静宜大学日本語学科 2 年生の読みの
取り組み能力の特徴
靜宜大學日文系大二學生閱讀投入能力的特徵
Feng Ching-Yi
封靜宜
Department of Japanese Language and Literature
Providence University, Republic of China (Taiwan)
靜宜大學日本語文學系
106.09.18 到稿 106.10.25 通過刊登
《靜宜語文論叢》第十一卷第一期(106 年 12 月),91-112 頁
静宜大学日本語学科 2 年生の読みの
取り組み能力の特徴
封靜宜
要旨
今とこれからの社会を生き抜けるには、読むことへ取り組む姿勢が重要であ る。経済協力開発機構が、この取り組み能力の比較分析を行っていることが、そ の重要性を物語っている。けれども、第二言語教育では、まだ学習者の取り組み 能力について明らかにされていない。そこで、本論は静宜大学日本語学科 2 年生 の学習者を対象にして、その取り組み能力について意欲と行動の面から検討し た。その結果、静宜大学日本語学科 2 年生の学習者は日本語による読みに価値が あると認識しつつも、義務で読む傾向があることがわかった。更に、紙媒体と電 子媒体において読む範囲、読む量が少ない点が共通していた。その背景について 考えると、日本語が上達途中にある学習者は、テキストをなめらかに読めないた め、読むことに苦手意識があると考える。 キーワード:読解リテラシー、取り組み能力、内発的動機づけ 封靜宜,名古屋大学文学博士,静宜大学日本語学科専任助理教授Characteristics of reading engagement of
Second-grade class of Providence University
Japanese department–
Feng Ching-Yi
Abstract
To survive in the society now and in the future, reading engagement has become an important ability. The Organization for Economic Cooperation and Development is doing a comparative analysis of reading engagement, which also proves this growing trend. However, in the second language education, the abil-ity of the learner's reading engagement is not yet revealed. In that regard, this paper focusing on the reading engagement of a second-grade class of Providence University Japanese department will be investigated in terms of their motivation and behavior. As a result, Japanese learners of Providence University Japanese department recognize the value of reading; however, they read on duty. In addi-tion, it is pointed out that there is a small amount of reading in paper and elec-tronic medium. Considering the background cause, intermediate-level learners, who are not master of Japanese language, are not good at reading because they cannot read the text smoothly.
Key words: Reading literacy, reading engagement, intrinsic motivation
Feng Ching-yi, Ph.D. Doctor in Nagoya University, is currently Assistant Professor at the Department of Japanese Language and Literature, Providence University, Republic of China (Taiwan)
靜宜大學日文系大二學生閱讀投入能力的特徵
封靜宜
摘要
想在現今及未來的社會存活,閱讀投入能力是重要的能力。經濟合作暨發展組 織為首所進行的閱讀投入能力的分析比較可以說明此能力的重要性。但是外語教育 對學習者的閱讀投入能力至今尚未澄清。有鑑於此,本論文以靜宜大學日文系二年 級學生為對象,從動機面和行動面調查投入能力。結果顯示,靜宜大學日文系二年 級學生承認日語閱讀的價值,卻非自發性閱讀。另外,在紙本或電子文本的閱讀上, 不論閱讀種類或是閱讀量都很少。探究可能原因是中級程度的學生日語尚在發展階 段,因此無法順利閱讀。 關鍵字:閱讀素養、投入能力、內在動機 封靜宜,日本名古屋大學文學博士,現任靜宜大學日本語文學系專任助理教授静宜大学日本語学科 2 年生の読みの
取り組み能力の特徴
1. はじめに
グローバル化、デジタル化、多文化化が加速して、社会が大きく変遷していく 今日において、常に移り変わる環境に対応した生涯学習が求められる。自身の充 実・生活の向上のために、必要に応じて適したテキストを選び、読むという学習 が、生涯を通じて不可欠なものになっている。そのような読みにおける意欲、行 動について、OECD(経済協力開発機構:Organization for Economic Cooperation and Development,以下 OECD)(2010;2013)は「取り組み能力」という概念を付与 し、次のように定義する。 個人的な読みの取り組みとは、生徒の読みに関する意欲面の特性と行動特性と を指す。 先行研究では、取り組み能力は読解能力の上達に関わっていると実証されてい る。2000 年の OECD における調査結果によると、取り組みと習熟度との間の相関 関 係 は 、 社 会 的 経 済 地 位 と 習 熟 度 と の 相 関 関 係 よ り 強 い こ と が 判 明 し た (OECD,2010)。また、Cambria,Guthrie(2010)の研究では、読解能力の上達とは、 読解に関する技能や知識の上達に限られるものではなく、意欲、態度、行動など も関わっているとしている。さらに、Guthrie,Wigfield(2000)では生徒でも成人 でも読みの実践と読解の到達度の間に関連性があることが明らかになってい る。つまり、読解の際の取り組み能力は読解と深くかかわっていることが先行研 究で明らかにされているのだ。これら数々の実証研究により、これからの社会に おいて効果的に適応できる自律的生涯学習者になるには、読みの知識・技能に習 熟することだけでなく、読みへの取り組む姿勢も重要であるだろうと考える。 現時点で、外国語教育では管見の限り、読みの取り組み能力に焦点を当てた調 査がまだされていない。このような現状を踏まえて本論では、日本語学習者の読 みの取り組み能力に焦点を絞り、読解授業の課題を見つけるべく、そこから見え てくる日本語学習者の取り組み能力の課題を整理する。2.先行研究
本節は取り組み能力の理論付けに触れ(2.1)、OECD が行った取り組み能力の調 査結果を示し、それを「読みの意欲面の特性」(2.2)「読みの行動特性」(2.3) でまとめる。最後に、先行研究を踏まえ、本論の課題を述べる。 目下、外国語教育における取り組み能力をまとめた資料は管見の限りまだされ ていない。一方、母語では、OECD をはじめ詳細の資料がまとめられている。そこ で筆者は台湾の母語話者と OECD 各平均国の結果とを比較することにより、日本 語学習者の特徴がとらえられるだろうと考えた。現時点で、台湾で読解について の詳しい分析を行ったのは 2009 年度のみである。そのため、2.2 と 2.3 の内容は 主に台湾及び OECD の 2009 年1の結果に絞って論じることにする。 2.1 取り組み能力の理論付けと調査内容 OECD(2010) で は 、 取 り 組 み 能 力 の 概 念 は デ シ の 「 自 己 決 定 理 論 」 (Ryan& Decit,2000)(Self-Determination Theory)に基礎を置いているとしている。それ は、何らかの外的な報酬のために行動を起こす外発的動機づけ(extrinsic mo-tivation)ではなく、行動それ自体が独自の価値や意味をもって行動を起こす内 的動機づけ(intrinsic motivation)、というものである。デシは自己決定の度合 いの連続体として動機づけの段階を(1)「非動機づけ」(Amotivation)、(2)「外 的調整」(external regulation)、(3)「取り入れ的調整」(introjected regu-lation)、(4)「同一化的調整」(identified regulation)、 (5)「統合的調整」 (integrated regulation)、(6)「内発的動機づけ」(intrinsic motivation)と 想定している。 (1)「非動機づけ」は全くやる気がない段階である。(2)「外的 調整」は報酬を得る、懲罰を避けるために、ある行為をする段階である。(3)「取 り入れ的調整」は義務や評価懸念からある行為をする段階である。(4)「同一化 的調整」は将来のために必要、重要だから、ある行為をする段階である。(5)「統 合的調整」は自身の価値観と行動との価値観が一致しているから、ある行為をす る段階である。(6)「内発的動機づけ」は、やること自体が楽しいから、喜んで ある行為をやり続けている段階である、となる(Ryan&Deci,2000)。 「 自 己 決 定 理 論 」 で は 内 発 的 動 機 づ け を 高 め る た め に 、 「 有 能 性 」 (competence)、「自律性」(self-determination)、「関係性」(relatedness)1 上記の調査結果の詳細は OECD(2010)と台灣 PISA 研究中心(2012)を参照。
による 3 つの「心理的欲求」(psychological needs)を想定している。「有能性」 (competence)は行動をやり遂げる自信や自己の能力を示す機会を持ちたいとい う欲求である。「自律性」(self-determination)は自身の行動が自己決定的で、 責任感を持ちたいという欲求である。「関係性」(relatedness)は周りの人や 社会と密接な関係を持ち、他者と有効な連帯感を持ちたいという欲求である。こ れらが満たされた結果、学習者は内発的に動機づけられ、学習課題に対しても自 己決定的に取り組むようになるという(Deci & Ryan,1985; Deci & Flaste,1995; Ryan & Deci, 2002)。
「自己決定理論」を基に、OECD(2010)は、自己決定している読み手は内なる動 機付けをされていて、読むことそれ自体が目的であり価値なのであると捉えてい る。人は様々な興味・関心や目的のために読み、好きなテーマや作家を自分のも のにする。そして、教育的、職業的、私的及び社会的目的と行動を追求するため に読むという価値や信念、目標を持っているとしている。OECD(2010)はこのよう な読み手の取り組み能力を 4 つの特性として以下のようなものを調査に盛り込ん でいる。 (1)読みへの関心—楽しむためや好奇心を満足させるために、文学作品や情報テ キストを読む傾向。 (2)自律性の認識—読みに関わる活動・選択・行動をコントロールし、自ら方向決 定しているとの認識。 (3)社会的相互作用—読みについての社会的目標や対話的能力。 (4)読みの実践—読解活動の量やタイプを指す行動的関与。具体的には様々な媒 体における多様な内容の読解活動についての、自己報告による参加頻度と 定義される。 この 4 つの調査内容を前述した取り組み能力の定義である「生徒の読みに関す る意欲面の特性と行動特性とを指す」に照らし合わせて見ると、調査内容の中の (1)、(2)、(3)は「意欲面の特性」に該当し、(4)は「行動特性」に該当すること がわかる。以上のことから、OECD の取り組みに関する調査は、生徒の内的動機づ けという意欲面にとどまるだけではなく、実際に従事する読解活動も含めたもの であることがいえる。以下 2.2 と 2.3 では、OECD 参加国と台湾母語話者の取り込 み調査の結果を「意欲面の特性」(2.2)と「行動特性」(2.3)でまとめた。
2.2 OECD 参加国と台湾母語話者における読みの意欲面の特性 「読みの意欲面の特性」を具体的にするため「趣味で読書する時間」及び「読 みの内発的動機づけ」と置き換え、2 通りの調査票により読みの取り組み能力を 数値において測る。以下、OECD 参加国を OECD、台湾母語話者を台湾とし、2.2.1 では「趣味で読書する時間」、2.2.2 では「読みの内発的動機づけ」の調査結果を 踏まえながら論を進める。 2.2.1 趣味で読書する時間 「趣味で読書する時間」の設問は趣味として読書に投入する時間を問う内容で ある。2009 年の OECD と台湾の分析結果を表 1 にまとめる。 表 1 台湾母語話者、OECD 平均の趣味で読書する時間 台湾母語話者 OECD 平均 趣味で読書をすることはない 17.3% 37.4% 1日 30 分以下 30.9% 30.3% 1日 31 分から1時間未満 21.4% 17.2% 1日1時間から2時間 18.2% 10.6% 1日2時間より長い 11.6% 4.5% 「あなたは、普段、趣味としての読書をどのぐらいしますか」という問いにつ いて、OECD 参加国の回答の4割近くは、「趣味で読書することはない」(37.4%) と答え、読みへの関心の低さを示している。一方で、同じ質問に対して台湾での 回答は更に低く 2 割程度(17.3%)である。そして、一日のうちでの読書をする 時間数において、高い関心を示しているととらえられる「1 日 1 時間から 2 時間」 及び「1日 2 時間より長い」では、OECD では 15%ぐらいであるのに対し、台湾 はその倍である 30%ぐらいの数値を結果として示している。この結果から、台湾 の母語話者は趣味で読書に投入する時間は OECD の平均より高いということがい える。「趣味で読書する時間」と実際の読解成績の得点について、表 2 にまとめ る。 表 2 を見るとわかるように、読書に投入する時間が長いと、読解得点が高くな る傾向を示している。しかし、長ければ長いほどいいということではなく、1 日 2 時間より長くなると、かえって効果があがらず、一番得点が高いのは「1日1 時間から2時間」であった。
表 2 趣味で読書する割合と読解得点 趣味で読書をす ることはない 1 日 30 分以下 1 日 31 分から 1時間未満 1日1時間 から2時間 1日2時間よ り長い 台灣 17.3%(437) 30.9%(492) 21.4%(513) 18.2%(522) 11.6%(518) OECD 平均 37.4%(460) 30.3%(504) 17.2%(527) 10.6%(532) 4.5%(527) 2.2.2 読みの内発的動機づけ 「内発的動機づけ」は計 11 の項目からなる。その質問内容を、内発動機づけ を高める 3 つの欲求、「自律性」「有能性」「関係性」の側面から検討する。 表 3 読みにおける内発的動機づけ 自 律 性 調査項目 台湾母 語話者 OECD 平均 読書は大好きな趣味の一つだ 64.0% 32.9% 本屋や図書館に行くのは楽しい 65.0% 42.0% 平均 64.5% 37.5% ど う し て も 読 ま な け れ ば な ら な い と き し か 本 は 読 ま な い 50.7% 41.2% 読書は時間のムダだ 10.3% 24.2% 読書をするのは必要な情報を得るためだけだ 44.7% 45.7% 平均 35.2% 37.0% 有 能 性 本を最後まで読み終えるのは困難だ 23.7% 32.5% じっと座って本を読むなど数分しかできない 17.7% 25.0% 平均 20.7% 28.8% 関 係 性 読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ 60.2% 56.7% 本の内容について人と話すのが好きだ 65.1% 37.6% 本をプレゼントされると嬉しい 67.9% 46.4% 友達と本を貸し借りするのが好きだ 57.7% 36.2% 平均 62.7% 44.2%
まず、「自律性」に関する質問の中の「読書は大好きな趣味の一つだ」「本屋や 図書館に行くのは楽しい」という読みへの興味を問う質問に対して、両項目の平 均値は、台湾では 64.5%であり、OECD の 37.5%のほぼ倍に近い結果を示してい る。これは台湾母語話者の読みへの強い関心や喜びを示しているといえる。それ に対して、読解への価値判断についての質問である「どうしても読まなければな らないときしか本は読まない」「読書は時間のムダだ」「読書をするのは必要な情 報を得るためだけだ」についての平均値では、台湾は 35.2%、OECD は 37%で、 義務のための読書となってしまっている状況は台湾、OECD で 4 割近い数値であっ た。一方、それを逆の発想で捉えると、義務ではなく、自発的に読書する人は、 台湾、OECD 共に約 6 割ぐらいはいると言える。 次に、「有能性」に関する質問では「本を最後まで読み終えるのは困難だ」「じ っと座って本を読むなど数分しかできない」という問いで、台湾は 20.7%、OECD は 28.8%という平均値を示した。この結果から、有能性に欠ける 20.7%と 28.8 %以外の人は読みに自信を持っている人ということになり、その割合は台湾は約 8 割、OECD の参加国は約 7 割にのぼるといえる。 最後に、「関係性」の調査にある「本の内容について人と話すのが好きだ」「本 をプレゼントされると嬉しい」「読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ」 「友達と本を貸し借りするのが好きだ」など、読むことの社会的次元への関与に ついての問いの平均値について、台湾は 62.7%であり、OECD の 44.2%を上回る 結果となった。 以上の結果を踏まえると、台湾の母語話者は、OECD の参加国の平均よりも、読 みに喜びや価値を感じ、読みに自信を持っているということがわかった。加え て、読解における社会的相互作用も頻繁であるといえる。 2.3 OECD 参加国と台湾母語話者における読みの行動特性 読みの行動特性について、調査表では「紙媒体の読む量とタイプ」と「電子媒 体の読む量とタイプ」の 2 通りにて構成される。2.3.1 と 2.3.2 ではそれぞれ OECD 及び台湾の母語話者における「紙媒体の読む量とタイプ」と「電子媒体の読む量 とタイプ」についての分析をまとめる。 2.3.1 紙媒体の読む量とタイプ 表 4 は紙媒体を読むほうと読まないほうで読解の得点をまとめたものである。
まず、台湾では、物語・小説などのフィクション、伝記、記述文などのノンフ ィクション及び新聞は、読むほうの読解得点は読まないほうのより高かった。さ らに、特に読むほうのフィクションの得点が高い結果である。一方で、台湾の読 まないほうでは雑誌がより高い結果であり、コミックは読むほうと読まないほう は同点という結果である。つぎに、OECD では、コミックを読まないほうの読解成 績は読むほうより良い結果である。一方で、雑誌、物語・小説などのフィクショ ン、伝記、記述文などのノンフィクション及び新聞について、読むほうの読解得 点は読まないほうのより高かった。そして、台湾と OECD ではフィクションを読 むほうの得点が一番高く、ノンフィクションの得点が二番である結果が共通して いる。 表 4 紙媒体と読解得点 紙媒体 台湾母語話者 OECD 平均 読まない 読む 読まない 読む 雑誌 498 494 486 501 コミック 496 496 495 492 フィクション 478 516 480 533 ノンフィクション 485 515 492 513 新聞 478 503 484 501 表 5 は、台湾と OECD 平均の紙媒体の読む量とタイプをまとめたものである。 表 5 紙媒体の読む量とタイプ 雑誌 コ ミ ッ ク フィクション ノンフィクション 新聞 台湾母語話者 46.6% 40.3% 47.8% 37.2% 72% OECD 平均 57.9% 23.1% 31.4% 18.1% 61% 台湾と OECD では新聞を読む割合が一番高く、それぞれ 72%と 61%である。一 方で、読解に一番貢献するフィクションの読みでは、台湾は 47.8%、OECD は 31.4 %であり、二番目に貢献するノンフィクションの読みでは、台湾は 37.2%、OECD は 18.1%である。そして、相対的に貢献しないコミックの読みは、台湾は 40.3 %、OECD は 23.1%であった。
2.3.2 電子媒体の読む量とタイプ 電子媒体の読む量とタイプを表 6 にまとめる2。「E メールを読む」「ネット上で チャットをする」「ネット上で討論会またはフォーラムに参加する」といった人 と交流する電子媒体の利用についての質問の平均点では、台湾は 40.5%、OECD は 52.2%である。台湾では、「E メールを読む」人は 35.6%で、特に低い割合を 示している。そして、「ネット上でチャットをする」ことは、台湾でも、OECD で も高い割合を示し、それぞれ 66.8%と 77.3%である。一方で、「ネット上で討論 会またはフォーラムに参加する」では、台湾も OECD も低い割合を示し、それぞ れ 19%と 19.6%である。 人との交流ではなく、情報を調べるために電子媒体を利用する割合の平均値で は、台湾と OECD はそれぞれ 34.9%と 42.9%である。台湾と OECD で一番差があ る項目は「ネット上で辞書または辞典を使用する」(20.7% VS. 39.0%)「あ る特定のテーマを調べるためにネットで検索をする」(32.1% VS.51.3%)であ る。一方で、台湾は「ネット上でニュースを読む」「生活情報をネットで検索す る」においては、OECD より高い結果となる。台湾は「ネット上でニュースを読む」 は 46.8%であり、OECD は 45.7%である。そして、「生活情報をネットで検索する」 では、台湾は 39.9%であり、OECD は 35.5%である。 表 6 電子媒体の読む量とタイプ 台湾 OECD E メールを読む 35.6% 63.7% ネット上でチャットをする 66.8% 73.3% ネット上で討論会またはフォーラムに参加する 19.0% 19.6% 平均 40.5% 52.2% ネット上でニュースを読む 46.8% 45.7% ネット上で辞書または辞典を使用する 20.7% 39.0% ある特定のテーマを調べるためにネットで検索をする 32.1% 51.3% 生活情報をネットで検索する 39.9% 35.5% 平均 34.9% 42.9%
2 電子媒体の分析について、先行研究では読む量とタイプだけが分析されており、読解の得点についての 分析がなされていない。
以上の結果から、台湾と OECD はチャット室を利用する割合が高く、討論会な どに参加する割合が低いことにおいて共通している。相違点は、台湾は OECD の 参加国より E メールを利用する割合が低いこと、ネット上の辞書の利用や、特定 のテーマについての検索が OECD 平均より少ない傾向にあることである。 取り組み能力の分析結果に基づいて、本論の課題を以下のようにまとめる。 【課題】日本語学習者の読みの取り組み能力の特徴はどうであるか。 【1】日本語学習者の日本語による読みへの意欲面の特性はどうであるか。 【2】日本語学習者の日本語による読みの行動特性はどうであるか。
3.調査内容と手順
3.1 協力者 参加者については文法の積み重ね指導がメインだった初級段階から、生素材が 読める上級段階の橋渡しの役割を担う重要な段階である中級学習者を選んだ。中 級段階の問題点を明らかにすることは、これからの読解指導の手がかりとなるこ とが期待できるからである。 本調査の参加者は静宜大学の日本語学科 2 年生、計 53 名である。この 53 名は、 1 年生の時点で「初級日本語」という授業で N5 と N4 レベルの日本語の文型や語 彙までを勉強し、2 年生からは、「中級日本語」という授業で中級レベルの文章を 週に 3 時間勉強している。調査を行ったのは、第 2 学期の 6 月であり、参加者は 約 1 年間、中級レベルの文章を勉強していたことになる。 日本語レベルを判定するために、語彙テスト、文法テストを行った。これは旧 日本語能力試験 1 級、2 級、3 級、4 級の過去問題集からそれぞれ 12 問ずつを抜 粋して作ったものであり、満点は 48 点である。その得点に対応する日本語レベ ルとして、37 点以上は 1 級レベルとし、36 点から 25 点までは 2 級レベル、24 点 から 13 点までは 3 級レベル、12 点以下は 4 級レベルとした。レベル判定テスト の結果、語彙テストと文法テストの平均値はそれぞれ 29.19 点と 21.15 点であっ た。よって、今回の参加者の語彙レベルは 2 級より少々上のレベル、文法は 3 級 レベルであると判定した。 3.2 実験材料 2.2 と 2.3 の分析から、OECD 調査では、取り組み能力の特徴を分析するにあたり、取り組み調査の結果、及び、取り組み能力と読解力のかかわりを視野に入れ ていることがわかる。それを踏まえて、本調査では、(1)「読解問題」と(2)「取 り組み能力調査表」を用意する。 (1) は OECD が公表した「PISA 問題例」から、文章内容、文章形式、文の長さ、 難しさといった点を考慮して、「連続型」と「非連続型」が含まれるテキスト を 4 つ選び、計 16 の読解問題を抜粋する 3。採点方法は OECD が公表した基 準に従う。1 つの質問を正解することにより、1 点獲得でき、満点は 16 点で ある。 (2) の「取り組み能力調査表」は、PISA のアンケート調査4を利用する。本調査の 調査表は「読みへの意欲面特性」調査と「読みの行動特性」からなる。 「読みへの意欲面特性」は、「趣味で読書する時間」及び「読みの内発的動機 づけ」からなる。「趣味で読書する時間」は趣味として日本語による読書に関す る調査であり、「趣味で読書をすることはない」「1 日 30 分以下」「1日 31 分から 1時間未満」「1日1時間から2時間」「1日2時間より長い」などの項目で回答 を求める。「読みの内発的動機づけ」は、「どうしても読まなければならないとき しか本は読まない」「読書は大好きな趣味の一つだ」「本の内容について人と話す のが好きだ」「本を最後まで読み終えるのは困難だ」「本をプレゼントされると嬉 しい」「読書は時間のムダだ」「本屋や図書館に行くのは楽しい」「読書をするの は必要な情報を得るためだけだ」「じっと座って本を読むなど数分しかできない」 「読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ」「友達と本を貸し借りするの が好きだ」など計 11 問からなる。その質問に対して「全く当てはまらない」「ど ちらかといえば当てはまらない」「どちらかといえば当てはまる」「とても当ては まる」と 4 件法で回答を求める。 一方で、「読みの行動特性」は「紙媒体の読む量とタイプ」と「電子媒体の読 む量とタイプ」からなる。「紙媒体の読む量とタイプ」は日本語の「雑誌」「コミ ック」「フィクション」(小説や物語)「ノンフィクション」(叙述文、伝記)「新
3 本調査を行う前に、大学における初級後半レベルから中級前半レベルにかけての学習者 8 名、中級前半 レベルから中級後半レベルにかけての学習者 39 名、台湾人日本語教師 1 人を対象に予備調査を行った。 その結果をもとに、調査内容(調査用文章の形式、難易度、理解問題の形式、難易度、問題数)、実施時 間(適切な回答時間、実験の実施時期)、テキスト、テストのレイアウトなどを検討した。 4 PISA アンケート調査は生徒質問紙・学校質問紙からなる。その中の本論の趣旨と関連性がある調査内容 のみを使用する。
聞」と 5 つの紙媒体の読む量を「全くかほとんどない」「年に 2~3 回」「月に 1 回ぐらい」「月に数回」「週に数回」と 5 件法で回答を求める。「電子媒体の読む 量とタイプ」では日本語の「E メールを読む」「ネット上でチャットをする」「ネ ット上でニュースを読む」「ネット上で辞書または辞典を使用する」「ある特定の テーマを調べるためにネットで検索をする」「ネット上で討論会またはフォーラ ムに参加する」「生活情報をネットで検索する」の 7 つの電子媒体の読む量につ いて「これが何かわからない」「ほとんどない」「月に数回」「週に数回」「日に数 回」と 5 件法で回答を求める。 3.3 データ収集と手続き データ収集は「読解問題」「取り組み能力調査表」を使用し、それぞれを学習 者の「読解の知識・技能」「読みの取り組み能力」を調査し、データを収集する。 その手続きは次の通りである。 (1)実験の目的及び流れを説明する(5 分間)。(2) 「読解問題」を実施(40 分間)。(3) 「取り組み能力」調査を実施(15 分間)。
4.調査結果
日本語学習者の「取り組み能力」を「日本語による読みへの意欲面の特性」と 「読みの行動特性」別に分析する。以下は本調査の協力者を学習者、台湾母語話 者を台湾、OECD 各参加国の平均を OECD 平均と略して説明を進める。 4.1 日本語による読みへの意欲面の特性 4.1.1 趣味で日本語による読書する時間 表 7 は「学習者が趣味で日本語による読書をする時間」についての調査結果を まとめたものである。 まず、「趣味で読書をすることはない」について着目すると 22.6%であり、OECD 平均より低いが、台湾よりはやや高い結果となった。「1日 1 時間から 2 時間」「1 日 2 時間より長い」のように高い関心を示す割合の学習者の合計は 10%ぐらいで あったが、OECD 平均では 15%ぐらい、台湾は 30%ぐらいの結果を示している。 この結果から、学習者は日本語による読みに全然興味を持っていない人の割合は 台湾母語話者より高いが、OECD 平均より低い結果を示している。一方で、日本語 による読みに強い関心を持っている学習者の割合は台湾と OECD 平均より低かっ た。表 7 学習者、台湾、OECD 平均の趣味で読書する時間 日本語学習者 台湾母語話者 OECD平均 趣味で読書をすることはない 22.6% 17.3% 37.4% 1日 30 分以下 43.4% 30.9% 30.3% 1日 31 分から1時間未満 22.6% 21.4% 17.2% 1日1時間から2時間 9.40% 18.2% 10.6% 1日2時間より長い 1.90% 11.6% 4.50% 表 8 は「趣味で読書する時間と読解得点」についてまとめたものである。 表 8 趣味で読書する時間と読解得点平均と標準偏差 趣味で読書をす ることはない n=12 1 日 30 分以下 n=23 1 日 31 分から 1時間未満 n=12 1日1時間 から2時間 n=5 1日2時間よ り長い n=1 M SD M SD M SD M SD M SD5 読解得点 7.17 2.79 8.61 2.23 9.00 2.76 9.00 1.00 10.00 - 趣味で投入する時間の長さと読解得点の平均値を見ると、趣味で読書する時間 が長いほど読解の得点が高いことが分かった。また、母語話者の趣味で読書する 時間と読解得点をまとめた表 2(2.2.1)と照らし合わせて見ると、母語話者は、1 日 2 時間より長くなると、かえって効果があがらず、一番得点が高いのは「1日 1時間から2時間」であった。一方で、学習者は読書に投入する時間が長いほど、 読解成績があがることが分かった。 4.1.2 日本語による読みの内発的動機づけ 表 9 は学習者の日本語による読みの内発的動機づけを「自律性」「有能性」「関 係性」別に整理し、まとめたものである。 まず、「自律性」の中の「読書は大好きな趣味の一つだ」「本屋や図書館に行く のは楽しい」といった読みへの興味に関する質問では、その平均値は 32.1%であ
5 「1 日 2 時間より長い」を選ぶ人数が標準偏差を求める数に達していないため、この項目の標準偏差はな い。
る。それは、OECD 平均値である 37.5%に近いが、台湾の 64.5%の半分に当たる 結果となった6。 表 9 読みにおける「内発的動機づけ」 調査項目 日本語 学習者 台湾母 語話者 OECD 平均 自 律 性 読書は大好きな趣味の一つだ 30.2% 64.0% 32.9% 本屋や図書館に行くのは楽しい 34.0% 65.0% 42.0% 平均 32.1% 64.5% 37.5% どうしても読まなければならないときしか本は読まない 66.0% 50.7% 41.2% 読書は時間のムダだ 11.4% 10.3% 24.2% 読書をするのは必要な情報を得るためだけだ 66.0% 44.7% 45.7% 平均 47.8% 35.2% 37.0% 有 能 性 本を最後まで読み終えるのは困難だ 78.5% 23.7% 32.5% じっと座って本を読むなど数分しかできない 15.1% 17.7% 25.0% 平均 47.8% 20.7% 28.8% 関 係 性 読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ 32.1% 60.2% 56.7% 本の内容について人と話すのが好きだ 35.9% 65.1% 37.6% 本をプレゼントされると嬉しい 70.0% 67.9% 46.4% 友達と本を貸し借りするのが好きだ 26.4% 57.7% 36.2% 平均 41.1% 62.7% 44.2% また、「どうしても読まなければならないときしか本は読まない」「読書は時間 のムダだ」「読書をするのは必要な情報を得るためだけだ」といった読みの価値 判断に関する質問では、平均値は 47.8%である。同じ問いについて、台湾は 35.2 %であり、OECD 平均は 37%である。この消極的な自律性に対する設問を裏返す と、読書自体に価値を感じる人は、台湾、OECD は共に約 6 割、学習者は約 5 割で あると言える。さらに、その内訳をみると、学習者は「読書は時間のムダだ」と 答えたのは 11.4%であり、それは台湾の 10.3%とあまり差が見られないが、OECD
6 OECD(2010a)、台湾 PISA 研究中心(2012)の分析に従い、4件法の選択肢である「全く当てはならない」「ど ちらかといえば当てはまらない」「どちらかといえば当てはまる」「とても当てはまる」の中の「どちら かといえば当てはまる」「とても当てはまる」を答えた割合を合計して計算した。以下の項目も同じであ る。
平均の 24.2%よりは低いことが分かった。ただし、「どうしても読まなければな らないときしか本は読まない」「読書をするのは必要な情報を得るためだけだ」 という問いに対しての学習者は、いずれも 6 割を占めており、台湾の 5 割台、OECD の 4 割台を上回る結果となっている。つまり、その結果から、学習者は日本語に よる読書は無駄ではなく、重要だという認識は台湾の母語話者の平均値に近く、 しかも、OECD 平均よりも強く認識していることがわかる。とはいえ、日本語によ る読みは義務だと感じており、台湾母語話者と OECD ほど自発的、積極的ではな いことも分かった。 次に、「有能性」に関する問い「本を最後まで読み終えるのは困難だ」「じっと 座って本を読むなど数分しかできない」について、着目してみる。学習者の平均 値は 47.8%である。それに対して、台湾は 20.7%であり、OECD 平均は 28.8%と いう結果を示している。さらに詳しく見ると、「有能性」の中の「本を最後まで 読み終えるのは困難だ」という質問に対して、学習者の 78.5%はそう感じてお り、台湾の 23.7%と OECD 平均の 32.5%の 2 倍から 3 倍以上多い結果となる。そ の一方で「じっと座って本を読むなど数分しかできない」という問いでは、学習 者はわずか 15.1%であり、台湾の 17.7%と OECD 平均の 25%より少ない結果とな る。この結果から、台湾、OECD 平均では、読みに困難を感じておらず、落ち着い て読むことができる、ということがとらえられる。それに対して、学習者は読み に有能感を持っていないが、じっと座って日本語の本を読む傾向であることが分 かった。 最後に、「関係性」の問い「本の内容について人と話すのが好きだ」「本をプレ ゼントされると嬉しい」「読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ」「友達 と本を貸し借りするのが好きだ」など、読むことの社会的次元への関与について 着目する。学習者の平均値は 41.1%である。それは OECD 平均である 44.2%に近 いが、台湾の 62.7%より低い結果を示している。更に見ると、学習者は台湾と OECD 平均値より高い割合を示すのは「本をプレゼントされると嬉しい」(70%) という項目である。一方で、低い割合を示すのは「友達と本を貸し借りするのが 好きだ」(26.4%)である。この問いから、学習者は友達同士で日本語の本につ いてやり取りすることはあまりしないことがとらえられる。さらに、「本の内容 について人と話すのが好きだ」「読んだ本について自分の意見を言うのが好きだ」 という読んだ内容を他者に伝達する項目の平均値では、台湾と OECD 平均はそれ ぞれ 62.7%と 47.2%であり、学習者は 34%である。この結果は、学習者が読ん だ内容を応用したり、交流したりする割合は台湾と OECD 平均より低いことを示
していると考えられる。 4.2 日本語による読みの行動特性 4.2.1 紙媒体の読む量とタイプ 表 10 は、学習者及び台湾、OECD 平均による紙媒体の読む量とタイプの調査結 果をまとめたものである7。 表 10 紙媒体の読む量とタイプ 雑誌 コ ミ ッ ク フィクション ノンフィクション 新聞 日 本 語 学 習 者 15.1% 37.8% 16.9% 24.6% 0 台湾母語話者 46.6% 40.3% 47.8% 37.2% 72.0% OECD 平均 57.9% 23.1% 31.4% 18.1% 61.0% 学習者の紙媒体の読書量のタイプ別の内訳をみると、新聞の割合が一番低いと いう結果である。それに対して、台湾では、新聞の読む割合が一番高い結果であ る(台湾:72%;OECD:61%)。一方で、学習者はコミックを読む割合が一番高い(37.8 %)ことが分かった。 母語の調査で、紙媒体の読む量と読解成績を調べた結果、読解に一番貢献する のはフィクションの読みであり、二番目に貢献するのはノンフィクションの読み である。一方で、コミックの読みは相対的に貢献的ではない(2.3.1 の表 4 参照)。 それを学習者の調査結果(表 10)と照らし合わせて見ると、学習者において読解 力を高めるタイプのフィクションとノンフィクションを読む割合はそれぞれ 16.9%、24.6%と少なく、また、読解に相対的に貢献しないタイプのコミックを 多く読む(37.8%)傾向があることを示しているととらえられた。 4.2.2 電子媒体の読む量とタイプ 表 11 は学習者、台湾、OECD 平均の電子媒体の読む量とタイプをまとめたもの である。 その内訳を見ると、学習者が「ネット上で辞書または辞典を使用する」割合は 71.7%であり、他のタイプと比べ飛び抜けて高く、また、台湾と OECD と比べて
7 OECD(2010b)と台湾 PISA 研究中心(2012)が算出する方法に従い、「まったくかほとんどない」「年に 2~3 回」「月に 1 回ぐらい」「月に数回」「週に数回」の中の「月に数回」「週に数回」と答えた割合を総計し て計算した。以下の項目も同じである。
もはるかに上回る結果となっている。その一方で、「生活情報をネットで検索す る」では、学習者の平均は 37.7%であることから、台湾の 39.9%及び OECD 平均 の 35.5%とそれほど差がないといえる。「ある特定のテーマを調べるためにネッ トで検索する」項では、学習者は台湾の母語話者に近く(35.8% VS 32.1%)、 OECD の 51.3%より少ない結果を示している。「ネット上でニュースを読む」割合 は 15.1%であり、台湾の 46.8%と OECD 平均の 45.7%より少ない結果となった。 つまり、電子媒体において学習者の「ネット上でニュースを読む」割合が低く、 さらに紙媒体で日本語の新聞を読む量が少ないという結果と合わせて考える と、学習者は日本語の学習対象であっても、日本のニュースや新聞をあまり読ま ないことがわかった。最後に「E メールを読む」(7.6%)、「ネットでチャットを する」(13.2%)、「ネット上で討論会またはフォーラムに参加する」(9.5%)は軒 並み低く、電子媒体による読みを通して、学習者は日本語のやり取りが少ないこ とが分かった。 表 11 電子媒体の読む量とタイプ 日本 語学 習者 台湾 母語 話者 OECD 平均 E メールを読む 7.6% 35.6% 63.7% ネット上でチャットをする 13.2% 66.8% 73.3% ネット上で討論会またはフォーラムに参加する 9.5% 19.0% 19.6% ネット上でニュースを読む 15.1% 46.8% 45.7% ネット上で辞書または辞典を使用する 71.7% 20.7% 39.0% あ る 特 定 の テ ー マ を 調 べ る た め に ネ ッ ト で 検 索 を す る 35.8% 32.1% 51.3% 生活情報をネットで検索する 37.7% 39.9% 35.5% 平均 27.2% 37.3% 46.9%
5.おわりに
今回の調査では、静宜大学日本語学科 2 年生の取り組み能力を意欲と行動の面 から検討した。読む意欲の特性では、学習者は日本語による読みに価値があると 認識しているが、それにもかかわらず、自発的、積極的に日本語の本を読むとい うより、義務で読む傾向があるととらえられた。一冊の本を読みきることに苦手意識があり、自ら多種多様の本を読もうとしないということが分かった。学習者 は紙媒体と電子媒体ともに読む範囲、読む量が少ない点で概ね共通していた。数 少ない文章タイプの中から、文意の理解を助ける電子辞書や、非文字情報である 絵から意味が推測できるコミックを選んで読んでいることは、読むことへの苦手 意識を裏付けているといえよう。それに加えて、読むことから社会次元へ関与す ることが少なく、あまり読んだ内容の意見交換がなく、日本語でのやり取りをし ながら自分と他人の書いた文章を読んだり、ネットのチャット室の利用などが少 ないという特徴も挙げられる。 今回の調査では、静宜大学日本語学科 2 年生の学生は読みに楽しみをあまり感 じていないながら、読みに価値を感じているため、義務で読んでいるということ がとらえられた。よって、内発的動機づけは「取り入れの調整」の段階と「同一 化的調整」の段階の間に位置づけられると考える。また、教科書以外のテキスト に触れることが少ないという課題が浮き彫りされた。その点については今後の課 題とし、どのように読む量とタイプを増やすか、いかに内発的動機づけを高める か、さらなる教育実践が待たれる。
参考文献
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