1.1 副詞研究における「ぜんぜん(全然)」の位置づけ
1.2.5 服部(2007)
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立 政 治 大 學
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N a tio na
l C h engchi U ni ve rs it y
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否定形式 2122 71.0% 1769 63.7%
相違類 666 22.3% 464 16.7%
だめ 126 4.2% 39 1.4%
別 23 0.8% 18 0.6%
平気 12 0.4% 42 1.5%
大丈夫 6 0.2% 76 2.7%
OK 1 0.0% 111 4.0%
良い 5 0.2% 67 2.4%
普通 1 0.0% 23 0.8%
いける 0.0% 10 0.4%
余裕 0.0% 5 0.2%
まし 0.0% 16 0.6%
その他 27 0.9% 137 4.9%
合計 2989 100% 2777 100%
表1によると、「ぜんぜん(全然)」と共起する頻度の高い表現は、「否定形式」
と「相違類」を除けば、動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞など、さまざまな品 詞にわたる。一見ばらばらのようであるが、共通的に何らかの特徴があるはず である。したがって、本稿は、「ぜんぜん(全然)」が持つ副詞の機能を通して、
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ただ共起する語の傾向を提示するだけではなく、なぜそういう傾向があるのか も明らかにする。
また、表 1 によると「平気、大丈夫、OK、良い、いける、余裕」などの語 は、「語彙的に否定的意味を持った」語、あるいは「語彙としてなんらかの否 定の意味を含む」語のどちらでもない。それらの語はほとんどがプラス評価を 表わす表現なので、評価性の観点からも考察する必要があると思われる。
さらに、服部は、副詞「ぜんぜん(全然)」が「明示的比較形式(「~より、
~比べて」、「~よりも、~に比べると」など)」を伴う例の比率を、表 2 のよ うに示している。(太字は筆者によるものである。頻度が高いものを示す。)表 2 を見ると、否定形式でない方が否定形式より、「明示的比較形式」を伴う例 の比率が高いということが分かる。しかし、同じく、服部はこれ以上の分析は 行っていない。
[表 2]服部(2007)の「ぜんぜん(全然)」が「明示的比較形式」を伴う比率
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全数 比較形式付 比率 全数 比較形式付 比率 否定形式 2122 6 0.3% 1769 4 0.2%
相違類 666 3 0.5% 464 5 1.1%
だめ 126 0.0% 39 0.0%
別 23 0.0% 18 0.0%
平気 12 0.0% 42 0.0%
大丈夫 6 0.0% 76 0.0%
OK 1 0.0% 111 2 1.6%
良い 5 2 40.0% 67 25 37.3%
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N a tio na
l C h engchi U ni ve rs it y
普通 1 0.0% 23 0.0%
いける 10 1 10.0%
余裕 5 0.0%
まし 16 16 100%
その他 27 7 25.9% 137 38 27.7%
合計 2989 18 0.6% 2777 91 3.3%
表 2 によると、「ぜんぜん(全然)」が「良い」「まし」などの肯定表現と共起 する場合は、「明示的比較形式」を伴う例の比率が極めて高い。しかし、「ぜん ぜん(全然)」がほかの「普通」「余裕」などの肯定表現と共起する場合は、そ ういう傾向が見当たらない。したがって、「ぜんぜん(全然)」が肯定表現と共 起する場合は、必ず「明示的比較形式」を伴うとは限らない。よって、「明示 的比較形式」以外に、どのような言語形式が「ぜんぜん(全然)+肯定表現」と 共起しやすいのかについて、さらに明らかにする必要があると思われる。また、
そのような言語形式が「ぜんぜん(全然)+肯定表現」とともに現れやすい理由 についても明らかにしたいと思う。
以上のように、「ぜんぜん(全然)」の先行研究を、「副詞における位置づけ」
と「意味用法」に分け、概観した。従来の先行研究において、まだいくつかの 問題点が残っているということがわかった。次の 1.3 節では、それらの問題点 をまとめる。