日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」 ー與外來語詞根結合之派生詞為主ー
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(2) 104 台大日本語文研究 29. An Analysis of Japanese Negative Kango Prefixes: “FU-“, ”MU-“, ”HI-“ and ”MI-” : With a Focus on Gairaigo Derivatives Lin, Hui-jun *. Abstract “ FU-”, ”MU-”, ”HI-”, ”MI-” are all Japanese Kango Prefixes showing negative meanings. Prior researches on the for prefixes mostly focus on their Kango and Wago derivatives. For examples, “FUTEGIWA”, “MUSHINKEI”, “HIKOUKAI”, “MIKANSEI”..etc.. However, we found. that in recent years, Gairaigo are not only borrowed words from foreign languages,. but. also. have. word-forming. abilities. to. create. new. vocabularies. Such as “HIMISUTERII”, “MUDAIYA”, “MICHARANGI” are all derivatives with combinations of negative Kango prefixes and Gairaigo roots. The purpose of this article is to analyze the derivatives with combinations of the four negative Kango prefixes and Gairaigo roots. The analysis was made from three prospects: The word classes of the Gairaigo roots, ranges where the negative prefixes cover, functions of the negative prefixes.. Furthermore, we to ok those derivatives to. compare with the traditional derivatives with the combinations of “FU-”, ”MU-”, ”HI-”, ”MI-”+Kango or Wago roots, in order to find out the similarities and differences between the two sets of derivatives. Through the comparison pr ocesses, we were able to summarize the word-forming features of the “FU -”, ”MU-”, ”HI-”, ”MI-”+ Gairaigo roots. *. At the end, we also indicated the essential differences between. Pro fesso r, Dep ar tmen t o f Lan guage and Literature o f J ap anese, Natio nal University. Tai wan.
(3) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」105. the derivatives of the “FU -”, ”MU-”, ”HI-”, ”MI-”+ Gairaigo roots and the traditional “FU-”, ”MU-”, ”HI-”, ”MI-”+Kango or Wago roots on the base of positive-negative spectrums.. Keywords : negative deriveatives. meanings,. Kango. prefix,. Gairaigo. roots,.
(4) 106 台大日本語文研究 29. 日本語の否定漢語接頭辞「不・無・非・未」 ―外来語語基との結合を中心に― 林慧君*. 要旨 日 本 語 に は 否 定 の 概 念 を 表 す 一 群 の 漢 語 接 頭 辞「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」 「 未 -」な ど が 挙 げ ら れ る 。従 来 こ の 四 つ の 類 義 否 定 接 頭 辞 に 関 す る 考察は少なからずあるが、それはこれらが固有の漢語・和語語基と 結合する派生語についての分析ばかりである。が、外来語がかなり 日 本 人 の 言 語 生 活 に 浸 透 し て い る 現 代 に お い て は 、「 非 ミ ス テ リ ー 」 や「 無 ダ イ ヤ 」 「 未 チ ャ レ ン ジ 」な ど の よ う な 、否 定 漢 語 接 頭 辞 と 外 来語語基との結合例もよく見かけられるようになった。 従って、本稿では否定漢語接頭辞が外来語語基と結合する混種語 の派生語だけを分析の対象とし、その外来語語基の品詞性、派生語 における否定のスコープ、また否定漢語接頭辞の機能と三つの観点 か ら 考 察 を 行 う 。そ し て 、従 来 の [不・無・非・未 + 漢 語・和 語 語 基 ] 派 生 語 と 比 べ 、両 者 に お け る 類 似 点 と 相 違 点 を 分 析 す る の を 通 し て 、 [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 の 語 構 成 的 特 徴 を 明 ら か に し た い 。最 後 に 、肯 定 否 定 の 対 立 概 念 の ス ケ ー ル に お い て は 、[不・無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 と 従 来 の [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 に お け る 肯 定 否 定 概 念 の 本 質 的 な 相 違 点 も 論 じ る 。. キーワード:否定概念、漢語接頭辞、外来語語基、派生語. *. 台湾大学日本語文学科教授.
(5) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」107. 日本語の否定漢語接頭辞「不・無・非・未」 ―外来語語基との結合を中心に―. 林慧君. 一、はじめに 日 本 語 に は 否 定 の 概 念 を 表 す 一 群 の 漢 語 接 頭 辞「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」 「 未 -」な ど が 挙 げ ら れ る が 、こ れ ら は 否 定 の 意 味 を 添 え る こ と で 共 通している類義接頭辞と見られる。従来この四つの否定接頭辞に関 する考察は少なからずあるが、それはこれらが固有の漢語・和語語 基と結合する派生語についての分析ばかりである。が、外来語がか なり日本人の言語生活に浸透している現代においては、 「非ミステリ ー 」や「 無 ダ イ ヤ 」 「 未 チ ャ レ ン ジ 」な ど の よ う な 、否 定 接 頭 辞 と 外 来語語基との結合例もよく見かけられるようになった。 従って、本稿では、否定漢語接頭辞が外来語語基と結合する混種 語の派生語だけを分析の対象とする。否定の概念を表わす漢語接頭 辞が外来語と結合するに当たり、果たして従来の漢語・和語との結 合と同じような造語現象を示すのか、もしくは何か類似または相違 する点があるのか、つまり、否定漢語接頭辞と外来語語基が結合す る派生語における造語特徴などを、従来の否定漢語接頭辞と漢語・ 和語語基との結合との対比を通じて解明するのが本稿の主旨である。. 二、先行研究について 否 定 の 意 味 を 表 わ す 漢 語 接 頭 辞 「 不 -」「 無 -」「 非 -」「 未 -」 に つ い ては、数多くの先行研究が見られるが、本稿では漢語接頭辞と外来 語語基との結合に関して、語基の品詞性、否定のスコープ、そして 否定漢語接頭辞の働きと三つの観点から考察を行うことにする。こ こではこの三つの観点による代表的な先行考察の論点をまとめ直し.
(6) 108 台大日本語文研究 29. て概観しよう。 まず、否定の漢語接頭辞と結合する語基の品詞性について、サト ー・川 崎・ソ ー ニ ア( 1982)と 奥 野 (1985)が 代 表 的 に 挙 げ ら れ る が 、 主 な 論 点 と し て は 、「 無 -」と 結 合 す る 漢 語 ・ 和 語 語 基 は 名 詞 類 (体 言 性 )が 断 然 に 多 い の に 対 し 、 「 未 -」と 結 合 す る の は 動 詞 類 が 圧 倒 的 だ と 言 う 。 そ し て 、「 非 -」「 不 -」 は 動 詞 類 、 名 詞 類 、 形 容 動 詞 、 形 容 詞 類 (用 言 性 と 体 言 性 )と も 結 合 す る が 、「 非 -」 に は 一 番 多 く 結 合 す る の は 名 詞 類 に 対 し 、「 不 -」 に は 動 詞 類 だ と 述 べ ら れ て い る 1 。 次 に 、 否 定 漢 語 接 頭 辞 の 否 定 の ス コ ー プ に 関 し て は 、 野 村 (1973、 1978)、 サ ト ー ・ 川 崎 ・ ソ ー ニ ア ( 1982) と 奥 野 (1985)、 吉 村 (1990) が 見 ら れ る が 、 大 体 と し て 「 不 -」 と 「 無 -」 は 「 不 + 渡 り 手 形 」「 無 + 政 府 主 義 )」で は な く 、 「 不 渡 り +手 形 」 「 無 政 府 +主 義 」の 如 く 、そ の 直 後 の 最 小 単 位 の 語 基 し か ス コ ー プ し な い 。一 方 、 「 非 」は や や 複 雑であり、否定のスコープがその直後の最小単位でなくてもいいと 言 う 。 例 え ば 、「 非 衛 生 化 」「 非 暴 力 手 段 」 の 場 合 は 、「 非 衛 星 +化 」 ま た は 「 非 +衛 星 化 」、「 非 暴 力 +手 段 」 ま た は 「 非 +暴 力 手 段 」 と も 考えられる如く、 「 非 -」が そ の 直 後 の 最 小 単 位 語 基 (「 衛 星 」、 「 同 盟 」) だ け を ス コ ー プ し 、 ま た は そ の 後 の 派 生 語 語 基 全 体 (「 衛 星 化 」 )か 複 合 語 基 全 体 (「 同 盟 主 義 」 )を ス コ ー プ す る 、 と 二 通 り の 分 析 が 認 め ら れ る 。 但 し 、「 非 ~ 的 」 と い う 語 構 造 を も つ 場 合 は 、「 非 +論 理 的」 「 非 +人 道 的 」 「 非 +衛 生 的 」な ど の よ う に「 非 -」が そ の 後 の 派 生 語 語 基 を 否 定 の ス コ ー プ と す る 、 と 指 摘 さ れ て い る 2。 それから、否定漢語接頭辞の働きに関する詳しい先行論述として 主 に 相 原 (1986)が 挙 げ ら れ る が 、 相 原 (1986)で は 「 不 -」「 無 -」「 非 -」 「 未 -」 の 、 接 頭 辞 と し て の 働 き に つ い て 〈 存 在 性 の 否 定 〉〈 行 為 性 の否定〉 〈事態性の否定〉 〈価値性の否定〉 〈 概 念 性 の 否 定 〉と 五 つ 分 類されている。. 1. サ ト ー ・ 川 崎 ・ ソ ー ニ ア( 1 98 2 )3 ~ 5 頁 及 び 奥 野 (1 98 5)8 9 頁 と 91 頁 を 参 照 。 野 村 (19 73) 3 6 頁 、 野 村 ( 197 8) 12 9 頁 、 サ ト ー ・ 川 崎 ・ ソ ー ニ ア ( 198 2) 7 頁 、 そ し て 奥 野 ( 19 85) 89 頁 、 91 頁 と 吉 村 (1 990 )4 0 ~ 41 頁 を 参 照 。. 2.
(7) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」109. 〈存在性の否定〉とは、接頭辞に結合する語基の表している事象 そ の も の が 存 在 し な い と い う こ と で あ り 、例 え ば「 無 感 覚 」 「無試験 入 学 」 な ど の よ う に 、「 無 -」 と い う 接 頭 辞 に よ っ て 作 り 上 げ ら れ た 派生語が圧倒的に多いと言う。 〈行為性の否定〉とは、その接辞の結合語基の示す行為や動作が 行 わ れ な い と い う 意 味 で あ り 、「 不 干 渉 」「 無 制 限 」「 非 公 開 」「 未 開 発 」 な ど の 如 く 、「 不 -」「 無 -」「 非 -」「 未 -」 四 つ の 接 頭 辞 が い ず れ も こ の 〈 行 為 性 の 否 定 〉 の 機 能 を 表 す こ と が で き る が 、 特 に 「 不 -」 が 多 く 見 ら れ 、 そ し て 、「 未 -」 を 含 む 派 生 語 は ほ と ん ど こ の 類 だ と 述べられている。 〈 事 態 性 の 否 定 〉と は 、結 合 の 語 基 に よ っ て 示 さ れ た 状 態 に な い 、 またはそれと相反する状態にある、という否定の意を添えることで あ る 。 例 え ば 「 不 確 実 」「 無 所 属 」「 非 常 勤 」 な ど の よ う に 、「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」三 つ の 接 辞 に よ り 作 り 上 げ ら れ る こ の 機 能 を 表 す 派 生 語 が 多 数 見 ら れ る が 、「 未 -」 と 結 合 す る の は 少 な い と 記 述 さ れ て い る 3。 〈価値性の否定〉というのは、語基そのものの形状が望ましいも のではない、価値のある状況にない、というマイナス的な否定の意 を 添 え る 用 法 で あ り 、例 え ば「 不 機 嫌 」 「 無 気 力 」な ど の よ う に 主 に 「 不 -」 と 「 無 -」 に よ り こ の 機 能 が 果 た さ れ る と 言 わ れ る 。 最後に〈概念性の否定〉とは、語基の表す概念を離れた、もしく はその概念に必要な条件を欠いている、といった意味であり、例え ば、 「非人情」 「 非 常 識 」な ど の よ う に 、主 に「 非 -」を 用 い て こ の 働 きをする派生語が作り上げられる、と論じられている。 上 記 の 如 く 、従 来 の 否 定 漢 語 接 頭 辞「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」 「 未 -」に 関する先行研究はいずれも固有語の漢語・和語語基との結合だけに ついて検討して論述されているものであるが、外来語語基と結合す る 場 合 は ほ と ん ど 言 及 さ れ て い な い 4 。と い う わ け で 、本 稿 で は ま ず 、 3 4. 強 い て 言 え ば 「 未 成 年 」「 未 然 」 ぐ ら い 、 と 相 原 (1 986 ) に 挙 げ ら れ て い る 。 サ ト ー ・ 川 崎 ・ ソ ー ニ ア (1 982 ) の 最 後 に 「 無 シ ー ド 」「 非 フ ァ ッ シ ョ ナ ブ ル 」.
(8) 110 台大日本語文研究 29. これらの否定漢語接頭辞が外来語と結合するのかどうか、また外来 語語基と結合する場合、その外来語語基の品詞性や派生語における 否 定 の ス コ ー プ 、ま た 否 定 接 頭 辞 の 機 能 は 果 た し て 従 来 の [不・無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]と い う 語 構 造 を も つ 派 生 語 と 同 じ な の か 、 または相違点があるのかなどを明らかにする必要があるように思わ れる。. 三、否定漢語接頭辞と外来語語基との結合についての考察 本 節 で は 、 否 定 漢 語 接 頭 辞 「 不 -」「 無 -」「 非 -」「 未 -」 と 外 来 語 語 基との結合について、外来語語基の品詞性、派生語における否定の スコープ、そして否定漢語接頭辞の働きという三つの観点から、四 つの接頭辞ごとに分析していく。 今 回 、 否 定 漢 語 接 頭 辞 「 不 -」「 無 -」「 非 -」「 未 -」 を 含 む 派 生 語 の 語 例 は 、『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』( BCCWJ ) 5 及 び 『 ヨ ミ ダ ス 歴 史 館 』6 か ら 収 集 す る 。以 下 、接 頭 辞 だ け を さ し て 言 う 場 合 は「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」 「 未 -」、派 生 語 全 体 を さ し て 言 う 場 合 は「 不 ~ 」 「 無 ~ 」「 非 ~ 」「 未 ~ 」 と 表 記 す る の を 断 っ て お く 。 (一 )「 不 -」 に つ い て 「 不 -」は「 不 干 渉 」「 不 拡 大 」「 不 参 加 」「 不 許 可 」「 不 一 致 」な ど の よ う に 、漢 語 と か な り 盛 ん に 派 生 語 を 作 り 上 げ る し 、和 語 と も「 不 似 合 い 」「 不 確 か 」「 不 身 持 ち 」 な ど の よ う な 〈 価 値 性 の 否 定 〉 を 表 す 語 が 多 く 作 り 上 げ ら れ て い る と 言 う 7 。と こ ろ が 、今 回 の 、BCCWJ 及 び『 ヨ ミ ダ ス 歴 史 館 』の 調 査 で は「 不 -」が 外 来 語 と 結 合 す る 派 生 語は 1 例も見付からなかった。つまり、本稿の調査を通して否定漢 語 接 頭 辞 「 不 -」 は 外 来 語 語 基 と は 結 合 し な い 、 と 明 ら か に な っ た 。 こ れ は 「 不 -」 は 動 詞 類 の 語 基 と 一 番 多 く 結 合 し 、〈 行 為 性 の 否 定 〉 が取り上げられ、外来語という語種との結合に関する分析が漢語接頭辞のもっ ている基底意味などの解明に役立つであろう、と課題として少しふれられてい る。 5 国 立 国 語 研 究 所 の オ ン ラ イ ン コ ー パ ス 。 以 下 「 B CCWJ 」 と 称 す る 。 6 読売新聞のオンライン・データベースサービス。 7 相 原 (19 86) 71 頁 を 参 照 。.
(9) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」111. の機能を果たす派生語を作り上げることとでも関わるように考えら れる。 (二 )「 無 -」 に つ い て 本 調 査 で は 「 無 -」 と 外 来 語 が 結 合 す る 派 生 語 は 、 [無 + 外 来 語 語 基 ]の 一 次 結 合 が 異 な り 語 数 20 例 、 [無 + 外 来 語 語 基 + 漢 語 語 基 ]と い う 二 次 結 合 が 異 な り 語 数 19 例 拾 わ れ 、 例 え ば 、 「 無 コ ス ト 」「 無 ア ク セ ン ト 」「 無 メ ー カ ー 」「 無 ラ ベ ル 」 「 無 セ ン ス 度 」「 無 セ ー ブ 記 録 」「 無 ス ト レ ス 育 児 」 などが見られる。 接 辞 の 結 合 す る 語 基 の 品 詞 性 に 関 し て は 、 吉 村 (1990)で は 、 諸 先 行研究で語基の分布に関する調査結果が一致しない原因として分析 対象の範囲が異なること以外に、品詞の認定方法が相違するという 点も挙げられる、と指摘されている。例で言えば、名詞の場合は、 「秩序」のような、動作性を帯びず、動詞用法をもたぬ名詞、そし て 、「 処 理 (す る )」の よ う な 動 作 性 を 有 す る 名 詞 も 含 ま れ る 。造 語 の 性質を論じるに当たり、それらを明確に区別しておく必要があり、 故 に 、本 稿 で は 動 作 性 を も た ず 、名 詞 だ け の 用 法 を も つ の を「 名 詞 」 と 言 い 、そ れ に 対 し て 動 作 性 を も つ 名 詞 の 場 合 は「 動 名 詞 」と 称 し 、 両者を区別しておくことにした。 本 稿 の 調 査 結 果 で は 、「 無 -」 に 結 合 す る 外 来 語 語 基 の 品 詞 性 は 断 然 に 名 詞 が 多 く 、 例 え ば 「 無 ア ク セ ン ト 」「 無 コ レ ス テ ロ ー ル 」「 無 セ ン ス 」「 無 ハ ン ド ル 」「 無 ベ ル 」「 無 メ ー カ ー 」「 無 リ ス ク 」 な ど が 挙 げ ら れ る 。 一 方 、 動 名 詞 は 、「 無 ア ク セ ス 」「 無 シ ー ド 」「 無 ト レ 」 「 無 サ ー ビ ス (型 )」「 無 セ ー ブ (状 態 )」「 無 チ ェ ッ ク (状 態 )」ぐ ら い だ け拾われた。 「 無 -」と 外 来 語 が 結 合 す る 派 生 語 に お け る 否 定 の ス コ ー プ に 関 し て 、 一 次 結 合 の [無 + 外 来 語 語 基 ]は 勿 論 、 二 次 結 合 の [無 + 外 来 語 語 基 + 漢 語 語 基 ]も 分 析 対 象 に 含 ま れ る 。「 無 ダ イ ヤ 状 態 」 を 例 に 説 明 すると、.
(10) 112 台大日本語文研究 29. の 示 し て あ る よ う に 、 ま ず 「 無 -」 が 「 ダ イ ヤ 」 を ス コ ー プ し た 後 、 それに漢語語基「状態」と結合して二次結合の語に作り上げたわけ で あ り 、即 ち 、否 定 接 頭 辞「 無 -」が そ の 直 後 の 最 小 単 位 語 基 だ け を ス コ ー プ す る の で あ る 。こ れ は 、従 来 の「 無 -」と 漢 語 ・ 和 語 語 基 と 結 合 し た 派 生 語 (ex.「 [無 政 府 ]主 義 」 )と 違 わ な い 。 他 に 、「 無 ブ レ ー キ 自 転 車 」「 無 エ コ ー 領 域 」「 無 ウ イ ル ス 状 態 」 と い っ た 二 次 結 合 の 派 生 語 も 、 い ず れ も 「 無 -」 が そ の 後 に 結 合 し て く る 語 基 全 体 (ブ レ ーキ自転車」 「エコー領域」 「 ウ イ ル ス 状 態 」)を 否 定 す る わ け で は な く 、そ の 否 定 の ス コ ー プ は 直 後 の 最 小 単 位 の 外 来 語 語 基 ま で だ け だ 、 と分析されよう。 次 に 、「 無 -」 と 外 来 語 語 基 が 結 合 す る に 当 た り 、 そ の 接 頭 辞 と し ての働きに関しては、今回の調査を通して〈存在性の否定〉という 働 き が 一 番 多 い と 明 ら か に な っ た 。前 述 し た が 、 〈 存 在 性 の 否 定 〉と いうのは接頭辞に結合する語基の表している事象そのものが存在し な い 、と い う こ と で あ り 、例 え ば「 無 ブ ラ ン ド 」 「 無 ラ ベ ル 」な ど の 一次結合も、 「無ウイルス状態」 「無サービス型」 「 無 ス ト レ ス 育 児「 無 セ ー ブ 記 録 」」な ど の 二 次 結 合 も 、 「 無 -」に 後 接 す る 外 来 語 語 基 の 表 す事象またはそのものが存在しないと考えられる。なお、この場合 の外来語語基は名詞ばかりである。 ま た 、「 無 -」 と 外 来 語 語 基 が 結 合 す る 派 生 語 に は 、「 無 ア ク セ ス 」 「無サービス」 「 無 セ ー ブ 記 録 」な ど の よ う な 、 「 無 -」の 直 後 に 結 合 してくる外来語語基が動名詞の例も見られるが、派生語全体として その動名詞語基の表す行為や動作の運動内容が存在しないと捉えら.
(11) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」113. れよう。言わば、これらは、外来語語基は動名詞ではあるものの、 「 無 -」 と 結 合 す る に 当 た り 、 そ の 動 作 性 が 背 景 化 す る よ う に な り 、 主 に 、 行 為 や 動 作 の 運 動 内 容 の (名 詞 的 性 質 の )存 在 だ け が 問 題 と さ れるのであろう。 (三 )「 非 -」 に つ い て 本 稿 の 調 査 を 通 し て「 非 -」と 外 来 語 語 基 が 結 合 し た 派 生 語 が 最 も 多 く 、「 非 デ フ ォ ル ト 」 や 「 非 ア ル フ ァ ベ ッ ト 」 の よ う な [非 + 外 来 語 語 基 ]の 一 次 結 合 が 異 な り 語 数 89 例 、そ し て「 非 ア ル コ ー ル 飲 料 」 「 非 ア レ ル ギ ー 的 要 因 」 と い っ た [非 + 外 来 語 語 基 + 漢 語 語 基 ]な ど の 二 次 以 上 の 結 合 が 異 な り 語 数 418 例 収 集 で き た 。 四 つ の 否 定 接 頭 辞 の 中 で「 非 -」が 外 来 語 語 基 と 最 も 結 合 し や す く 、一 番 生 産 性 を 有 する、と明らかになった。 「 非 -」に 後 接 す る 外 来 語 語 基 の 品 詞 性 は 名 詞 が 最 も 多 く 、例 え ば 、 「 非 メ ン バ ー 」「 非 コ ン ク ー ル 」「 非 ホ ワ イ ト カ ラ ー 」 「 非 メ イ ン バ ン ク 」「 非 エ リ ー ト 」「 非 ジ ャ ー ナ リ ズ ム 」 「 非 エ コ ノ ミ ー 」「 非 ド キ ュ メ ン タ リ ー 」「 非 ユ ー ザ ー 」 などがある。 そ れ 以 外 に 「 非 -」 に 形 容 動 詞 の 語 基 も 結 合 し 、 「 非 ア ク テ ィ ブ 」「 非 ク ラ シ ッ ク 」「 非 ロ マ ン テ ィ ッ ク 」 「 非 ア ー リ ア 的 」「 非 ア メ リ カ 的 」「 非 イ ス ラ ム 的 」 「 非 ア レ ル ギ ー 的 」「 非 イ デ オ ロ ギ ー 的 」 … な ど が 挙 げ ら れ 、 中 に [外 来 語 語 基 + 的 ]と い う 語 構 造 の 形 容 動 詞 語 基 が や や 目 立 っ て 多 い 。 言 わ ば 、「 非 -」 は 、 外 来 語 語 基 と 結 合 す るに当たり、形容詞的な属性的特徴を有する派生語を作り上げるこ と が あ る の で あ る 8。 と こ ろ が 、今 回 の 調 査 で は「 非 -」に 結 合 す る 外 来 語 語 基 に 動 名 詞 の も の は あ ま り な い よ う に 見 受 け ら れ た 9。 前 に も 述 べ て お い た が 、 8. 野 村 (19 81) に も 、「 非 が 不 や 無 と ち が い 、 連 体 詞 に ち か い 性 格 を も つ 」 と 述 べ ら れ て い る 。こ の「 非 - 」の 造 語 性 質 は 外 来 語 語 基 と の 結 合 に お い て も 確 認 で き たと言えよう。 9 動 名 詞 の 外 来 語 語 基 が 「 非 -」 と 全 然 結 合 し な い と は 言 い 切 れ な い が 、 今 回 の.
(12) 114 台大日本語文研究 29. 先 行 研 究 で は「 非 -」に 結 合 す る 従 来 の 漢 語・和 語 語 基 に は 品 詞 性 の 制 限 は 特 に な く 、「 非 公 開 」「 非 武 装 」「 非 推 薦 」「 非 協 力 」「 非 公 認 」 「 非 課 税 」 な ど の よ う に 動 詞 (動 名 詞 )の も 少 な か ら ず あ る と い う 。 が 、 本 稿 の [非 + 外 来 語 語 基 ]と い う 語 構 造 の 派 生 語 に 関 す る 調 査 で は 、「 非 -」 は 動 名 詞 の 外 来 語 語 基 と は 殆 ど 結 合 し な い と い う 点 で は 従来の漢語・和語語基との結合と相違する、と明らかになった。 次に、 「 非 ~ 」派 生 語 に お け る 否 定 の ス コ ー プ に 関 し て 、一 次 結 合 の 場 合 は 言 う ま で も な く 、そ の 直 後 の 外 来 語 語 基 を ス コ ー プ す る が 、 二次結合の場合は、前述した先行研究の、従来の漢語・和語語基と の結合と大体同じく、やや複雑に見受けられる。 外来語語基との二次結合の「非~」における否定のスコープはそ の 直 後 の 最 小 単 位 で な く て も い い わ け で あ る 。例 え ば 、 「非アイドル 路 線 」「 非 カ ト リ ッ ク 教 徒 」 な ど の 場 合 、「 非 ア イ ド ル +路 線 」 ま た は 「 非 +ア イ ド ル 路 線 」、「 非 カ ト リ ッ ク +教 徒 」 ま た は 「 非 +カ ト リ ッ ク 教 徒 」 と も 考 え ら れ る 如 く 、「 非 -」 が そ の 直 後 の 最 小 単 位 の 外 来語語基だけをスコープし、或いはその後の複合語基全体をスコー プする、と二通りの分析が考えられる。 但 し 、接 頭 辞「 非 -」と 外 来 語 語 基 と の 結 合 の 後 に 更 に 接 尾 辞 が 結 び 付 く 場 合 は 複 雑 に な っ て く る 。 ま ず 、 そ の 接 尾 辞 が 「 -的 」「 -人 」 の場合は、. 調 査 で は [非 + 外 来 語 語 基 ] と い う 語 構 造 を も つ 一 次 と 二 次 結 合 の 異 な り 507 例 の 派 生 語 に 「 非 ダ イ エ ッ ト 」「 非 ロ グ イ ン 」 と い う 、 動 名 詞 の 外 来 語 語 基 ( 「 ダ イ エ ッ ト 」「 ロ グ イ ン 」 ) を も つ 派 生 語 が 2 例 拾 わ れ た 。 た だ 、 こ の 派 生 語 は 、 〈 事 態 性 の 否 定 〉 と い う 意 味 機 能 を 表 し て い る と 考 え ら れ 、「 ダ イ エ ッ ト 」「 ロ グイン」の動作性は「非~」派生語においては背景化し、名詞性のほうが前景 化している、と見られよう。なお、数からしてこの 2 例はやはり特殊的と言え よう。.
(13) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」115. な ど の よ う に 、「 非 -」 が そ の 後 の 派 生 語 語 基 全 体 を 否 定 の ス コ ー プ とする。 一 方 、「 -系 」 や 「 -化 」 な ど の よ う な 接 尾 辞 の 場 合 は 、.
(14) 116 台大日本語文研究 29. な ど の 示 し て あ る 如 く 、否 定 接 頭 辞「 非 -」が そ の 直 後 の 外 来 語 語 基 のみスコープしたり、その後の派生語全体か複合語基をスコープし たりする、と二通り分析できるのもある。 い ず れ に せ よ 、 [非 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 に お け る 否 定 の ス コ ー プ は 、 従 来 の [非 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 と 同 じ く 、 そ の 直 後 の 最 小 単位の外来語語基のみであったり、その直後の外来語語基のみ、ま たはその後の外来語を含む派生語語基か複合語基であったりするわ けであり、様々なスコープ構造を示している。 次 に 、「 非 -」 と 外 来 語 語 基 が 結 合 す る に 当 た っ て そ の 接 頭 辞 と し ての働きに関して、今回の調査では〈事態性の否定〉が最も多く、 〈 概 念 性 の 否 定 〉が そ れ に 次 ぎ 二 番 目 多 い が 、 〈 行 為 性 の 否 定 〉は な い、と観察された。 〈 事 態 性 の 否 定 〉と い う の は 、例 え ば 、 「 非 ロ マ ン チ ッ ク 」の よ う に「ロマンチック」と相反する状態にある、といった否定の意味を 表 す も の で あ り 、故 に 、 「 非 ~ 」と「 ~ 」は 対 立 の 事 態 だ と 捉 え ら れ る。今回の実例調査では下の如く、二つの対立語が同時に一つの文 脈に出ているのがかなり多数見られ、例えば、 ① ロシアと非ロシアの拮抗(きっこう)は今後、一層微妙にな る に 違 い な い 。 (『 ヨ ミ ダ ス 』 1991.09.23) ② タスクバーはアクティブなウィンドウを少しくぼんだボタン で,非アクティブなウィンドウは手前に盛り上がったボタン で 表 示 す る 。 (「 BCCWJ」 ) ③ 成人は35人中、高齢者を中心に20人がハイリスクだが、.
(15) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」117. 14人は基礎疾患がないか、高血圧など非ハイリスクの病気 や 障 害 だ っ た 。 (『 ヨ ミ ダ ス 』 2009.10.17) な ど が あ る 。 こ の 〈 事 態 性 の 否 定 〉 と い う 機 能 は 、「 非 -」 と 外 来 語 語基との結合ではかなり生産性をもつ、一番典型的だと言えよう。 一方、 〈 概 念 性 の 否 定 〉も [非 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 に 見 ら れ 、例 え ば、 ④ し か し 、ア ラ ブ 諸 国 と の 接 触 の 拡 大 や 中 東 で の イ ス ラ ム 復 興 の 影響を受け、若者を中心に非イスラム的な要素を排除し、戒 律厳守など「より純粋なイスラム」を模索する動きが活発化 し現在に至っている。. (「 BCCWJ」 ). ⑤ 現 実 か ら 離 れ よ う と す る 意 識 か ら か 、黒 澤 は 、こ れ 以 後 、現 実 そのものを作品のなかで凝視するというより、こうした意識 下の形而上的な世界、現実を超えた超リアリズムの世界、非 ドキュメンタリーの世界に興味を向けようとする。 (「 BCCWJ」 ) 上の文脈からわかる如く、 「 非 イ ス ラ ム 的 」と い う の は「 イ ス ラ ム 的 」 の対立事態ではなく、 「 イ ス ラ ム 的 」に 必 要 な 条 件 な ど が 欠 け て お り 、 「非ドキュメンタリー」というのも「ドキュメンタリー」の概念を 離 れ た 、 即 ち (前 の 文 脈 に 出 て い る )「 リ ア リ ズ ム 」 の 概 念 だ 、 と 否 定の意味が見受けられる。 こ の 〈 概 念 性 の 否 定 〉 の 機 能 は 、 [非 + 外 来 語 語 基 ]の 派 生 語 で は 〈事態性の否定〉に次いで多い意味機能であるが、その語構成的な 特 徴 と し て は 、 [ 非 + 名 詞 の 外 来 語 語 基 ][ 非 + 固 有 名 詞 の 外 来 語 語 基 ][ 非 + 外 来 語 語 基 + 的 ] と 三 つ の 造 語 パ タ ー ン が あ る よ う に ま と められる。例えば、 「 非 エ コ ノ ミ ー 」「 非 デ フ ォ ル ト 」「 非 ド キ ュ メ ン タ リ ー 」 … 「 非 ハ リ ウ ッ ド 」「 非 ヨ ー ロ ッ パ 」「 非 ア メ リ カ 文 化 」 … 「 非 セ ッ ク ス 的 」「 非 ア レ ル ギ ー 的 要 因 」 「非カリスマ的リーダーシップ」… などである。.
(16) 118 台大日本語文研究 29. と こ ろ で 、 従 来 「 非 -」 と 漢 語 ・ 和 語 語 基 と の 結 合 に は 「 非 推 薦 」 「非協力」 「 非 課 税 」な ど の よ う な〈 行 為 性 の 否 定 〉と い う 意 味 機 能 を 表 す の も あ る が 、本 稿 の 調 査 で は「 非 -」と 外 来 語 語 基 と の 結 合 に は〈行為性の否定〉の意味機能を表す派生語は見当たらなかった。 こ れ も 従 来 の 漢 語 ・ 和 語 語 基 と の 結 合 と 相 違 す る 点 で あ り 、「 非 -」 には動名詞の外来語語基が結合しないという語構成的な特徴と関わ っているように考えられよう。 (四 )「 未 -」 に つ い て 否 定 接 頭 辞「 未 -」と 外 来 語 が 結 合 す る 派 生 語 は 本 稿 の 調 査 で は そ れほど多く見当たらず、 「未エントリー」 「未チェック」 「未クリーニ ン グ 」な ど の 一 次 結 合 は 異 な り 語 数 12 例 だ け 、二 次 結 合 の 例 も「 未 ソ フ ト 化 」「 未 ア ニ メ 化 部 分 」「 未 フ ァ イ ル 分 」 と 僅 か 3 例 だ け で あ っ た 。 こ の 調 査 結 果 か ら 、「 未 -」 と 外 来 語 語 基 と の 結 合 は そ れ ほ ど 生産的ではない、とわかった。 一次結合の「未~」派生語は、その外来語語基が殆ど動名詞であ り 、二 次 結 合 の「 未 ~ 」派 生 語 も 、例 え ば「 未 ア ニ メ 化 」 「未ソフト 化 」 の 場 合 、 接 辞 の 直 後 の 混 種 語 語 基 ( 「 ア ニ メ 化 」「 ソ フ ト 化 」 ) が 動 作 性 を も つ 、「 -化 」 接 尾 辞 を 含 む 派 生 語 名 詞 な の で あ る 。 言 わ ば 、「 未 -」 に 後 接 す る 語 基 は 動 作 性 が 求 め ら れ る と い う こ と で あ ろ う 。 こ れ は 「 未 -」 の 接 頭 辞 と し て の 機 能 と 関 わ る と 思 わ れ る 。 従 来 、否 定 接 頭 辞「 未 -」と 漢 語 ・ 和 語 と 結 合 す る に 当 た り 、そ の 接 頭 辞 と し て の 働 き は 〈 行 為 性 の 否 定 〉 だ と 指 摘 さ れ て お り 10、 本 稿 の 調 査 か ら も 、「 未 -」 と 外 来 語 語 基 が 結 合 す る 派 生 語 は い ず れ も 〈行為性の否定〉の機能を果たすものであり、従来と違わないと明 らかになった。 「未クリーニング」 「未チェック」 「 未 リ サ ー ジ 」な ど の よ う に 、「 未 -」 に 後 接 す る 外 来 語 語 基 の 表 す 行 為 や 動 作 が 行 わ れ ない、または行われていない、といった否定の意味を示している。 故 に 、「 未 [ア ニ メ 化 ]部 分 」、「 未 [ソ フ ト 化 ]」 な ど の よ う な 、 接 辞 に 後 接 す る 外 来 語 語 基 (「 ア ニ メ 」 「 ソ フ ト 」)が 動 作 性 を も た ぬ 名 詞 の 10. 相 原 ( 19 86) 69 頁 。.
(17) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」119. 場 合 だ と 、 そ の 名 詞 に 動 作 性 の 機 能 を 持 た せ る 接 尾 辞 ( ex. 「 -化 」 な ど )と 結 合 さ せ る こ と に よ っ て そ の 名 詞 語 基 に 動 作 性 が 付 与 さ れ 、 初めて「未」が前接してくるようになるわけであろう。 な お 、「 未 -」 は 、 後 接 し て く る 動 名 詞 語 基 に 対 し て 否 定 の ス コ ー プをするというのが原則なわけである。故に、一次結合の場合はそ の 直 後 の 動 名 詞 の 外 来 語 語 基 を ス コ ー プ す る が 、二 次 結 合 の 場 合 は 、 例えば「未ファイル分」は、. の 如 く 、そ の 直 後 の 外 来 語 語 基「 フ ァ イ ル 」が 動 名 詞 な の で 、 「 未 -」 が「ファイル」だけをスコープして、更に「未ファイル」という混 種 語 に 接 尾 辞「 -分 」が 後 接 す る の で あ る 。一 方 、 「未ソフト化」 「未 ア ニ メ 化 (部 分 )」 の 場 合 は 、. 前 述 し た 如 く 、直 後 の 外 来 語 語 基「 ア ニ メ 」 「 ソ フ ト 」は 動 作 性 を も た ぬ 名 詞 な の で 、「 未 -」 は 、 そ れ ら だ け は ス コ ー プ で き ず 、 動 作 性 を 付 与 さ せ る 接 尾 辞「 -化 」ま で の 派 生 語 語 基 、即 ち「 ソ フ ト 化 」 「ア.
(18) 120 台大日本語文研究 29. ニメ化」をスコープするのである。. 四、まとめ 本節では前節の分析内容をまとめるが、その前に、まず否定漢語 接 頭 辞「 不 -」が 外 来 語 語 基 と は 結 合 し な い と い う こ と に つ い て 説 明 を補足する。 第 二 節 の 先 行 研 究 で は 、「 不 -」 に 結 合 す る 語 基 は 動 詞 類 が 一 番 多 く 、ま た 、従 来〈 行 為 性 の 否 定 〉の 機 能 が「 不 -」 「 無 -」 「 非 -」 「 未 -」 四 つ の 接 頭 辞 の 中 で「 不 -」に よ り 作 り 上 げ ら れ た 派 生 語 が 特 に 多 く 見 ら れ る 、 と 述 べ て お い た 。 要 す る に 、「 不 -」 は 動 詞 類 の 語 基 と 結 合 し て〈 行 為 性 の 否 定 〉の 機 能 を 果 た す の が 典 型 的 だ と 考 え ら れ る 。 ところが、外国語は名詞として日本語の外来語に取り入れられるの が多数であり、動詞としてのものが本来少ないのである。それが故 か 、「 不 -」 は 外 来 語 語 基 と は 結 合 し 難 い わ け な の で あ ろ う 。 次 に 、 前 節 の 、 否 定 漢 語 接 頭 辞 「 無 -」「 非 -」「 未 -」 と 外 来 語 語 基 との結合に関する考察の内容について、外来語語基の品詞性、派生 語における否定のスコープ、そして否定漢語接頭辞の働きという三 つ の 観 点 か ら 、 従 来 の [無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 と 比 較 しながら、両者の共通点と相違点を論じてまとめ直そう。 ま ず 、否 定 接 頭 辞 と 結 合 す る 外 来 語 語 基 の 品 詞 性 に 関 し て は 、 「無 -」 と 「 未 -」 が 外 来 語 語 基 と 結 合 す る に 当 た り 、「 無 -」 は 主 に 名 詞 ま た 動 名 詞 少 々 を 、そ し て「 未 -」は 動 名 詞 ば か り を 、結 合 相 手 に 求 め る と い う 考 察 結 果 で あ る が 、こ れ は 、従 来 の [無・未 + 漢 語 ・和 語 語 基 ]派 生 語 と 変 わ ら な い 。一 方 、「 非 -」に は 名 詞 と 形 容 動 詞 の 外 来 語 語 基 は 後 接 す る が 、 動 名 詞 は 後 接 し な い 。 こ の 、「 非 -」 に 後 接 す る 外 来 語 語 基 に 動 名 詞 は な い と い う 点 が 、従 来 の [非 + 漢 語・和 語 語 基 ]派 生 語 と 相 違 す る の で あ る 。 次 に 、 [無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 に お け る 否 定 の ス コ ー プ に 関 し て も 、調 査 結 果 に よ り 、従 来 の [無・非・未 + 漢 語・和 語 語 基 ] 派生語と違わない、と明らかになった。.
(19) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」121. 「 無 -」 は そ の 直 後 の 外 来 語 語 基 を 否 定 の ス コ ー プ と す る 。「 非 -」 は、その否定のスコープは、その否定接頭辞直後の最小単位の外来 語語基のみであったり、その直後の外来語語基のみ、またはその後 の外来語を含む派生語語基か複合語基であったりするのである。そ し て 、「 未 -」 は 、 動 作 性 を 有 す る 外 来 語 語 基 を 要 求 し て ス コ ー プ す る わ け な の で 、 結 合 す る 外 来 語 語 基 が 名 詞 の 場 合 は 、「 -化 」 と い っ た動作性をもつ接尾辞が付いた後、派生語となる動作性をもつ外来 語 語 基 を ス コ ー プ す る 。こ れ が「 未 -」に 求 め ら れ る 外 来 語 語 基 の 特 徴の一つとされることができよう。 それから、 「 無・非・未 」と 外 来 語 語 基 と の 結 合 に お け る 否 定 接 頭 辞の働きに関しては、結論を言えば、従来の漢語・和語語基との結 合 と 共 通 点 も 相 違 点 も あ る 、と 本 稿 の 考 察 を 通 し て 明 ら か に な っ た 。 [無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 に お い て は 、〈 存 在 性 の 否 定 〉は 「 無 -」に よ り 、〈 概 念 性 の 否 定 〉は 「 非 -」 に よ っ て そ の 機 能 が 担 わ れ る 点 は 従 来 と 一 致 し て い る 。一 方 、 〈 事 態 性 の 否 定 〉は 、従 来 の 否 定 接 頭 辞 と 漢 語・和 語 語 基 と の 結 合 で は「 非 -」以 外 に「 不 -」 「 無 -」 も そ の 機 能 を 担 う の に 対 し 、 外 来 語 語 基 と 結 合 す る 場 合 で は 「 非 -」 によりその働きが果たされるのである。両者は少し相違を示してい る。 次に、 〈 価 値 性 の 否 定 〉及 び〈 行 為 性 の 否 定 〉と い う 二 つ の 働 き に つ い て 、 [無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 及 び 従 来 の [無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語・和 語 語 基 ]派 生 語 に お い て は 本 稿 の 調 査 を 通 し て 相 違 点 が 見 ら れた。 ま ず 、否 定 漢 語 接 頭 辞 が 外 来 語 語 基 と 結 合 す る に 当 た り 、 〈価値性 の否定〉という働きを表す派生語は作り上げない、ということが挙 げ ら れ る 11。 こ れ は 、 否 定 漢 語 接 頭 辞 が 和 語 ・ 漢 語 語 基 と 結 合 す る. 11. 相 原 ( 19 86) 70 ~ 7 1 頁 で は 、 否 定 接 頭 辞 が 従 来 の 漢 語 ・ 和 語 語 基 と 結 合 す る 場 合 、〈 価 値 性 の 否 定 〉 は 「 不 -」 と 「 無 -」 に よ り そ の 働 き が 果 た さ れ る と 論 じ ら れ た が 、 今 回 の 調 査 で は 、 ま ず 、 外 来 語 は 「 不 -」 に 後 接 し な い し 、「 無 -」 と 外 来 語 語 基 と 結 合 す る 派 生 語 や 複 合 語 は 主 に〈 存 在 性 の 否 定 〉で あ り 、 〈価値性の 否定〉を表す例はないのである。.
(20) 122 台大日本語文研究 29. 派 生 語 に は 〈 価 値 性 の 否 定 〉 を 表 す の (ex. 「 不 出 来 」「 不 釣 り 合 い 」 「 不 向 き 」や「 不 機 嫌 」「 不 細 工 」「 不 成 績 」な ど )が 見 ら れ る 、と 従 来 の 造 語 現 象 12と 異 な る 点 で あ る 。 そ し て 、〈 行 為 性 の 否 定 〉 に 関 し て は 、 い わ ゆ る 〈 行 為 性 の 否 定 〉 というのは行為や動作が行われない、または行われていないといっ た意味なので、否定漢語接頭辞に後接する語基は動作性をもつこと が条件なのである。従来、漢語・和語の動名詞語基と結合するに当 た り 、〈 行 為 性 の 否 定 〉 を 表 す 、 [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ] 派生語はいずれも存在するが、特に「不~」派生語が多く見られる の で あ る 。 こ の 、「 不 -」 と 漢 語 ・ 和 語 の 動 名 詞 語 基 が 結 合 す る 派 生 語 (ex.「 不 干 渉 」「 不 許 可 」「 不 参 加 」 な ど )は 、 そ の 語 基 の 表 す 行 為 や動作が行われないといった意味を示し、言わば、動作的な〈行為 性の否定〉という働きだと考えられよう。 と こ ろ が 、前 述 し た が 、 「 不 -」は 外 来 語 と 結 合 せ ず 、即 ち 、 「 不 -」 に よ っ て 動 作 的 な 〈 行 為 性 の 否 定 〉 が 表 さ れ る [不 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 は な い わ け で あ る 。一 方 、 「 非 -」は 外 来 語 語 基 と 結 合 は す る が 、 その外来語の結合相手は動名詞はなく、 〈 行 為 性 の 否 定 〉を 表 す 例 は な い 。な お 、「 未 -」は 動 名 詞 の 外 来 語 語 基 と は 結 合 す る が 、 [未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 の 表 す 〈 行 為 性 の 否 定 〉 と い う の は 、 従 来 の [未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 (ex.「 未 完 成 」「 未 発 表 」「 未 公 開 」な ど )と 同 じ く 、 語 基 の 表 す 動 作 や 行 為 が ま だ 実 現 し て い な く 、 即 ち 「 … (し ) ていない」 「 … な っ て い な い 」と い っ た 意 味 で あ り 、言 わ ば 、状 態 的 な〈 行 為 性 の 否 定 〉(ex.「 未 チ ェ ッ ク 」 「未セット」 「未チャレンジ」 な ど )だ と 捉 え ら れ よ う 。 と い う わ け で 、外 来 語 語 基 が「 未 -」と「 無 -」と だ け 結 合 し て〈 行 為性の否定〉を表す派生語を作り上げ、尚且つ、それは状態的ばか り で あ り 、動 作 的 な の は 欠 け て い る の で あ る 。こ れ は 、従 来 の [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 の 表 す〈 行 為 性 の 否 定 〉は 動 作 的なのも状態的なのもある、と異なる点である。 12. 相 原 ( 19 86) 71 頁 。.
(21) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」123. ところで、ここで上にまとめた、否定漢語接頭辞と外来語語基と の結合に関する考察内容に基づき、事象における肯定否定の対立概 念 か ら 、も う 一 度 否 定 漢 語 接 頭 辞 と 従 来 の 漢 語・和 語 語 基 と の 結 合 、 及び外来語語基との結合における否定概念の相違点を考えてみたい。 ま ず 、 先 行 の 論 述 を 見 て み よ う 。 須 山 (1974)に は 、 …、P という立言がまずあり、その P を否定した P ならざるも の (状 態 )に は さ ま ざ ま な 段 階 や 状 態 が あ り 得 る 。 そ し て 不 P は そ の 内 の ひ と つ と い う よ り も 、も っ と 積 極 的 に P の 対 極 を 示 し ている。P と不 P はこの場合にまさにひとつの線でつながった 両極になるのだが、ことばの形式に表われる面から考えれば前 の二分法に対応させてこの場合を三分法によるとらえ方と考え る こ と が で き る 。 す な わ ち 「 P」 と 「 P で な い 」 と 「 不 P」 の 三 つである。 と 論 じ ら れ て い る 。 ほ か に 、 奥 野 (1985)に も 、 「 不 」は 、そ の 結 合 相 手 が 幅 を 許 さ な い 上 限 の 点 を 表 す が 、 「非」 の結合相手は、ある基準からプラス方向への幅をもつものであ る。 と 説 明 さ れ て い る 。つ ま り 、須 山 氏 の 言 う「 P で な い 」と い う の が 、 即ち奥野氏の言う、ある基準からプラス方向への幅をもつ結合相手 の 語 基 と 「 非 -」 が 結 合 し た 「 非 P」 の こ と で あ ろ う 1 3 。 要するに、 「 P」と「 不 P」は 肯 定 否 定 に お け る 対 極 の 概 念 で あ り 、 肯定否定のスケールには、. の 如 く 、「 不 P」と「 P」と い う 対 極 の 概 念 以 外 に 、間 の 、幅 を も つ 「 非 P」も あ る 、と 三 つ の 対 立 概 念 が 考 え ら れ る 。例 え ば 、 「美人」 に 対 し 、「 不 美 人 」 が あ り 、 そ の 間 は (「 美 人 と と く に い う べ き で は 13. 否 定 肯 定 の ス ケ ー ル に お け る 対 極 の 考 え 方 は 須 山 (1 974 )26 頁 と 奥 野 (198 5)92 ~ 93 頁 を 参 照 。.
(22) 124 台大日本語文研究 29. な い 」 1 4 と い う 意 の )「 非 美 人 」 で あ り 、 即 ち 、. と 三 者 対 立 の 概 念 で あ る 。ち な み に 、 「 無 P」と は 存 在 否 定 の 概 念 な の で 、 上 記 の 肯 定 否 定 の ス ケ ー ル に は 出 な い 15。 こ の 先 行 の 論 述 に 基 づ き 、 今 回 の [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ] 派 生 語 に 関 す る 考 察 を 通 し て 、 [不 + 外 来 語 語 基 ]と い う 語 構 造 の 派 生語は全然存在しないということからして、外来語が否定漢語接頭 辞 と 結 合 す る に 当 た り 、「 P」 に 対 し て 、「 P」 の 対 極 で あ る 「 不 P」 の 否 定 概 念 は 欠 け て お り 、 次 の 図 式 の よ う に 幅 を も つ 「 非 P」 だ け ある。. 例で説明すれば、 「 ア イ ド ル 」に 対 し 、そ の 否 定 と い う の は「 非 ア イ ド ル 」 で あ り 、「 不 ア イ ド ル 」 は な く 、 言 わ ば 、. と 二 者 対 立 の 概 念 な の で あ る 。 な お 、 そ れ に 存 在 否 定 の 「 無 P」 の 概念がある、と見受けられた。 これも、 「 不 P」 「 非 P」 「 無 P」の 否 定 概 念 を 全 て 有 す る 、従 来 の [否 定 漢 語 接 頭 辞 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 と 相 違 す る 点 だ と 言 え よ う 。. 五、おわりに 以上、否定を表す漢語接頭辞「不・無・非・未」と外来語語基と の結合に関して、外来語語基の品詞性、派生語における否定のスコ ープ、そして否定漢語接頭辞の働きという三つの観点から、従来の. 14. 須 山 (1 97 4)2 6 頁 を 参 照 。 「未~」は事象の未実現であり、肯定否定のスケールとは次元の異なる概念 である。 15.
(23) 日語否定漢語前綴詞素「不・無・非・未」125. [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 と の 対 比 を 通 じ て 、 両 者 の 共 通 点 や 相 違 点 、 そ し て [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 の 特徴などを論じてきた。 本 稿 の 実 例 調 査 を 通 し て 、否 定 漢 語 接 頭 辞「 不 -」は 外 来 語 語 基 と は 全 然 結 合 し な い の で あ り 、 そ れ に 対 し 、「 非 -」 は 外 来 語 語 基 と よ く 結 合 し 、 一 番 生 産 性 を も ち 、 他 に 「 無 -」 と 「 未 -」 も 外 来 語 語 基 と結合はするが、さほど多くない、とわかった。接辞と結合する外 来語語基の品詞性は従来の漢語・和語語基のとは大体一致している が 、中 に「 非 -」に 後 接 す る 語 基 で は 少 し 異 な る 点 が 見 ら れ た 。否 定 のスコープに関しても、否定漢語接頭辞と外来語語基との結合は、 従来の否定漢語接頭辞と漢語・和語語基との結合と共通している、 とも明らかになった。 それから、否定漢語接頭辞の働きにおいても、外来語語基との結 合及び従来の漢語・和語語基との結合における異同を解明できた。 特 に〈 行 為 性 の 否 定 〉 に 関 し て は 、 従 来 の [不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 + 漢 語 ・ 和 語 語 基 ]派 生 語 の 表 す〈 行 為 性 の 否 定 〉は 動 作 的 な の も 状 態 的 な の も あ る の に 対 し 、 [無 ・ 非 ・ 未 + 外 来 語 語 基 ]派 生 語 の 表 す の は 状 態 的な〈行為性の否定〉のみだ、と両者の本質的な相違を指摘した。 更に、本稿の考察を通して、肯定否定の対立概念のスケールにお い て は 、否 定 漢 語 接 頭 辞 が 従 来 の 漢 語・和 語 語 基 と の 結 合 は「 不 P」 ―「 非 P」―「 P」 と 三 つ の 対 立 概 念 が 存 在 す る の に 対 し 、外 来 語 語 基 と の 結 合 は 、「 非 P」 ―「 P」 と 二 つ だ け で あ る 、 と 両 者 の 肯 定 否 定概念の本質的な相違点も論述した。 従来、否定漢語接頭辞について、漢語・和語と結合する派生語だ けを中心にその造語性が論じられていたが、本稿の調査分析を通し て、同じ接頭辞でありながら、外来語語基との結合は従来の漢語・ 和語語基との結合とは異なる造語性も示しており、言わば、語基語 種の相違により接辞の造語性も変わることがあると確認できた。. 参考文献.
(24) 126 台大日本語文研究 29. 相 原 林 司 (1986)「 不 ―. 無―. 非―. 未 ―」 『日本語学. 特 集 接 辞 』5. - 3、 明 治 書 院 奥 野 浩 子 (1985)「 否 定 接 頭 辞 『 無 ・ 不 ・ 未 』 の 用 法 に つ い て の 一 考 察 」『 月 刊. 言 語 』 14- 6、 大 修 館 書 店. サ ト ー ・ ア メ リ ア 、 川 崎 晶 子 、 ソ ー ニ ア ・ ロ ン ギ (1982)「 語 頭 の 位 置にある否定的な意味をもつ造語要素『無・不・み・非』の意味 と 使 わ れ 方 」『 日 本 語 と 日 本 文 学 』 2 号 、 筑 波 大 学 国 語 国 文 学 会 須 山 名 保 子 (1974)「 接 辞 『 不 』『 無 』 を め ぐ っ て 」『 学 習 院 大 学 国 語 国 文 学 会 誌 』 17 号 野 村 雅 昭 (1973)「 否 定 の 接 頭 語 『 不 ・ 無 ・ 非 ・ 未 』 の 用 法 」『 国 立 国 語研究所論集 4. ことばの研究. 第 4 集』国立国語研究所. ――――(1978) 「 接 辞 性 字 音 語 基 の 性 格 」『 国 立 国 語 研 究 所 報 告 61 電 子 計 算 機 に よ る 国 語 研 究 IX』 国 立 国 語 研 究 所 ――――(1981)「 近 代 日 本 語 と 字 音 接 辞 の 造 語 力 」 『 文 学 』49-10、岩 波書店 吉 村 弓 子 (1990)「 造 語 成 分 『 不 ・ 無 ・ 非 』」『 日 本 語 学 現 』 9- 12、 明 治 書 院. 特集否定表.
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