解 説
土質定数は次のいずれかの方法により設定することを基本とするが,広島県における区 域設定については,県内の災害実績や区域計算への適用性から整理した値を用いることを 基本とする。
(1)移動時の計算に用いる移動の高さ:hsm と移動時の内部摩擦角:φ1
移動時の計算に用いる数値のうち,移動の高さ:hsm と移動時の内部摩擦角:φ1 は,県 内の災害実績から以下の値を用いることを基本とする。
①移動の高さ:hsm
広島県において区域設定に用いる移動の高さ:hsm は,県内の既往災害資料からまとめ た最大崩壊深:D の 1/2 の値を適用することを基本とする(なお,整理したデータは,
昭和 42 年災害,平成 11 年 6 月 29 日災害,及びその他の災害資料のうち,崩壊深さが把 握できた資料から作成したものである)。
既往災害における最大崩壊深:D は,D=1.5m程度で全災害データの約 90%と考えられ るため,移動の高さ:hsm は,最大崩壊深:D=1.5mの 1/2 の値として,hsm=0.75mを 基本とする。
当該急傾斜地の崩壊によって生ずる土石等(以下「土石等」という)の土質定数につ いて調査する。ここで調査する土質定数は以下のものである。
・ 土石等の比重(σ)
・ 土石等の容積濃度(c)
・ 土石等の密度(ρm)
・ 土石等の単位体積重量(γ)
・ 土石等の内部摩擦角(φ)
・ 移動時の内部摩擦角(φ1)
・ 土石等の流体抵抗係数(fb)
これらの土質定数は後述する著しい危害のおそれのある土地の区域を把握する際に重 要な要因となるため,地質調査結果や周辺の急傾斜地崩壊対策工事で採用されている値 などから,最も妥当性のある数値を用いることが望ましいが,標準的な数値とした参考 資料の値から決めることもできる。
図Ⅲ-3.1 広島県内の災害実績における崩壊深さ:D
(参考)
hsm=1.00m,φ1=20° 288/302 95.4%
hsm=0.75m,φ1=30° 232/302 76.8%
hsm=0.75m,φ1=25° 259/302 85.8%
hsm=0.75m,φ1=20° 274/302 90.7%
斜面高さごとのhsmとφによる崩土到達距離の妥当性
(2)その他の土質定数などの諸数値は以下の各方法によることを基本とする。
① 土質試験結果で得られた数値を用いる場合
該当斜面で,土質試験結果から数値を採用する場合は,対象とする地層や深度などにつ いて十分留意して適用の検討を行うとともに,区域設定に用いる場合の数値の適用妥当性 を十分検討した上で採用する。
② 急傾斜地崩壊対策工事で採用されている数値を用いる場合
該当斜面や周辺の類似斜面において急傾斜地対策工事が行われている場合は,対策施設 の設計時に用いた土質定数を用いてもよい。ただし,採用にあたっては,採用された土質 定数の適用性,試験位置と範囲,想定された災害発生機構などから数値の適用妥当性を検 討した上で採用する。
③ 過去の災害からの再現計算による数値
該当斜面及び地形・地質条件の類似する近隣斜面において,過去の災害事例が記録され ている場合は,災害状況の分析を行い,災害状況を正確に再現する土質定数を求め,土質 定数として採用する。
④ 広島県における一般的な数値
上記がない場合は,広島県において,過去の災害事例と全国的な災害実態,標準的な値 として整理した土質定数(表Ⅲ-3.2,Ⅲ-3.3)の値を採用するものとする。
表Ⅲ-3.2 土質定数等の一覧