11/14 11/16 11/18 11/20 11/22
深度(-GL m)
月日
ケーシング深度 地下水位 孔底深度
推定すべり面部分ストレーナ観測孔の設置においては、観測孔の各部分が所定の機能を発揮できるようにするた め、施工の不良や異常が生じないように確認しながら行うことが重要である。本節では、ボーリング 径の選定、設置前のスライムや漏水等の孔内状況の確認および対処、保孔管の取り扱いや止水材等の 各設置部材の使用上の留意点について詳述するともに、設置後の作業として孔口処理や孔内洗浄およ び水頭高の確認について述べる。
(1)設置前の孔内状況の確認および対処
保孔管設置前に計画した構造の観測孔が設置できるか、以下の項目を確認する。
①裸孔部分の崩壊による孔閉塞
②スライムの堆積による深度不足
③漏水などの孔内状況
①の場合はコアチューブ挿入による再掘削、②はロッドクラウンによる孔内洗浄など、ボーリング マシンによる作業となる。孔壁崩壊が止まらない際は、ケーシングの挿入や余堀り区間の設定など、
対処方法を検討する。
③は、孔内水がすべり面より低下する現象への対処であり、掘進中の状況からすべり面以深の漏水 区間(漏水層)を掘りぬいたと判断される場合は(図4.5)、すべり面の間隙水圧を測れるように孔内 水が回復するように埋戻し、あるいは止水を行う。埋戻しは、濃い目のセメントミルク、ベントナイ ト、吸水膨張性高分子材を用いる(図4.6)。
図 4.5 すべり面以深で孔内水が低下した試錐作業日報
(4)保孔管の取扱い
正常の精度で削り加工された塩ビ管のねじ部は十 分な引張強度を有しているが、ねじ部が運搬中の衝撃 などで割れている場合は、ねじ部が切れて設置中に落 下する事故につながる恐れがある。特に、VP30 以下 では雌ねじ部の肉厚が薄くなるので注意が必要であ る。ねじ部の破断状況を図4.7 に示す。
保孔管をボーリング作業箇所まで運搬にする際に は、保孔管の端部を保護するとともに丁寧に取り扱い、
さらに挿入時には運搬時の衝撃による破損が無いこ とを確認する。
(5)保孔管の挿入方法
設置深度が浅い場合は保孔管を手で保持しながら挿入できる。ただし、ストレーナ区間に巻いたフ ィルター材は滑りやすいので注意すること。深度が深い場合は、落下防止のため、塩ビ管用の固定バ ンドや吊り下げ治具を使う方法、または孔底に固定したワイヤで吊り下げる方法で設置する。深度の 目安としては、VP40 で 40m、VP50 で 30m を超える場合である(フィルター材を巻いている場合)。
なお、細いワイヤ(φ2mm 以下)はキンクして切れやすいため、つり下げ等に使用しないことが望まし い。
(6)止水材の設置方法
止水材には、①あらかじめ塩ビ管に設置するもの(ゴム製止水材、パッカー)と、②保孔管設置後 図 4.7 引張試験の破断後の状況 図 4.6 すべり面下の漏水層を掘りぬいた場合の対処法
帯水層 止水材
漏水層 すべり面 セメント
〔セメントによる埋戻し〕 〔止水〕
①については、計画した深度に対応する塩ビ管にあらかじめ材料を取り付けておく。ゴム製止水材 は十分な止水性能を確保できるように、保孔管と孔壁のクリアランスや予想される水頭から適切な巻 き方や段数を調整する。パッカーは、加圧した際にボーリング孔に確実に密着する径や長さのものを 使用する。特に、大深度では止水部にかかる水圧が高くなるためパッカー区間を長くする。ゴム製止 水材を使用する場合は止水区間がケーシング挿入区間と重なる場合は、塩ビ管挿入後に速やかにケー シングを抜管して、ケーシング内でゴム製止水材が膨張しないようにする。
②については、保孔管設置後に孔口から材料を投入して計画した深度に到達するよう、触針式水位 計や検尺棒などで沈殿状況を確認しながら設置し、過不足がないようにする。ベントナイトペレット を用いる場合は、より確実な止水降下を得るために材料投入時に適宜突き固めを行うことが望ましい。
(7)間詰材の充填方法
孔口から直接投入する方法を原則とする。充填不 良を防ぐための留意事項は次の通りである。
・水を流し込みながら充填作業を行い、触針式水 位計や検尺棒などで沈殿状況を確認しながら設 置する。
・塩ビ管の口もとを手で揺らしながら少量ずつ時 間をかけて充填する。特に砂など細かい間詰材 を使用する場合は孔内水の区間で沈降する時間 が掛かるため、充填しすぎないように投入後に 時間をおいてから次の投入を行うなどの対応が 必要である(図 4.8)。
・ケーシングを挿入している場合は抜管しながら 充填を繰りかえす(2~3 本ずつが良い)。
・細い径の塩ビ管を投入管路として用いて、孔底 から引き揚げながら充填すると、より確実に充 填ができる(適用深度50m 程度まで)。
(8)その他
観測孔設置後は、目詰まりを防止するため孔内洗浄を十分に行う。また、観測孔設置後の地下水位 と帯水層の調査時の水頭高を比較することで、計画した部分ストレーナ観測孔が正しく設置されてい るか確認する。
珪砂 2 号、3 号、6 号、8 号 4.8~2.4mm、2.4~1.2mm、
0.4~0.2mm、0.2~0.05mm 珪砂8号 珪砂6号 珪砂3号 珪砂2号
図 4.8 砂粒子の粒径と沈降速度の関係
4.2 塩ビ管ねじ部引張試験
(1) 目的
水位観測孔の保孔管として使用する塩化ビニール管(以下、塩ビ管)を設置する際に、吊り下げて 設置する方法ではねじ部が破断する事故がまれに発生することがある。そこで、ねじ部の引張強度を 把握し、破断事故の原因検討の基礎資料とするとともに孔底へのワイヤ固定の吊り下げ補助が必要な 深度を把握する。
(2)方法
VP30,VP40 の塩ビ管について 3 供試体づつ引張試験を行い、破断強度の平均値を把握する。その 後、塩ビ管の重量から吊り下げて設置が可能な深度を算出する。
塩ビ管の重量 :VP30(1 本 4m)2168g 、VP40(1 本 4m)3164 g
引張試験器
供試体 VP30 VP40
取り付 け治具
ねじ部
300
40 48
VP40塩ビ管
150 300
30 38
VP30塩ビ管
150
供試体の寸法図
単位:mm 単位:mm
0 1 2 3 4 5 6 7 8
0 2 4 経過時間 (min) 6 8 10
荷重 (kN) 300
40 48
VP40塩ビ管
150 300
30 38
VP30塩ビ管
150
(3) 結果
破断強度はVP30 で平均 4.374kN(446kgf)、VP40 で平均 5.768kN(588kgf)であった。破断箇所は、
いずれもVP30 が雌ねじの根元で VP40 が雄ねじの根元であった。
接続可能な塩ビ管の本数は単純計算でVP30 が約 200 本、VP40 が約 185 本であり、フィルターや シール材などを取り付けてもねじ部は十分な強度があることが確認された。
以前、ねじ部の破損事故があった理由として加工が正常でなかったことや衝撃で割れがあったため と考えられる。したがって、マニュアル等には設置時に①ねじ部の加工が正常であること(センター がずれていない)、②運搬時の衝撃による破損が無いことを確認することを記載する。破断状況から、
塩ビ管の径が小さいほど、雌ねじ部が薄くなり割れやすいともいえる。
また、設置時に手で安全に保持できない深度(概ね VP40 で 50m 超)を超えた場合は、塩ビ管用の固 定バンドと吊り下げ治具を使う方法と、孔底に固定したワイヤで吊り下げる方法がある。
表 4.1 引張試験結果
供試体 破断強度(kN) 従来単位(kgf) VP30-1 4.243
4.374
432.7
446.1 VP30-2 4.876 497.2
VP30-3 4.004 408.3 VP40-1 5.561
5.768
567.1
588.2 VP40-2 5.564 567.4
VP40-3 6.180 630.2
破断位置 5.561kN
図 4.10 引張試験結果の例(VP40) 図 4.11 破断位置
単位:mm 単位:mm
引張試験の破断後、雄ねじの根元で破断(VP40-1) 引張試験の破断後、雌ねじの根元で破断(VP30-1)
VP30-1
VP40-2
4.3 記録の様式化・施設台帳化
4.3.1 部分ストレーナ孔及び観測機器の点検
地下水調査の実態と課題について検討した結果、課題の一つとして、ストレーナ構造を決定した際 の考え方が報告書等に残されていない事例が多く、機構解析や対策工の効果評価の際に、地下水観測 孔の設置に関する情報を参照できないことがあるということが明らかとなった。この課題を解決する ためには、設置時に観測孔や観測機器の仕様を記録し、また、点検した際には結果を記録する台帳を 整備することが望ましいと考えた。そのような設置・点検台帳(案)として、表4.2 と表 4.3 を提案 した。
4.3.2 部分ストレーナ孔の設置・点検台帳(案)
(1)観測孔設置時に作成する帳票(A票)
観測孔の設置時には、観測孔の仕様やそれを決める根拠となった鉛直水理地質調査総括図、部分ス トレーナ孔構造図等を台帳に記録する。各項目の記入要領は以下の通り。
(1) 地区名/ブロック名
観測孔を設置した地すべりの地区名及びブロック名を記載する。
(2) ボーリング孔番号
観測孔を設置したボーリング孔の番号(記号)を記載する。
(3) 設置年月日
観測孔を設置した年月日を記載する。
(4) ボーリング孔の緯度経度
ボーリング孔の緯度経度を記載する。
(5) 設置業務名/受注者
観測孔を設置した業務名と受注者を記載する。設置時の詳細な状況を調べる必要が生じた際に、
観測孔を設置した業務名と受注者を記載する。設置時の詳細な状況を調べる必要が生じた際に、