• 沒有找到結果。

2.2 ダロウの確認要求用法の分類 まとめ

2.4.1 ダロウに関する言及

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

【対立型】

(1)果然下雨了吧。 栗田・劉・樊(2019)

(やはり雨降ったでしょ) 筆者訳

【新情報型】

(2)我家的小孩考試前還一直在玩遊戲。很誇張吧。 栗田・劉・樊(2019) (うちの子は試験前なのにゲームばかりしてるのよ。ありえないでしょ)

筆者訳

ここでは、①【内容上、「非下降の吧」に相当すると考えられるダロウの例】及 び、②【イントネーションの差異には言及されていないものの、非下降イントネ ーションで発話可能な「吧」の例】に関して、先行研究がどのように言及してき たのかを確認していく。まず、次の 2.4.1 節では①のダロウに関する言及を見る。

2.4.1 ダロウに関する言及

(38)「うまいだろう、ここのランチ」「ええ」 三宅(2010)

この(38)は、次に示すような「非下降の吧」【新情報型】の例(39)に置き換え ることができる。

(39)「很好吃吧,這裡的午餐」 「對啊」 筆者訳

三宅(2010)は、(38)のような例を A タイプに属するものと見なしている。ただ し、それらの例においては、確認されるべき命題の性質に多少の特殊性があると される。具体的には、それらは、聞き手の評価によって真偽が異なる可能性のあ る命題を言語化するものと考えられている。話し手の評価において命題は真なの であるが、聞き手の評価における命題の真偽が不確実であるため、聞き手の評価 においても真であるということの確認を求めているとされるわけである。次に蓮 沼(1995)は、(40)の例を紹介している。

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

(40)「私の料理の腕前上がったでしょ。」 蓮沼(1995) (41)我做菜的技術進步了吧。 筆者訳

(40)は、(41)の中国語文のとおり、【新情報型】の「非下降の吧」に置き換え可 能である。蓮沼(1995)も、三宅(2010)同様、この(38)のような例を A タイプに所属 させ、そこで確認の対象となっているのは、「聞き手に最終的判断の決定権のあ ることについての話し手の推測の妥当性」であると述べている。

(42)[お酒を飲んで自分の顔が見えない状態で]

「僕の顔、赤いだろう。」 蓮沼(1995) (43) *我的臉很紅吧。 筆者訳

上掲の(42)は、蓮沼(1995)において (40)の類例として引かれるものである。し かし、中国語の場合、先の(40) に対応する(41)は適格であったが、(42) に対応さ せた(43)は不適格となる。即ち、ここで注意されるのは、ダロウには、たしかに 内容上「非下降の吧」に相当する例があるが、それらは、時に「非下降の吧」に は対応しない例とも同質である旨、指摘されているということである。「非下降 の吧」とダロウの対応は認められるものの、その範囲には異同が存するのである。

今後の対照研究においては、この点について考えていく必要があるだろう。

また、ここまで三宅(2010)及び蓮沼(1995)を確認して明らかとなったのは、内 容上「非下降の吧」に対応するダロウに関して、先行研究が言及する例は、本研 究の言う【新情報型】相当に限られていたということである。しかし、(1)の

【対立型】の「吧」が、ダロウと違和感なく対応することからもわかるように、

ダロウにおいても【対立型】相当の例は存在するはずである。この現象が有意の ものであるかについても、今後、検討を加えていきたい。

次に、イントネーションへの言及はないが、非下降イントネーションで発話可 能な「吧」の例について、先行研究がどう述べているのかを見る。

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

2.4.2 「吧」に関する言及

井上(2016)は「事実を理解した聞き手に対して、念押し的に確認をおこなう」も のとして、次の例を紹介している。

(44) 你看,我沒有記錯吧? 井上(2016) (ほらね、(確かに) 私の記憶は間違ってなかったでしょう?)

井上(2016)訳

2.3.1 節で触れたように、井上(2016)の枠組みでは、「吧」の確認要求は A タイ プに限られているので、これも A タイプに属することとなる。そして、ここで注 目されるのは、井上(2016)が示す例が、内容上、本研究における【対立型】に相当 するということで、そこが、前節で見たダロウに対する言及との相違点である6。 また、次の黄(2012)も、イントネーションには言及がないが、【対立型】の「吧」

と目される文を提示している。次の(45)を見る。

(45) (話し手の忠告を無視し、聞き手が失敗を犯した状況で)

我早跟你說過了吧。誰叫你不聽我的。 黄(2012)

(あなたにはとっくに言ってあるだろう。言うことを聞けと言ったのに。) 黄(2012) 訳

この(45)について、黄(2012)は以下のように述べている。

聞き手側に対して、その事柄について、自分と同様の認識(“我早跟你說過了 (あなたにはとっくに言ってある)”)を有することを話し手は強く期待してい る。即ち、話し手の期待とは、自分と同様の認識を持つという事態が起こる ことである。このことから、「認識確認」の “吧”にも「事態が起こる蓋然

6 ただし、井上(2016)では、この文がいかなるイントネーションで発話されるのかについて、言及していな い。

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

性が高い」という意味が存在すると考えられ、「認識確認」の “吧” と「推 量確認」の “吧” のスキーマとして、「事態が起こる蓋然性が高い」という 意味が抽出できる。

ここで「認識確認」とされているのは、B、C タイプを区別なく統合したもので ある(「推量確認」が A タイプに当たる)。つまり、黄(2012)は、この【対立型】

と目される文を、A タイプではなく、B、C タイプのほうに所属させており、そ の点で、これまでに紹介してきた先行研究とは異なっている。

ここまでに確認してきたことを以下の表にまとめる。

表 3 非下降イントネーションの先行研究のまとめ

言及する語 扱う例文 帰属先 三宅(2010) ダロウ 【新情報型】 A タイプ 蓮沼(1995 ダロウ 【新情報型】 A タイプ 井上(2016) 「吧」 【対立型】 A タイプ 黄(2012) 「吧」 【対立型】 B、C タイプ

見られるように、本研究の「非下降の吧」相当の文に関して、日本語母語話者 がダロウについて言及する場合、そこで扱われるのは【新情報型】であり、それ らは A タイプに帰属するものとされる。しかし、日本語母語話者が「吧」につい て言及したものでは、【対立型】が扱われ、そこがダロウの場合とは異なるが、

それらの帰属先については、ダロウ同様、A タイプになっている。一方、中国語 母語話者による「吧」への言及の場合は、日本語母語話者のそれと同じく【対立 型】が扱われているものの、その帰属は B、C タイプと異なるのである。今後は、

「非下降の吧」相当の文に関する先行研究に、このような特徴が生じていること を念頭に置きつつ、分析を進めていく必要があるかと思われる。

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

以上、第 2 章では先行研究を概観した。次章では、本研究の主たる考察対象で ある「非下降の吧」をめぐって、どのような問題点が存在するのかを確認してい く。

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

第 3 章 「非下降の吧」をめぐる論点

3.1 【対立型】と【新情報型】

第 1 章で述べたように、栗田・劉・樊(2019)では、「非下降の吧」に【対立型】

と【新情報型】の例があることを論じた。以下、既に引いたものも含めて、【対 立型】と【新情報型】の例を示しておく。

【対立型】

(1)果然下雨了吧。 栗田・劉・樊(2019) (やはり雨降ったでしょ) 筆者訳 (46)你看,真的是蛇吧。 栗田・劉・樊(2019) (ほら、本当に蛇でしょ) 筆者訳

【新情報型】

(2)我家的小孩考試前還一直在玩遊戲。很誇張吧。 栗田・劉・樊(2019)

(うちの子は試験前なのにゲームばかりしてるのよ。ありえないでしょ)筆者訳 (47)你看,很可愛吧。 栗田・劉・樊(2019)

(ほら、かわいいでしょ) 筆者訳

3.2 【対立型】【新情報型】と非下降イントネーション

「非下降の吧」が非下降イントネーションで発話される所以について、栗田・

劉・樊(2019)では、「吧」の推量用法と確認要求用法の弁別に、イントネーショ ンを関与させるためであると考えた。以下、それを確認していく。

3.2.1 【下降の吧】における推量用法・確認要求用法の弁別

基本的に「吧」の推量用法と確認要求用法は、共に下降イントネーションで発 話されるので、両者に外形的な差異は存在しない。両者の弁別は、文に言語化さ れる内容によって果たされることになる。具体的には、話し手よりも聞き手の方

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

に関わりが深い事柄(以下、[話し手<聞き手]とする)の場合、それに関する推 量の文は基本的に抑制される。たとえば「あなたは明日、学校に行くでしょう」

という文が、普通は不適格となるのはそのためである。「吧」の確認要求用法は、

このように推量が出現しにくい[話し手<聞き手]という環境に現れ、そのことに よって推量との棲み分けが実現している。A タイプ「命題確認」の場合、話し手 が、自身より事情に通じている聞き手に確認するというその内容上、当然[話し手

<聞き手]という環境にある。一方、B タイプ「認識共有の確認」と C タイプ「認 識欠如の是正」においては、それを二人称主語文にすることによって[話し手<聞 き手]という環境が整い、「吧」の確認要求を成立させている。まず、B タイプに ついて確認する。

(48)あそこに赤い屋根があるでしょう。その隣が私の家です。

栗田・劉・樊(2019) (49) *那裡有個紅色屋頂吧。那旁邊是我家。 栗田・劉・樊(2019) (50)你看得到那裡有個紅色屋頂吧。那旁邊是我家。 栗田・劉・樊(2019) (51)四年生に周くんって人がいたでしょう。昨日、偶然、駅で会って話しまし た。 栗田・劉・樊(2019) (52)四年級裡有個周同學吧。我昨天恰巧在車站遇到他聊了一下。

栗田・劉・樊(2019) (53)你記得四年級裡有個周同學吧。我昨天恰巧在車站遇到他聊了一下。

栗田・劉・樊(2019)

まず(48)から (50)は、聞き手の視覚に関する確認であるが、この場合、中国語で は「你看得到」(~が見える)が必須である。ここでは、二人称者の動作として 言語化することにより、[話し手<聞き手]という体制が整えられることになるの である。一方、(51)から(53)のような聞き手の知識に関する確認の場合は「你記得」

(~を覚えている)はあったほうが自然だが、なくても非文とは言えない。この

‧ 國

立 政 治 大 學

N a

tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

ような微差も観察されるのであるが、その理由については、本研究では省略に従 いたい。次に C タイプを見る。下に引く(54)は、先掲の(31)と同じ文を、発話の状 況も含めて、改めて示したものである。

ような微差も観察されるのであるが、その理由については、本研究では省略に従 いたい。次に C タイプを見る。下に引く(54)は、先掲の(31)と同じ文を、発話の状 況も含めて、改めて示したものである。