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從認知語言學的觀點看「usu-」和「ko-」的多義性與評價性 - 政大學術集成

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Academic year: 2021

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(1)國立政治大學日本語文學系 碩士論文. 指導教授:王淑琴. 立. 副教授. 政 治 大. ‧ 國. 學. 認知言語学の観点から見る. ‧. 「ウス-」と「コ-」の多義性と評価性. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. 研究生:吳佳蓁. i n U. 撰. 中華民國 102 年 7 月. v.

(2) 認知言語学の観点から見る 「ウス-」と「コ-」の多義性と評価性 要旨 本稿の目的は「ウス-」と「コ-」が表す多義性と評価性を明ら かにすることである。本稿では認知言語学の観点から「ウス-」と 「 コ - 」の 多 義 性 を 見 る 。そ し て 、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」は そ れ ぞ れ 語 基 に ど の よ う な 評 価 性 を 付 加 す る か を 解 明 す る 。さ ら に 、 「ウス-」 と「コ-」の評価性の違いからその類義性を見る。. 政 治 大. 本稿は6章で構成される。第1章は序論である。第2章は先行研. 立. 究 で あ る 。第 3 章 で は「 ウ ス - 」が 表 す 多 義 性 、第 4 章 で は「 コ - 」. ‧ 國. 學. が表す多義性を解明する。第5章では「ウス-」と「コ-」との評 価性の違いを検討し、評価性に基づく類義分析の例を提示する。最. ‧. 後に、第6章は結論である。. 従来の研究では「ウス-」と「コ-」が表す多義性に対する記述. y. Nat. sit. が不十分であり、各意味の相互関係を明らかにしていない。また、. n. al. er. io. 「ウス-」と「コ-」が語基に付加する評価性も解明していない。. i n U. v. 本稿では「ウス-」と「コ-」が各自の多義ネットワークを持ちな. Ch. engchi. が ら 、 両 方 と も <あ る 基 準 に 達 し て お ら ず 、 程 度 が 低 い >の 意 味 を 表 す こ と を 解 明 し た 。さ ら に 、 「 ウ ス - 」が 語 基 に 評 価 性 を 付 加 す る 場 合はマイナス評価を付加するのに対し、 「 コ - 」は プ ラ ス 評 価 を 付 加 す る こ と も あ り 、ま た 、 「 ウ ス - 」の マ イ ナ ス 評 価 は「 心 理 的 な 不 快 感 」か ら 来 た も の で 、 「 コ - 」の マ イ ナ ス 評 価 は「 軽 侮・ 軽 蔑 」の 意 味から来たものであることを明らかにした。. キーワード:多義語、多義ネットワーク、語構成要素、語基、意味 拡張、評価性、類義性.

(3) 從認知語言學的觀點看 「 usu-」 和 「 ko-」 的 多 義 性 與 評 價 性 摘要 本 論 文 旨 在 闡 明 日 語 「 usu-」 和 「 ko-」 的 多 義 性 及 評 價 性 。 主 要 從 認 知 語 言 學 的 角 度 來 看「 usu-」和「 ko-」的 多 義 性 。 除 釐 清「 usu-」 和「 ko-」各 賦 予 詞 幹 何 種 評 價 性 ,並 從 兩 者 評 價 性 的 不 同 來 探 討 其 類 義性。 本論文共分 6 章。第 1 章為緒論。第 2 章為文獻探討。第 3 章分. 政 治 大. 析「 usu-」的 多 義 性,第 4 章 分 析「 ko-」的 多 義 性。第 5 章 探 討「 usu-」. 立. 和「 ko-」所 賦 予 詞 幹 評 價 性 的 差 異,並 以 兩 者 評 價 性 的 差 異 探 討 類 義. ‧ 國. 學. 語的差異。第 6 章為結論。. 過 去 的 研 究 對 於「 usu-」和「 ko-」所 表 示 的 多 義 性 記 述 不 夠 充 分 ,. ‧. 也 未 闡 明 各 個 語 意 間 的 相 互 關 係 。除 此 之 外,過 去 的 研 究 對 於「 usu-」 和「 ko-」賦 予 詞 幹 的 評 價 性 也 記 述 地 不 夠 充 分 。從 本 論 文 的 調 查 結 果. y. Nat. sit. 得 知 ,「 usu-」 和 「 ko-」 雖 有 各 自 的 多 義 網 絡 , 但 兩 者 所 表 示 的 語 意. al. er. io. 中 皆 有 「 未 達 某 個 基 準 , 程 度 低 下 」的 意 思 。 此 外 ,「 usu-」賦 予 詞 幹. n. v i n C 面 評 價 來 自 於「U內 心 的 不 快 感 」,但「 ko-」 有。而「 usu-」賦 予 詞 幹 的 負h engchi. 的 評 價 性 皆 為 負 面 評 價,但「 ko-」賦 予 詞 幹 的 評 價 性 則 正 負 面 評 價 都. 賦予詞幹的負面評價則來自於「輕蔑」的意思。. 關鍵字:多義語、多義網絡、語彙構成要素、詞幹、語意擴張、評價 性、類義性.

(4) 謝辞 政治大学日本語研究科に入って四年間にわたって やっと卒業する ことができました。ここまで来られたのは皆様の御蔭だと存じてお ります。本研究に関して終始ご指導ご鞭撻を頂きました本学. 王淑. 琴准教授に深く御礼申し上げます。論文を書く三年間ではいろいろ と先生にご迷惑をお掛けしてしまいました。それにも関わらず、ご 教示とご助言を頂きました御蔭で、論文を無事に完成させることが できました。本当にありがとうございました。また、口頭試問の際 にご指導頂き、なおかつ本研究に関する資料を頂きました開南大学 応用日本語学科. 政 治 大. 王蓓淳助教授、審査の際に有用なコメントを頂き. 立. 平素よりも多方面からご指導頂きました本学. 蘇文郎教授・吉田妙. ‧ 國. 學. 子教授、いつも励まして頂きました蔡瓊芳准教授、日本語の問題を ご指摘頂きました永井隆之助教授、本学科の先生方々に心より感謝. ‧. の意を申し上げます。. 另外,我最要感謝的是支持我這四年研究生生涯的爸爸、媽媽。謝. y. Nat. sit. 謝他們在經濟方面的援助,也謝謝他們代替我承受很多壓力,謝謝他. er. io. 們支持我做的每一件事情。如果沒有他們的支持,就沒有現在寫謝辭. al. n. v i n C h 惱 、 困 惑 、 難U過 之 際 , 帶 給 我 莫 大 的 幫 研究生生活的同學們。在我煩 engchi. 的我。我還要感謝從各方面支持我的賴庭筠助教,以及陪我一起度過. 助與支持。. 마지막으로, 한국어 수업의 이현주 선생님과 친구들에게도 감사한 마음을 전하고 싶습니다. 아무리 힘들어도 한국어 수업에서 모두와 함께. 지내는. 시간들이. 얼마나. 행복한지. 모르겠습니다.. 한국어를. 공부할 때 기분 전환을 할 수 있어 제 연구 생활에 힘이 됩니다. 너무 감사합니다..

(5) 目次 第1章. 序論. 1.1. 研 究 動 機 と 目 的 ····························· 1. 1.2. 研 究 対 象 と 範 囲 ····························· 3. 1.3. 研 究 方 法 ··································· 4. 1.4. 本 論 の 構 成 ································· 6. 第2章. 先行研究. 2.1. 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 に 関 す る 先 行 研 究 ······· 7. 政 治 大 2 . 1 . 2 奥 秋 ( 1996) ······················· 8 立 2 . 1 . 3 玉 村 ( 2001) ······················· 8 2.1.1. 壽 岳 ( 1954) ······················· 7. ‧ 國. 學. 皆 島 ( 2003) ······················· 9. 2.1.5. 劉 ( 2005) ························· 10. 2.1.6. 呉 ( 2008) ························· 11. 2.1.6. 久 保 ( 2011) ······················· 12. 2.1.7. 先 行 研 究 に お け る 問 題 点 ············· 13. ‧. 2.1.4. sit. y. Nat. er. 本 稿 が 導 入 す る 理 論 ························· 14. io. 2.2. a多 義 語 分 析 に つ い て ················· 14 iv l C n he 意味拡 張 ··························· 17 ngchi U. n. 2.2.1. 2.2.2. 2.2.2.1. メ タ フ ァ ー ················· 17. 2.2.2.2. メ ト ニ ミ ー ················· 19. 2.2.2.3. シ ネ ク ド キ ー ··············· 21. 2.2.3. 第3章. 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ··················· 21. 「ウス-」が持つ多義性. 3.1. 「 ウ ス - 」 の 多 義 分 析 ······················· 23. 3.1.1. プ ロ ト タ イ プ ······················· 23. 3.1.1.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 24. 3.1.1.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 25 I .

(6) 3.1.1.3 3.1.2. 別 義 1 ····························· 26. 3.1.2.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 26. 3.1.2.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 28. 3.1.2.3. 動 詞 に 付 く 場 合 ············· 29. 3.1.2.4. 「 ウ ス - 」 が 表 す 別 義 1 ····· 30. 3.1.2.5. 意 味 拡 張 ··················· 31. 3.1.3. 別 義 2 ····························· 33. 3.1.3.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 33. 3.1.3.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 35. 3.1.3.3. ············· 37. 立. 3.1.3.5. 「 ウ ス - 」 が 表 す 別 義 2 ····· 39. 3.1.3.6. 意 味 拡 張 ··················· 39. ‧ 國. 形 容 詞 に 付 く 場 合 ··········· 38. 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ··························· 42. 「 ウ ス - 」 が 付 く 語 基 の 性 質 ················· 42. al. n. 4.1. er. io. 「コ-」が持つ多義性. sit. y. Nat. 第4章. 3.1.3.4. ‧. 3.3. 政動 詞治 に付く場合 大. 學. 3.2. 「 ウ ス - 」 の プ ロ ト タ イ プ ··· 25. v i n C h タ イ プ ····················· プロト 45 engchi U. 「 コ - 」 の 多 義 分 析 ························· 45. 4.1.1. 4.1.1.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 46. 4.1.1.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 47. 4.1.1.3. 「 コ - 」 の プ ロ ト タ イ プ ····· 49. 4.1.2. 別 義 1 ····························· 49. 4.1.2.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 50. 4.1.2.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 54. 4.1.2.3. 「 コ - 」 が 表 す 別 義 1 ······· 55. 4.1.2.4. 意 味 拡 張 ··················· 56. 4.1.3. 別 義 2 ····························· 58. 4.1.3.1. 意 味 拡 張 ··················· 59 II .

(7) 4.1.4. 別 義 3 ····························· 61. 4.1.4.1 4.1.5. 意 味 拡 張 ··················· 62. 別 義 4 ····························· 65. 4.1.5.1. 名 詞 に 付 く 場 合 ············· 65. 4.1.5.2. 連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 ······· 67. 4.1.5.3. 動 詞 に 付 く 場 合 ············· 68. 4.1.5.4. 形 容 詞 に 付 く 場 合 ··········· 69. 4.1.5.5. 「 コ - 」 が 表 す 別 義 4 ······· 70. 4.1.5.6. 意 味 拡 張 ··················· 70. 4.2. 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ··························· 71. 4.3. 「 コ - 」 が 付 く 語 基 の 性 質 ··················· 73. 立 5.1. ‧ 國. 「ウス-」と「コ-」の評価性. 學. 「 ウ ス - 」 の 評 価 性 ························· 75 <厚 さ の 値 が 少 な い >の 場 合 ··········· 75. 5.1.2. <濃 度 ・ 密 度 が 低 い >の 場 合 ··········· 75. ‧. 5.1.1. y. Nat. io. の 場 合 ····························· 76. al. n. 5.2. <あ る 基 準 に 達 し て お ら ず 、 程 度 が 低 い >. sit. 5.1.3. er. 第5章. 政 治 大. i n U. v. 「 コ - 」 の 評 価 性 ··························· 79. Ch. engchi. 5.2.1. <占 め る 空 間 が 小 さ い >の 場 合 ········· 79. 5.2.2. <物 理 的 な 量 が 少 な い >の 場 合 ········· 80. 5.2.3. <年 齢 が 幼 い >の 場 合 ················· 80. 5.2.4. <動 作 の 継 続 時 間 が 短 い >の 場 合 ······· 82. 5.2.5. <あ る 基 準 に 達 し て お ら ず 、 程 度 が 低 い > の 場 合 ····························· 82. 5.3. 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 の 評 価 性 ··············· 87. 5.4. 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 の 評 価 性 か ら 見 る 類 義 性 · 89. 5.4.1. 「 薄 暗 い 」 と 「 小 暗 い 」 ············· 89. 5.4.2. 「 薄 寒 い 」 と 「 小 寒 い 」 ············· 91. 5.4.3. 「 薄 汚 い 」 と 「 小 汚 い 」 ············· 93 III .

(8) 第6章. 5.4.4. 「 薄 馬 鹿 」 と 「 小 馬 鹿 」 ············· 95. 5.4.5. 「 薄 気 味 」 と 「 小 気 味 」 ············· 97. 結論. 6.1. ま と め ····································· 99. 6.2. 今 後 の 課 題 ································· 103. 付録1. 「 ウ ス - 」 に よ る 複 合 語 ························· 105. 付録2. 「 コ - 」 に よ る 複 合 語 ··························· 109. 参 考 文 献 ··············································· 115. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. IV . i n U. v.

(9) 第1章 1.1. 序論. 研究動機と目的. 「 ウ ス - 」と「 コ - 」は 両 方 と も 多 義 性 を 持 つ 語 構 成 要 素 1 で 意 味 が重なり合う部分が見られる。国語辞典における「ウス-」と「コ - 」 の 語 釈 を 見 る ( 意 味 が 重 な り 合 う 部 分 だ け を 示 す )。. (1) 『 日 本 国 語 大 辞 典 』 a.「 ウ ス - 」: な ん と な く 、 ち ょ っ と の 意 を 表 わ す 。 b.「 コ - 」: 動 詞 ・ 形 容 詞 ・ 形 容 動 詞 ・ 副 詞 な ど の 上 に 付 い て 、. 政 治 大. その動作・状態の量や程度が大げさでないことを表わす。すこ. 立. し。なんとなく。. ‧ 國. 學. (2) 『 大 辞 泉 』. a.「 ウ ス - 」: な ん と な く 、 ど こ と な く 、 ち ょ っ と の 意 を 表 す 。. ‧. b.「 コ - 」: 動 詞 ・ 形 容 詞 ・ 形 容 動 詞 な ど に 付 い て 、 す こ し 、 な んとなく、などの意を表す。. y. Nat. sit. (3) 『 大 辞 林 』. n. al. er. io. a.「 ウ ス - 」: は っ き り し な い 、 な ん と な く の 意 を 表 す 。. i n U. v. b.「 コ - 」: 用 言 に 付 い て 、 量 や 程 度 が わ ず か な 意 を 表 す 。. Ch. engchi. 上列した語釈から分かるように、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」は 両 方 と も                                                         1. 日本語の語構成要素は内容、組み合わせの仕方と意味機能によって単純語と 合成語の2種類に大別することができる。合成語はさらに二つ以上の語根から なる複合語と語根と接辞からなる派生語の2種類に分けることができる(風 間 ・ 上 野 ・ 松 村 ・ 町 田 2004)。 語 根 は 語 彙 的 な 意 味 を 持 つ 形 態 素 で 、 接 辞 は 機 能的あるいは文法的な意味を持つが、語彙的な意味を持たないと考えられる形 態素である。本稿の場合では「ウス-」と「コ-」が表す意味をすべて取り上 げ る 。「 厚 み が 少 な い 」 と い う 意 味 を 表 す「 ウ ス - 」と「 形 が 小 さ い 」と い う 意 味 を 表 す 「 コ - 」 は 実 質 的 な 語 彙 的 意 味 を 表 す 。 一 方 、「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 は 「なんとなく、少し、わずか」のような語彙的意味がやや希薄化している場合 が あ る 。 湯 ( 2012) は 日 本 語 の 接 辞 の 中 に は 語 根 と 明 確 に 区 別 す る こ と が で き ず、互いに連続相を呈するものがあることを指摘している。本稿は「ウス-」 と「コ-」の多義性、および両者の類義関係を解明するのが目的で、語根か接 辞かを問題としない。このため、本稿においては「ウス-」と「コ-」を「前 項 要 素 」 と 呼 ぶ こ と に す る 。 な お 、「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 付 く 語 を 「 語 基 」 と 呼ぶ。 1 .

(10) 「なんとなく」と「少し、わずか」の意味を含んでいる。そして、 「ウス-」と「コ-」は同じ語基と共起する場合が見られ、文中で 置き換えることができる。以下の例を見る。. (4) そ し て 方 々 の 病 院 を 梯 子 し て き た の だ か ら 、 も う 日 暮 れ だ と 思 った。なんとなく薄暗い隅のほうに、お化けが立っているので は と 思 え る よ う な 感 じ だ っ た 。( Google books・ 山 本 章 子 『 帰 っ て き た 人 』) (5) 雨 期 に 入 っ て 薄 寒 い 日 な の に 、 上 半 身 素 裸 の 中 年 男 が 若 者 に 付 添われ、 「 身 体 中 が 暑 く て 痛 く て 、シ ャ ツ も 着 て い ら れ な い 」そ. 政 治 大. う訴えて診療を受けにきた。 ( Google books・御 園 大 介『 釜 無 川 』). 立. (6) つ れ て い か れ た の は 同 じ く バ イ シ ャ 地 区 の 五 分 も 歩 か な い 薄 汚. ‧ 國. 學. い 安 宿 だ っ た 。( BCCWJ・ 西 牟 田 靖 『 世 界 殴 ら れ 紀 行 :: ト ラ ブ ル だ ら け の コ テ ン パ ン 旅 日 記 ! 』). ‧. 例 (4)の 「 薄 暗 い 」 は 「 少 し 光 線 が 足 り な い 様 子 」 の 意 味 を 表 す 。. y. Nat. sit. 例 (5)の「 薄 寒 い 」は「 温 度 が 低 く 、少 し『 寒 い 』と 感 じ ら れ る 」の. n. al. er. io. 意 味 を 表 す 。例 (6)の「 薄 汚 い 」は「 少 し 汚 れ が あ る さ ま 」の 意 味 を. i n U. v. 表 す 。 こ の 三 つ の 例 に お い て そ れ ぞ れ 「 小 暗 い 」、「 小 寒 い 」 と 「 小. Ch. engchi. 汚 い 」に 置 き 換 え る こ と が で き る 。こ れ は 、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 表す意味が非常に近いことを示している。しかし、いかなる場合で も 置 き 換 え ら れ る わ け で は な い 。 次 の 例 を 見 て い た だ き た い 2。. (7) 薄 暗 い( *小 暗 い )外 に 出 る と 、下 の 方 の 路 肩 に 止 め た 乗 用 車 の 中に慎二がいるのが見えた。 ( BCCWJ・恩 田 陸『 黄 昏 の 百 合 の 骨 』) (8) 丑 の 刻 ( 午 前 二 時 )、 虎 之 助 は 枕 元 に 薄 寒 い ( *小 寒 い ) 気 配 を 感 じ て 目 を 覚 ま し た 。( BCCWJ・ 森 村 誠 一 『 虹 の 刺 客 :: 小 説 ・                                                         2. 本稿はネイティブチェックが必要であるが、本稿における正文と非文の判断 は 主 に イ ン タ ー ネ ッ ト を 含 む コ ー パ ス の 用 例 数 に よ る も の で あ る 。例 え ば 、 「薄 暗 い 外 」は 数 千 件 以 上 の ヒ ッ ト 数 が あ る が 、 「 小 暗 い 外 」は わ ず か 7 件 し か な い ( 2013 年 現 在 )。よ っ て 、 「 小 暗 い 」は 現 代 日 本 語 で は 使 わ れ に く い と 判 断 す る 。 2 .

(11) 伊 達 騒 動 』) (9) そ ん な 俺 の 薄 汚 い( *小 汚 い )感 情 に な ど 、全 く 気 付 い て い な い 様子で、先生は俺に、邪気のない笑顔を向ける。 ( http://soracc.sakura.ne.jp/nvl/ss/sss/dlf/dlf06.html ). 例 (7)で は「 薄 暗 い 外 」は 言 え る が 、 「 小 暗 い 外 」に 置 き 換 え る と 、 非 文 に な る 。 例 (8)の 「 薄 寒 い 気 配 」 と 例 (9)の 「 薄 汚 い 感 情 」 も そ れぞれ「小寒い気配」と「小汚い感情」に置き換えることができな い。今までの研究においては「ウス-」と「コ-」が持つ多義性と 評価性を解明していないから、類義関係でありながら同じ文で置き. 政 治 大. 換えられない理由も明らかになっていない。 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が. 立. 持つ意味の全体像、及び両者が表す評価性を解明することによって. ‧ 國. 學. 二つの語構成要素の意味の重なりが明らかになり、それによって類 義関係にある「ウス-」と「コ-」の語の意味が異なる仕組みも明. ‧. らかになる。そこで、本稿では「ウス-」と「コ-」が表す多義性 を解明し両者が各意味を表す場合は語基にどのような評価性を付加. y. Nat. n. al. er. io. 見る。. sit. するかを解明する。そして、評価性から類義関係にある語の違いを. i n U. v. 以上から、本稿では次のようなことを明らかにする。. Ch. engchi. 1) 「 ウ ス - 」 の 多 義 性 と 評 価 性 2) 「 コ - 」 の 多 義 性 と 評 価 性. 3) 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 表 す 意 味 の 違 い 4) 評 価 性 に 基 く 類 義 関 係. 1.2. 研究対象と範囲. 本 稿 で は ま ず 、『 日 本 国 語 大 辞 典 』 3 か ら 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 に よる複合語を集める。そして、語彙化した語は意味の特殊化が進ん                                                         3. 『日本国語大辞典』は日本国語辞典の中で収録した見出し語が最も詳細なも の で あ る 。 よ り 多 く の 語 を 集 め る た め 、『 日 本 国 語 大 辞 典 』 を 使 用 す る 。 3 .

(12) でおり内部構造が分解できないため考察対象から除く。 ブ リ ン ト ン ・ ト ラ ウ ゴ ッ ト( 2009: 120-121)は 語 彙 化 に つ い て 次 のように定義している。 「 語 彙 化 と は 、話 者 が 、言 語 文 脈 で 、統 語 構 成や語形成を使って、形式的・意味的特徴を持った新しい内容形式 を 作 る 変 化 で あ る 」。影 山( 1993)は 語 形 成 で は 意 味 の 特 殊 化 と い う 現象が見られると指摘している。つまり、特殊化が進むと語の前項 要素と後項要素の本来の意味から複合語全体の意味が推測できなく な る と い う こ と で あ る 。 影 山 ( 1993) は 「 春 風 」 を 例 と し て 取 り 上 げている。 「 春 風 」は 単 に「 春 に 吹 く 風 」を 指 す の で は な く 、春 に 吹 く風の中でも我々が典型的に思い浮かべる暖かく快適な風を意味す. 政 治 大. る と し て い る 。本 稿 の 例 で 言 う と 、例 え ば 、 「 揚 げ る 」は あ る 物 を 低. 立. い 所 か ら 高 い 所 に 移 す こ と を 指 す が 、「 コ - 」 が 付 加 す る 「 小 揚 げ 」. ‧ 國. 學. は特に船積みの荷物を陸揚げすることを意味し、特殊な意味を表す ようになる。本稿は前項要素が語基に付加する意味を解明するのが. ‧. 目的で、このような語は意味の特殊化が進んでおり内部構造が分解 できないため、考察対象から除くことにする。. y. Nat. al. n. 研究方法. er. io. 1.3. sit. 以上、本稿の考察対象と語収集の原則を述べた。. Ch. engchi. i n U. v. 本稿ではまず、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 表 す 多 義 性 と 意 味 拡 張 の 仕 組みを解明する。 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 持 つ 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク を 明 示し、二つの語構成要素の意味関係全体を視野に入れることによっ て よ り 包 括 的 な 意 味 記 述 が で き る 。そ し て 、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 各意味を表す際にどのような評価性を表す語基に付くか、また、語 基にどのような評価性を付加するかをを検討する。最後に、評価性 の観点から「ウス-」と「コ-」の間にある類義語を分析する。 ま ず 、本 稿 が 使 う 多 義 語 4 分 析 の 方 法 を 述 べ る 。林( 2008)は 多 義                                                         4. 国 広 ( 1989: 97) は 「『 多 義 語 』( polysemic word) と は 、 同 一 の 音 形 に 、 意 味的に何らかの関連を持つふたつ以上の意味が結び付いている語を言う」と定 義 し て お り 、 本 稿 で は 国 広 ( 1989) の 定 義 に 従 う 。 4 .

(13) 語の意味本稿は認知言語学的アプローチを用い多義語分析を行う。 松 中 ( 2002)、 瀬 戸 ( 2007)、 籾 山 ・ 深 田 ( 2003) は 多 義 語 記 述 に お ける課題を指摘している。まとめると次の五点になる。. (10) a.多 義 語 の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 の 設 定 。 b.多 義 的 別 義 の 認 定 。 c.多 義 的 別 義 の 配 列 順 序 。 d.各 語 義 の 意 味 の 相 互 関 係 の 明 示 。 e.複 数 の 意 味 す べ て を 統 括 す る モ デ ル ・ 枠 組 み の 解 明 。. 政 治 大. この五つの課題の理論的背景、また、本稿においてどのように生 かされるかを2.2. 立節 で 述 べ る 。. ‧ 國. 學. 次に、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」の 類 義 語 分 析 の 方 法 を 述 べ る 。本 稿 は 「 対 照 的 文 脈 」 と い う 方 法 を 用 い る 。 国 広 ( 1989) は 「 類 義 語 の 比. ‧. 較は、さらに一方の語は用いられるが他方の語は用いられないとい う 『 対 照 的 文 脈 』( あ る い は 『 最 小 対 立 文 脈 』) を 見 付 け 出 す こ と に. y. Nat. sit. より、いっそう効果的となる」と述べている。本稿では「対照的文. n. al. er. io. 脈」を作り、同じ文脈での置き換えが可能であるかによって類義語. i n U. v. の相違点を見出し、類義語ペアはそれぞれどのような制限が課され. Ch. engchi. る か を 解 明 す る 。例 え ば 、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」は 両 方 と も「 - 寒 い 」 という語基と共起し、同じ文脈で置き換えられる。. (11) 雨 が 降 っ て 薄 寒 い ( 小 寒 い ) 日 で す 。( 作 例 ). しかし、あらゆる文脈で置き換えられるわけではない。次の作例 においては「薄寒い」を「小寒い」に置き換えることができない。. (12) 薄 寒 い ( *小 寒 い ) 気 配 を 感 じ た 。( 作 例 ). こ の よ う に 、「 対 照 的 文 脈 」 を 作 り 、「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 に よ る 5 .

(14) 類義関係にある複合語の違いが分かる。 以上、本稿の研究方法を述べた。. 1.4. 本稿の構成. 本稿は「ウス-」と「コ-」が持つ多義ネットワークと評価性を 解 明 す る の が 目 的 で あ る 。し た が っ て 、本 稿 を 次 の よ う に 構 成 す る 。 第 1 章 で は 研 究 動 機 と 目 的 、研 究 対 象 、お よ び 研 究 方 法 を 述 べ た 。 第2章では先行研究と本稿が用いる認知言語学に関する理論を述べ る。第3章では「ウス-」が持つ多義ネットワークを解明し、第4 章 で は「 コ - 」が 持 つ 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク を 解 明 す る 。第 5 章 で は「 ウ. 政 治 大. ス-」と「コ-」との評価性の違いを検討し、評価性に基づく類義. 立. 分析の例を示す。最後に、第6章では本稿の結論と今後の課題を述. ‧. io. sit. y. Nat. n. al. er.  . ‧ 國.  . 學. べる。. Ch. engchi. 6 . i n U. v.

(15) 第2章 2.1. 先行研究と本稿が使用する概念. 「ウス-」と「コ-」に関する先行研究. 本節では前項要素「ウス-」と「コ-」に関する先行研究の考察 結果およびその不足点や問題点を取り上げる。. 2.1.1. 壽 岳 ( 1954). 壽 岳 ( 1954) は 「 コ - 」 の 意 味 と 「 コ - 」 が 共 起 す る 語 基 、 そ し て、古典文学に現れる「コ-」に関する問題を考察している。 ま ず 、 壽 岳 ( 1954) は 前 者 に つ い て フ ラ ン ス 語 の 指 小 辞 を 日 本 語. 政 治 大. の指小辞とされる「コ-」に当てはめ、語基の品詞によって複合語. 立. を分けて検討し、次のことを指摘している。. ‧ 國. 學. 「コ-」が付く語基の中で名詞が最も多い。次には形容詞ないし は形容動詞の語幹との結合である。動詞に付くものが最も少ない。. ‧. 「 コ + 名 詞 」型 の 語 は 物 事 の 大 小 に 関 す る 判 断 で あ る 。 「コ+形容詞 / 形 容 動 詞 」型 の 語 は 情 緒 に 関 す る も の が 一 層 浮 き 出 る 。 「コ+動詞」. y. Nat. sit. 型 の 場 合 は 動 詞 と い う も の が そ の 意 味 上 本 来 情 意 性 に 乏 し く 、「 コ. n. al. er. io. - 」 の 付 加 に よ っ て ニ ュ ア ン ス が か け ら れ る 。 壽 岳 ( 1954) は 以 上. i n U. v. のことを指摘しているが、 「 コ - 」が 表 す 具 体 的 な 意 味 を 明 確 に 記 述 していない。. Ch. engchi. そして、古典文学に現れる「コ-」の複合語についても考察して い る 。 壽 岳 ( 1954) は 「 コ + 名 詞 」 と 「 コ + 形 容 詞 」 と で は 所 生 の 時期がそもそも違っているから、その違いは「コ-」の機能にも多 少影響を与えていると指摘している。 壽 岳 ( 1954) は 「 小 汚 い 」 を 例 と し て 「 コ - 」 の 指 向 す る 価 値 を 検 討 し て い る 。「 汚 い 」 は 総 括 的 な 表 現 で あ る の に 対 し 、「 小 汚 い 」 は「ちょっぴりきたない」の意味を表し、具体的に細かく描写する た め 、「 強 め て い う 」 と い う 評 価 が 生 じ る と 指 摘 し て い る 。 し か し 、 壽 岳 ( 1954) は 「 コ - 」 が 表 す 多 義 性 を 明 ら か に し て い ない。そして、各語義間にどのような相互関係があるかという点も 7 .

(16) 解明していない。. 2.1.2. 奥 秋 ( 1996). 奥 秋 ( 1996) は 接 頭 辞 と し て の 「 コ - 」 に は 次 の 二 つ の 用 法 を 持 つと述べている。. (13) a.名 詞 に 付 い て 「 小 さ い 」「 わ ず か 」「 お よ そ 」 を 表 す 。 例:小犬、小雨など b.形 容 詞 、形 容 動 詞 、副 詞 に 付 い て「 ち ょ っ と 」を 表 し つ つ 、 強調することもある。. 政 治 大. 例:小寒い、小ぎれいなど. 立. ‧ 國. 學. し か し 、「 コ - 」 の 意 味 は そ れ だ け で は な い 。 例 え ば 、「 小 犬 」 は 「 犬 が 小 さ い 」の 意 味 を 表 す が 、 「 小 水 」は「 水 が 小 さ い 」の 意 味 を. ‧. 表すのではない。 「 コ - 」が 名 詞 の 語 基 に 付 く 場 合 は 一 つ の 意 味 を 表 すのではなく、多義性を持っている。他の品詞に付く場合も同様で. y. Nat. sit. あ る 。 つ ま り 、 奥 秋 ( 1996) は 「 コ - 」 が 持 つ 多 義 性 を 明 ら か に し. n. al. er. io. て い な い 。 ま た 、 奥 秋 ( 1996) は 「 コ - 」 が 連 用 形 名 詞 、 動 詞 に 付. i n U. v. く 場 合 、 ど の よ う な 意 味 を 表 す か を 述 べ て い な い 。 さ ら に 、「 コ - 」. Ch. engchi. が表す別義の間にどのような関係があるかも述べていない。. 2.1.3. 玉 村 ( 2001). 玉 村 ( 2001) で は 「 コ - 」 の 意 味 ・ 用 法 ・ 生 産 性 な ど に つ い て 考 察している。 「 コ - 」の 意 味 に つ い て 玉 村( 2001)は「 小 さ さ( 軽 侮 性 ・ 親 愛 感 )」、「 小 規 模 性 」、「 中 立 性 と 積 極 性 」 と い う 三 つ に 分 け 、 さらに、 「 小 規 模 性 」の 下 位 分 類 と し て「 小 規 模 性・軽 微 性・低 度 性 」 と「不足性・不十分さ」という二つを挙げている。それぞれの意味 においてはどのような語基が付くか、また、同じ意味を表しても、 異なる品詞、あるいは異なる語群に付く場合はどうであるかを明ら かにしている。本稿と関わる部分を以下にまとめる。 8 .

(17) 玉 村 ( 2001) は 「 小 規 模 性 ・ 軽 微 性 ・ 低 度 性 」 の 意 味 を 表 す 「 コ -」は動詞成分に付く場合では動作の規模の小さいことを意味し、 形容詞・形容動詞・副詞に付く場合では程度が低いことを示すと指 摘 し て い る 。 ま た 、 玉 村 ( 2001) は 「 コ - 」 の 基 本 義 で あ る 「 小 さ さ・矮小性」が薄れて中立化したり、さらに進んで積極性に転じた りしたものがある。 「 こ っ ぴ ど い 」、 「 こ っ ぱ ず れ る 」、 「こづらにくい」 という三つの複合語において「コ-」が付くことによって結果的に は 程 度 の 甚 だ し い こ と を 指 す 方 向 に 語 義 が 転 じ て お り 、ま た 、 「こぎ み よ い 」と い う 複 合 語 に お い て は 、 「 コ - 」が 付 く こ と に よ っ て 、積 極性が肯定的評価を生むに至ったと指摘している。. 政 治 大. 玉 村 ( 2001) の 研 究 に は 次 の 三 つ の 問 題 点 が あ る 。 一 番 目 は 各 意. 立. 味が各品詞に付く場合を解明していないことである。例えば、玉村. ‧ 國. 學. ( 2001) は 「 小 さ さ 」 の 意 味 を 表 す 「 コ - 」 に つ い て 名 詞 に 付 く 場 合 だ け を 述 べ て お り 、連 用 形 名 詞 に 付 く 場 合 に 言 及 し て い な い( 例:. ‧. 「 小 書 き 」、「 小 切 り 」)。 二 番 目 は 語 義 に 対 す る 指 摘 が 不 十 分 と い う こ と で あ る 。玉 村( 2001)は「 コ - 」は「 小 さ さ( 軽 侮 性・親 愛 感 )」、. y. Nat. sit. 「 小 規 模 性 」、「 中 立 性 と 積 極 性 」 と い う 三 つ の 意 味 を 表 す と 述 べ て. n. al. er. io. い る 。 し か し 、「 小 猿 」、「 小 犬 」、「 小 娘 」 な ど の 語 に お け る 「 コ - 」. i n U. v. は「 小 さ さ 」の 意 味 を 表 す だ け で は な く 、 「 年 齢 が 幼 い 」と い う 意 味. Ch. engchi. も 表 す 。 こ の 点 に 対 す る 記 述 も 不 十 分 で あ る 。 さ ら に 、「 小 休 み 」、 「小止み」の「コ-」は「休み」と「止み」の継続時間が短いとい う 意 味 を 表 す が 、 玉 村 ( 2001) は そ れ に つ い て 指 摘 し て い な い 。 三 番目は語義の相互関係が明らかにしていないことである。. 2.1.4. 皆 島 ( 2003). 皆 島( 2003)は 日 本 語 の 指 小 辞「 コ - 」 (「 小 」と「 子 」)と エ ウ ェ 語 の 指 小 辞 -ví の 意 味 ・ 用 法 に つ い て 「 文 法 化 」 の 観 点 も 含 め 対 照 言語学的考察を行っている。 日 本 語 の 指 小 辞 「 コ - 」 に つ い て 、 皆 島 ( 2003) は 「 接 頭 辞 と し て の『 子 - 』」 「 接 尾 辞 と し て の『 - 子 』」と「 接 頭 辞 と し て の『 小 - 』」 9 .

(18) を 区 別 し 、そ れ ぞ れ の 意 味 と 用 法 を 検 討 し て い る 。そ し て 、 「 コ( 小 ) -」について異なる語基と結合する場合は接頭辞「コ(小)-」の 表 す 意 味 が 違 う と 述 べ て い る 。接 頭 辞「 コ - 」に 対 す る 皆 島( 2003) の考察を以下のようにまとめる。 「 コ - 」は 、 「 人 間 」を 含 意 す る 名 詞( 例: 「 小 男 」)、 「 動 物 」や「 生 物 」 な ど を 表 す 名 詞 に 付 く と 、「 小 さ い 」「 若 い 」 と い う 意 味 で あ る こ と を 表 す 。 た だ し 、「 人 間 」 に 対 し て 用 い ら れ る 場 合 ( 例 :「 小 商 人 ( こ あ き ん ど )」) は 、「 重 要 で な い 」「 大 し た こ と が な い 」 と い う ネ ガ テ ィ ブ な 意 味 を 表 す こ と が あ る 。そ し て 、 「 無 生 物 」を 表 す 名 詞 に 対 し て 用 い ら れ る 場 合 に は 「 小 さ い 」「 細 か い 」「 わ ず か で あ る 」. 政 治 大. こ と を 表 す の に 用 い ら れ る 。ま た 、 「 自 然 現 象 」に つ い て 用 い ら れ る. 立. 場合はその現象の程度・規模が大きくないことを表す。さらに、形. ‧ 國. 學. 容詞・形容動詞について用いられる場合には語基の指す状況の低 度・規模があまり大きくないことを表したり、漠然とした意味、あ. ‧. るいは、わずかにそういう程度に達しているという意味を表す。ほ か に 、「 軽 蔑 」 の 意 味 を 表 す 場 合 は 数 詞 に 付 き 、「 近 似 値 」 の 意 味 を. y. Nat. sit. 表す場合は身体語彙に付き、その身体語彙の「一部分」を指す場合. n. al. er. io. などがあると述べている。. i n U. v. 皆 島( 2003)は「 コ -( 小 )」が 異 な る 語 基 に 付 加 す る 意 味 の 違 い. Ch. engchi. を明らかにしたが、 「 コ - 」が 表 す プ ロ ト タ イ プ や 各 語 義 間 の 相 互 関 係を明示していない。. 2.1.5. 劉 ( 2005). 劉 ( 2005) は 「 ウ ス - 」 型 形 容 詞 と 「 モ ノ - 」 型 形 容 詞 を 中 心 に 他 の 接 頭 辞 も 取 り 上 げ 、合 成 形 容 詞 の 語 形 成 を 考 察 す る こ と に よ り 、 自 然 言 語 が 両 面 性 ― 「 語 彙 性 5」 と 「 規 則 性 」 ― を 検 証 し て い る 。 ま ず 、 劉 ( 2005) は 「 ウ ス - 」 が 色 を 表 す 語 基 に 付 く 場 合 は 「 少 し 」と い う 意 味 を 表 す と 述 べ て い る 。し か し 、 「 ウ ス - 」は ど の 品 詞                                                         5. 劉 ( 2005) は 、「 語 彙 性 」 は あ る 意 味 で 言 う と 「 個 別 性 」 で も あ る と 述 べ て い る。 10 .

(19) の語基に付くか、また、ほかの語基に付く場合はどのような意味を 表すか、といった点は言及されていない。 次 に 、劉( 2005)は「 コ - 」の 辞 書 の 語 釈 で は「 す こ し 」 「ちょっ と 」の 程 度 副 詞 が 見 ら れ る と 同 時 に 、ぼ や か し 表 現 の「 な ん と な く 」 「 ど こ と な く 」も 見 ら れ る と 指 摘 し て お り 、そ し て 、 「 コ - 」は「 な ん と な く 」、「 ど こ と な く 」 を 表 す 場 合 は 評 価 的 な 意 味 合 い も 含 ま れ る と し 、非 典 型 的 な 場 合 で は あ る が 、 「 非 常 に 」、 「 い か に も 」な ど と いう反対な程度表現になる可能性もあると指摘している。しかし、 劉 ( 2005) は 前 項 要 素 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 表 す 多 義 性 に 言 及 し ていない。. 2.1.6. 立. 呉 ( 2008). 政 治 大. ‧ 國. 學. 呉 ( 2008) は 上 代 、 中 古 、 中 世 、 近 世 、 近 代 と い う 五 つ の 時 代 区 別 に 分 け 、上 代 か ら 近 代 ま で の 接 頭 辞「 小 - 」6 が 語 基 に ど の よ う な. ‧. 意味を添えるのであろうか、それぞれの意味を持つ接頭辞「小-」 が前接する派生語数の消長及び各時代に見られる特徴を考察してい. y. Nat. sit. る 。 呉 ( 2008) は 近 代 の 「 小 - 」 に つ い て 次 の 二 つ の 特 徴 が 見 ら れ. n. al. er. io. る と 指 摘 し て い る 。一 つ は「『 そ の 数 量 に 近 い 意 味 』と い う 新 し い 意. i n U. v. 味 が 生 ま れ た 」、 も う 一 つ は 「『 身 分 が 低 い 、 や や 軽 蔑 す る 意 味 』 は. Ch. engchi. 『身分を低くする、謙遜する意味』のほうへ変わりつつある」であ る。. 呉( 2008)は 接 頭 辞「 小 - 」の 通 時 的 変 化 を 明 ら か に し て い る が 、 次 の 問 題 点 が 見 ら れ る 。ま ず 、各 意 味 の 相 互 関 係 が 解 明 し て い な い 。 そ し て 、 呉 ( 2008) は 接 頭 辞 「 小 - 」 は 「 身 分 が 低 い 、 や や 軽 蔑 す る 意 味 」 と い う 意 味 を 表 す と 指 摘 し て い る が 、「 や や 軽 蔑 す る 意 味 」 と い う 評 価 的 意 味 は こ の 意 味 だ け 現 れ る の で は な い 。例 え ば 、 「小娘」 は「 幼 い 娘 」の 意 味 を 表 す と と も に 、 「 軽 蔑 す る 」と い う 評 価 的 意 味 も含まれている。                                                         6. 呉 ( 2008) が 「 コ - 」、「 サ - 」、「 シ ョ ウ - 」、「 ヲ - 」 と い う 異 形 態 を す べ て 研究対象に入るとしている。 11 .

(20) 2.1.7. 久 保 ( 2011). 久 保 ( 2011) は 価 値 判 断 の 観 点 か ら 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 形 容 詞・形 容 動 詞 と 共 起 す る 場 合 を 考 察 し て お り 、 「 ウ ス - 」が 持 つ 新 規 的表現について分析している。 久 保 ( 2011: 765) は 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 の 意 味 的 分 類 と 価 値 特 性 を 次 の 表 で ま と め て い る 7。. 接辞. 意味. 小. 強意. 薄. 強意. 小. 強意. 薄. 価値. 汚い. neg. 政 汚治 い 大. neg. 強意. 気味悪い. neg. 強意. 気味好い. 強意?. 気味好い. 強意. きれい. 強意?. きれい. 小. 明るい. 薄. 程度. 小. 程度. 薄. 程度. 程度?. n. al. Ch. 明るい. e n g暗cいh i 暗い. y. pos. Pos?. sit. 薄. Nat. 小. Pos?. ‧. 薄. pos. er. 小. ‧ 國. neg. 學. 気味悪い. io. 立. 語基. i n U. v. Pos?. pos neg neg. 久 保 ( 2011) は 上 の 表 に 基 づ き 、 次 の こ と を 指 摘 し て い る 。. (14) a.「 ウ ス - 」 が 強 意 8 の 意 味 を 持 ち 、 か つ 語 基 が 肯 定 的 価 値 を 示す複合語がない。                                                         7. 久 保 ( 2011) は ク エ ス チ ョ ン ・ マ ー ク ( ? ) が 付 い て い る も の は 非 正 例 的 表 現が使用されると仮定した場合に想定される分類・特性だと述べている。 8 久 保 ( 2011) は 「 度 合 い が 少 な い こ と を 表 し て い る と 考 え ら れ る も の を 『 程 度』に分類し、また、度合いを強めていると考えられる事例を『強意』に分類 した」と述べている。 12 .

(21) b.「 コ - 」 が 程 度 の 意 味 を 持 ち 、 か つ 語 基 が 肯 定 的 価 値 を 示 す複合語がない。. ま た 、久 保( 2011)は 辞 典 に な い ウ エ ブ サ イ ト に あ る「 薄 ぎ れ い 」 の 例 を 取 り 上 げ 、「 肯 定 的 な 意 味 で 用 い ら れ て い る と も 考 え に く い 。 この意味を推測するならば、 『 表 面 上 は き れ い に 見 え る が 、実 際( 本 質?)はそうではない』となるように思われる」と指摘している。 久 保( 2011)は 以 上 に 基 づ き 、 「 ウ ス - 」の 新 規 的 用 法 を 以 下 の よ う に指摘している。. 政 治 大. (15) 「 ウ ス - 」 に 肯 定 的 価 値 を 持 つ 語 基 が 後 続 す る と 、 複 合 語 全. 立. 体の意味が否定的価値に反転する。. ‧ 國. 學. 久 保 ( 2011) は 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 表 す 価 値 性 を 明 ら か に し. ‧. ているが、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 表 す 意 味 に 言 及 し て い な い 。ま た 、 ほかの品詞の語基と共起する場合はどのような意味を表すかという. y. Nat. n. al. 先行研究における問題点. Ch. engchi. er. io 2.1.8. sit. ことも述べていない。. i n U. v. 先行研究における問題点、および不足点は以下の5点がある。 一点目は「コ-」が持つ多義性を明らかにしておらず、各語義の 相 互 関 係 も 解 明 し て い な い 。壽 岳( 1954)、奥 秋( 1996)、玉 村( 2001)、 皆 島( 2003)、呉( 2008)は「 コ - 」が 表 す 意 味 を 述 べ て い る が 、そ の点は解明していない。二点目は「ウス-」が持つ多義性を明らか に し て い な い 。 劉 ( 2005) は 「 ウ ス - 」 が 表 す 意 味 に つ い て 触 れ て い る が 、「 ウ ス - 」 の 多 義 性 に 言 及 し て い な い 。 三 点 目 は 「 ウ ス - 」 と「コ-」が表す価値性と「ウス-」と「コ-」が表す意味との関 係 に 言 及 し て い な い 。 久 保 ( 2011) は 「 ウ ス - 」 と 「 コ - 」 が 表 す 価値性を明らかにしたが、 「 ウ ス - 」と「 コ - 」が 表 す 意 味 と ど の よ うな関係があるかは述べていない。 13 .

(22) 2.2. 本稿が導入する理論. 第1章では多義語分析の課題、認知言語学における比喩の概念、 多義ネットワークの概念に触れた。本節ではこれらの概念はどのよ うな理論的背景があるか、また本稿でどのように生かされるかを述 べる。2.2.1. 小節は多義語の分析方法を、2.2.2. は意味拡張の仕組みを、2.2.3. 小節. 小節は多義ネットワークを述. べる。. 2.2.1 1 .3. 多義語分析について. 政 治 大. 小 節 で 述 べ た よ う に 、松 中( 2002)、瀬 戸( 2007)、籾 山 ・. 立. 深 田 ( 2003) は 多 義 語 記 述 に お け る 課 題 を 指 摘 し て い る 。 ま と め る. ‧ 國. 學. と 次 の 五 点 に な る ( 再 掲 )。. ‧. (16) a.多 義 語 の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 の 設 定 。 b.多 義 的 別 義 の 認 定 。. y. Nat. n. al. er. io. d.各 語 義 の 意 味 の 相 互 関 係 の 明 示 。. sit. c.多 義 的 別 義 の 配 列 順 序 。. i n U. v. e.複 数 の 意 味 す べ て を 統 括 す る モ デ ル ・ 枠 組 み の 解 明 。. Ch. engchi. 以下、この五つの課題の理論的背景、及び本稿でどのように生か されるかを述べる。 ま ず 、(16a)の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 の 設 定 を 述 べ る 。語 構 成 要 素「 ウ ス-」と「コ-」は次元形容詞「薄い」と「小さい」から来たもの で あ る 。先 行 研 究 の 指 摘 に よ る と 、 「 薄 い 」と「 小 さ い 」の プ ロ ト タ イプはそれぞれ「厚さの値が少ない」と「占める空間が小さい」で あり、多義性はそこから拡張されたということである。プロトタイ プ の 定 義 9 は 学 者 に よ っ て 異 な り 、Langacker( 1987: 371)は あ る 複                                                         9. Taylor( 1996) の 指 摘 に よ る と 、「 プ ロ ト タ イ プ 」 と い う 用 語 は 二 つ の 解 釈 が できる。一つはプロトタイプをカテゴリーの中心的成員、あるいは中心的成員 14 .

(23) 合 的 な カ テ ゴ リ ー の“ prototype”と は そ の カ テ ゴ リ ー の 拡 張・発 展 の出発点であるという位置付けが与えられると指摘している。後に 述 べ る が 、本 稿 に お け る「 多 義 の 配 列 順 序 」に つ い て よ り「 具 象 義 」、 「 知 覚 感 覚 的 意 義 」、「 身 体 的 意 義 」 と い う 特 徴 を 備 え る 意 味 を 前 に 置くことを原則とする。順序が後ろに配置される語の意味がより抽 象化されたもので、具体的な意味から拡張されたものである。われ わ れ の 認 知 能 力 の 観 点 か ら 見 る と 、具 体 的 意 味 が 最 も 把 握 し や す く 、 具体的意味から抽象的意味へ拡張するという方向性が数多くの論文 で 指 摘 さ れ て い る( 瀬 戸 1995、国 広 2001、山 梨 2008 な ど )。本 稿 の 考 察 に お い て は「 ウ ス - 」が 表 す 各 意 味 の 中 で「 厚 さ の 値 が 少 な い 」. 政 治 大. と い う 意 味 が 最 も 具 体 的 な 意 味 で あ る 。ま た 、 「 コ - 」が 表 す 各 意 味. 立. の中で「占める空間が小さい」という意味が最も具体的な意味を表. ‧ 國. 學. す 。よ っ て 、本 稿 は 先 行 研 究 に 従 い 、 「 ウ ス - 」の プ ロ ト タ イ プ を「 厚 さ の 値 が 少 な い 」と し 、 「 コ - 」の プ ロ ト タ イ プ を「 占 め る 空 間 が 小. ‧. さい」とする。. 次 に 、 (16b) の 多 義 的 別 義 の 認 定 を 述 べ る 。「 多 義 的 別 義 の 認 定 」. y. Nat. sit. に つ い て 籾 山 ( 1993) が 参 考 に な る 1 0 。 籾 山 ( 1993) は 多 義 的 別 義. n. al. er. io. を認定する手掛かりとして次の六つを指摘している。 「非両立関係に. i n U. v. あ る 同 位 語 の 違 い 」、「 反 義 語 の 違 い 」、「 反 対 語 の 違 い 」、「 類 義 語 の. Ch. engchi. 違 い 」、「 上 位 語 の 違 い 」、「 意 味 分 野 の 違 い 」 で あ る 1 1 。 本 稿 で は 主 に「 反 義 語 の 違 い 」と「 類 義 語 の 違 い 」と い う 二 つ の 方 法 を 用 い る 。 ま ず 、「 反 義 語 の 違 い 」 の 例 と し て 、 例 え ば 、「 薄 板 」 の 「 ウ ス - 」 は「厚さの値が少ない」という意味で、その反義的意味は「厚い」 で あ る 。一 方 、「 薄 青 」の「 ウ ス - 」は「 濃 度 ・ 密 度 が 低 い 」と い う 意 味 で 、そ の 反 義 的 意 味 は「 濃 い 」で あ る 。こ の よ う に 、 「 薄 板 」の                                                                                                                                                             の集合体と定義するものである。もう一つはプロトタイプをカテゴリーの概念 的な核のスキーマ的表象として定義するものである。前者の定義に従うものに は Langacker( 1987) が あ る 。 10 多 義 的 別 義 の 認 定 と い う 課 題 に つ い て 国 広 ( 1989) は 「 上 下 関 係 」、「 反 義 語 の存在」と「形態論的な相違」という三つの方法を示している。 11 な お 、 国 広 ( 1989) と 籾 山 ( 1993) は と も に 、 こ れ ら の 判 断 基 準 は 常 に 有 効 であるとは言えないと述べている。 15 .

(24) 「ウス-」と「薄青」の「ウス-」は反義的意味が違うから、両者 は 別 義 と 認 定 す る 。 そ し て 、「 類 義 語 の 違 い 」 の 例 と し て 、 例 え ば 、 「小娘」の「コ-」は「年齢が幼い」という意味で、その類義的意 味 は「 幼 い 」で あ る 。こ れ に 対 し 、「 小 家 」の「 コ - 」は「 占 め る 空 間 が 小 さ い 」と い う 意 味 で 、 「 幼 い 」は そ の 類 義 的 意 味 で は な い 。こ の よ う に 、「 小 娘 」の「 コ - 」と「 小 家 」の「 コ - 」は 類 義 的 意 味 が 違うから、両者は別義と認定する。 次 に 、(16c)の 多 義 的 別 義 の 配 列 順 序 を 述 べ る 。瀬 戸( 2007)は 多 義 的 別 義 の 配 列 順 序 に つ い て 「 具 象 義 か ら 抽 象 義 へ 」、「 知 覚 感 覚 的 意 義 か ら 認 識 的 な 意 義 へ 」、「 身 体 的 意 義 か ら 精 神 的 な 意 義 へ 」 な ど. 政 治 大. の 原 則 を 示 し て い る 。本 稿 で は 瀬 戸( 2007)に 従 い 、 「 具 象 義 」、 「知. 立. 覚 感 覚 的 意 義 」、「 身 体 的 意 義 」 と い う 特 徴 を 備 え る 意 味 を 前 に 置 く. ‧ 國. 學. こ と を 原 則 と す る 。例 え ば 、 「 コ - 」が 表 す 意 味 の 中 で「 占 め る 空 間 が小さい」と「年齢が幼い」とがある。前者は視覚で確認でき科学. ‧. 的に測れる具体的意味であるのに対し、後者は人間の一つの属性で 抽 象 的 意 味 で あ る 。し た が っ て 、 「 占 め る 空 間 が 小 さ い 」と い う 意 味. y. Nat. sit. は「年齢が幼い」という意味に比べ、より具体的意味を表すため、. n. al. er. io. 配列順序が先である。. i n U. v. 次 に 、 (16d)の 各 語 義 の 意 味 の 相 互 関 係 の 明 示 す る 方 法 を 述 べ る 。. Ch. engchi. 籾 山 ( 2001) は 「 メ タ フ ァ ー 、 シ ネ ク ド キ ー 、 メ ト ニ ミ ー と い う 三 種の比喩が、複数の意味の関連づけに重要な役割を果たす」と述べ ている。例えば、先ほど述べたように「コ-」は「占める空間が小 さい」と「年齢が幼い」という二つの意味を表す。前者は「身体」 の概念であるのに対し、後者は人間が持つ一つの属性である。山梨 ( 2008) が 提 出 し た 「 所 有 物 か ら 所 有 者 を 表 す 換 喩 リ ン ク 」 に よ る と身体から属性への拡張はメトニミーの一つである。したがって、 「コ-」が表す「占める空間が小さい」と「年齢が幼い」という二 つの意味の相互関係はメトニミーによる拡張であることが分かった。 意味拡張の仕組みについては次の小節で述べる。 最 後 に 、(16e)の 多 義 語 の ネ ッ ト ワ ー ク モ デ ル を 述 べ る 。多 義 語 の 16 .

(25) ネ ッ ト ワ ー ク モ デ ル は い く つ か が あ る 。 籾 山 ・ 深 田 ( 2003) は 先 行 研 究 を 踏 ま え 、 五 つ の モ デ ル を 示 し て い る 12。 そ の 中 で 、 レ イ コ フ はプロトタイプ理論を応用した意味分析を行い、多義語が持つ様々 な意味が互いに関連しあって一つの放射状カテゴリーをなしている ものを「集合体モデル」とする。本稿はスキーマを抽出するのが目 的ではなく、多義語が持つ各意味の相互関係を示すのが目的である ため、レイコフが示した「集合体モデル」を用いる。詳しくは2. 2.3. 小節で述べる。. 以 上 、多 義 語 分 析 の 理 論 的 背 景 と 本 稿 に お け る 生 か し 方 を 述 べ た 。 次の小節は意味拡張の仕組み、及び本稿との関連性を述べる。. 2.2.2. 立. 意味拡張. 政 治 大. ‧ 國. 學. 前小節で述べたように、多義語が持つ各意味の間に拡張関係が存 在 し て い る 。 籾 山 ( 2001) は 「 メ タ フ ァ ー 、 シ ネ ク ド キ ー 、 メ ト ニ. ‧. ミーという三種の比喩が、複数の意味の関連づけに重要な役割を果 たす」と述べている。以下、メタファー、シネクドキー、メトニミ. y. Nat. n. al. er. io 2.2.2.1. sit. ーという三種の比喩の仕組みと本稿での生かし方を述べる。. メタファー. Ch. engchi. i n U. v. 籾 山 ( 2002) は メ タ フ ァ ー を 次 の よ う に 定 義 し て い る 。. (17) メ タ フ ァ ー:二 つ の 事 物・概 念 の 何 ら か の 類 似 性 に 基 づ い て 、 一方の事物・概念を表す形式を用いて、他方の事物・概念を 表す比喩. メ タ フ ァ ー の 種 類 と し て Lakoff and Johnson は 次 の 三 種 類 を 提 唱                                                         12. 籾 山 ・ 深 田 ( 2003) が 示 し た 五 つ の 多 義 語 の ネ ッ ト ワ ー ク モ デ ル は 「 集 合 体 モ デ ル に 基 づ く モ デ ル 」、 「 イ メ ー ジ・ス キ ー マ に 基 づ く ネ ッ ト ワ ー ク・モ デ ル 」、 「 拡 張 と ス キ ー マ に 基 づ く ネ ッ ト ワ ー ク ・ モ デ ル 」、「 現 象 素 に 基 づ く モ デ ル 」 と「 ネ ッ ト ワ ー ク と 現 象 素 を 統 合 し た モ デ ル( 以 下 、 「 統 合 モ デ ル 」と 略 称 す る )」 である。 17 .

(26) している。. (18) a.構 造 の メ タ フ ァ ー ( structural metaphor) b.方 向 性 の メ タ フ ァ ー ( orientational metaphor) c.存 在 の メ タ フ ァ ー ( ontological metaphor). 以下、この三種類のメタファーを順に述べ、そして、本稿でどの よ う に 生 か さ れ る か を 述 べ る ( 以 下 の 説 明 は 谷 口 ( 2003 ) と 河 上 ( 1996) を 参 考 に し た も の で あ る )。 ま ず 、「 構 造 の メ タ フ ァ ー 」 1 3 を 見 る 。 Lakoff and Johnson に よ る. 政 治 大. と、私たちの概念構造の大部分はこうした構造のメタファーにより. 立. 支えられ構成されている。そして、具体的な意味から抽象的な意味. ‧ 國. 學. へ拡張することが構造のメタファーによって支えられている。山梨 ( 2008) は 「 概 念 メ タ フ ァ ー 理 論 で は 、 イ メ ー ジ ス キ ー マ に 基 づ い. ‧. て構造化された概念領域が、より抽象的な概念領域へと写像され、 これによって後者が理解されると考えられている」と述べている。. y. Nat. sit. 本稿の場合では「ウス-」は「濃度・密度が低い」という具体的な. n. al. er. io. 意 味 と「 程 度 が 低 い 」と い う 抽 象 的 な 意 味 を 表 す こ と が 観 察 さ れ る 。. i n U. v. 二つの意味は「具体から抽象へ」という拡張関係があり、構造のメ. Ch. engchi. タファーである。詳しくは3.1.3.6. 小節で述べる。. 次 に 、「 方 向 性 の メ タ フ ァ ー 」 1 4 を 見 る 。 時 間 概 念 を 表 す の に よ く                                                         13. 例 え ば 、「 ARGUMENT IS WAR( 議 論 は 戦 争 で あ る )」 と い う 構 造 の メ タ フ ァ ー か ら 「 Tour claims are indefensible( 君 の 主 張 は 守 り よ う が な い )」 の よ う な 言語表現が産出される。 「 議 論 」と「 戦 争 」は 行 動 を 実 行 し て い る 点 が 同 様 で あ り 、 違 う の は 「 議 論 」 は 「 武 力 」 に よ る 戦 争 で は な く 、「 言 葉 」 に よ る 戦 争 を 行 っ て い る 点 で あ る 。つ ま り 、 「 議 論 」と い う 経 験 の 構 造 が「 戦 争 」の 構 造 に 合 致 するから、 「 戦 争 」の 持 つ 様 々 な 側 面 を 用 い て「 議 論 」を 表 す 言 語 表 現 を 生 み 出 しているのである。 14 方向性のメタファーとは心理状態・感情・量・支配力・善悪の価値観など本 来は非空間的な経験を「上下」などの位置関係として概念化するものであり、 大 部 分 が 「 上 ・ 下 」、「 内 ・ 外 」、「 前 ・ 後 」、「 着 ・ 離 」、「 深 ・ 浅 」、「 中 心 ・ 周 辺 」 などの空間の方向性と関係し、一種の「空間化メタファー」である。例えば、 「 HAPPY IS UP; SAD IS DOWN( 楽 し い こ と は 上 、 悲 し い こ と は 下 )」 と い う メ タ フ ァ ー か ら 「 I’ m feeling up.( 気 分 は 上 々 だ )」 の よ う な 言 語 表 現 が 産 出 さ れ る。 18 .

參考文獻

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