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2.3 CIM モデルに利用するための測量方法

2.3.9 マルチビーム測深

近年の測量関連技術の飛躍的な発展のひとつとして、水底地形を 3 次元で計測できるマルチビーム音 響測深がある。これにより、海岸、港湾、河川、ダム貯水池等の詳細な地形を把握する深浅測量が可能と なっており、海岸保全、港湾維持管理、河床変動、ダム堆砂、施工管理、水産といった幅広い分野での計 画・検討やモニタリングに利用されている。

【解説】

水中地形計測技術は、古くは目盛付の索に重りをつけた測定器(レッド索)を船から垂らし水深を 読み取る基本的な方法であった。

20 世紀後半からは超音波を水底に向けて発信し、その反射時間から水深を計算する音響測深機(シ ングルビーム音響測深)が一般的となった。これは、測深点としては船舶直下の 1 点のみであるが、

船舶が進行することで航跡直下の連続的な水深計測が行えるようになったものである。測定に当たっ ては、水温や塩分濃度による音速度補正、潮汐の干満による潮位補正等が必要となる。

近年は、超音波技術を発展的に利用したマルチビーム音響測深機が広く普及している。これは、超 音波を扇状に発信し、1 回の音波発信で船舶の直下・左右で数百点の水深データが得られるもので、

音波を発信しながら船舶が進行することで、航行した範囲の水底地形が面的に取得される機器となっ ている。測定に当たっては、音速度補正、潮位補正に加えて、計測時の船舶動揺・方位の補正、機器 の取り付け位置・角度の補正等が必要となる。なお、マルチビームソナーに加えて、これらの補正デ ータを取得する周辺機器類(GNSS、動揺・方位センサー、音速度計測装置、収録 PC 等)を含めた 総称として「マルチビーム測深システム」という。

図 53 マルチビーム音響測深とシングルビーム音響測深

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第1 編 64 4)使用例

a)海岸域での活用

海浜の侵食に伴う侵食対策事業等において、基本計画の検討や施設効果モニタリングのため詳 細な海浜地形変動の把握に活用している。また、陸上海浜部について航空レーザ計測を実施し、

シームレスな水陸一体の地形データを構築することで海岸保全事業等の評価に活用されている。

b)港湾・漁港域での活用

航路埋没状況の把握、岸壁・防波堤等の水中基礎部の現況把握を行うため、3 次元データを取 得し計画断面等との比較により評価が行なわれている。この結果を用いて港湾施設の維持管理計 画作成等、港湾アセットマネジメントに活用されている。

また、港湾施設工事やパイプラインの敷設において、マルチビーム測深データによる施工管理 へも広く活用されている。

c)河川域での活用

橋脚・護岸周辺の局所的な河床洗掘状況調査において、マルチビーム測深による3 次元的な状 況把握に活用されている。

河川の流下能力検討等の広域の詳細データが必要な検討においては、河川のように浅く延長が 長い範囲をマルチビーム測深でデータ取得することは効率的でないため、今後の航空レーザ測深

(ALB:Airborne Laser Bathymetry)の普及が期待されるところである。

d)ダム貯水池での活用

近年、貯水池における正確な貯水容量及び堆砂量の把握にマルチビーム測深が利用されるダム が増加している。貯水池内を主に1m 格子で地形モデルとして構築することから、正確な貯水容 量による適切な水位運用や堆砂が著しい貯水池における堆砂対策検討のための基礎資料として、

また設計段階における詳細現況地盤データとしての活用が期待される。

5)今後の取り組み

マルチビーム測深技術は、現在、小型化(無人化)、自動化の取り組みが行われており、これらの 技術の進展とi-Construction 等の施策との融合により、現地作業の省力化、効率化、安全の確保と いった効果が期待される。

また、近い将来は、現在、技術開発が進行中の航空レーザ測深との併用により、マルチビーム測 深が不得手とする浅所部は航空レーザ測深を実施し、航空レーザーでの計測が困難な深所部はマル チビーム測深を実施するというそれぞれの特徴を生かした計測により、効率化、省力化及び一層の 安全の確保が図られることが期待される。

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