國立臺灣大學 開放式課程
《日本近代文學選讀》
第一講 井伏鱒二〈鯉〉 (一 )
授課教師:京都大學 文學部 川合康三 教授 教室:文 16教室
時間: 2013 年 2月 20日 ( 三 ) 下午 1點 20分 ~3點 10分
第 1 頁,共 4 頁。
【本著作除另有註明外,採取創用CC
「姓名標示-非商業性-相同方式分享」臺灣3.0版 授權釋出】
【授業の概要】
この授業の目的は、現代日本語を正確に読むこととともに、文章の感触、情感を汲み取る こと。正確に読むだけならば評論文でもよいが、情感を汲むには小説がふさわしい。前者は
「理」を理解することで、それは文化を越えて理解可能であるが、後者の「情」には文化に よる差異が存在する。したがって小説を読むは文化の理解にも通じるところがある。
前期は芥川龍之介という規範的な作者、作品を読んだ。後期は風変わりな小説を選ぶ。岩 波文庫の『日本近代短篇小説選』昭和篇1のなかから、おもしろいと思った作品を選ぶ。
§井伏鱒二「鯉」
○ 井伏鱒二について。
作者について予備知識、先入観なしに作品を読むというのも一つの方法であるが、作者に ついて或る程度知識がある場合には、作品を読むにあたっても作者についてのイメージがお のずと伴う。
井伏鱒二とはどんな作家か。日本の近代文学が私小説を中心としてべたべたした感触、深 刻さ、まじめさを伴うのと反対に、生活感のない、明るい感じがある。初期の作品からすで に「とぼけた」ような感じが彼の持ち味である。それは日本近代文学の一種陰湿な感じと対 蹠的で貴重な性格といえる。大上段に構えて大袈裟に深刻ぶるといった性質と異なる独自の 世界は、貴重なものである。
○ 「鯉」という魚に関する日本人の一般的なイメージ。
鮒と並んで最も日常的な、最も身近な魚。金魚鉢のなかで飼う金魚と違って、鯉は川、池 に自生するものと観賞用に池で飼うものがある。日本の池には必ず鯉が飼われる。観賞用に は多くの品種がある。また食用にもなり、山村などでは近年に至るまで鯉は食用として貴重 な蛋白源であった。
文学のなかでは上田秋成「雨月物語」の「夢応の鯉」が名高いが、もとは『醒世恒言』薛 録事魚服に由来する。
○ 初出は「鯉(随筆)」と題されていた。そして青木南八という友人の名も実在の友人のま ま。青木が恋を「私」に呈したこともおそらく事実であろう。事実に即して書いているゆ え、「随筆」ということもできる。随筆や日記が実際の生活に即しているにしても、そこに も何を取り上げ、それをいかに書くかという問題がある。つまり事実をそのまま書くという ことはありえない。さらに小説はそれをさらに加工する。事実は何であるか、それがいかに
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選択され、表現されるか。
しかし元になる事実の作者の捉え方自体がすでに「ずれている」。ふつうの生活感覚と異 なる。生活のなかで支配する見方、考え方と異なる。それゆえ随筆がそのまま小 にもな説 る。
学生時代の友人の死という大きな事件がありながら、それはあえて背景として、友人と
「私」をむすぶ「鯉」の転変に焦点を当てる。人生の大事を直接書くことを避ける。友人の 死を悼む気持ちはまったく書かれていない。
○ 一ぴきの鯉になやまされて来た。
鯉に悩まされたという奇妙な事態になぜかという説明がない。それによって読み手に知り たくなり、物語を読み進む。
○ 青木南八はなぜ鯉を在所からもってきたのか?またなぜ「私」に進呈したのか。またそれ はなぜ「厚意」なのか。このこと自体、生活感覚とはずれがある。
○ 下宿の主人が並んで釣る。
おかしみ。ここにもとぼけたようなおかしみが生まれる。「私」と主人が並んで釣る光景 は滑稽。
○ 漸く八日目に。
毎日知らない人の家の池に釣りに通う。ピントがはずれた、とぼけたおかしみ。
○ 愛人の家。
青木には「愛人」がいた。ガールフレンドというより深刻な男女関係を予想させる。いく らかの非道徳性、反社会性を伴う。
○ 魚の所有権は必ず私の方にあることを力説した。
大袈裟な言い方。ピントをずらす。
○ ディテールの書き方。
ハンケチを補している時。鯉を容れた器のうえにかぶせる植物、藻→無花果→枇杷 作品 の展開には無用なことが、書かれている内容に具体性、現実感を加える。と同時にここにも とぼけた味わいが伴う。
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版權聲明
頁碼 作品 版權標
示
作者 / 來源
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一 ぴ き の 鯉 に な や ま されて来た。井伏鱒二〈鯉〉,『日本近代短篇 小 説 選 』 昭 和 篇 1 ( 岩 波 文 庫) 2012 ,頁 38 。
依 據 著 作 權 法 第 46 、 52 、 65 條合理使用。
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下 宿 の 主 人 が 並 ん で 釣る。井伏鱒二〈鯉〉,『日本近代短篇 小 説 選 』 昭 和 篇 1 ( 岩 波 文 庫) 2012 ,頁 38 。
依 據 著 作 權 法 第 46 、 52 、 65 條合理使用。
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漸く八日目に。井伏鱒二〈鯉〉,『日本近代短篇 小 説 選 』 昭 和 篇 1 ( 岩 波 文 庫) 2012 ,頁 39 。
依 據 著 作 權 法 第 46 、 52 、 65 條合理使用。
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愛人の家。井伏鱒二〈鯉〉,『日本近代短篇 小 説 選 』 昭 和 篇 1 ( 岩 波 文 庫) 2012 ,頁 40 。
依 據 著 作 權 法 第 46 、 52 、 65 條合理使用。
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魚 の 所 有 権 は 必 ず 私 の 方 に あ る こ と を 力 説した。
井伏鱒二〈鯉〉,『日本近代短篇 小 説 選 』 昭 和 篇 1 ( 岩 波 文 庫) 2012 ,頁 40 。
依 據 著 作 權 法 第 46 、 52 、 65 條合理使用。
第 4 頁,共 4 頁。