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る舞いを明らかにすることである。ゆえに、あるメンバーに、本稿が設定した グループの間で移動する可能性があったとしても、それは、本稿の論述に直接 の関わりがないのである。
3.5 前提タイプ
いままで確認してきた「応答タイプ」と「区切りタイプ」は、談話、あるい は、一つの話題の終わりに当たる部分に「任意のね」が現れていたが、「任意 のね」は話し手が叙述を展開する途中の部分に現れることもある。具体的には、
話し手が談話のゴールに何らかの目標を設定しており、その目標に向けて聞き 手に押さえておいてほしい情報を、前提として提示するものである。このよう な文脈上の性格から、このタイプの「任意のね」は共に現れる表現に偏りがあ る。具体的には、「だから」、「それで」といった論理関係を示す接続詞や、
「のだ」及び「わけだ」といった説明の表現と共に現れる傾向がある。(49)
を見る。
(49)JBI 05(日本人ベース依頼)が JOK 05(日本人先輩断り)に電話をかけて、
頼み事をしているシーンである。便宜のため、JBI 05 を A とし、JOK 05 を B とする。A には深い色がついている。
ライン番号 発話文番号 発話文終了 話者 発 話 内 容 1 1 * JBI05 もしもし。
2 2 * JOK05 もしもし。
3 3 * JBI05 あ、<ごめんね>{<}。
4 4 * JOK05 <###ですか?>{>}。
5 5 * JOK05 うん、大丈夫。
6 6-1 / JBI05 あ、あのね,, 7 7 * JOK05 うん。
8 6-2 * JBI05 あ…。
9 8 * JOK05 ごめんね、うん、はいはい。
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ったのだが、それができなくなったために生じた依頼である。すなわち、Aが 設定する会話の最終目標は、Bが自分の代わりに言語調査に行くということで ある。まずAは、ライン番号16と17で、自分がある人と一緒に調査に参加する よう誘われたという情報をBに提示した。続くライン番号19では、Aは参加す ることに同意したけれども、事情があって行けなくなったと述べ、そうである からこそ、Bが代行できないか、ライン番号20で尋ねている。つまり、ライン 番号19の内容は、Aが目的としていることの前提に当たるのである16。次の(50)
も「前提タイプ」の例と言えるであろう。
(50)BM 01(日本人男性ベース)とSM 01(日本人男性同輩)の雑談である。
便宜のため、BM 01をAとし、SM 01をBとする。Aには深い色がつい ている。
ライン番号 発話文番号 発話文終了 話者 発 話 内 容
111 103 * SM01 あとも##、言語学とかそんなような、分野なん ですか?。
112 104 * BM01 僕ですか?。
113 105 * SM01 はい。
114 106 * BM01 僕の専門は全然違います。
115 107 * SM01 あっ。
116 108 * BM01 あ、僕の専門は経済です。
117 109 * SM01 あ、そうなん<ですか>{<}。
118 110-1 / BM01 <結局、>{>}まあ、ここの大学の場合 26 言語っ ていいまして,,
119 111 * SM01 はい。
120 110-2 * BM01
まインドネシア語フィリピン語、マレーシア 語、ま、いわゆるドイツ語フランス語のほかに (えー)、ま、いわゆる、各地域の言葉を習うんで すね(はい)、ポルトガル語(ええ、ええ)とかスペ インですとか。
16(49)に現れる「任意のね」は依頼表現と一緒に使われているが、これは、本稿が観察に用 いたコーパスの「4 女性同士の断りの電話会話【音声】」(言語調査の依頼と断り)というセ
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121 112 * BM01
だけど結局、言葉が話せるだけじゃ、お話にな らんので(ほう)、まあ、その、ことばを使って、
ある特定の地域なり、《少し間》を勉強しまし ょうと(ほー)。
122 113 * BM01
でその、地域の勉強するのには、例えば経済学 ですとか政治学ですとか、法律学ですとか、ま そっちのディスプリン系っていうんですかね、
理論を、少し知らなきゃやっぱりいけないって (ほー)いうんで、まーどちらかっていうとわたく しは、そっちの。
123 114-1 / SM01 そうする、ますと、先生のー<笑い>(<笑い>)、
まあ経済学,, 124 115 * BM01 はい。
初対面男性ベース雑談(性差、年齢差)【音声】/ 176-13-BM01-SM01「宇佐 美まゆみ監修(2011)『BTSJ による日本語話し言葉コーパス(2011 年版)』」
Aは、ある外国語大学の教員であり、Bは、ライン番号111で、Aの専門も言 語学なのかと聞いた。しかしながら、Aの専門は経済学で、言語学とはまった く異なっている。そこで、Aは自分の専門がどのように外国語大学と結びつく のかを説明し始めた。Aはライン番号120において、この大学では「いわゆる、
各地域の言葉を習うんですね」と発話し、この大学では、確かに言語の学習が 中心を占めていることをBに知らせた。そのような前提を伝えながらも、Aは、
ライン番号121で「結局、言葉が話せるだけじゃ、お話にならんので」と、接 続詞「だけど」を用いながら、逆接的に話題を展開させていった。このように Aは、外国語大学において、自分の専門である経済学がどう関連しているのか を説明したわけである。
3.5.1 「のだ」に関する問題
本稿は、先に「前提タイプ」の「任意のね」が、「だから」、「それで」と いった接続詞や、「のだ」及び「わけだ」と共に現れると述べたが、本稿の観 察では、とりわけ「のだ」と共に現れる頻度が高い。本稿の調査によれば、「の
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だ」と併用される「必須のね」は201文の中で19文であり、これは全体の9.4パ ーセントに当たる。一方、「任意のね」と「のだ」の共起は214文中の43文で、
その確率は20パーセントとなっている。「任意のね」のほうが高比率という結 果になっているが、この現象を理解するために必要なのは、「任意のね」の各 タイプ別の比較である。まず「応答タイプ」の文が「のだ」と併用される割合 は5パーセント、「区切りタイプ」の文と「のだ」が併用される割合は7.1パー セントであった。ところが、「前提タイプ」の文の場合、その割合は62.2パー セントに上る。以上の、本稿が分析した終助詞ネと「のだ」の併用率をまとめ ると、次の表のようになる。
(表4)
必須のね全体と「のだ」との併用率 9.4%
任意のね全体と「のだ」との併用率 20%
任意のねにおけるタイプ別の併用率
任意のね「応答タイプ」と「のだ」との併用率 5%
任意のね「区切りタイプ」と「のだ」との併用率 7.1%
任意のね「前提タイプ」と「のだ」との併用率 62.2%
つまり、「前提タイプ」における「のだ」の出現率は、他のタイプより遥か に高く、それが、「任意のね」全体の比率を高めていると考えられるのである。
次の(51)を見る。
(51)BM 01(日本人男性ベース)とSM 01(日本人男性同輩)の雑談である。
便宜のため、BM 01をAとし、SM 01をBとする。Aには深い色がつい ている。
ライン番号 発話文番号 発話文終了 話者 発 話 内 容 168 152 * BM01 「大学名 3」なんですよ、<出身は、学部は>{<}。
169 153 * SM01 <ああ、そうなんですか>{>}。
170 154 * BM01 なもんですから。
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便宜のため、JBF 04をAとし、JOF 01をBとする。Aには深い色がつい ている。
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94 86 * JOF01
だから、こう、行って、あ、じゃあここからこ こまでなら歩けるよね、みたいなところが実は もすっごいはてしなかったりとかね、(へぇー) したのね、だから、あ、大きいなと思って。
初対面同性同士雑談(男、女)【音声】/ 198-14-JBF04-JOF01「宇佐美まゆみ 監修(2011)『BTSJ による日本語話し言葉コーパス(2011 年版)』」
Bは台湾に住んでおり、北京に旅行で行ったことがある。そして、Aは北京 に住んでいた。Bは北京の建物と都市の規模が大きいと思っているが、Aは北 京に住んでいたので、そう感じなくなったと述べている。それを受けて、Bは なぜ北京が大きいと感じたかを説明し始めた。Bはまず、ライン番号91で自分 が台湾から北京に行ったと述べている。そして、ライン番号93で「なんかだい たいこうどこでも歩けるような感じなところで生活しているのね」と説明し、
「だから」という接続詞で繋いで、次のライン番号94の文を述べ、一つの結論 を示した。しかし、そのライン番号94の文では、最後にもう一度「こう、行っ て、あ、じゃあここからここまでなら歩けるよね、みたいなところが実はもす っごいはてしなかったりとかね、したのね、だから」と「のね」の文によって 前提を示し、また「だから」で繋いで結論を提示している。このように、(52)
では、【前提→結論=前提→結論】と二段構えになっているため、若干、複雑 ではあるが、これらの「任意のね」は「前提タイプ」に属するものと言え、共 に、「のね」という形式になっているのである。
以上のように、本稿の観察する範囲では、「任意のね」と「のだ」の共起は
「のですね」か「のね」に限られ、「のだね」は見られなかった17。これは、
敬体「のですね」に対応する常体は「のだね」ではなく、「のね」だというこ とを意味するであろう。さらに、「のですね」や「のね」の場合とは異なり、
「のだね」においては、「のだ」とネが何らかの理由によって、ミスマッチを
17 この観察の結果と同じように、本稿の確認した日本語母語話者の内省は、このタイプの「の だね」の使用を不適格とするものであった。
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生じさせているということでもある。この理由については、本稿の範囲では明 らかにすることができないが、今後の課題にしたいと思う18。
3.5.2 「前提タイプ」のネと「わけだ」
ここまでに述べたように、「前提タイプ」のネは「のだ」に下接することが 多いが、「わけだ」に接続する例も見られる19。次の(53)は「のだ」と共に 比較的多くの「わけだ」が使われている例である。
(53)BM 01(日本人男性ベース)とOM 01(日本人男性年上)の雑談である。
便宜のため、BM 01をAとし、OM 01をBとする。Aには深い色がつい ている。
ライン番号 発話文番号 発話文終了 話者 発 話 内 容 68 64 * BM01 商社でも、何を具体的に<扱われて?>{<}。
69 65 * OM01 <あ、いやね、>{>}機械なんですよね。
69 65 * OM01 <あ、いやね、>{>}機械なんですよね。