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第 3 章 「じゃないか」 の使用状況

3.2 非母語話者の「じゃないか」の使用状況

3.2.3 まとめ

これまで、NNS の「じゃないか」のイントネーションおよびその 使用状況を考察した。ここで、考察した結果をまとめると、表 13 のようになる。

表 13 NNS の「じゃないか」の使用状況

イントネーション

用法 上昇調 平板調 下降調 合計

1.

確 認

(1)視覚・現実判断

2

0

4 6

(2)共有経験 0 0 0 0

(3)一般通念

1

0 0

1

(4)仮定状況 0 0 0 0

(5)伝聞情報確認 0 0 0 0

2.否定疑問 0 0 0 0

3.述べ立て

2

0

5 7

4.認識形成の要請 0 0 0 0

5.疑念表出 0 0 0 0

6.自己確認 0 0 0 0

7.勧誘 0 0 0 0

8.決意表明 0 0 0 0

合計

5 9 14

表 13 のように、上昇調・平板調・下降調に現れた用法の使用分布が 明らかになった。まず、全体 14 例のうち、上昇調は約 35.7%、平板 調は 0%、下降調は約 64.3%を占めている。ここから、NNS が「じ ゃないか」を用いる際に、下降調をとる方が全体の三分の二に近い ほど多いことが分かった。注目すべきは、平板調の使用は今度の調 査では、一切見られなかったということである。

次に、用法の分析結果を見ると、全体 14 例の中、「3.述べ立て」

が 7 例、「(1)視覚・現実判断」が 6 例、「(3)一般通念」が 1 例ある。

「(2)共有経験」、「(4)仮定状況」、「(5)伝聞情報確認」、「2.否定疑問」、

「4.認識形成の要請」「5.疑念表出」「6.自己確認」「7.勧誘」「8.決意 表明」などの用法は、全て見られなかった。つまり、今回の調査で は、NNS は筆者が設定した「じゃないか」の 12 種の用法のうち、3 種類の用法しか使っていないことが観察された。そして、現れた用 法の占めている比率は、「3.述べ立て」が 50%、「(1)視覚・現実判断」

が約 42.9%、「(3)一般通念」が約 7.1%である。ここで、NNS が「じ ゃないか」を使うとき、「3.述べ立て」および「(1)視覚・現実判断」

という用法が多いことが示唆されている。

また、これらの用法の内訳を見ると、「述べ立て」は上昇調が 2 例、下降調が 5 例であり、それぞれ約 28.6%、71.4%を占めており、

下降調で発音した場合が圧倒的に多いことが分かった。次に、「視 覚・現実判断」は上昇調が 2 例、下降調が 4 例であり、それぞれ凡 そ 33.3%、66.7%を占めており、下降調で発音した方が比較的に多 いことが観察された。そして、「一般通念」はただ 1 例だけであり、

一方、イントネーションと用法の使用分布を合わせてみると、上 昇調では「述べ立て」「視覚・現実判断」「一般通念」という三つの 用法、下降調では「述べ立て」と「視覚・現実判断」という二つの 用法が見られた。そこで、NNS は、上昇調での用法がより多いとい う傾向がある。

さらに、上昇調の使用現状を分析してみると、「述べ立て」が 2 例、「視覚・現実判断」が 2 例、「一般通念」が 1 例であり、それぞ れ 40%、40%、10%を占めており、「述べ立て」および「視覚・現 実判断」の使用率が多いことが分かった。

また、下降調の使用現状を見ると、「述べ立て」が 5 例、「視覚・

現実判断」が 4 例であり、それぞれ約 55.6%、44.4%を占めており、

「視覚・現実判断」の使用率がより多いのである。

なお、今度の調査では、「じゃない」「じゃないですか」のような 位相の差異による「じゃないか」の変種および終助詞「な」と併用 するものは、上昇調・下降調のいずれにも見られ、イントネーショ ンに顕著的な影響が見られなかった。