2.水理地質調査 2.1.概説
水理地質調査は、観測孔の構造を検討するため、地下水検層や試錐日報解析等の調査によって、観 測孔を設置するボーリング孔の水理地質(地下水の有無、地盤の透水性の状況)の鉛直分布を把握す る。
解説
部分ストレーナ区間、観測孔の構造(止水区間、止水方法等)は、観測孔とするボーリング孔にお けるすべり面付近の水理地質(地下水の有無や地盤の透水性の状況)を調査し、すべり面付近の帯水 層の間隙水圧のみを適切に計測できるよう、調査結果に基づいて計画する必要がある。
水理地質調査は、地下水検層や試錐日報解析によって行われる。本手引きでは、一孔で水理地質調 査と部分ストレーナ孔の設置を行うことができる連続ステップ孔内試験4,5)について解説する。連続 ステップ孔内試験は、ボーリング掘削中に水理地質を把握できるため、掘削完了後に部分ストレーナ 管を設置できるのが利点である。それに対して、一般的な地下水検層は、ボーリング掘削後に全区間 ストレーナ管をボーリング孔に挿入し、孔壁を保護した上で行うため、そのボーリング孔では部分ス トレーナ孔を設置することが出来ない。
水理地質調査の結果は、地下水の有無と地盤の透水性を組み合わせた表2-1の水理地質区分を用 いて、帯水層、漏水層、非透水層(いわゆる難透水層および不透水層に相当)を判定し、後述する水 理地質調査総括図(図2-4)として整理する。その結果から、すべり面付近の帯水層を観測対象と し、かつ、観測対象以外の帯水層から地下水がボーリング孔内に流入しないようにストレーナ区間を 設定する。また、ストレーナ区間の上下の非透水層において止水処理を行う。
本手引きでは、部分ストレーナ孔の構造を計画することを主眼として、単純化した表2-1の水理 地質区分を用いた。
表2-1 水理地質区分 地盤の透水性
高い 低い
地 下 水
有り 帯水層
非透水層
無し 漏水層
2.2.連続ステップ孔内試験
連続ステップ孔内試験は、裸孔区間に重複や欠落が生じないようにボーリングの掘進とケーシング パイプの挿入を繰り返して連続的に試験区間(裸孔区間)を設け、試錐日報解析と地下水検層等を行 い、水理地質の鉛直分布を把握する。
解説 1)概要
連続ステップ孔内試験の 1 ステップの手順を図2-1に示す。掘削中のボーリング孔の先端に裸孔 区間があり、この裸孔区間の水理地質の状態を把握するために、作業前水位の測定、地下水検層等(必 要に応じて、簡易間隙水圧計測、ボアホールカメラ)を行う。これらの調査が終われば、ケーシング を孔底まで挿入する。ボーリングの掘進を行い、作業終了時に作業後水位を測定する。通常、1 ステ ップを 1 日で実施し、翌日以降も同じ手順を繰り返す。なお、本手引きでは、掘削前の水位を「作業 前水位」、掘削直後の水位を「作業後水位」とよぶ。試錐日報解析においては、翌掘削日の作業前水位 を「翌日水位」とよび、作業後水位との比較を行う(解説資料2を参照)。
図2-1 連続ステップ孔内試験における1ステップの手順
1ステップの試験区間(裸孔区間)の長さは、計測の分解能と作業性を考慮して設定する。1ステ ップの長さは 3~5mとしても実用的なデータが得られる。ただし、地すべり地においては地盤が脆く 孔壁の保持が困難な区間もあるので、そのような場合には、ステップ間隔を 1~2mと短くしながら、
実施可能な区間で試験を行い、実施が困難な区間では孔壁の保持を優先する。
2) 連続ステップ孔内試験における調査項目
連続ステップ孔内試験の調査項目は、試錐日報解析と地下水検層が標準である。一方、地下水排除 工の配置計画等の検討資料とするためにボーリング孔の全区間における水理地質の把握を目的とする
カメラ等の調査も同時に行って、地すべり地内の水理地質状況についてのデータを取得することが望 ましい。連続ステップ孔内試験における調査項目の例を表2-2に示す。
表2-2 連続ステップ孔内試験における調査項目例