「解説」
天然ダムの規模、形状、湛水部範囲等、天然ダム全般の状況を連続的に監視するために、
監視員の配置または監視カメラを設置する。監視員の配置にあたっては、その安全管理に万 全の注意を払う必要がある。また、監視が長期に及ぶ場合には、監視カメラを設置して監視 することが望ましい。その他、天然ダムが大規模で、監視所、監視カメラ設置地点から全体 が見渡せない場合、又は監視カメラを設置できない場合には、3.2 節で述べたような現地踏 査、ヘリコプターによる調査を実施して、全体状況の連続的な監視・把握に努める。
なお、監視カメラ等による監視成果は、例えば水位計が異常値を示した場合に、現場状況
(「水面に波が立っている」等)や観測機器の設置状況(「水位センサーがなんらかの理由で 破損している」等)を確認できる等、観測機器データと現地状況との対応を把握する補完的 な役割も有する。
監視カメラは次の事項の監視を目的として、該当箇所にそれぞれ設置することが望ましい
(P7 表 2.2)。
① 湛水部の水位
② 湛水部への流入流量
③ 閉塞部の変状
④ 閉塞部からの流出流量
⑤ 崩壊部および周辺部の変状
⑥ 土石流等の発生
監視カメラは、中越地震の天然ダム形成時も災害発生から約 1 週間後に設置され、閉塞部 やその周辺を連続的に監視することが可能となった。
【ヘリコプターによる監視の留意点】
天然ダムが大規模であり、監視カメラ等で全体が見渡せない場合には、ヘリコプターによ る監視が有効である。調査実施時期は晴天継続時の定期的な監視と降雨後あるいは地震(余 震)後等において地形変化が懸念される場合とに分けられる。以下に、ヘリコプターによる 主な確認のポイントを挙げる。監視調査により閉塞部等の変化が確認された場合には、その
天然ダムの規模、形状、湛水部範囲等、天然ダム全般の状況を監視することを目的
として、監視員または監視カメラにより連続監視する。また、現地踏査、ヘリコプターに
より全体状況を定期的に監視・把握する。
様子を図示し、写真撮影を実施する。なお、監視の詳細は巻末資料2を参照されたい。
<晴天継続時>
閉塞部下流側の水の色
¾ 上流側との変化を断続的に確認する
閉塞部上流部の湛水状況
¾ 目標物を決め変化を確認する
¾ なるべく同じ構図で写真撮影し、視覚的に変化を捉える
(地図、容量データ完成後には定量的な評価も可能であれば実施する)
閉塞部の漏水・新しい水みちの有無
¾ 前回との変化を見る(調査員が変更している場合は、写真との比較を行う)
斜面の大規模な亀裂・ズレの有無
斜面の漏水、水たまりの有無
<雨天後、地震(余震)後> 次の事項を追加する
さらに周辺に大きな天然ダムがないかを確認する
崩壊地の足下が洗掘を受けていないかを確認する
【監視カメラによる監視の留意点】
初動時の観測では、汎用ビデオカメラにより現地状況の画像監視を迅速に開始する。
電源はバッテリーにより数時間程度使用が可能であるが、連続監視の場合には定期的な交 換が必要となるため、発動発電機を用意することが望ましい。また、発動発電機への燃料補 給体制も検討しておく必要がある。
撮影は、極力画角を一定にしておいて、対象物の変化を認識しやすいようにしておく。可 能であれば、水位標などを設置して水位を読み取れるようにしておく。
設置に際しては、防雨性や防塵性に配慮する。また、夜間監視も対象とする場合には照明 施設の設置や高感度カメラの導入が必要となり、照明施設用の電源として発動発電機も必要 となる。監視が冬季にも及ぶ場合には耐寒性にも配慮する。
撮影した映像は Ku-SAT を用いてリアルタイムに遠方伝送することが可能であるが、機材 が搬入されるまでの間は、携帯電話・衛星携帯電話による通信手段と PC 等を利用して静止 画を伝送することが可能である。
天然ダムの状況や事態の推移に応じて、長期間にわたる監視が必要となった場合には、据 置型の監視カメラを設置することが望ましい。この場合には、情報通信システム等の更新と あわせて、商用電源の利用などを行う(6 章参照)。
図 4.1 監視カメラと Ku-SAT
図 4.2 監視カメラによる映像監視
画角を揃えておき、変化を捉えやすいようにしておく。
【情報連絡手段】
現地と遠方の保全対象地域又は災害対策本部などの間の連絡手段を確保しておく必要が ある。初動的には携帯電話、衛星携帯電話を用い、Ku-SAT が搬入されたあとはこの通話機 能も併せて利用し、情報連絡手段の冗長化を図っておく必要がある。
×日後
×日後
・土砂流入による河床上昇
・湛水位が高いまま推移
●天然ダムの湛水部監視
●天然ダム下流側流路の監視