解 説
(1)調査目的
的確な土砂災害防止対策を講じるために必要な基礎資料として,土砂災害の原因に関す る地形・地質等の状況把握や土砂災害の発生のおそれのある土地の利用状況を調査し,警 戒避難体制の整備等に必要な基礎的な情報を収集する。
(2)調査方法
調査方法は,主に 1/2,500 程度の地形図及び航空写真等の判読調査,及び現地確認調査 にて行う。
(3)調査範囲
調査範囲は,急傾斜地による危害のおそれのある土地内とする。
(4) 調査内容
調査内容は,道路・水路・池沼・宅地・農地・公園・山林・空地・その他の土地利用状 況を把握する。土地利用の具体的な該当項目は次の通りである。
① 道路:高速道,国道,県道,主要地方道,市町道,農道,林道,私道,その他の道路。
JRや私鉄等の鉄道,橋梁も含める。
② 水路:河川,運河,用水路。路側帯の側溝は含まない。
③ 池沼:湖,池,沼,貯水池,配水池
④ 宅地:人家,共同住宅,工場,公共的建物,それらの付属施設及び敷地。
⑤ 農地:田,畑地,果樹園,ビニールハウス,休耕田。付帯する作業場も含む。
⑥ 公園:都市公園法第 2 条第 2 項に定められる施設(陸上競技場・野球場・水泳プール その他の運動施設,植物園・動物園・野外劇場その他の教養施設等),キャン プ場,ゴルフ場,スキー場等。
⑦ 山林:山地,国有林,民有林,木竹が集団して生育している土地。上記①~⑥の敷地 内は除く。
⑧ 空地:放置された土地 ⑨ 上記①~⑧に該当しない土地
危害のおそれのある土地等について,調査する位置(急傾斜地の上部,急傾斜地内,
急傾斜地の下方)ごとに,土地利用状況(河川・池沼等,宅地等,農耕地等,山林等,
その他)を把握する。
表Ⅲ-7.1 総括表(土地利用状況)
池沼
水路 池沼 宅地
その他
山林 空地
農地 土地利用状況
水路 池沼 宅地
急傾斜地下方 道路 公園
空地 その他
公園 山林
水路 宅地
急傾斜地上部
急傾斜地内 道路
空地 その他
道路
公園 山林
農地
農地
7-2 世帯数及び人家戸数調査
解 説
(1)調査方法
世帯数及び人家戸数の調査では,危害のおそれのある土地においては人家戸数を,著しい 危害のおそれのある土地は,人家戸数と人家の構造を調査する。調査は,地形図の他に最新 の住宅地図を活用し,現地にて確認調査を実施する。
(2)整理方法
調査結果は危害のおそれのある土地と著しい危害のおそれのある土地にそれぞれに分け て整理する。まとめ方は,表Ⅲ-7.2に示す項目・内容に従う。
(3) 人家戸数の定義
「人家戸数」は危害のおそれのある土地等に居室を有する人家の戸数であり,公共的建物
(表Ⅲ-7.4参照)及び要配慮者利用施設(表Ⅲ-7.5参照)を含めない。マンション等の共同住 宅については世帯数(1部屋,1世帯)を人家戸数として計上する。なお,著しい危害のおそ れのある土地に部分的にかかる人家等は,著しい危害のおそれのある土地における人家戸数 として数え,危害のおそれのある土地に含めない。また,人家の庭などに住宅の敷地の一部 のみが危害のおそれのある土地等にかかるが,建築物自体はその区域にかからない場合は,
人家戸数としては計上しない。
また,著しい危害のおそれのある土地内では,一定の開発行為の制限及び居室を有する 建築物の構造に規制がかかるため,現存する人家の建築構造を把握する。建築構造につい ては,木造と非木造(RC 造等)に区分する。このとき,「非木造(RC 造等)」は主要構造部
(主に柱)が鉄筋コンクリート,コンクリート,鉄筋である建築物の構造とし,「木造」は 非木造(RC 造等)以外の建築物の構造とする。
危害のおそれのある土地等における人家の戸数,人家の構造について調査する。調査結果 は危害のおそれのある土地と著しい危害のおそれのある土地に分けて整理する。
「人家戸数」とは危害のおそれのある土地等に居室を有する人家の戸数をいい,公共的建 物・要配慮者利用施設を含めない。マンション等の共同住宅については世帯数(1部屋,1 世帯)を人家戸数として計上する。
また,著しい危害のおそれのある土地に部分的にかかる人家等は,著しい危害のおそれの ある土地における人家戸数とし,危害のおそれのある土地に含めない。
なお,著しい危害のおそれのある土地については,人家等の建築構造を把握する。
表Ⅲ-7.2 人家の戸数・構造の調査内容
表Ⅲ-7.3 総括表(人家戸数集計)
0戸 0棟
共同住宅
0世帯 木造 0棟
人家
0世帯 危害のおそれのある土地 著しい危害のおそれのある土地
世帯数及び人家戸数
共同住宅
人家 0戸 非木造
人家 0戸
共同住宅 0世帯0棟
7-3 公共施設等の状況調査
表Ⅲ-7.4 公共施設等状況調査の項目
表Ⅲ-7.5 要配慮者利用施設の範囲
(2)取りまとめ方法
調査結果は,最終的に一つの総括表に取りまとめる。
①公共施設
公共施設の調査結果については,総括表に具体的な名称,種類(高速道,鉄道等),
延長(単位:m)もしくは基数(橋梁等)を記入する。施設が著しい危害のおそれのあ る箇所に含まれる場合は,延長,基数を分けて記入する。
②公共的建物
公共的建物の調査結果については,具体的な名称,種類(警察,学校,公民館等),位 置する区域(著しい危害のおそれのある土地(レッドゾーン),危害のおそれのある土地 (イエローゾーン))を総括表に記入する。建物が両方の区域を跨ぐ場合は,著しい危害 のおそれのある土地に含めるものとする。建築構造は図示する。
③要配慮者利用施設
要配慮者利用施設の調査結果については,具体的な名称,位置する区域を総括表に記 入する。施設が両方の区域を跨ぐ場合は,公共的建物のまとめ方と同様にする。建築構 造は図示する。
表Ⅲ-7.6 総括表(公共施設等集計)
危害のおそれのある土地 著しい危害のおそれのある土地
公共施設等の状況 道路・鉄道などの公共施設
種類 施設名称(延長,基数) 施設名称(延長,基数)
JR 私鉄 高速道
国道 県道 市町道 その他道路
河川 橋梁 その他
郵便局・社会福祉施設などの公共的建物
種類 施設名称(延長,基数) 施設名称(延長,基数) 建築構造
7-4 警戒避難体制に関する調査
解 説
(1)調査の目的
土砂災害警戒区域の指定又は解除がされた場合には,市町村地域防災計画において当該警 戒区域ごとに土砂災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項を定めなければ ならない。本調査は警戒避難体制に関する事項を定めるための基礎資料を得るために行う。
(2)調査内容
「7-3 公共施設等の状況調査」と併せて,雨量計・伸縮計等の設置状況,予警報発令基 準の設定状況,避難場所の位置・建築構造,土砂災害に関連する情報の伝達通報システムの 状況について調査を行い,危害のおそれのある土地等を対象とし警戒避難体制の整備状況を 把握する。
「7-3 公共施設等の状況調査」と併せて,雨量計・伸縮計等の設置状況,予警報発令 基準の設定状況,避難場所の位置・建築構造,土砂災害に関連する情報の伝達通報シス テムの状況について調査を行い,危害のおそれのある土地等を対象とし警戒避難体制の 整備状況を把握する。
以下の調査項目にしたがって調査を行う。
① 設定された警戒区域・特別警戒区域の地域防災計画への記載の有無(2回目以 降の調査で対象)
② 自主防災組織等の有無
③ 伸縮計等の計測機器の設置状況
④ 最寄りに設置してある雨量計の位置・管理者
⑤ 基準雨量の設定状況
⑥ 雨量情報,災害発生の予報(警報,注意報),被災情報等を伝達するシステム の整備状況
⑦ 避難路の設定,避難場所の位置(危害のおそれのある土地等の区域内に位置し ていないか),避難場所の建築構造(木造・非木造)
⑧ 防災マップの配布等住民への防災知識・情報の周知状況
⑨ 防災訓練等の実施状況
⑩ その他
以下の調査項目にしたがって,資料の収集及びヒアリング等を行いとりまとめる。
④ 最寄りに設置してある雨量計の位置・管理者
調査対象の市町に別途設置されている雨量計が調査地域に存在する場合は,その設 置位置(所在地,緯度経度)と管理者を調査する。
⑤ 基準雨量の設定状況
上記雨量計の基準雨量の設定状況を調査する
⑥ 雨量情報,災害発生の予報(警報,注意報),被災情報等を伝達するシステムの整備 状況
次の整備状況を調査する。なお,調査は市町単位を原則とする。
・ 役場と住民間の情報通信システム(防災無線局数・役場のホームページ状況)
・ 役場内のシステム・県庁と役場間のシステム(防災行政無線・FRICS)
・ 情報通信インフラ(防災無線局数・携帯電話の通話可能範囲・ケーブルテレビ加入 率)
・ 相互通報(土砂災害情報の受信伝達等)
・ 情報伝達システム(防災無線の配備状況)
・ 情報伝達システム(防災無線の配備状況)