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「具象名詞+wosuru」句型 - 政大學術集成

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Academic year: 2021

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(1)國立政治大學日本語文學系 碩士論文. 指導教授:吉田妙子. 學 ‧. ‧ 國. 立. 政 治 大. er. io. sit. y. Nat. n. al 「モノ名詞+ヲスル」構文 iv n Ch engchi U. 研究生:廖紋緻 撰 中華民國一○一年七月.

(2) 謝辭 首先誠摯的感謝指導教授吉田妙子老師,老師悉心的教導使我得 以一窺語言學領域的深奧,不時的討論並指點我正確的方向,使我在 這段時間內,不論是學問上,人生上亦獲益匪淺。老師對學問的嚴謹 更 是 我 輩 學 習 的 典 範( 而 且 老 師 唱 中 島 美 雪 的 歌 好 好 聽 ) 。以 及,非 常 感謝東吳大學的劉怡玲老師,在論文審查時給我相當多寶貴的意見, 使本文更加完備。感謝蘇文郎老師,在我選擇題目時給予許多寶貴的 建議,以及王淑琴老師指點了我許多論文寫作的技巧,兩位老師都在 我的撞牆期給予我莫大的幫助。另感謝東吳大學的林文賢老師,謝謝. 政 治 大 本 論 文 的 完 成 另 外立 亦得感謝我哥火王大力協助。在我撰寫論文期. 老師,我不會忘記老師的。. ‧ 國. 學. 間,不斷地磨練我的心智、勞動我的筋骨、空乏我的身心、拂亂我的 所 為 ........, 間 接 使 得 本 論 文 能 夠 更 完 整 而 嚴 謹 。. ‧. 感 謝 月 餅 學 長 、 HIME、 蒟 蒻 、 張 猷 定 不 厭 其 煩 的 與 我 討 論 我 的 論 文,給 了 我 許 多 非 常 有 幫 助 的 建 議。還 有 一 起 受 吉 田 老 師 薰 陶 的 阿 賢 ,. y. Nat. sit. 我的缺線好拍檔,才不會忘記膩咧~乾蝦逆啦~。也感謝辦公室的小. n. al. er. io. 花在各方面訓練我良多,揪咪。還有還有,這四年以來當然少不了大. i Un. v. 噗、多 多、蔡 希 徹、琇 吟、摸 摸、靖 雯、妮 可、亞 美 蝶、小 恩、小 呆 、. Ch. engchi. 安奇貓、人妻、思佳、美惠、宇璿、大餅、大寶、東吳的梳子、庭羽 同學、雅玲學姊的幫忙以及陪伴,讓我一路走來不寂寞。特別是我的 愛噗,多少日子裡妳的兩肋插刀及體貼,我銘感在心。 四年裡的日子,在小教室一起討論艱澀難懂的原文書、言不及義 的閒扯、一起吃飯八卦、當年在總圖趕報告的革命情感、大家的相聚 在 一 起 的 時 光,都 是 我 的 寶 貴 回 憶。感 謝 各 位 好 朋 友 包 容 我 的 牛 脾 氣 , 你們的陪伴讓我的研究生活變得圓滿、絢麗多彩。我的可愛的弟弟妹 妹們也功不可沒,白白妞妞強哥毛茸茸的樣子絕對是我心靈的慰藉。 還有,我的母親在背後的默默支持更是我前進的動力,如果沒有母親 的體諒、包容,相信這四年的生活將是很不一樣的光景。 最後,謹以此文献給我摯愛的雙親,還有我逝世七年的愛貓阿咪。.

(3) 「 具 象 名 詞 + WOSURU」 句 型 摘要 本 論 文 旨 在 研 究 「 具 象 名 詞 + WOSURU」 句 型 之 構 成 。 本 稿 先 從 意 義 上 將 WO 格 名 詞 分 類 , 再 藉 由 屬 性 結 構 (qualia structure) 之 概 念 分 析 「 具 象 名 詞 + WOSURU」 句 型 的 成 立 原 因 、 限 制 , 以 及 區 別 能 夠 與 動 詞 「 NSURU」 共 起 之 名 詞 與 不 能 共 起 之 名 詞 。 本文共分為 5 章。序章介紹本文的研究動機、目的與研究對象。 第 1 章探討過往相關文獻並提出筆者所認為的問題點。. 政 治 大 與 著 衣 動 詞 的 異 同 , 並立 以屬性結構的概念分析「附帶・接觸類」的成. 第 2 章「 附 著 類 之 成 立 要 因 」則 檢 討 附 著 類 的 下 位 分 類「 裝 著 類 」. ‧ 國. 學. 因、以及附著類名詞的限制。. 在第 3 章,則利用換喻與<目的・機能>屬性結構的概念分析生. ‧. 活 活 動 類 、 通 信 活 動 類 名 詞 。 第 4 章 分 別 從 字 義 的 角 度 ,分 析 WO 格 名 詞 與 動 詞「 NSURU」是 否 具 實 質 意 義( 具 有 什 麼 樣 的 意 義 ),以 及 從 句. y. Nat. sit. 法 ( syntax) 角 度 檢 視 本 句 型 中 語 與 語 的 結 合 強 度 , 最 後 分 析 「 具 象. n. al. er. io. 名 詞 + WOSURU」 句 型 的 共 通 特 徵 與 文 化 背 景 。 最 後 的 第 5 章 為 結 論 。. i Un. v. 先 行 研 究 之 中 , 影 山 ( 1980) 已 闡 明 以 具 象 名 詞 為 直 接 賓 語 之 服. Ch. engchi. 飾 品 類 的 使 用 限 制,但 過 去 的 研 究 均 將「 蓋 WOSURU」 「 塩 WOSURU」、「 O 茶 WOSURU」「 電 話 WOSURU」 等 句 型 當 作 一 種 定 型 句 型 。 而 本 研 究 釐 清 了 這 類 「 具 象 名 詞 + WOSURU」 句 型 成 立 過 程 與 成 立 限 制 。. 關 鍵 字 : 直 接 賓 語 、 具 象 名 詞 、 SURU、 屬 性 結 構.

(4) 「モノ名詞+ヲスル」構文 要約 本論の目的は、「モノ名詞+ヲスル」構文の成立を研究すること である。本稿では、ヲ格名詞を意味で分類し、クオリア構造に基づ い て 、「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 の 成 立 要 因・制 限 、及 び「 N ス ル 」 と共起できる名詞とできない名詞の区別を明らかにする。 本 稿 は 5章 で 構 成 さ れ る 。 ま ず 、序 論 は 研 究 動 機・目 的 及 び 考 察 対 象 で あ る 。第 1章 は「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 に 関 す る 先 行 研 究 を 検 討 し 、問 題 点 を 提 出 す る 。. 政 治 大 あ る 「 装 着 類 」 と 着 脱立 動詞との異同を論じる。また、クオリア構造. 第 2章「 付 着 類 に お け る 成 立 要 因 」に お い て 、付 着 類 の 下 位 分 類 で. ‧ 國. 學. の概念を用いて「付帯・接触類」の成立要因を考察し、付着類のヲ 格名詞における制限を分析する。. ‧. 第 3章 に お い て は 、メ ト ニ ミ ー と < 目 的・機 能 > ク オ リ ア の 観 点 か ら生活活動、通信活動の成因及び制限を検討する。. y. Nat. sit. 第 4章 は ヲ 格 名 詞 と「 N ス ル 」が 実 質 的 な 意 味 を 持 つ か ど う か( ど. n. al. er. io. のような意味を持つか)という意味上の観点から、語と語の結合度. i Un. v. の強さという統語上の観点から、「モノ名詞+ヲスル」構文に共通. Ch. engchi. する特徴を分析する。また、「モノ名詞+ヲスル」構文の成立に影 響を及ぼす文化的背景を考察する。 最 後 の 第 5章 は 結 論 で あ る 。 モノ名詞を直接目的語として取る装身具の類の使用制限について は 影 山 ( 1980) で 解 明 さ れ て い る が 、「 蓋 を す る 」「 塩 を す る 」、「 お 茶をする」 「 電 話 を す る 」な ど の コ ロ ケ ー シ ョ ン に つ い て 、従 来 の 研 究では定型表現として扱われてきた。本稿はこれらの成り立ちと成 立制限を明らかにした。. キーワード:直接目的語、モノ名詞、スル、クオリア構造.

(5) 目次 序 章 ...................................................... 1 1.. 研 究 動 機 及 び 目 的 .................................. 1. 2. 本 稿 の 考 察 対 象 と 分 類 ............................... 2 第 1章. 先 行 研 究 と 問 題 点 .................................. 6. 1.1. 森 田 良 行 ( 1977) ................................. 6. 1.2. 影 山 ( 1980) ..................................... 7. 1.3. 大 塚 望 ( 2002) ................................... 9. 1.4. 中 川 ( 2003) .................................... 10. 政 治 大 先 行 研 究 の 問 題 点 ................................ 12 立 付 着 類 に お け る 成 立 要 因 ........................... 17 付 着 類 に お け る 構 文 的 特 徴 ........................ 17 装 着 類 に お け る 「 N ス ル 」 ...................... 20. y. N V と の 違 い .............................. 26. io. 付帯・接触類「モノ名詞+ヲスル」におけるヲ格名詞 ..... 32. n. al. Ch. i Un. v. 2.2.1. ク オ リ ア 構 造 .............................. 33. 2.2.2. 人 工 物 に お け る 目 的 ・ 機 能 .................. 35. 2.2.3. 付 着 類 に お け る 目 的 ・ 機 能 の 前 景 化 .......... 37. 2.3.0. 3.0. sit. 2.1.2. 再 帰 動 詞 で あ る 装 着 類 の 「 N ス ル 」 .......... 21. Nat. 2.1.1. 2.2.0. ‧. 2.1.0. er. 2.0. 第 3章. 學. 第 2章. ‧ 國. 1.5. engchi. 付 着 類 の ヲ 格 名 詞 に お け る 制 限 .................. 40. 2.3.1. 着 点 指 定 と 状 態 変 化 を 含 む < 目 的 ク オ リ ア > .. 40. 2.3.2. 最 終 目 的 を 表 す ヲ 格 名 詞 .................... 42. 2.3.3. 対 象 で あ る ヲ 格 名 詞 ........................ 43. 2.3.4. ヲ 格 名 詞 の 移 動 先 ― 明 確 な 着 点 ― ............ 44. 2.3.5. 構 文 の 焦 点 に な る 着 点 ...................... 45. 活 動 類 に お け る 成 立 要 因 ........................... 48 活 動 類 に お け る 「 N ス ル 」 ........................ 48.

(6) 3.1. 生 活 活 動 類 -メ ト ニ ミ ー に よ る 表 現 - ................ 48. 3.2. 通 信 活 動 類 ...................................... 53. 第 4章 4.0. 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 構 文 の 成 立 ................... 59 は じ め に ........................................ 59 4.1.1. 自 由 な 語 結 合 と 語 や 慣 用 句 の 中 間 形 態 ........ 59. 4.1.2. 形 態 的 緊 密 性 が 高 い 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 .... 61. 4.1.2. 抽 象 化 に よ る 転 義 .......................... 67. 4.2 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 構 文 の 成 立 背 景 ............... 72 第 5章. 結 論 ............................................. 77. 政 治 大. 5.1. 結 論 ............................................ 77. 5.2. 今 後 の 課 題 ...................................... 79. 立. ‧ 國. 學. 参 考 文 献 ................................................. 80. ‧. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. i Un. v.

(7) 序章 1.. 研究動機及び目的. 先行研究ではスルの取る名詞は、動作性名詞(コト名詞、VN) で あ る と の 指 摘 が 多 い が 、動 作 性 の な い モ ノ 名 詞 も 多 用 さ れ て い る 。 例 え ば 「 塩 を す る 」、「 蓋 を す る 」、「 ネ ク タ イ を す る 」「 お 茶 を す る 」 「メールをする」などである。 これらの例では、動作性を持たないにもかかわらず、ヲ格に立ち ス ル と 組 む こ と が で き る 。そ し て 興 味 深 い こ と に 、 「 ~ ヲ ス ル 」類 の 用例を分析すると、使用上について何らかの制限があることに気付 く。例えば、. 立. 政 治 大. ( 1) a.{ ネ ク タ イ /リ ボ ン /マ ス ク /手 袋 } を す る. ‧ 國. 學. b. * { め が ね /宝 石 /キ ー ホ ル ダ ー } を す る. ‧. ( 2) a.塩 を す る. b. * { 砂 糖 /醤 油 /マ ヨ ネ ー ズ /わ さ び } を す る. Nat. sit. y. ( 3) a.お 茶 を す る. al. er. io. b. * { 水 /コ ー ラ /ジ ュ ー ス /ビ ー ル } を す る. n. ( 4) a.{ 電 話 /メ ー ル /電 報 /無 線 } を す る b. * 手 紙 を す る. Ch. engchi. i Un. v. ( 1) ~ ( 4) に お い て は b が a と 類 似 し た も の で あ る に も か か わ ら ず 、 a が 成 立 す る の に 対 し て 、 b が 非 文 に な る 。「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 構 文 に 適 す る ヲ 格 名 詞 は ど の よ う な も の で あ る か 、「 モ ノ 名 詞 + ヲスル」構文の成立にはどのような制限があるかは、まだに解明さ れていない。そして先行研究では、スルの取る名詞は典型的に動作 性名詞であるとの指摘が多いが、なぜ「名詞+ヲスル」構文ではモ ノを表す名詞との共起が許容されるのだろうかということについて は述べられていない。上述の問題を解明するために、本研究は考察 対象であるヲ格名詞の異同や、ヲ格名詞と共起する動詞との異同を. 1.

(8) 比較することや、用例を分析することを通じて、モノ名詞が用いら れる条件及びスルの意味を考察する。. 2. 本 稿 の 考 察 対 象 と 分 類 本稿は「モノ名詞+ヲスル」構文にできるヲ格名詞を分析し、そ のメカニズムを解明するのが目的である。データの収集は、各コー パスにおける「Nヲスル」の用例からNがモノ名詞以外例を手作業 で 取 り 除 き 、さ ら に Google エ ン ジ ン の ヒ ッ ト 数 で 周 辺 的 な 事 例 で あ るか、誤用であるかを判断した。 考察対象については、基本的は辞書においてサ変動詞として登録さ. 政 治 大. れ て い な い モ ノ 名 詞 1 を 対 象 と す る 。ま た 、本 稿 の 用 語 に つ い て 、 「モ. 立. ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 に お け る ス ル を「 N ス ル 」と す る 。 「モノ名詞. ‧ 國. V と す る 2。. 學. + ヲ ス ル 」構 文 と 同 じ 意 味 を 表 す 、 「 モ ノ 名 詞 + 共 起 す る 動 詞 」を N. ‧. な お 、 研 究 対 象 の 中 に は 、「 塩 を す る 」「 蓋 を す る 」 な ど と い っ た. y. Nat. ものに対して、ネットや活字資料に出現するが定着していないもの. er. io. 筆者はこう考える。. sit. が含まれている。これらを本稿の研究対象に入れる理由について、. al. n. iv n C hか ①変遷の過渡期にあるにも か わ ら ずi 、U en g ch 言語変化は運用効率を高 めるため生じるもので、伝達を妨害しそうな変化なら、自然に. 抑 制 さ れ る 。も ち ろ ん 文 と し て の 正 確 さ が 求 め ら れ る が 、 「モノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 に は 規 範 的 な 使 用 の 基 準 が な い の で 、 「アイ ロンをする」 「 テ ー プ を す る 」な ど は 単 に 誤 用 と 言 い 切 れ ず 、定 着しているものと共通な規則を持つ。 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」表 現 の全体を見るため、周辺的な使用例を取り扱う必要がある。た 1. 影 山( 2002)『 ケ ジ メ の な い 日 本 語 』に よ る と 、モ ノ 名 詞 と は 実 際 に 見 え る も のである。例えば「ネクタイはどこか」の質問に対して、どこにあるかを答え ら れ る 。「 テ ニ ス を す る 」「 医 者 を し て い る 」 な ど ゲ ー ム ・ 活 動 や 職 業 な ど 実 体 を持たず、人の前に出すことのできないものを対象外とする。 2 例 え ば 、「 ネ ク タ イ を す る 」 に お い て ス ル は 「 N ス ル 」 で あ る 。「 ネ ク タ イ を 締 め る 」「 ネ ク タ イ を 結 ぶ 」 に お い て は 動 詞 が N V に 該 当 す る 。 2.

(9) だ し 、例 外 や ご く 特 殊 な 誤 用 を 排 除 す る た め に 、ネ ッ ト で は 300 以上ヒットしたもののみを対象に入れる。 ②過渡期の現時点では非文法的な一過性の「流行」であるかどう かを判断するのが難しい。これからは何らかの理由で文法変化 を経、進化し、最終的に定着していく可能性がある(文法の規 範 自 体 も 移 り 変 わ っ て い く か も し れ な い )。 ③元来の表現に併行するまでには至らないが、新しい表現は定着 する可能性がある。それは、元来の表現と別々特定な機能を担 うかどうか次第である。本稿はそれを分析し、今後定着可能性 を予測する。. 立. 政 治 大. 本稿の考察対象は、大まかに「付着類」と「活動類」に分類する. ‧ 國. 學. と 、 次 の 表 一 に な る 。 ま た 、 表 で は 付 着 類 を 、「 a.装 着 」「 b.装 着 」. ‧. 「 c.装 着 」「 d.付 帯 」「 e.接 触 」 と 分 類 し た が 、 こ れ ら の 分 類 は 互 い に連続しているものであり、画然と分けることができない。よって. Nat. sit. y. 明 確 に ど ち ら に 属 す か を 判 断 し に く い も の が あ る 。例 え ば 、 「シート. al. er. io. ベルト」 「枕」 「 ヘ ア ア イ ロ ン 」は 装 着 類 と 接 触 類 に 、 「 目 薬 」は 付 帯. iv n C なお、 「 e.接 触 」は 定 着 し h たe 表現とは言 n g c h i いU難 い が 、一 定 の ヒ ッ ト 数 n. 類と接触類に跨るものであると思われる。. を 持 つ 3 類 別 で あ り 、ま た「 着 点 」を 要 求 し 、着 点 に 状 態 変 化 が 生 じ る 点 で は 「 d.付 帯 」 の 性 格 を 引 き ず き 、 観 察 す る に 値 す る 。 ま だ こ. れから発展する可能性を否めず、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 全 体 を 捉 えるために対象に入れることにする。 本 稿 の 考 察 対 象 の 詳 細 に 関 し て は 、表 一 を 参 照 さ れ た い 。 「Nスル」 と 共 起 で き な い 類 に「 ×」、共 起 で き る 類 に「 ○ 」を つ け る 。そ し て Google エ ン ジ ン で は 300 例 ヒ ッ ト し た が 、 ま だ 定 着 し て い な い 4 も のに「△」をつける。. 3 4. 接 触 類 の ヲ 格 名 詞 の ど れ も ネ ッ ト で は 300 ヒ ッ ト す る 。 定着したかどうかは、ネイティブの判断によるものである。 3.

(10) 表一: 類 a.装 着. 別. 用. 例. 説 明 一次的な衣類。 ×ス ル の 使 用 →着る、履く、 かぶる 二次的な衣類。 ○スルの使用. 上 着 /帽 子 /靴 /ズ ボ ン /ワ ン ピ ー ス /ス ー ツ … な ど 。. 付 b.装 着. 名 札 /手 錠 /お 面 /ア イ テ ー プ /キ ネ シ オ テ ー プ 5/ヘ ッ ド ホ ン /フ ァ ン デ ー シ ョ ン / 二 重 テ ー プ /ア イ ラ イ ン /ア イ シ ャ ド ー /帯 /絆 創 膏 /ス カ ー フ /コ ン タ ク ト /カ ウ ス. 政 治 大. ボ タ ン /ガ ー ド ル … /シ ー ト. 立. トール…など。. ネ ク タ イ /蝶 ネ ク タ イ /リ ボ. y. sit. ロ ン /マ フ ラ ー /首 輪 6 /指 輪 /. 二次的な衣類。 ○スルの使用. ‧. ン /マ ス ク /手 袋 /眼 帯 /エ プ. お む つ /お し め /イ ア リ ン グ. io. er. Nat. 着. 學. c.装 着. ‧ 國. ベ ル ト /鼻 輪 /シ ョ ー ル /ス. /時 計 /ブ ラ ジ ャ ー /ベ ル ト /. n. al. Ch. i Un. v. ピ ア ス /包 帯 /枕 /猿 ぐ つ わ 7. engchi. …など。 d.付 帯. 塩 /塩 コ シ ョ ウ /栓 /蓋 /重 石 /キ ャ ッ プ /柵 /ド ア チ ェ ー ン /カ ー テ ン /テ ー プ /ホ チ キ ス /輪 ゴ ム /ヒ ー ト シ ー ル 8. /バ ー ジ ン シ ー ル 9 /チ ャ ッ. 5. 付帯類。 中にはスルの 使用が定着す るものがある が 、定 着 し て い ないものが多 い。. キネシオテープとは「キネシオテーピング」法によって患部の治癒を助ける テーピング用テープの一つ。 6 た だ し 犬 や 猫 に 「 首 輪 を す る 」 場 合 な ら 、「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 で も 「 モ ノ 名 詞+NV」でもシテイル形は結果状態しか表さない。 7 「猿ぐつわをされた犯人」のように、本来装着者が自分自身で身につけるこ とがあり得ない場合、 「 N ス ル 」の 形 式 で は な く 、受 身 形 を 取 る の が 普 通 で あ る 。 8 薬をアルミなどの薄い金属やフィルムで1錠ずつ分けて包装したもの。或い 4.

(11) e.接 触 活. f.生 活 活 動 類 g.通 信 活 動 類. 動. ク /保 護 シ ー ト … な ど 。. △スルの使用. アイロン/ヘアアイロン/目薬/抗 がん剤…など。 お 茶 /お 針 /お 台 所 /お 勝 手 …など。 電 話 /メ ー ル /無 線 /電 報 /ツ イ ッ タ ー 1 0 /ス カ イ プ … な ど。. 接触類。 △スルの使用 生活活動類。 ○スルの使用 通信活動類。 ○スルの使用. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. i Un. v. はフイルム容器を密封するためのものである。 9 化粧品などの容器口にアルミ、プラスチックなどの内ぶた材を熱溶着し、密 封するものである。 10 例 :「 担 当 大 臣 や 省 庁 が ツ イ ッ タ ー を し て い る 場 合 は 、記 者 も チ ェ ッ ク が 欠 か せ な い 。」( 朝 日 新 聞 2010-12-03) 5.

(12) 第 1章 1.1. 先行研究と問題点. 森 田 良 行 ( 1977). 森田では、 「 ネ ク タ イ を す る 」な ど 装 身 具 を 身 に つ け る 類 別 を「 行 為 を 表 す 意 思 的 な ス ル 」 と し 、「 彼 女 に 電 話 を す る 」「 足 に 湿 布 を す る」 「患者に注射をする」 「マッサージをする」 「ちょっとした細工を す る 」 11な ど を 「 行 為 を 表 す 意 思 的 な ス ル 」 と し て い る 。 装身具を身につけることは、 「 身 に つ け る 」と い う 動 作 性 と「 主 体 の 属 性 」と い う 状 態 性 を 同 時 に 表 す と し て い る 。例 え ば 、 「ネクタイ をする」などは単にネクタイを締めるという行為だけではなく、締. 政 治 大. めるという動作とともに、主体の属性の一つともなると主張してい. 立. る 。 そ の 証 拠 に 、「 何 を し た 人 ? 」 で は な く 「 ど の 人 ? /ど ん な 人 」. ‧ 國. 學. の質問が対応するわけである。. さらに、森田は装身具を身につける場合で、体をかなりの部分を. ‧. 覆 っ て 見 え な く さ せ る 「 着 る /か ぶ る /は く 」 は ス ル が 代 用 し な い こ. y. Nat. とを述べ、そして「マニキュアをする」という言い方が成立するの. io. sit. に対して、 「 * 口 紅 を す る 」 1 2 が 成 立 し な い の は「 ~ ヲ ス ル 」が か な り. n. al. er. 慣用的な使い分けがあるからであると説明している。. i Un. v. ま た 、「 B ニ C ヲ ス ル 」 構 文 は 、「 あ る 行 為 ・ 活 動 を 行 う と き 、 相. Ch. engchi. 手 B に対して成される場合である」とし、動作概念を含む名詞が C に 立 つ の が 本 来 の 用 法 で あ る と 主 張 し て い る 。な お 、「 酢 を す る 」 1 3 「 塩 を す る 」は 使 わ れ る が 、 「 * 砂 糖 を す る 」「 * 胡 椒 を す る 」 1 4 と は 言 わないと記述している。. 11. 森 田 で の 原 文 「 箱 の 内 側 に ち ょ っ と し た 細 工 が し て あ っ て 、簡 単 に は 開 か な い よ う に な っ て い ま す 」。 12 「 口 紅 /頬 紅 」 が 「 N ス ル 」 と 共 起 し な い の は 、「 口 紅 」「 頬 紅 」 な ど 昔 か ら 存在する語彙は元の動詞との結合が強く、 「 N ス ル 」の 挿 入 が 許 さ れ な い と 思 わ れ る ( 詳 し く は 4.2 で 述 べ る )。 13 本 稿 の 考 察 で は 「 酢 を す る 」 用 例 が 「 青 空 文 庫 コ ー パ ス 」「 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 」 で は 0 例 ヒ ッ ト す る が 、 ネ イ テ ィ ブ に よ れ ば 、「 お 酢 し て 」 「お酢してある」などは成立する。 14 本 稿 の 考 察 で は 、「 * 胡 椒 を す る 」 は 言 わ な い が 、「 塩 コ シ ョ ウ 」 は 「 N ス ル 」 と 共 起 す る 。 そ の 理 由 に つ い て 4.2 で 述 べ る 。 6.

(13) 1.2. 影 山 ( 1980). 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 構 文 の 装 着 類 に つ い て 、 影 山 ( 1980) で は 次のように論じている。人間に対する重要性によって、影山では衣 類 を 「 主 要 衣 類 」「 二 次 的 衣 類 」 の 二 種 類 に 分 類 し て い る 。 ( 5) a.主 要 衣 類 ( 必 要 ) : 上 着 /ス ー ツ /靴 /ズ ボ ン /帽 子 … b.二 次 的 衣 類 ( 非 必 要 ) : ネ ク タ イ / マ フ ラ ー / 帯 / エ プ ロン/手袋/リボン/ヘアー・ピン/指輪… そ し て 、 主 要 衣 類 に は 「 着 る 」「 履 く 」「 か ぶ る 」 な ど の 着 脱 動 詞. 政 治 大 して、 「 ネ ク タ イ /マ フ ラ ー /帯 /エ プ ロ ン /手 袋 /リ ボ ン /指 輪 」な ど の 立 が優先的に使用され、スルの使用が難しいと述べている。それに対. 二次的衣類には「結ぶ、はめる、かける」などの動詞とスル両方と. ‧ 國. 學. も適用すると、指摘している。. ‧. 主 要 衣 類 に つ い て 、 影 山 で は 生 成 文 法 の 「 語 彙 挿 入 ( lexical insertion)」 と い う 概 念 を 用 い て 、 主 要 衣 類 に お い て 着 衣 動 詞 ( 着. Nat. sit. y. る、履く、かぶる)が優先的に使用され、スルの代用が不可能であ. er. io. ることを説明している。語彙挿入とは、影山によると、語彙情報を. al. iv n C hれ 射することである。言い換え ば 、 語 彙i 挿U en g ch 入は伝達しようとする意 n. 文構造に供給することであり、文の意味構造を語彙項目の音形に投. 味内容に対して、それを最も的確に表現する言語形式を当てはめる ことである。 影山では、まず着衣動詞「着る、はく、かぶる」の特徴を「対象 物が衣類である」 「特定の身体部分が関与する」 「( 話 者 に よ っ て )特 定の動作様態が要求される」と規定する。さらに、用例からこの三 つ の 着 衣 動 詞 の 語 彙 指 定 を〈 身 体 〉 〈 主 要 衣 類 〉と 規 定 す る 。そ し て 多くの用例から、 「 N ス ル 」の 語 彙 指 定 を < 身 体 > < 衣 類 > と 定 め る 。 次に、 「着る」 「はく」 「 か ぶ る 」を ス ル で 置 き 換 え る こ と が で き な い 点について、次のような条件をたてて説明している。. 7.

(14) ( 6)《 特 定 項 目 優 先 の 条 件 》 最 小 指 定 の 条 件 を 満 た す 2 個 の 語 彙 項 目 P、Q が 存 在 す る 場 合、ある基本範疇について P の指定の方が Q の指定より多 け れ ば 、 P が Q に 優 先 し て 語 彙 挿 入 を う け る 15。 ( 影 山( 1980:33)) ス ル と 「 着 る 」「 か ぶ る 」「 は く 」 は み な < 身 体 > を 要 求 す る 点 で は 共通しているが、 「着る」 「かぶる」 「 は く 」で は < 主 要 衣 類 > が 義 務 的であるのに対して、スルは<衣類>との指定があるだけなので、 指 定 の 多 い 「 着 る 」「 か ぶ る 」「 は く 」 が ス ル に 優 先 し て 語 彙 挿 入 さ. 治 政 ま た 、影 山 で は 、 「はめる」 「かける」 「 結大 ぶ 」「 巻 く 」「 し め る 」な 立 ど の N V が 広 義 の 衣 類 に 適 用 す る が 、こ れ ら の 動 詞 は 次 の 3 点 で「 着 れると影山は考える。. ‧ 國. 學. る、はく、かぶる」と異なると指摘している。. ‧. ( 7) ( i)目 的 語 が CLOTHES に 限 ら れ な い(「 ロ ー プ を 結 ぶ 」) ; ( ii). y. Nat. 取 り 付 け が 身 体 に 限 定 さ れ な い(「 壁 に 額 を か け る 」) ; ( iii). io. sit. 身 体 部 分 が 動 作 主 に 限 定 さ れ な い(「 お 父 さ ん の ネ ク タ イ を. er. し め て あ げ る 」)。. al. n. iv n C U外 の 対 象 と も 共 起 す る 。 hす NVは二次的な衣類と共起 る が 、衣 類 en gchi 以. 加 え て 、着 点 が 動 作 主 の 身 体 に 制 限 さ れ て い な い 。つ ま り 、影 山( 同 ) では「着る、履く、かぶる」などの着脱動詞を「目的語が制限され. る 」、 「 着 点 は 身 体 に 限 る 」、 「 身 体 部 分 が 動 作 主( Agent)に 制 限 さ れ る」と、定義している。 なお、影山は二次衣類に用いるスルの特徴を次に規定している。 第一、 「 ス ル は「 は め る 」な ど が 取 る よ う な あ る 種 の 衣 類・装 飾 品 に 適 用 す る 」。 第 二 、「 対 象 が 衣 類 ・ 装 飾 品 で な か っ た り 、 着 衣 の 意 味 で 用 い ら れ な け れ ば 、 ス ル は 不 適 格 で あ る 」。 例 え ば 、. 15. こ こ で は 着 脱 動 詞「 着 る 、履 く 、か ぶ る 」が P に 該 当 し 、ス ル が Q に 該 当 す る。 8.

(15) ( 8) a.ハ ン ガ ー に 上 着 を か け る / * す る b.首 に 電 気 コ ー ド を 巻 く / * す る. ( 影 山 ( 1980)). ( 8a)は 着 衣 の 意 味 を 表 さ な い 。 ( 8b)で は 対 象 が 衣 類・装 飾 品 で は な い ゆ え に 、ス ル の 使 用 が 不 可 能 で あ る 。ま た 、 「 着 る 、履 く 、か ぶる」はスルで代用できないと指摘している。結論として、スルに とっては<身体>と<衣類>が義務的要素であるので、 「 着 る 、履 く 、 かぶる」などと同様に着脱動詞であると、影山は主張している。 1.3. 大 塚 望 ( 2002). 政 治 大 表す用法としてのヲ格名詞を次のようにまとめている。 立. 大塚では、非動作性名詞がヲ格に立つ場合、着装あるいは付帯を. ‧ 國. 學. ( 9) 着 装 ・ 付 帯 を 表 す 用 法 で の ヲ 格 名 詞 :. a.体 あ る い は 体 の 一 部 に つ け る 物 : 眼 帯 /マ ス ク /猿 ぐ つ わ. ‧. 16. /お 面 /首 輪 /ネ ク タ イ /蝶 ネ ク タ イ /マ フ ラ ー /シ ョ ー ル. sit. y. Nat. /ス ト ー ル /ス カ ー フ /チ ェ ー ン /ベ ル ト /エ プ ロ ン /お し め. io. er. /お む つ /手 袋 /軍 手 /グ ロ ー ブ /ミ ッ ト /か ん ざ し /バ ン ダ ナ /イ ヤ リ ン グ /ピ ア ス /指 輪 /指 貫 /鼻 輪 /チ ャ ッ ク /リ ボ. n. al. Ch. i Un. v. ン /ブ ロ ー チ /ネ ッ ク レ ス /マ ニ キ ュ ア /め が ね /腕 時 計 /手. engchi. 錠 /湿 布 /包 帯 /枕 /水 枕 /氷 枕 …. b.物 に 対 す る 付 帯 物:栓 /重 石 /輪 ゴ ム /キ ャ ッ プ /ク リ ッ プ / ホ チ キ ス /カ バ ー /塩 /塩 コ シ ョ ウ /酢 /カ ー テ ン /蚊 帳 /ビ ニールトンネル… 大塚ではこのような構文は、何らかにヲ格名詞を付帯させること を表すと指摘している。 「 ~ ヲ ス ル 」構 文 に お い て 、実 際 付 帯 す る と い う こ と 自 体 、何 か が 何 か に 対 し て 付 く こ と を 示 す も の で あ る か ら 、. 16. 「 猿 ぐ つ わ 」は 送 信 者 自 身 が す る も の で は な く 、他 者 が す る も の で あ る か ら 。 装 着 状 態 を 表 わ す な ら 、「 猿 轡 を さ れ て い る 」 と いう受身的な用法にしなければなら ない。 9.

(16) ニ格をとることが多いと、述べている。ただし、その動作が何に対 してなされるものかということが定まっている場合は、ニ格を省略 す る 傾 向 が 見 ら れ る 。 例 え ば 「 ? 首 に ネ ク タ イ を す る 」「 ? 口 に マ ス クをする」などである。 そして「モノ名詞+ヲスル」構文においては、スルが具体的なも の 」 を 「 つ け る 」、「 は め る 」、「 巻 く 」、「 か け る 」 な ど の 動 作 を 表 し て い る と し て い る 。 例 え ば 「 ネ ク タ イ を す る ( 締 め る )」「 手 袋 を す る( 嵌 め る )」 「 手 錠 を す る( 嵌 め る )」 「 塩 を す る( か け る )」な ど で あ る 。さ ら に 、ヲ 格 名 詞 は 動 作 性 名 詞 で は な く 、具 体 物 で あ る の で 、 スル自体に実質的な意味があると主張している。しかしスルが単独. 政 治 大 質 的 な 意 味 を 担 う 機 能立 動詞であると、大塚は定義している。. で付帯の意味を表せないので、実質動詞ではなく、語結合の中で実. ‧ 國. 學. 1.4. 中 川 ( 2003). sit. y. Nat. る。. ‧. 中川では「~ヲスル」に適用するモノ名詞を次のように示してい. er. io. ( 10) 蓋 / ネ ク タ イ / イ ヤ ホ ン / マ ス ク / 栓 / テ ー プ / 絆 創 膏. al. iv n C マ フ ラ ー / 帯 / エ プhロeン / 手 袋 / 指輪/リボン/ヘアー・ ngchi U n. /クリップ/眼鏡/眼帯/ヘッドホン/カーテン/名札/. ピン. ( 中 川 ( 2003)) 「モノ名詞+ヲスル」構文におけるヲ格名詞について、中川では こ れ ら を 動 詞 的 な 性 質 を 持 た な い「 道 具 名 詞 」と し て い る 。ま た「 機 能の有無」を指標とし、道具名詞であるかどうかを弁別している。 例 え ば 、「 ナ イ フ 」 や 「 か な づ ち 」 に は そ れ ぞ れ 「 物 体 を 切 断 す る 」 「物体を打ち込む」といった機能が備わっているが、同じモノ名詞 でも明らかに道具ではない「猫」や「りんご」にはそのような機能 がないと、述べている。. 10.

(17) また同じ構文において、スルは次のように「置く」や「つける」 といった実質的な意味を持つ動詞で置き換えることが可能であると 主張している。 ( 11) 文 四 郎 は 井 戸 に 蓋 を 置 い て / か ぶ せ て 、 建 物 に も ど っ た 。 ( 12) 仮 に ネ ク タ イ を 締 め て い た と し て も … 。 ( 13)あ え て 眼 帯 を つ け て リ ン グ に 登 場 す る の は 海 賊 ム ー ド の 演 出のほかにいくつかの理由がある。 ( 14)こ の と き 、マ フ ラ ー や ネ ク タ イ を つ け て い る と フ ァ ン に 巻 き込まれる恐れがあるので要注意だ。. ( 中 川( 2003)). 政 治 大. これらと共起するスルは常に「置く」や「つける」といった「接. 立. 置 動 詞 」 17と 置 き 換 え 可 能 な わ け で は な く 、 ス ル の 使 用 の 是 非 は 直. ‧ 國. 學. 接目的語となる名詞の性質に大きく左右されるという。この構文は そのような語用論的知識に強く依存しているので、スルにとって直. ‧. 接目的語となる名詞はxやyで表される変項ではなく定項であり、. y. Nat. さらにそれは付着させて使うものを表す道具名詞でなければならな. io. sit. いと、中川は述べている。. n. al. er. そ し て 中 川 で は 、「 蓋 を す る 」「 マ フ ラ ー を す る 」 な ど の 言 い 方 の. i Un. v. 成立には使用者の持つ語用論的情報に関わるとしている。中川は次. Ch. engchi. のように述べている。 「 蓋 」で あ れ ば 物 の 開 口 部 を 密 閉 す る 、と い う 機能を働かせるべくそれが使用される場合にのみ「蓋を置く」とも 「 蓋 を す る 」と も い え る 。 「 マ フ ラ ー 」も 首 の 保 護 の た め に そ れ を 使 用する場合にのみ「マフラーをかける」とも「マフラーをする」と も い う こ と が で き る 。( 中 川 ( 2003))」、 そ れ ゆ え 、「 蓋 を す る 」「 マ フラーをする」といった言い方が成り立つためには、次のような語 用論的知識の存在が不可欠であるとしている。. 17. 国 廣 ( 1970: 149) で は 「 す る 」 と の 関 連 で 問 題 と な る 「 置 く 」 や 「 つ け る 」 「 貼 る 」「 あ て る 」 な ど の 動 詞 は 、 英 語 の put に 対 応 し 、「 物 体 と 物 体 の 接 触 」 を 共 通 要 素 と し て 持 つ 「 接 置 動 詞 」 と よ ば れ て い る 。 中 川 ( 2003) に よ る 孫 引 き。 11.

(18) ( 15) 「 す る 」の 直 接 目 的 語 に 道 具 名 詞 が く る 場 合 、述 語 全 体(「 蓋 を す る 」「 マ フ ラ ー を す る 」) は 道 具 の 規 範 的 な 使 用 を 表 し ている。. ( 中 川( 2003)). 加えて、道具名詞の特徴として、中川氏はこれらがすべて「付着 させて用いるよう作られた道具」であると定義している。このよう に考えると、付着と無関係の名詞が現れた場合、あるいは付着物が 移動する場所に制限された場合には、当然スルは使えないというこ と に な り 、ス ル に は 単 独 で( ふ た を ) 「 置 く 」や (ネ ク タ イ を )「 つ け る」などに類似の意味が備わっているわけではなく、特定の名詞と. 治 政 述 べ て い る 。 さ ら に 、 中 川 で は 次 の 例 を 挙大 げて説明している: 立. の 結 び つ き に お い て の み 、そ れ ら と 比 し う る 実 質 的 な 意 味 を 持 つ と 、. ‧ 國. 學. ( 16) a. * 母 親 が テ ー ブ ル に り ん ご を し た 。( → 置 い た ) b. * 伊 藤 君 は 木 の 枝 に 鎌 を し て お い た 。( → 置 い た ). ‧. c. * 近 藤 さ ん が 一 番 早 く シ ュ ー マ イ に 箸をした。 (→つける). sit. y. Nat. ( 中 川 ( 2003)). al. n. いということになると、中川は述べている。 1.5. 先行研究の問題点. Ch. engchi. er. io. 上のように付着と無関係の名詞が現れた場合には当然スルは使えな. i Un. v. 影 山 ( 1980) で は 「 上 着 /ス ー ツ /ズ ボ ン 」 な ど の 主 要 衣 類 に お い て 「 着 る /か ぶ る /履 く 」 優 先 に 使 用 さ れ 、 人 間 に と っ て 不 可 欠 で は ない二次的な衣類においては「Nスル」の使用が可能であると述べ て い る が 、「 N ス ル 」 が 使 用 さ れ る 理 由 に つ い て 述 べ て い な い 。 ま た 、中 川( 2003)で は 、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 に お い て 、ヲ 格名詞を変項ではなく定項として、本構文全体が一つの定型表現と して扱われているが、本稿は同意しない。なぜなら、本構文におけ るヲ格名詞は「付着・付帯させる」ものであると中川、大塚で提示 されているが、これは本構文を一般化する手かがリを示しているに 12.

(19) 過ぎないと思われる。 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」に お け る ヲ 格 名 詞 に 共 通 する性質を見出すことによって、構文全体の特徴が見えてくるだろ う 。 森 田 ( 1977) で も 現 象 を 記 述 す る 、 そ れ 以 上 の 分 析 が な い 。 し た が っ て 、1.1~ 1.4 先 行 研 究 の 問 題 点 を ま と め る と 、次 の よ う に な る。 ( 17) ① 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」 の 成 立 要 因 や 成 立 制 限 に つ い て 述べていない。 ②どのようなヲ格名詞が「モノ名詞+ヲスル」構文に適 合するか。. 治 政 大起 す る こ と が あ る 。「 N は「Nスル」以外にもNVと共 立 スル」とNVとの使用はどのような違いがあるか。. ③「モノ名詞+ヲスル」構文において、多くのヲ格名詞. ‧ 國. 學. どのような名詞が「モノ名詞+ヲスル」構文に適合するかを考え. ‧. る。大塚、中川ではヲ格に立つモノ名詞を「付着させて使う」もの. y. Nat. であると述べているが、付着させて使うものが、すべてヲ格に立つ. er. io. sit. ことができるわけではない。. al. v. n. ( 18) *{ 接 着 剤 /釘 1 8 /ポ ス タ ー /シ ー ル /ペ ン キ /の り 1 9 /ポ ス タ ー. i n C U /ネ イ ル エ ナ メ ルh/金 e箔 n g…c}hをi す る. こ の 類 は「 付 着 さ せ て 使 う 」も の に も か か わ ら ず 、 「使う」 「塗る」 「 貼 る 」な ど と 共 起 し 、 「 N ス ル 」の 使 用 が 難 し い と 思 わ れ る 。こ れ は「モノ名詞+ヲスル」構文が成立するには、何らかの規則が必要. 18. 「 釘 を す る 」と い う 言 い 方 は 、Google で 検 索 し た ら 、わ ず か ほ ん の 一 部 が 専 門用語として「釘を打つ」という意味で使用されるが(髄内釘をする、かくし 釘 を す る な ど )、 大 半 は パ チ ン コ 用 語 で 、 特 殊 な 分 野 で 用 い ら れ る 用 法 で あ る 。 「 釘 を 刺 す 」「 釘 に な る 」 な ど の 慣 用 句 が 多 い た め 、「 ~ ヲ ス ル 」 構 文 に で き な いかもしれない。 19 「 の り を す る 」 は 検 索 で 新 し い 用 法 と し て 「 二 重 の り を す る 」「 洗 濯 の り を する」などのように「のり」の前に何らかの指定があるものしかなく、ほんの 一 部 で あ っ た 。 そ れ は の り で 貼 る と 意 味 を 表 す 「 糊 ( の り ) す る 」「 糊 ( こ ) す る 」と い っ た 動 詞 が 先 行 し て い る と 考 え ら れ る 。→「 口 に 糊 す る 」は 慣 用 句 で 、 非常に貧しく食べ物がわずかしかない様子を指す。 13.

(20) であることを示している。 以上の例からわかるように、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 は 中 川 氏 の 言う単なる接触に関わることには収めまりまれない。 「 N ス ル 」と 共 起する用例は多様で、あらゆるモノ名詞が「モノ名詞+ヲスル」構 文 に く る わ け で な い な ら 、ど の よ う な モ ノ 名 詞 が 前 接 要 素 に な る か 、 またこのような名詞にはどのような特徴があるのだろうのか。中川 が提示したように、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 の 使 用 に つ い て 、常 に 人間の認知の働きに左右され、語用論的な常識が必要となる。個別 にそれ以上の分析が必要であろう。したがって、ここでクオリア構 造 ( 特 質 構 造 ) 20に よ る 分 析 を 提 案 し 、 本 構 文 に お け る ヲ 格 名 詞 の. 政 治 大 また、 「 N ス ル 」と N 立V の 違 い に つ い て 、先 行 研 究 で は 、モ ノ 名 詞. 性質について考え直す。. ‧ 國. 學. が「Nスル」と共起する現象を記述しているが、なぜ「Nスル」に 元来の動詞が置き換えられたかには言及していない。現有の動詞の. 理由は何か。. ‧. ほうがすでに事象を伝える機能があるのに、 「 N ス ル 」で 代 用 さ れ た. y. Nat. sit. 続いて、先行文献の中で「モノ名詞+ヲスル」構文に絞って論じ. n. al. er. io. た 中 川 ( 2003) の 問 題 点 に つ い て 考 え る 。 中 川 の 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス. i Un. v. ル」構文の定義については、まだ立ち入る余地があると思われる。. Ch. engchi. 本稿は次のように、二つの問題点を提出する。 問 題 点 1: 道 具 の 規 範 的 な 使 用 と は 何 か 中川では、名詞が「~ヲスル」構文でヲ格をとる場合、語用論知 識が必要とすると、次のように述べている: ( 19) 「 す る 」の 直 接 目 的 語 に 道 具 名 詞 が く る 場 合 、述 語 全 体(「 蓋 を す る 」「 マ フ ラ ー を す る 」) は 道 具 の 規 範 的 な 使 用 を 表 し ている。. 20. 詳 し く は 2.2.1 で 述 べ る 。 14.

(21) 上述のように、中川は「~ヲスル」構文全体が道具の「規範的な 使 用 」を 表 す と 規 定 し て い る が 、 「 規 範 的 」で あ る 基 準 は 何 か と い う ことを述べていない。規範的な使用というより、むしろこの文型が その物(ヲ格名詞)の「最終段階の目的」を示していると考えてよ い だ ろ う 。例 え ば 、 「 ネ ク タ イ を す る 」に は「 ネ ク タ イ と い う も の を 製 造 す る 」か「 ネ ク タ イ を 買 う 」と い っ た 意 味 で は な く 、 「ネクタイ を身に付け、身を飾る」というネクタイの最終的な目的として使用 される。したがって、道具の規範的な使用については系統的な分析 が望ましい。中川の定義には検討する余地があるだろう。. 政 治 大. 問 題 点 2:「 道 具 名 詞 」 の 定 義. 立. そして中川では、 「 ~ ヲ ス ル 」構 文 に お け る ヲ 格 名 詞 を「 道 具 名 詞 」. ‧ 國. 學. としているが、次のように、機能の有無をヲ格名詞を道具とみなす 基準としている。. ‧. ( 20) 普 通 「 道 具 」 と し て 扱 わ れ る 「 ナ イ フ 」 や 「 か な づ ち 」. Nat. sit. y. に は そ れ ぞ れ 「 物 体 を 切 断 す る 」「 物 体 を 打 ち 込 む 」 と い っ. er. io. た 機 能 が 備 わ っ て い る が 、同 じ モ ノ 名 詞 で も 明 ら か に 道 具. al. iv n C Uれ 以 外 を 区 別 す る 際 の し た が っ て 、機 能 のh有e無 は 道 具 と ngchi そ n. ではない「猫」や 「りんご」にはそのような機能がない。. 指標となる。. ( 中 川( 2003)). 中川では、どのように機能の有無を判断しているかについて述べ ら れ て い な い 。「 り ん ご 」「 猫 」 に は 機 能 が な い と い う よ り 、 自 然 物 であるゆえに、目的をもって作られたものではないので、機能をも た な い の だ と 思 わ れ る 21。 そ の か わ り に 、 人 工 物 な ら あ る 目 的 で 作 られたものであると考えられる。しかし自然物に機能がないかとい. 21. 厳 密 に 言 う と 、ペ ッ ト シ ョ ッ プ で 販 売 さ れ て い る「 猫 」は 人 間 に と っ て は ペ ットとしての機能「愛玩用」が考えられる。また、自然物にも、意図的に制作 さ れ る も の に 限 り 。「 人 に 供 給 す る 」 と い う 目 的 が あ る と 考 え ら れ る 。 例 え ば 、 農産品の「りんご」や「ぶどう」などである。 15.

(22) うと、一概にそうとも言い切れない。自然物でも道具として使用す ることができる。例えば茶道では、蓋のない水差しに蓋の代わりに 葉 っ ぱ を 使 う と き も 「 蓋 を す る 」 と 言 え る 22。 し た が っ て 、 中 川 氏 がいうヲ格「道具」名詞の定義が曖昧で、すべての「~ヲスル」構 文には十分ではないと考えられる。. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. 22. i Un. v. 葉 蓋 と は 、夏 の 暑 い 盛 り に 水 指 の 蓋 に 大 き な 緑 の 葉 っ ぱ を 使 っ た 薄 茶 点 前 で ある。 16.

(23) 第 2章 2.0. 付着類における成立要因. 付着類における構文的特徴. 本 節 で は 付 着 類 と 共 起 す る「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 の 特 徴 に つ いて分析する。また「モノ名詞+ヲスル」構文における付着類のヲ 格 名 詞 23の 定 義 を 検 討 す る 。 影 山 (1996)で 指 摘 さ れ て い る よ う に 、 他 動 詞 を 状 態 変 化 の 有 無 で 二 分 す る こ と が で き る 。そ の 一 つ は 、hit、pound、kick な ど に 代 表 さ れ る 状 態 変 化 を 表 さ な い 接 触・打 撃 動 詞 で あ り 、も う 一 つ は 、break、 freeze、kill な ど に 代 表 さ れ る 状 態 変 化 を 表 わ す 動 詞 で あ る 。日 本. 政 治 大. 語の他動詞においても、状態変化を表すものと表さないものがある. 立. と思われる。本稿の「モノ名詞ヲスル」構文は状態変化を表す表現. ‧ 國. 學. に 該 当 す る と 考 え ら れ る( 後 述 )。影 山( 同 : 71)に よ る と 、日 本 語 では状態変化の有無が「~てある」構文にはっきり現れている。影. ‧. 山は次の例を挙げている。. Nat. ( 影 山( 1996:72)). sit. y. ( 21)状 態 変 化. er. io. おにぎりが握ってある。. al. n. 洗濯物が乾かしてある。. i n C U セ ー タ ー が 編 ん で あhるe。 ngchi. v. 鍵が開けてある。 ( 22)接 触・打 撃. ( 影 山( 1996:72)). *. 杖が握ってある。. *. ボクシングの相手が殴ってある。. *. お父さんの肩が叩いてある。. 「 握 る 」と い う 動 詞 は( 22) 「 杖 を 握 る 」と い う と き と 、 ( 21) 「お にぎりを握る」というときの違いは、前者は状態変化を持たない接. 23. 付 着 類 に は 装 身 具 を 表 す bc 類 と 、 d 付 帯 類 、 e 接 触 類 が あ る 。 17.

(24) 触動詞であるが、後者は状態変化動詞であると影山は述べている。 本 稿 の 付 着 類( d ~e 類 )は「 N ス ル 」と 共 起 す る 際 に も 状 態 の 変 化 が 見 ら れ る 。 ま ず d ~e 類 の 用 例 を 次 に 示 す 。 ( 23) d 類 : 付 帯 軽く塩をしたパリパリでないレタスのサラダは味も馴染ん でやわらかくておいしい。 (『 台 所 か ら 覗 く 北 の 国 と 南 の 国 』 宮 崎 玲 子 ). ( 24) e 類 : 接 触 類 学生ズボンにアイロンをして、椅子の背にかけておいたら (下略). 立. (『 薔 薇 の 雨 』 政 治 大. 田辺聖子). ( 23)( 24) が そ れ ぞ れ 「 塩 を し て あ る サ ラ ダ 」「 ア イ ロ ン を し て. ‧ 國. 學. あ る ズ ボ ン 」な と と 言 い 換 え ら れ る 。そ し て 本 稿 の bc 類 は 装 身 具 を 示すもので、非情物事態としか共起しない「テアル」と共起しない. sit. y. Nat. れ る 24。. ‧. が 、次 の 用 例 か ら 分 か る よ う に bc 類 は 動 作 後 、動 作 主 に 変 化 が 見 ら. er. io. ( 25) ネ ク タ イ を し て 初 め て 完 成 す る ス ー ツ ス タ イ ル か ら 、 ネ. al. iv n C hengchi U ( 26) 手錠をされたため、上半身の姿勢が限定されて寝る事も出来ない。 n. クタイを取ると、間が抜けて見える。. ( 25) で は ネ ク タ イ を 使 っ て 身 を 飾 る こ と に よ り 、 始 め て 男 性 の スーツ姿が完成されるので、動作主に変化が生じたと思われる。ま た ( 26) で は 手 錠 を は め て か ら 、 体 が 動 き に く い 状 態 に な る こ と も 同様に考えられる。 ゆえに、 「 N ス ル 」は 付 着 類 と 共 起 す る 際 に は 、状 態 変 化 を 表 す 表 現 で あ る と 考 え ら れ る 。そ し て 影 山( 同: 101)で は 、状 態 変 化 動 詞 は形容詞的に使うが、状態変化を含まない動詞はそれができないと し て い る 。 本 稿 の 「 N ス ル 」 が b~e 類 の ヲ 格 名 詞 と 共 起 す る 際 に 、 24. 付 帯 類 と 接 触 類 に も 同 様 に 考 え ら れ る 。 例 :「 肉 を 塩 を し て 脱 水 さ せ る 」「 し わ を 取 る た め に シ ャ ツ に ア イ ロ ン を し た 」。 18.

(25) 状態変化動詞と等しい働きを見せることも、このテストによって裏 付けられる。 ( 27) ス カ ー フ を し た 女 /ネ ク タ イ を し た 男 /塩 を し た 鯖 /お む つ をした赤ん坊 ( 27) の よ う に 、 修 飾 節 で は 変 化 結 果 の 状 態 に 焦 点 が 置 か れ る 。 したがって、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 は 状 態 変 化 動 詞 に 等 し い も の であると思われる。 ただし、 「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 に お い て 、変 化 す る も の は 対 象 で は な く 、対 象 の 着 点 で あ る こ と を 注 意 し た い 。 「モノ名詞+ヲスル」 25. 政 治 大. 構文には着点が要求されることは、ニ格をとることから分かる。. 立. ( 28) 太 郎 は ( 首 に ) ネ ク タ イ を す る 。( 装 着 類 ). ‧ 國. 學. 項 構 造 : ( x < y、 z > ). ‧. ( 29) 太 郎 は 鯖 に 塩 を す る 。( 付 帯 類 ) 項構造:( x <y 、z>). Nat. sit. y. ( 30) 花 子 は シ ャ ツ に ア イ ロ ン を す る 。 ( 接 触 類 ). n. al. er. io. 項 構 造 :( x < y 、 z > ). Ch. i Un. v. 例 文 ( 28)( 29)( 30) で は 動 作 主 が 働 き か け た 結 果 、 内 項 で あ る. engchi. 対象が状態変化ではなく、位置変化をする。着点には働きかける作 用 を 受 け て 状 態 変 化 が 起 き る 。 例 え ば ( 28) で は 、 動 作 後 、 太 郎 の 首 ( = 太 郎 の 身 体 ) が ネ ク タ イ に 飾 ら れ た 状 態 に な り 、( 29)「 鯖 に 塩をする」という動作の後、塩は移動したが、相変わらず塩そのも の で あ る の に 対 し て 、着 点 で あ る 鯖 は 塩 味 を 帯 び る よ う に な る 。 ( 30) では動作後、アイロンの着点であるシャツが整える状態になると予 想 さ れ る 。つ ま り 、 ( 28) ( 29) ( 30)の 対 象 は 接 触 の 及 ぶ 作 用 対 象 に 過ぎず、状態変化はせず、位置変化だけをするのに対して、着点に は状態変化が見られる。. 25. ここでは付着類と共起するものを指す。 19.

(26) 以上をまとめて、付着類の「モノ名詞+ヲスル」構文の定義を以 下のように規定する。 ( 31)付 着 類 の「 モ ノ 名 詞 + ヲ ス ル 」構 文 は 着 点 を 必 要 と す る 状 態 変 化 表 現 で あ る 。ま た ヲ 格 名 詞 の 移 動 に よ り 着 点 に 変 化 が 生じる。. 2.1.0. 装着類における「Nスル」. コ ー パ ス 2 6 の 検 索 に よ っ て 、モ ノ 名 詞 を 直 接 目 的 語 と し て と る「 す る」の用法が観察された。動詞的な性質を兼ね備えた動作性名詞と. 政 治 大 その用例は以下の通り示される。 立. 異なるにもかかわらず、モノ名詞は「する」を取ることができる。. ‧ 國. 學. ( 32) a.一 行 四 名 は マ ス ク を し て 艇 長 を 先 頭 に 外 へ 出 て い っ た 。 (『 月 世 界 探 険 記 』. 海野十三). ‧. b.黒 い 、大 き な マ ス ク を か け て い た 。 ( 『闇狩り師』 夢枕獏). sit. y. Nat. ( 33) a. 白 い 衣 に マ ッ カ の ル ビ ー の ブ ロ ー チ を し て 、 水 色 の バ. io. er. ンドをしめた女は若い詩人の頬に頬をよせて小さいふ るえた声でささやくように云いました。. n. al. Ch. i Un. v. (『 無 題 ( 一 )』. engchi. 宮本百合子). b. 地 味 な 黒 い 平 服 を 着 て 銀 の ブ ロ ー チ を 胸 に 垂 れ た 深 谷夫人は、まだ四十を幾つも越さぬらしい若々しさだ。 (『 死 の 快 走 船 』. 大阪圭吉). ( 34) a. 色 の 背 広 に 蝶 ネ ク タ イ を し 、 髪 に 油 を ぬ っ て い る 。 (『 眼 鏡 』. 織田作之助). b. あ の 時 は ネ ク タ イ を 結 ぶ 練 習 を し た ん だ 。 (『 秦 の 出 発 』. 豊島与志雄). ( 35) a.大 き い リ ボ ン を し た 少 女 が 一 人 、 右 手 に 並 ん だ 窓 の 一 つから突然小さい顔を出した。 26. (『 少 年 』 芥 川 龍 之 介 ). 本 稿 の 用 例 出 典 は 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス (BCCWJ) 、新 潮 文 庫 100 冊、ネット青空文庫、ネット朝日新聞を利用している。 20.

(27) b. 一 人 は 赤 の 、 一 人 は 青 の リ ボ ン を 結 ん で お り ま し た 。 (『 青 水 仙 、 赤 水 仙 』. 夢野久作). 動作性名詞を直接目的語にとる「する」の場合、例えば「勉強を する」 「 研 究 を す る 」と い う 形 式 が で き る が 、こ の 場 合 の「 す る 」は 「やる」のような「する」と同様に形式動詞としての性質が強い動 詞でしか置き換えることができない。ところが、上の例文に見られ る 「 す る 」 は 「 締 め る 」「 掛 け る 」「 結 ぶ 」 と い っ た 実 質 的 な 意 味 を 持 つ 動 詞 で 置 き 換 え る こ と が 可 能 で あ る 27。 な ぜ 一 つ の 構 文 で 二 種 類の動詞の使用が並行しているか、両者にはどんな違いがあるか、. 治 政 大な い 点 に つ い て は 、2.3 る 」な ど の 活 動 類 構 文 に お い て 、N V が で き 立 で分析する。 また「Nスル」の性質や機能を本章で検討する。そして「お茶をす. ‧ 國. 學. 2.1.1. 再帰動詞である装着類の「Nスル」. ‧. 装身具の類において、 「 N ス ル 」も N V も 動 作 主 の 働 き か け が 他 者. Nat. sit. y. で は な く 自 分 自 身 に 向 か う も の で あ る が 、コ ー パ ス の 用 例 に よ っ て 、. n. al. er. io. NVと比べれば、 「 N ス ル 」は 極 め て 制 限 さ れ た 表 現 で あ る 。例 え ば 、. Ch. i Un. v. ( 36) a.酔 っ 払 っ た と き に 、 頭 に ネ ク タ イ を 締 め る 人 も い る 。. engchi. b. * 酔 っ 払 っ た と き に 、 頭 に ネ ク タ イ を す る 人 も い る 。 ( 37) a.マ フ ラ ー を 腰 に 巻 い て 腹 巻 き に す る 。 b. * マ フ ラ ー を 腰 に し て 腹 巻 き に す る 。 N V( 36a) ( 37a)は 既 定 以 外 の ニ 格 名 詞( 着 点 )を 取 る こ と が で きるのに対して、 「 N ス ル 」は 装 身 具 と 共 起 す る 場 合 は 既 定 の 着 点( 身 体の一部)を取るしかない。これは「Nスル」の性質はNVと異な る こ と を 示 し て い る 。 N V に つ い て 、 影 山 ( 1980) は 装 身 具 に 用 い られるNVを 3 つの点にまとめている。 27. 本 稿 の 活 動 類 の 一 部 は N V と 共 起 で き な い 。 例 え ば 「 お 茶 を す る 」「 お 針 を す る 」。 そ れ に つ い て は 2.2.1 で 説 明 す る 。 21.

(28) ( 38)( i) 目 的 語 が CLOTHES に 限 ら れ な い (「 ロ ー プ を 結 ぶ 」); ( ii)取 り 付 け が 身 体 に 限 定 さ れ な い(「 壁 に 額 を か け る 」); ( iii) 身 体 部 分 が 動 作 主 に 限 定 さ れ な い (「 お 父 さ ん の ネ ク タ イ を し め て あ げ る 」)。 NVは以上の点では「着る、かぶる、はく」などの着脱動詞とは 異なっていると述べている。つまり、影山(同)では着脱動詞を 「 目 的 語 が 制 限 さ れ る 」「 着 点 は 身 体 に 限 る 」「 身 体 部 分 が 話 者 ( Agent) に 制 限 さ れ る 」 と 、 定 義 し て い る 。 実 は 、 こ の 三 つ の 制 限は「Nスル」の表現にも存在する。まず目的語の制限について 見る。. 立. 政 治 大. ( 39) 目 的 語 は 装 身 具 に 限 る か :. ‧ 國. b.ダ ン ボ ー ル を 着 る /袋 を 履 く. (N V ). 學. a.ロ ー プ を 結 ぶ /首 を 締 め る. (着 脱 動 詞・冗 談 や 比 喩 の 動. ‧. 作としては可能). sit. y. Nat. c. * ダンボールをする/*袋をする (「Nスル」2 8 ). er. io. 普通、NVは「ネクタイを結ぶ」のような「動作主の働きかけが動. al. iv n C hが に自由にヲ格名詞を取ること で き る のi でU en g ch 、再帰動詞ではなく他動 n. 作 主 自 身 に 及 ぶ 」 と い う 再 帰 的 用 法 が 可 能 で あ る が 、( 39a) の よ う. 詞 で あ る こ と が 明 瞭 で あ る 。そ れ に 対 し て 、 「 や る 」で 言 い 換 え ら れ な い 再 帰 動 詞 で あ る 着 脱 動 詞 ( 39b) も 「 N ス ル 」 (39c)も 既 定 の 目 的 語( 装 身 具 )以 外 を 取 ら な い 2 9 。 「 や る 」で 言 い 換 え ら れ る が 、 「N スル」は『やる』で言い換えられない。このことは「Nスル」の再 帰動詞であることを証明している。. 28. こ こ で は 本 稿 の bc 装 身 具 の 「 N ス ル 」 を 指 し て い る 。 装 身 具 以 外 の 「 N ス ル」は後に述べる。 29 た だ し 、「 か ぶ る 」 は 装 身 具 と 共 起 す る と き に 、 着 脱 動 詞 と 見 な す こ と が で き る が 、 装 身 具 以 外 の ヲ 格 名 詞 と も 共 起 す る 。 例 え ば 、「 雪 を か ぶ っ た 山 」「 罪 をかぶる」 「 人 の 皮 を か ぶ っ た 狼 」な ど で あ る 。い ず れ も「 上 か ら お お う 」と い う意味でも用いられる。よって、着脱動詞としての用法は「かぶる」の用法の 一つであると言っていいだろう。 22.

(29) ま た 、 (40a)N V が 身 体 以 外 の 着 点 を 取 る の が 可 能 で あ る が 、 「N スル」も着脱動詞と同様に既定の身体部分の着点しか取らない (40bc)。 「 N ス ル 」の 表 現 は 、影 山 の 着 脱 動 詞 に 対 す る 定 義「 取 り 付 け(着点)は身体あるいは既定の身体部分に限定される」と一致し ている。 ( 40) 着 点 が 既 定 の 身 体 部 分 に 限 定 さ れ な い か : a.壁 に 額 を か け る /プ レ ゼ ン ト に リ ボ ン を 結 ぶ /人 形 の 首 に にネクタイを締める(NV) b. * 胸 に 着 物 を 着 る / * 肩 に 帽 子 を か ぶ る / * 頭 に 靴 下 を 履. 治 政 c. 頭 に ネ ク タ イ を す る / 腰 に マ フ大 ラーをする/ 頭にマス 立 ク を す る (「 N ス ル 」) く(着脱動詞). *. *. *. ‧ 國. 學. この現象は「Nスル」が着脱動詞の仲間であることを示してい. ‧. るだろう。. y. Nat. なお、着点の制限について、影山では、着脱動詞は身体部分が動. io. sit. 作主に限定されるとしているが、 「 N ス ル 」に も 同 じ 制 限 が 見 ら れ る 。. n. al. er. 他 動 詞 で あ る N V は 人 間 以 外 の 着 点 を 取 れ る う え に 、( 41a) の よ う. i Un. v. に 他 者 の 身 体 に 着 脱 す る「 ~ て あ げ る 」が 用 い ら れ る 。一 方 、 ( 40b). Ch. engchi. のように「着る」などの着脱動詞は直接に「~てあげる」にならな い。着脱動詞は、動作主の働きかけが常に動作主自身に帰ってくる 再帰動詞である。したがって、衣類の着点は動作主以外であること は で き な い 3 0 。 同 様 に ( 40c)「 N ス ル 」 は 他 者 に 働 き か け る 「 ~ て あげる」文では不適格になる。 ( 41) 動 作 主 の 身 体 部 分 に 限 ら れ る か : a.息 子 に ネ ク タ イ を 締めてあげる/犬に首輪を付けてあげる /花 子 に エ プ ロ ン を か け て あ げ る ( N V ) 30. 他 者 に 対 し て 働 き か け る 場 合 は 、「 着 せ る 」の よ う な 他 動 性 を 持 っ た 他 動 詞 を 使うか、あるいは使役形を使う。 23.

(30) b. * 息 子 に 制 服 を 着 て あ げ る / * お ば あ さ ん に 靴 を 履 い て あ げ る /* 娘 に 帽 子 を 被 っ て あ げ る ( 着 脱 動 詞 ) c. * 息 子 に ネ ク タ イ を し て あ げ る / ? 猫 に 首 輪 を し て あ げ る /*花 子 に エ プ ロ ン を し て あ げ る. (Nスル). 「Nスル」は動作主の動作が常に動作主自身の状態変化を引き起 こす。そのうえ、統語上の制限では「Nスル」は着脱動詞に共通し ている。そして「Nスル」が着脱動詞であることが「~テイル」形 にすることによって裏付けられる。NVの場合なら、 ( 42) a. ネ ク タ イ を 結 ん で い る 人 は 誰 だ 。( 進 行 /結 果 継 続 ). 政 治 大. b. 太 郎 は ネ ク タ イ を 結 ん で い る 。( 進 行 /結 果 継 続 ). 立. ( 42 ab)の 示 し た よ う に 、N V は「 ネ ク タ イ を 身 に 着 け る 」と い う. ‧ 國. 學. 動作の現象が始まって、終わらずに今現在もしている、つまり動作. ‧. の持続を表す意味があり、 「 着 付 け の 途 中 」に あ る 人 を 指 す 意 味 に な ることができる。また、その動作の完結した局面が捉えられ、動作. Nat. sit. y. 主(対象)の変化結果が持続して「ネクタイを身に着けた人」を指. er. io. すこともできる。再帰動詞であるNVは動詞レベルで「動作主の動. al. iv n C hそ 行の解釈や結果継続の解釈を れ ぞ れ 実i 現U en gch する。 n. 作」を、文レベルで「動作主の変化」を表すため、テイル形では進. 一 方 、「 動 作 主 の 動 作 」「 動 作 主 の 変 化 」 を 表 す 「 N ス ル 」 も テ イ. ル 形 で 進 行 と 結 果 継 続 の 解 釈 が 予 想 さ れ る は ず で あ る 。 し か し ( 42 ‘) 「 N ス ル 」の ~ テ イ ル 形 は 結 果 の 持 続 と し か 解 釈 で き ず 、 ( 43)着 脱 動 詞 と 同 様 で あ る 31。 ( 43) 太 郎 は ス ー ツ を 着 て い る 。( 結 果 継 続 ) ( 42‘) a. ネ ク タ イ を し て い る 人 は 誰 だ 。( 結 果 継 続 ) b. 太 郎 は ネ ク タ イ を し て い る 。( 結 果 継 続 ) 31. ただし、 「 和 服 を 着 て い る 」な ど は「 進 行 /結 果 継 続 」と 両 方 と も 解 釈 で き る の は、ヲ格名詞の性質によって進行中の解釈ができると思われる。装身具一般は 和服ほど装着の時間がかからなくて段階性がないためである。 24.

(31) したがって、 「 N ス ル 」は 着 脱 動 詞 で あ る と 言 え よ う 。ま と め る と 次のようになる。 表二: 目的語が装身具. 着点は身体に限. 身体部分が動作主. テイル形は結果継. に限る. る. に制限される. 続のみ表す. NV. ○. ○. ×. ×. 着る、被. ○. ○. ○. ○. Nスル. ○. ○. ○. ○. 他動詞. ×. ×. 政 治 大×. ×. る、履く. 立. 再帰動詞とは動詞は動作主の働きかけが常に動作主自身に及ぶ動. ‧ 國. 學. 詞である。しかし、着脱動詞は再帰動詞であるが、着点がある点で は日本語の一般の再帰的表現とは異なっている。例えば、一般の再. ‧. 帰 的 表 現 ( 44) を 見 て み よ う 。. y. Nat. n. al. c. 太 郎 は 肩 を 落 と し た 。. Ch. engchi. er. io. b. 太 郎 は 手 を 挙 げ た 。. sit. ( 44) a.太 郎 は 身 を 隠 し た 。. i Un. v. 「 身 を 隠 す 」「 手 を 挙 げ る 」「 肩 を 落 と す 」 な ど の 再 帰 的 表 現 は 、 対 象( Theme)は 動 作 主 の 一 部 で あ り 、動 作 の 結 果 、動 作 主 体 の 様 子 も対象も変化する。 ( 44)で は 、動 作 後 、太 郎 の 様 子 や 身 体 の 部 分 も 変 化 す る 。 対 象 で あ る 「 身 」「 手 」「 肩 」 は 太 郎 の 一 部 で あ り 、 二 格 と し て の 着 点 は 必 須 項 で は な い 32。 だ が 、 着 脱 動 詞 に お い て 対 象 が 動 作 主 の 一 部 で は な く 、対 象 の 着 点 が 動 作 主 の 一 部 で あ る 。加 え て 、 動作後、対象が変化せず、動作主に変化が見られることに注意した い 。 例 え ば 、( 45)( 46) 対 象 の 着 点 は 花 子 の 身 体 一 部 で あ る が 、 対. 32. 「 太 郎 は セ ー タ ー に 身 を 隠 し た 」、「 太 郎 は 頭 の 高 さ に 手 を 挙 げ た 」、「 太 郎 は 胸の高さに肩を落とした」のように着点の明示が必要ではない。 25.

(32) 象は装身具であるため動作後、動作主に変化が生じる。 ( 45) a.花 子 は 洋 服 を 着 た 。( 着 脱 動 詞 ) b.花 子 は 帽 子 を 被 っ た 。 c.花 子 は 靴 を 履 い た 。 ( 46) a.花 子 は ネ ッ ク レ ス を し た 。(「 N ス ル 」) b.花 子 は エ プ ロ ン を し た 。 c.花 子 は マ ス ク を し た 。 よって、着脱動詞としての「Nスル」と再帰動詞一般との違いは 次のようにまとめられる。. 立. 表三:. 政 治 大 Theme. 動作後の変化. 學. 対象. ○. Agent の 一 部. 着脱動詞. ○. Theme の 着 点 が Agent の 一 部. Agent. er. io. 2.1.2. Agent、 Theme. sit. Nat. 再帰動詞一般. y. きかける. ‧. ‧ 國. Agent 自 身 に 働. N V と の 違aい. n. iv l C n h g動c作hのi 各U局 面 を 表 す ~ ハ ジ メ ル 、 コ ー パ ス で は 、N V の 表 現 にeはn、. ~ツヅケル、~ナガラ、~オワルなどのアスペクト補助動詞と共起 す る 用 例 が 見 ら れ る (( 47) ~ ( 51)) 3 3 。 ( 47) 男 は 何 も 言 は ず 、 片 足 を 立 て ゝ 靴 足 袋 を は く 女 の 様 子 を 眺めながら、静にシヤツの襟のネクタイを結び初めた。 (『 男 ご ゝ ろ 』. 永井荷風). ( 48) 亭 主 が 仕 事 に 出 掛 け る 前 に 鏡 に 向 っ て ネ ク タ イ を 結 び な がら、この頃どんな小説が面白いんだいと聞き…(下略) (『 小 説 の 面 白 さ 』 太 宰 治 ). 33. た だ し 習 慣 、 繰 り 返 し と い っ た 意 味 な ら 、ア ス ペ ク ト 補 助 動 詞 と の 結 合 が 許 容される。これは同一主体による繰り返しの動作、作用を意味する。例えば、 「 最 近 、 太 郎 は ネ ク タ イ を し 始 め た 。」。 26.

(33) ( 49) 久 慈 は ネ ク タ イ を 締 め つ つ 千 鶴 子 に 椅 子 を す す め た 。 (『 旅 愁 』. 横光利一). ( 50) 胸 に エ プ ロ ン を か け な が ら 二 階 の 窓 を あ け に 行 く と 、 遠 い 向 う に 薄 い 富 士 山 が 見 え た 。 (『 新 版 放 浪 記 』 林 芙 美 子 ) ( 51) そ の レ ッ ド の 銅 鑼 ご え に 奥 の 方 か ら 役 人 ワ イ ト マ ン が 佩 剣(はいけん) のベルトを腰に締めつけながら、睡むそう な顔を現した。. (『 軍 用 鼠 』. 海野十三). 一方、 「 N ス ル 」は ア ス ペ ク ト 補 助 動 詞 と 共 起 す る 用 例 が 一 件 も な か っ た(( 52) ( 53))。 「 N ス ル 」の 動 作 を 分 節 し て 階 段 的 に 捉 え る の が難しい。. 立. 政 治 大. ( 52) a. * お 父 さ ん は ネ ク タ イ を し な が ら 、 テ レ ビ を 見 て い る 。. ‧ 國. 學. b. * 花 子 は 話 し な が ら 、 エ プ ロ ン を し 始 め た 。 c. * ち ょ う ど ネ ク タ イ を し つ つ 居 間 に 出 て き た 夫 に 、 衣 織. ‧. は「ね?」と笑いかけた。. Nat. sit. y. ( 53) a. * マ ス ク を し て い る と こ ろ だ / * マ ス ク を し た ば か り だ / *. er. io. ネ ク タ イ を し か け た /*ネ ク タ イ を し 出 す. al. iv n C h裏eに 洋服箪笥の戸の nつ c hてiいUる 鏡 を 見 な が ら ネ ク タ イ gい n. b. ? ネ ク タ イ を ゆ っ く り し て /ネ ク タ イ を 早 く し て c.. *. をしていた。. ではなぜ「Nスル」は時間幅を表す表現と共起しにくいのだろう か 3 4 。「 N ス ル 」 に は 継 続 し た 動 作 の 結 果 が 含 ま れ る が 、動 作 の 完 成 までの所要時間を問題にしないので、動作の分節がイメージされに くく、動作が終わる瞬間をもって始めて完成する。言い換えれば、 「 N ス ル 」は 一 つ の ま と ま り で あ る と 考 え ら れ る 。だ か ら「 N ス ル 」 34. 上述のアスペクト補助動詞あるいはアスペクトを表す複合動詞の後項要素は 動作、作用の始まり、継続や終了を表すのであるから、結合する動詞は時間的 にある幅を持つことが予想される。 「 開 始 ― 継 続 ― 終 了 」の 時 間 的 経 過 を 有 す る 動 作 、作 用 を 表 す 動 詞 、即 ち「 話 す 」 「 泳 ぐ 」な ど の よ う な 継 続 動 詞( 活 動 動 詞 ) と 結 合 す る が 、動 作 の 分 節 が 背 景 化 さ れ た「 N ス ル 」と 結 合 し な い わ け で あ る 。 27.

(34) は動作進行の段階を点的に取り上げることができないのだと思われ る。 2.1.1 で は 「 N ス ル 」 は 着 脱 動 詞 で あ る こ と を 明 ら か に し た が 、 着脱動詞である「着る、かぶる、はく」も動作の分節がイメージさ れ な い の で ア ス ペ ク ト 補 助 動 詞 と 共 起 し な い と 思 わ れ る 35。 着 脱 動 詞の「着る」を例に挙げる。 *. ( 54) a.彼 女 は 洋 服 を *. b.帽 子 を. 着 て い る と こ ろ だ /*着 始 め た 。. か ぶ っ て い る と こ ろ だ /*か ぶ り 始 め た 。. c.ス リ ッ パ 3 6 を. *. 履 い て い る と こ ろ だ /*履 き 始 め た 。. 政 治 大. しかしながら、なぜ着脱動詞と「Nスル」は一つのまとまりであ. 立. ると感じられるだろうか。それは「着る、かぶる、履く」は「身に. ‧ 國. 中心動詞を選ぶ. y. V1選ぶ. io. V3腕を通. n. al. Cすh. engchi. V4チャッ. sit. V2はおる. 着る. er. Nat. ジャケットを. ‧. ( 55). 學. 着ける」の一連動作を抽象化したものであるからと考えられる。. i Un. v. クを引く. 例 ( 55) で 説 明 す る と 、 ま ず 「 ジ ャ ケ ッ ト を 身 に 着 け る 」 概 念 が 頭に浮かび、次に「身に着ける」意味を表す動詞を選ぶ手続きに入. 35. た だ し 、次 の よ う な ヲ 格 名 詞 な ら ア ス ペ ク ト 補 助 動 詞 と 共 起 す る こ と が あ る 。 「 彼 女 は 和 服 を 着 て い る と こ ろ だ /着 始 め た 。」 和 服 の 着 付 け に は は お っ て 、 左右を前正面で合わせるなど多くのステップがイメージされ、長時間の着付け が予想される。このように動作の継続性は語用論知識に依存することが多い。 例えば、 「 爆 弾 が 爆 発 す る 」と「 超 新 星 が 爆 発 す る 」で は 動 作 に 要 す る 時 間 が 異 な る 。「 花 瓶 を 壊 す 」 と 「 ベ ル リ ン の 壁 を 壊 す 」 な ど で も 同 じ 論 点 が 成 立 す る 。 36 現在のブーツにはひもで編み上げる「編み上げブーツ」があるが、そのタイ プは装着には時間がかかると思われる。 28.

參考文獻

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