解 説
(1)縮尺
地形調査に用いる地形図は広島県砂防基盤図(縮尺 1/2,500)とする。
また,土砂災害防止法において,関係ある市町に公示された事項を記載した図書を送付 する(法第 7 条 5 項,法第 9 条 5 項)場合,送付する土砂災害警戒区域図,土砂災害特別警 戒区域図は縮尺 1/2,500 以上の地形図を用いることとしている。
広島県砂防基盤図とは,航空レーザ測量※2によって取得した DEM(数値標高モデル)か ら作成した縮尺 1/2,500 の 3 次元の数値地図である。広島県の基礎調査においては基本的 には広島県砂防基盤図を使用する。
※1 簡易計測とは,ポールや巻尺,スラント,簡易 GPS,携帯型のレーザー計測器等を 用いて計測することを指す。計測に際しては,砂防基盤図の縮尺(1/2,500)を考慮 した精度を確保し,それぞれの計測道具の特性を考慮して作業を行うこと。特に巻 尺による計測では,水平の確保等に注意すること。
※2 航空レーザ測量とは,航空機に搭載したレーザスキャナから地上にレーザ光を照射し,
地上から反射するレーザ光との時間差より得られる地上までの距離と,GPS 測量機,IMU (慣性計測装置)から得られる航空機の位置情報より,地上の標高や地形の形状を精密に 調べる新しい測量方法である。(国土地理院(http://www1.gsi.go.jp/geowww/Laser_HP /)より)
(2)作成時期
調査に用いる地形図は,地形情報が更新された,最新のものを使用する。なお,既存の 空中写真を利用して地形図を新たに作成する場合も同様に,最新の空中写真を用いる。
既存地形図の判読及び,必要最低限の現地における地形調査(必要に応じて簡易計測※
1)を行い,危害のおそれのある土地等の範囲を設定するための資料を作成する。
作業は原則として,広島県砂防基盤図,空中写真,オルソフォト等を用いて行う。
2-1 急傾斜地の崩壊発生域の地形
傾斜度及び高さは,砂防基盤図(縮尺1/2,500)の地形情報と現地踏査結果によって求める こととする。
1)傾斜度
急傾斜地の下端と上端を結んだ線が水平となす角度を傾斜度とする。
傾斜度を求める方法は,次の方法を基本とする。
①砂防基盤図より作成した横断を現地踏査にて確認する。
②上端まで横断の簡易計測を実施した地点は,横断面図から急傾斜地の下端と上端を結 んだ線が水平をなす角を求める。
③上端まで横断の簡易計測を実施していない地点は,現地で確認した下端位置と広島県 砂防基盤図の3次元情報(および現地踏査結果)から判断した上端位置から求める(当 該箇所に横断測量成果がある場合はそれを参考とする)。
2)高さ
急傾斜地の下端と上端の標高差を高さとする。高さを求める方法は次の方法を基本とす る。
①砂防基盤図より作成した横断図を現地踏査にて確認する。
②上端まで横断の簡易計測を実施した地点は,横断面図により急傾斜地の上端と下端の間 の標高差を高さとする。
③上端まで横断の簡易計測を実施していない地点は,現地で確認した下端位置と広島県砂 防基盤図の 3 次元情報(および現地踏査結果)から判断した上端位置から求める(当該 箇所に横断測量成果がある場合はそれを参考とする)。
図Ⅲ-2.1 傾斜度及び高さの設定
解 説 傾斜度と高さの定義
急傾斜地の「傾斜度」は,急傾斜地の下端と上端を結ぶ線と水平面がなす角度をいう。
また,急傾斜地の「高さ」は,急傾斜地の下端と上端の標高差を調査する。
図Ⅲ-2.2 高さの求め方の例 下 端
H:高さ
θ傾斜度 上 端 3)急傾斜地の延長方向の決定
対象とする急傾斜地の延長は,急傾斜地崩壊危険箇所点検調査結果(平成 11 年~平成 12 年)による危険箇所の延長に基づくことを基本とするが,次の要件に該当する場合は,
両側の延長を伸縮することを基本とする。
①1/2,500 地形図及び現地調査により,斜面の区域を図示した場合,斜面端部の側方にも,
同様の斜面形態が認められる場合(延長を伸ばす)。
②1/2,500 地形図及び現地調査により,傾斜 30 度,高さ 5m以上に満たない箇所がある場 合(延長を縮める)。
2-1-1 横断測線の設定
(2)方 向
・ 横断測線は,地形条件から決定される斜面下端線を基準として,斜面の最大傾斜方 向(地形図上の等高線直角方向)に設定することを基本とする。だだし,斜面上部 に保全対象がある斜面や極端な凹型斜面では,斜面下端線からの横断測線設定が適 切でない場合は,斜面上端線を基準としてよい。
・ 斜面下端線より下方の横断線は,斜面下端の傾斜面の接線方向に延長する(概ね斜 面下端の等高線の 2 等分角方向)。なお,斜面上端線より上方の横断線も,下端と 同様な方法で横断線を設定する。
【参考】
区域設定支援システムでは,斜面の最大傾斜方向を確認することができる。
「最急勾配線」もしくは「落下線」を活用し,適切な横断測線方向を適用すること。
図Ⅲ-2.4 落下線使用例
(3)簡易計測の範囲
・横断の簡易計測は,下記のとおりとする。
①下端位置
広島県砂防基盤図上で確認可能な最寄りの地物までとする。
②上端位置
a)砂防基盤図との整合が取れ,対策施設が無い測線 砂防基盤図の 3 次元情報からの読取りとする。
b)砂防基盤図との整合が取れていない測線 下端から比高 7~10m 程度まで現地確認する。
c)対策施設が存在する測線
下端から対策施設の上端まで現地確認する。ただし,対策施設の高さが長大とな る場合については,既存資料等を活用しても良い。
砂防基盤図より 確認した上端 下端から砂防基盤図上で
確認可能な最寄りの地物まで
広島県砂防基盤図からの読み取り 簡易計測範囲
砂防基盤図より 作成した横断測線
砂防基盤図より 確認した下端
a)砂防基盤図との整合が取れ,対策施設が無い測線
砂防基盤図より 確認した上端 下端から砂防基盤図上で
確認可能な最寄りの地物まで 下端から比高 7~10m 程度まで 簡易計測範囲
砂防基盤図より 作成した横断測線 現地で確認した
横断測線
砂防基盤図より 確認した下端
現地で 確認した上端
現地で 確認した下端
b)砂防基盤図との整合が取れていない測線
下 端 下端から 上 端
確認可能な最寄りの地物まで
簡易計測範囲 広島県砂防基盤図からの読み取り
対策施設の上端まで
対策施設の上端まで
残斜面
5mに留意
※対策施設の高さが長大となる場合は,
既存資料等を活用しても良い
c)対策施設が存在する場合
2-1-2 下端の設定
解 説
(1)斜面下端の設定方法
斜面下端は,原則として横断測線上の勾配によって設定するが,横断測線ごとの勾配 変化のみで設定すると,平面的に凹凸が著しくなる場合がある。こういった場合は,斜 面全体及び下端の連続性を考慮して,下端を設定することが望ましい。
① 標高差 5m先の地点へ見通した場合の勾配が 30°以上の地点かつ上方の斜面の勾配が 30°以上となるはじめての地点,あるいは勾配 30°を区切る明瞭な遷急線
② 遷急線がない場合には,標高 5m先の地点へ見通した場合の勾配が 30°以上の地点
図Ⅲ-2.5 下端の設定例
a)急傾斜地の下端の設定例
≧ 5m
≧30°
下端
上方の斜面の傾斜度が 30°以上となるはじめての地点 標高差 5m 先の地点を見通した勾
配が 30°以上になる地点
b)遷急線が不明瞭な場合の急傾斜地の下端の設定例
≧30°
≧ 5m
標高差 5m 先の地点を見通した場 合の勾配が 30°以上の地点
標高差 5m 先の地点へ見通した場合の勾配が 30°以上の地 点かつ上方の斜面の勾配が 30°以上となるはじめての地 点,あるいは勾配 30°を区切る明瞭な遷急線
下端
急傾斜地の下端は,原則として横断測線上で下方から上方に向かって標高差 5m 先の地 点を見通した場合の勾配が 30°以上となるはじめての地点とする。ただし,見通した区 間に勾配が 30°以上となる明瞭な遷急線が認められる場合は,その地点を下端とする。
図Ⅲ-2.6 の例にみられるように,たとえば縮尺 1/2,500 の紙地図を用いて等高線 2.5 本(標高差 5m)を目安に下端を決定すると,本来下端となるべき地点より斜面下方に下端 が設定されるケースがでてくる。このため,地形図上で下端を定義しようとする場合に は遷緩線の位置を下端とする。
急傾斜地の下端は図Ⅲ-2.7 に示すように必ずしも平坦面と斜面の境界部とは限らず,
谷地形等では斜面上に設定される場合がある。
図Ⅲ-2.7 斜面上にあらわれる急傾斜地の下端 30°
平面図上から判断した下端 本来下端となるべき地点
A
等 高 線 A
【横断図】
【平面図】
A
下端線 下端
横断線 図Ⅲ-2.6 等高線から下端を判断する際の留意点
(2)下端の確認方法
広島県砂防基盤図を用いて設定した下端を現地踏査にて確認し,下端を設定する。
下端部の計測点は,概ね 20m間隔の点及び変化点(地形の出入りが 1m以上ある地点
下端部の計測点は,概ね 20m間隔の点及び変化点(地形の出入りが 1m以上ある地点