• 沒有找到結果。

立 政 治 大 學

N a tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

上の表から、「よく」は「しっかり」、「とても」、「たくさん」、「ちょくちょ く」と似た働きを持っているが、その働きが他の類義副詞より抽象度が高い ので、非常に特別な副詞だといえるという結論が得られた。

2 今後の課題

本研究では、「よく」の「様態」、「程度」、「量」、「頻度」、「評価」の副詞的 機能を考察したが、まだ解明していないところがいくつかある。たとえば、

(4) このレポートはよく書けていますね。266

(5) この肉はよく焼けている。267

(6) このぬいぐるみ、よく作ってあるね。268

上の「よく」は、考察した「しっかり、とても、たくさん」などの読みは なく、出来上がりのよさについての意味で「うまく」、「上手に」に相当する と思われる。近藤(1986)や森本(1992)などもこの点に言及している。

近藤(1986)は、この種の「よく」は話し手の評価的態度の意味も含んで おり、「よくやった!」などのムード的な用法に近いものと指摘している。森 本(1992)は、この種の「よく」の読みは「ている」というアスペクト表現 を必要条件にしているが、「彼女は、オフィーリアの役をよく演じた。」のよ うな例はうまさについての解釈よりむしろ話し手による評価という解釈に近 いと指摘している。

したがって、「よく」の命題内修飾成分とモダリティ修飾成分との間に深い 関連性が存在し、その関連性を考察する必要があると思われる。さらに、評 価の「よく」は「あいにく、幸い」などの副詞とともに考察する必要もある と感じる。このような問題は今後の課題にしたい。

266 白川博之、庵功雄、高梨信乃、中西久実子『中上級を教える人のための日本語文法ハン ドブック』

267 『weblio 英和対訳辞書』

268 作例

‧ 國

立 政 治 大 學

N a tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

参考文献

庵功雄(2001)『新しい日本語学入門』スリーエーネットワーク 石神照雄(1983)「副詞の原理」渡辺実編『副用語の研究』明治書院 市川孝(1976)「副用語」『岩波講座日本語 6 文法1』岩波書店

市川保子(2000)『続・日本語誤用例文小辞典―接続詞・副詞―』凡人社 奥田靖雄(1977)「アスペクトの研究をめぐって―金田一的階段―」『国語国

文』8 宮城教育大

川端善明(1983)「副詞の条件」渡辺実編『副用語の研究』明治書院

金田一春彦(1950)「国語動詞の一分類」川本茂雄他編(1979)『日本の言語 学 第五巻 意味・語彙』大修館書店

工藤浩(1977)「限定副詞の機能」『国語学と国語史』松村明教授退官記念論 集 明治書院

______(1982)「叙述副詞の意味と機能」『研究報告集 3』秀英出版

______(1983)「程度副詞をめぐって」渡辺実編『副用語の研究』明治書院 工藤真由美(1995)『アスペクト・テンス体系とテクスト―現代日本語の時間

の表現―』ひつじ書房

国立国語研究所 宮島達夫(1972)『動詞の意味・用法の記述的研究』 秀英 出版

国立国語研究所(1991)『日本語教育指導書 19 副詞の意味と用法』大蔵省 印刷局

近藤仁美(1986)「多義の副詞『よく』についての考察」『国語学研究』26、

東北大学文学部国語学研究室内「国語学研究」刊行会

佐野由紀子(1998)「程度副詞と主体変化動詞との共起」国立国語研究所『日 本語科学』3、国書刊行会

__________(1999)「程度副詞との共起関係による状態性述語の分類」『 現代 日本語研究』

__________(2006)「動きに関わる量について--量的程度副詞と動詞との共起 関係から」(37) 高知大学国語国文学会

‧ 國

立 政 治 大 學

N a tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

__________(2006)「あり方に関わる副詞としての「よく」について」『日本 語文法の新地平1形態叙述内容編』益岡隆志・野田尚史・森山卓郎編 く ろしお出版

__________(2008)「「程度差」「量差」の位置づけ--程度副詞の体系について の一考察」(39)高知大学国語国文学会

渋谷勝己(1995)「可能動詞とスルコトガデキル」『日本語類義表現の文法』

くろしお出版

鈴木重幸(1972)『日本語文法・形態論』むぎ書房

湯廷池(2003)「日本語の非対格動詞と非能格動詞」東呉大学 2004 年度博士 班講義録

張根寿(1997)『現代日本語の副詞に関する一考察-呼応関係を通した階層性 を中心に-』慶北大学校

______(2003)『話し手の認識的態度を表す副詞の研究-推量的な副詞群を中 心に』筑波大学

中右実(1979)「モダリティと命題」『英語と日本語と 林栄一教授還暦記念 論文集』くろしお出版

______(1980)「文副詞の比較」国広哲彌編『日英語比較講座 2 文法』大 修館書店

仁田義雄(1993)「現代語の文法・文法論」工藤浩編『日本語の要説』ひつじ 書房

________(1997)『日本語文法研究序説』くろしお出版 ________(2002)『副詞的表現の諸相』くろしお出版

日本語記述文法研究会(2003)『現代日本語文法 4 第 8 部 モダリティ』く ろしお出版

芳賀綏(1954)「陳述とは何者?」『国語国文』京都大学国語学国文学研究室 萩原孝恵(2004)「「よく」の用法調査とその分析-<頻度>と<程度>を中心に

-」『昭和女子大学大学院文学紀要 Vol.15』昭和女子大学

________(2005)「副詞「よく」の意味を探る-誤用文をもとにしたアンケー ト調査からの考察-」『昭和女子大学大学院文学紀要 Vol.16』昭和女子大 学

‧ 國

立 政 治 大 學

N a tio na

l C h engchi U ni ve rs it y

飛田良文・浅田秀子(1994)『現代副詞用法辞典』東京堂出版 益岡隆志(1991)『モダリティと文法』くろしお出版

________(2000)「モダリティ」中村明編『別冊国文学 No.53 現代日本語必 携』学燈社

宮崎和人・安達太郎・野田春美・高梨信乃(2002)『新日本語文法選書 4 モ ダリティ』くろしお出版

森川結花(2008)「頻度の副詞「よし」をめぐって : 文末表現との共起制限 を通して見られる「よく」の素性」 大阪樟蔭女子大学日本語研究センタ ー報告 15

森田良行(1989)『基礎日本語辞典』角川書店

森本順子(1992)「副詞的機能とモダリティ―「よく」について」『京都教育 大学紀要』A No.80

森山卓郎(1988)『日本語動詞述語文の研究』明治書院

________(1985)「程度副詞と動詞句」『京都教育大学国文学会誌』20

吉田妙子(2009)「状態を表す「V スル N」「V シタ N」「V シテイル N」」2009 年台大日本語文創新國際學術研討會

吉村公宏(2004)『はじめての認知言語学』研究社 渡辺実(1971)『国語構文論』塙書房

______(1990)「程度副詞の体系」『上智大学国文学論集』23

辞書

大辞林、広辞苑、大辞泉 コーパス

Himawari Google

Google ブック検索 青空文庫