない状況となっている。

システム管理者への管理作業の負担集中を軽減する方法として、作業の自動化、作業の外注、システム 管理者増員などが考えられる。これらの方法は、それぞれに有効であるが 、そのために発生する新たな作 業の増加、及び予算や人事などの制約のため、簡単に実現することは難しい。さらに、これらの方法では 解決できない雑多な作業が多く存在し 、こうした雑多な作業がシステム管理者の負担となっている。

情報教育用システムの管理作業の中には、システム管理者で無くても実行可能な作業が多数存在する。

情報教育用システムでの管理作業を整理し 、システム管理者及びその他の人員に応じた適切な作業の分散



(2)

を行うことで、システム管理者に対する負担集中の軽減が期待出来る。本稿では、システム管理作業を、

システム変更の有無、作業内容への判断と責任の有無、の二つの概念によって分類し 、root権限を持たな い作業者の協力を得てシステム管理作業を行う手法を提案する。

本稿の構成は以下の通りである。第2節で、情報教育用システムとその管理作業の現状を述べ、システ ム管理者への負担集中の状況を概観する。システム管理者の作業を整理し 、システム管理者以外の作業へ の協力を可能にする手法を第3節で提案する。また、ユーザ管理とシステム保守における具体例を示す。

この手法に基づき、佐賀大学情報処理センターでは、システム管理に事務職員および学生アルバイトの協 力を得ている。この例を第4節に示す。最後に第5節で、この手法の問題点、拡張、及び今後の課題につ いて議論する。

2

情報教育用システムとその管理作業の現状

1: 情報教育用システムの変化

システム構成 ユーザ構成・人数 利用内容

従来 汎用機

専用端末 理工系の一部・少数 プログラミング

数値計算

現在 エンジニアリングワークステーション

パーソナルコンピュータ 全学部の学生・多数

プログラミング 数値計算

一般アプリケーション インターネットツール

情報教育の内容と重要性の変化に伴って、情報教育用システムのシステム構成、ユーザ構成と人数、及 び利用内容は大きく変化している(1)。システム構成の質的及び量的変化に伴って、システム管理作業 の内容及び量にも大きな変化が起こっている。

システム構成は 、汎用機と専用端末から構成される閉じたシステムから、エンジニアリングワークス テーションとユーザ端末となるパーソナルコンピュータをインターネットで接続した分散システムへと変 化した。ユーザ端末が専用端末から個々に管理が必要なパーソナルコンピュータに変化したことで、端末 管理作業の内容は複雑化し作業量も大きく増加した。

情報教育は 、理工系の一部の学生を対象としたものから 、全学部の学生を対象としたものへ拡大され た。そのため、ユーザの人数が増えるとともに、初心者から専門的な知識を持った者まで多様なユーザを 対象とすることとなった。それに伴い、ユーザへの対応も、極めて初歩的内容から高度なものまで含まれ るようになった。

利用内容は、プログラミングと数値計算という限られたものから、ワードプロセッサや表計算などの一 般アプ リケーション 、メールやニュース及びWWWなどのネットワークアプリケーションと多種多様な 内容となった。これに対応して、システム管理者は、プログラミング環境からアプリケーションの実行環 境及びネットワークサービ スまで、多様なサービ スに対応する必要が生じている。

上述のように、情報教育用システムは、機器の数及びユーザ数の増大という量的拡大とともに、その質 を大きく変化させ多様化している。それに対応して、管理者が行うべき業務は増大し 、それがシステム 管理者に過度に集中している。システム管理者には、新しい技術の習得、システムの改善、利用内容に対

(3)

応した新しいシステムの開発研究など 、日常的なシステム運用とは別の役割も期待されている。しかし 、 システム管理者に対する過度の負荷集中のため、こうした研究開発的業務の遂行が次第に困難となって来 ている。

3

管理作業の振り分け

3.1

振り分けの方針

情報教育用システムの管理作業には、必ずしもシステム管理者が直接行わなくてもよい作業が多数含ま れている。このような作業を、適切に分類し 、システム管理者以外の作業協力者に依頼することができれ ば 、システム管理者に対する過度の負担集中を軽減する事が可能となる。

システム管理作業の分類において、最も重要な概念はシステム設定の変更の有無である。システムの設 定変更は、通常はroot権限を必要とする。また、設定変更の失敗は、システムの大きな障害を誘発する ため、大きな責任を伴う。従って、設定変更を伴う作業はシステム管理者が行うべき作業である。一方、

システム変更を伴わない作業は、システム管理者以外が行うことが可能でありうる。

システム管理者以外が行う事ができるシステム管理業務は、システム変更を伴わないシステムに直接関 係した作業とシステム利用に関係した事務的作業から構成される。これらの作業には、自らの責任で判断 しながら作業を行う必要のあるものと、定型化された業務を指示に基づいて行うものが含まれている。

このように、システム管理業務は、システム変更の有無と判断責任の有無の二つの概念で分類すること ができる。この分類に基づいて、それぞれの作業に分担者を対応させたものが図1である。システムの変 更を伴う作業は、root権限を必要とするため、システム管理者が行う。システム変更を伴わない作業を更 に作業責任で分類し 、判断責任を有する作業を行う作業者を「一般作業者」、定型化された業務を指示の 下に行うの作業者を「作業補助者」と呼ぶことにする。このような方針で、具体的なユーザ管理及びシス テム保守作業を分類し 、それぞれの作業者に割り当てる例を次に示す。

管理作業

システムの変更を伴う作業 システムの変更を伴わない作業

システム管理者 一般作業者 作業補助者

作業に責任を必要とする 作業に責任を必要としない システム管理者・一般作業者 の指示を仰ぐ

1: 管理作業の振り分け

(4)

3.2

ユーザ管理

3.1節で示した分類手法を、ユーザ管理に係わる作業に応用する例を示す。ここでは、ユーザの登録 及び削除作業、及びユーザからの問い合わせへの対応業務について述べる(2)

ユーザ登録及び削除の業務は、登録及び削除すべきユーザデータの作成と実際の登録及び削除作業に分 けることができる。実際の登録及び削除作業は、root権限を必要とし 、システム管理者でなければ行う 事ができない。しかし 、登録及び削除すべきユーザのデータが適切な形式で用意できれば 、適切なスクリ プトを使って短時間に確実に作業を行うことができる。

大学の情報教育用システムの場合、毎年度、多数の新規ユーザ登録及び削除を行わなければならない。

そのためのデータは、学籍番号、氏名、所属及び連絡先などの個人情報を含むデータベースとして保持さ れる。また登録及び削除は各学生の履修権限とも連動するため、データ作成作業は履修登録と同様の作 業責任を伴う。従ってこの作業は、システム変更権限は有しないが作業責任を有する一般作業者の分担と なる。

ユーザの多様化に伴って、ユーザからの問い合わせ内容も極めて初歩的内容から高度なものまで多様化 している。またその件数も増大している。そこで、ユーザからの問い合わせの窓口を作業補助者に割り当 てる。作業補助者は、プリンター用紙交換を始めとする簡単な作業と簡単な利用方法の説明などの対応を する。パスワード 忘れなど 利用登録に関する事務的対応などは、作業補助者から一般作業者へ引き渡され る。エラーメール対応やデ ィスク溢れなどroot権限を必要とするユーザ対応は、作業補助者からシステ ム管理者へ引き渡される。

2: ユーザ管理における作業分担の例

作業者 作業内容

ユーザ登録・削除 ユーザへの対応 システム管理者 システムへの登録・削除

パスワード 設定

root権限の必要な事項への対応 一般作業者 ユーザデータ収集・作成

ユーザデータベース更新 事務的対応

作業補助者 ユーザ問合せ対応窓口

3.3

システム保守

次に、第3.1節で示した分類手法を、日常的なハード ウェア及びソフトウェアの維持作業としてのシス テム保守へ応用する例を示す。ここでは 、ネットワークサービ スやUNIX利用に供されるエンジニアリ ングワークステーション(EWS)の保守作業とユーザ端末として供されるパーソナルコンピュータ(PC) の保守作業について述べる(3)

EWSの保守作業において、システムの設定及び更新、ソフトウェアバージョンアップ、及び不具合対 応は、システムの変更を伴う作業である。従って、システム管理者が作業を行う必要がある。サーバサー ビスの状況監視はシステムの変更を伴わないが 、システムのセキュリティ情報などが含まれる。状況監視 に基づいた対応をシステム管理者と連係をとって進める判断責任があるため、一般作業者が分担する。

PCはユーザ端末として利用されるため、台数が非常に多く、また不具合の発生件数も多い。そのため、

(5)

EWSのように、基本的なシステム保守作業の全てをシステム管理者が行う事は非常に困難である。つま り、適切な作業分担が特に重要である。そこで、保守作業を定型化し 、更にパッケージを作成し 、作業補 助者が単にそのパッケージを起動することによって保守作業が可能となる仕組みが必要である。

PCの保守管理作業では 、システム管理者は、システム設定・更新、ソフトウェアバージョンアップ、

システム設定作業のパッケージ化、不具合対応などシステム変更を伴う作業を行う。作業補助者は 、シ ステム管理者及び一般作業者の指示によって、システム管理者によって作成された保守パッケージを使っ た利用者端末保守を行う。また、ユーザ端末の不具合発生など も、必要最小限の情報のみを収集するパッ ケージを使って、作業補助者によって分担される。

3: システム保守における作業分担の例

作業者 作業内容

エンジニアリングワークステーション パーソナルコンピュータ

システム管理者

システム設定・更新

ソフトウェアバージョンアップ 不具合対応

システム設定・更新

ソフトウェアバージョンアップ システム設定作業のパッケージ化 不具合対応

作業補助者への作業指示 一般作業者 サーバサービ ス状況監視 作業補助者への作業指示

作業補助者

システム管理者及び一般作業者の 指示に従った作業

端末利用状況確認

4

佐賀大学での実例

前節で提案した手法の佐賀大学情報処理センターの情報教育システムへの適用例を述べる。当該シス テムは、24台のEWS180台のPCから構成され 、EWSUNIXシステムの利用及びネットワーク サービ スに、PCはユーザ端末に利用されている[1]。このシステムの管理に当たって、情報処理センター 教官をシステム管理者に、大学の事務職員、センター職員、及び各講義担当教官を一般作業者に、学生ア ルバイトを作業補助者にした管理体制を構築している(4)

4: 佐賀大学における作業分担 作業者分類 分担者

システム管理者 情報処理センター教官

一般作業者 事務職員、センター職員、講義担当教官 作業補助者 学生アルバイト

佐賀大学では、毎年度、約1000名の新入生を迎え、卒業生を送り出している。これらの新規登録及び 削除のデータは、学生部のデータを基に情報処理センター事務職員によってデータベース化され 、一括し

(6)

た登録及び削除作業に使われる[2]。利用登録だけでは 、ユーザは利用開始が出来ず、必ず情報処理科目 の履修を通じた指導を受け、利用可能な状態となる仕組みになっている。情報処理科目の履修者一覧は、

講義担当者によって作成される。登録及び削除のデータ作成は、一般作業者としての事務職員及び講義担 当者が分担し 、実際の登録及び削除作業はシステム管理者によって一括処理される体制を構築している。

PCの保守作業では 、クリーニングシステムの導入により個々の端末の維持は自動化が行われている

[2]。また、一斉シャットダウンプログラムを開発したことにより、作業補助者であるアルバイト学生に電 源の管理を行わせる事が可能となった[3]。ソフトの更新作業などの一部の保守においてはシステム管理 者による作業のパッケージ化が行われ 、作業補助者のアルバイト学生がシステム管理者からの指示に基づ いて作業を行っている。

5

まとめと議論

急速に拡大し 多様化する情報教育用システムに対して、適切な管理システムの構築は重要な課題であ る。システム管理作業の中には 、必ずしもシステム管理者が直接行わなくても実行可能な作業が多数あ る。本稿では、こうしたシステム管理者が直接に行わなくてもよい作業を明らかにし 、そうした作業をシ ステム管理の協力者へ分散する手法を提案した。また、その手法の、佐賀大学情報処理センターでの実例 を示した。この手法によって、システム管理者への、日常のシステム維持業務の過度の集中を軽減するこ とができた。そのため、システム管理者は、システム管理技法の開発を含めた研究開発的業務の遂行が可 能となった。

システム管理業務は、これまでシステム管理者が担って来た。そのため、十分に作業分担が行われてい ない業務が多数残されている。例えば 、EWSの保守作業やネットワークセキュリティー対策のほとんど はシステム管理者に残されている状況である。保守作業の自動化や定型化などによって、分担化を進める 可能性の検討が必要である。

本稿で提案した作業分担手法は、作業の自動化と無縁ではない。また、作業の一部外注や複数のシステ ム管理者の協力体制の構築などを検討する際にも、作業の分類が必要である。システム管理手法全体の中 での作業分類手法の総合的研究が必要である。

また、情報教育用システムの場合、システムの利用内容と制限を規定するのは、教育内容である。シス テムの利用を指導し 、ユーザの質問に対応するのも、主として教育担当者である。更に、ユーザ側から見 たセキュリティーやネットワーク利用のマナーなど 、システム不具合を未然に防ぐための教育も教育担当 者の役割である。従って、システム管理への教育担当者の協力は重要な要素である。しかし現状では、教 育担当者とシステム管理者との連係は不十分であり、今後の大きな課題である。

参考文献

[1] 江藤博文,小野隆久,只木進一,渡辺義明,\パーソナルコンピュータを中心とした管理可能な情報処理 教育環境の構築∼佐賀大学次期システム概要∼",情報処理学会研究報告97-DSM-8,pp.61-66,1997.

[2] 江藤博文,小野隆久,平良豊,只木進一,渡辺義明,\UNIXWindowsの共存する教育システムにお ける利用者管理と端末管理",学術情報処理研究No.2,pp.14-26,1998.

[3] 江藤博文,只木進一, 渡辺義明,\TCP/IPを利用した WindowsNTリモートシャットダウン",情報 処理学会研究報告98-DSM-12,pp.61-66,1998.

參考文獻

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