第三章 動詞句とヴォイスの結合について
4.2 今後の課題
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第四章 結論
4.1 日本語のヴォイスについて
従来の生成文法の研究では、動詞述語文を分析しながら、動詞句の構造その ものについては特に論じられていなかったか、あるいは動詞句の構造を規定し てもその根拠を特に示されていなかった。本稿では第一章でまず有対自・他動 詞の例を比較し、それによっていくつかの原則を帰納し、さらに無対動詞にも その原則が適用できることを論じ、動詞句の構造を語根の部分(VP)および接 辞の部分(vP)に分けて分析し、つまり
(1)[vP (NP[IA]) [v’ [VP (NP[A]1) [V’’ (NP[IA]) [V’ (NP[A]2) V]]] v]]
とまとめた。そして第二章でヴォイスの研究を三種類に分けてそれぞれを検討 し、生成文法によるヴォイスの研究に疑問を呈し、認知言語学の対格・能格言 語に関する研究を利用して、ヴォイスを能動態・非能動態の二つに分け、態を
「主語が動作主であるか否か」によって定義し、実例の分析によってヴォイス の構造を VoiP のほかに、さらに立場という名詞句(Sp)をも有すること、つま り
(2)[VoiP Sp [Voi’’ (S) [Voi’ vP Voi]]]
と規定した。第三章で以上の動詞句およびヴォイスの構造を用いて、さらに時 制句と結合させ、能動文・直接受身文・間接受身文・現象文を分析した。
4.2 今後の課題
本稿で提示したヴォイスの分析は、ある意味非常に実験的なものであり、そ のため必ずしも成功してはいない。また、使役・自発・可能といったヴォイス、
およびアスペクトやモダリティを分析から外したために、例えば
(3)a.日本は廃核が成功しないだろうと考えられる b.日本は廃核が成功しないだろうと考えられている
(3a)が自発であり、思考主体が話者本人であるのに対し、(3b)が受身であり、
思考主体が不特定多数である、という解釈の違いについてまったく検討されて いない。
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そして動詞句の構造を論じる際、複合動詞について分析しなかったが、複合 動詞自体も重要な研究対象である。
さらに、本稿は文法的ヴォイスを中心に置いているが、語彙的ヴォイスそし て意味的ヴォイスとの関わりについては大きいテーマであり、また有意義なテ ーマでもある。例えば筆者は自発について、文法的自発には「考えられる」の ように態接辞「(r)are」を付けたもののほかに、「ドラマおしんは多くの人を泣か せた」のように使役態接辞「(s)ase」を付けても、動詞および構文によって自発 と解釈できるようなものも含むと考え、そして寺村(1982)で取り扱われてい る「自発」を語彙的自発と考え、さらに「気付く」のような動詞を意味的自発 と想定している。文法的自発は人間の認知・思考などに関するものなので、人 の自発と呼ぶことができるが、それに対し「糸が切れる」のような語彙的自発 は物の自発と考えられる。この人の自発と物の自発の性質はかなり異なるよう に見えるが、これらは反使役化、または一種の再帰的性質を持つものとして一 括できないかと考えているが、それを本稿で検討できなかった。
以上のように本稿では、まだまだ不十分なところが多々あるが、本研究を一 つの出発点として、今後更なる研究に取り組んでいきたい。
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星英仁(2011)「間接受身文の事象と統語構造について」影山太郎・沈力編『日
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Radford, Andrew(2004)English syntax: an introduction. Cambridge University Press.
外池滋生監訳(2006)『[新版] 入門 ミニマリスト統語論』研究社