第四章 「わ」の用法・意味分析
4.3 インフォーマル場面における「わ」
インフォーマル場面における「わ」はセリフの半分以上に至 っている。その結果によると「わ」はやはりインフォーマル場 面でより多く使われていると見られる。そして「わ」の使用も 多様である。主張度が強い用法と主張度が弱い用法両方の出現 頻度も頻繁である。
また前の節と同じように「わ」は主張度の強い用法が多いと いう現象から、それはやはり主観だと明らかになった。その結 果をみると「わ」の使用は全般的に軽く呼びかけるか会話に和 らげるイメージを与えるという叙述に当てはまらないと判断で きる。
この節では第三章の場面によって家族との相談、友達や知り 合いとの相談、社長と秘書の私的な会話という順序に各「わ」
が使用される場面を主張度が強い用法や主張度が弱い用法の分 類に従って分析を行う。
4.3.1 家族との談話
家族との談話における「わ」の使用は以下のように示す。
1-14 場面説明:廉がオリンピックを目指す目標をやめたいと いうことを悠里に伝える。
1Y わかったわ、廉。あなたの好きにしなさい。私はあな た達に厳しくしてきたわ。
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この場面によると悠里は廉がオリンピックをやめる気持ちが 分かった。そこで「わ」の使用は情報の確認をしながら、相手 に提示する用法であり、主張度が弱い用法に属している。次の 文では悠里が廉に厳しすぎるという判断で主張度が強い用法の
「わ」を使用した。
2-6 場面説明:悠里と別居しているご主人との談話である。
1S 2Y
苦しんだ先にしか、自由はない。
雨に耐えなければ、虹は見れないわ。
それは悠里自分の考えで主張度が強い用法である。二人は廉 がオリンピックをやめたことについてやはり先に苦しんで限界 を越えることは本当の自由になれると悠里が主張している。
3-10 場面説明:悠里と悠里のご主人が晶のことを相談してい る。
1Y とにかく静観するしかないわ。今のとこ。
悠里は晶の恋愛相手がある目的を持っているという疑いでま ず静観するという自分の考えを示している。それは悠里の直観 を示す「わ」であり、主張度が強い用法に分類した。
3-14 場面説明:その夜、悠里が食事の準備をしていると、晶 は出かけようとする。そこで悠里は、カメラマンを変えること にした、と晶に告げた。
1Y カメラマンを代えるわ。(中略)あなたが彼と仕事上だ けじゃなくて、頻繁にあってることは知っているわ。
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悠里はカメラマンが信用できないため、カメラマンを変更す ると晶に伝えた。一つ目の「わ」は特に意味がないが、話者こ れからの動作を示すと見られる。それで本章の分類によると主 張度が弱い用法である。二つ目の「わ」では発話者がすでにあ る事実を知っていると相手に示すという機能である。この文で は悠里がすでに晶とカメラマンと交際していることを知ってい ると晶に示す。それは知的内容であり、主張度が弱い用法であ る。
4-3 場面説明:家で丈治、洸と悠里が食事している。そして洸 が情報を友達に聞こうとすると悠里は洸を止めた。
1Y 洸。気持ちは嬉しいけどこんなことに。あなたの物語を 使うものじゃないわ。
洸は晶の恋愛相手の情報を昔の知り合いから聞き出そうとし ていると悠里は彼が事件に巻き込まらないように彼を止めた。
それは悠里が自分の経験や認識によって判断したのである。そ こで使用した「わ」は主張度が強い用法である。
4-5 場面説明:早乙女家の庭に悠里、朋、洸が集まっている。
1Y ・・・彼女を解雇すべきかどうか・・・スタッフの士 気の問題、企業のイメージがあるわ。だけど・・それ とは別に、私には、彼女への個人的な思いがあるの。
この場面は悠里が会社の人事について悩んでいるところであ る。解雇しないとほかの社員の気持ちを考えないといけない。
それに企業のイメージにも関わっているといろいろな考慮を入 れなければならない。そこで自分の考えを示すため主張度が強 い「わ」を使用した。
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前半では悠里が自分の認識によるとDNA鑑定には高熱処理 で処理できないと判断している。後半ではDNA鑑定を要求し ている宇津木はもし自分の甥だったら、歓迎していると悠里が 考えている。この場面における「わ」の使用は自分の判断や自 分の考えにしても主張度が強い用法に属している。
5-8 場面説明:悠里が実家に呼ばれた。父親と話している。
1Y 2Y
3J
そんなもの見たこともないわ。(中略)
何を言っているの?そんなこと知るはずないし、第 一、兄さんは、自殺じゃない!理由がないわ!(中略)
兄さんが負けるはずがない!第一、兄さんはそんな弱 気な発想はしないわ!
彼らの領域ではある。・・・未来が見える。
悠里は父親から修一さんが自殺したという事実が受け取れな いと自分の考えを強く示した。そこで使われる「わ」は主張度 が強い用法である。前章で悠里が父親を尊敬しているためあま り自分の判断や考えを強く示さないと述べているが、この場面 における「わ」の使用は自分なりの主観的な表現で特に修一の ことは悠里が力強く主張することが見られる。なおここの「わ」
では「女性らしい」和らげるイメージとは違って力強く自分の 考えを示すと考えられる。
5-13 場面説明:聖子は悠里と会うために化粧し、ドレスアッ プして出かけようとすると息子さんにあった。息子さんは聖子 の外出に不満があって彼女を殴った。
1I 違うわそんなんじゃないわ!
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聖子は出かけようとしていると息子から暴力を振るわれた。
そこで使われている「わ」は知的内容であり、事実を述べてい るだけで主張度が弱い用法である。
5-14 場面説明:悠里はプールに帰り、洸と会った。
1K 2Y 3K
修一おじさんの自殺・・母さんは知っていたんです か?
・・・知ってたはずないでしょう。私もショックを受 けたわ。
母さん・・
この場面における「わ」の使用はセリフの内容を見ると過去 の事実ではないと分かった。それで嘘をついたのは話者自分の 考えであるが、事実を知らない洸にとっては事実を言っている と考えられる。その一つの「わ」にも聞き手と話し手の別で主 張度が強い用法と主張度が弱い用法という二つの側面を持って いる。
8-1-1 場面説明:リカと悠里は美術館で話している。そして 一人の女性がやってきた。
1Z 2Y
お花、どうもありがとう。
いいえ。紹介するわ。パリで活躍していらっしゃる、
画家の笠原先生。
この場面では典型的なあいさつの場面である。2Y の「わ」の 使用はこれからの動作を示すという機能であり、これからの話 を展開していくと示すことで主張度が弱い用法である。
8-1-2 場面説明:リカと悠里は美術館で話している。そして
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6K 7S 8G 9S
言ったじゃないか!ランチを取っている時に!
おい、よさないか。
私言ってません、そんなこと!第一、二人でランチな んかしてないわ。
とぼけるのはよせ!!
この場面における二つの「わ」は同じく自分の考えに分類し た。もともとは自分の判断だと分類したが、この文は前の談話 の内容から見ると彼女が実は嘘をついていることで、自分の考 えだと考えられる。明らかに主張度が強い用法に属しているの である。
8-10 場面説明:神代姉妹(G.L)が話している。
1G あんな話真に受けて、本当に怪我しちゃうなんてびっ くり。危うく私が悪者にされちゃうところだったわ ー。あの人ノイローゼよ。いくら早乙女の王子様でも、
あれじゃご免だわ。
神代姉妹は洸のことについて話している。ここで使われてい る「わ」は二つとも主張度が強い用法である。一つ目の「わ」
は発話者自分の考えである。そこで洸が事故の後、神代のお姉 さんを責めているような言葉遣いで自分が悪者に扱われている と思っている。二つ目の「わ」は発話者自分の判断で洸に失望 したという気持ちを示す。以上を踏まえ、この場面における「わ」
の使用は主張度の強い用法である。
8-13 場面説明:晶が悠里にタトゥーを見せた。
1Y ・・・晶。あなたはもう、エントリーさえ出来ないわ。
オリンピックの夢は、もう終わったわ。そんなもの、
ファッションでも何でもないわ。
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悠里は晶の行為がもうエントリーができないと判断した。そ れで金メダルを取るチャンスがなくなってもう終わったという 判断である。この場面によると発話者はある決まっている事実 に基づいて判断したのである。また最後に晶のタトゥーはどう にもならないものだと悠里が自分の考えである。以上を踏まえ、
この場面で使われる「わ」は主張度が強い用法である。
この場面で使われる「わ」は主張度が強い用法である。