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解 説

(1)調査対象

調査対象となる対策施設は,主に以下の 2 つである。

①「原因地対策工」:崩壊等を防止するために急傾斜地自体に施工された対策施設

②「待受け式擁壁工」:小規模な崩壊が生じても擁壁背面に設けられているポケットで土 砂を捕捉し人家等に被害を及ぼさないようにする対策施設

「原因地対策工」もしくは「待受け式擁壁工」は,防災施設として公共事業により整備さ れ,適正に管理されている施設,または基礎調査時それと同様であると認められる施設を 対象とする。

(2)調査手順

対策施設等の状況調査は,次の手順で行う。

①対策施設等の状況調査

②対策施設の効果評価

図Ⅲ-4.1 対策施設等状況調査の手順

調査対象箇所において,土砂災害を防止・軽減するための以下の効果を有する対策施 設等を調査することにより当該箇所が「危害のおそれのある土地等」に相当するか否か を判断する。

・ 急傾斜地を崩壊させない効果

・ 急傾斜地の崩壊により生ずる土石等の量を減少させる効果

・ 急傾斜地の崩壊により生ずる土石等を保全すべき地域に到達させない効果

施設台帳等による諸元把握 現地調査による把握

現地目視確認

施設諸元の整理・記録 簡易計測による諸元把握

施設等の効果評価 対策施設等の諸元把握

4-1 対策施設等の状況調査 4-1-1 対策施設等の有無と種類

土砂

解 説

対策施設等の有無及び工種,延長及び規模について以下の方法で把握する。

①対策施設に関する資料(施設台帳等)が入手可能な場合には,資料に基づいて工種,

延長及び規模について把握する。把握した施設については,現地で目視確認する。

施設諸元の調査・整理は次の各項目について行う。

ア)延長

延長はその工種ごとに急傾斜地下端に平行した延長とする。ただし,対策施設が 斜面上部の保全対象を対象として施工されていることが明らかな場合で,斜面下部 に保全対象がなく,人家等のない急傾斜地の抽出条件にも該当しない場合には,急 傾斜地上端に平行した延長とする。

イ)種類

把握した施設の種類について表Ⅲ-4.1 に示す項目に区分する。なお,施設の種類 についての記録がない場合は,現地において当該施設の機能面に着目し,工種を推 定して区分する。

ウ)構造・材質

設計・施工に関する資料から,構造物の内部構造や材質などの基本的な構造諸元 を把握する。なお,資料や記録がない場合は現地調査において該当施設の機能や効 果などを考慮して推定する。

②資料等で確認できなかった施設等が現地調査によって確認された場合は,現況から表

Ⅲ-4.1 の区分による工種を判断し,簡易計測によって延長及び規模を把握する。

③原因地対策工のうち,施設効果を見込む対策施設は,表Ⅲ-4.2 の工法を基本とする。

なお,これ以外の工法の効果を見込む場合は,別途発注者と協議のうえ判断する。把 握した内容を調査票,及び平面図に記録する。

④小規模な対策施設については,概略位置,工種を把握し,写真撮影を行うのみとする。

また,施設効果が見込めない施設についても,同様とする。

⑤把握した内容を調査票,及び平面図に記録する。

対策施設等の有無について調査し,対策施設等が有る場合は表Ⅲ-4.1 から工種を選び,

その延長及び規模・構造・材質を把握する。

(参考)小規模な対策施設について

小規模な対策施設とは,「実際の施設効果は,ある程度期待できるものの,土砂災害防止 法で定められる著しい危害のおそれのある土地の設定に対して,その効果が現れない程度 の小規模な施設」のことをいう。

小規模な対策施設については以下の 2 点を参考とするが,それぞれ単独の項目で判断す るのではなく双方の条件と区域設定への影響から総合的に判断すること。

ア)延長

10m未満(縮尺 1/2,500 上で 4mm)のもの

延長の短い施設の効果を見込んだ場合,わずかな区間だけ著しい危害のおそれのあ る土地が凹型となったり,危害のおそれのある土地が凸状に突出するといった,歪 な区域となることがあるため,延長の短いものは,その効果を見込まない。

イ)高さ

斜面高さに応じて判断することとするが,1m~2m程度以下のもの

ただし,斜面高が低い場合は,1m~2m程度であっても設定に効果が現れることが あるため,注意を要する。

表Ⅲ-4.1 対策施設等の種類

表Ⅲ-4.2 原因地対策として効果を見込む工種と留意点

4-1-2 対策施設等の事業種

解 説

対策施設等の事業種については,工事台帳などの既存資料や現地での銘板確認等によっ て明らかなもののみ記載し,不明なものについてはすべて「不明」とする。施主及び施工 年についても同様とする。

対策施設等がどのような事業でいつ頃なされたかを,以下のように事業種別に区分し,

把握する。

(事業種及び施工者)

ア)急傾斜地崩壊対策事業(都道府県,市町村)

イ)治山事業(国,都道府県,市町村)

ウ)その他の事業(国,都道府県,市町村)

エ)公団・組合などによる事業 オ)個人施設

カ)施工者不明

(施工時期)

ア)10 年未満(調査年から 10 年未満)

イ)10 年以上 20 年未満 ウ)20 年以上

施工時期については,斜面カルテや現地竣工プレート,危険区域管理台帳などのい ずれかで確認することを基本とする。

4-1-3 対策施設の設置状況と残斜面との関係

解 説

原因地対策工が,急傾斜地の下部に施工されている場合,未対策の急傾斜地(残斜面)

の高さを調べ,5m 以上の残斜面がある場合はその高さを把握する(図Ⅲ-4.3 参照)。 このとき,未対策の急傾斜地(残斜面)について,同一対策施設で高さが変化する場合は,

計算断面における施設高さから残斜面の高さを求める。

また,高さは同じでも対策施設の種類が異なる場合には,それぞれの施設に応じて区域 を設定する。

図Ⅲ-4.3 残斜面の模式図

急傾斜地の一部に原因地対策が設置されている場合は,その残斜面の高さ(H1-h1)で生 じる土石等の量でもって,土石等の堆積による力を算出することを原則とする(待受け部 分がない場合は,移動の力に対する効果は認めない)。

【注意点】

対策施設に残斜面がある場合の横断測線における作業方法については,「2-1-1 横 断測線の設定」についても確認すること。

崩壊等を防止するために急傾斜地自体に施工さ れた対策施設(原因地対策)が,急傾斜地の下部 に施されている場合,対策施設より上部の自然斜 面を含む未対策の急傾斜地(残斜面)の高さを調 べ,5m以上の残斜面がある場合はその高さを把

握する(図Ⅲ-4.2 参照)。 図Ⅲ-4.2 残斜面の位置

急傾斜地の下端

h1

H1

急傾斜地の上端

残斜面の高さ:H1-h1

A

対 策 施 設 残 斜 面

残斜面の高さ(施設⑤⑦の効果量のみ加味):(H5-h5)+H6+(H7-h7)

4-1-4 待ち受け擁壁の設置状況

解 説

対策施設の単位幅あたりのポケット容量は,現地で断面形状を計測し,斜面下端から擁 壁までの距離:d(図中の dl),擁壁天端から斜面方向に引いた水平線が斜面と交わる点ま での距離:D(図中の dh)及び擁壁ポケット部の高さ(h)で作られる台形に単位幅をか けて求められる値とする。

ポケット容量は,基礎調査実施時の状態での残容量とする。

算出は算式によるか,横断図によるプラニメーター計測によって行うが,横断図が構造 物に対して直角に測量されていない場合は危険側の設定となるため,構造物に直交するよ う測線を配置することに注意する。斜面全体の傾斜方向を勘案した結果,やむを得ず構造 物に対して直交しない方向で測線を配置する場合は,現地にて直交方向の形状を把握し記 録すること。

d(dl)

D(dh)

H1

W

単位幅 H2

図Ⅲ-4.6 待受け式擁壁の計測箇所 待受け式擁壁が設置してある場合は,斜面下

端(仕戻工下端を基本)から擁壁までの距離(d), 擁壁ポケット部の高さ(H1),擁壁天端の幅(W), 擁壁天端から斜面までの距離(D(dh)及び落 石防護柵の高さ(H2),躯体寸法,設置の延長等 を帳票にまとめ,ポケットの空断面積を算出す る。算出は算式によるか横断図によるプラニメ ーター計測により,少数第 1 位までの値を求め ることを基本とする。

また必要に応じて,待受け式擁壁の材質(無 筋・鉄筋コンクリート製,鋼製等),落石防護柵 の構造を調査する(図Ⅲ-4.5 参照)。

図Ⅲ-4.5 待受け式擁壁の主な調査項目 H1

H2

4-2 対策施設の効果評価調査

解 説

対策施設の効果評価については,

① 原因地対策

② 待受け式擁壁工 の 2 つに分けて実施する。

表Ⅲ-4.1 に示す対策施設の工種のうち,土留,のり面保護施設,待ち受け擁壁工が施工 されている場合,次の要件に該当するものについては,安全性が確認できる施設と見なす

表Ⅲ-4.1 に示す対策施設の工種のうち,土留,のり面保護施設,待ち受け擁壁工が施工 されている場合,次の要件に該当するものについては,安全性が確認できる施設と見なす