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英語を母語とする日本語学習者による数詞「一」を含む数量表現の使用傾向に関する研究-中国語を母語とする日本語中級学習者との比較を通して-

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(1)

探討以英文為母語之日文學習者關於日文數量詞「一」

的使用傾向:與中文母語話者之日文中級學習者比較

How Do Japanese Learners of English Native

Speakers Use Quantifier “One”: By Comparing

with the Japanese intermediate learners of the

Chinese Native Speakers

Yen-Ju Chen

陳嬿如

Department of Japanese Language and Literature

Providence University, Republic of China (Taiwan).

靜宜大學日本語文學系

108.03.24 到稿 108.05.12 通過刊登

(2)

英語を母語とする日本語学習者による数詞「一」

を含む数量表現の使用傾向に関する研究

―中国語を母語とする日本語中級学習者との比較

を通して―

陳嬿如

要 旨

本研究は英語と日本語における数量表現の異同に着目し、日本語学習者の使用 頻度、形式及び誤用の傾向が母語の影響を受けるかを明らかにすることが目的で ある。本研究は『多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)』から、英語 を母語とする日本語学習者 50 名の言語資料を用い、数詞「一」の使用実態を検 討した。同じ課題を遂行した日本語話者及び中国語話者 50 名ずつの産出と比較 したところ、以下の結論が得られた。(1)中級レベルの日本語学習者は母語や日 本語能力レベルに関わらず「数量詞+名詞」の形式を多く使用していることが観 察され、「名詞+数量詞」と「数量詞+名詞」の形式をほぼ均等に使用している 日本語母語話者の使用傾向と異なっている。これは、英語と中国語の数量表現形 式による影響だと考えられる。(2)誤用・不自然な使用について、英語を母語と する中級学習者は、上位群が下位群に比べ、「助数詞の誤選択」の割合が減り、「形 式の混同」と数量詞の「過剰使用」の割合が増えた。中国語を母語とする中級学 習者は、上位群、下位群を問わず、「助数詞の誤選択」の誤用が一番多かったた め、誤用の傾向が学習者の日本語能力というより、母語の影響を受けている可能 性があると考えられる。(3)英語を母語とする日本語学習者による数量詞の使用 頻度が日本語と中国語母語話者を下回るため、学習者が母語の影響を受け、「一」 を含む数量表現を過剰に使用したとは言えない。しかし、物事の存在に関する質 問について返事をする際、英語と中国語を母語とする学習者は共に日本語の数詞 「一」の過剰使用が観察された。

(3)

キーワード:「一」を含む数量詞、英語母語話者、学習者コーパス、日文中級学 習者、母語の影響

(4)

How Do Japanese Learners of English Native

Speakers Use Quantifier “One”: By Comparing

with the Japanese intermediate learners of the

Chinese Native Speakers

Yen-Ju Chen

Abstract

This study focuses on the difference of the numerical expression in English and Japanese, and wants to clarify whether the frequency, the form, and the errors of Japanese quantifier “One” that were used by English native speakers, were affected by their native language. By analyzing a learner corpus called I-JAS, and by comparing the results of Japanese and Chinese native speakers, I got the conclusions as follows. First, Japanese native speakers used “noun+ quantifier (NQ type)” and “quantifier+noun (QN type) ” approximately equally. When Japanese intermediate learners, regardless of their Japanese proficiency and mother tongue, used “quantifier+noun (QN type) ” more. The usage of learners may be influenced by the quantifier form of English and Chinese. Second, about the errors of English native speakers, the upper group of the intermediate learners in comparison with the lower group, could be found less “the misuse of quantity words” in their data. Instead more “the confusion of the basic form” and “the excessive use of quantifier” were found. On the other hand, Chinese native speakers, regardless of their Japanese proficiency, tended to use more “the misuse of quantity words”. Therefore we can get a conclusion that the errors of Chinese native speakers may be affected by the mother tongue rather than the Japanese proficiency. Third, it cannot be said that Japanese learner of English native speakers use "one" excessively, because the frequency of the learners came under the Japanese and Chinese native speakers. However, as an answer to a question sentence about the existence of things, “the excessive use of quantifier” was observed to the learners of English and Chinese native speakers.

(5)

Key-words: Quantifier “One”, English Native Speakers, Learner corpus,

Japanese intermediate learners, Language transfer

Yen-Ju, Chen, Ph.D. Doctor in Education in Hiroshima University, Japan, Assistant Professor at the Department of Japanese Language and Literature, Providence University, Republic of China (Taiwan).

(6)

探討以英文為母語之日文學習者關於日文數量詞「一」

的使用傾向:

與中文母語話者之日文中級學習者比較

陳嬿如

摘 要

本研究著眼英文與日文在數量表現上的差異,欲探討以英文為母語之日文學習 者在數量詞使用頻率、形式與誤用的傾向,是否受到母語的影響。藉由『多語言母 語日文學習者橫斷語料庫(I-JAS)』中 50 名英文母語話者的語料,分析學習者使用 日文數量詞「一」的使用傾向。與同語料庫日文母語話者、中文母語話者各 50 名 的使用傾向比較後,得到以下結論。(1)英文與中文母語話者不論日文能力高低, 皆以「數量詞+名詞」的形式為多,與「名詞+數量詞」形式略多於「數量詞+名 詞」的日文母語話者使用傾向不同。此結果可能受到英文與中文裡數量表現形式的 影響。(2)中級程度的英文母語話者隨著日文能力的提升,「量詞的誤用」比例降 低,「形式的混同」與數量詞的「過剩使用」比例提高。然而同樣中級程度的中文 母語話者,不論日文能力高低,皆以「量詞的誤用」比例最高。此結果說明,關於 中級學習者的誤用傾向,可能受到中文量詞使用習慣的影響較日文能力的影響更 大。(3)英文母語話者之學習者的使用頻率較日文母語話者與中文母語話者低,因 此不能說學習者因為母語的影響,過度使用日文的數量詞「一」。然而,在回答某 事物是否存在時,英文與中文母語話者皆可見到日文「一」的過剩使用。 關鍵詞:包含「一」的數量詞,英文母語話者,學習者語料庫,日文中級學習者, 母語的影響 陳嬿如,日本廣島大學博士(教育學),現任靜宜大學日本語文學系專任助理教授

(7)

英語を母語とする日本語学習者による数詞「一」

を含む数量表現の使用傾向に関する研究

―中国語を母語とする日本語中級学習者との比較

を通して―

1.はじめに

英語の冠詞は義務的な存在であるため、個体のものを表わすのに定冠詞や単 数・複数の数量標示が必要不可欠である。それに対し、日本語の場合は、必ずし も必要というわけではない。一方、中国語の場合は、冠詞を持たない点に関して は日本語と類似的であるが、単数の際に使用する数詞「一」を含む数量表現は部 分的に必須であると言われている。つまり、単数の記号を使用するか否かという 点においては、日、中、英三言語が異なっている。 (1)a.机の上に(一冊の)本がある。 b.桌上有一本書。

c.There is a book on the table.(陳 2019)

そのため、日本語学習者の数量表現の使用傾向を母語による影響という観点か ら分析する場合、数量表現を単数と複数を分けて考察する必要がある。 日本語の場合、本の数を数える際に、数量が単数又は複数であろうと「本があ る」と数量表現を使用せずとも述べることができる。しかし、奥津(1986)では、 日本人は数量標示を伴わない名詞である場合、単数として解釈する傾向があると 指摘した。このことから、日本語話者は単数の指示対象に対し、数詞「一」をあ まり使わない傾向があると考えられる。逆に、英語話者と中国語話者の日本語学 習者が自身の母語の特徴を目標言語に当てはめて使用してしまうと、日本語母語 話者より数詞「一」を多用してしまうと予想される。 しかし、学習者コーパス(I-JAS)を用い、中国語母語の日本語学習者におけ る数詞「一」を含む数量表現を検討した陳(2019)は、中国語話者の日本語数詞

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「一」の使用頻度が日本語話者より低いという結果が得られた。つまり、学習者 が過剰に数詞「一」を使用した証拠が得られなかったということである。 本研究は陳(2019)の検討を踏まえた上で、同じ学習者コーパスにおける英語 を母語とする日本語学習者の「一」を含む数量表現を分析し、考察を行いたい。 単数の数量表現において、母語の使用傾向が近い英語話者と中国語話者、及び日 本語話者との共通点と相違点を明らかにすることが目的である。

2.日・中・英三言語における「一」を含む数量表現の違い

2.1 「一」を含む数量表現の形式・意味

岩田(2013)では、日本語の数量表現の形式について、助数詞1を Q、名詞を N、 助詞を C で表記すると、数詞「一」と名詞の組み合わせは主に「NC1Q 型(例:学 生が一人)」「1Q の NC 型(例:一人の学生が)」「N1QC 型(例:学生一人が)」 「N の 1QC 型(例:学生の一人が)」の 4 形式に分類でき、それらを数量表現の 定番 4 形式と名付けている。また、数量詞が単独で使用される「デ格型(例:一 人で)」、「述部型(例:学生は一人だ)」、「内訳(例:一人は学生だ)」な どの用法もある。 そのうち、「NC1Q 型」は数量情報が焦点となる無標の形式であるため、新情報 導入の際に使用されている。それに対し、「1Q の NC 型」は不定、全体性、共有 的意味を表す。「N1QC 型」は名詞句内での数量情報を焦点にする形式であり、目 録・リストとして提示する機能がある。「N の 1QC 型」は名詞の部分数を表す形 式と指摘されている。 日中両言語間での言語の違いについて、建石(2008)では、数量表現で使われ る形式「N+の+一+助数詞」と、副詞句として使用される形式「一+助数詞」 の日本語の使用形式に対応する中国語の形式がないと指摘している。それらは、 名詞が数量詞の前に前置される「N の 1QC 型」、「N1QC 型」と「NC1Q 型」に該当す る。一方、陳(2007)によれば、中国語の場合、「数量詞+名詞(例:一本書(一 冊の本))」という形式が最も使用される数量表現であるが、強調や限定など、特 別な意味を表す際には「名詞+数量詞」の形式で使用されている。

1 本研究では中国語の数量表現である量詞を「助数詞」と呼ぶことに統一し、「数詞(一、二、三…)+助 数詞(つ、人、本…)」の形式を「数量詞」とする。

(9)

(2)a.書買了三本,筆買了兩支(本を三冊買い、ペンを二本買った) b.買了書三本,筆兩支。(本を三冊、ペンを二本買った)(陳 2007) 久野・高見(2004)では、英語の単数形式が「a(n)+名詞」であり、可算名 詞のほかに抽象名詞、総称名詞も特定の文型と併せれば、「a(n)+名詞」が使 用できると指摘されている。可算名詞に関しては、「単一の個体」を示す場合、 不定冠詞が義務的であるが、明確な形を持たない「連続体」の場合は、「a(n)」 がつかないという違いがある。

(3)a.I had an egg this morning.(私は今朝卵を一個食べた。)

b.You have egg on your chin. (顎に卵の食べかすが少しついている。) (4)a.I will make a speech this afternoon.

b.Speech is silver, silence is golden.((3)、(4)は久野・高見 2004) (4a)は日本語に訳すと、「私は午後にスピーチをします」になり、(4b)は「雄 弁は銀、沈黙は金」というイギリスの諺である。(3b)、(4b)のいずれも、明確 な形を持たない「連続体」であるため、単数の形式が使われていない。 形式の面から見ると、日本語の数量表現は形式が多い。意味の面から見ると、 日本語の「1Q の NC 型」は数量だけでなく、不定・全体性・共有などの意味もあ り、比較的に有標である。それに対し、英語では「名詞+数量詞」の形式がなく、 中国語では「名詞+数量詞」が強調や限定などの意味を表す際に使用されるため、 数量詞が前置される形式がより一般的(無標)だと考えられる。 以上のように、日、中、英三言語における「一」を含む数量表現の形式、及び それに対応する意味が以下の表 1 のようにまとめられる。 表 1:日・中・英三言語における数量表現の形式・意味 日本語 中国語 英語 数量詞 +名詞 1Q の NC 型: 不定・全体性・共有 1+助数詞+N: 無標の数量形式 a(n)+N: 単一の個体の存在 名詞+ 数量詞 NC1Q 型: 無標の数量形式 N+1+助数詞: 強調、限定など特別 なニュアンス ない

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数量表現を使用するか否かの面から見ると、単一の個体の存在を表すのに、日 本語では、「一」が任意的であるが、英語と中国語(の一部)では、単数の記号 が必須である。さらに、英語は可算名詞以外でも「a(n)」が使用できるため、 不定単数の記号の使用範囲が中国語と日本語より広いと言える。 また、類別詞(助数詞)を持つかどうかの観点から見れば、英語は類別詞を持 たない言語に属しているのに対し、日本語と中国語は類別詞を持つ言語であるた め、英語と比べると、日、中両言語の類似点が多いと考えられる。

2.2 日本語学習者による数量表現の習得について

コ ー パ ス を 用 い 、 日 本 語 学 習 者 の 数 量 表 現 の 習 得 に つ い て の 研 究 は 倉 品 (2009)、三井(2013)、陳(2019)などがある。三井(2013)は作文対訳データ ベースを用い、英語母語話者による複数形の数量表現を調査した。日本語名詞の 複数表現を「接辞での複数表示(例:学生たち)」、「数詞もしくは数量表現によ る複数表示(例:三人の学生)」、「指示語による複数表示(例:その学生たち)」 に分類したところ、英語話者は複数接辞や数量表現を伴わない単数での指示表現 の使用や、類例として挙げた先行詞を指示単数形の使用により誤用が観察された と報告されている。しかし、「数詞もしくは数量表現による複数表現」と「接辞 での複数表示」の誤用については言及されていない。 倉品(2009)は日中両言語の対照分析で予測された母語の転移の有無を作文対 訳データベースから検証している。その結果、負の転移が予測された「N の 1QC 型」、「NC1Q 型」、「N1QC 型」においては、予想通り誤用が観察されたが、予測と は異なる形式も使用されているという結果が得られた。 作文以外の資料に関して、陳(2019)では、『多言語母語の日本語学習者横断 コーパス(I−JAS)』を用い、中国語話者を対象に数詞「一」を含む数量表現を検 討した。その結果、中国語母語の日本語学習者の使用形式に関しては、「1Q の NC 型」が一番多く、「NC1Q 型」が多い日本語母語話者と異なる傾向を示しているこ とが報告されている。日本語のレベルが進むにつれて、「NC1Q 型」の使用率が上 がったが、上級学習者でも「数量詞+名詞」の割合が全体の 5 割り近くを占めて いる。不自然な使用に関しては、陳(2019)が学習者の誤用を「助数詞の誤選択

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2」、「形式の混同」と「過剰使用」に区別している。そのうち、母語中国語の「個 (ものを表わす助数詞)」と日本語の「つ」の相違点に起因する「助数詞の誤選 択」が一番多かったという。一方で、中国語を母語とする日本語学習者は日本語 母語話者より「一」の使用頻度が低いことから、学習者は過剰に数詞「一」を使 用した証拠が得られていないとも述べられている。

2.3 問題点と残された課題

以上のように、日本語学習者の作文を対象に行った研究は倉品(2009)と三井 (2013)があるが、単数形と複数形で調査項目の違いがある。陳(2019)では中 国語話者のみを対象としたため、得られた結果が母語の影響によるか否かははっ きりとしなかった。 母語の影響が見られるとすれば、母語の数量表示が必須である英語話者は、単 数が部分的に省略できない中国語話者、さらに数量表示が任意である日本語話者 より、日本語の「一」を多く使用することが予想できる。 学習者の母語による影響、及び母語が異なる学習者の使用傾向を明らかにする ために、英語話者と中国語話者の日本語学習者が使用した「一」を含む数量表現 の共通点と相違点を検討する必要がある。 また、陳(2019)が学習者の不自然な使用を「助数詞の誤選択」、「形式の混同」 と数量詞の「過剰使用」に分類していたが、誤用の原因が複合的である場合や、 解釈により分類が異なる場合もある。例えば、(5)は「方法が二つある」と「方 法二つがある」の形式の混同と考えられるが、助詞「が」の付加による誤用とお も解釈できるからである。(6)のような旧情報を指す際に、「1Q の NC 型」を使用 した誤用も過剰使用に分類されているが、指示詞の替わりに「一」が使用された 誤用とも考えられる。 (5)ゲームで新しいキャラクターをゲットする??方法は二つが3(→方法が二 つ)あります。(中国語話者 日本語専攻大学 4 年生の卒業論文の下書き) (6)(ケンとマリーは)地図を研究する時、犬がそっとバスケットに入ってし まった。(中略)ケンは蓋を開けて、食べ物を出そうと思って、パット??

2 陳(2019)は「量詞の誤選択」と名付けたが、本研究では、「助数詞の誤選択」と呼ぶことにする。 3 本研究は文法の誤用を「*」、不自然な表現を「??」で表記する。先行研究の例文の判定は個々の文献に 従う。

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一匹の犬が(→その犬は/犬は)走ってしまった。(中国語話者 CCM11-SW1) (6)に関しては、陳(2019)では、母語の影響による誤用として指摘されて いるが、このような誤用は英語話者にも見られるのだろうか。本研究は英語話者 の数量表現の使用傾向に着目し分析を行う。研究課題は以下の通りである。 (7)a.英語母語の日本語学習者による数詞「一」を含む数量表現の使用、及 び誤用の傾向を明らかにする。 b.英語話者による日本語の数量表現の使用傾向を、中国語話者、日本語 話者との比較を通し、母語と日本語能力の差異によって学習言語にど のような影響を及ぼすのかを考察する。 c.英語話者と中国語話者の日本語学習者は、「一」を含む日本語の数量表 現を過剰に使用しているのかを検討する。

3.研究方法

3.1 分析の手順

本研究は『多言語母語の日本語学習者横断コーパス(以下、I-JAS と略称する)』 第 1 次と第 2 次データから英語母語話者による日本語「一」を含む数量表現を文 脈ごとに収集し、岩田(2013)の分類に従い、形式の分類を行った。 日本語の数量詞は大別すると数量を表す数量詞(例:三匹の子豚、以下「数量 数量詞」と呼ぶ)と属性を表す数量詞(例:三キロの子豚、以下、「属性数量詞」 と呼ぶ)の二種類に分類できる。本研究では、ものの数量を表す際の数量表現に 着目するために、「数量数量詞」のみ研究対象とする。I-JAS の検索エンジンで「一」 を含む数量表現を検索してから、手作業で対象となる使用項目を取り出した。 比較対象となる中国語母語の日本語学習者と日本語母語話者の産出資料は、陳 (2019)で用いられた同様の言語資料(資料 CCM と資料 JJJ)を今回の英語話者 の資料と同じ基準で、再分類を行った。英語母語の学習者が使用した日本語「一」 の正誤判定は 3 名の日本語母語話者に依頼し、2 名以上の判定が一致しているも のを正用および誤用・不自然と判定した。 学習者コーパス I-JAS を用いた理由は、同じ課題を行った英語話者、中国語話

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者、日本語話者の言語資料が収録されているため、学習者間の比較はもちろん、 日本語話者との比較も可能である。さらに、学習者の日本語能力レベルが判定さ れているため、同じレベルの学習者と比較することもできるからである。

3.2 資料の詳細

資料は、インタビュー(以下、I)、ロールプレイ 2 課題(以下、RP)、ストー リーテリング 2 課題(以下、ST)、及びストーリーライティング 2 課題(以下、 SW)が含まれる4 調査対象者となる英語母語の日本語学習者はアメリカ 27 名(資料 EUS)とオー ストラリア 23 名(資料 EAU)であり、合計 50 名の言語資料である。数量表現「一」 の使用が見られた学習者のみ、研究の分析対象者とする。 表 2:資料の詳細(括弧内は中級学習者の結果を示す) 資料 J-CAT 成績 全発話数 使用数 分析対象者 英語話者 EAU 23 名 EUS 27 名 61 点~284 点 平均 166 点 138,465 語 (118,763 語) 70 回 (61 回) 初級 2 名 中級 32 名 上級 2 名 中国語話者 CCM 50 名 103 点~354 点 平均 235 点 153,075 語 (83,729 語) 117 回 (68 回) 上級 19 名 中級 24 名 日本語話者 JJJ 50 名 関東圏在住 246,459 語 205 回 49 名

学習者の日本語能力は「Japanese Computerized Adaptive Test(J-CAT)」5 本語試験の成績によって区別されている。便宜上、英語母語と中国語母語の学習 者をそれぞれ ENS と CNS と、日本語母語話者を JNS と略称する。 「一」の使用が見られる英語母語話者計 36 名のうち、中級学習者(初級 2 名、 中級 32 名、上級 2 名)が多いため、中国語母語話者との異同を分析する際に、

4 上記課題のほかに絵描写課題(D)と作文課題もあるが、すべての学習者が遂行したというわけではない ため、本研究では、分析項目から外し、全発話数に入れていない。

5 J-CAT(Japanese Computerized Adaptive Test)は一般社団法人日本語教育支援協会が主催したオンラ

イン日本語テストである。スコアが 100 未満の学習者は初級に、100-250 の学習者は中級に、250-350 の 学習者は上級レベルに相当していると見なされている。

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中級学習者の言語資料を選出し、考察を行うことにした。さらに、学習者の日本 語能力の違いによる影響を分析するために、分析対象となる中級学習者をさらに 中級下位群と中級上位群に分けた。学習者の平均得点数は、英語母語の中級下位 群が 145 点、上位群が 213 点であり、中国語母語の中級下位群が 180 点、上位群 が 224 点である。 表 3:英語と中国語を母語とする中級日本語学習者の詳細 資料 分析対象 J-CAT 成績 ENS 中級学習者 32 名 下位群 16 名 平均 145 点 上位群 16 名 平均 213 点 CNS 中級学習者 24 名 下位群 12 名 平均 180 点 上位群 12 名 平均 224 点

4.英語母語話者による日本語「一」の使用傾向

英語を母語とする学習者の資料から、「一」を含む文脈を集め、表 4 のように まとめた。網掛けの部分は、一番多く使用されている形式で、下線の部分は、二 番目に多く使用された形式のことである。 使用形式に関して、岩田(2013)は「1Q の NC 型」という形式のみ設けたが、 実際には、(9)の「一人ルームメイト」のような「1QNC 型」も存在するため、本 研究は、「1Q の NC 型」から独立させ集計することとした。 「1Q の NC 型」と「1QNC 型」を含めて考えると、数量詞が名詞の前に置かれる 「数量詞+名詞」の形式(以下、QN 型)は全使用数の 24.3%を占め、使用割合 が一番高かった。

(15)

表 4:英語話者による日本語「一」の使用回数(割合) 1 つ 1 人 1 軒 小計 合計 割合 数量詞 +名詞 1QNC 型 3 3 17 24.3% 1Q の NC 型 10 4 14 名詞+ 数量詞 N1QC 型 3 1 4 12 17.1% NC1Q 型 5 1 1 7 N の 1QC 型 1 1 デ格型 11 11 11 15.7% 代名詞(内訳) 1 5 6 6 8.6% 述部型 4 3 7 7 10.0% その他 7 6 13 13 18.6% 慣用表現 4 4 4 5.7% (8)JNS:いっぱい行きましたね。 ENS:早く次の町へ行きますから、一つの町に長い時間いませんでした。 【1Q の NC 型】(EAU36-I 中級上位群)6 (9)JNS:寮は一人の部屋ですか。ルームメイトがいますか。 ENS:はい、一人ルームメイト【1QNC 型】(EUS23-I 中級下位群) 「NC1Q 型」、「N1QC 型」や「N の 1QC 型」など名詞が数量詞の前に置かれる形式 (「名詞+数量詞」、以下 NQ 型と呼ぶ)は全体の 17.1%となっている。 (10)ちょっと日本語の単語一つ一つを調べて、それから日本語に興味が持っ て、その前にあまり言語を勉強する機会とかなかったので… 【N1QC 型】(EUS14-I 上級)

(11)クラスが just one、一つあります。【NC1Q 型】(EUS13-I 中級下位群) (12)本当に怖かった思い出の一つは…【N の 1QC 型】(EUS02-I 中級上位群) 岩田(2013)で述べられている定番 4 形式以外の「デ格型」、「述部型」、「内

6 EAU36-I は 36 番目の学習者のインタビュー資料である。音声音、あいづち、フィラーなど意味に影響を

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訳」も見られた。 (13)問題はセントルイス市が割とちょっと危ないところなんですから、女性 として一人でそこに住むのがちょっと良くないかなと思っていますが …。【デ格型】(EUS14-I 上級) (14)JNS:他の人もいたんですね。 ENS:はい、一人はオーストラリアのブリスベンから、もう二人はフラン スから来ましたと、もう一人の(→は)アメリカから…。 【内訳】(EAU03-I 中級上位群) (15)取らないといけない科目がありますが、国語は一つなんですけど…。 【述部型】(EAU15-I 中級上位群) 返事や相手の話の繰り返しなど、数量詞が単独で現れた場合や上述の形式以外 の分類が難しいものは「その他」に分類した。「一」を含む慣用表現(例:一人 っ子)を「慣用表現」として集計した。 (16)JNS:うん、ルームメイトは何人ですか。 ENS:ああ、一人。【その他】7(EUS50-I 中級下位群) 陳(2019)では、中国語を母語とする日本語学習者の誤用と不自然な使用を「助 数詞の誤選択」、「形式の混同」、「過剰使用」に分類している。この分類は英語話 者の日本語学習者の誤用や不自然な使用にも該当する。

A. 助数詞の誤選択

まず、英語話者は日本語話者、中国語話者より使用した助数詞の種類が少なか ったのに加え、中国語話者と同じように、「一人」を使用しなければならない場 面で、「一つ」を使用した量詞の誤用が見られた。 (17)*一つの学生はナイフは学校に持って… (→一人の学生がナイフを学校に持って)(EAU20-I 中級上位群)

7(16)は「一人います(NC1Q 型)」や「一人です(述部型)」の両方の意味に解釈できる。

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B. 形式の混同

本研究は陳(2019)を参考に、ほかの数量詞形式を使用した方が自然な場合を 「形式の混同」を呼ぶこととする。(18)と(19)がこれにあたる。 (18)JNS:好きなベトナム料理は何ですか? ENS:??一つの dish です。フォーです。 (→好きなベトナム料理は一つあります。) 【デ格型→NC1Q 型】(EAU09-I 中級下位群) (19)(話者に姉と妹が二人ずついる) ENS:父と??一人姉、姉一人、妹と住んでいます。 (→{姉一人と妹一人と/一人の姉と一人の妹と}住んでいます。) 【1QNC 型→N1QC 型/1Q の NC 型】(EUS13-I 中級下位群)

C. 過剰使用

さらに、「一」を含む数量詞を使用しない方が自然な場合がある。陳(2019) ではこのような誤用を数量詞の「過剰使用」と呼び、「助数詞の誤選択」、「形式 の混同」と区別する。しかし、「一」が過剰に使用される場合については、さら に「一」を含む数量詞がない方が自然な場合と「一」によって限定された名詞全 体を使用しない方が自然な場合に下位分類ができる。 C-1「一」を含む数量詞の過剰使用 (20)(セント・メリーズ大聖堂の話)自然の中、??一つのその教会(→その 教会)だけあって、周りは全部自然だから。(EAU07-I 中級上位群) C-2 数量詞を含む名詞全体の過剰使用。 (21)JNS:今一番日本のことで、興味があることって何ですか。 ENS:趣味は、今はあまり??一つのことはないですけど… (→趣味は特にないですけど…)(EAU34-I 中級上位群)

5.考察

次に学習者の使用傾向と母語と日本語能力との関連に注目し考察を行い、英語

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話者と中国語話者、及び日本語母語話者の共通点と相違点を検討したい。

5.1 学習者の母語と日本語能力の違いによる影響

母語の違いにより学習者の使用傾向にどのような影響が観察されるのだろう か。英語母語の中級日本語学習者の使用形式を取り出し、同じ中級レベルの中国 語母語話者と比較すると、以下のような特徴が見られる。 表 5 の中国語話者の結果は陳(2019)と同じ言語資料を用いたが、今回の主旨 に合わせ、中級学習者のみの資料を集め、上位群と下位群に分類したものである。 日本語話者の結果は陳(2019)と同じ言語資料に基づき再集計した。 表 5:英語話者、中国語話者、日本語話者による数量表現の使用形式の比較 QN 型 NQ 型 デ格型 内訳 述部型 その他 慣用 英語 中下 26.9% 15.4% 19.2% 7.7% 7.7% 23.1% 0.0% 中上 28.6% 14.3% 8.6% 5.7% 11.4% 20.0% 11.4% 中国語 中下 35.1% 10.8% 21.6% 29.7% 0.0% 2.7% 0.0% 中上 25.8% 6.5% 25.8% 12.9% 9.7% 16.1% 3.2% 日本語 20.5% 21.5% 9.8% 16.1% 17.1% 3.9% 11.2% 学習者は母語と日本語能力を問わず、数量詞が名詞の前に前置する「QN 型」の 使用が多い。それに対し、日本語母語話者はわずかの差だが、「NQ 型」の使用が 「QN 型」を上回っている。このことから日本語学習者の使用傾向は日本語母語話 者のそれと異なっていることがわかった。英語と中国語は共に「数量詞+名詞」 の形式が数量表現の無標形式であるため、英語話者、中国語話者に「QN 型」の使 用が多いのは、母語の使用傾向から影響を受けたと考えられる。 英語母語話者について、レベルを問わず、「QN 型」の次に最も多かった使用形 式は「その他」である。英語母語話者は数量などを聞かれた際に、その返事とし て単独で数量表現を使用している傾向にあった。その次、中級下位群の学習者は、 「デ格型」が多いのに対し、中級上位群になると、「NQ 型」の占める割合が高く なり、「NQ 型」が多い日本人の使用傾向に近づいてきたと考えられる。 また、中国語母語話者は、「QN 型」の次に多く使用したのは中級下位群が「内 訳」、中級上位群が「デ格型」である。中国語母語話者中級上位群の学習者が中

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級下位群より「NQ 型」を使用する割合が低かったため、日本語母語話者の使用に 近い傾向が観察されていない。 母語に「名詞+数量詞」という形式がある中国語話者がそうでない英語話者よ り「NQ 型」の使用が少ない原因は、中国語において「名詞+数量詞」の形式が特 別なニュアンスを表す有標的な表現であるため、数量を表す際に、中国語話者の 日本語中級学習者が積極的に母語の有標形式に当てはめて使用していないので はないかと考えられる。

5.2 日本語能力と不自然な使用との関わり

陳(2019)の結果によると、中国語母語の日本語中級学習者の不自然な使用に 「助数詞の誤選択」が多く、上級学習者に「形式の混同」、及び「過剰使用」の 割合が高いことが報告されている。本研究は、英語を母語とする学習者の不自然 な使用と比較するために、中級学習者の結果のみ選出し、下位群と上位群別でま とめた。 表 6:英語話者と中国語話者の不自然な使用 正用 助数詞の誤選択 形式の混同 過剰使用 英語 中級・下位群 69.2% 15.4% 15.4% 0.0% 中級・上位群 82.9% 2.9% 8.6% 5.7% 中国 語 中級・下位群 83.8% 13.5% 2.7% 0.0% 中級・上位群 67.7% 19.4% 3.2% 9.7% 表 6 の結果で示したように、中級下位群の学習者は母語を問わず、「助数詞の 誤選択」による不自然な使用が多い。また、母語を問わず、「過剰使用」による 不自然な使用が、中級上位群の学習者にのみ観察されている。 英語話者下位群の学習者は「助数詞の誤選択」が「形式の混同」とともに多く 観察されたのに対し、上位群の学習者は、「助数詞の誤選択」による不自然な使 用率が減っていた。一方で、中国語話者の場合、中級下位群も上位群も「助数詞 の誤選択」による不自然な使用率が一番高い。 陳(2019)では、中国語母語話者による「助数詞の誤選択」の割合が高いのは、 「つ」にあたる母語の「個」の影響だと指摘されている。実際の資料においては、

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母語に助数詞がない英語母語話者も(17)のような「一人」を使うべきところで、 「一つ」を使用した誤用が観察できるため、一見、陳(2019)の結論に反してい る結果であった。しかし、今回の英語母語話者の中級上位群の学習者の資料に関 して言えば、助数詞の種類は少なかったが、「助数詞の誤選択」の割合は中国語 話者より顕著に低いことがわかった。一方、中国語話者の中級上位群の学習者の 使用に、「助数詞の誤選択」が多く観察されたことから、このタイプの誤用は、 中国語話者が中級になっても減らないと言える。言い換えると、中国語話者は母 語の助数詞の影響で、英語話者より「助数詞の誤選択」の時期が長く続く可能性 がある。

5.3 日本語母語話者と学習者が使用した「QN 型」の異同

次に、学習者が母語を問わず、多く使用した「QN 型」の形式と使用場面を分析 し、日本語母語話者との相違点を検討する。 5.3.1 日本語母語話者の使用形式に見られる特徴 「1QNC 型」は使用上に制限があり、会話のほか不自然な場合が多い。日本語母 語話者は、次のように「1Q」と「NC 型」の間に修飾語を挿入した形式で用いてい る事例が見られた。 (22)一つ思いあたるのがこれは厳しいエピソードですけれども…(JJJ05-I) (23)中学の同級生の飲み会で一人アメリカに単身赴任している人が日本に戻 って来たので、その方を中心に飲み会をしました。(JJJ02-I) このような数量詞と名詞の間に修飾語(句)を挿入する使用は、英語話者の資 料には下記(24)を除き、ほとんど観察されなかった。中国語話者においても「一 ついい公園」「*一つ小さな犬」や(25)のように「1Q」と名詞の間に短い修飾語 が含まれる例は見られたが、上級学習者の資料にのみ観察されている。いずれに しても「1QNC 型」というより「1Q の NC 型」の方が多く見られる。 (24)(=(20))自然の中、??一つのその教会(→その教会)だけあって、周 りは全部自然だから。(EAU07-I 中級上位群) (25)JNS:君がいいと思うんだけど、どうしたらいいかなあ。

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CNS:もう一人の料理が上手な人を募集しましょう。(CCM19-RP2 上級) つまり、同じ「QN 型」に属する形式でも日本語学習者と日本語母語話者の使用 特徴に違いがあるということである。 5.3.2 学習者の使用に見られる共通点 また、「1Q の NC 型」の使用場面について、学習者には日本語母語話者とは異な り、次のような共通点が見られた。 (26)(=(18))JNS:好きなベトナム料理は何ですか?

ENS:??一つの dish です。フォーです。(EAU09-I 中級下位群) (好きなベトナム料理は一つあります。フォーです。) (27)JNS:観光地で有名な所はありますか。 CNS:??一つの場所はとても有名です。(CCM18-I 中級下位群) (有名な場所は一つあります。/ある場所はとても有名です。) (28)(=(21))JNS:今一番日本のことで、興味があることって何ですか。 ENS:趣味は、今はあまり??一つのことはないですけど… (→趣味は、特にないですけど)(EAU34-I 中級上位群) (26)から(28)は、日本語話者が学習者に有名な観光地や好きな料理などに ついての質問に回答する場面であり、「~はありますか。」「~は何ですか。」とい う質問に対して、「1Q の NC 型」で答えた例である。 つまり、学習者は「いくつありますか/何人いますか」のように物事の数量を 聞く場面だけではなく、ある物の存在の有無について質問される場面でも、新情 報として「1Q の NC 型」で答える傾向があると示唆される。この結果は、中国語 話者の日本語学習者は存現文に必要でない数量詞を加える傾向があるという滕 (2015)8の主張を部分的に支持しているが、それは中国語話者だけではなく、英 語話者の産出にも同じ傾向が観察された。 このような使い方は学習者が伝えたい場所や料理の名前を知らない、もしく は、名前を思い出そうとする時に共通に見られるものだと考えられる。 同じような場面での日本語話者の回答には、「一」は用いられない。

8 滕(2015)では、日本語話者 6 名と中国語話者 10 名を対象に「木の上に__小鳥がいる。「前から__ 人が来た。」という 2 つの存現文に数詞「一」を加えるかについて調査した。

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(29)JNS1:鳥取で有名な物ってありますか? JNS2:僕は鳥取県の西部地方出身で、境港市っていう所(中略)水木し げるロードってのが一番有名(JJJ03-I) (30)JNS1:何か特別な出来事とかっていうのありました? JNS2:昨日は特にないですね。(JJJ01-I) 5.3.3 学習者の使用に見られる相違点 学習者の相違点に関して、中国語話者には、次のような「一」の過剰使用が見 られた。(31)は既出の指示対象(旧情報)を再び指す場合に、「1Q の NC 型」を 使用してしまった誤用である。このタイプの「一」の過剰使用は陳(2019)によ って指摘されているが、今回の英語話者の言語資料には観察されなかったため、 中国語母語の影響によるものである可能性があると考えられる。 (31)(=(6))地図を研究する時、犬がそっとバスケットに入ってしまった。 (中略)ケンは蓋を開けて、食べ物を出そうと思って、パット一匹の犬 が(→その犬は/犬は)走ってしまった。(CCM11-SW1 上級) このような誤用は中国語話者にのみ見られているかは、今後、初級と上級学習 者を対象に更なる検討が必要である。

5.4 「一」を含む数量詞の使用頻度

日本語話者、英語話者、及び中国語話者による日本語の数詞「一」の使用回数 を語彙数 10,000 語あたり何回使用しているのかに換算すると、日本語話者は 8.3 回使用であるのに対し、英語話者と中国語話者はそれぞれ、5.1 回(中級話者 5.1 回)と 7.6 回(中級 8.1 回)となった。 数量詞が必ずしも必要とは限らない日本語話者の「一」を含む数量詞の使用頻 度が中国語と英語話者より高いことから、中国語話者の使用傾向を調査した陳 (2019)と同じ、第二言語における「一」の使用頻度においては、母語における 使用頻度の影響が観察されたとは言えない結果になった。 「一」を含む数量詞の「過剰使用」の割合においても、学習者は母語を問わず、 中級下位群の学習者が殆ど使用しなかったのに対し、中級上位群の学習者が少し

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ずつ使用するようになった。このことから、中級レベルの学習者に関して言えば、 学習者が母語の影響により、数量詞を過剰に使用するのではなく、レベルが上が るにつれて、使用数が増えたため、「過剰使用」の割合も上がったのではないか と考えられる。

6.終わりに

本研究は英語話者が使用した「一」を含む数量表現の特徴を分析し、日本語母 語話者、及び中国語話者と比較した。その結果、以下のことがわかった。 (a) 英語を母語とする日本語学習者は、「QN 型」と「その他」の使用割合が高か ったため、「NQ 型」と「QN 型」をほぼ均等に使用している日本語母語話者 と異なっていることがわかった。 (b) 英語と中国語母語の日本語中級学習者について、母語と日本語能力を問わ ず、「QN 型」の使用頻度が最も多かった。英語母語の中級上位群の学習者に よる「NQ 型」の使用が、返事などに使用された「その他」に続き、多く使 用されるようになったため、レベルが上がるにつれて、日本人の使用傾向 に近づいてきたと言える。それに対し、日本語中級の中国語話者における 「助数詞の誤選択」は、レベルが上がっても誤用の割合が減らないことか ら、母語の影響を受けている可能性がある。 (c) 予想に反し、英語話者は中国語話者と日本語話者より数詞「一」の使用頻 度が低く、「過剰使用」による不自然な表現が少なかった。つまり、英語を 母語とする日本語学習者は、母語の影響を受け、過剰に日本語の数量詞を 使用しているとは言えない。一方で、物事の存在に関する質問に対して、 英語と中国語を母語とする学習者が共に新情報として答えた日本語の数詞 「一」の「過剰使用」が観察された。 今回の分析において中級学習者が多く、学習者の間に日本語能力の差があるな どの問題点が残されている。また、使用場面の考察も十分とは言えない。今後、 使用領域や課題による影響など、分析範囲を広げ、さらに、初級、上級学習者を

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参考文献

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數據

表 4:英語話者による日本語「一」の使用回数(割合)  1 つ  1 人  1 軒  小計  合計  割合  数量詞 +名詞  1QNC 型  3  3  17  24.3%  1Q の NC 型  10  4  14  名詞+ 数量詞  N1QC 型  3  1  4  12  17.1% NC1Q 型 5 1 1 7  N の 1QC 型  1  1  デ格型  11  11  11  15.7%  代名詞(内訳)  1  5  6  6  8.6%  述部型  4  3  7  7  10.0%  そ

參考文獻

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