1 総則
1.5 CIM の効果的な活用方法
事業の上流側となる調査・設計段階から CIM を活用することで、概略検討及び詳細設計の効率化、
検討内容の綿密化、設計品質の向上等が期待できる。
また、CIM を活用することにより、施工管理効率化、施工計画検討の綿密化、関係者間情報共有の 円滑化、出来形管理の効率化等の効果が期待できる。
更に、施工段階から提出されたCIM モデル、施工データについて、維持管理の日常点検、定期点検 等の場面での効果的な活用が期待できる。
CIM の効果的な活用方法として、これまでの CIM 試行事業での事例を示す。
(1)調査・設計段階
これまでの設計業務等では、次の活用方法に着目した取り組みが実施されている。
■活用方法① 協議時の仕上がりイメージ確認
図 6 協議時の利用イメージ(例)
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
図面を見慣れていない者でも河川改修後の仕上がりがイメージしやすい。
図面のみでは理解しにくい堤防巻込部の詳細形状が一目瞭然でわかる。
付帯施設との取り合いがわかりやすい。
第3 編 13
■活用方法② 設計照査
堤防の高さが合わない箇所や法面が連続していない箇所があることが判明。
図 7 不連続発生イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
樋門の座標値に誤りがあったため、堤防に対して樋門の位置が川側に突出していることが判 明。
.
図 8 樋門の位置突出イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
従来であれば、設計時には見過ごされ、施工時において顕在化する図面間の不整合、構造物 の干渉等が、3 次元モデルの作成によって一元化されることで発見しやすくなる。
第3 編 14
(2)施工段階
これまでの試行工事等では、次の活用方法に着目した取り組みが実施されている。
■活用方法① 関係機関協議、地元説明会の実施
図 9 説明会風景
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
完成形や施工途中の堤防形状が立体的に表示可能であり、視点を変えることも可能であるた め、地元説明会でも「イメージしやすい」というアンケート結果が得られた。
施工状況を踏まえた 3 次元施工ステップモデルを見せることによって、現場状況のイメージ が浮かびやすく、転落防止柵の設置など、新たな要望が出た。
2 次元図面を使用しての説明と比べ、様々な角度からの視点における現場の状況説明が可能と なり、口頭で説明する労力が軽減した。
第3 編 15
■活用方法② 設計図書の照査
図 10 照査用CIM モデルでの段差発見イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
施工段階の 3 次元モデル作成から、取り合いがより具体化し、施工時に問題が発生する可能 性を抑えることができる。
断面変化部の取り合いが難しい摺り付け箇所が事前に把握でき、設計段階では考慮されてい ない摺り付け方法について、事前検討を行い、スムーズな施工につなげることができた。
■活用方法③ 施工計画書の作成(1)
図 11 掘削形状のイメージ
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
3 次元モデル化することにより、床掘り範囲と根固めブロック、仮締切堤との取り合いがわか り、掘削形状のイメージを事前に確認することができた。
本事例では施工範囲全体の 3 次元モデルを作成しているが、目的や効果によった検討対象箇 所のみを抽出したモデルを作成すれば、作業に必要な時間や手間が軽減可能な場合もある。
第3 編 16
■活用方法④ 施工計画書の作成(2)
図 12 クレーンと架空線の取り合いの可視化
出典:産学官 CIM 検討会 千曲川河川事務所資料
<<効果>>
施工計画図を 3 次元モデル化し、根固工設置箇所にクレーンを据えた場合のクレーンと架空 線の取り合いを可視化することで、平面、断面のほか、斜め方向からも離隔の確認が可能と なり、より具体的でわかりやすくなった。
第3 編 17
(3)維持管理段階
1)CIM モデルの考えられる活用方法
CIM モデルが充実する将来の段階では次の活用方法が考えられる。
■対象堤防周辺の不可視部や地下埋設物位置の確認に活用
図 13 対象堤防周辺の不可視部や地下埋設物位置
出典:産学官 CIM 検討会 国土技術政策総合研究所資料
堤体内の川表遮水工や床止め工部の矢板などの不可視部分が、巡視時にCIM モデルを通じて 確認できることで、変状部の原因究明につながる。
地下埋設物(光ファイバーケーブル)などの設備管理も容易となり、堤防改修時や構造物新 設時の際の事故防止につながる。
第3 編 18
■対象堤防の構造、地層、築堤履歴等のモデル化
図 14 履歴の反映イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 国土技術政策総合研究所資料
堤防の構造形式や被災履歴、補修履歴をあらかじめ確認しておくことで、巡視精度の向上が 期待できる。
地層・築堤履歴がモデルに反映されていれば、被災時の原因究明や復旧対策工の選定や範囲 設定の迅速化につながる。
第3 編 19
■変状箇所の明示による補修の効率化(リスク管理)
図 15 LP データと出来形の比較イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 国土技術政策総合研究所資料
堤防の定期縦横断測量、LP データと CIM モデルを重ね合わせ、沈下、変形等、機能低下の おそれがある大きい変状や越水の可能性のある箇所を色分けすることで補修の計画に活用で きる。
洗掘、堆砂等の変状情報を示すことで、補修や維持掘削の計画に活用できる。
河川敷の植生や利用状況管理への活用も考えられる。
第3 編 20
■災害時にCIM モデルを活用した現場状況の確認(緊急対応)
図 16 災害時に CIM モデルを活用した現場状況の確認イメージ
出典:産学官 CIM 検討会 国土技術政策総合研究所資料
被災後にLP データ、防災ヘリや衛星による画像等を取得し、CIM モデルに重畳させること で、原因究明や対処方法の選定に活用できる。
第3 編 21 2)CIM モデルの活用の方向性
当面の維持管理段階への活用については、次の方向性が考えられる。
■河川分野の維持管理の特徴
河川の維持管理については、ほかの分野と異なり、①管理延長が長い②対象が自然物と人工物 の複合構造であり、図面等が無い部分が多い③変状情報を常に収集・把握する必要があるという 特徴がある。
■維持管理への適用に当たっての課題
短期間に広範囲の3 次元モデルを構築するに は、かなりの費用を要するため現実的でない。
施工でのCIM の成果を活用しようとしても、
管理対象のほんの一部分に留まり、すぐには 活用できない。
図 17 管理区間と事業区間の比較
出典:第 4 回産学官 CIM 検討会資料
■断面配置モデルの活用
断面配置モデルとは、元々は 2 次元の 状態のデータを 3 次元モデル空間内の正 しい位置に配置したものである。
図 18 断面配置モデル例
出典:第 4 回産学官 CIM 検討会資料
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