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立 政 治 大 學

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1.4 論文構成

第一章 序論

第二章 越境と変身―ファンタジーとしての日常的空間

第三章 『センセイの鞄』におけるポスト現代の身体性

第四章 恋愛の不可能性―川上弘美文学における愛欲の形

第五章 ポスト少女の恋愛―成熟はいかにして可能なものか

第六章 結論

‧ 國

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第二章 越境と変身―ファンタジーとしての日常的空間

2.1 はじめに

本章では、『物語が、始まる』(1996)、『蛇を踏む』(1996)、『神様』(1998)に おける「変身」した異種は人間にとってどのような役割を担っているか、なぜ異 種が主人公の生活に入り込むのか、また、「異種」というテーマを含む作品から、

『パレード』(2002)と『龍宮』(2002)を一緒に取り上げ、川上文学における

「変身」と「異種」の特徴性を論述してみたいと思う。

まず、それぞれの作品についてあらすじを紹介する。作品の中の物語の篇数 を表示するため、<第*篇>という表示で提示する。

『神様』は川上弘美が 1993 年に書いたデビュー作と見られ、この作品は第 1 回パスカル短篇文学新人賞、第 9 回(1999 年)ドゥマゴ文学賞、そして第 9 回(1999 年)紫式部文学賞を受賞した。この小説には九つの物語がある。こ こでは中央公論新社版の『神様』を考察の対象とする。

第一篇は表題作の「神様」である。わたしは隣人のくまに誘われて散歩に出る。

川原に行く途中に様々な出来事にあった。くまは人の生活に馴化されるしてい るとはいえ、川の中の魚を見ると、つい獣性が表れ、手で魚を摑み上げてしま った。最後、家に帰るとき、くまとわたしは抱擁してお互いの家に戻った。

第二篇は「夏休み」である。わたしは梨畑の主人である原田さんの畑梨をもぐ 仕事をする途中で、白い毛の生えた3匹の生き物を見つけた。しかも、その梨 の 2 倍くらい大きさの生き物は人間の言葉を喋るので、わたしはその 3 匹を家 に連れて帰り、毎日梨を与えて一緒に生活し始めた。梨の収穫の最後の日に、

原田さんから、あの生き物はシーズンが終わると消えてしまう、ということを 教わった。その後、その 3 匹の生き物は木守りの梨をを食べ終わると、ぴった りと梨の木についた姿は木にできた白い瘤のように見えた。わたしは瘤の中に 吸い込まれそうになるのを怖れて、凄い速さで部屋に飛んで帰った。翌日、わ たしは原田さんを訪ね、他の仕事を探すことを告げる。帰りがけに梨畑を通る 時、どの木に白い瘤についているのかわからないが、わたしは梨の木の1本を 叩いて、「いろいろとありがとう」と呟いて、もう一度梨の木を撫でて、それ から歩き始めた。

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第三篇は「花野」である。わたしは秋の野原を歩いている時、五年前に交通事 故で死んだ叔父に声をかけられた。叔父はわたしにいろいろな世間話を聞いた 後、姿を消した。毎度、叔父が突然現われて、突然消えるような循環である。

ある日、叔父は「もう出ない」と言い、「わたしには世話になったから一つ願い 事をかなえてやる」と言った。わたしは叔父と最後の午餐をとることに願った。

叔父が大好きなそら豆を食べると、聖人のように輝いて見えた。最後、叔父は わたしに対する感謝を述べた後で「いつか、また、会おう」と言ったとたん姿 を消した。

第四篇は「河童玉」である。わたしはウテナさんと寺で精進料理を食べながら ビールを飲んだので、二人は眠くなり、縁側で眠った。その時に、池の中から の河童に恋の相談を持ち掛けられ、わたしとウテナさんは池の底の河童の穴に 入った。ウテナさんは河童たちに愛や恋においては体と心は不可分のものだと 言い、付き合う時間は長くにしろ短くにしろ、だめなときは諦めることを説教 した。そして、河童はウテナさんに「河童玉」というのは河童界に伝わる河童 の神の霊験あらたかな聖石であると言った。それから、河童は二人を連れて聖 なる石に座った後、わたしたちを送り帰った。数日後、わたしはウテナさんと お茶を飲みながら河童の世界を話した。

第五篇は「クリスマス」である。ウテナさんが出張するため、螺鈿模様の壷を わたしの部屋に置いておく。わたしが布巾でその壷を擦ると、コスミスミコと 自称している女が壷から現われてくる。わたしはコスミスミコが痴情のもつれ で亡くなった女の子の幽霊であると思っている。その後、わたしが部屋に帰る と、壷を擦ってしまう習慣になっている。その後、ウテナさんが出張から帰り、

ウテナさんはワインを持って部屋にきて、三人で意味のない言葉を繰り返しな がら酒とワインを飲みながら、抱きしめている。

第六篇は「星の光は昔の光」である。コスミスミコが壷から出なくなったが、

えび男くんがたびたびわたしを訪ねてくる。えび男くんはわたしの隣人で 304 室に住む少年で、時々部屋に尋ねてきて、とぎれとぎれに話している。私は牛 乳やお菓子をえび男くんにやった。えび男くんは学校の話だけでなく、彼の母 は「ニンゲンフシン」であることも話した。ある日から、えび男くんは姿を見せ なくなった。その後、ある日わたしは散歩する途中にえび男くんに会って、二 人は話しながら歩いた。そして、二人は空を見上げた時、えび男くんが「昔の 光はあったかいけど、もう今はないものの光でしょ。いくら昔の光が届いても その光は終わった光なんだ。だから、ぼくは泣いたのさ」と言った。最後二人 は並んで手を握り、歌いながら坂道を下った。

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第七篇は「春立つ」である。おばあさんのカナエさんが一人で「猫屋」という 飲み屋をやっている。カナエさんは常連のわたしに対してとても親切である。

そして、カナエさんは若いころのことを話し始めた。ある年、いつもと違う道 を歩いてみると、地面から鈴の音を聞こえたので下方を覗きこむと、目眩を感 じて丘陵から滑り落ちた。底に着くと、ある若い男から「カナエ、こっちにお いで」と言った。カナエさんは男と一緒に住んで、まるで男の妻のように掃除、

食事の準備、洗濯、男の帰りを待つなどをしている。しかし、毎年雪が降れば 男のところにきて、春になるとまだ帰ってきた。カナエさんは「呼ばわれば帰 される、好きと言えば拒まれる」といった。カナエさんは伝承話の中から、い つまでたっても抜け出せなかった。結局、カナエさんは引っ越して商売を始め た。その話を聞いた後、わたしはしばらく猫屋に尋ねなかった。四月にいくと、

もう閉店して、それに貼り紙で「雪の降る地方で、これからの余生をすごすつ もり」と書かれていた。わたしはたくさんのことをカナエさんに聞きたかった が、彼女はもういなかった。

第八篇は「離さない」である。エノモトさんはわたしの隣人で、折角知り合っ たので時々おいしいコーヒーをいれますよという電話をかけてきた。ある日、

エノモトさんから相談に乗ってもらえないかという電話がやって来た。エノモ トさんの部屋にいくと、いつもと同じだが、何かの匂いがした。それに、エノ モトさんは痩せている。相談したいことは 2 ヶ月前に旅行に行く時に、ある人 魚を拾ってきたことだった。でも、人魚のそばを離れたくない気分になってし まった。エノモトさんが人魚を預かってほしいと頼まれた。いつの間にか、わ たしもエノモトさんと同じ状態で人魚を離せなくなってしまった。一週間後、

エノモトさんは人魚を取りに来る時、わたしは人魚を彼に返したくなくなって しまった。でも、エノモトさんは黒いビニール袋を持って、人魚を袋に入れて、

海に帰すと言った。わたしは何度も止めようとしたが、止められなかった。人 魚を海に放り投げたとたんに、人魚が「離さない」と言った。最後、エノモト さんとわたしは元の生活に戻った。

第九篇は「草上の昼食」である。主人公のわたしはくまに誘われて、ひさしぶ りに散歩に出る。くまとお喋りしながら、くまは車で里帰りすると言った。雷 がますます多くなり、くまはおおおおと吠えた。わたしは雷とくまを怖く思っ ていたが、くまはわたしの存在を忘れるように、神々しいで獣の声を続けた。

終わったときに、わたしが「熊の神様って、どんな神様なの」と聞いた。くまが

「熊に似たもの」と答えた。そして、「人と熊は違うものなんだ」、「故郷に帰っ たら、手紙書く」と言った。その後、熊の手紙が届いて、私は何度も読んで泣 いてしまった。寝床で熊の神様と人の神様にお祈りをして、熊の手紙を思いな がら、深い眠りに入っていった。

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次いで『物語が、始まる』は「物語が、始まる」、「トカゲ」、「婆」、「墓を探 す」その 4 つの物語から構成されている。その中の「婆」は第 113 回(1995 年)芥

次いで『物語が、始まる』は「物語が、始まる」、「トカゲ」、「婆」、「墓を探 す」その 4 つの物語から構成されている。その中の「婆」は第 113 回(1995 年)芥

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