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アジア太平洋国際関係の新段階と地域統合の新機軸を求めて 亞太國際關係的新階段與尋求區域整合的新機軸

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アジア太平洋国際関係の新段階と

地域統合の新機軸を求めて

児 慧

(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)

【要約】

21 世 紀 の ア ジ ア 太 平 洋 の 国 際 関 係 は 新 し い 段 階 に 入 っ た と 考 え る。その構造の特徴は、第 1 に国家システムと脱国家の価値・役割 ・ 機能が並存 し、影響し 合う状況が 続き、同時 に国家は依 然強い が 様々なレベルでの脱国家の制度化を強める方向で進展している、第2 に グロ ーリバ リゼ―ションが実は環境問題、感染症など地域的な現 象 を強 め、逆 説的 だが地 域化 (リー ジョ ナライ ゼ―ション)を生み 出している、そして第 3 は「中国の急激な台頭」である。これらはデ フ ァクトとし て深まって いるアジア の地域統合 の無視でき ない構 成 要因 になりうる が、それだ けでは「歪ん だ地域統合 」の可能性を 高 め る 。そこで明 確な目標、 戦略、それ に基づいた 実践方法、 人材育 成 構想などが必要になってくる。GIARI1モデルはその試みである。

キーワード:N-TN システム(Nation-Trans Nation System)、人間の 安全保障、非伝統的安全保障、GIARI モデル

1 文部科学省大型研究助成・早稲田大学グローバル COE プログラム-アジア地域統合

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一 はじめに―アジア太平洋の国際構造認識

21 世 紀 に 入 っ た ア ジ ア 太 平 洋 地 域 の 国 際 情 勢 を ど う 理 解 す べ き か。3 つの特徴が突出している。第 1 は、国際システムの枠組みその ものの変化である。第 2 は、やや逆説的な表現ではあるがグローバ リゼーションのリージョナル化である。そして第 3 は、言うまでも な く中国の急 激な台頭と それに伴う 経済、安全 保障、ひい ては総 合 的なパワーバランスの変化である。 まず第1 の特徴から見ていこう。国際システムは 20 世紀において 冷戦体制、覇権主義体制など様々な言葉が用いられてきた。1990 年 初 頭に冷戦体 制は崩壊し たが、今日 に至るまで もっとも長 く生き 続 け ている国際 システムの 表現は、ウ エストファ リア・シス テム= 国 民国家体制である。それは戦乱の続くヨーロッパにおいて30 年戦争 が終わった1648 年、領土などを固定化し国家を国際社会の主体とし 安定した国際秩序を実現しようとしたものであった。 そ の後ヨ ーロ ッパ勢 力の 世界的 な台 頭とと もに 、この シス テムも 世 界に拡大し ていった。 この国民国 家体制は、 言い換える なら国 際 社 会における 最高意思決 定の主体を 国家と見な し、内政不 干渉な ど を 取り決め国 家間の約束 事によって 国際秩序を 形成しよう とする 国 民国家体制(Nation-State System)である。周知のように今日でも「国 民 国家体制」 は依然否定 されてはお らず、厳然 と主要なア クター の 地位を保持している。 し かし他 方で 近年、 経済 ・情報 を軸 としな がら あらゆ る分 野で相 互 協力・依存 、相互作用 が進展して いるために 、従来は国 家主権 の 範 疇に属して いた概念が 次々と侵食 されるよう になってい る。例 え ば 経済分野で の多国籍企 業、直接投 資、貿易自 由化、金融 協力な ど は 従来の国民 経済の概念 、経済の国 益観を突き 破り、重層 的な共 益

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構 造を生みだ している。 もっとも、 そのことに よって即、 国民国 家 体 制が徐々に 溶解し、逆 に脱国家の 流れが強ま りながら国 際シス テ ム は〈国家〉 から〈脱国 家〉体制へ 移行してい るというわ けでは な い。 そこで21 世紀国際社会の枠組みを特徴づけるとするなら、第 1 に 国 家システム と脱国家の 価値・役割 ・機能が並 存し影響し 合う状 況 が続くということ、第 2 に様々なレベルにおいて顕在化している脱 国 家の動きが 単に現象と して見られ るというだ けではなく 、制度 化 を強める方向で進展しているということ、少なくともこの 2 点を指 摘できるであろう。筆者はこれを国民国家(NS)システムにかわる 〈N-TN システム〉(Nation-Trans Nation System)と表現しておくこ とにする。〈N-TN システム〉が大きな流れになりつつある今日、政 治 的 な 主 権 論 以 外 の 領 域 で の 協 力 ・ 依 存 関 係 を 軽 視 し て は な ら な い 。脱国家の 論理と実践 を国家の論 理と実践に 一方的に従 属させ て はならない。しかし〈N-TN システム〉への転換にも関わらず NT の 部分の制度 化が進んで いないため に、緊迫し た事態にな ると国 家 主権の論理がすべてに優先されるのである。2010 年 9~10 月の尖閣 諸 島問題をめ ぐる日中間 の経済・文 化交流の中 断はその典 型例で あ ろう2 第 2 の特徴は、グローリバリゼーションが実は地域的な現象を強 め 、逆説的だ が地域化( リージョナ ライゼーシ ョン)を生 み出し て い るというこ とである。 グローバリ ゼーション の波は、ポ スト冷 戦 の もっとも特 徴的な潮流 で、市場化 、自由貿易 、ときには 民主化 が

2 「尖閣諸島近海中国漁船拿捕事件」に関する筆者の分析は、『公研』No.568(2010 年

12 月号)特集対談;『NIHU 現代中国拠点 News Letter』No6(2010 年 12 月)巻頭言、

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グ ローバルに 進行し、モ ノ・人・資 金・情報が 劇的に移動 するト ラ ンスナショナル(Transnational)な現象が生まれた。しかし、グロー バリゼーションは同時に、経済貧富の拡大、環境汚染、HIV や鳥ウ ィ ルスなどの 感染症など の問題を深 刻化させて きた。しか もそれ が グ ローバルに ではなく地 域的に重大 な問題とな っているの である 。 そ れ故に今日 では、こう した問題へ の取り組み が世界規模 におい て だ けでなく、 地域協力・ 地域統合な ど地域的課 題・協力と して問 わ れるようになっているのである。 戦 後 の 日 本 は 、 通 産 省 ・ 大 蔵 省 な ど 政 府 主 導 で 日 本 経 済 を 動 か し 、日本の様 々な企業を 保護し国際 レベルまで 育成してき た。国 家 指 導下の国民 経済は戦後 最も典型的 な概念であ った。戦前 は更に 植 民 地という国 民経済を外 に広げて国 民経済を守 るという行 動があ っ た。ところが1990 年代頃から、経済の自由化を推進する力が急速に 増 大し、関税 障壁の撤廃 、規制緩和 の動きが強 まった。い わゆる グ ロ ーバリゼー ションの流 れである。 拡大する多 国籍企業の 利益は 国 民 経済という 概念を超え て関係する 各国企業間 で利益を共 有する よ うになってきた。 し かし、それ は一気に 「世 界化」という わけにはい かず、アジ アへ の企業進出、アジアを軸としたODA 拠出など、アジアにおける地域 協 力を拡大し 、域内の貿 易・投資あ るいは金融 などの協力 ・連携 を 推 し進めた。 東南アジア に散在して いる華僑資 本、あるい は韓国 資 本などの動きも基本的には同様である。今日ではこうした1990 年代 以来の動きをベースにして、中国・日本・韓国の各国とASEAN との FTA、あるいは中国・台湾間の事実上の FTA(自由貿易協定)であ るECFA(両岸経済協力枠組み協議)といった経済統合の制度化が進 みつつある。が、依然としてその動きは遅々としたものである。 あ るいは 今日 のアジ アに おいて も環 境の悪 化、 感染症 の拡 散、頻

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発 す る 大 規 模 な 自 然 災 害 、 ア ジ ア 全 体 に 広 が る 貧 富 の 格 差 と い っ た、 いわゆる「 人間の安全 保障」、「 非伝統的安全保 障」といわ れ る グローバルな諸問題が起きている。2001 年、緒方貞子氏を提唱者の 一人 として「人間 の安全保障 委員会」が立 ちあげられ 、日本政府 も 国 家を超えた人間の安全保障に積極的である3。しかし具体的な行動と し て は 、 ア フ ガ ニ ス タ ン を 含 め た ア ジ ア 地 域 に 限 定 し た も の が 多 い。中国は、環境問題、酸性雨の問題、CO2 及び SOx(硫黄酸化物) 排 出問題、河 川などの水 質汚染ある いは廃棄物 の問題等で 極めて 深 刻 な事態に直 面している 。これらの 問題はもち ろん中国だ けでは な く 、おそらく これら越境 性を持つ非 伝統的安全 保障の課題 は、グ ロ ー バルという には範囲が 広すぎてお り、やはり アジア地域 の問題 と し て 取 り 組 む こ と で よ り 大 き な 効 果 を 生 み 出 す こ と が で き る だ ろ う。

二 デファクトとして進む「越境的」地域協力・統合

第 1、第 2 の特徴で注目すべきは、アジアにおいてさまざまな協力 や統 合現象が 「デファクト 」として進んで いるという ことである 。 キ ー ワ ー ド は 「デ フ ァ ク ト 」で あ る 。 も う 少 し 具 体 的 に 見 て お く な ら ば、(1) デファクトとして進むトランスナショナル現象が見られる。 例 えば、多国 籍企業の拡 大は多国籍 利益を生み 出す。国際 結婚の 増 大、長期国外移住者の増大などによる国民意識(National Identity) の 変化、文化 ・情報の流 動(漫画、 アニメ、エ ンターテイ メント な ど大 衆文化が顕 著)も、従 来の各国内 での大衆文 化の様相を 「越境 」 と いう流れに よって大き く変えてい る。もちろ ん、前にも 述べた よ

3 これに関しては、外務省ホームページ「人間の安全保障委員会」http://www.mofa.go.jp/ mofaj/gaiko/hs/ah_iinkai.html を参照。

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う に、国境や 国家主権を めぐる各国 の主張は依 然として極 めてリ ジ ッ ドなもので 、決して脱 国家、脱国 境の流れが 主流になっ ている わ け ではない。 しかし、こ のように経 済・社会・ 文化レベル での共 同 活 動による利 益共有、そ れを保証す る地域協力 ・相互依存 の構造 が で きるように なってきて 、国境の壁 が実質的に は従来に比 べて低 く なってきていることも同時に否定することはできないのである。 (2) よく言われるように デファクトとして進む地域統合が顕著で あ る。最もグ ローバルな 方式として は関税障壁 をなくした 自由貿 易 の推進、すなわちWTO(世界貿易機関)の理念がある。しかし現実 に は短期間で このような 状況をつく ることは困 難である。 そこで で き るところか ら実現とい う流れが生 まれ、それ によって地 域、国 家 間の独自なやり方としてのFTA 方式が広がっている。しかしその背 景 には、すで に域内の貿 易や直接投 資、技術移 転などいわ ば地域 統 合 に向かうよ うなさまざ まな協力・ 相互依存の 進展があっ たので あ る。そうした現実を踏まえながら今日、2 国間 FTA、EPA(経済連携 協定)、ECFA、部分的な地域 FTA などが進展するようになっている のである。 (3) グローバリゼーションに伴う「負の社会現象」の越境化現象の 広が りは、「デフ ァクトとし て各専門分 野協力ネッ トワーク 」の構 築 を導 いている。 具体的には 、CO2 排出 、酸性雨な どの大気汚 染、廃 棄物・廃水汚染などの環境汚染の越境性、SARS、HIV、鳥インフル エ ンザなど感 染症の越境 性、貧富の 格差の深刻 化などがあ るが、 す でにこれらの課題に対して、アジア各国では専門家グループ、NGO な どが国を超 えてそれぞ れ様々なネ ットワーク を構築し、 問題解 決 のための協力関係を築くようになってきている4。

4 これに関しては、天児慧編著『アジアの非伝統的安全保障』(勁草書房、2011 年)、

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さらに、(4) 日常生活の越境性によって、デファクトとしての単一 アイデンティティの溶解が進んでいる。例えば、ヒト、モノ、文化、 情 報の急激な 流動化、越 境性から、 経済・社会 ・文化レベ ルでの 国 を 超えた人々 の共同活動 が生まれ、 利益を共有 し、それを 保障す る 地 域協力、相 互依存の構 造が出来て きている。 また、増え る国際 結 婚・長期国外移住者により国民意識(National Identity)の変容の問 題 も生じてい る。例えば 今日の台湾 住民の意識 として、か つての 国 民党時代に圧倒的に強かった「中国人意識」から、「台湾人でもあり 中 国 人 で も あ る 」と 「台 湾 人 で あ っ て 中 国 人 で な い 」と い う ア イ デ ン テ ィ テ ィ が 大 幅 に 増 加 し て い る5。 あ る い は 中 国 で 働 く 日 本 人 の 中 に、「和僑」と呼ばれるネットワークが生まれてきた6。これなどは新 し い重層的ア イデンティ ティの典型 例と言えよ う。アジア 域内で の こうした傾向は、ここ20 年きわめて顕著である。 (5) こうした様々な動きが複合的に結びつきながら、国境の壁は従 来 に比べると 格段に低く なってきて おり、部分 的にではあ るが、 国 家 主権、国民 意識、国益 などの概念 の変更、も しくは転換 が求め ら れて いる。すな わち国家主 権の部分的 な「デファク トとしての 溶解 」 が 始まってい るのである 。もちろん アジアでは 国家主権は 依然と し て 強力であり 、国際社会 の重要なア クターであ ることは否 定すべ き で ない。しか し国益観の 相対化、ア イデンティ ティの多層 化、多 重

同編著『中国の非伝統的安全保障』(勁草書房、2011 年)を参照。またナンヤン工科 大学(シンガポール)の国際関係学院で組織された「アジアの非伝統的安全保障ネッ トワーク」は東南アジア・南アジアにおけるこれらの問題解決の重要なネットワー クになりつつある。 5 これに関しては、国立政治大学選挙研究センターが毎年行っている意識調査トレン ドを参照、http://esc.nccu.edu.tw/。 6 和僑に関しては、和僑カンファレンス www.habataku.co.jp/wakyo/conference.html など 参照。

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化 が進んでい る。国家主 権、国益の ある部分に おける相対 化、あ る い はアイデン ティティの 多層化、多 重化が客観 的に増大し ている 。 そ のことによ って正に国 民国家シス テムの土台 が部分的に ではあ る が 溶 解 し て い る 。 そ れ ゆ え に 、 上 で 指 摘 し た よ う な 「N-TN (Nation-Trans Nation)」へのシステム移行が始まっていると考える のである。

三 中国の「超」大国化

以上の 2 点と「中国の急激な台頭」ということが、21 世紀国際社 会 を考える上 での特徴的 な時代性と なっている 。すでに知 られて い るように、1978 年からの改革開放路線の転換、近代化建設への邁進 から30 年が過ぎ、2010 年についに GDP で日本を抜き世界第二位の 経済大国、軍事的にも20 年の連続二桁増の国防費によって専門家の 間 ではこれも 米国に次ぎ 世界第二位 の軍事大国 になったと いわれ て いる。2008 年には北京オリンピックを、2010 年には上海万博を成功 さ せ 、 米 国 と 共 に 世 界 の 「G2」と も 呼 ば れ る ほ ど の 「超 」大 国 と な っ た。これだけでも国際システムとしては米ソ 2 極の冷戦体制、さら には1980 年代の米ソ中の〈大三角システム〉を経た劇的な変化と言 える。 し かし中国の 台頭は今日 においても 「進行 形」で ある。海外 から の 中 国への直接 投資は現段 階において も依然高水 準を維持し 、対米 輸 出 の大幅出超 に見られる ように「世 界の工場」 であり続け ている 。 しかし同時に、2008 年のリーマンショック以来、米国の構造的不況 は今 日なお影を 落とし、 「アブソーバー 」としての米 国の地位は 揺 ら い でいる。こ うした中で 、内需拡大 のための大 規模な国内 投資を 断 行し、いち早く景気の回復を実現しただけでなく、従来のGDP 高成 長の勢いまで取り戻し、ついには2010 年、GDP で日本を抜いて世界

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第 2 位に躍り出た。さらに膨大な人口、持続する経済成長と国内購 買力の向上、豊富な資金による内需刺激政策などによっていまや「世 界の工場」であるのみならず、「世界の市場」としての潜在力を高めつ つあると言ってよい。 2011 年初め、中国の著名な経済学者・胡鞍鋼は「中国は如何にし て米国に追いつき、追い越すのか」と題する論文を発表した7。それ によると、2011 年から 2020 年までで変化する中国の経済関係は、 GDP の世界順位が 2 位から 1 位へ、世界経済シェアが現在の 9%から 約 20%へ、製造業部門で、付加価値額、ハイテク製造業付加価値額 とも2 位から 1 位、貿易部門で、輸入総額が世界 1 位へ(輸出総額 は既に1 位)。また、研究開発:科学者・エンジニア数は米国の 2 倍 に、特許・基本特許申請数世界 1 位へ、非化石エネルギーの生産量 ・消費量とも 1 位へと予測している。胡鞍鋼が「米国を追い越す」と し てあげた理 由は、①国 土が米国に 匹敵、②人 口が米国よ り大幅 に 多 い、③社会 主義の優位 性である。 ③は開発独 裁型経済発 展論が ベ ー スであり、 これまでの ところ意思 決定の迅速 さ、政策遂 行にお け る 阻害要因( 住民運動な ど)の排除 など強権的 方法が有効 である 点 が 強調されて いることに なるが、こ れがこれか らも長期に 持続す る か は疑問の多 いところで ある。しか し、軍事力 などの面で 米国と は 一定 の開きがあ るものの、 一段と強ま る「人民元切 り上げ圧力 」な ど も 考慮すれば 、総合国力 は米国にか なり接近で きるとの彼 の見通 し はある程度納得のいくものである。 中 国首脳部は 依然として 、表向きは 自ら決して 「超大 国」、 ある い は 「覇権大国」にはならないと 言明してい るが、少な くとも上の よ う な 持続する経 済大国化、 軍事大国化 に加えて、 ソフト面で も世界 へ

7 胡鞍鋼「中國如何追趕超越美國」『瞭望』第 1 期(2011 年 1 月)参照。

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の 影 響 力 の 拡 大 を 積 極 的 に 試 み 始 め て い る 。 そ の 象 徴 的 な 出 来 事 が、近年中国語や中国文化の普及を図るべく世界各地での「孔子学院 」設置の推進である。あるいはCNN や BBC を意識して中国初の本格 的な新華社通信の英語 TV 放送も開始した。もちろん、こうした中 国 のソフトパ ワー戦略の 展開が必ず しも彼らの 思惑通りに 進んで い るわけではなく、その急激な影響力の拡大によってかえって「中国脅 威論 」や「中国異 質論」を引 き起こして いるところ もある。が 、い ず れ にせよ中国 パワーの膨 張は否定で きず、内部 的に深刻な 問題を 膨 ら ませながら も、ほとん ど米国に対 抗できる力 量を持った 唯一の 国 になりつつあるということはできるであろう。

四 中国とアジア地域統合の関係

中 国の急 激な 台頭か ら、 アジア 地域 の将来 をど のよう に考 えるべ き なのか。こ の問題はア ジアの未来 を考えるた めの最大の 課題だ と 言って過言ではないでだろう。1990 年代からアジア地域統合に積極 的 に発言し貢 献してきた 渡辺利夫・ 拓殖大学学 長は、台頭 する中 国 への警戒感から、2008 年に『新脱亜論』を発表し、以下のように自 らの立場を明確に示した。「東アジアはその統合度を一段と高めるた めに、二国間、多国間でFTA・EPA を積極的に展開し、この地域を 舞 台に自由化 のための機 能的制度の ネットワー クを重層的 に張り つ めるべきであろう。しかし東アジアの統合体はFTA・EPA という機 能 的制度構築 を最終的目 標とすべき であって、 それを超え てはな ら な い。共同体 という「共 通の家」の 中に住まう 諸条件をこ の地域 は 大 きく欠いて おり、また 共同体形成 の背後に中 国の覇権主 義が存 在 す るとみなけ ればならな い以上、東 アジア共同 体は日本に とって は

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も とより、東 アジア全体 にとってま ことに危険 な道である 」と断 じ ている8。 こ こでの 主旨 は、機 能的 な制度 、重 層的な ネッ トワー クを 分厚く 作 っていくべ きだが、共 同体は「共 同の家」と いうコミュ ニティ の 中 に住むこと になり、国 境の壁を低 くしなけれ ばならない から、 中 国 という強大 国が他の弱 小国を支配 してしまう 、このよう な中国 覇 権 主義の受け 皿をつくっ てはならな いという主 張である。 そして 日 米 同盟を堅持 することに よって日本 は経済的に は安心して 東アジ ア や中国に進出できるのだと主張している。 実 は、急 速に 大国化 して いる中 国に 対する 同氏 の懸念 は私 も理解 で きなくはな く、部分的 には共有し ている。し かし、幾つ かの根 本 的な疑問がわいてくる。第 1 に、経済を軸に機能主義的に分厚い重 層的 なネットワ ークができ たとしたら 、「はい、そ れまで」とい っ た よ うに事態を きれいに打 ち切ること ができるの であろうか 。おそ ら く そのような ネットワー クが形成さ れると流れ は次のステ ップを 要 求することになるであろう。 第 2 に、共同体=共同の家=中国の覇権主義的支配の枠組みとい う 考え方を前 提としてい るが、はた してそれは 絶対的なも のなの で あろ うか。「共同 体」の概念自 体は極めて 多義的であ り、機能主 義 的 な協 力の積み重 ねによって 形成された 統合の枠組 みも「共同体 」と 呼 ぶ場合はある。EU(欧州連合)の前段階の EC(欧州共同体)はま さに そうであっ た。またそ もそもアジ アにおいて 「共同の家 」など ま だ具体的には存在していない。それをあたかも「中国覇権主義のため の 家 」と 断 定 す る の は 論 理 の 飛 躍 と 偏 見 が 強 す ぎ る と い わ ね ば な る まい 。むしろ 「覇権的な関係 」にならない ための共同 体作りに日 本 自

8 渡辺利夫『新脱亜論』(文春新書、2008 年)、286 ページ。

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身が積極的に貢献すべきであろう。 第 3 に、そしてこれが最も重大なポイントであるが、機能的な制 度 やネットワ ークをつく っただけで それ以上の 枠組み、制 度作り に 取 り組まない とするなら 、その中で さらに進む 自由化、グ ローバ ル 化 によって、 むしろ経済 発展の不均 衡、弱肉強 食の情況が かえっ て 加 速すること になる。具 体的に見て おくなら、 中国の経済 力増大 は 自 由貿易的な 枠組みの中 で周辺の弱 い国々の経 済を飲み込 んでい く 状況が生まれつつある。例えば、FTA 戦略を含む中国の地域統合の 動きを見ると、中国は東南アジア諸国とFTA を結び、その結果相互 貿 易 量 を 急 増 さ せ て い る 。GMS 計 画 ( Greater Mecon Sub-Region Plan)、トンキン湾(北部湾)経済開発フォーラム、中国の資本によ る 「南北回廊 」の実現に 続き、中国 の昆明から インドシナ 半島全 体 の タイの南方 までの主要 都市間を結 ぶ鉄道建設 計画など、 中国主 導 による経済協力・インフラ建設も急速に進んでいる。まさに「中国圏 」としてのASEAN・中国地域 FTA への流れとも言えよう。 さらに2010 年 6 月、中国・台湾の間に ECFA が締結された。ECFA の 内容自体は 自由貿易品 目などで台 湾の品目数 が中国のそ れより も 圧 倒的に多く 、台湾への 厚い配慮が 読み取れる 。これによ って台 湾 は日韓に比べると中国市場で圧倒的に有利になっており、10 年度の 台湾の経済成長が前年比で 10%を超える勢いになっているのはまさ に ECFA 効果と言えよう。さらに ECFA 締結を受けて、韓国は積極 的に中国とのFTA 締結に動き始めて、2011 年には本格的な交渉に入 るといわれている。日本がもし対中FTA で出遅れるようなことにな る と、現在最 も大きな貿 易相手国と なっている 中国への輸 出が極 め て不利な状態に置かれることになる。対中FTA に消極的になればな る ほど日本経 済を取り巻 く事態は日 本にとって 厳しい状況 になっ て いくのである。

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五 デファクトから制度化を目指すアジア地域統合

地 域 統 合 ア プ ロ ー チ の 基 本 的 な タ イ プ と し て よ く 言 わ れ る の は 「機能主義的アプローチ」である。特に、アジアには多様な価値観、 多 様な生活レ ベルがあり 、経済発展 ・政治体制 も異なる。 そのよ う な 環境下での 協力は機能 主義的なも のになる。 そしてさま ざまな 課 題 の解決ある いは共同利 益の創出に は機能主義 的アプロー チによ る 専門家集団、政府、NGO などのネットワーク構築が現実的で効果的 である。 問 題解決 型は 、経済 分野 では経 済成 長を優 先し つつも さす サステ イナビリティー(Sustainability)を目標とし、深刻化している環境問 題などに取り組みながらサステイナブル(Sustainable)にどう発展す べ きかが今日 大きなテー マとなって いる。非伝 統的安全保 障分野 で は 、①貧困・ 社会問題、 ②環境保護 、③省エネ 、④自然災 害、⑤ 感 染 症など個々 の課題解決 、海賊問題 か、シーレ ーンの防衛 あるい は 地 域自然大災 害などの問 題解決のた めに共同で 対処するた めのネ ッ トワークの構築が求められる。 共同利益創出型とは、経済分野では FTA、共通の通貨体制、共同 市場の形成などが求められ、成長と社会環境充実という面ではCDM ( クリーン開 発メカニズ ム)の発展 と活用が考 えられる。 また安 全 保 障面では、 協調的安全 保障、集団 安全保障の 地域協力、 非伝統 的 安 全保障分野 では、クリ ーン・エネ ルギーの共 同開発、エ ネルギ ー 共同備蓄など共同利益の創出などがあげられる。 課 題解決 協力 型にせ よ、 共同利 益創 出型に せよ 、協力 メカ ニズム を つくってい く重要な手 掛かりとパ イプはネッ トワーク構 築によ っ て 進められる 。ネットワ ークのアク ターは基本 的には政府 、個人 の 集結したNGO、それに医療・環境、感染症などの専門家集団の 3 者

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で あり、それ ぞれが組織 しネットワ ーク化する ことが重要 である 。 と くにアジア の現実を踏 まえて考え れば、全体 を統括する 政府の 部 署 が大きな役 割を果たし ている。国 境を越えた 三者連携の 組織化 が 非常に大事であり、その制度化が問題となる。 この 2 つのタイプに加えて、生活・文化アイデンティティ創出の た めにネット ワークをつ くるという 発想も、将 来のアジア 共同体 を 視 野に入れる なら重要な 課題になっ てくるであ ろう。かり にアジ ア 地 域の人々の 生活・文化 が密接に関 連し、伝統 的な思想・ 文化が 融 合 、共通化さ れ、アジア 的な世界、 アイデンテ ィティが創 出され る な ら、そこで は中華意識 でも、日本 人意識でも ない新しい 「我々 意 識 」が生まれ る可能性を 見ることが できる。そ のことを課 題にし 、 意識しておくことが大切だと考えるのである。 そ のため にこ そアク ター が連携 し、 共同で 活動 する、 さら にその ことを通して地球船に同乗し共に宇宙を旅する「我々意識」「同舟意 識 」を共有す る。その共 働から色々 な成果を挙 げるなかで 凝集力 を 強 め、調和の 取れた社会 を実現する のがアジア 地域統合の 一つの 方 向 である。地 域の利益を 追及し、ア ジア全体を 包括する制 度を構 想 する中で、それを実現するための制度を構築する。制度を通して「我 々意識」をさらに固め、「調和のとれた社会」をつくるのである。 もう 1 つ指摘しておくべきことは、地域統合を次のステップに押 し上げるために、「戦略的調整的アプローチ」と「ボトムアップ式ア プローチ」を意識的に進めることである。「戦略的調整的アプローチ」 と は、安全保 障協力、エ ネルギーの 共同開発・ 共同備蓄な どを戦 略 的に推進し調整していくアプローチである。「ボトムアップアプロー チ 」とは環境 保護、感染 症予防、貧 困や人権の 改善などの 人間安 全 保障、特にNGO 活動・協力をネットワーク化し、専門家集団や政府 関係部署との連携で進めるアプローチである。「機能主義的アプロー

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GIARI モデル

( 出 典 ) ア ジ ア 地 域 統 合 の た め の 世 界 的 人 材 育 成 拠 点 (GIARI)、 http://www. waseda-giari.jp/index_j.html。

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チ 」、「戦略的調整 的アプロー チ」、「 ボトムアップ式ア プローチ」 こ れ らのアプロ ーチを混ぜ ながら全体 をまとめて いく枠組み が「聖 火 型 アプローチ 」となる。 文部科学省 大型研究助 成・早稲田 大学グ ロ ーバルCOE プログラム「アジア地域統合のための目指す世界的人材 育成拠点(GIARI)」で考案したもので、これを参加メンバーは GIARI モデルと称してきた9

六 アジア地域連携の未来=目指すべき目標

1 経済の地域連携 経済の地域連携=日中韓FTA、TPP(環太平洋連携協定)の推進か らアジア太平洋地域FTA の構築をめざす。そのために以下の 3 点が 重要なポイントになる。 ①東アジアの経済発展―EU 経験―日本の「内向き」打破の 3 つの連 携から戦略を考えることである。日本総合開発研究機構(NIRA)の 東 アジア地域 の経済連携 を目指す構 想では以下 のようにそ のポイ ン ト を 指 摘 し て い る10。(a) 東 ア ジ ア 経 済 発 展 の ス ピ ー ド に 乗 る 、 (b) EU の教訓(域内統合の推進で域内貿易投資の活性化、政治的安定な どで成果)を学ぶ、(c) 日本の少ない貿易依存度を高めるチャンス、 (d) 「内向き日本」からの脱却のチャンス、(e) 多面的な地域連携の推 進、(f) アジア通貨危機から学ぶ(地域内の金融協力から AMF への 展望)、(g) 中国の平和的かつ安定的成長を支えるということである。 ② 日本と して はむし ろ韓 国(お よび 台湾) と連 携し、 日韓 協力を ベースに中国とのFTA の交渉を進めるべきであろう(そのために日

9 同プログラムのホームページ、http://www.waseda-giari.jp/index_j.html。 10 『東アジアの地域連携を強化する(NIRA 研究報告書)』(総合研究開発機構、2010 年)、http://www.nira.or.jp/pdf/1001_2report.pdf。

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韓FTA の基本合意に踏み込む)。 ③ 農業問 題へ の積極 的、 抜本的 な取 り組み が必 要にな って くる。 そ れは市場化 、自由貿易 化に参入す ることで競 争力を持つ 農業に 大 転換させることを目指す。そのために、a. 農業に特徴を持たせ、輸 出 産 業 に 転 換 = そ の た め の イ ン フ ラ 支 援 、 人 材 育 成 支 援 を お こ な う。b. 農協を利益団体から各地域の生産・販売・人材育成の中核組 織に再生することが重要なポイントであろう。 2 「アジア非伝統的安全保障機構」の創設を推進 ①a. 貧 困 ・ 社 会 問 題 解 決 ネ ッ ト ワ ー ク 、 b. 環境 保 護 ネ ッ ト ワ ー ク 、c. 省 エネ ル ギ ー 化 ネ ッ ト ワ ー ク 、 d. 自 然災 害 対 応 ネ ッ ト ワ ー ク、e. 感染症対応などこれまで述べてきた様々な課題解決のための ネ ットワーク を重層的な 連携組織に していく。 その鍵はア ジア各 国 政府内に「非伝統的安全保障局(室)」を設置し、そこにa~e の専門 家グループ、NGO グループのネットワークの各拠点活動・情報を集 約 し、政府関 連部署と連 携・協力で きるメカニ ズムをつく ること で ある。 ② 非伝統 的安 全保障 にお ける共 働作 業は、 アジ アのサ ステ イナブ ルな発展の道を探し出す上でも、信頼醸成と「同舟意識」(アイデン ティティの共有意識)を生み出す上でもきわめて重要である。 3 「アジア太平洋安全保障条約機構」の創設 ① まず現 実的 認識、 現実 的アプ ロー チから 段階 的な拡 大と 深化へ という方法をとる。具体的には、a. 伝統的(ハード)安全保障とし ては「ゼロ-サム」的なリアリズム・アプローチであるが、それを踏ま え て「地域的 多国間安全 保障協力」 を具体化す る。この場 合、組 織 化 の根拠は外 敵又は潜在 的敵の脅威 に対する集 団共同行動 か、内 部

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ア クター間の 相互抑制・ 牽制という ことになる 。いずれに せよこ う し た脅威への 対処に関し ては、米国 のプレゼン スを抜きに はでき な い 。そこで米 国を巻き込 んだ地域多 国間安全保 障メカニズ ムの構 築 が必要となってくる。 ② 常設の 「日 米中安 全保 障対話 フォ ーラム 」の 創設を 進め るべき である。なぜなら現段階また将来中国の脅威に対して米国 1 国でさ え 抑 制 す る こ と は ま す ま す 困 難 で あ り 、 日 米 同 盟 は 不 可 欠 で あ る が 、他方で中 国にとって 日米同盟は 最大の脅威 である。し たがっ て こ のようなフ ォーラムを 設置し、た んに相互抑 制のためだ けでは な く 、この枠組 みの活動を 通して、相 互の敵対感 情、現実の 対立点 の 減少などポジティブな効果も狙うべきであろう。 ③現実にアジアでは、朝鮮半島の非核化をめぐる「6 カ国協議」、 アジア全体の対話フォーラムである「シャングリラダイアローグ」、 拡大ASEAN の安全保障対話フォーラムである「ARF(ASEAN 地域 フォーラム)」、さらには中国によるイニシアティブの「上海協力機構 (SCO)」などが存在している。しかしそれらを踏まえたうえで、最 も 核心的で実 質的な協調 枠組みとし て「日米中 安全保障対 話フォ ー ラ ム」を位置 付ける。将 来的にはそ れを軸とし 他の国々、 他の多 国 間安全保障メカニズムを取り込むアプローチをとるべきであろう。 ④ そ し て 最 終 目 標 と し て 「 ア ジ ア 太 平 洋 安 全 保 障 条 約 機 構 (APSTO)」に発展させる。そのなかでは日米安全保障条約に加えて 中 国を入れた 「日米中安 全保障条約 」を創設す る。さらに 韓国、 オ ーストラリア、ニュージーランド、ASEAN 等が参加したものとして APSTO を構想。もちろんそのような安全保障枠組みの実現は短期的 には不可能であるが、目指すべき課題として提起しておきたい。 ⑤以上のようなさまざまな試みは、冒頭で指摘した国民国家(NS) システムから「N-TN システム」型アジア秩序の構築へ導かれる。そ

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こ では日中、 日韓、中国 ・東南アジ ア各国間で 争われてい る領土 ・ 領海問題では「共同主権論」が基盤となり、さらに TN システムにお け る多元多層 型対話フォ ーラムの組 織化・体系 化されそれ によっ て 安定的な国際ガバナンスが形成されることになる。 以上のように、ASEAN+3 から始まるアジア非伝統的安全保障機 構 、日米中安 全保障フォ ーラムから 始まるアジ ア太平洋安 全保障 機 構、さらには経済レベルでの APEC の内実化が並行的に進む中で、 包 括的な統合 の主体が形 作られてい くであろう 。そして包 括的な 統 合 の制度化に 入ったとき 、アジア統 合の形態、 境界が自然 と定ま っ て くるであろ う。最大の カギは、比 較的長期の スパンの中 で、ア ジ ア において〈 共働・共益 ・共感〉の 共有構造が 生まれるか どうか に かかっているのである。 (寄稿:2011 年 7 月 24 日、採用:2011 年 9 月 15 日)

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亞太國際關係的新階段與尋求區域整合的

新機軸

天 兒 慧

(早稻田大學亞洲太平洋研究科教授)

【摘要】

21 世紀的亞太國際關係已進入新的階段。其構造的特徵是,第一, 存 在著國家系 統與超‧國 家系統的價 值、角色、 功能並存且 互相影 響 的 狀況,同時 國家雖依舊 強勢,但在 各層面上正 以強化超‧ 國家的 制 度 化方向發展 中。第二, 全球化實際 上也提高了 環境問題和 傳染病 等 區 域 性 的 現 象 , 相 反 的 也 催 生 了 區 域 化 (regionalism)的進 展;第三 是「中國的急速抬頭」。這些都可說是事實上日趨深刻的亞洲區域整合 中 不可忽視的 構成要因, 但僅止於此 的話很可能 造成「歪曲 的區域 整 合」。在此,明確的目標、戰略,以及奠基於此的實踐方法、人材培育 的 構 想 是 必 要 的 。GIARI ( Global Institute for Asian Regional Integration)模式為其嘗試。

關鍵字:N-TN 體系(跨國國家體系)、人類安全、非傳統安保、GIARI 模式

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The New Stage of Asia-Pacific International

Relations and Searching for a New Linchpin

of Asian Regional Integration

Satoshi Amako

Professor at Graduate School of Asia-Pacific Studies, Waseda University

Abstract】

International relations in the Asia-Pacific region have entered a new stage in the 21st century. The new phase is characterized by three aspects. First, values,

roles, and functions of a state system and transnational activities have been coexisting, affecting one another. At the same time, although the state system has still been strong, transnational activities have been institutionalized at various levels. Second, globalization has in fact led to noticeable regional issues such as environmental problems and infectious diseases. In other words, globalization has paradoxically brought regionalization. Third, China has rapidly risen as a major power. Even though these aspects could be indispensable factors for de facto regional integration in Asia, they have posed a risk of causing strained relations in the region in the absence of adequate measures. Therefore, it is essential to set a clear goal and strategy, based on which a clear concept for personnel training should be developed. The GIARI model is an attempt to overcome these challenges.

Keywords: Nation-Trans Nation System, human security, nontraditional security, GIARI model

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〈参考文献〉

「人間の安全保障委員会」外務省、http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hs/ah_iinkai.html。 『公研』No.568(2010 年 12 月号)特集対談。

『NIHU 現代中国拠点 News Letter』No.6(2010 年 12 月)巻頭言、http://www.china-waseda. jp/newsletter/pdf/nl006_j.pdf。 『東アジアの地域連携を強化する(NIRA 研究報告書)』(総合研究開発機構、2010 年)、 http://www.nira.or.jp/pdf/1001_2report.pdf。 天児慧編著『アジアの非伝統的安全保障』(勁草書房、2011 年)。 ______『中国の非伝統的安全保障』(勁草書房、2011 年)。 渡辺利夫『新脱亜論』(文春新書、2008 年)。 胡鞍鋼「中國如何追趕超越美國」『瞭望』第1 期(2011 年 1 月)。

數據

図  GIARI モデル

參考文獻

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