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崩壊部および周辺部の状況の監視

在文檔中 土木研究所資料 (頁 41-44)

「解説」

天然ダム形成直後には、救助活動、応急対策工事などが実施される。これらは崩壊地の直 下や直近で実施されるため、作業の安全性を確保することが必要となる。斜面の拡大崩壊に 対する安全確保を目的とし、崩壊の前兆現象および崩壊斜面の変位状況を把握する。斜面変 位は地表伸縮計や地上測量で、地表面の移動量を直接観測し、移動速度から危険度評価を行 う。二次災害防止のため、安全確保に細心の注意を払う。崩壊部の観測データ管理基準値を 巻末資料10に示す。

また、大規模な崩壊が発生した場合には崩土が湛水部に流入し、段波による越流により、

決壊する恐れがある。崩壊した斜面以外でも、余震、降雨や湛水の進行に伴って新規の崩壊 が発生する可能性もあるため、周辺部を含めた崩壊の危険性に対する監視も必要である。

(1)崩壊の前兆現象の把握

斜面崩壊発生の前兆現象として主に次の現象があげられる。前兆現象が確認された場合 は、崩壊発生の危険性が高いものと判断する。

z 頭部の亀裂・段差発生の有無・拡大 z 落石や小崩壊の有無

z 樹木の根が切れる音の有無 z 斜面からの湧水量の変化

(2)斜面変位の観測

亀裂等が確認された場合には、斜面の変位およびその移動速度をモニタリングすること が必要であり、現場の状況に合わせて次の観測機器を用いることとする。

z 地表伸縮計 z 抜き板 z 移動杭 z GPS 測量 z 地上測量

なお、上記の計器設置のために崩壊部に立ち入る必要が生じることから、設置作業にお いては注意を要する。

① 地表伸縮計

地表伸縮計は地表面の移動部と不動部の2点間(崩壊の亀裂を挟んで)にインバー線を

崩壊部および周辺部の拡大崩壊、新規崩壊などを監視することを目的として、崩壊の

前兆現象および崩壊しそうな斜面の変位を地表伸縮計、地上測量等により把握する。

張り、この伸縮状況を観測し地表面上の2点間の相対変位を測定するものである。伸縮計 本体を亀裂より上部の不動点位置に設置し、亀裂下部の移動部に杭などを設置し、その間 をインバー線で結ぶ。インバー線は落葉・落枝や野生動物が触れないよう、塩ビパイプな どで保護する必要がある。

使用上の留意点として、崩壊地が広大な場合には不動点が得にくいこと、地表が著しく 攪乱している場合にはインバー線を直線的に張れないことなどが挙げられる。また、地震 により発生した天然ダムの場合には、余震時に変位が認められなくても震動により伸縮計 の警戒レベルを超えアラームがなる恐れがある。

図 4.20 伸縮計の外観と測定概要図

② 抜き板

抜き板は、地表面伸縮計と同様、2 点間の相対変位を測定するものであるが、自動観測 ができないため、定期的に手動で計測する必要がある。木材を組み合わせて現地製作する ものと、固定具やゲージがついたアルミ製などの専用品などがある。

図 4.21 抜き板の外観と測定概要図

③ 移動杭

複数の移動杭を設置することにより見通し線上の移動速度を計測可能である。想定され る拡大崩壊あるいは新規崩壊の頭部が明瞭でない場合などに有効である。

木杭・平板

図 4.22 移動杭の外観と測定概要図

④ GPS 測量

基準点、測点の2 ヶ所に GPS 観測機を設置し、GPS 衛星から発信される電波を受信し て2 点間の距離を測定する。

図 4.23 GPS センサーの外観と測定概念図

⑤ 地上測量(固定点測量)

移動部内に測定点を設置し、この点の座標を不動部に設定した基準点をもとに一定期間 毎に測量し、移動量を算出する。

測定点(杭)にプリズムや反射シートを装着し、トータルステーションによって測量す る。

なお、崩壊地が立ち入り困難な危険斜面である場合、あるいは余震等により拡大崩壊な どが懸念される場合には、例えば RE・MO・TE2(土木研究所共同研究)を利用すること も望まれる(巻末資料11参照)。

在文檔中 土木研究所資料 (頁 41-44)