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部分ストレーナ孔による 間隙水圧観測の手引き(案)

目 次

はじめに 巻末 1-3

1.総説 巻末 1-4 1.1 間隙水圧観測の目的 巻末 1-4 1.2 部分ストレーナ孔による間隙水圧観測の適用 巻末 1-5 1.3 部分ストレーナ孔による間隙水圧観測の手順 巻末 1-6

2.水理地質調査 巻末 1-7 2.1 概説 巻末 1-7 2.2 連続ステップ孔内試験 巻末 1-8 2.3 水理地質の鉛直分布の調査 巻末 1-12

3.部分ストレーナ孔の設置計画 巻末 1-17 3.1 部分ストレーナ区間の検討 巻末 1-17 3.2 観測孔の構造の検討 巻末 1-18 3.3 観測機器等の検討 巻末 1-19

4.観測孔の設置 巻末 1-20 4.1 部分ストレーナ孔の設置 巻末 1-20 4.2 観測機器等の設置 巻末 1-20 4.3 地下水観測孔の設置・点検台帳の整備 巻末 1-20

5.観測データの回収と確認・観測孔等の点検 巻末 1-21 5.1 観測データの回収と確認 巻末 1-21 5.2 観測孔の点検 巻末 1-21 5.3 観測機器等の点検 巻末 1-21

解説資料1 地すべり地における地下水観測の実態と課題 巻末 1-23 解説資料2 試錐日報解析による水理地質区分の判定 巻末 1-30 解説資料3 地下水検層による水理地質区分の判定 巻末 1-36 解説資料4 部分ストレーナ孔の標準的な構造の検討と設置における留意点 巻末 1-48 解説資料5 部分ストレーナ孔の設置・点検台帳(案) 巻末 1-55

はじめに

地すべりの機構解析や斜面安定解析を実施するためには、すべり面の間隙水圧の把握が必要となる。

特に、難透水層によって隔てられた複数の帯水層が地すべり地に存在する場合には、すべり面付近の 帯水層の間隙水圧を観測する必要があり、観測を行うボーリング孔の帯水層や難透水層の分布を、調 査によって把握することが重要となる1)

地すべり地における地下水観測の実態について平成 22~23 年度に調査を行った結果(解説資料 1 参照)によると、多くの現場で地下水検層等の調査が行われているものの、帯水層や難透水層の分布 を踏まえて間隙水圧を観測している現場は少ないことが明らかとなった。また、多くの現場では全区 間ストレーナ孔(全孔ストレーナ孔ともいう)が採用されている。しかし、難透水層によって隔てら れた複数の帯水層がある場合、全区間ストレーナ孔では他の深度の帯水層への逸水や複数の帯水層の 水位の合成により、目的とする帯水層の間隙水圧を正しく反映した孔内水位が形成されないため、す べり面の間隙水圧を正しく観測できないケースが多い。このような間隙水圧データでは、地すべりの 機構解析や斜面安定解析を適切に行うことは出来ない。

これらの課題を解決するために、埋設型間隙水圧計やすべり面付近のみをストレーナ加工した部分 ストレーナ孔による観測が行われている2)。埋設型間隙水圧計は、間隙水圧を直接計測できる利点が あり、良好なデータが得られると考えられるが、深いすべり面への設置やメンテナンス等には技術を 要するという指摘もある3)。一方、部分ストレーナ孔は、間隙水圧計よりも設置やメンテナンスが比 較的容易である。これまでの実績において全区間ストレーナ孔がほとんどの現状を鑑みると、現時点 においては、部分ストレーナ孔の採用が上記課題の現実的な解決法と考えられる。しかし、部分スト レーナ孔による観測であっても、現在のところ普及するには至っていない。その理由としては、①部 分ストレーナ孔を計画・設置する標準的な手法が示されていないこと、②全区間ストレーナと比較す ると設置が難しいことが挙げられる。

本手引きでは、部分ストレーナ孔による間隙水圧観測の普及を目的として、部分ストレーナ孔を計 画するための標準的な調査・計画手法を提案するとともに、観測孔の設置に関する留意点を示した。

本手引きは、本文と解説資料1~5 からなり、次の点に留意してとりまとめた。

○連続ステップ孔内試験(試錐日報解析、地下水検層)によって、水理地質調査(地下水の有無、

地盤の透水性の状況の調査)と部分ストレーナ孔の設置を一孔で行う方法を提案した。

○試錐日報解析と地下水検層での帯水層の検出精度を高めるため、自然水位状態と汲み上げ状態で の計測を併用することを提案した。

○部分ストレーナ構造を検討するため、地下水の有無と地盤の透水性の高低を組み合わせた単純な 水理地質区分を提案し、その水理地質区分に基づく部分ストレーナ構造の計画方法を示した。

○観測孔の設置について、現場でのノウハウ等の留意点をとりまとめた。

本文では、設置に必要な調査と設置手法の全体像が容易に把握できるよう、要点のみに絞って記述 しているため、計画・設置を行う際は、解説資料1~5 も参照していただきたい。

1.総説

1.1.間隙水圧観測の目的

すべり面の間隙水圧観測は、地すべりの機構解析や斜面安定解析等を実施するために必要な間隙水 圧データを得る事を目的として実施する。間隙水圧は直接的に間隙水圧計等によって測定することが 望ましいが、それが困難な場合には、ボーリング孔内の地下水位で代用する。

地すべり土塊内には、地すべりの滑動に直接関係しない地下水も含めて複数の帯水層が存在してい る場合が少なくない。したがって、地下水位で代用する場合には、部分ストレーナ孔等によって、す べり面付近の間隙水圧を観測する。

解説

1)間隙水圧観測の目的

間隙水圧観測で得られたデータは、以下のような地すべりの機構解析、安定解析、対策工の配置計 画等に用いられる。

○地下水位変動と降雨や地すべり滑動との関係についての解析(地すべり機構解析)

○安定解析への入力値としての間隙水圧(安定解析)

○地下水分布状況に基づいた地下水排除工の配置の計画(対策工の配置計画)

○地下水排除工施工後の間隙水圧と地すべり移動量の変化に基づく効果の評価(対策工の効果評価)

○地下水位変動と降雨や地すべり滑動との対応関係の評価(概成判断)

これらの解析等を精度良く行うためには、適切に観測されたすべり面付近の間隙水圧を用いる必要 がある。そのため、複数の帯水層が存在する場合には、部分ストレーナ孔または間隙水圧計による計 測を行うことが望ましい。

2)間隙水圧観測の方法

現在、地すべり地で行われている間隙水圧観測の方法には、主に以下の 3 種類がある。

(1) 全区間ストレーナ孔

全区間ストレーナ孔による観測は簡便であるものの、地すべり土塊内に複数の帯水層が存在してい る場合は、これら複数の帯水層が合成されたものとして観測されることから、対象とする帯水層の間 隙水圧を正しく観測できない。

(2)部分ストレーナ孔

部分ストレーナ孔による観測は、複数の帯水層がある場合や逸水層がある場合でも、目的とする深 度にストレーナ区間を限定することで、すべり面付近の間隙水圧を観測できる利点がある。

(3)埋設型間隙水圧計

埋設型間隙水圧計は、間隙水圧を直接計測できる利点があり、良好なデータが得られると考えられ

図1-1に、隣接して設置した部分ストレーナ孔と全区間ストレーナ孔による、実際の地下水観測 結果を示す。この事例では、全区間ストレーナ孔による観測結果は水位が低く、かつ変動も小さく、

部分ストレーナ孔で観測されているような、すべり面付近の間隙水圧は正しく測定できていない。全 区間ストレーナ孔での観測は、他の帯水層への逸水や複数の帯水層の水位の合成によって、すべり面 の間隙水圧を正しく観測できないケースとみられる。この事例の全区間ストレーナ孔のような観測結 果では、地すべりの機構解析や斜面安定解析を適切に行うことは出来ない。このように、複数の帯水 層が存在する場合には、部分ストレーナ孔または間隙水圧計による計測を行うことが望ましい。

図1-1 部分ストレーナ孔、全区間ストレーナ孔による地下水観測例

(左:水位変動グラフ、右:観測孔の構造)

1.2 部分ストレーナ孔による間隙水圧観測の適用

部分ストレーナ孔を設置するためには、設置箇所においてすべり面深度が把握できている必要があ る。

解説

ストレーナ区間(深度)を設定するためには、すべり面深度についての情報が必要である。そのた め、部分ストレーナ孔を設置できるのは、既往調査によってすべり面の深度が明らかな場合や、すべ り面の地質的特徴が明らかで、コア観察ですべり面が特定できる場合となる。

1.3 部分ストレーナ孔による間隙水圧観測の手順

部分ストレーナ孔による間隙水圧観測は、以下の手順に従って実施する。

①観測孔を設置するボーリング孔における水理地質の鉛直分布の調査

①観測孔を設置するボーリング孔における水理地質の鉛直分布の調査