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「シル」と「ワカル」の意味分析

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Academic year: 2022

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指 導 教 授 :賴 錦 雀 教 授

「シル」と「ワカル」の意味分析

Analysis of Meaning of Japanese Verb “shiru” and “wakaru”

研究生:龔 柏榮 撰

中華民國 102 年 3 月

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「Shiru」與 「Wakaru」的 意 義 分 析

研 究 生:龔 柏 榮 指 導 教 授:賴 錦 雀 教 授

東 吳 大 學 日 本 語 文 學 系 碩 士 班

摘 要

本 論 文 從 認 知 語 言 學 的 觀 點 , 以 「隱 喻 」「換 喻 」「提 喻 」為 分 析 手 法 , 針 對 動 詞 「Shiru」與 「Wakaru」的 多 義 構 造 進 行 多 面 向 的 分 析 。

為 確 保 分 析 的 準 確 度 , 本 論 文 以 『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 作 為 分 析 的 對 象 , 並 從 其 中 的 6 個 核 心 資 料 中 , 抽 出 「~ Shiru」

與 「~ Wakaru」為 架 構 的 句 子 作 為 分 析 的 語 料 。 下 列 為 本 論 文 主 要 的 3 項 分 析 步 驟 :

① 依 據『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』將 「Shiru」與 「Wakaru」的 共 現 名 詞 加 以 歸 納。並 用 統 計 學 方 法 (t-score)檢 證 「Shiru」與 「Wakaru

」和 各 共 現 名 詞 之 間 是 否 存 在 顯 著 性 差 異 。

② 根 據 分 析 結 果 , 可 知 「Shiru」共 有 7 項 擴 張 義 (其 中 包 含 1 項 基 本 義 ),「Wakaru」則 有 3 項 擴 張 義 (其 中 包 含 1 項 基 本 義 ),並 進 而 繪 製 出 多 義 架 構 圖 。

③ 針 對 「Shiru」與 「Wakaru」的 共 現 名 詞 以 及 各 項 擴 張 義 的 異 同 之 處 相 互 交 叉 比 對 , 做 出 分 析 。

本 論 文 闡 明 了 「Shiru」與 「Wakaru」各 擴 張 義 間 的 關 聯 性 和 各 共 現 名 詞 的 使 用 頻 率 、 共 現 值 的 顯 著 性 差 異 。 最 後 並 將 分 析 成 果 與 日 語 教 育 做 連 結,提 供 學 習 者 更 易 掌 握 「Shiru」與 「Wakaru」在 使 用 上 的 差 異 性 。 關 鍵 詞 : 多 義 動 詞 、 修 辭 表 現 、 共 現 、 t-score、 多 義 架 構 圖

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ii 

Analysis of Meaning of Japanese Verb “shiru” and ”wakaru”

Student:Kung,Po-Rong Advisor:Lai,Jiin-Chiueh

Master ’s Program in Department of Japanese Language and Culture Soochow University

Abstract

From the viewpoint of cognitive linguistics, a multi-dimensional analysis of cognitive semantics, which is analyzed in terms of metaphor, metonymy and synecdoche, on two verbs, “shiru” and “wakaru,” is conducted in this thesis.

To maintain the accuracy of the analysis, this thesis takes Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese as the database and chooses

the sentences constructed by “shiru” and “wakaru” for analyzing out of six core data.

The following is the main process of analyzing:

1. Categorize the collocates of “shiru” and “wakaru” based on Classified Vocabulary List, and examine the existence of statistical significance

between each collocate by a statistics method (t-score).

2. Draw a polysemous network according to the result, which shows that

“shiru” has seven derived senses including one prototype as well as

“wakaru” three derived senses including one prototype.

3. Compare and analyze similarities and differences between each

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iii 

derived senses of the collocates of “shiru” and “wakaru.”

The relation between each derived sense, the using frequency of collocates and the statistical significance are well elucidated in this thesis. In the end, the thesis provides future learners with a better understanding of the differences between “shiru” and “wakaru” by connecting the analysis to Japanese teaching.

Keywords: polysemous verb, rhetoric, collocational pattern, t-score(standard score), polysemous network

(5)

iv 

目 次

要 旨 (中 国 語 ) ...ⅰ 要 旨 (英 語 ) ...ⅱ 目 次 ...ⅳ 表 目 次 ...ⅶ 図 目 次 ...ⅸ

第 1 章 序 論 ...1

1.1 本 研 究 の 動 機 及 び 目 的 ...1

1.2 研 究 方 法 と 考 察 対 象 ...3

1.2.1 使 用 デ ー タ ...3

1.2.2 研 究 対 象 ...6

1.2.3 分 析 方 法 ...7

1.2.3.1 t-score ... 8

1.2.3.2 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」 . ...11

1.3 本 研 究 の 意 義 ...12

1.4 本 研 究 の 構 成 ...13

第 2 章 先 行 研 究 ...15

2.1 日 本 語 辞 典 に お け る 意 味 記 述 ...15

2.1.1 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ...16

2.1.2 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 ...19

2.2 類 義 語 辞 典 に お け る 意 味 記 述 ...21

2.3 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 分 析 に 関 す る 先 行 研 究 ...23

2.3.1 高 橋 圭 介 (2003)の 説 ...24

2.3.2 森 田 良 行 (2005)の 説 ...28

2.3.3 葦 原 恭 子 (2010)の 説 ...29

(6)

2.4 共 起 名 詞 に 関 す る 先 行 研 究 ...30

2.5 多 義 語 に 関 す る 先 行 研 究 ...32

2.5.1 籾 山 洋 介 (2001・2002)の 説 ...32

2.5.2 吉 村 公 宏 (2004)の 説 ... ... ....34

第 3 章 「シ ル 」の 意 味 ...36

3.1 共 起 名 詞 か ら 見 た 「シ ル 」 ...36

3.1.1 共 起 名 詞 の 共 起 度 か ら 見 た 「シ ル 」...39

3.2 「シ ル 」の 意 味 分 析 ...43

3.2.1 「シ ル 」の 多 義 的 別 義 ...43

3.2.1.1 「シ ル 」の 別 義 1 ...43

3.2.1.2 「シ ル 」の 別 義 2 ...45

3.2.1.3 「シ ル 」の 別 義 3 ...47

3.2.1.4 「シ ル 」の 別 義 4 ...49

3.2.1.5 「シ ル 」の 別 義 5 ...50

3.2.1.6 「シ ル 」の 別 義 6 ...52

3.2.1.7 「シ ル 」の 別 義 7 ...53

3.3 「シ ル 」の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 の 認 定 ...54

3.4 「シ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ...55

第 4 章 「ワ カ ル 」の 意 味 ...60

4.1 共 起 名 詞 か ら 見 た 「ワ カ ル 」 ...60

4.1.1 共 起 名 詞 の 共 起 度 か ら 見 た 「ワ カ ル 」 ...63

4.2 「ワ カ ル 」の 意 味 分 析 ...66

4.2.1 「ワ カ ル 」の 多 義 的 別 義 ...66

4.2.1.1 「ワ カ ル 」の 別 義 1 ...67

4.2.1.2 「ワ カ ル 」の 別 義 2 ...69

(7)

vi 

4.2.1.3 「ワ カ ル 」の 別 義 3 ...71

4.3 「ワ カ ル 」の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 の 認 定 ...73

4.4 「ワ カ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ...74

第 5 章 結 論 ...76

5.1 本 研 究 の ま と め ...76

5.1.1「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 か ら 見 た 意 味 領 域 の 異 同 ...76

5.1.2「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 別 義 か ら 見 た 意 味 属 性 の 異 同 ...81

5.2 日 本 語 教 育 へ の 提 言 ...84

5.2.1 「シ ル 」の レ キ シ カ ル・シ ラ バ ス ...85

5.2.2 「ワ カ ル 」の レ キ シ カ ル・シ ラ バ ス ...86

5.3 今 後 の 課 題 ...87

参 考 文 献 ... ...88

(8)

vii 

表 目 次

表 1 使 用 コ ー パ ス の 語 数 と サ ン プ ル 数 ... ...4

表 2 「シ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 共 起 度 一 覧 (一 部 ) ... ...10

表 3 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 数 ... ...16

表 4 『 大 辞 泉 』(第 1 版 )に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ...17

表 5 『 日 本 国 語 大 辞 典 』(第 2 版 )に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ..17

表 6 『 大 辞 林 』(第 3 版 )に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ...18

表 7 『 三 省 堂 国 語 辞 典 』(第 6 版 )に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ..18

表 8 『 広 辞 苑 』(第 6 版 )に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 ...19

表 9 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 数 ... ...19

表 10 『 大 辞 泉 』(第 1 版 )に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 ...20

表 11 『 日 本 国 語 大 辞 典 』(第 2 版 )に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 ..20

表 12 『 大 辞 林 』(第 3 版 )に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 ...20

表 13 『 三 省 堂 国 語 辞 典 』(第 6 版 )に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 ...21

表 14 『 広 辞 苑 』(第 6 版 )に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 ...21

表 15 高 橋 (2003)に よ る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 特 徴 .. ...25

表 16 森 田 (2005)に よ る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 特 徴 .. ...28

表 17 葦 原 (2010)に よ る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 特 徴 .... ...29

表 18 「~ シ ル 」に お け る 「シ ル 」の 共 起 名 詞 ... ....37

表 19 「シ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 共 起 度 一 覧 ... 39

表 20 「シ ル 」に よ る t-score の 有 意 な 数 値 と 頻 度 数 の 比 較 ....40

表 21 「~ ワ カ ル 」に お け る 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 ... 61

表 22 「ワ カ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 共 起 度 一 覧 ... 63

表 23 「ワ カ ル 」に よ る t-score の 有 意 な 数 値 と 頻 度 数 の 比 較 ..64

表 24 「シ ル 」に よ る t-score の 有 意 な 数 値 と 頻 度 数 の 比 較 ....76

(9)

viii 

表 25 「ワ カ ル 」に よ る t-score の 有 意 な 数 値 と 頻 度 数 の 比 較 ..76 表 26 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 の 相 互 比 較 ... ..79-80

(10)

ix 

図 目 次

図 1 t-score の 計 算 式 (石 川 2008 に よ る も の で あ る ) ...9 図 2 籾 山 (2001)に よ る 「多 義 語 の 複 数 を 意 味 を 統 括 す る モ デ ル 」. 33 図 3 吉 村 (2004)に よ る 「意 味 拡 張 」の 概 念 図 ... ...35 図 4 「シ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ... ...59 図 5 「ワ カ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク ... ...75 図 6 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 に よ る 意 味 領 域 の 比 較 ... .78 図 7 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 意 味 特 徴 の 図 表 化 ... ...83

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第 1 章 序 論

1.1 本 研 究 の 動 機 と 目 的

本 研 究 で は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 日 本 語 辞 典 ・ 類 義 語 辞 典 に 記 述 さ れ た 語 義 を ま と め 、 統 計 的 手 法 を 用 い 、 共 起 名 詞 の 共 起 度 と 多 義 構 造 を 検 討 ・ 分 析 す る こ と で 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 全 体 像 を 明 ら か に す る 。 ま た 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」を 示 す 言 語 現 象 を 考 察 し 、 学 問 的 な 貢 献 を 目 指 す と と も に 、 日 本 語 教 育 の 現 場 へ も 研 究 成 果 を 還 元 す る こ と に 寄 与 し た い 。

従 来 の 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に 関 す る 先 行 研 究 は 2 語 の 使 用 法 や 多 義 構 造 を 明 ら か に し て い る が 、そ れ を 踏 ま え 、用 法 基 盤 に 基 づ く 「シ ル 」 と 「ワ カ ル 」の 持 つ す べ て の 多 義 的 意 味 が 網 羅 さ れ て い る わ け で は な い 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 認 知 言 語 学 の 枠 組 み に 基 づ い て 「シ ル 」 と 「ワ カ ル 」の 全 体 像 を 明 ら か に す る こ と を 狙 い と す る 。

ま た 、 用 法 基 盤 モ デ ル の 観 点 か ら 実 際 の 言 語 表 現 で 構 築 さ れ て い る コ ー パ ス か ら 抽 出 し た 用 例 を 用 い る こ と に よ り 、 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ を も と に 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と 多 義 的 別 義 間 の 意 味 拡 張 の メ カ ニ ズ ム に つ い て 分 析 し 、体 系 的 に 記 述 す る 。 な ぜ 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ を 基 盤 と し て 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」を 解 明 す る か と い う と 、 大 堀 (2002:4)で は 、 認 知 言 語 学 が 言 語 の 構 造 は ヒ ト の 経 験 的 基 盤 に 基 づ く と い う こ と を 前 提 と す る こ と か ら 、 そ こ に は 内 面 的 な 動 機 づ け が あ る と 主 張 し て い る 。以 上 の こ と か ら 、「思 考 動 詞 」と さ れ る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」は ヒ ト の 内 的 な 状 態 を 表 す 動 詞 で あ る た め 、 心 の 働 き が 反 映 さ れ る 動 機 づ け を 検 討 す る 際 に 最 も 相 応 し い 研 究 方 法 は 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ だ と 思 わ れ る 。

ま た 、 研 究 結 果 を 日 本 語 教 育 や 日 本 語 学 習 に 生 か す た め の 一 案 を

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提 議 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 の 1 つ と す る 。 そ の た め 、 教 育 の 観 点 か ら 見 る と 、 本 研 究 は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 多 義 構 造 に お い て 多 義 的 別 義 の 解 明 に あ た っ て 、 ま ず 日 本 語 辞 典 に 載 せ ら れ て い る 意 味 記 述 を ま と め 、 意 味 拡 張 の 起 点 と さ れ る 基 本 義 を 確 定 し 、 そ れ を プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と し て 仮 定 し て お く 。 次 に 、 使 用 頻 度 が 高 く 、 想 起 さ れ や す い 語 義 、 い わ ゆ る プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 が 何 か を 定 め る 。 そ し て 、 基 本 義 と プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 を 同 定 し た 上 で 、 プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 (=基 本 義 )と ほ か の 多 義 的 別 義 間 に 存 在 す る 関 連 づ け が ど の よ う に 意 味 拡 張 を 行 う か を 認 知 言 語 学 的 理 論 を 用 い る こ と に よ っ て 、 学 習 者 に と っ て 合 理 的 な 想 起 の 方 策 を 提 議 す る 試 み を 行 い た い と 考 え て い る 。

研 究 動 機 は 筆 者 の 学 習 経 験 の な か で 、 自 身 が 日 本 語 を 学 習 し て き た 過 程 を 振 り 返 っ て み る と 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 使 い 分 け を 把 握 で き る ま で に ず い ぶ ん 時 間 が か か り 、 ど の 文 脈 で 「シ ル 」を 用 い 、 ど の 文 脈 で 「ワ カ ル 」を 用 い る か を は っ き り 判 断 す る こ と が で き な い 時 期 が あ っ た 。 そ の 際 の 勉 強 方 法 は 、 辞 典 で 調 べ る こ と が 中 心 で 、 辞 典 を 参 照 し な が ら 、 わ か ら な い と こ ろ に 照 ら し 合 わ せ て 意 味 を 把 握 し て い た 。 し か し 、 意 味 と 例 文 を 覚 え る だ け で は 、 実 際 に 利 用 し よ う と す る 際 に 、 辞 典 は 意 味 の 羅 列 に す ぎ な い た め 、 そ れ ぞ れ の 使 い 分 け を 把 握 し に く く な っ て し ま う 場 合 が あ っ た 。 各 々 の 意 味 用 法 を 理 解 す る 一 助 と な る が 、 学 習 者 の 負 担 を 軽 減 す る こ と が で き る と は 思 え な い 。 し た が っ て 、 辞 典 の 意 味 記 述 に 基 づ き 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に は 複 数 の 意 味 が 存 在 す る こ と を 前 提 と し て 、 ど の よ う に そ れ ぞ れ の 意 味 に 関 連 を 持 た せ る か に つ い て 考 え て き た 。

ま た 、 中 国 語 と 日 本 語 の 言 語 構 造 が 大 き く 違 う こ と で 、 中 国 語 母

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語 話 者 は 日 本 語 を 学 習 す る 際 に 、 母 語 の 影 響 で 犯 し や す い 誤 用 を 中 心 に 学 習 上 の 困 難 点 を 解 明 し 、 分 析 し た 先 行 研 究 が 多 く 行 わ れ て い る 。森 田 (2005:107-113)は 留 学 生 と 接 す る 際 、学 習 者 が 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 使 い 分 け の 混 同 に よ る 誤 用 を よ く 目 に す る と 指 摘 し て い る 。 以 上 の こ と か ら 、 学 習 者 は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 間 に 曖 昧 さ と 共 通 性 を 把 握 し に く く 、 そ れ ぞ れ の 意 味 が 別 々 な も の の よ う に 捉 え ら れ 、 文 意 の 理 解 や 日 常 使 用 に 支 障 を き た す こ と が わ か っ た 。 前 述 し た こ と を 踏 ま え た 上 で 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」を 中 国 語 で は 、 同 じ 意 味 範 疇 に 属 す る こ と か ら 考 え て み る と 、 母 語 の 干 渉 に 関 係 し て い る と 考 え て い る 。

1.2 研 究 方 法 と 考 察 対 象 1.2.1 使 用 デ ー タ

本 研 究 で は 、 国 立 国 語 研 究 所 が 中 心 と な っ て 構 築 し て い る 『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 (Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese, 略 称 BCCWJ)を 分 析 デ ー タ と し て 利 用 す る 。 以 下 に 中 納 言 に 関 す る 概 要 を 示 す 。

『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』(以 下 、BCCWJ)の 検 索 ツ ー ル と し て は 、 「少 納 言 」や 全 文 検 索 シ ス テ ム 「ひ ま わ り 」な ど が 公 開 さ れ て い ま す 。 「中 納 言 」は 、そ れ ら に 続 い て 公 開 す る 新 し い BCCWJ 検 索 ツ ー ル で す 。

国 語 研 究 所 で は 形 態 素 解 析 辞 書 UniDic の 開 発 を 進 め て お り 、 BCCWJ に 対 し て 十 分 な 精 度 で 短 単 位 ・ 長 単 位 情 報 を 付 与 す る こ と が 可 能 に な っ て き て い ま す 。 こ れ ま で に 公 開 さ れ て い る 検 索

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ツ ー ル は 表 層 の 文 字 列 を 対 象 と し た も の で し た が 、 短 単 位 ・ 長 単 位 情 報 が 付 与 さ れ た デ ー タ を 検 索 で き る よ う に な れ ば 、 表 層 の 出 現 形 に と ら わ れ ず 、 見 出 し 語 や 品 詞 な ど を 基 に 用 例 を 収 集 す る こ と が 可 能 に な る た め 、 コ ー パ ス 利 用 の 幅 が 広 が る こ と が 期 待 さ れ ま す 。

そ こ で 我 々 は 、 品 詞 な ど の 形 態 論 情 報 を 検 索 条 件 に 指 定 し て 短 単 位・長 単 位 検 索 を 行 う こ と が で き る 「中 納 言 」を 開 発 し ま し た 。

「中 納 言 」は BCCWJ コ ア デ ー タ の 構 築 な ど に 使 用 し て い る コ ー パ ス 修 正 ツ ー ル 「大 納 言 」を 基 に 、 検 索 機 能 に 特 化 し て 、 イ ン タ ー フ ェ イ ス を Web 用 に 改 め た も の で す 。

(中 納 言 オ ン ラ イ ン マ ニ ュ ア ル 2012)

ま た 、 本 研 究 で 用 い る コ ー パ ス の 構 成 を 以 下 に 示 す 。

表 1 使 用 コ ー パ ス の 語 数 と サ ン プ ル 数 サ ブ コ ー パ ス 名 語 数

(短 単 位 )

「シ ル 」の サ ン プ ル 数

「ワ カ ル 」の サ ン プ ル 数

出 版 ・ 書 籍 コ ア 204050 173 183

出 版 ・ 雑 誌 コ ア 202268 111 126

出 版 ・ 新 聞 コ ア 308504 112 154

特 定 目 的 ・ 白 書 コ ア 197011 14 39

特 定 目 的・知 恵 袋 コ ア 93932 71 164

特 定 目 的・ブ ロ グ コ ア 92746 57 79

合 計 1098511 538 745

(『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 に よ り 作 成 し た も の で あ る )

本 研 究 で 分 析・検 討 に 用 い た の は 、い わ ゆ る 「コ ア デ ー タ 」で あ る 。 以 下 に コ ア デ ー タ に 関 す る 概 要 を 示 す 。

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BCCWJ の サ ン プ ル は コ ア デ ー タ の サ ン プ ル と 非 コ ア デ ー タ の サ ン プ ル に 分 け ら れ ま す 。

コ ア デ ー タ は 日 本 語 研 究 で の 利 用 及 び 形 態 素 解 析 シ ス テ ム 等 の 学 習 用 デ ー タ と し て の 利 用 を 目 的 と し て 作 成 し た デ ー タ で す 。 そ の た め 、 非 コ ア デ ー タ よ り も 短 単 位 情 報 を 高 精 度 に す る こ と が 必 要 で あ り 、 自 動 形 態 素 解 析 後 に 人 手 で 修 正 を 行 う こ と に よ っ て 、 精 度 を 99%以 上 と す る こ と を 目 標 と し て い ま す 。 現 在 、 公 開 し て い る コ ア デ ー タ の 精 度 は い ず れ も 目 標 精 度 を 達 成 し て い ま す 。

非 コ ア デ ー タ の 目 標 精 度 は 98%以 上 と な っ て お り 、 現 在 、 そ の 目 標 を 達 成 す べ く 、形 態 素 解 析 用 辞 書 UniDic の 整 備 等 を 進 め て い る と こ ろ で す 。

(中 納 言 オ ン ラ イ ン マ ニ ュ ア ル 2012)

し か し 、「コ ア デ ー タ 」に 「非 コ ア デ ー タ 」を 積 み 重 ね な が ら 、「シ ル 」 と 「ワ カ ル 」の 使 用 実 態 を よ り 広 範 囲 に 渡 っ て 考 察 で き る の で は な い か と い う 点 に つ い て は 、 ま だ ま だ 議 論 の 余 地 が あ る と 思 わ れ る が 、 以 下 の 理 由 で 「コ ア デ ー タ 」を 利 用 す る こ と に し た 。

『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』の 語 数1は 1 億 語 超 に 及 ん で お り 、 そ の 全 体 の 100 分 の 1 の デ ー タ 、 す な わ ち 約 100 万 語 を 高 い 精 度 で 解 析 す る も の は 「コ ア デ ー タ 」で あ る 。 こ の こ と か ら 、 統 計 分 析 に あ た っ て 、 「コ ア デ ー タ 」は 母 集 団 と み な す 『 現 代 日 本 語 書 き 言        

1 『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 の 語 数 は 短 単 位 と 長 単 位 に 分 け ら れ て い る 。 本 研 究 で は 分 析 対 象 の 適 切 性 を 考 え た 上 で 、 短 単 位 を 利 用 す る こ と に し た 。

(16)

葉 均 衡 コ ー パ ス 』 を 無 作 為 抽 出 す る こ と に よ り 、 構 築 さ れ て い る デ ー タ と 言 え よ う 。し た が っ て 、全 デ ー タ に し ろ 、コ ア デ ー タ に し ろ 、 い ず れ も 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 使 用 実 態 を 分 析 す る に は 、 安 定 し た 結 果 を 出 せ る こ と に な る と 判 断 し た 上 で 、 本 研 究 で は 『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 の 中 に あ る コ ア デ ー タ だ け に 絞 っ て 検 討 し た わ け で あ る 。

1.2.2 研 究 対 象

本 研 究 で は コ ー パ ス か ら 「~ シ ル 」と 「~ ワ カ ル 」と い う 形 で 抽 出 し た 例 文 を 分 析 す る 。 た だ し 、 一 般 名 詞 を 中 心 に 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」と の 関 係 を 究 明 す る た め 、「形 式 名 詞 で 成 り 立 つ 名 詞 節・疑 問 節・指 示 語 」な ど を 今 回 の 分 析 対 象 に 含 ま な い 。な ぜ な ら 、形 式 名 詞 の 位 置 づ け に 関 し て 、 国 立 国 語 研 究 所 (2004)『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』 に よ れ ば 、一 般 名 詞 と さ れ る 「体 の 類2」に 属 す る が 、実 は 実 質 的 な 意 味 を 失 っ て い る か ら で あ る 。 ま た 、 よ く 他 の 言 葉 に よ っ て 修 飾 さ れ る 用 法 と し て 扱 わ れ る た め 、本 研 究 で は 考 察 し な い こ と に す る 。な お 、「シ ル 」と 「ワ カ ル 」が 「知 り 尽 く す 」や 「分 か り 合 う 」や 「見 知 る 」な ど の よ う な 複 合 動 詞 も 分 析 対 象 と し な い 。

ま た 、 主 観 の 混 入 を で き る だ け 避 け る た め 、 抽 出 し た 共 起 名 詞 を

『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』 に 基 づ い て 分 類 し 、 そ れ ぞ れ の 共 起 名 詞

       

2 品 詞 分 類 に つ い て 、国 立 国 語 研 究 所 の サ イ ト (『 分 類 語 彙 表 』増 補 改 訂 版 に つ い て :http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/kokken_mado/15/02/) に 以 下 の よ う に 詳 し く 掲 載 さ れ て い る 。

① 名 詞 の 仲 間 - 体 の 類

② 動 詞 の 仲 間 - 用 の 類

③ 形 容 詞 ・ 形 容 動 詞 ・ 副 詞 等 の 仲 間 - 相 の 類

④ そ の 他 の 仲 間 (接 続 詞 ・ 感 動 詞 な ど )

(17)

に よ る 意 味 領 域 を 特 徴 づ け る 。

国 広 (2006:4)は 、「多 義 語 」を 「同 一 の 音 形 と 結 び つ い た 複 数 個 の 意 味 の あ い だ に『 意 味 的 な 関 連 性 』が あ る 」と 定 義 し て い る 。こ の 定 義 に よ れ ば 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」は 筆 者 が 5 冊 の 辞 典 を 調 べ て み れ ば 、 ど の 辞 典 に お い て も 、 複 数 の 異 な る 意 味 が 載 せ ら れ て い る た め 、 多 義 語 と み な さ れ る 。ま た 、「シ ル 」と い う 音 形 を と る 動 詞 に は 、「知 る・

識 る 」で あ る の に 対 し て 、 「ワ カ ル 」と い う 音 形 を と る 動 詞 に は 、 「分 か る・別 る・判 る・解 る 」が あ る 。そ の た め 、本 研 究 で は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 対 応 す る 漢 字 を 特 定 せ ず に 各 表 記 の 間 に 意 味 的 に 関 連 を 持 つ も の だ け に 絞 り 、 分 析 対 象 と す る 。

1.2.3 分 析 方 法

本 研 究 の 分 析 手 順 は 、 3 つ の 段 階 で 構 成 さ れ て い る 。

1 つ 目 は 、 日 本 語 辞 典 と 類 義 語 辞 典 に 記 述 さ れ る 語 義 を ま と め 、 調 査 す る こ と で あ る 。 加 え て 、 2 語 の 意 味 拡 張 の プ ロ セ ス を 追 う に あ た っ て 、 そ の 起 点 と な る 基 本 義 を 定 め 、 そ れ を プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と 仮 定 し て お く こ と か ら 始 ま る 。 そ し て 、 日 本 語 辞 典 と 類 義 語 辞 典 に お い て 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」そ れ ぞ れ の 意 味 記 述 と 用 例 を 対 応 さ せ た も の を 図 で 表 示 す る 。

2 つ 目 は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 調 査 を 行 う こ と で あ る 。ま ず 、『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』を 用 い る こ と に よ っ て 、 「~ シ ル 」に お け る 「シ ル 」と 「~ ワ カ ル 」に お け る 「ワ カ ル 」と 共 起 す る 名 詞 を 抽 出 す る 。 こ こ で 、 改 め て 本 研 究 に お い て の 共 起 名 詞 の 位 置 づ け を 示 す 。本 研 究 で は 考 察 対 象 と な る 共 起 名 詞 は 、甘 (2009) を も と に し 『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』 に 基 づ い て 一 般 名 詞 と さ れ る

(18)

「体 の 類 」に 分 類 さ れ る も の だ け を 考 察 対 象 と す る 。つ ま り 、「用 の 類 」 は 動 詞 に 、 「相 の 類 」は 形 容 詞 ・ 形 容 動 詞 ・ 副 詞 に そ れ ぞ れ 相 当 す る と い う こ と は 一 般 名 詞 と は 考 え ら れ な い た め 、 考 察 対 象 か ら 外 す こ と に す る 。

3 つ 目 は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 分 析 で あ る 。 ま ず 、 多 義 的 別 義 間 に プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と 周 辺 的 意 味 を 認 定 し 、 そ れ ぞ れ 別 義 を 支 え る 意 味 属 性 を 抽 出 す る 。 そ し て 、 段 階 2 で 確 認 し た 日 本 語 辞 典 か ら ま と め た 基 本 義 と プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 が 同 定 す る こ と が わ か っ た 。最 後 に 、プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 (=基 本 義 )と そ れ か ら 意 味 拡 張 が 行 わ れ た 周 辺 的 意 味 を 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ に よ る 「メ タ フ ァ ー 」

「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」と い う 3 種 類 の 比 喩 を 取 り 上 げ 、 そ の 関 連 づ け を 明 ら か に す る 。

以 下 、 段 階 2 で 利 用 さ れ る 統 計 的 手 法 で あ る t-score と 段 階 3 で 用 い ら れ る 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」と い う 比 喩 表 現 を 簡 単 に ま と め て み る 。

1.2.3.1 t-score

中 本 ・ 李 (2011:86-87)を も と に 2 語 の 単 語 の コ ロ ケ ー シ ョ ン の 強 さ を 測 定 す る 方 法 の 一 種 と さ れ る t-score に 関 し て 以 下 に 示 す 。

t-ス コ ア は t 検 定 の 手 法 を 応 用 し て 、 2 つ の 語 の 共 起 関 係 の 統 計 的 有 意 を 測 る 指 標 で あ る 。 概 念 的 に は 共 起 の 程 度 が 偶 然 に よ る 確 率 を 超 え て い る と い う こ と が ど の 程 度 確 実 に 言 え る か を 示 す 指 標 で あ る 。

(19)

ま た 、中 本・李 (2011:88)に よ れ ば t-score の ほ か 、MIscore(Mutual Information score)と い う 慣 用 語 や こ と わ ざ の よ う な 、 共 起 頻 度 の 数 値 は 低 い が 、 興 味 深 い コ ロ ケ ー シ ョ ン を 計 算 す る 場 合 に よ く 利 用 さ れ る 統 計 的 手 法 が あ る 。そ の 定 義 は 中 本・李 (2011:86)を も と に 以 下 に 示 す 。

MI ス コ ア は 相 互 情 報 量 と も 言 う が 、あ る 単 語 と も う ひ と つ の 単 語 と が 共 起 す る 確 率 と 、 そ れ ぞ れ が 個 別 に 生 起 す る 確 率 と の 比 で あ る 。 概 念 的 に は 2 つ の 語 の 一 方 が 与 え ら れ た と き 、 そ れ と 共 起 す る 語 が も う 片 方 の 語 で あ る こ と が ど の 程 度 分 か る か を 示 す 指 標 で あ る 。

し か し 、 本 研 究 で は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 に 関 す る 共 起 度 の 有 意 性 を 検 討 し 、 そ れ ら の コ ロ ケ ー シ ョ ン も よ く 見 ら れ る と 判 断 し た た め 、t-score を 用 い る こ と に し た 。な お 、t-score の 計 算 式 は 以 下 の 通 り で あ る 。

図 1 t-score の 計 算 式 (石 川 2008 に よ る も の で あ る )

次 に 、 本 研 究 で は 共 起 名 詞 の 共 起 度 を 検 証 す る 際 に 、 図 1 に 基 づ い て 各 数 値 の 詳 細 は 表 2 を も と に 順 に 定 義 す る 。 説 明 上 の 便 宜 性 の た め 、 「シ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 一 部 の 共 起 度 を 取 り 上 げ て そ れ ぞ れ の 数 値 を 説 明 す る 。

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10 

表 2 「シ ル 」に よ る 共 起 名 詞 の 共 起 度 一 覧 (一 部 )

意 味 領 域 共 起 語

頻 度

共 起 頻 度

t-score 上 位 意 味 領 域 下 位 意 味 領 域

抽 象 的 関 係 事 柄 111 9 2.98188

類 165 7 2.61521

存 在 19 3 1.72668

様 相 318 16 3.96106

作 用 56 4 1.98629

時 間 37 5 2.22796

空 間 229 12 3.43173

形 28 1 0.98629

① 共 起 頻 度 : 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」そ れ ぞ れ の 下 位 意 味 領 域 に 属 す る 共 起 名 詞 と 一 緒 に 出 現 す る 回 数

表 2 で は 、 格 助 詞 を 特 定 せ ず に 6 つ の コ ア デ ー タ か ら 抽 出 し た 下 位 意 味 領 域 の 「事 柄 」に 属 す る 名 詞 で あ る 場 合 、 「シ ル 」と 共 起 す る 回 数 は 9 回 と い う こ と で あ る 。

② 中 心 語 頻 度 : 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」は 6 つ の コ ア デ ー タ の 中 で 出 現 す る 回 数

こ こ の 中 心 語 頻 度 と は 、 表 1 に 示 さ れ て い る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の サ ン プ ル 数 の 合 計 の 数 値 で あ る 。「シ ル 」は 538 回 で あ る の に 対 し て 、

「ワ カ ル 」は 745 回 と い う こ と に な る 。

③ 共 起 語 頻 度 : そ れ ぞ れ の 意 味 領 域 に 属 す る 抽 出 し た 共 起 名 詞 と そ れ の 後 続 す る 動 詞 の 中 で 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」が ど の く ら い の 頻 度 を 占 め て い る か を 表 す 数 値

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表 2 の 「事 柄 」と い う 下 位 意 味 領 域 を 着 目 し 、 説 明 し た い 。 こ こ で の 共 起 語 頻 度 と は 、 「シ ル 」の 前 に 置 か れ る 格 助 詞 を 特 定 せ ず に コ ー パ ス か ら 抽 出 し た 「事 柄 」に 分 類 さ れ る 共 起 名 詞 が 動 詞 と 共 起 す る 回 数 が 111 回 と い う こ と で あ る 。 そ の 111 回 の な か 、 「~ を シ ル 」と 共 起 す る 回 数 は 9 回 と な っ て い る 。 つ ま り 、 共 起 頻 度 の こ と を 指 し て い る 。

こ の 3 つ の 数 値 に よ っ て 、 「~ を シ ル 」の 「ヲ 格 名 詞 」の 共 起 関 係 を 明 ら か に す る こ と が で き る 。 ま た 、 「~ が ワ カ ル 」の 「ガ 格 名 詞 」の 共 起 関 係 も こ の 流 れ で 解 明 す る こ と が で き る 。

こ こ で は 、 本 研 究 で 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の す べ て の 活 用 形 を 含 め て 検 索 し た こ と に つ い て 補 足 説 明 を す る 。 な お 、 共 起 名 詞 に 関 し て 文 脈 に よ っ て は 1 つ の 語 形 が 1 つ の 意 味 領 域 に 存 在 す る と は 限 ら な い 。 そ こ で 、 1 つ の 語 形 が 2 つ 以 上 の 意 味 領 域 に 属 し て い る 場 合 、 各 意 味 領 域 間 の 意 味 の 区 別 を す る た め 、 1 回 と し て 数 え る こ と と す る 。

1.2.3.2 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」

本 研 究 で は 、 先 行 研 究 の 記 述 が 正 し い か ど う か を 検 証 す る た め 、

『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』 か ら 抽 出 し た 言 語 資 料 に 基 づ き 、 プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 を 認 定 す る ほ か 、 多 義 的 別 義 間 の 関 連 づ け を 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」に よ っ て 解 明 を 試 み る 。 さ ら に 、 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」の 定 義 は 以 下 の 通 り で あ る 籾 山 (2002:65、 76、 69)。

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メ タ フ ァ ー : 二 つ の 事 物 ・ 概 念 の 何 ら か の 類 似 性 に 基 づ い て 、 一 方 の 事 物 ・ 概 念 を 表 す 形 式 を 用 い て 、他 方 の 事 物 ・ 概 念 を 表 す と い う 比 喩

メ ト ニ ミ ー : 二 つ の 事 物 の 外 界 に お け る 隣 接 性 、さ ら に 広 く 二 つ の 事 物 ・ 概 念 の 思 考 内 ・ 概 念 上 の 関 連 性 に 基 づ い て 、 一 方 の 事 物 ・ 概 念 を 表 す 形 式 を 用 い て 、 他 方 の 事 物 ・ 概 念 を 表 す と い う 比 喩

シ ネ ク ド キ ー : よ り 一 般 的 な 意 味 を 持 つ 形 式 を 用 い て 、よ り 特 殊 な 意 味 を 表 す 、あ る い は 逆 に 、よ り 特 殊 な 意 味 を 持 つ 形 式 を 用 い て 、よ り 一 般 的 な 意 味 を 表 す と い う 比 喩

1.3 本 研 究 の 意 義

1 つ の 語 が 複 数 の 意 味 を 持 つ と い う 多 義 性 が 学 習 者 に と っ て 学 習 過 程 で 何 ら か の 困 難 を 有 す る こ と も 少 な く な い 。 し か し 、 吉 村 (2004:96)に よ れ ば 、多 義 語 が 生 じ て き た 原 因 は 、1 つ の 語 に 複 数 の 意 味 を 持 た せ る こ と に よ り 、 記 憶 の 負 担 を 軽 減 す る た め で あ る 。 そ こ で 、本 研 究 で は 吉 村 (前 掲 )の 指 摘 を 出 発 点 と し て 、「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 に よ る 意 味 領 域 に 特 徴 づ け を 行 い 、各 意 味 領 域 の 共 起 度 の 高 さ を 解 明 す る 。 ま た 、 人 間 の 認 識 の 根 幹 に 基 づ く 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ を 用 い 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 多 義 構 造 を 構 築 す る こ と で 学 習 者 の 適 切 な 理 解 、 運 用 へ と 繋 げ た い 。

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1.4 本 研 究 の 構 成

本 研 究 を 大 き く 分 け て 、 第 1 章 は 序 論 、 第 2 章 は 先 行 研 究 、 第 3 章 と 第 4 章 は 本 論 、 第 5 章 は 結 論 、 計 5 章 で 構 成 す る 。 各 章 の 概 要 は 次 の 通 り で あ る 。

第 1 章 で は 、 筆 者 自 身 の 経 験 に よ る 動 機 、 学 問 的 な 貢 献 を 目 指 し た 目 的 、 研 究 方 法 、 分 析 対 象 、 検 討 に 用 い る コ ー パ ス の 紹 介 と 各 章 の 概 要 を 示 す 。

第 2 章 で は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に 関 す る 先 行 研 究 を ま と め 、 問 題 点 を 指 摘 す る 。 ま た 、 日 本 語 辞 典 に 載 せ ら れ て い る 意 味 記 述 を も と に 、 確 定 し た 基 本 義 を プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と し て 仮 定 す る こ と 、 共 起 名 詞 と 多 義 語 に 関 す る 先 行 研 究 を 参 照 す る こ と に よ り 、 本 研 究 の 位 置 づ け を す る 。

第 3 章 で は 、 コ ー パ ス か ら 抽 出 し た 「シ ル 」の 共 起 名 詞 を 『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』 に 基 づ い て そ れ ぞ れ の 意 味 領 域 に 分 類 す る 。 そ し て 、 「シ ル 」の 共 起 名 詞 の 共 起 度 を 探 る た め 、 統 計 的 ア プ ロ ー チ で 検 討 す る 。 ま た 、 そ れ ぞ れ の 意 味 領 域 に 属 す る 共 起 名 詞 の 使 用 頻 度 を 明 ら か に す る 。 な お 、 抽 出 さ れ た 用 例 を も と に 7 つ の 別 義 に 判 別 し た 上 で 、 多 義 的 別 義 間 に 想 起 さ れ や す い プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 を 基 本 義 と 同 定 し た 上 で 、周 辺 的 意 味 に 認 定 す る 。そ の 分 析 結 果 と し て 、「シ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク を 作 成 す る 。

第 4 章 は 、第 3 章 と ほ ぼ 同 じ 構 成 で あ る が 、再 度 説 明 し た い 。「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 を コ ー パ ス か ら 抽 出 し 、『 分 類 語 彙 表 増 補 改 訂 版 』 を 用 い 、 意 味 領 域 に 分 類 す る 。 次 に 、 「ワ カ ル 」と 「ワ カ ル 」の 共 起 名 詞 と の 共 起 度 の 高 さ を 検 討 す る た め 、 統 計 的 手 法 で 明 ら か に す る 。 そ し て 、 「ワ カ ル 」の 意 味 領 域 に 属 す る そ れ ぞ れ の 共 起 名 詞 の 使 用 頻

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度 へ の 調 査 を 行 う 。 な お 、 コ ー パ ス か ら 抽 出 し た 用 例 を も と に プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 (=基 本 義 )と 周 辺 的 意 味 を 支 え る 3 つ の 別 義 の 意 味 属 性 を 明 ら か に し 、プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 (=基 本 義 )と 周 辺 的 意 味 を 分 け る こ と で 「ワ カ ル 」の 多 義 ネ ッ ト ワ ー ク を 構 成 す る 。

こ こ で は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 分 析 を 行 う 際 に 、 各 多 義 的 別 義 間 に 存 在 す る 関 連 づ け を 認 知 言 語 学 的 手 法 で 「メ タ フ ァ ー 」「メ ト ニ ミ ー 」「シ ネ ク ド キ ー 」と い う 3 つ の 比 喩 表 現 を 援 用 し 、明 ら か に す る こ と を 補 足 す る 。

第 5 章 で は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 各 々 の 分 析 結 果 を も と に 、 共 通 点 と 相 違 点 を 明 確 に す る 。 ま た 、 分 析 結 果 を 参 照 し な が ら 、 日 本 語 教 育 現 場 に お い て ど の よ う な 意 味 を 先 に 導 入 す る べ き か 、 ど の よ う に 学 習 者 の 学 び に 繋 げ て い こ う と し て い る か と い う 日 本 語 教 育 と 日 本 語 学 習 へ の 提 言 を す る 。 最 後 に 、 残 さ れ た 今 後 の 課 題 を 述 べ る 。

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第 2 章 先 行 研 究

2.1 日 本 語 辞 典 に お け る 意 味 記 述

日 本 語 辞 典 は 学 習 者 が 日 本 語 を 習 得 す る 過 程 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 う も の と 思 わ れ る が 、 国 広 (1997、 2006)が 日 本 語 辞 典 に お け る 多 義 語 の 問 題 に つ い て 次 の よ う に ま と め て い る 。 1 つ 目 は 多 義 的 意 味 間 の 関 連 づ け を 行 わ な い こ と 、 2 つ 目 は 複 数 の 辞 書 の 間 に 意 味 記 述 の 配 列 は 無 原 則 の よ う に 見 え る こ と で あ る 。 こ の 2 点 に 対 し 、 多 義 語 の 記 述 を め ぐ る 問 題 を 考 え た 上 で 、 本 研 究 で は 学 習 者 の 観 点 か ら 解 決 法 の 提 案 を 試 み た い 。

ま ず 、1 つ 目 の 「多 義 的 意 味 間 の 関 連 づ け を 行 わ な い 」に 対 し て は 、 多 義 的 別 義 間 に お 互 い の 関 連 づ け が あ る と 考 え ら れ る と 、 意 味 の 拡 張 が で た ら め に 広 が っ て い く も の で は な い と 思 わ れ る 。 認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ を 用 い 、 比 喩 表 現 を 多 義 的 別 義 間 に 拡 張 さ れ る 意 味 の 関 連 づ け と し て 解 明 す る こ と が で き る と さ れ る 。荒 川 (2009:43)に よ れ ば 、 学 習 者 は 目 標 言 語 の 母 語 話 者 が 最 も 一 般 的 な 意 味 だ と 想 起 さ れ や す い 意 味 を 記 憶 し て お く こ と で 、 他 の 別 義 を こ う い う 関 連 づ け に 基 づ い て 理 解 で き る と 述 べ ら れ て い る 。 本 研 究 で は 荒 川 (前 掲 )の 言 う 最 も 一 般 的 な 意 味 だ と 想 起 さ れ や す い 意 味 を プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 と し て 解 明 す る 。

次 に 、2 つ 目 の 「複 数 の 辞 書 の 間 に 意 味 記 述 の 配 列 は 無 原 則 の よ う に 見 え る 」に つ い て で あ る が 、本 節 で は『 大 辞 泉 』『 日 本 国 語 大 辞 典 』

『 大 辞 林 』『 大 き な 活 字 の 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』『 広 辞 苑 』 の 5 冊 の 辞 典 を 用 い 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」が 持 つ 意 味 記 述 数 を 調 べ た 。 ま た 、 各 辞 典 の 編 纂 方 針 と 分 類 は そ れ ぞ れ 異 な る が 、 本 研 究 で 提 起 す る 「シ ル 」に 関 す る 7 つ の 別 義 と 「ワ カ ル 」に 関 す る 3 つ の 別 義 は 何 ら か の 形

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で 記 述 に 含 ま れ て い る 。 な お 、 次 の 2.1.1 節 と 2.1.2 節 で は 、 5 冊 の 辞 典 に よ る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 に 該 当 す る 本 研 究 で 提 起 す る 別 義 を 合 わ せ て 表 で 示 す こ と で お 互 い の 共 通 性 を 見 出 す3

た だ し 、 用 例 記 載 に つ い て は 3 つ の こ と を 言 っ て お き た い 。 1 つ 目 は 、 古 典 的 意 味 が 学 習 者 に と っ て あ ま り 広 汎 に 用 い ら れ て い な い 表 現 で あ る た め 、 本 研 究 で は 用 例 を 取 り 上 げ な い も の は 網 掛 け で 示 す 。 2 つ 目 は 、 慣 用 表 現 が 決 ま っ た 言 い 方 だ と 思 わ れ て い る た め 、 同 じ く 網 掛 け で 示 し 、 考 察 の 範 囲 に 入 れ な い 。 3 つ 目 は 、 各 意 味 記 述 の 用 例 が 2 つ 以 上 挙 げ ら れ て い る 場 合 、 1 つ だ け 示 す 。

2.1.1 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述

本 研 究 で は ま と め た 5 冊 の 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 数 の 詳 細 を 以 下 に 示 す 。

表 3 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 数

動 詞 辞 典 意 味

記 述 数

出 版 社 /年

収 録 語 数

シ ル

『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )

10(8)4 小 学 館 /1995

約 22 万 語

『 日 本 国 語 大 辞 典 』 (第 2 版 )

8(5) 小 学 館 /2001

約 50 万 語

『 大 辞 林 』 (第 3 版 )

11(7) 三 省 堂 /2006

約 24 万 語

『 大 き な 活 字 の 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )

7(7) 三 省 堂 /2008

約 8 万 語

『 広 辞 苑 』 (第 6 版 )

10(6) 岩 波 書 店 /2008

約 24 万 語 以 下 、 5 冊 の 日 本 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」の 意 味 記 述 を 示 す 。        

3 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 多 義 的 別 義 の 詳 細 は 3.2 節 と 4.2 節 を 参 照 さ れ た い 。

4 ( )内 は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 各 日 本 語 辞 典 に 載 せ ら れ て い る 意 味 記 述 に お い て 考 察 対 象 と す る も の を 内 数 で 示 す 。

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表 4 『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )に お け る 「シ ル5」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① 物 事 の 存 在 ・ 発 生 な ど を 確 か に そ う だ と 認 め る 。 認 識 す る 。 「お の れ の 非 を - ・ る 」

別 義 1 (プ ロ ト6)

② 気 付 く 。 感 じ と る 。 「- ・ ら ず に 通 り 過 ぎ る 」 別 義 5

③ 物 事 の 状 態 ・ 内 容 ・ 価 値 な ど を 理 解 す る 。 把 握 す る 。 さ と る 。 「物 の よ し あ し を - ・ っ て い る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

④ 忘 れ ず に 覚 え て い る 。 記 憶 す る 。 ま た 、 物 事 に 通 じ て い る 。 「昔 を - ・ っ て い る 人 」

別 義 6

⑤ 経 験 す る 。 体 験 し て 身 に つ け る 。 「世 の 中 の 苦 労 を - ・ ら な い 」

別 義 3

⑥ 学 ん で 、ま た 、慣 れ て 覚 え る 。「フ ラ ン ス 語 な ら 、 少 し - ・ っ て い る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

⑦ 付 き 合 い が あ る 。 知 り 合 い で あ る 。 面 識 が あ る 。

「- ・ っ て い る 人 に 会 う 」

別 義 2

⑧ (多 く 、 打 消 し や 反 語 を 伴 っ て 用 い る )そ の こ と に か か わ っ て 責 任 を 持 つ 。 関 知 す る 。 「私 の - ・ っ た こ と で は な い 」

別 義 7

⑨ (「領 る 」「治 る 」と も 書 く )㋐ 領 有 す る 。所 有 す る 。

㋑ 支 配 す る 。 治 め る 。

古 典 的 用 法

⑩ 世 話 を す る 。 古 典 的 用 法

表 5 『 日 本 国 語 大 辞 典 』 (第 2 版 )に お け る 「シ ル7」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① 物 事 の 発 生 、 存 在 、 状 態 、 内 容 、 趣 き な ど を わ き ま え る 。

別 義 1 (プ ロ ト )

② 考 え に 入 れ る 。 考 慮 す る 。 別 義 7

③ 実 際 に 行 な っ て み た り 、 見 聞 し た り す る 。 経 験 す る 。

別 義 3

④ 人 と 交 わ り 親 し む 。 面 識 が あ る 。 別 義 2

⑤ 関 知 す る 。 か か わ り あ う 。 下 に 打 消 の 語 を 伴 っ て 、 相 手 の こ と ば に 対 し て 「拒 絶 す る 、 問 題 に し な い 」と い う 気 持 を 表 わ す 場 合 が 多 い

別 義 7

⑥ あ る 範 囲 の 土 地 な ど を 治 め る 。 統 治 す る 。 古 典 的 用 法

⑦ あ る 場 所 、 土 地 な ど を 領 有 す る 。 ま た 、 品 物 や 建 物 な ど を 管 理 す る 。

古 典 的 用 法

⑧ 世 話 を す る 。 責 任 を も っ て 扱 う 。 古 典 的 用 法        

5 『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )に よ れ ば 、 「シ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 知 る ・ 領 る ・ 治 る 】 と な っ て い る 。

6 本 研 究 の 考 察 結 果 か ら 見 る と 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に よ る 多 義 的 別 義 間 に い ず れ の 別 義 1(=基 本 義 )も プ ロ ト タ イ プ 的 意 味 で あ る と 同 定 し た 上 で 、 以 下 、 「プ ロ ト 」と 略 称 す る 。

7 『 日 本 国 語 大 辞 典 』 (第 2 版 )に よ る と 、 「シ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 知 ・ 領 】 と な っ て い る 。 表 5 で は 、【 知 】 は ① ~ ⑤ に 該 当 し 、【 領 】 は ⑥ ~ ⑧ に 該 当 す る 。  

(28)

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表 6 『 大 辞 林 』 (第 3 版 )に お け る 「シ ル8」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① そ れ に つ い て の 知 識 を 有 す る 。 わ き ま え る 。

「- ・ ら な い 土 地 で - ・ っ た 人 に 会 う 」

別 義 1 (プ ロ ト )

② そ の 存 在 を 認 め て い る 。 認 識 す る 。

「事 件 の 発 生 を - ・ る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

③ そ の 内 容 ・ 意 味 な ど を 理 解 す る 。 悟 る 。 「一 を 聞 い て 十 を - ・ る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

④ 体 験 し て 覚 え る 。 「雪 を - ・ ら な い 」 別 義 6

⑤ 忘 れ ず に 覚 え て い る 。 記 憶 す る 。 「戦 前 の 東 京 を

- ・ っ て い る 人 」

別 義 6

⑥ そ れ と 感 知 す る 。 気 が つ く 。 わ か る 。

「来 る と - ・ っ て い た ら 、 家 で 待 っ て い た の に 」

別 義 5

⑦ (多 く 打 ち 消 し の 語 を 伴 っ て )か か わ り あ い を も つ 。 関 知 す る 。 「あ と は ど う な っ て も - ・ ら な い ぞ 」

別 義 7

⑧ (「… と こ ろ を 知 ら な い 」「… こ と を 知 ら な い 」な ど の 形 で )そ の 事 態 が 際 限 な く 続 く 意 を 表 す 。

「物 価 の 上 昇 は と ど ま る と こ ろ を - ・ ら な い 」

慣 用 的 用 法

⑨ 人 を 世 話 す る 。 特 に 妻 ・ 愛 人 な ど と し て 世 話 を す る 。

古 典 的 用 法

⑩ 主 人 と し て 支 配 す る 。 治 め る 。 古 典 的 用 法

⑪ 我 が 物 と し て 占 め る 。 領 有 す る 。 古 典 的 用 法 表 7 『 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )に お け る 「シ ル9」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① (そ の 事 情 や 状 況 ・ 知 識 な ど を )わ か っ て 、 自 分 の も の に す る 。 「- よ し も な く 」

別 義 1 (プ ロ ト )

② ほ ん と う の 意 味 を 理 解 す る 。 み と め る 。 認 識 す る 。 「彼 女 を 知 っ て か ら 」

別 義 1 (プ ロ ト )

③ 気 が つ く 「知 ら な い で 行 っ て し ま っ た 」 別 義 5

④ お ぼ え が あ る 。 記 憶 が あ る 。 「知 ら な い 人 (=会 っ た こ と の な い 人 )」

別 義 6

⑤ 関 係 ・ す る (し て 責 任 を 持 つ )。 「お れ の 知 っ た こ と か 」

別 義 7

⑥ 経 験 す る 。 体 得 す る 。 「恋 を - 」 別 義 3

⑦ 習 っ て お ぼ え る 「英 語 を 知 っ て い る 」 別 義 1 (プ ロ ト )

       

8 『 大 辞 林 』 (第 3 版 )に よ る と 、 「シ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 知 る ・ 領 る 】 と な っ て い る 。 表 6 で は 、【 知 る 】 は ① ~ ⑨ に 該 当 し 、【 領 る 】 は ⑩ と ⑪ に 該 当 す る 。

9 『 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )に よ れ ば 、 「シ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 知 る 】 と な っ て い る 。

 

(29)

19 

表 8 『 広 辞 苑 』 (第 6 版 )に お け る 「シ ル1 0」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① 物 事 の 内 容 を 理 解 す る 。 わ き ま え る 。 悟 る 。 「野 球 を よ く - ・ っ て い る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

② 見 分 け る 。 識 別 す る 。 別 義 4

③ あ る 事 柄 の 存 在 を 認 め る ・ 認 識 す る 。 「自 分 の 無 知 を - ・ る 」

別 義 1 (プ ロ ト )

④ あ る 事 柄 の お こ る こ と を さ と る 。 推 知 す る 。 予 見 す る 。 「う ま く 行 く と - ・ っ て い た ら あ わ て な か っ た の に 」

別 義 5

⑤ 経 験 す る 。 「酒 の 味 を - ・ る 」 別 義 3

⑥ か か わ り を 持 つ 。 関 知 す る 。 「私 の - ・ っ た 事 で は な い 」

別 義 7

⑦ (打 消 の 形 で )で き な い 、 不 可 能 の 意 。 古 典 的 用 法

⑧ (打 消 の 形 で )一 切 そ れ を し な い の 意 。 「疲 れ を

- ・ ら な い 人 」

慣 用 的 用 法

⑨ (国 な ど を )治 め る 。 君 臨 す る 。 統 治 す る 。 古 典 的 用 法

⑩ (土 地 な ど を )占 め る 。 領 有 す る 。 古 典 的 用 法

2.1.2 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述

本 研 究 で ま と め た 5 冊 の 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 数 の 詳 細 は 以 下 の 通 り で あ る 。

表 9 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 数

動 詞 辞 典 意 味

記 述 数

出 版 社 /年

収 録 語 数

ワ カ ル

『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )

4(3) 小 学 館 /1995

約 22 万 語

『 日 本 国 語 大 辞 典 』 (第 2 版 )

4(3) 小 学 館 /2001

約 50 万 語

『 大 辞 林 』 (第 3 版 )

4(3) 三 省 堂 /2006

約 24 万 語

『 大 き な 活 字 の 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )

3(3) 三 省 堂 /2008

約 8 万 語

『 広 辞 苑 』 (第 6 版 )

4(3) 岩 波 書 店 /2008

約 24 万 語

       

1 0 『 広 辞 苑 』 (第 6 版 )に よ れ ば 、 「シ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 知 る ・ 領 る 】 と な っ て い る 。表 8 で は【 知 る 】は ① ~ ⑧ に 該 当 し 、【 領 る・知 る 】は ⑨ と ⑩ に 該 当 す る 。

(30)

20 

5 冊 の 日 本 語 辞 典 に お け る 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 を 以 下 に 示 す 。

表 10 『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )に お け る 「ワ カ ル1 1」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① 意 味 や 区 別 な ど が は っ き り す る 。 理 解 す る 。 了 解 す る 。 「訳 が - ・ ら な い 」

別 義 1 (プ ロ ト )

② 事 実 な ど が は っ き り す る 。 判 明 す る 。 「身 元 が

- ・ る 」

別 義 2

③ 物 わ か り が よ く 、人 情・世 情 に 通 じ る 。「話 の - ・ る 人 」

別 義 3

④ 一 つ の も の が 別 々 に な る 。 わ か れ る 。 古 典 的 用 法

表 11 『 日 本 国 語 大 辞 典 』 (第 2 版 )に お け る 「ワ カ ル1 2」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① (分 )一 つ の も の が 別 々 に な る 。 ま た 、 区 分 さ れ る 。 わ か れ る 。

古 典 的 用 法

② 物 事 の 意 味 、 内 容 、 事 情 、 区 別 な ど が 了 解 さ れ る 。

別 義 1 (プ ロ ト )

③ 立 場 、 気 持 、 事 情 な ど を 察 し て さ ば け た 気 持 を 持 つ 。 物 わ か り よ く 世 情 に 通 じ る 。

別 義 3

④ 事 実 な ど が は っ き り す る 。 判 明 す る 。 知 れ る 。 別 義 2

表 12 『 大 辞 林 』 (第 3 版 )に お け る 「ワ カ ル1 3」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① 物 事 の 意 味 ・ 価 値 な ど が 理 解 で き る 。 「音 楽 が

- ・ ら な い 人 」

別 義 1 (プ ロ ト )

② は っ き り し な か っ た 物 事 が 明 ら か に な る 。 知 れ る 。 「真 犯 人 が - ・ る 」

別 義 2

③ 相 手 の 事 情 な ど に 理 解・同 情 を 示 す 。「-・っ た 、 な ん と か し よ う 」

別 義 3

④ 離 れ る 。 分 か れ る 。 古 典 的 用 法

       

1 1 『 大 辞 泉 』 (第 1 版 )に よ れ ば 、 「ワ カ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 分 (か )る ・ ▽ 解 る ・

▽ 判 る 】 と な っ て い る 。

1 2 『 日 本 国 語 大 辞 典 』(第 2 版 )に よ る と 、「ワ カ ル 」の 表 記 漢 字 は【 分・別・解 ・ 判 】 と な っ て い る 。

1 3 『 大 辞 林 』 (第 3 版 )に よ る と 、 「ワ カ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 分 か る ・ ▽ 解 る ・ ▽ 判 る 】 と な っ て い る 。

 

(31)

21 

表 13『 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )に お け る 「ワ カ ル1 4」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① は っ き り し て い な か っ た も の が は っ き り す る 。 知 れ る 。 「答 え が - 」

別 義 2

② 気 持 ち や 事 情 を の み こ む 。「ぼ く の 気 持 ち を 分 か っ て く れ よ 」

別 義 3

③ じ ゅ う ぶ ん に 理 解 す る こ と が で き る 。「文 学 の - 人 」

別 義 1 (プ ロ ト )

表 14 『 広 辞 苑 』 (第 6 版 )に お け る 「ワ カ ル1 5」の 意 味 記 述

番 号 意 味 記 述 該 当 別 義

① き っ ぱ り と 離 れ る 。 別 々 に な る 。 古 典 的 用 法

② 事 の 筋 道 が は っ き り す る 。 了 解 さ れ る 。 合 点 が ゆ く 。 理 解 で き る 。 「よ そ の 言 葉 が - ・ ら な い 」

別 義 1 (プ ロ ト )

③ 明 ら か に す る 。判 明 す る 。「試 験 の 結 果 が -・る 」 別 義 2

④ 世 情 に 通 じ て 頑 固 な こ と を 言 わ な い 。 「話 の - ・ っ た 人 だ 」

別 義 3

2.2 類 義 語 辞 典 に お け る 意 味 記 述

意 味 が よ く 似 て い る 単 語 の ニ ュ ア ン ス の 相 違 の 説 明 を 目 指 し た 類 義 語 辞 典 に お い て も 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 相 違 の 起 因 を 明 ら か に し た と は 言 え な い 。

本 研 究 で は 、 ま ず 『 類 義 語 使 い 分 け 辞 典 』 (1998:725-728)と 『 類 語 大 辞 典 』(2004:254、271)、2 冊 の 類 義 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 記 述 を ま と め 、 そ れ ぞ れ の 問 題 点 を 検 討 し て み る 。

以 下 、『 類 義 語 使 い 分 け 辞 典 』(前 掲 )に お け る 記 述 を ま と た 一 部 を 取 り 上 げ る 。

       

1 4 『 三 省 堂 日 本 語 辞 典 』 (第 6 版 )に よ る と 、 「ワ カ ル 」の 表 記 漢 字 は 【 分 か る ・

▽ 判 る ・ ▽ 解 る 】 と な っ て い る 。

1 5 『 広 辞 苑 』(第 6 版 )に よ れ ば 、「ワ カ ル 」の 表 記 漢 字 は【 分 か る・別 る・判 る ・ 解 る 】 と な っ て い る 。  

(32)

22 

知 る : 情 報 ・ 経 験 ・ 学 習 を 通 し て 、新 し い 経 験 ・ 価 値 を 自 分 の も の に す る /他 動 詞 /動 作 動 詞 /外 面 的 な 内 容

分 か る : 心 に あ っ た 何 か の 実 態・実 情 が 、あ る 方 法 を 通 し て 明 ら か に な る /自 動 詞 /状 態 動 詞 /内 面 的 な 内 容

『 類 義 語 使 い 分 け 辞 典 』(1998:725-728)に お い て 、「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 的 性 質 は 示 さ れ て い る が 、 ど の よ う な 文 脈 に 使 わ れ る か 、 と い う 点 は 明 ら か で は な い 。

次 に 、『 類 語 大 辞 典 』 (2004:254、 271)に お い て は 、 2 語 の 意 味 が 以 下 の よ う に 記 述 さ れ て い る 。

知 る : 何 か を し た り 、見 聞 き し た り し て 、そ の 物 事 を 思 考・判 断 の 対 象 と し て 意 識 で き る よ う に な る 。 「テ レ ビ の ニ ュ ー ス で 事 故 を 知 っ た 」「そ の こ と な ら と っ く に 知 っ て い る 」「虫 の 音 に 秋 を ~ 」「彼 の こ と は よ く 知 っ て い る 」(中 略 )

◆ 「識 る 」と も 書 く

分 か る : ① あ る 物 事 に つ い て 、 そ れ ま で は っ き り し な か っ た こ と が 、 (頭 の 中 で )は っ き り す る 。 「事 件 の 真 相 が ~ 」

「採 点 の 結 果 が ~ 」

② 物 事 の 意 味 ・ 内 容 ・ 価 値 な ど を 正 し く 知 り 、 そ れ を 受 け 入 れ た り 利 用 し た り す る こ と が で き る 。「本 物 の 味 が ~ 」「し ゃ れ の わ か ら な い 女 」「話 せ ば ~ は ず だ 」

「英 語 が ~ 」

◆ 「解 る 」「判 る 」と も 書 く

(33)

23 

以 上 の こ と か ら 見 る と 、 い ず れ の 類 義 語 辞 典 に お い て も 「シ ル 」と

「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 は 類 似 し 、 そ れ ぞ れ の 関 連 づ け が 明 確 に さ れ て い な い 。

1 つ 目 は 、2 冊 の 類 義 語 辞 典 に お け る 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 記 述 を 踏 ま え 、 「シ ル 」は 動 作 主 体 に と っ て こ れ ま で 意 識 さ れ て い な い こ と が 初 め て 頭 に 入 る の に 対 し て 、 「ワ カ ル 」は す で に 頭 に 入 り 込 ん で い る こ と を も っ と 明 ら か に す る こ と で あ る と ま と め ら れ る こ と に な る 。 し か し 、 字 面 に 現 れ る 情 報 が 与 え ら れ る と し て も 、 こ れ ら の 辞 典 を 利 用 す る 学 習 者 が 果 た し て 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」に 関 す る 使 い 明 け を 理 解 す る の か は 疑 問 で あ る 。 繰 り 返 し に な る が 、 本 研 究 の 目 的 の 1 つ は 「認 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ を も と に し 、『 シ ル 』 と 『 ワ カ ル 』 の 各 多 義 的 別 義 間 の 関 連 づ け を 解 明 す る 」で あ る た め 、こ の 問 題 点 は 解 決 さ れ る と 考 え て い る 。

2 つ 目 は 、 い ず れ の 辞 典 に お い て も 共 起 名 詞 に 関 し て 言 及 し て い な い こ と が ほ と ん ど で あ る 。 共 起 名 詞 は 本 研 究 に お い て の 位 置 づ け は 後 に 説 明 す る の で 、 こ こ で は 割 愛 す る 。

2.3 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 分 析 に 関 す る 先 行 研 究

先 行 研 究 を 検 証 す る 前 に 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」が 動 詞 に お け る 位 置 づ け に つ い て 説 明 し た い 。 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」は 「思 考 動 詞 」と さ れ て い る が 、 そ の 定 義 は 研 究 者 に よ っ て 異 な る た め 、 本 研 究 で は 工 藤 (1995:70、 76、 78)に よ る 定 義 に 従 う 。 工 藤 (前 掲 )に よ れ ば 、 「思 考 動 詞 」と は 「思 う ・ 考 え る ・ 信 じ る ・ 分 か る 」、 ま た 「疑 う ・ 望 む ・ 願 う 」な ど 、 ヒ ト の 内 的 な 思 考 や 心 の 状 態 を 表 す 動 詞 で あ る と す る 。 ま ず 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」を 認 知 意 味 論 的 な 観 点 か ら 論 じ る こ と で

(34)

24 

あ る 高 橋 (2003)。 高 橋 (前 掲 )は 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 拡 張 に 対 す る 認 知 的 考 察 を 行 っ た が 、 す べ て の 多 義 的 意 味 が 網 羅 さ れ て い る わ け で は な い 。

森 田 (2005)で は 、 外 国 人 留 学 生 が 書 い た 作 文 の 調 査 ・ 分 析 を 通 じ て 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 意 味 的 振 る 舞 い を 特 徴 づ け る 特 性 は ど の よ う な も の で あ る か を 示 し た 。 し か し 、 外 国 人 学 習 者 が 日 本 語 の 学 習 過 程 で 産 出 さ れ る 誤 用 を ま と め た 1 冊 の 本 か ら 抽 出 さ れ た 内 容 の 一 部 に す ぎ な い 。 森 田 (前 掲 )が 指 摘 し た 問 題 提 起 に つ い て 本 研 究 に 参 考 と な る と こ ろ が 多 い が 、 そ の 内 容 を 厳 密 な 理 論 か ら 十 分 に 分 析 し た も の と は 言 え な い 。

ま た 、 葦 原 (2010)は 実 際 の 談 話 デ ー タ に 基 づ い て 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 使 い 分 け を 明 ら か に す る だ け で は な く 、2 語 に 関 わ る 意 味 領 域 の 分 類 に つ い て も 検 討 し た 。 葦 原 (前 掲 )は 従 来 と は 異 な っ た 考 え 方 と さ れ る 談 話 分 析 の 観 点 か ら 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 解 明 を 試 み た が 、 ま だ ま だ 検 討 の 余 地 が あ る と 考 え て い る 。

次 に 、 高 橋 (2003)、 森 田 (2005)と 葦 原 (2010)に つ い て 概 観 す る 。

2.3.1 高 橋 圭 介 (2003)の 説

高 橋 (2003)で は 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 多 義 構 造 を 明 ら か に し 、 コ ー パ ス か ら 抽 出 し た デ ー タ に よ り 、 2 語 の 意 味 的 な 共 通 点 と 相 違 点 を 分 析 し た 。 詳 し く 見 れ ば 、 「シ ル 」と 「ワ カ ル 」の 補 語 の 違 い と 意 味 特 性 を 比 較 す る こ と で 共 通 点 と 相 違 点 を 解 明 す る だ け で は な く 、 2 語 を 多 義 語 と し て 扱 っ て お り 、 比 喩 的 意 味 拡 張 に 基 づ い て 考 察 す る こ と も あ っ た 。 ま た 、 実 例 を 示 し な が ら 、 個 々 の 別 義 間 の 関 連 性 を 見 い だ し 、 一 般 化 を 行 う こ と に つ い て は 高 く 評 価 さ れ る と 考 え ら れ

參考文獻

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